JP7100469B2 - エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物 - Google Patents
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Description
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物〔以下、「共重合体組成物」と略称する場合がある。〕を構成するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)〔以下、「共重合体(S)」と略称する場合がある。〕は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有する。
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
要件(i)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中のエチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1を満たすことを特定するものであり、このモル比は好ましくは50/50~90/10、より好ましくは55/45~85/15、さらに好ましくは55/45~78/22を満たすことが望ましい。このような本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ヒドロシリル架橋して得られる発泡体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
要件(ii)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中において、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中(すなわち全構成単位の重量分率の合計100重量%中)、0.07重量%~10重量%の範囲であることを特定するものである。この非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率は、好ましくは0.1重量%~8.0重量%、より好ましくは0.5重量%~5.0重量%であることが望ましい。
要件(iii)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)において、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、共重合体中における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、次の関係式(1)を満たすことを特定するものである。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦35 … 式(1')
なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
要件(iv)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)とが、下記式(2)を満たすことを特定するものである。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×5.7 … 式(2')
なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定される値を意味する。
要件(v)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たすことを特定するものである。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
上記式(3)により、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw) ‥ 式(3')
ここで、Mwと1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めることができる。本明細書においては、具体的には、次のようにして求めた。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.5mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定した。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)では、非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、VNBであることがより好ましい。すなわち上述した式(1)、式(2)ならびに後述する式(4)等において、「(C)の重量分率」が「VNBの重量分率」(重量%)であることが好ましい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、共役ポリエン(D)に由来する構成単位の重量分率((D)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)と、共役ポリエン(D)の分子量((D)の分子量)とが、下記式(4)を満たす。
4.5≦Mw×{((C)の重量分率/100/(C)の分子量)+((D)の重量分率/100/(D)の分子量)}≦45 … 式(4)
式(4)では、共重合体1分子中の非共役ジエン((C)と(D)の合計)の含量を特定している。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、特に限定されるものではないが、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン(c)に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
ここで、複素粘度η* (ω=0.01)および複素粘度η* (ω=10)は、要件(vi)における複素粘度η* (ω=0.1)および複素粘度η* (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
(C)に由来する見かけのヨウ素価=(C)の重量分率×253.81/(C)の分子量
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(C)の含有量の指標を表す。要件(vii)を満たし、上記式(5)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方上記式(5)を満たさない場合には、共重合した非共役ポリエン(C)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いこと分かる。
6-0.45×Ln(Mw)≦(C)の重量分率≦10 …式(6)
(nC)=(Mw)×{(C)の重量分率/100}/非共役ポリエン(C)の分子量
(nD)=(Mw)×{(D)の重量分率/100}/非共役ポリエン(D)の分子量
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)と、必要に応じて前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に1つのみ2含む非共役ポリエン(D)とからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に含まれる成分の一つであるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と反応して架橋剤として作用する。このヒドロシリル基含有化合物(Y)は、従来から製造・市販されている、例えば、線状、環状、分岐状の各構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物など、その構造においていずれでも使用可能であるが、本発明で用いるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含んでいなければならない。
R4 bHcSiO(4-b-c)/2
上記一般式において、R4は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1~10、特に炭素原子数1~8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基に至る、n-、iso-、sec-、tert-などの異性体を含むアルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、例えばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3
(式中のdは2以上の整数である。)
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3
(式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H
(式中のeは1以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H
(式中のeは1以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH3)2H
(式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。)
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に含まれる成分の一つであるヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)は、付加反応触媒であり、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に配合してもよい成分の一つである反応抑制剤(D)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。反応抑制剤(D)を配合した場合は、組成物の混練時および成形時での加工性を安定にする点で好ましい。
これら化合物の中でも3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが特に好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に含まれる成分の一つである補強剤は、ゴム組成物に配合される公知のゴム補強剤であり、具体的には、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸などが挙げられる。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に含まれる成分の一つである軟化剤は、ゴム組成物に配合される公知の軟化剤であり、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に含まれる成分の一つは発泡核剤含有炭酸水素ナトリウムである。発泡核剤含有炭酸水素ナトリウムは発泡剤の一種であり、発泡核剤含有炭酸水素ナトリウム中の炭酸水素ナトリウムは重曹として知られる発泡剤の一種である。
クエン酸などの発泡核剤を含有した発泡核剤含有炭酸水素ナトリウムは、例えば、CLARIANT社製のハイドロセロールCF、ハイドロセロールBIT、ハイドロセロールBIF、永和化成工業株式会社製のセルボンFE-507、セルボンSC-P、セルボンSC-Kなどが挙げられる。
上記炭酸水素ナトリウムと共に配合される発泡核剤としては、たとえば炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化珪素、酸化チタン、プラスチック微小球、オルトホウ酸、脂肪酸のアルカリ土類金属塩、クエン酸などが挙げられる。これら発泡核剤の中でもクエン酸が好ましい。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物は、上記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量部に対して、上記ヒドロシリル基含有化合物(Y)を、通常、0.1~100質量部、好ましくは0.1~75質量部、より好ましくは0.1~50質量部、さらには0.2~30質量部、さらには0.2~20質量部、特には0.5~10質量部、最も好ましくは0.5~5質量部、上記白金系触媒(Z)を、通常0.1~100000重量ppm、好ましくは0.1~10000重量ppm、さらに好ましくは1~5000重量ppm、特に好ましくは5~1000重量ppm、上記反応抑制剤(D)を、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.07~5質量部、さらに好ましくは0.07~4.5質量部、ことさらに好ましくは0.1~4.5質量部、特に好ましくは0.1~3.0質量部、最も特に好ましくは0.1~1.0質量部の範囲で含み、且つ上記補強剤を70~200質量部、好ましくは70~150質量部、上記軟化剤を40~100質量部、好ましくは40~90質量部および上記クエン酸含有炭酸水素ナトリウム5~80質量部、好ましくは7~70質量部の範囲で含む組成物である。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物は、上記成分に加え、本発明の目的が損なわれない限り、それ自体公知のゴム配合剤、例えば、有機過酸化物、α,β-不飽和有機酸の金属塩、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、充填剤、加工助剤、活性剤、酸化防止剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
老化防止剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の老化防止剤を用いることができる。具体的には、イオウ系老化防止剤、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤などが挙げられる。
本発明において、イオウ系老化防止剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.2~8質量部、特に好ましくは0.2~6質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でイオウ系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明の組成物の架橋を阻害することもないため好ましい。
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して好ましくは0.5~2モル、より好ましくは約等モルの量で用いられる。
充填剤としては、例えば、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような充填剤は、共重合体(S)100質量部に対し、好ましくは1~500質量部、より好ましくは1~400質量部、さらに好ましくは1~300質量部の範囲で用いられる。充填剤の配合量が前記範囲内であると、得られる発泡体の引張強度、引裂強度、耐摩耗性等の機械的性質を向上させることができる。
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。加工助剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れる。
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。活性剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~15質量部、好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~8質量部の範囲で適宜配合することができる。
本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物からなる発泡体を得るには、公知の一般的なゴム配合物の加工方法(成形方法)を採用し得る。具体的には、以下の通りである。
実施例および比較例で用いた共重合体の物性は前記記載の測定方法で、共重合体組成物から得られた発泡成形体の物性の評価は以下の測定方法で行った。
[比重]
発泡成形体の比重は、水中置換法(JIS K 6268)に準じて測定した。
熱風加硫した平板状発泡成形体から、20mm×20mmの試験片を打ち抜き、表面の汚れをアルコールでふき取った。この試験片を水面下50mmの位置で-625mmHgまで減圧し、3分間保持した。続いて大気圧に戻し3分間経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の式から吸水率を算出した。
(吸水率)={(W2―W1)/W1}
W1:浸漬前重量(g)。
W2:浸漬後重量(g)。
チューブ状発泡成形体の上部を長さ方向に、JIS K-6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を調製した。この試験片を用いて、JIS K-6251第3項に規定されている方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断点応力〔TB〕(MPa)および引張破断点伸び〔EB〕(%)を求めた。
チューブ状発泡成形体の表面粗度は、触針式表面粗度測定器を用いて、チューブ状発泡成形体の上面の凹凸を数値化して表した。実際には、発泡成形体を長さ50mmに切断し、抜き取り部分のうちで「最高から10番目までの凸部分の高さの総和(h1)」から、「最低から10番目までの凹部分の高さの総和(h2)」を差し引いた値(h1-h2)を10で除した値を、チューブ状発泡成形体の表面粗度(μm)とした。
チューブ状発泡成形体を長さ方向に30mm切断し、得られた試験片を圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの1/2になるよう圧縮し、金型ごと70℃のギヤーオーブン中にセットして22時間または197時間熱処理した。次いで、試験片を金型から取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から圧縮永久歪み(CS)(%)を算出した。
圧縮永久歪み(CS)(%)={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
〔製造例1〕
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:58.3L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が6.6kg/h、プロピレン量が9.3kg/h、VNBフィード量が340g/hおよび水素フィード量が18NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
得られた共重合体(S-1)の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
攪拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2-ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを3.7kg、プロピレンを8.0kg、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を500gの速度で、また、水素を10リットル、触媒としてVOCl3を48ミリモル、Al(Et)2Clを240ミリモル、Al(Et)1.5 Cl1.5 を48ミリモルの速度で連続的に供給した。上記条件で共重合反応を行い、エチレン・プロピレン・VNB共重合体(以下、共重合体(A-1)と略す)が均一な溶液状態で得られた。スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
得られた共重合体(A-1)の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
第一段階として、BB-4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)100質量部を30秒間素練りし、次いでこれに、カーボンブラック(旭#50HG、旭カーボン(株)社製)102質量部、重質炭酸カルシウム(ホワイトンSB[白石カルシウム(株)製])60質量部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPS-430、出光興産(株)製)52質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
得られたチューブ状の発泡成形体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
実施例1で用いた発泡剤に代えて、セルボンSC-P(永和化成工業株式会社製)を用いる以外は、実施例1と同様に行い発泡成形体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例1で用いたパラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPS-430、出光興産(株)製)の量を62質量部とする以外は、実施例1と同様に行い発泡成形体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例1で用いたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)に替えて、製造例2で得られた共重合体(A-1)を用い、表2に示した配合で同様に行った。
評価結果を表2に示す。
Claims (2)
- エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有し、下記(i)~(v)の要件を満たすことを特徴とするエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)、並びに上記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量部に対して、補強剤を70~200質量部、軟化剤を40~100質量部、および発泡核剤含有炭酸水素ナトリウムを5~80質量部を含むことを特徴とするエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40…式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6…式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw)‥式(3) - エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S):100質量部に対して、上記ヒドロシリル基含有化合物(Y)が0.1~100質量部、上記白金系触媒(Z)が0.1~100000重量ppm、および反応抑制剤(D)が0.05~5質量部の範囲にある請求項1に記載のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物。
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