JP4595909B2 - 窒化アルミニウム単結晶の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム単結晶の製造方法 Download PDF

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本発明は、窒化アルミニウム(AlN)単結晶の製造方法に関する。AlN単結晶は、青色や紫外領域の光を射出し得る窒化ガリウム等の化合物半導体発光素子用の基板や、高熱伝導性基板として用いられる。
化合物半導体であるAlNは6.2eVの大きなバンドギャップを有するので、AlN半導体中にpn接合が実現されれば、紫外域の発光ダイオードやレーザなどの新しい発光素子を作製することが可能になる。また、大きなバンドギャップを有するAlN半導体は、放射線下や高温下で動作する高耐圧の電力素子への応用が可能である。さらに、AlN半導体は、負の電子親和力を示すことが知られており、高効率の電子放出素子への応用も期待される。また、AlNは約300W/m・Kの良好な熱伝導性を有しているので、その多結晶体については、放熱性のセラミック基板としての実用化がすでに進んでいる。最近では、青色発光素子に利用されている窒化ガリウム(GaN)に対するAlNの結晶格子の整合性が良好であることから、AlN層はGaN層との界面におけるバッファ層として利用されており、発光素子の輝度向上に不可欠の材料となっている。
AlNは、明確な融点を示さず、常圧下で2200〜2450℃もの高温で分解するため、AlN溶液からの固化という単純な手法を用いて単結晶を製造することができない。そのため、AlN単結晶の製造には、これまで昇華法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法等の気相成長法、及び液相エピタキシー法(LPE;Liquid Phase Epitaxy)等の液相成長法が用いられてきた。
そのうち、AlN溶液から単結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法(LPE法)は、複雑な制御手段を必要としないため装置が比較的単純であり、原材料の制約も少ないという利点がある。LPE法には、これらの方法で成長させた単結晶が、分子の再配列に伴うエネルギー変化が小さいため、気相成長により得られた単結晶に比べて、一般に欠陥が少なく、多形転移を生ずる欠点も少ないという、さらなる利点もある。
代表的なLPE法としては、ルツボに収容した融液に成長させようとする目的物を飽和濃度まで溶解させ、得られた溶液に上部が下部より低温となるような温度勾配を形成して、支持治具の先端に付けた種結晶基板を融液表層の低温部(過冷却状態になっていて、目的物の濃度は過飽和である)に接触させて種結晶基板上に目的とする単結晶を成長させ、単結晶が成長するにつれて支持治具を引き上げていく方法(温度勾配LPE法)がある。
別のLPE法として、ルツボに収容した融液に成長させようとする目的物を飽和濃度まで溶解させ、得られた溶液をゆっくりと冷却することにより過冷却状態にして、目的物の濃度を過飽和とし、この溶液と接触している種結晶基板上に目的とする単結晶を成長させる方法(温度変化LPE法)がある。
また、溶媒(AlとN以外の成分)を蒸発させることにより、目的物の濃度を過飽和とし、溶液と接触している種結晶基板上に目的とする単結晶を成長させる方法(蒸発LPE法)もある。
温度変化LPE法は、種結晶基板をルツボ内に設置するため、AlN単結晶の製造を終了した後も、種結晶基板上のAlN単結晶は溶液中に残されたままになる。種結晶基板上のAlN単結晶を取り出すためには、溶液を凝固させて室温になるまで冷却した後、AlN単結晶近傍の合金を切り出して、周囲の合金を研削等により削除するという手間がかかる。さらに、AlN単結晶と溶液である合金の熱膨張率は異なるため、溶液が凝固・冷却する際にAlN単結晶に熱応力が加わり、AlN単結晶が割れたり破断する場合が多い。このため、所望の大きさのAlN単結晶を得るのが難しい。
また、温度変化LPE法では温度を下げる時間に限りがあるため、そして蒸発LPE法では溶液量が減少するため、いずれも長時間の連続製造ができないので、厚肉のAlN単結晶を得ることはできない。
これに対し、温度勾配LPE法は、温度勾配のある溶液に種結晶基板を配置してAlN単結晶を製造し、製造後にはAlN単結晶を溶液から引き上げることにより、AlN単結晶を容易に割れなく取り出すことができる。また、連続的に長時間AlN単結晶を製造することができる。
温度勾配LPE法によるAlN単結晶の製造は、上記で述べたような多くの利点があるため、その製造を実用化するための開発が行われている。しかし、下記に述べる課題があるため、まだ比較的安価で品質の良いAlN単結晶が安定して得られるまでには至っていない。
下記特許文献1には、成分aがCr、Mn、Fe、Co、CuおよびNiから選択された1種以上の金属、成分bがSc、Ti、V、Y、ZrおよびNbから選択された1種以上の金属、成分cがAl、成分dがSiであるabcd系合金であって、成分aのモル濃度Ca、成分bのモル濃度Cb、成分cのモル濃度Ccおよび成分dのモル濃度Cdが、0.01≦Cb/Ca≦0.1、0.13≦Cd/Ca≦0.32、0.2≦Cc/(Ca+Cb)≦1の関係を満たす組成を有するabcd系合金の融液を窒素雰囲気下で冷却するか、および/またはそれから前記成分aとbの少なくともいずれかを蒸発させることによって、この融液と接触している種結晶基板上にAlN単結晶を成長させることからなる、LPE法によるAlN単結晶の製造方法が開示されている。
この特許文献に記載の方法は次のような問題点を抱えている。
(a)雰囲気の窒素ガスを融液に溶解させて、AlN単結晶の窒素源としているため、融液表層に緻密なAlN膜が形成して窒素ガスの溶解を阻害することがある。窒素ガスの溶解を促進させるために、融液には成分b(Sc、Ti、V、Y、ZrおよびNbから選択された1種以上の金属)を添加している。しかし、これらの金属は、Alと同程度の窒化物生成自由エネルギーを有する金属元素であるため、融液表層には成分bの窒化物の皮膜、あるいは成分bの窒化物とAlNの混相膜を形成し、窒素ガスの溶解を阻害することがある。この場合、融液中には窒素量が欠乏して安定してAlN単結晶を製造することができない。
(b)窒素の溶解により形成されたAlN溶液は、融液の液相線温度以上、2000℃以下の温度で保持後、液相線温度と固相線温度の間の所定温度まで徐冷するか、またはこの所定温度まで冷却した後その温度に等温保持される。融液からAlNが晶出し始める温度を把握していないため、このように広範囲の温度を長時間かけて冷却している。ところが、融液の温度が、AlNが晶出する温度より下がり、さらに過度に冷却されると、種結晶基板上のAlN単結晶が成長している界面だけでなく、融液全体でAlN結晶が晶出する。この場合、種結晶基板上のAlN単結晶はほとんど成長しなくなり、AlN単結晶はごくわずかの厚さしか得られない。
下記特許文献2には、AlN焼結体製のルツボを用いるとともに、窒素を主成分とするガス雰囲気下、1100℃以上の温度に加熱し、溶融したAl融液にルツボから窒素を溶出させることにより、種結晶基板上にAlN単結晶を成長させることを特徴とする、温度勾配LPE法によるAlN単結晶の製造方法が提案されている。
この特許文献に記載の方法には次のような問題点がある。
(c)融液を保持するルツボのAlN焼結体を融液に溶解させて、AlN溶液の窒素源としている。AlNは高温でも安定な窒化物であるため、AlN単結晶を成長させるのに必要な窒素を供給するためには、2100℃程度以上の高温が必要になる。このような高温では、融液が蒸発して融液量が減少するため、融液表層に配置した種結晶基板が融液と接触しなくなる。融点が低いAlは蒸気圧が高いため特に蒸発が激しい。
(d)融液は99%以上のAlを原料とし、雰囲気は窒素ガスを主成分とするため、Alの沸点(約2500℃)に近い超高温にしないかぎり、Al融液の表層には緻密なAlN膜が生成する。表層にAlN膜があるAl融液に、種結晶基板を上方から下降させて接触(浸漬)させると、種結晶基板表面にAlN膜が付着する。AlN膜は多結晶体であり、AlN膜が付着した種結晶基板から成長するAlNは多結晶となり、目的のAlN単結晶が得られない。この問題点は、雰囲気の窒素ガスから窒素を供給する特許文献1に記載の方法でも、上記(a)で述べたように融液表層にAlN膜が付着するため、同様に起こりうる。
(e)ルツボのAlN焼結体の純度は、その製造方法の限界より95%以上もしくは99%程度である。不純物としては、酸素、炭素、シリコン、鉄等であり、このうち酸素は1%程度と多い。AlN焼結体が溶出すると、Al融液中にAlや窒素の他、酸素等の不純物も溶ける。Al融液に酸素が存在すると、アルミナ(酸化アルミニウム)を容易に生成するため、種結晶基板上にアルミナが晶出し、AlN単結晶が成長しない。あるいはアルミナを含むAlN単結晶が成長する。このようなAlN単結晶は、Al融液の取り込みや転位等の欠陥が多い。
(f)AlN焼結体のルツボは、製造することは可能である。しかし、原料となるAlN粉末が高価なため、黒鉛ルツボやアルミナルツボ等の汎用品に比べると高価である。このため、得られたAlN単結晶の製造コストが高くなる。
なお、ルツボではなく、AlN等の窒化物焼結体を融液中に投じて窒素を供給することも考えられるが、この場合も程度の差はあっても特許文献2と同様の問題点を伴う。
下記特許文献3には、原料ガスと原料液とを反応させて化合物単結晶を成長させる化合物単結晶の製造方法であって、前記原料液において、前記原料ガスと接する気液界面から前記原料液の内部に向かって流れが生じるように、前記原料液を攪拌しながら前記単結晶を成長させることを特徴とする方法が記載されている。
この特許文献に記載の方法は、次の問題点がある。
(g)固液界面で発生する不均一な核発生、すなわちAlN膜を抑制するために、融液がある流れの方向を保って攪拌させる必要がある。温度の高い融液を攪拌するための装置は複雑で高価になる。さらに、炉内雰囲気の原料ガス(窒素含有ガス)の圧力を5気圧以上に高めなければならないため、装置はさらに複雑、高価になる。
特開2005−82439号公報 特開2004−189549号公報 特開2005−263622号公報
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消または軽減し、種結晶基板上にAlN単結晶を成長させる温度勾配LPE法により、品質のよい(欠陥の少ない)比較的大きな(バルク)AlN単結晶をより安価に連続して製造し得るAlN単結晶の製造方法を提供することを課題とする。
前述した通り、AlN単結晶の成長持続に必要な融液中の窒素をAlN焼結ルツボあるいは他の窒化物の溶解により供給すると、上記特許文献2について述べた問題点(c)、(e)および(f)を解消することはできない。一方、雰囲気からの窒素ガスの溶け込みにより窒素を供給すると、上記特許文献1について述べた問題点(a)および(b)の問題点がある。また、いずれの方法も、特許文献2について述べた問題点(d)をさらに抱える。
本発明者らは、雰囲気からの窒素ガスの溶け込みにより窒素を供給する方式において、融液原料の温度がある温度以上に到達してから窒素ガスを供給することによって、この方式をとる特許文献1における問題点であった(a)、(b)、(d)のすべてを克服することができ、従って、前述した(a)〜(f)の全ての問題点が解消または軽減されたAlN単結晶の製造方法が可能となることを見出した。
本発明は、Alを含む融液原料を加熱融解させて融液とし、この融液中に窒素を溶解させてAlN溶液を形成し、AlN単結晶成長用の種結晶基板を融液表層と接触させて種結晶基板上にAlN単結晶を成長させるAlN単結晶の製造方法において、融液原料の加熱融解中、融液原料の中で最もモル比の高い元素の融解が終了するまでは雰囲気を不活性ガスとし、その後に雰囲気を窒素含有ガスに切り換えて、種結晶基板上にAlN単結晶を成長させることを特徴とする、AlN単結晶の製造方法である。
本発明の好ましい態様は次の通りである:
・不活性ガスから窒素含有ガスへの雰囲気ガスの切り換えを、融液原料の融解後で、かつ形成された融液表層の温度Tbが、融液表層にAlN膜が生成する温度Taより高くなった後で行う。
・前記雰囲気ガスの切り換え時の温度Tbが、温度Taより1℃以上、100℃以下高い。
・前記融液が遷移金属Mを1種以上含み、融液中のAl含有量が1mol%以上、30mol%以下である。
・前記種結晶基板がSiC単結晶であり、前記融液がさらにSiとCを含む。
本発明において不活性ガスとは、希ガスと同じ意味、すなわち、周期表第18族の元素のガスを意味する。
本発明の方法は、従来の温度勾配LPE法によるAlN単結晶のエピタキシャル成長が抱えている種々の問題点を解消することができる。
具体的には、融液原料の加熱・溶解中は雰囲気を不活性ガスとし、融液原料の少なくとも最大量元素が溶解し、好ましくは融液原料がすべて溶解して融液(表層を含む全体)の温度Tbが、AlN膜が融液表層に生成する温度Taより高い温度、好ましくは1℃以上、100℃以下高い適正温度になった後で、雰囲気を不活性ガスから窒素含有ガスに切り替えることによって、種結晶基板を融液(AlN溶液)に接触させる時に、融液表層にAlN膜がないため、種結晶基板表面にAlN膜が付着せず、種結晶基板表面が清浄な状態でAlN単結晶を生成させることができ(問題点(d)の解決)、雰囲気の窒素ガスを融液に容易に溶解させることができ(問題点(a)の解決)、かつ種結晶基板上以外の融液中にAlN結晶が晶出することがない(問題点(b)の解決)。なお、温度Tbは単結晶成長中も上記適正温度とすることが好ましい。
雰囲気を窒素含有ガスに切り換えることにより、AlN単結晶の窒素源として窒素ガスを利用して種結晶基板上にAlN単結晶を成長させることができ、窒素源として窒化物を使用する必要性がなくなり、それにより生ずる問題点を解消できる。
すなわち、酸素等の不純物の混入が非常に少なくなり、アルミナ等の結晶が晶出することがない(問題点(e)の解決)。さらに、窒化物に比べて窒素ガスは非常に安価であるため、AlN単結晶の製造コストをより安価にできる(問題点(f)の解決)。また、遷移金属Mを、AlとNを溶解させてAlN溶液を形成する主溶媒(フラックス)としての役割を果たすように含有させた場合には、比較的低い温度でAlN溶液を形成して、AlN単結晶の成長を行うことが可能となる。
融液のAl量は、融液表層にAlN膜ができないように1mol%以上、30mol%以下に調整することが好ましい。それにより、AlN膜を溶解させるか、あるいは生成させないようにするために、融液温度を1900℃以上に上げる必要性がなくなり、融液の蒸発を抑制することができる(問題点(c)の解決)。
種結晶基板を冷却して、種結晶基板周囲の融液温度Tcを、Tbより1℃以上、100℃以下低い適正温度に保つことにより、種結晶基板周囲の融液の温度が下がり、融液本体(種結晶基板から離れた融液)との間に温度勾配が形成され、AlN単結晶を種結晶基板上に晶出させることができる。基板周囲の融液温度とは基板に接触する部分の融液温度を意味し、実質的に基板温度と等しい。基板上にAlN単結晶を成長させるために融液温度は基板周囲で最も低くするのが普通であるので、融液の最低温度でもある。
さらに、融液のAl量(モル濃度)や遷移金属Mの種類に応じてTaを把握して、Tb、Tcを変えることができる。それにより、融液温度が高すぎて種結晶基板上にAlN単結晶が生成しない、或いは逆に融液温度が低すぎて融液中にAlN結晶が晶出する、といった事態を避けることができ、種結晶基板上にAlN単結晶を安定して確実に成長させることができる。
また、Siは、特にSiCを種結晶基板として使用する時に種結晶基板の溶解を抑制する作用を果たす。従って、種結晶基板がSiC単結晶である場合に合金融液にSiを含有させることが好ましいが、種結晶基板が他の材質である場合にもSiを含有させることができる。
以上のように、雰囲気の制御(不活性ガスから窒素ガスへの切り替え時期の調整)という操作によって、融液表層に生成するAlN膜を抑制することができる。このため、高圧下で融液をある流れの方向を保って攪拌させる必要がなく、比較的簡単で安価な装置でAlN単結晶を製造することができる(特許文献3について述べた問題点(g)の解決)。
これらの結果、本発明によれば、転位欠陥が少なく、格子配列の乱れが小さな高品質のAlN単結晶をLPE法により比較的安価に安定して製造することが可能となる。得られたAlN単結晶は、半導体レーザや発光ダイオードなどの基板として有用であるから、本発明の工業的価値は極めて大きい。
本発明のAlN単結晶の製造方法について、図面を用いてより詳しく説明する。
1.AlN単結晶製造装置
図1に、本発明のAlN単結晶を製造するための装置断面の概略を示す。装置の主な構成要素は、AlN溶液(融液)を内部に収容したルツボ、昇降可能な支持治具に取り付けられた種結晶基板(種結晶)、およびルツボや融液を加熱するための加熱手段(図示例では高周波誘導加熱用コイル)である。図示していないが、この装置は、雰囲気を制御できる手段を備える。すなわち、炉内の空気を排気するための排気手段と、炉内に雰囲気ガスを供給するためのガス供給手段とを備える。こられの各要素について次に説明する。
(1)ルツボ
一般に黒鉛ルツボが用いられる。黒鉛は、アルゴンや窒素等非酸化性雰囲気において耐熱性に優れ、比較的安価で大型品の製作が容易である。また、高周波誘導加熱方式により融液を加熱・溶解する場合、黒鉛ルツボはジュール熱により加熱されて発熱源となる。
しかし、(a)種結晶基板にSiCを用いる場合には、融液にSiを添加するのが好ましい。この時、黒鉛ルツボをそのまま使用すると、融液中にルツボからCが溶出して、C濃度が高くなりすぎSiCが晶出する。その結果、種結晶基板上にAlN単結晶が成長できなくなり、SiC単結晶もしくはAlNとSiCの混在した単結晶が成長するため好ましくない。
一方、(b)融液の溶媒にFe、CrやMn等のCを溶解しやすい元素を用いた場合、黒鉛ルツボを用いると、ルツボからCが溶出して炭化物が多量に晶出して、種結晶基板上のAlN単結晶の成長を妨げる。さらに、ルツボが浸食されると、穴が空いて融液が漏れるという事故になる可能性がある。
上記(a)および/または(b)の場合には、図示のように、Cを主成分としない別のルツボ(図示例ではAl23ルツボ)を黒鉛ルツボの内側に挿入して、その別のルツボ内で融液を溶解・保持するのが好ましい。別のルツボの材質としては、アルミナ、マグネシア等の酸化物や窒化珪素、AlN等の窒化物がある。
このように、融液に溶損しないルツボ材質を選択することにより、融液中に不純物の混入を極力避けることができる(不可避的にある程度溶損するが)。
(2)融液原料
融液の原料は、AlN単結晶のAl源となるAlと、溶媒になる1種類以上の遷移金属Mからなる。
Alは融液原料の1〜30mol%、より好ましくは2〜20mol%を占めるように添加することが好ましい。
1mol%以上とするのは、これより少ないと、AlN単結晶の成長する速度が非常に遅くなり、場合によっては安定して成長させることができないためである。融液の量にもよるが、ある程度の大きさのAlN単結晶を得るには、必要なAl量も多くなるため、2mol%以上がより好ましい。
30mol%以下とするのは、これよりAl量を増やすと、雰囲気の窒素ガスと接する融液表層に緻密なAlN膜が生成し、窒素ガスが融液中へ溶解できなくなり、融液中の窒素量がAlN単結晶を成長させるのに不十分になるからである。融液温度を1900℃より高くすれば、Al量が30mol%より多くてもAlN膜の形成を抑制できる。しかし、このような高温は、ルツボの不可避的な溶損によりAlN単結晶に不純物や欠陥が多くなったり、種結晶基板が溶損・消失してAlN単結晶が生成できなくなるといった問題があるため、現実的ではない。後述するように、Al量が少ないほど、融液表層のAlN膜はより低温でも生成しない。ルツボの不可避的な溶損や種結晶基板の溶損を抑制するために、融液温度があまり高くない1800℃以下でAlN膜の生成を抑制できて、AlN単結晶を製造できる、Al量20mol%以下がより好ましい。
溶媒となる遷移金属Mは、例えばCr,Mn,Fe,Co,Cu,Ni,V等であり、これらのうち1種類以上を用いる。
また、(a)種結晶基板にSiCを用いる場合は、種結晶基板の溶損・消失を防ぐために、SiとCを添加する。SiやC量は、SiC種結晶基板の溶損を抑え、かつ種結晶基板上へのSiC晶出を防止するのに有効な量である。融液中のSiやC量が低すぎると種結晶基板の溶解が進行する。SiやC量が高すぎると、表層あるいは融液内でSiC結晶が晶出し、目的とするAlN単結晶の成長が阻害される。従って、融液のSiやC含有量を適正な範囲に管理することが、AlN単結晶の成長に重要である。適正なSiやC量は、融液組成(C以外の他成分の含有量、特にSi含有量)や融液温度によって変動し、実験により決定することができる。
(3)種結晶基板
LPE法では、所定の大きさのAlN単結晶を安定して成長させるために種結晶基板が必要である。種結晶基板は、結晶方位がそろった単結晶が好ましい。
種結晶基板としては、AlN、SiC、サファイア、Si、GaAs、ZnO等から選択される1種を使用することができる。その融点が融液温度よりも高く、AlNの格子定数との差が小さいものが種結晶基板として好ましい。AlNを種結晶基板とするのが最も好ましいが、種結晶基板として使える大きさ(直径や厚さ)のAlN単結晶が製造できていないため、現状では使用できない。このため異種基板を使用することになるが、材質としてはSiC、サファイアが特に好ましい。種結晶基板の大きさ(直径)は必要なAlN単結晶の大きさと同じかやや大きくし、種結晶基板の厚さは特に限定されないが、0.2〜1mmが好ましい。
(4)種結晶基板支持治具
種結晶基板は、冷却機構、上下移動機構および回転機構を備えた支持治具に固定される。支持治具の材質は、限定されるものではないが、融液温度よりも高融点材料であって、加工が容易なものが好ましい。黒鉛や、AlN、BN、窒化珪素(Si34)等の窒化物や、アルミナ等の酸化物である。
より好ましいのは、特に融点が高く、加工が容易で安価な黒鉛である。下記で述べるように支持治具は冷却されるため、その溶損はルツボのようには進行しない。しかし、それでも黒鉛製支持治具の溶損により融液中のC濃度が高くなってSiCが晶出したり、あるいは種結晶基板の支持が困難になるような場合には、黒鉛以外の窒化物や酸化物の支持治具を用いればよい。
支持治具は、種結晶基板の周囲の融液温度を下げるために冷却される。また、種結晶基板が融液中に溶損するのを抑制するためにも冷却するのが好ましい。
種結晶基板周囲の融液を低温にし、それ以外の部分の融液を相対的に高温にして温度勾配を付加する。これにより、相対的に温度の高い融液表層(融液と窒素ガスの界面)から溶け込んだ窒素が、温度の低い種結晶基板周囲の融液で過飽和になって種結晶基板上にAlN単結晶が晶出できる。
支持治具を冷却する方法としては、伝熱により冷却するもの、冷却剤としてガスまたは液体を利用して冷却するものなどが挙げられる。
伝熱による冷却は、支持治具に熱伝導率の大きい材質を用いて、種結晶基板周囲の融液の熱を支持治具上方の加熱されていない部分まで伝えて、そこで放熱させる。先に述べた支持治具の材質のうち、熱伝導率の大きいカーボンやAlNが好ましい。この伝熱による方法は、あまり大きな冷却をすることはできないため、種結晶基板周囲の融液温度を少しだけ下げる場合に使われる。
冷却剤としてガスを用いる冷却は、一例として、図2に示すように、先端付近まで中空にした支持治具を用い、炉外より支持治具内にガスを供給することにより、種結晶基板や種結晶基板周囲の融液を冷却する。
ガス流量は、支持治具すなわち種結晶基板の大きさ(直径)や融液温度、支持治具の材質等により異なるが、0.1〜200L/min(室温の状態)程度である。流量が少ないと冷却効果(種結晶基板周囲の融液温度の低減量)は少なくなり、流量がゼロ(流さない)の場合は上記の伝熱による冷却のみになる。流量が多いほど、支持治具先端の温度を下げて種結晶基板周囲の融液温度を下げることができる。ある流量を超えると、それ以上流しても冷却効果はそれほど増えず、ガスを浪費することになるので好ましくない。
ガスの種類は、窒素、アルゴン、ヘリウム、空気等、特に限定されない。ただし、支持治具を冷却した後、そのまま炉内にガスを流したり、支持治具内のガスが炉内に漏れる可能性がある場合は、炉内雰囲気と同じ窒素ガスや不活性ガスがよい。
冷却剤として液体を用いる冷却の場合、支持治具は該液体によって冷却された金属製の移動回転治具の先端に配置されて冷却される。移動回転治具は融液表層より上方にあり、融液とは接触しない。該液体が移動回転治具先端を冷却し、移動回転治具が支持治具を冷却、支持治具が種結晶基板や種結晶基板周囲の融液を冷却する。液体には、主に水や油が用いられる。
液体流量は、支持治具すなわち種結晶基板の大きさ(直径)や融液温度、支持治具の材質等により異なり、少なくとも移動回転治具の金属が劣化しないように流さなければならない。それ以上の流量を流すことにより、移動回転治具、支持治具、種結晶基板や種結晶基板周囲の融液の温度をより下げることができる。
種結晶基板周囲の融液温度を推定するために、支持治具先端の温度を測定あるいは推定するのがよい。支持治具先端の温度は、その先端にあらかじめ熱電対を配置することで測定できる。また、中空の支持治具では、中空部の上方に配置した放射温度計でその先端部の温度を測定できる。
種結晶基板周囲の融液温度は、あらかじめAlN単結晶を製造する条件と同じ条件で融液を加熱して温度を保持し、支持治具の先端から数mm融液側に突出させて配置した熱電対によって測定することができる。これにより、支持治具先端部の温度と種結晶基板周囲の融液温度の関係をあらかじめ求め、AlN単結晶製造時に測定できる支持治具先端部の温度より、その時の種結晶基板周囲の融液温度を知ることができる。
これ以外に、伝熱解析により支持治具先端部の温度と種結晶基板周囲の融液温度の関係をあらかじめ求めてもよい。
支持治具の上下移動機構は、融液原料を溶解して所定の温度になってから種結晶基板を下降して融液表層に浸漬させるため、AlN単結晶の製造が終了してから、種結晶基板とともにAlN単結晶を融液と切り離すために用いられる。これらに必要な距離を上下動することができるようにする。
支持治具の回転機構は、種結晶基板や種結晶基板上に成長したAlN単結晶を回転させることにより、融液界面の流動を促進させるものである。通常、回転機構は、上下移動機構と一体的に構成される。
(5)加熱手段
高周波誘導加熱の場合は、ルツボの周囲には高周波コイルが設置される。コイルは、銅製で水冷却されている。
抵抗加熱の場合は、ルツボの周囲にはグラファイト、SiC等の抵抗加熱式の発熱体が設置される。発熱体が露出していると発熱体の輻射によって局所的な加熱が生じる場合があるので、発熱体には熱伝導率の低い石英ガラス等の絶縁膜を被せることが好ましい。
(6)排気手段
準備作業を終えた炉内は空気で満たされているため、融液を加熱する前に、排気ポンプなどの適当な排気手段で炉内の空気を排気する。また、雰囲気ガスの切り換え時にも、必要に応じて排気手段を利用する。
(7)ガス供給手段
炉内の空気を排気した後、ガス供給手段からガスを供給して、炉内を所定の雰囲気ガスで満たす。本発明では、ガス供給手段から、窒素含有ガス(窒素ガスでもよい)と不活性ガス(アルゴンやヘリウム)の2種類以上のガスを切り替えて流すことができるようにする。
窒素含有ガスから融液に窒素が溶解してAlN溶液が生成する。すなわち、窒素含有ガスはAlNの成長に必要な窒素源である。従って、融液への窒素の溶解により雰囲気ガスが消費されるので、雰囲気を窒素含有ガスに切り換えた後も、窒素含有ガスを炉内に供給することが好ましい。
2.AlN単結晶の製造方法
AlN単結晶の製造はたとえば次のようにして実施することができる。まず、融液原料および種結晶基板を取り付けた支持治具を炉内に配置し、次いで炉内を所定の不活性ガス雰囲気に調整し、炉内を昇温してルツボ内の融液原料を溶解して所定の温度に保持する。その後、支持治具を下降して種結晶基板を融液表層に接触させ、炉内雰囲気を窒素含有ガスに切り換え、支持治具を冷却しながらAlN単結晶を種結晶基板上に成長させ、最後に、支持治具を上昇させてAlN単結晶を種結晶基板とともに引き上げ、AlN単結晶を回収する。事前の準備として、AlN膜が生成する時の融液温度を把握しておく。
(1)AlN膜が生成する融液温度の把握
本発明では、融液(より具体的には窒素ガスを溶解する融液表層)温度は、窒素ガス雰囲気下でも融液表層にAlN膜が生成しない温度Tbに保持することが好ましい。実験や文献調査により種々検討した結果、AlN膜は融液温度が高いほど生成されにくく、AlN膜が生成する温度Taについては、融液中のAl量(モル濃度)に大きく依存することがわかった。
AlN膜が生成する温度Taは、次のようにして融液表層の状態を観察することによって求めることができる。
AlN単結晶を製造する場合と同様にルツボや融液原料を用意して、融液原料を加熱して溶解する。原料がすべて溶解するまでは、不活性ガス雰囲気とする。原料が溶解して所定の温度に保持した状態で、まだ窒素ガスを流していない段階で融液表層を観察すると、AlN膜はなく、金属光沢を呈している。ここで、雰囲気を不活性ガスから窒素ガスに切り替えると、融液温度が低い場合は、融液表層が金属光沢から曇って皮膜に覆われる。実験終了後、この融液を凝固冷却して、表層部を切り出して化学分析や機器分析をすると、表層皮膜がAlN膜であることを確認できる。雰囲気ガスを切り替える温度を変えて、融液表層の観察を行うことで、AlN膜が生成する温度範囲と生成しない温度範囲を把握できる。両者の境界温度からAlN膜が生成する温度Taを把握できる。さらに、融液のAl量を変えて同様にしてAlN膜が生成する温度Taを求めることができる。
また、融液を急冷することによってもTaを求めることができる。比較的小さいルツボの中に、融液原料を装入して、不活性ガス雰囲気で溶解した後、所定の温度で保持する。不活性ガスから窒素ガスに切り替えて所定時間保持した後、炉の加熱保持をやめて(電源を切って)ルツボを融液とともに急速に冷却・凝固させる。融液であった時の表層部からサンプルを切り出し、顕微鏡やSEM等で観察することにより皮膜の有無を確認できる。皮膜を化学分析や機器分析することでAlN膜であることを確認できる。融液温度や融液のAl量を変えて同様の実験を繰り返すことで、AlN膜が生成する温度Taを求めることができる。
熱力学データが豊富に揃っているFeを溶媒にする場合は、Fe−Al−N三元系において、窒素ガスがFe−Al融液に飽和していると考えて、AlNが生成する温度条件を算出することができる。この条件からAlN膜が生成し始める温度Taを推定することもできる。
遷移金属MにCuあるいはFeを用いた場合の結果を図3に示す。○で示すCu系融液の曲線は、上記の融液表層を観察する方法より求めた。●で示すFe系融液の曲線は熱力学データより算出する方法より求め、融液を急冷する方法でその結果の確認を行った。
これらの結果より、AlN膜は、融液温度が高いほど生成しにくく、Al量が多いほど融液温度を高くしても生成しやすいことがわかる。
このようにして、AlN単結晶を製造する前に、AlN膜が生成する温度Taを把握するのが好ましい。
(2)融液原料および種結晶基板の配置
先に述べた融液原料を個々にルツボ内に装入し、炉内の所定位置に配置する。融液原料は必要に応じて、あらかじめ窒素を含まないアルゴンやヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気下で溶解して混合させた後、冷却・凝固したものを適当な大きさに切断してもよい。種結晶基板は、あらかじめ十分洗浄を行い、炉内にある支持治具先端に取り付ける。
(3)炉内雰囲気の調整
炉内を密閉した後、炉内の空気を排出するために、炉内圧力が10−2〜10−4Pa(パスカル)になるまで減圧して排気する。排気後、実質的に窒素を含まない不活性ガスを供給し、炉内を不活性ガス雰囲気として、融液原料の加熱を開始する。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、またはその混合ガスを使用することが好ましく、最も好ましいのはアルゴンである。
AlおよびAl以外の溶媒(遷移金属MもしくはSi)のうち最もモル比の大きい元素(最大モル比元素)の溶解が終了するまでは、炉内雰囲気は不活性ガス雰囲気のままとする。その後、適当な時期に炉内雰囲気を不活性ガスから窒素含有ガスに切り替える。
窒素含有ガスは、望ましくは窒素ガスであるが、窒素ガスと他のガス(例、不活性ガス、アンモニアガス、水素ガスの1種または2種以上)との混合ガスであってもよい。雰囲気を窒素含有ガスに切り換えると、雰囲気中の窒素ガスが融液中に溶解して、融液はAlN溶液となる。以下では、窒素含有ガスを窒素ガスで代表させて説明する。
望ましくは、融液原料がすべて溶解して、種結晶基板を融液表層に接触させる所定の温度Tb(AlN膜が融液表層に生成する温度Taより高い)に保持されてから、上記不活性ガスから窒素ガスに切り替え、種結晶基板を融液表層に接触させる。種結晶基板を融液表層に接触させて後で窒素ガスに切り替えることもできる。
加熱初期から、或いはAl以外の溶媒が溶解する前から、窒素ガスを流してルツボ内を窒素ガス雰囲気にすると、融液原料のうち融点の低いAl(融点660℃)が最初に溶解し、その表層にAlN膜が多量に生成する。AlN膜の密度は一般に融液よりも小さいため、融液原料がすべて溶解した後、多量のAlN膜が融液表層に浮上し漂うことになる。
種結晶基板を融液表層に浸漬する所定の温度Tbになる前に窒素ガス雰囲気にすると、AlNが晶出する温度Taより融液温度が低い間は、融液表層にAlN膜が生成する。融液表層にAlN膜が存在すると、種結晶基板を上方から下降させて融液表層に接触(または浸漬)させるとき、種結晶基板表面にAlN膜が付着する。AlN膜は多結晶体であるため、AlN膜が付着した種結晶基板から成長するAlNは多結晶となり、目的のAlN単結晶が得られない。
融液表層にAlN膜が存在しても、AlNが晶出する温度Taより高い、種結晶基板を融液表層に浸漬する所定温度Tbで、融液を保持すればAlN膜は徐々に溶解してやがては消失させることができる。しかし、多量のAlN膜が存在すると、消失させるためには長時間を要し、この間に融液が蒸発し、あるいはルツボの不可避的溶損が進行する。そのため、雰囲気ガスの切り換えは、早くても最大モル比元素の溶解が終了した後に行う。
上記(2)で述べた、予め融液原料を溶解して混合させた場合も、炉内雰囲気調整は同様に実施すればよい。
本発明では、AlN単結晶の窒素源は、雰囲気ガスに含まれる窒素ガスを融液中に溶解させた窒素である。雰囲気ガスは、窒素ガスと、窒素ガスと他のガスとの混合ガスのいずれでもよい。混合ガスを用いる場合、他のガスがアンモニア以外のガスである場合には、混合ガス中の窒素ガスの含有量を50%以上とすることが好ましい。他のガスがアンモニアガスである場合には、アンモニアガスは炉内の高温で窒素ガスと水素ガスとに分解するので、窒素ガスの含有量は35%程度まで少なくしてもよい。
窒素ガスは、AlN等の窒化物を窒素源とする場合より安価であり、かつ不純物も非常に少ない。窒素純度99.9999%以上で、不純物である酸素は0.1ppm未満の窒素ガスが容易に入手できる。このため、融液中にアルミナが生成することなく、種結晶基板上安定してAlN単結晶が成長できる。
(4)融液原料の溶解と温度保持
炉内雰囲気を不活性ガス雰囲気にして、炉の電源を入れて、ルツボおよび融液原料を加熱して、融液原料を溶解させる。溶媒に用いる遷移金属MやSiは、Alより融点が高いため、最初にAl原料が溶解し、次に、遷移金属あるいはSiが溶解する。原料中モル比で最大の最大モル比元素、好ましくは全ての融液原料、が完全に溶解して所定の温度になったら、上記で述べたように雰囲気を不活性ガスから窒素ガスに切り替える。それにより、融液と接した雰囲気中の窒素ガスが融液に溶解する。窒素を融液中に十分溶解させてAlN溶液を形成し、融液中のAlN濃度を飽和濃度に近づけるために、所定の温度でそのまま保持する。保持時間は、融液の温度、量、成分等により異なるが5分から2時間である。
種結晶基板を融液表層に接触させてから、不活性ガスを窒素ガスに切り替える場合は、保持時間を設ける必要はない。この場合、窒素ガスが融液に溶けて融液中の窒素量が増えてから、種結晶基板上にAlN単結晶が生成するため、種結晶基板を融液表層と接触させてしばらくは、その成長が遅い。この遅い成長時間の部分は、上記の保持時間と同じ程度にAlN単結晶の成長時間を長くすれば、取り戻すことができるので問題はない。
融液は、種結晶基板周囲を除いたその他の全体が均一の温度になるのが好ましい。ただ、現実には全く同じ温度にはならないので、温度差ができる場合には融液表層が最も低くなるように、ルツボの材質や形状、加熱コイルの形状や位置、ルツボ周囲の断熱材の形状や位置等を調整するのが好ましい。融液表層よりも他の部分の融液温度が低くすると、その低い温度の部分でAlNが晶出する可能性があるためである。
融液の温度は、予め求めたAlN膜が生成する温度Taよりも高い温度Tbになるように、炉の出力を調整し、融液表層にAlN膜が生成しないように、かつその他の部分の融液にもAlNが生成しないようにする。
融液温度Tbは、Taより1℃〜100℃高くするのが好ましい。Taとの差が1℃より小さいと、Taとの差がほとんどなくなるので、融液表層にAlN膜が生成する場合がある。Taとの差が100℃より大きくなると、融液温度が高くなりすぎて、ルツボの不可避的な溶損や融液の蒸発等の問題が大きくなる。
融液表層の温度は、熱電対や放射温度計で測定する。これらで測定した温度が所定の温度になるように炉の出力を制御する。AlN単結晶を製造する際に融液表層の温度を直接測定できない場合は、予め同じ条件で、炉の出力を制御するために測定している温度、例えば、ルツボ外側の底中心や側面の温度(制御温度)と融液表層の温度を共に測定して、両者の関係を把握しておく。AlN単結晶製造時は、融液表層が所定温度になるように、制御温度の目標値を決めて、その制御温度になるように炉の出力を制御する。また、予め、伝熱解析により制御温度と融液表層の温度の関係を把握してもよい。
(5)種結晶基板を融液に浸漬
窒素ガス雰囲気下でも、融液表層にAlN膜が生成せず、かつ融液中にAlNが生成しない温度Tbで、種結晶基板を融液表層に接触させるか、あるいは、種結晶基板を融液表層に接触させてから、雰囲気を不活性ガスから窒素ガスに切り替える。
上記(3)の雰囲気に関して述べたようにガスの切り替えを行い、融液表層にAlN膜や浮上してきたAlN結晶が存在しない状態で、支持治具を下降させて種結晶基板を融液表層に接触させる。
それにより、種結晶基板の表面にAlN膜や浮上してくるAlN結晶が付着することがなく、種結晶基板の表面が良好のまま、AlN単結晶を成長させることができる。このため、得られるAlN単結晶は、多結晶体になることもなく、欠陥のない良好な品質のものが得られる。
(6)AlN単結晶の成長
種結晶基板が融液表層と接触してから、あるいは接触させる前から、支持治具を冷却する。支持治具の冷却により、種結晶基板周囲の融液表層温度が下がるため、種結晶基板にAlN単結晶が成長し始める。すなわち、Taより高い温度に維持された融液表層で窒素ガスが溶解して、融液中に窒素が溶け込む。溶け込んだ窒素は、融液の熱対流や支持治具の回転等によって融液全体に運ばれ、やがて種結晶基板との界面に到達する。
種結晶基板は支持治具の冷却によって冷却されているため、種結晶基板周囲の融液温度は低くなり、窒素が過飽和状態となって種結晶基板上に晶出し、AlN単結晶ができる。該AlN単結晶は種結晶基板によって冷却され、周囲の融液も引き続き冷却される。さらに、融液中の窒素は、融液表層から連続的に種結晶基板周囲に運ばれてくるので、該AlN単結晶にはさらにAlNが晶出してAlN単結晶が成長する。このようにして、連続的に種結晶基板上にAlN単結晶が成長して厚くなっていく。
種結晶基板周囲の融液の温度Tcは、温度Tbより1℃以上、100℃以下低くすることが好ましい。1℃以上低くするのは、種結晶基板上にAlN単結晶を晶出させて成長させるためである。Tbとの差(Tb−Tc)が1℃未満では種結晶基板上にAlN単結晶が安定して晶出しない。Tbとの差が100℃より大きくなると、種結晶基板周囲の融液の温度が低くなりすぎて、融液中の窒素が種結晶基板に到達するまでに窒素が過飽和状態になり、AlNが晶出する可能性がある。このため、融液の窒素は種結晶基板まであまり到達できず種結晶基板上にAlN単結晶が安定してできなくなる。また、融液中で晶出したAlN結晶は浮上して、種結晶基板上に付着する場合もあり、さらに種結晶基板上からAlN単結晶が成長するのを妨げる。
種結晶基板上からAlN単結晶を成長させる場合は、融液表層の温度が所定の温度に保たれるように、炉の出力制御を行う。
支持治具は、AlN単結晶の成長にあわせて種結晶基板とともにゆっくりと引き上げてもよい。AlN単結晶の成長にともない、AlN単結晶が晶出する位置は下方に、すなわち融液表層から融液内部へ移っていく。このため、AlN単結晶が晶出している界面付近の融液温度が高くなる可能性がある。このため、AlN単結晶が晶出している位置を常に融液表層に維持するために、支持治具をゆっくりと引き上げるのが好ましい。引き上げる速度は、AlN単結晶の成長速度とほぼ同じであり、0.01〜0.5mm/時間程度である。このようにして、所望の厚さのAlN単結晶に成長するまで、運転を継続する。
(7)AlN単結晶の引き上げ
所望のAlN単結晶材が得られたら、最後に支持治具をゆっくり上昇させて、AlN単結晶材を融液表層から離して引き上げを止める。その後、炉の出力を徐々に下げて、ゆっくりAlN単結晶材や融液を冷却する。室温まで下がったら、種結晶基板の付いたAlN単結晶材を支持治具から取り外す。
AlN単結晶材を冷却する前に融液から切り離しているため、AlN単結晶材は割れることなく容易に得ることができる。
3.AlN単結晶基板
以上の方法により得られたAlN単結晶材は、所定のサイズに薄く切断し、研磨することでAlN単結晶基板となる。
得られたAlN単結晶基板は、半導体レーザや発光ダイオードに適した半導体基板となる。この単結晶基板を放熱体として用いれば、放熱特性の良くないレーザの放熱性を高めることができ、レーザの閾値電流の上昇を抑制し、高光出力化を実現することができる。
次に、実施例と比較例によって本発明を説明するが、本発明は、この実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
内径80mm、深さ140mm、厚さ10mmの黒鉛製ルツボに、内径68mm、深さ50mm、厚さ5mmのアルミナ製の内側ルツボを挿入し、内側ルツボ内に融液原料を投入した。融液原料は、Cu−50mol%Si−5mol%Al−0.1mol%Cとなるように秤量した。従って、融液原料の最大モル比元素はSiである。種結晶基板として20mmx20mm、厚さ0.3mmの6H−SiCを支持治具先端に設置した。これらのルツボや支持治具を炉内に設置した。
炉内を1×10−2Pa以下の圧力に排気した後、アルゴンガスを大気圧になるまで供給した。次いで、高周波コイルに電流を流し、ルツボ中の融液原料を溶解した。約1250℃で原料はほぼ溶解した。その後さらに温度を上げて、融液温度を1645℃に保持した。ここで、雰囲気をアルゴンガスから窒素ガスに切り替えたが、融液温度Tb(1645℃)が、AlN膜が生成する温度Ta=1575℃より高いため、融液表面にはAlN膜は生成しなかった。
種結晶基板を先端に取り付けた支持治具をゆっくり下降させて、種結晶基板を融液表面に浸漬させ、そのままの位置で保持した。同時に、支持治具内に窒素ガスを20L/minで流して冷却を行った。支持治具先端の温度は56℃だけ低下した。従って、種結晶基板周囲の融液温度Tcは1589℃となった。この状態を保ちながら種結晶基板上にAlN単結晶を成長させ、3時間後に支持治具を融液から引き上げ、炉内の温度を下げて室温にし、融液が付着した種結晶基板を回収した。種結晶基板を厚さ方向に切断後、その断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、種結晶基板の表面に厚さ50μmのAlN単結晶が成長していた。
(実施例2)
実施例1と同様のルツボに、融液原料としてCu−30mol%Si−10mol%Al−0.1mol%Cを投入した。従って、融液原料の最大モル比元素はCuである。種結晶基板として20mmx20mm、厚さ0.3mmの6H−SiCを支持治具先端に設置した。これらのルツボや支持治具を炉内に設置した。
実施例1と同様に、炉内をアルゴン雰囲気にした後、融液原料を溶解して融液温度Tbを1770℃に保持した。種結晶基板を先端に取り付けた支持治具をゆっくり下降させて、種結晶基板を融液表面に浸漬させ、そのままの位置で保持した。種結晶基板が融液に浸漬するのを確認してから、アルゴンガスから窒素ガスに切り替えた。融液温度Tbが、AlN膜が生成する温度Ta=1670℃より高いため、融液表面にはAlN膜は生成しなかった。
その後、支持治具内に窒素ガスを20L/minで流して冷却を行った。支持治具先端の温度は、63℃だけ低下した。従って、種結晶基板周囲の融液温度Tcは1707℃であり、Tbより低い温度であった。この状態を保ちながら種結晶基板上にAlN単結晶を成長させ、3時間後に支持治具を引き上げ、炉内の温度を下げて室温にし、融液が付着した種結晶基板を回収した。種結晶基板を厚さ方向に切断後、その断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、種結晶基板の表面に厚さ15μmのAlN単結晶が成長していた。
(実施例3)
実施例1と同様のルツボに、融液原料としてFe−6mol%Alを投入した。融液原料の最大モル比元素はFeである。種結晶基板として20mmx20mm、厚さ0.35mmのサファイアを支持治具先端に設置した。これらのルツボや支持治具を炉内に設置した。
実施例1と同様に、炉内をアルゴン雰囲気にした後、融液原料を溶解して融液温度Tbを1685℃に保持した。ここで、アルゴンガスから窒素ガスに切り替えたが、融液温度Tbが、AlN膜が生成する温度Ta=1670℃より高いため、融液表面にはAlN膜は生成しなかった。
その後、種結晶基板を先端に取り付けた支持治具をゆっくり下降させて、種結晶基板を融液表面に浸漬させ、そのままの位置で保持した。同時に、支持治具内に窒素ガスを20L/minで流して冷却を行った。支持治具先端の温度は12℃だけ低下した。従って、種結晶基板周囲の融液温度Tcは1673℃であり、Tbより低い温度であった。
この状態を保ちながら種結晶基板上にAlN単結晶を成長させ、3時間後に支持治具を引き上げ、炉内の温度を下げて室温にし、融液が付着した種結晶基板を回収した。種結晶基板を厚さ方向に切断後、その断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、種結晶基板の表面に厚さ10μmのAlN単結晶が成長していた。
(比較例1)
実施例1と同様のルツボに、融液原料としてCu−30mol%Si−15mol%Al−0.1mol%Cを投入した。融液原料の最大モル比元素はCuである。種結晶基板として20mmx20mm、厚さ0.3mmの6H−SiCを支持治具先端に設置した。これらのルツボや支持治具を炉内に設置した。
炉内を窒素雰囲気にした後、融液原料を溶解して、融液温度を1770℃に保持した。原料の溶解開始直後から融液表面にAlN膜が生成し始め、融液形成時にはその全面がAlN膜で覆われた。種結晶基板を先端に取り付けた支持治具をゆっくり下降させて、種結晶基板を融液表面に浸漬させ、そのままの位置で保持した。この時の融液温度Tb(1770℃)は、AlN膜が生成する温度Ta=1740℃より高かったが、1時間保持してもAlN膜が消失することはなかった。
その後、支持治具内に窒素ガスを20L/minで流して冷却を行った。支持治具先端の温度は63℃低下した。従って、種結晶基板周囲の融液温度Tcは1707℃であり、Tbより低い温度となった。
この状態を保ちながら種結晶基板上にAlN単結晶を成長させ、3時間後に支持治具を引き上げ、炉内の温度を下げて室温にし、融液が付着した種結晶基板を回収した。
種結晶基板を切断後、その断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、種結晶基板の表面にはAlN単結晶は生成していなかった。種結晶基板周囲の融液中には多数のAlN結晶が分散しており、表面で生成したAlN皮膜が巻き込まれたものと考える。
(比較例2)
実施例3と同様のルツボに、融液原料としてFe−10mol%Alを投入した。融液原料の最大モル比元素はFeである。種結晶基板として20mmx20mm、厚さ0.35mmのサファイアを支持治具先端に設置した。これらのルツボや支持治具を炉内に設置した。
炉内を窒素雰囲気にした後、融液原料を溶解して、融液温度を1740℃に保持した。原料の溶解開始直後から融液表面にAlN膜が生成し始め、融液形成時にはその全面がAlN膜で覆われた。融液温度Tb(1740℃)は、AlN膜が生成する温度Ta=1700℃程度より高かったが、1時間程度保持してもAlN膜は消失しなかった。
その後、種結晶基板を先端に取り付けた支持治具をゆっくり下降させて、種結晶基板を融液表面に浸漬させ、そのままの位置で保持した。この状態を保ちながら種結晶基板上にAlN単結晶を成長させ、3時間後に支持治具を引き上げ、炉内の温度を下げて室温にし、融液が付着した種結晶基板を回収した。
種結晶基板を切断後、その断面を研磨して顕微鏡で観察したところ、種結晶基板の表面にはAlN単結晶は生成していなかった。代わりに、数十μmの厚さでAlN結晶が多数付着していた。融液表面に生成したAlN皮膜が種結晶基板表面に付着したためであると考えられる。
以上からわかるように、実施例では、融液原料が溶解して融液が形成されるまでは不活性ガス雰囲気として、その後に雰囲気を窒素ガスに切り換えてAlN成長を行った。それにより、融液表面にAlN膜が生成せず、容易に窒素が融液に溶解し、種結晶基板表面にAlN単結晶を安定して連続成長させることができた。
比較例では、最初から雰囲気が窒素ガス雰囲気であったため、融液が形成される過程でAlの窒化反応が進み、融液表面に多量の多結晶状態のAlN皮膜が生成した。そのため種結晶浸漬時に種結晶表面にこのAlN皮膜が付着し、SiCへのAlNのエピタキシャル成長が阻害されたのである。
以上に本発明を好適態様について説明したが、本発明の範囲内で上記態様を変更することも可能である。例えば、追加の窒素源として窒化物を融液中に投入したり、るつぼ自体を窒化物とすることができる。実施例では、不活性ガス雰囲気で所定の融液温度まで加熱し温度保持した後、雰囲気ガスを窒素ガスに切り換え、種結晶基板を融液と接触させたが、種結晶基板の接触は雰囲気ガスを窒素ガスに切り換える前に行ってもよい。
また、最大モル比元素が完全に溶解した後、融液全体はまだ完全に融解しない前に雰囲気を窒素ガスに切り換えることができる。その場合でも、融液表層のAlN膜の形成を防止することができる。その後、加熱を続けて融液が生成し、Taより高い所定の温度に達した、種結晶基板を融液と接触させる。
温度勾配は、種結晶基板の支持治具に冷却構造を組み込むことで、基板周囲が低温になるような温度勾配を融液表層に形成するように説明した。それに代えてもしくは加えて、加熱手段の制御により融液の垂直方向に温度勾配(表層が下側より低温)を形成することもできる。融液に垂直方向の温度勾配がある場合には、前記温度Tbは表層の融液温度とする。
本発明のAlN単結晶の製造に使用できる単結晶製造装置の概略断面図。 種結晶基板を先端に保持する支持治具の冷却構造の一例を示す概略断面図。 融液表層にAlN膜が生成する温度と融液に含まれるAl量の関係の例を示すグラフ。

Claims (5)

  1. Alを含む融液原料を加熱融解させて融液とし、この融液中に窒素を溶解させてAlN溶液を形成し、AlN単結晶成長用の種結晶基板を融液表層と接触させて種結晶基板上にAlN単結晶を成長させるAlN単結晶の製造方法において、
    融液原料の加熱融解中、融液原料の中で最もモル比の高い元素の融解が終了するまでは雰囲気を不活性ガスとし、その後に雰囲気を窒素含有ガスに切り換えて、種結晶基板上にAlN単結晶を成長させることを特徴とする、AlN単結晶の製造方法。
  2. 不活性ガスから窒素含有ガスへの雰囲気ガスの切り換えを、融液原料の融解後で、かつ形成された融液表層の温度Tbが、融液表層にAlN膜が生成する温度Taより高くなった後で行う、請求項1記載のAlN単結晶の製造方法。
  3. 前記雰囲気ガスの切り換え時の温度Tbが、温度Taより1℃以上、100℃以下高い、請求項2記載のAlN単結晶の製造方法。
  4. 前記融液が遷移金属Mを1種以上含み、融液中のAl含有量が1mol%以上、30mol%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶基板がSiC単結晶であり、前記融液がさらにSiとCを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
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