JP6362555B2 - 窒化アルミニウム結晶の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6362555B2
JP6362555B2 JP2015034678A JP2015034678A JP6362555B2 JP 6362555 B2 JP6362555 B2 JP 6362555B2 JP 2015034678 A JP2015034678 A JP 2015034678A JP 2015034678 A JP2015034678 A JP 2015034678A JP 6362555 B2 JP6362555 B2 JP 6362555B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
nitrogen
aluminum nitride
liquid
crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015034678A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016155711A (ja
Inventor
福山 博之
博之 福山
正芳 安達
正芳 安達
杉山 正史
正史 杉山
飯田 潤二
潤二 飯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Tohoku University NUC
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2015034678A priority Critical patent/JP6362555B2/ja
Publication of JP2016155711A publication Critical patent/JP2016155711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6362555B2 publication Critical patent/JP6362555B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、液相成長法(LPE)によりAlNをエピタキシャル成長させる窒化アルミニウム結晶の製造方法に関する。
紫外発光素子は、蛍光灯の代替、高密度DVD、生化学用レーザ、光触媒による公害物質の分解、He−Cdレーザ、水銀灯の代替等、次世代の光源として幅広く注目されている。この紫外発光素子は、ワイドギャップ半導体と呼ばれるAlGaN系窒化物半導体からなり、表1に示すようなサファイア、4H−SiC、GaN、AlN等の異種基板上に積層される。
しかしながら、サファイアは、AlGaNとの格子不整合が大きいため、多数の貫通転位が存在してしまい、非発光再結合中心となって内部量子効率を著しく低下させてしまう。また、4H−SiC及びGaNは、格子整合性は高いが、高価である。また、4H−SiC及びGaNは、それぞれ波長380nm以下及び365nm以下の紫外線を吸収してしまう。
これに対して、AlNは、AlGaNと格子定数が近く、200nmの紫外領域まで透明であるため、発光した紫外線を吸収することなく、紫外光を効率よく外部へ取り出すことができる。つまり、紫外光発光素子を作製する場合には、AlN単結晶を基板として用いてAlGaN系発光素子を準ホモエピタキシャル成長させることにより、結晶の欠陥密度を低く抑えた紫外光発光素子を作製することができる。
現在、AlNのバルク単結晶の作製は、HVPE法(ハイドライド気相成長法)、液相成長法、昇華再結晶法等の方法により試行されている。例えば、特許文献1には、III族窒化物結晶の液相成長法において、フラックスへの窒素の溶解量を増加させるために圧力を印加し、ナトリウム等のアルカリ金属をフラックスに添加することが開示されている。また、特許文献2には、Al融液に窒素原子を含有するガスを注入して、AlN微結晶を製造する方法が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1、2の技術を用いてAlN結晶を製造する場合には、高い成長温度が必要となり、コスト及び結晶品質に関して満足するものが得られない。
これに対し、本願発明者らの一部は、このような問題に応えるものとして、液相成長法におけるフラックスとしてGa−Al合金融液を用いることにより、低温でのAlNの結晶成長が可能であり、基板表面の結晶性を引き継ぎかつAl極性を有する良好なAlN結晶が得られることを見出した(例えば、特許文献3参照。)。
具体的に、特許文献3では、Ga−Al合金融液中の種結晶基板(以下、シード基板という)上にAlN結晶をエピタキシャル成長させるにあたり、シード基板として窒化サファイア基板を用いる。特許文献3に記載の方法は、Ga−Al合金融液にN原子を含有するガスを、ガス導入管を通して導入し、Ga−Al合金融液内に窒素含有ガスを溶存させ、そのGa−Al合金融液にシード基板を浸漬させる。これにより、特許文献3に記載の方法では、窒化サファイア基板表面に形成された窒素極性の窒化アルミニウム膜上に、表面の良好な結晶性を引き継いだAl極性の窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させることができる。
特許文献3に記載されている窒化アルミニウム結晶の製造装置は、シード基板より下側から窒素含有ガスを供給して、Ga−Al合金融液内を循環させてAlN結晶を育成するものである。このような装置による窒化アルミニウム結晶の製造方法では、液相成長させる際、Ga−Al合金融液内に供給した窒素含有ガスのほとんどが上方に抜けてしまい、シード基板に十分に窒素を供給することができない場合がある。
なぜなら、図5に示す従来の窒化アルミニウム結晶の製造装置100は、坩堝101内のGa−Al合金融液102中に、ガス導入管103の供給口103a側に設けた保持プレート104を浸漬させ、シード基板105が上側を向くように保持プレート104が保持している。この窒化アルミニウム結晶の製造装置100では、下側から窒素含有ガスがGa―Al合金融液102内を回って、シード基板105に窒素含有ガスが供給されるようになっている。しかしながら、窒化アルミニウム結晶の製造装置100では、窒素含有ガスが上へ抜けてしまい、シード基板105に十分に窒素が供給されず、AlN結晶膜の成長速度が不十分となる。
また、図6に示す従来の窒化アルミニウム結晶の製造装置200は、坩堝201内のGa―Al合金融液202中に、ガス導入管203の供給口203a側に設けた保持プレート204を浸漬させ、シード基板205が下側を向くように保持プレート204を逆さにして設けている。このため、この窒化アルミニウム結晶の製造装置200では、シード基板205に窒素含有ガスが直接供給されるようになる。しかしながら、このような窒化アルミニウム結晶の製造装置200では、AlN結晶の成長が得られるが、窒素含有ガスがシード基板205に直に接触するため、その結果、AlN結晶膜表面が急峻な凹凸を持ち、表面平坦性の悪い結晶膜となる。
このため、本願出願人が出願した特願2014−069918号の明細書(便宜的に、特許文献4とする。)では、図2(A)に示すようにGa−Al合金融液にN原子を含有するガスを供給する供給口と対向する位置にシード基板を配置し、供給口とシード基板との間のGa−Al合金融液にガスを一時的に滞留させてシード基板上に窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させることにより、従来よりも膜厚の厚い窒化アルミニウム結晶膜を成長することが可能となることを示した。
しかしながら、特許文献4の方法では、得られたAlN結晶膜表面に雑晶(微結晶)が強固に付着し、このAlN結晶膜上にさらにAlGaN系半導体膜をエピタキシャル成長させるための表面加工が難しくなってしまうという問題があった。
特開2004−224600号公報 特開平11−189498号公報 国際公開第2012/008545号
本発明は、Ga−Al合金融液を用いてシード基板上にAlN結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法において、シード基板上に成長したAlN結晶膜表面に雑晶が付着しない窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するための本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Ga−Al合金融液中の保持治具に保持された種結晶基板上に窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法による製造方法において、保持治具は、窒素含有ガスを供給するガス導入管に固定される固定プレートと、固定プレートと対向して設けられ、種結晶基板をガス導入管側に保持する保持プレートと、固定プレートと保持プレートとの間に介在する支柱とを有し、固定プレートと保持プレートと支柱とによって囲まれた空間内のGa−Al合金融液に窒素含有ガスを滞留させることができ、種結晶基板の上面の対向する位置から窒素含有ガスを供給し、種結晶基板を保持する保持治具により窒素含有ガスを一時的に滞留させながら窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させ、窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させた後の基板の冷却をGa−Al合金融液中で行う。
または、Ga−Al合金融液中での基板の冷却をGa−Al合金融液の温度が700〜800℃に低下するまで行い、その後、Ga−Al合金融液から基板を引き上げて室温まで冷却してもよい。
本発明によれば、結晶膜表面への雑晶の付着がなく、表面状態が良好で、かつ、良好な結晶性を有するAlN結晶膜をシード基板全面に成長することが可能になる。
したがって、本発明により得られる良好な結晶性を有するAlN結晶を備えた基板を用いることにより、この基板上に転位密度の低いAlGaN系半導体膜をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等によりエピタキシャル成長させることが可能となり、AlGaN系半導体膜で構成される半導体素子の高性能化が図れる。
AlN結晶製造装置の構成例を示す図である。 (A)は、AlN結晶製造装置における保持治具が固定されたガス導入管の先端側の一部拡大図である(実施例1)。(B)は、AlN結晶製造装置において、保持プレートの外周部に堰を有する保持治具が固定されたガス導入管の先端側の一部拡大図である(実施例2)。 AlN結晶成長後の基板の冷却を融液中で行うことにより得られる基板の表面を示すSEM観察写真である(実施例1)。 AlN結晶成長後に、基板を融液から引き上げた後に冷却を行うことにより得られる基板の表面を示すSEM観察写真である(比較例)。 従来のAlN結晶製造装置の構成例を示す図である。 従来のAlN結晶製造装置の構成例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態における窒化アルミニウム結晶の製造方法について、以下の順序に沿って図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1.窒化アルミニウム結晶の製造装置
2.窒化アルミニウム結晶の製造方法
<1.窒化アルミニウム結晶の製造装置>
先ず、本発明の一実施形態に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法において用いられる窒化アルミニウム結晶の製造装置の構成例について説明する。
図1は、窒化アルミニウム結晶の製造装置1(以下、AlN結晶製造装置1という)の構成例を示す図である。AlN結晶製造装置1は、ガス導入管2と、坩堝3と、坩堝3内に配置される種結晶基板4(以下、シード基板4という)と、シード基板4を保持する保持治具5と、Ga−Al合金融液6を加熱するヒータ7と、ガス排出管8と、熱電対9とを備える。
ガス導入管2は、坩堝3内のGa−Al合金融液6にN原子を含有するガス(以下、窒素含有ガスという。)を供給するものである。ガス導入管2は、管部2aの後端から送り込まれた窒素含有ガスを、先端側に設けられ、Ga−Al合金融液6に窒素含有ガスを供給する供給口2bから排出する。AlN結晶製造装置1では、Ga−Al合金融液6にガス導入管2から窒素含有ガスを供給することでバブリングすることができる。
また、ガス導入管2は、Ga−Al合金融液6に窒素含有ガスを供給するだけではなく、保持治具5がGa−Al合金融液6内で浮いたり、動いたりしないように保持治具5を保持する役割も有している。ガス導入管2は、管部2aの先端側に、管部2aの断面よりも広い断面を有し、例えば円盤状の保持部2cを有する。保持部2cには、上面に保持治具5の固定プレート22が置かれ、後述するようにボルト10とナット11とにより保持治具5が一体となるように固定されている。
坩堝3は、耐高温性のものが用いられ、例えばアルミナ、ジルコニア等のセラミックを用いることができる。
シード基板4は、AlN結晶と格子不整合率が小さい格子整合基板であり、例えば、AlN薄膜を表面に形成した窒化サファイア基板、SiC基板、GaN基板等が用いられる。AlN結晶製造装置1では、この中でも窒化サファイア基板を用いることにより、表面の良好な結晶性を引き継いだ窒化アルミニウム結晶(AlN結晶)をホモエピタキシャル成長させることができる。
窒化サファイア基板は、例えば、特開2005−104829号公報、特開2006−213586号公報、特開2007−39292号公報等に開示されている方法により得ることができる。具体的には、例えばc面サファイア基板を窒素分圧0.9atm/CO分圧0.1atm、温度1500℃で1時間保持した後、窒素分圧1.0atmで5時間保持することにより、AlN薄膜の結晶性に優れた窒化サファイア基板を得ることができる。この窒化サファイア基板は、表面のAlN膜がc軸配向単結晶膜である。
AlN結晶製造装置1では、後述するようにシード基板4を保持プレート23の上面に配置し、窒素含有ガスが供給されるガス導入管2の供給口2bと対向させる。シード基板4は、保持治具5内で窒素含有ガスが滞留するため、窒素含有ガスが溶存したGa−Al合金融液6と表面が接するようになる。これにより、比較的膜厚の厚いAlN結晶膜を得ることができる。
また、シード基板4に窒化サファイア基板を用いる場合は、予め900℃以上1500℃以下の温度で窒化サファイア基板のアニール処理を行うことが望ましい。シード基板4は、窒化サファイア基板にアニール処理を行うことで、AlN薄膜に回転ドメインが存在した場合であっても、ドメインの再配列が促され、c軸配向したシングルドメインとなる。
シード基板4を保持する保持治具5は、ガス導入管2の先端に設けられ、供給口2bを囲むようにガス導入管2に取り付けられている。保持治具5は、供給口2bとシード基板4との間のGa−Al合金融液6に窒素含有ガスを一時的に滞留させるガス滞留部21を形成するものである。
保持治具5は、ガス導入管2の先端に固定される固定プレート22と、固定プレート22に対向して設けられ、シード基板4を押さえ部材27を介して保持する保持プレート23と、固定プレート22と保持プレート23との間に介在する支柱24とを有する。保持治具5は、固定プレート22と保持プレート23との間に支柱24を介在させ、固定プレート22、保持プレート23及び支柱24にボルト25を通し、ボルト25とナット26によって、固定プレート22と保持プレート23と支柱24が図2(A)に示すように組み合わされてなる。
保持治具5は、固定プレート22と保持プレート23と支柱24とによって囲まれた空間内のGa−Al合金融液6に窒素含有ガスを滞留させる。保持治具5は、支柱24間が開いているため、窒素含有ガスが内部でこもることなく、一時的に滞留した後、排出され、新たな窒素含有ガスが内部に供給される。
また、保持プレート23の外周部には、図2(B)に示すように、支柱24よりも高さの低い堰28を設けることができる。保持プレート23の外周部に堰28を設けることにより、Ga−Al合金融液からなるフラックスから保持治具5を引き上げた後もシード基板4がGa−Al合金融液6に浸漬された状態となるようすることができる。
保持治具5は、耐高温性のものが用いられ、例えばアルミナ、ジルコニア等のセラミックを用いることができる。
AlN結晶製造装置1では、シード基板4上にAlN結晶をエピタキシャル成長させる上で、窒素含有ガスとシード基板4の間に常にGa−Al合金融液6が存在しなければ、AlN結晶を安定して形成することができない。このため、保持治具5では、窒素含有ガスとシード基板4との間にGa−Al合金融液6が存在し、かつそのGa−Al合金融液6中に窒素含有ガスが溶解しているように、供給口2bとシード基板4との距離を調整する。この保持治具5では、支柱24の長さ及びボルト25の長さを変更することで、供給口2bとシード基板4との距離を適宜調整することができる。
供給口2bとシード基板4との距離は、5mmより大きく、20mm未満であることが好ましい。供給口2bとシード基板4との距離を5mmより大きく、20mm未満とすることで、窒素含有ガスが溶存したGa−Al合金融液6をシード基板4に確実に接触させることができる。供給口2bとシード基板4との距離が5mm以下の場合には、供給口2bとシード基板4との距離が近すぎるため、シード基板4が窒素含有ガスで覆われてしまい、AlN結晶表面の平坦性が悪くなってしまう。一方、供給口2bとシード基板4との距離が20mm以上の場合には、窒素含有ガスが十分に供給されず、AlN結晶膜の成長速度が不十分となってしまう。
Ga−Al合金融液6は、GaとAlとのモル比率が99:1〜1:99の範囲のものを用いることができる。Ga−Al合金融液6としては、この中でも、低温成長及び結晶性の観点から、GaとAlとのモル比率が98:2〜40:60の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは98:2〜50:50の範囲のものである。
窒素含有ガスとしては、N、NH等を用いることができるが、安全性の観点からNを用いることが好ましい。また、窒素含有ガスの圧力は、通常0.01MPa以上1MPa以下である。
<2.窒化アルミニウム結晶の製造方法>
続いて、窒化アルミニウム結晶(AlN結晶)の製造方法について説明する。上述したようなAlN結晶製造装置1において、先ず、保持部2cに保持治具5の固定プレート22を取り付け、保持プレート23に押さえ部材27を介してシード基板4をセットし、支柱24、ボルト25、ナット26を用いて保持治具5を組み立て、先端に保持治具5が固定されたガス導入管2をGa−Al合金融液6上に待機させる。
次に、窒素ガス、アルゴンガス等の雰囲気中でGa−Al合金融液6の昇温を開始し、Alの融点に達した後、供給口2bから窒素含有ガスを供給させつつGa−Al合金融液6中に保持治具5を浸漬する。
そして、坩堝3内のGa−Al合金融液6の温度をヒータ7で更に昇温させ、1000℃以上1500℃以下の目標温度に保持した状態で保持治具5内のGa−Al合金融液6に窒素含有ガスを一時的に滞留させて、シード基板4上にAlN結晶を生成させる。なお、浸漬するタイミングは、目標温度に達してからでも良い。
また、シード基板4に窒化サファイア基板を用いる場合には、ガス導入管2に固定した保持治具5に取り付けた窒化サファイア基板をGa−Al合金融液6中に浸漬する直前に、Ga−Al合金融液6の直上で保持することで、窒化サファイア基板のアニール処理をAlN結晶製造装置1内で行うことができる。アニール処理時のシード基板温度は、窒化サファイア基板がGa−Al合金融液6の直上で保持されているため、Ga−Al合金融液6の温度と同等になる。
シード基板4上にAlN結晶を生成させる際のGa−Al合金融液6の温度は、1000℃以上とすることが好ましい。これにより、注入された窒素とGa−Al合金融液6中のガリウム及びアルミニウムのそれぞれとが化合して生成されたGaN及びAlNの微結晶のうち、GaN微結晶が解離し、ガリウムと窒素に分解するため、AlN結晶成長の阻害を防ぐことができる。なお、AlN結晶の融点は2000℃以上であり、1500℃以下では安定である。
また、AlN結晶は、1気圧の常圧条件でも成長させることができ、窒素の溶解度が小さい場合には加圧してもよい。
そして、所定時間が経過した後、冷却工程に入る。この際、供給口2bからの窒素含有ガスの供給は停止しても、停止しなくてもどちらでもよい。
ここで、本実施の形態に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法においては、シード基板4をGa−Al合金融液6に浸漬したまま徐冷を行う。そして、冷却が進み、Ga−Al合金融液6が固化する温度に達する前にシード基板4(すなわち、保持治具5)をGa−Al合金融液6から引き上げる。その温度は700〜800℃が好ましい。
あるいは、保持治具5の構造を工夫して、例えば、保持プレート23の外周部に堰28を設けてGa−Al合金融液6から引き上げた後も保持プレート23上に融液が溜まる構造とし、シード基板4が融液に浸漬された状態となるようにして徐冷を行ってもよい。すなわち、所定時間の結晶成長工程後に、窒素含有ガスの供給を停止すると同時に、上述のような構造を持った保持治具に取り付けられたシード基板をGa−Al合金融液6から引き上げて室温まで冷却する。
冷却固化により保持プレート上、及びシード基板上に堆積したGa−Al合金は、塩酸水溶液等の薬品で除去可能である。あるいは、Ga−Al合金は典型的な共晶合金であり、熱風加温により融点の低いGa成分が溶融し、合金がシャーベット状になるため比較的容易に除去可能である。
以上のようにして冷却を行うことにより、表面に雑晶(微結晶)の付着が見られず、表面状態の良好なAlN結晶膜をシード基板4上に液相エピタキシャル成長させることができる。この理由については、現在のところ明確ではないが、冷却工程中にGa−Al合金融液中の残留溶存窒素によりAlN微結晶が発生するためではないかと考えられる。
AlN結晶の成長工程終了後にシード基板4をすぐに引き上げた場合、シード基板4上にGa−Al合金融液が薄い膜のように残り、ここでAlN微結晶が発生した場合、基板上に析出しAlN結晶膜表面に癒着する。一方、Ga−Al合金融液に浸漬された状態で徐冷が行われた場合、AlNはGa−Al合金融液より比重が小さいため、AlN微結晶が発生しても融液中を浮上し、基板上には析出しないためではないかと考えられる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、先ず、c面サファイア基板を窒素分圧0.9atm/CO分圧0.1atm、温度1500℃で1時間保持した後、窒素分圧1.0atmで5時間保持し、窒化サファイア基板を得た。
次に、ガリウムとアルミニウムのモル比率が60:40のGa−Al合金融液からなるフラックスを窒素ガス中で昇温させた。アルミニウムの融点に達した後、フラックス中に0.1MPaの窒素ガスを100cc/minの流速で吹き込んだ。ジルコニア式酸素センサーで測定したところ、酸素分圧は1.58×10−6atmであった。
そして、坩堝内のフラックスの温度を1300℃に保ち、上述の窒化サファイア基板をシード基板として取り付けた保持治具5を常圧でフラックス中に浸漬させた(図1参照)。保持治具5において供給口とシード基板との距離は7mmで行った。
5時間経過した後、窒素含有ガスの供給口からの窒素ガス供給を停止し、保持治具5はフラックス中に浸漬したまま徐冷を開始した。フラックスの温度が750℃に達したところで、上述の窒化サファイア基板をシード基板として取り付けた保持治具5をフラックス中から引き上げ、さらに室温まで徐冷を行った。
図3に、実施例1のエピタキシャル成長後の基板表面を示すSEM観察写真を示す。図3からも分かるように、実施例1では、AlN結晶表面に雑晶(微結晶)の付着はほとんど見られなかった。
[実施例2]
実施例2では、基板保持治具として、実施例1で用いた治具の外周部にリング状の堰(高さ5mm)を設けた構造とした保持治具を用い、フラックスから治具を引き上げた後も基板が融液に浸漬された状態となるようにした。この治具を用いたこと、及び、5時間のAlN結晶成長工程が終了後、窒素含有ガスの供給口からの窒素ガス供給を停止するとともに、基板保持治具をフラックスから引き上げて徐冷を開始したこと以外は、実施例1と同様にしてAlN結晶を生成させた。
その結果、実施例2では、AlN結晶表面に雑晶(微結晶)の付着はほとんど見られなかった。
[比較例]
比較例では、5時間のAlN結晶成長工程が終了後、窒素含有ガスの供給口からの窒素ガス供給を停止するとともに、基板保持治具をフラックスから引き上げて徐冷を開始したこと以外は、実施例1と同様にしてAlN結晶を生成させた。
図4に、比較例のエピタキシャル成長後の基板表面を示すSEM観察写真を示す。図4からも分かるように、AlN結晶表面に雑晶(微結晶)の付着が見られ、表面状態の悪いものであった。
以上の実施例及び比較例の結果から、AlN結晶成長工程後の基板の冷却を融液中で行うことにより、表面に雑晶(微結晶)の付着が見られず、表面状態の良好なAlN結晶膜が得られることが分かった。
1 AlN結晶製造装置、2 ガス導入管、2a 管部、2b 供給口、2c 保持部、3 坩堝、4 シード基板、5 保持治具、6 Ga−Al溶融液、7 ヒータ、8 ガス排出管、9 熱電対、10 ボルト、11 ナット、21 ガス滞留部、22 固定プレート、23 保持プレート、24 支柱、25 ボルト、26 ナット、27 押さえ部材、28 堰

Claims (2)

  1. Ga−Al合金融液中の保持治具に保持された種結晶基板上に窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法による窒化アルミニウム結晶の製造方法において、
    上記保持治具は、窒素含有ガスを供給するガス導入管に固定される固定プレートと、該固定プレートと対向して設けられ、上記種結晶基板を上記ガス導入管側に保持する保持プレートと、上記固定プレートと上記保持プレートとの間に介在する支柱とを有し、上記固定プレートと上記保持プレートと上記支柱とによって囲まれた空間内の上記Ga−Al合金融液に上記窒素含有ガスを滞留させることができ、
    上記種結晶基板の上面の対向する位置から上記窒素含有ガスを供給し、該種結晶基板を保持する上記保持治具により上記窒素含有ガスを一時的に滞留させながら上記窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させ、
    上記窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させた後の上記基板の冷却を上記Ga−Al合金融液中で行うことを特徴とする窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  2. 上記Ga−Al合金融液中での上記基板の冷却を該Ga−Al合金融液の温度が700〜800℃に低下するまで行い、その後、該Ga−Al合金融液から上記基板を引き上げて室温まで冷却することを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
JP2015034678A 2015-02-25 2015-02-25 窒化アルミニウム結晶の製造方法 Active JP6362555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034678A JP6362555B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 窒化アルミニウム結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034678A JP6362555B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 窒化アルミニウム結晶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016155711A JP2016155711A (ja) 2016-09-01
JP6362555B2 true JP6362555B2 (ja) 2018-07-25

Family

ID=56825036

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015034678A Active JP6362555B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 窒化アルミニウム結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6362555B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023162936A1 (ja) * 2022-02-24 2023-08-31 国立大学法人東北大学 AlN単結晶の製造方法、AlN単結晶、およびAlN単結晶製造装置
JP7448925B2 (ja) * 2022-02-24 2024-03-13 国立大学法人東北大学 AlN単結晶の製造方法、AlN単結晶、およびAlN単結晶製造装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4016553B2 (ja) * 1999-12-09 2007-12-05 日立電線株式会社 Iii−v族化合物半導体の成長方法
JP4456856B2 (ja) * 2003-12-12 2010-04-28 パナソニック電工株式会社 Iii族金属窒化物結晶の製法
JP5656697B2 (ja) * 2010-07-14 2015-01-21 住友金属鉱山株式会社 窒化アルミニウム結晶の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016155711A (ja) 2016-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9231155B2 (en) Composite substrates, a method of producing the same, a method of producing functional layers made of nitrides of group 13 elements, and functional devices
JP4783288B2 (ja) 犠牲層上のヘテロエピタキシによるiii族窒化物の自立基板の実現方法
JP4886711B2 (ja) Iii族窒化物単結晶の製造方法
EP2071062A1 (en) Process for producing group iii elment nitride crystal, and group iii element nitride crystal
JP4823856B2 (ja) AlN系III族窒化物単結晶厚膜の作製方法
JP5197283B2 (ja) 窒化アルミニウム単結晶基板、積層体、およびこれらの製造方法
JP6189664B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法
KR20090023198A (ko) Ⅲ족 질화물 반도체와 그 제조 방법
JP6362378B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法
US9287453B2 (en) Composite substrates and functional device
JP6491488B2 (ja) エピタキシャル成長用基板及びその製造方法
JP5056299B2 (ja) 窒化物半導体下地基板、窒化物半導体積層基板および窒化物半導体下地基板の製造方法
JP4914299B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP6223647B1 (ja) 種結晶基板の製造方法、13族元素窒化物結晶の製造方法および種結晶基板
JP6362555B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法
JP2009091225A (ja) 窒化物単結晶の製造方法
JP5865728B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法
JP6373615B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法及び製造装置
JP2008162855A (ja) 窒化物半導体基板の製造方法及び窒化物半導体基板
JP6235398B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法及び製造装置
JP2009126771A (ja) 結晶成長方法、および結晶成長装置
JP2009221056A (ja) 結晶成長方法、結晶成長装置、および半導体デバイス
WO2023162936A1 (ja) AlN単結晶の製造方法、AlN単結晶、およびAlN単結晶製造装置
JP2017160106A (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法
JP6159245B2 (ja) 窒化アルミニウム結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180626

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6362555

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250