JP2024032013A - 架橋成形体の製造方法、架橋装置及び架橋方法 - Google Patents

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雄二 石井
恭巨 有野
裕司 野口
伊織 桑田
典久 岸本
武 吉沢
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Abstract

【課題】ヒドロシリコーン架橋に適用できる架橋装置の提供。【解決手段】原料組成物を上向きに連続的に押出して長尺物を成形する押出成形機と、前記長尺物を吊り下げた状態で上向きに走行させた後、吊り下げた状態で下向きに走行させるプーリーと、上向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第1の架橋槽と、下向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第2の架橋槽とを有する、架橋装置。【選択図】図1

Description

本発明は、架橋成形体の製造方法、架橋装置、及び前記架橋装置を用いた架橋方法に関する。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(以下「EPDM」と称する場合がある。)を架橋して得られるEPDM架橋成形体は、その分子構造の主鎖に二重結合を持たないため、汎用の共役ジエンゴムと比べ耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性に優れている。
また、EPDMを架橋と同時に発泡させて得られるEPDM発泡体は、その優れたクッション性や圧縮性等に基づいてクッション材やパッド材、気密や止水などのシール材、断熱材や防音材などとして、家電などの室内用品や自動車などの屋外用品、住宅などの建築物などの各種の分野で広く使用されている。
EPDM発泡体の代表的用途の一つである自動車用ウェザーストリップスポンジは、水・音・埃の車室内への侵入防止、ドア開閉時の衝撃緩和、走行中のドア振動の防止を目的に、車体、ドア、トランクなどに組みつけて使用される。
一般的に、ウェザーストリップスポンジ等の長尺物は、横型の加熱槽を用いて、イオウ架橋により長尺の架橋成形体を連続的に製造した後、切断等の加工を施して製造する。
特許文献1には、過酸化物架橋により長尺物を製造するのに好適な架橋方法として、縦型の略逆U字状の加熱炉内に過熱水蒸気を供給して、無酸素状態で架橋する方法が記載されている。
近年、ヒドロシリル基含有化合物を用いるヒドロシリコーン架橋(特許文献2)が、イオウ架橋や過酸化物架橋と比較して、架橋成形体の機械的強度、耐熱老化性、圧縮永久歪み、ブルーム性等に優れる点から注目されている。
特開2017-170683号公報 特開2018-131527号公報
しかし、ヒドロシリコーン架橋により架橋成形体を製造するのに適した架橋方法については、充分な検討がなされていない。
本発明は上記事情に鑑み、ヒドロシリコーン架橋に適用可能な架橋装置、架橋方法、及び架橋成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を採用した。
[1] 共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒とを含む共重合体組成物を予備成形し、得られた予備成形体を吊り下げた状態で遠赤外線を照射して架橋する架橋工程を有する、架橋成形体の製造方法であって、
前記共重合体(S)が、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)が下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、架橋成形体の製造方法。
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
Figure 2024032013000002
Figure 2024032013000003
(式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
[2] 前記共重合体(S)が、下記要件(iii)~(v)のうちの1または2以上の要件を満たす、[1]に記載の架橋成形体の製造方法。
(iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は共重合体(S)の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
[3] 前記共重合体(S)が、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位として、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構成単位を含む、[1]に記載の架橋成形体の製造方法。
[4] 前記予備成形体が長尺物である、[1]に記載の架橋成形体の製造方法。
[5] 前記共重合体組成物が、さらに発泡剤を含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の架橋成形体の製造方法。
[6] 前記架橋成形体が、ウェザーストリップスポンジである、[5]に記載の架橋成形体の製造方法。
[7] 原料組成物を上向きに連続的に押出して長尺物を成形する押出成形機と、
前記長尺物を吊り下げた状態で上向きに走行させた後、吊り下げた状態で下向きに走行させるプーリーと、
上向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第1の架橋槽と、
下向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第2の架橋槽とを有する、架橋装置。
[8] 前記[7]に記載の架橋装置を用いた架橋方法であって、
前記原料組成物が、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒とを含む共重合体組成物であり、
前記共重合体(S)が、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、前記式(I)および前記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)が前記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、架橋方法。
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
(式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
本発明によれば、ヒドロシリコーン架橋に適用可能な架橋装置、架橋方法、及び架橋成形体の製造方法を提供できる。
本発明に係る架橋装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図1中のA-A線に沿う断面図である。
<架橋成形体の製造方法>
本発明の1態様に係る架橋成形体の製造方法は、後述の共重合体組成物を、予備成形し、得られた予備成形体を吊り下げた状態で遠赤外線を照射して架橋する架橋工程を有する。
予備成形体の形状は特に限定されない。長尺状に予備成形された長尺物であってもよい。
架橋工程で得られた架橋物を、さらに加工して目的の架橋成形体を得る加工工程をさらに有してもよい。
予備成形体が長尺物である場合は、架橋工程において、長尺物を吊り下げた状態で鉛直方向に走行させながら遠赤外線を照射することが好ましい。
共重合体組成物を予備成形して予備成形体を製造する方法は特に限定されない。例えば、押出成形機、カレンダーロール、プレス成形機、射出成形機、トランスファー成形機など種々の成形機を用いた成形法を使用できる。予備成形体が長尺物である場合は、押出成形機を用いて連続的に成形することが好ましい。
架橋工程では、予備成形後、あるは予備成形と同時に、予備成形体を架橋槽内に導入し、加熱して架橋し架橋する。共重合体組成物が発泡剤を含む場合は、架橋と共に発泡も進行し、発泡した架橋成形体(発泡成形体)が得られる。
架橋工程は、遠赤外線を熱源とする縦型の加熱槽を用いて行うことができる。
架橋工程における加熱条件は、架橋が完結した架橋物が得られるように設定する。加熱は連続して行ってもよく、間欠的に行ってもよい。加熱温度は一定でもよく、途中で変化させてもよい。
間欠的に加熱する場合、例えば、予備成形体(被加熱物)を第1の加熱槽内で加熱して一段階目の架橋を行った後、加熱槽から取り出し、続いて第2の加熱槽内で加熱して二段階目の架橋を行ってもよい。
具体的には、後述の共重合体組成物を、被加熱物の温度が130~200℃に達する条件で遠赤外線を照射して一段階目の架橋を行った後、被加熱物の温度が160~230℃に達する条件で遠赤外線を照射して二段階目の架橋を行う方法が採用できる。一段階目の架橋における加熱時間は、少なくとも外面が硬化するように設定し、二段階目の架橋における加熱時間は架橋が完結するように設定することが好ましい。
一段階目の架橋における加熱温度が上記範囲の下限値以上であると、吊り下げられた被加熱物の自重による破断が生じ難く、上限値以下であると被加熱物の熱による酸化劣化が生じ難い。二段階目の架橋における加熱温度が上記範囲の下限値以上であると、架橋が良好に進んで機械物性に優れた架橋成形体が得られやすく、上限値以下であると被加熱物の熱による酸化劣化が生じ難い。
本態様の架橋成形体は、様々な用途に用いることができる。具体的には、タイヤ用ゴム、O-リング、工業用ロール、パッキン(例えばコンデンサーパッキン)、ガスケット、ベルト(例えば、断熱ベルト、複写機ベルト、搬送ベルト)、自動車用ホースなどのホース類(例えば、ウォーターホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホース、エアーホース)、防振ゴム、防振材あるいは制振材(例えば、エンジンマウント、モーターマウント)、マフラーハンガー、スポンジ(例えば、ウェザーストリップスポンジ、断熱スポンジ、プロテクトスポンジ、微発泡スポンジ)、ケーブル(イグニッションケーブル、キャブタイヤケーブル、ハイテンションケーブル)、電線被覆材(高圧電線被覆材、低電圧電線被覆材、舶用電線被覆材)、グラスランチャネル、カラー表皮材、給紙ロール、ルーフィングシート等に好適に用いられる。中でもウェザーストリップスポンジに好適に使用できる。
[ウェザーストリップスポンジ]
ウェザーストリップスポンジとしては、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジ等が挙げられる。
本態様のウェザーストリップスポンジは、低比重としても、充分な剛性を有しているので、軽量でかつドア閉まり性に優れている。
本態様のウェザーストリップスポンジの比重は好ましくは0.3~0.6、より好ましくは0.3~0.55である。
本態様のウェザーストリップスポンジの表面粗度は19μm以下が好ましく、14μm以下がより好ましい。上記範囲の上限値以下であると外観および触感に優れる。ここで、本明細書における表面粗度は、後述の実施例に記載の測定方法で得られる表面粗度(10点平均粗さ)である。
本態様のウェザーストリップスポンジの低伸張応力(σ25)は、好ましくは0.15~0.35MPa、より好ましくは0.15~0.30MPaである。
本態様の架橋成形体の製造方法によれば、予備成形体を吊り下げた状態で遠赤外線を照射することにより、架橋に要する時間が短くなり、架橋成形体の物性をより向上させることができる。特に、発泡成形体を製造する場合、吊り下げた状態で遠赤外線を照射して加熱することにより、形状保持性が向上し、発泡成形体の圧縮永久歪みをより小さくできる。その理由は成形体断面方向に重力がかからない状態で四方より均一に熱をかけることができるためと考えられる。形状保持性が向上すると任意の形状を正確に製造できる点で好ましい。特にウェザーストリップスポンジにあっては、圧縮永久歪みが小さい方がドア等のシール性が向上する点で好ましい。
またコンベア等の上に載置された状態で架橋する場合に比べて、自重による変形が生じ難い。このため、変形による製造不良が生じ難い。
また熱源として遠赤外線を用いるため架橋槽内を密閉空間とする必要がない。このため低分子シロキサン等の揮発成分を除去しやすく、低分子シロキサン量の少ない架橋成形体を得ることが可能である。
本態様の架橋成形体の製造方法によれば、優れた圧縮永久歪みと形状保持率を両立できる。例えば、後述の実施例に記載の測定方法で得られる圧縮永久歪み(CS)が12%以下、好ましくは10%以下であり、かつ後述の実施例に記載の測定方法で得られる形状保持率が85%以上、好ましくは90%以上である架橋成形体が得られる。
<架橋装置>
図1は本発明の1態様に係る架橋装置の一実施形態を示す概略構成図であり、図2は図1中のA-A線に沿う断面図である。本態様の架橋装置は、本発明の架橋成形体の製造方法に好適に用いることができる。
本態様の架橋装置1は、縦型の架橋槽である第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3と、吊り部材であるプーリー4と、押出成形機5と、ローラー6を備える。符号10は長尺物を示す。
第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3は、それぞれ中心軸が鉛直方向である四角筒状であり、並列に設置されている。第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3の上端開口と下端開口は、それぞれ、貫通孔を有する上蓋体2a、3aと下蓋体2b、3bで閉じられている。
第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3のそれぞれにおいて、4つの側壁の内面には、図2に示すように遠赤外線ヒーター7がそれぞれ設けられている。4つの側壁のうちの1つは開閉可能な扉2c、3cとなっている。扉2c、3cは、例えば片開き戸である。
押出成形機5は、供給された原料組成物を上向きに連続的に押出して長尺物10を成形する押出ヘッド5aを有する。
プーリー4は、第1の架橋槽2の上方と第2の架橋槽3の上方に跨って存在する。プーリー4に長尺物10の中途部分を掛けて、長尺物10を吊り下げた状態とする。
プーリー4は、第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3の両方の中心軸を通る面に対して垂直な回転軸を有する。プーリー4の回転に伴って、長尺物10は鉛直方向上向きに走行した後、プーリー4の周面に沿って折り返して走行方向を下向きに変え、鉛直方向下向きに走行する。
プーリー4は押出ヘッド5a及びローラー6の真上に位置する。
押出ヘッド5aから連続的に押し出された長尺物10は、第1の架橋槽2の下蓋体2bの貫通孔を通って第1の架橋槽2内に導入され、第1の架橋槽2内を走行した後、第1の架橋槽2の上蓋体2aの貫通孔を通って第1の架橋槽2の外へ送り出され、プーリー4に至る。第1の架橋槽2内を上向きに走行中の長尺物10に、遠赤外線ヒーター7から遠赤外線を照射することによって加熱し、一段階目の架橋を行う。
プーリー4で走行方向を変えた長尺物10は、第2の架橋槽3の上蓋体3aの貫通孔を通って第2の架橋槽3内に導入される。そして第2の架橋槽3内を走行した後、第1の架橋槽3の下蓋体3bの貫通孔を通って第2の架橋槽3の外へ送り出され、ローラー6に至る。第2の架橋槽3内を下向きに走行中の長尺物10に、遠赤外線ヒーター7から遠赤外線を照射することによって加熱し、二段階目の架橋を行って架橋物(長尺物10)を得る。
さらにローラー6で走行方向を水平方向に変え、引取機(不図示)で引き取る。
引取機(不図示)によって連続して引き取られた架橋物(長尺物10)に、切断等の必要に応じた加工を施して、目的の架橋成形体が得られる。
第1の架橋槽2内での一段階目の架橋において、長尺物10がプーリー4と接触しても変形しない程度に架橋が進行し、第2の架橋槽3内での二段階目の架橋において、架橋が完了した架橋物が得られるように、加熱条件(加熱温度、加熱時間)を設定する。加熱時間は走行速度によって調整できる。
なお、本発明の架橋装置は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
例えば、架橋装置1において第1の架橋槽2と第2の架橋槽3とは別体であるが、両者が一体化されていてもよい。
また、第1の架橋槽2及び第2の架橋槽3は、非密閉の筒状であって、側壁の内面に遠赤外線ヒーターを備えたものであればよく、形状は適宜変更可能である。
さらに、本態様では一段階目の架橋を行う第1の架橋槽2と、二段階目の架橋を行う第2の架橋槽3とを設けたが、第1の架橋槽2で架橋を完結させ、第2の架橋槽3を設けない構成としてもよい。鉛直方向における架橋槽の長さが大きくなりすぎない点では、複数の架橋槽を設けることが好ましい。
<架橋方法>
本発明の架橋装置は、大気中で架橋反応させる架橋方法に適用できる。例えば、ヒドロシリル化反応を利用した架橋方法(ヒドロシリコーン架橋)に好適に用いることができる。
ヒドロシリル化反応を利用した架橋方法に好適な原料組成物として、後述の共重合体組成物を用いることができる。
本発明の1態様に係る架橋方法は、本発明の架橋装置に供給する原料組成物として後述の共重合体組成物を用いる方法である。
本態様の架橋装置及び加熱方法によれば、縦型の加熱槽内で、長尺物(予備成形体)を吊り下げた状態で鉛直方向に走行させながら遠赤外線を照射する方法で架橋成形体を連続的に製造することができる。
加熱槽は非密閉であり、第1の架橋槽2の扉2c及び第2の架橋槽3の扉3cを有するため、第1の架橋槽2又は第2の架橋槽3内でトラブルが発生した場合は、前記扉2c又は扉3cを開けて対処することができる。
<共重合体組成物>
以下、本発明の架橋装置、架橋方法及び架橋成形体の製造方法に用いられる原料組成物の1態様としての共重合体組成物を説明する。
本態様の共重合体組成物は、共重合体(S)とヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒とを含む。
なお、本明細書および特許請求の範囲における「質量部」は、溶剤を含まない固形分換算の質量部である。
また、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値および上限値とする数値範囲を意味する。
[共重合体(S)]
共重合体(S)は、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有する。
炭素数3~20のα-オレフィン(B)(以下、単に「α-オレフィン(B)」という場合がある。)としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素数3~8のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα-オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られる共重合体が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。これらのα-オレフィンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
非共役ポリエン(C)は、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンである。
Figure 2024032013000004
非共役ポリエン(C)としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリコーン架橋が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(C)がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン(C)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本態様における共重合体(S)は、本態様の効果を損なわない範囲で、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位(CX)をさらに含んでいてもよい。
このような非共役ポリエン(CX)としては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなどが挙げられる。
これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリコーン架橋時の架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン(CX)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本態様における共重合体(S)は、非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位を含む場合、その質量分率は、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して、0~20質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0.01~8質量%がさらに好ましい。
共重合体(S)は、前述したエチレン(A)、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)、非共役ポリエン(C)、および非共役ポリエン(CX)から選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構成単位として、バイオマス由来のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
共重合体(S)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、0.5~3.0dL/gが好ましく、0.6~2.9dL/gがより好ましく、0.7~2.8L/gがさらに好ましい。
共重合体(S)の極限粘度[η](135℃デカリン中)が好ましい下限値以上であれば、より優れた物性を得やすい。共重合体(S)の極限粘度[η](135℃デカリン中)が好ましい上限値以下であれば、より優れた加工性を得やすい。
なお、共重合体(S)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、各々135℃のデカリン中で測定される値であり、後述の要件(iv)についての説明で詳述する方法と同様である。
共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)は、10,000~700,000が好ましく、20,000~600,000がより好ましく、30,000~500,000がさらに好ましい。
共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)が好ましい下限値以上であれば、より優れた物性を得やすい。共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)が好ましい上限値以下であれば、より優れた加工性を得やすい。
なお、共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)は、3D-GPCで測定される重量平均分子量を意味する。
本態様における共重合体(S)は、下記要件(i)、要件(ii)を満たす。また、各々下記要件(i)、要件(ii)に加えて、下記要件(iii)~要件(v)のうちの1または2以上の要件を満たすことが好ましく、下記要件(i)~要件(v)の総てを満たすことが特に好ましい。要件(iii)~要件(v)は、いずれも共重合体における長鎖分岐含有量に関係する指標である。
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
(iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は共重合体(S)の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
要件(i)は、共重合体(S)におけるエチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1を満たすことを特定する。
[A]/[B]は50/50~90/10が好ましく、55/45~85/15がより好ましく、55/45~78/22がさらに好ましい。共重合体(S)が要件(i)を満たすことにより、共重合体(S)をヒドロシリコーン架橋して得られる成形体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
なお、共重合体(S)におけるエチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]とα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]の比[A]/[B]は13C-NMRにより求めることができる。
要件(ii)は、共重合体(S)において、非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%であることを特定する。
この非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、0.1~8.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%であることがより好ましい。
共重合体(S)は、要件(ii)を満たすことにより、本態様に係る共重合体組成物から得られる架橋成形体が充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなるため好ましい。また、共重合体(S)をヒドロシリコーン架橋すると、早い架橋速度を示すため、効率的に架橋成形体を製造できるので好ましい。
なお、共重合体(S)における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、13C-NMRにより求めることができる。
非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、下記式(4)を満たすことが好ましい。
6-0.45×Ln(Mw)≦(C)の質量分率 ≦10・・・式(4)
要件(iii)は、下記式(1)で求められる(nC)の範囲を4.5以上80以下に特定する。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は共重合体(S)の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、3D-GPCで測定される数値を意味する。
(nC)は4.5以上78以下であることが好ましく、4.5以上75以下であることがより好ましい。
上記式(1)で求められる(nC)は、共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数である。
(nC)が下限値以上であることにより、ヒドロシリコーン架橋する際に充分な架橋速度を得やすい。また上限値以下であることにより、過度な架橋が生じにくく、得られる架橋成形体がより優れた機械特性を示す。
共重合体(S)が要件(iii)を満たす場合、各共重合体の長鎖分岐含有量が適切な範囲となる。その結果、ヒドロシリコーン架橋速度が速く、得られる架橋成形体の機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、後架橋を生じにくく特に耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
共重合体(S)が構成単位(CX)を含む場合は、下記式(1’)で求められる(nC+cx)が4.5以上80以下であることが好ましく、4.5以上78以下であることがより好ましく、4.5以上75以下であることがさらに好ましい。
(nC+cx)=(Mw)×[{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量
+{(CX)の質量分率/100}/(CX)の分子量] ・・・(1’)
上記式(1’)で求められる(nC+cx)は、共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数と非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位の数の合計数である。
要件(iv)は、共重合体(S)の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率:質量%)とが、下記式(2)を満たすことを特定する。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6・・・式(2)
レオメーターとしては、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%で、周波数を変化させて測定を行った。 極限粘度[η](135℃デカリン中)は、135℃のデカリン中で測定される値である。
共重合体(S)は、下記式(2')を満たすことがより好ましい。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×5.7・・・式(2')
比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)および式(2')の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。
一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構成単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本態様における共重合体(S)は、従来公知のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより上記式(2)を満たすことができると考えられる。
要件(v)は、共重合体(S)の、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たすことを特定する。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw)・・・式(3)
上記式(3)により、共重合体(S)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。すなわち、要件(v)は、共重合体(S)の長鎖分岐の割合が少ないことを意味する。
共重合体(S)は、要件(v)を満たすことにより、ヒドロシリコーン架橋を行う場合の硬化特性に優れる。また、これを用いて得られる架橋成形体は、耐熱老化性に優れたものとなる。
共重合体(S)は、下記式(3')を満たすことがより好ましい。
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw)・・・式(3')
上記式(3)および式(3’)におけるMwと(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めた値である。具体的には、3D-高温GPC装置PL-GPC220型(Polymer Laboratories社製)を用い、絶対分子量分布を求め、同時に粘度計で極限粘度(135℃デカリン中)を求めた。主な測定条件は以下の通りである。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型
(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel
GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.0mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定した。
粘度計より得られた極限粘度(135℃デカリン中)と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg’iを式(v-1)から算出した。
Figure 2024032013000005

ここで、[η]=KM;v=0.726の関係式を適用した。
また、g’として各平均値を下記式(v-2)、(v-3)、(v-4)から算出した。なお、短鎖分岐のみを有すると仮定したTrendlineは試料ごとに決定した。
Figure 2024032013000006
更にg'wを用いて、分子鎖あたりの分岐点数BrNo、炭素1000個あたりの長鎖分岐数LCB1000C、単位分子量あたりの分岐度λを算出した。BrNo算出はZimm-Stockmayerの式(v-5)、また、LCB1000Cとλの算出は式(v-6)、(v-7)を用いた。gは慣性半径Rgから求められる長鎖分岐パラメーターであり、極限粘度(135℃デカリン中)から求められるg'との間に次の単純な相関付けが行われている。式中のεは分子の形に応じて種々の値が提案されている。ここではε=1(すなわちg'=g)と仮定して計算を行った。
Figure 2024032013000007
λ=BrNo/M …(V-6)
LCB1000C=λ×14000 …(V-7)
式(V-7)中、14000はメチレン(CH)単位で1000個分の分子量を表す。
本態様における共重合体(S)は、下記式(5)で表される要件(vi)を満たすことも好ましい。
(vi) Log{η*(ω=0.01)}/Log{η*(ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 … 式(5)
式(5)において、η*(ω=0.01)は、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η*(Pa・sec)である。
また、η*(ω=10)は、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(Pa・sec)である。
ここで、η*(ω=0.01)およびη*(ω=10)は、要件(iv)における複素粘度η (ω=0.1)および複素粘度η (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
式(5)において、非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
(C)に由来する見かけのヨウ素価=(C)の質量分率×253.81/(C)の分子量
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(C)の含有量の指標を表す。
要件(vi)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。要件(vi)を満たさないことは、共重合した非共役ポリエン(C)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いことを示す。
本態様の共重合体組成物における共重合体(S)は、各々2種以上の共重合体を含んでいてもよい。例えば、(イ)エチレン/炭素数3~20のα-オレフィンのモル比、(ロ)ヨウ素価が異なる重合体同士を2種以上混合して用いることもできる。
本態様において、共重合体(S)の製造方法に特に限定はないが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。
具体的には、例えば、国際公開第2015/122495号パンフレット記載の方法で製造することができる。
[ヒドロシリル基含有化合物(Y)]
本発明におけるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
本態様の共重合体組成物は、2種以上のヒドロシリル基含有化合物(Y)を含んでいてもよい。
Figure 2024032013000008
式(a)において、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。
このようなヒドロシリル基含有化合物(Y)は、そのシロキサン重合度が比較的小さく、かつ、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有する、直鎖構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
ヒドロシリル基含有化合物(Y)を共重合体(S)と選択的に併用することで、得られる成型物の耐スコーチ性、成型性、破断時の伸び、圧縮成型ひずみ等の物理的性質に特に優れる成形体を得ることができ、特に、ウェザーストリップスポンジ材等への適用可能性が改善されるものである。
式(a)において、mは、ケイ素原子結合アラルキル基を有するジオルガノシロキシ単位の数であり、1~20の範囲の数であり、2~10の範囲の数であってよく、3~6の範囲の数であることが特に好ましい。
式(a)において、nは側鎖におけるケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキシ単位の数であり、0または1であってもよいが、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子であり、分子内に少なくとも2のケイ素原子結合水素原子を有する構造となる。
なお、nが0または1以外の数であっても、分子鎖両末端のRの一方または両方がケイ素原子結合水素原子であることは妨げられない。さらに、nは0または1以外の数であることが好ましく、かつ、n≧mとなる数であることがより好ましい。より具体的には、nは3~10の範囲の数であってよく、3~9の範囲の数であることが特に好ましい。
式(a)において、pは、アラルキル基またはケイ素原子結合水素原子を含まないジオルガノシロキシ単位の数であり、0であってよく、後述するnとmとpの総和の値で表されるジオルガノシロキサン単位の総重合度から、nおよびmの値を除した数の範囲であってよい。例えば、pは0~12の範囲の数でよく、0~10の範囲の数でよく、0~5の範囲の数でよく、0~2であってよく、かつ、好ましい。
ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、シロキサン重合度が比較的小さく、上記のnとmとpの値の総和が5~50であり、好ましくは5~20であってよく、5~15であってよい。
本発明の架橋剤であるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、特に好適には、mが3~6の範囲の数であり、nが3~9の範囲の数であり、かつ、pが0~2の範囲の数である。
式(a)において、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基のいずれであってよい。ただし、n=0または1の場合は、Rの両方または一方は水素原子である。
式中のR,Rは一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよく、一部の炭素原子結合水素原子がハロゲン原子により置換されていてもよい。このようなアルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であってよく、工業的には、メチル基であってよい。
式(a)において、Rはアラルキル基であり、炭素数7~20のアラルキル基、好適には、炭素数7~15のアラルキル基であってよい。このようなアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を例示することができ、特に、フェニル基等のアリール基とケイ素原子間のアルキレン構造中に-CH(CH)-で表される分岐単位を少なくとも一つ含むことが好ましい。本発明において、特に好適には、Rは-CH-CH(CH)-Cで表されるアラルキル基である。
当該アラルキル基は、ヒドロシリル基含有化合物(Y)に架橋剤としての有用性を与える特徴的な官能基であり、特に、n、m、pが上記の範囲にある本成分中にアラルキル基がケイ素原子結合水素原子と共に存在することで、得られる成型物の物理的性質が著しく改善されるものである。
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対するヒドロシリル基含有化合物(Y)の配合量は、0.1~100質量部が好ましく、0.5~90質量部がより好ましく、1.0~80質量部がさらに好ましい。
[白金系触媒]
白金系触媒は、付加反応触媒であり、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。白金系触媒としては、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
具体的な白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の白金系触媒を含んでいてもよい。
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対する白金系触媒の配合量は、0.001~10質量部が好ましく、0.005~9質量部がより好ましく、0.01~8質量部がさらに好ましい。
[反応抑制剤]
本態様の共重合体組成物は反応抑制剤を含むことが好ましい。反応抑制剤は、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。反応抑制剤を配合した場合は、組成物の混練時および成形時での加工性を安定にする点で好ましい。
反応抑制剤の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール;1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール類;、アクリロニトリル;N,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-p-フタル酸ジアミドなどアミド化合物);その他、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
これら化合物の中でも3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが特に好ましい。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の反応抑制剤を含んでいてもよい。
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対する反応抑制剤の配合量は、0.05~5質量部が好ましく、0.08~4質量部がより好ましく、0.1~3質量部がさらに好ましい。
[カーボンブラック]
本態様の共重合体組成物はカーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックは補強剤として機能し、これを含有することにより、共重合体組成物の加工性が向上し、しかも引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上した共重合体組成物を得ることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、旭#50HG、旭#55G、旭#60UG(以上、旭カーボン(株)製)、シーストSVH、シーストV、シーストG-SO(以上、東海カーボン(株)製)などの公知のものを使用することができる。これらは、単独で使用することもできるし、併用することもできる。また、シランカップリング剤などで表面処理したものを使用することもできる。
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対するカーボンブラックの配合量は、5~150質量部が好ましく、10~120質量部がより好ましく、20~100質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの配合量が前記範囲内にあれば、動倍率(動的弾性率/静的弾性率)、加工性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
本態様の共重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、引張破断点応力、引張破断点伸びなどの物性を向上させるため、カーボンブラック以外の補強剤を含んでいてもよい.
カーボンブラック以外の補強剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸などが挙げられる。カーボンブラック以外の補強剤は、2種以上配合してもよい。
[発泡剤]
本態様の共重合体組成物は発泡した架橋成形体を得るため、発泡剤を含んでいてもよい。 発泡剤としては、酸化炭素、窒素、空気、水等の物理型発泡剤;重炭酸ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、OBSH(4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。中でも発泡成形体の低比重化、高架橋密度化が可能であることから無機系発泡剤が好ましく、なかでも重曹が好ましい。
また、発泡剤に加えて、必要に応じて発泡助剤を添加してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進または気泡の均一化などの作用を示す。発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸およびクエン酸などの有機酸またはその塩;尿素またはその誘導体などが挙げられる。市販品としては、例えば、セルペーストK5(商品名;永和化成工業社製、尿素)およびFE-507(商品名;永和化成工業社製、重曹)などが挙げられる。発泡助剤の配合量は、共重合体(S)100質量部に対して、通常0.1~5質量部、好ましくは0.5~4質量部である。
また、高圧ガスによる物理発泡も可能である。すなわち、例えば樹脂の融点付近の温度で押出する際に、押出機の途中に設けられた圧入孔から揮発性又は無機ガス系発泡剤を圧入して、口金から押し出すことにより発泡体を連続的に得ることができる。物理型発泡剤の具体例としては、フロン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の揮発性発泡剤、窒素、空気、水、炭酸ガス等の無機ガス系発泡剤が挙げられる。また、押出発泡に際し、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム等の気泡核形成剤を添加してもよい。物理型発泡剤の配合割合は、共重合体(S)100質量部に対し、通常5~60質量部、好ましくは10~50質量部である。物理的発泡剤の配合割合が少なすぎると、発泡体の発泡性が低下し、逆に多すぎると、発泡体の強度が低下する。
[酸化防止剤]
本態様の共重合体組成物は酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本態様の共重合体組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことにより、さらに、吸水率が高く、圧縮永久歪みが優れる架橋成形体を得ることができる。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の酸化防止剤を含んでいてもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4,6-トリス(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)メシチレン〔((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-330、融点:243~245℃)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-20、融点:220~222℃)、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール) ((株ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-40、融点:210~214℃)、N,N’-ビス{3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン(BASF・ジャパン(株)製、商品名:Irganox MD1024、融点:224~229℃)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン(株)製、商品名:Irganox1010、融点:110~130℃)、ジブチルヒドロキシトルエン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラックNS―7、融点:200℃以上)などが挙げられる。
本態様の共重合体組成物が酸化防止剤を含む場合は、共重合体(S)の100質量部に対する酸化防止剤の配合量は、0.001~10質量部が好ましく、0.005~10質量部がより好ましく、0.1~10質量部がさらに好ましく、0.5~8質量部が特に好ましい。
[老化防止剤]
本態様の共重合体組成物は老化防止剤を含んでいてもよい。
老化防止剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の老化防止剤を用いることができる。具体的には、フェノール系老化防止剤、およびアミン系老化防止剤などが挙げられる。
老化防止剤は、単独で用いてもよいが、高温下で、長時間の耐熱老化性を維持する点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
本態様の共重合体組成物がフェノール系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~5質量部、より好ましくは0.5~4質量部、特に好ましくは0.5~3質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でフェノール系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きい。
本態様の共重合体組成物がアミン系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~4質量部、特に好ましくは0.2~3質量部の範囲で用いられる。前記範囲でアミン系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きい。
[軟化剤]
本態様の共重合体組成物は軟化剤を含んでいてもよい。
軟化剤は、ゴム組成物に配合される公知の軟化剤である。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の軟化剤を含んでいてもよい。
本態様の共重合体組成物が軟化剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは5~150質量部、より好ましくは10~150質量部、特に好ましくは10~120質量部の範囲で用いられる。軟化剤の配合量が前記範囲内にあれば、タックが少なく、加工性、耐熱老化性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
[脱水剤]
本態様の共重合体組成物は脱水剤を含んでいてもよい。
脱水剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらの中では酸化カルシウムが好ましい。脱水剤の配合量は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1.0~12質量部、さらに好ましくは1.0~10質量部である。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の脱水剤を含んでいてもよい。
[架橋助剤]
本態様の共重合体組成物は架橋助剤を含んでいてもよい。
架橋助剤としては、具体的には、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用するヒドロシリル基含有化合物(Y)1モルに対して好ましくは0.5~2モル、より好ましくは約等モルの量で用いられる。
[充填剤]
本態様の共重合体組成物は、配合コストを下げるため、充填剤を含んでいてもよい。
充填剤としては、例えば、タルク、クレー、重質炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような充填剤は、共重合体(S)100質量部に対し、好ましくは1~500質量部、より好ましくは1~400質量部、さらに好ましくは1~300質量部の範囲で用いられる。充填剤の配合量が前記範囲内であると、得られる成形体の引張強度、引裂強度、耐摩耗性等の機械的性質を向上させることができる。
[加工助剤]
本態様の共重合体組成物は加工助剤を含んでいてもよい。
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
加工助剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れる。
[活性剤]
本態様の共重合体組成物は活性剤を含んでいてもよい。
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。活性剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~15質量部、好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~8質量部の範囲で適宜配合することができる。
[有機過酸化物]
本態様の共重合体組成物は有機過酸化物(Z)を含んでいてもよい。
有機過酸化物(Z)としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドが挙げられる。
有機過酸化物(Z)は、架橋時に生成する分解生成物が低分子量化合物であり、それらの蒸気圧が十分に高いものが好ましい。そのような有機過酸化物(Z)を使用すれば、得られる架橋成形体に臭気が残りにくい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、有機過酸化物(Z)の配合量は純度100質量%に換算した配合量である。有機過酸化物は、通常取り扱いの便宜上、純度40質量%程度で販売されている。純度40質量%の製品の場合、当該製品としての質量に0.4を乗じた値が有機過酸化物の配合量である。
本態様の共重合体組成物が有機過酸化物(Z)を含む場合、共重合体(S)の100質量部に対する有機過酸化物(Z)の配合量は、0.2~6質量部が好ましく、0.2~4.8質量部がより好ましく、0.2~4質量部がさらに好ましい。
[その他の配合剤等]
本態様の共重合体組成物は、上記成分に加え、本態様の目的が損なわれない限り、それ自体公知のゴム配合剤、例えば、α,β-不飽和有機酸の金属塩、架橋促進剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
[その他の樹脂]
本態様の共重合体組成物は、本態様の効果を損なわない範囲で、共重合体(S)以外の樹脂ないしゴムを含んでいてもよい。共重合体(S)以外の樹脂ないしゴムは、共重合体(S)の100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、配合しないことが好ましい。
共重合体(S)以外の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用樹脂が挙げられる。
ゴムとしては、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが挙げられる。
[共重合体組成物の製造]
本態様の共重合体組成物を得るには、公知の一般的なゴム組成物と同様の方法を採用し得る。具体的には、以下の通りである。
バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、例えば、共重合体(S)ならびに他の成分を80~170℃の温度で3~10分間混練(第一混練)した後、ヒドロシリル基含有化合物(Y)、白金系触媒、必要に応じて、反応抑制剤、補強剤、軟化剤等の他の配合剤や他のゴムや樹脂などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度50~80℃で5~30分間混練(第二混練)した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状の共重合体組成物が得られる。
本態様の共重合体組成物を得るには、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、必要に応じてその他の成分を混練(第一混練)した後、得られた混練物に、白金系触媒および反応抑制剤と、必要に応じてその他の成分を加えて混練(第二混練)することも好ましい。
具体的には、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、必要に応じてその他の成分を、80~170℃で1~10分間混練、好ましくは110~170℃の温度で3~8分間混練(第一混練)した後、得られた混練物に、白金系触媒および反応抑制剤と、必要に応じてその他の成分を加え、10~100℃で1~10分間混練、好ましくは20~80℃の温度で3~7分間混練(第二混練)する方法が採用できる。
カーボンブラックを配合する場合、第一混練時と第二混練時のいずれで加えてもよいが、第一混練時に加えることが好ましい。カーボンブラック以外の補強剤、軟化剤などを加える場合も同様である。
その他のゴム配合剤、例えば、α,β-不飽和有機酸の金属塩、脱水剤、老化防止剤、充填剤、加工助剤、活性剤、可塑剤、粘着付与剤等の配合剤を加える場合は、第一混練時に加えることが好ましく、架橋助剤、架橋促進剤および発泡剤は第二混練時に加えることが好ましい。
第一混練に用いる混練装置は、高温で処理できる装置であれば、種々公知の混練装置を使用し得る。具体的には、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などが挙げられる。
第二混練に用いる混練装置は、温度制御が容易なロール、ニーダー、押出機が挙げられる。
各成分の混練を、第一混練と第二混練に分けて混練すると、全成分を分けずに混練する場合と比べて混練時間の短縮が可能である。かつ、第一混練時に架橋が進行することを抑制できるため第一混練時の温度を上げることができ、より短時間で水分を除去することが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定方法・評価方法>
各例の共重合体、未架橋の共重合体組成物(後述の第二段階の混練を終了した直後の共重合体組成物、以下同じ)および架橋成形体の物性の測定や評価は以下の方法で行った。
[共重合体の組成]
共重合体の、各構成単位の質量分率(質量%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C-NMRのスペクトルを測定して得た。
[共重合体の分子量]
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、3D-GPCで測定される数値を意味する。
上述の(3)および式(3’)におけるMwを3D-GPCを用いて構造解析法により求める方法と同様にして測定した。
[共重合体の極限粘度]
共重合体の極限粘度[η]は、(株)離合社製全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
[共重合体のP値]
レオメーターとして、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)、および周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(いずれも単位はPa・sec)を測定した。また、得られた結果より、η* (ω=0.1)とη* (ω=100)との複素粘度の比(η*比)である共重合体のP値(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))を算出した。
[共重合体の長鎖分岐数]
1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、上述の方法により求めた。
[共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)]
各例における未架橋の共重合体組成物の125℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)125℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、125℃の条件下で測定した。
[共重合体組成物の架橋挙動(tc90)]
各例における未架橋の共重合体組成物を用いて、JIS K6300-2に準じて、所定の架橋温度で加熱した際に測定される架橋曲線より、以下の値を求めた。測定には、MDR2000(アルファテクノロジーズ製)を用いた。
「S'max」(dNm):最大トルク値S'maxである。
「S'min」(dNm):最小トルク値S'minである。
「S'max-S'min」(dNm):最大トルク値S'maxと最小トルク値S'minの差である。
「tc90(180℃)分」:温度180℃の条件下で、最小トルク値S’minから、「S’max-S’min」の90%に相当するトルク値と、最小トルク値S'minとの和に相当するトルク値に到達するまでの時間である。
[形状保持率]
内径:高さ13mm×横幅11mm、肉厚:1.5mmのチューブ状ダイスを用いて、チューブ状に押出成形した予備成形体の高さおよび水平方向長さ(横幅)と、縦横を変えることなく架橋および発泡して得られる発泡成形体の高さおよび水平方向長さ(横幅)との比を測定し、形状保持率(%)とした。
形状保持率(%)=(L/D)/(L0/D0)×100
式中、L0は予備成形体の高さ;D0は予備成形体の横幅;Lは発泡成形体の高さ;Dは発泡成形体の横幅を表す。
[比重]
チューブ状発泡成形体の上部を20mm×20mmの試験片で打ち抜き、表面の汚れをアルコールで拭き取った。この試験片を25℃雰囲気下で自動比重計(東洋精機製作所製:M-1型)に取り付け、空気中と純水中の質量の差から比重測定を行った。
[表面粗度(10点平均粗さ)]
チューブ状発泡成形体の表面粗度は、触針式表面粗度測定器を用いて、チューブ状発泡成形体スポンジの上面の凹凸を数値化して表した。実際には、発泡成形体を長さ50mmに切断し、抜き取り部分のうちで「最高から10番目までの凸部分の高さの総和(h1)」から、「最低から10番目までの凹部分の高さの総和(h2)」を差し引いた値(h1-h2)を10で除した値を、チューブ状発泡成形体の表面粗度(μm)とした。
[チューブ状発泡成形体の圧縮永久歪み(CS)]
チューブ状発泡成形体を長さ方向に30mm切断し、得られた試験片を圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの1/2になるよう圧縮し、金型ごと70℃のギヤーオーブン中にセットして197時間熱処理した。次いで、試験片を金型から取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から圧縮永久歪み(CS)(%)を算出した。
圧縮永久歪み(CS)(%)={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
<共重合体の製造>
各例で用いた共重合体は以下の製造例の方法で製造した。各製造例で得られた共重合体の要件(i)~要件(v)に関する数値を表1に示す。
[製造例1:エチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)の製造]
容積300リットルの重合反応器に、ライン1より脱水精製したヘキサン溶媒を58.3L/hr、ライン2よりトリイソブチルアルミニウム(TiBA)を4.5mmol/hr、(CCB(Cを0.150mmol/hr、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.030mmol/hrで連続的に供給した。
同時に前記重合反応器内に、エチレンを6.6kg/hr、プロピレンを9.3kg/hr、水素を18リットル/hr、VNBを340g/hrで、各々別ラインより連続供給し、重合温度87℃、全圧1.6MPaG、滞留時間1.0時間の条件下で共重合を行ない、共重合体(S-1)を得た。
表1に示すように、共重合体(S-1)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、2.8dL/gであった。また、共重合体(S-1)は、要件(i)~(v)を全て満たしていた。
Figure 2024032013000009
<ヒドロシリル基含有化合物>
[架橋剤(Y-1)]
各例で用いた架橋剤(Y-1)は以下のようにして調製した。
反応器に下記式(a-1-1)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン536gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃まで加温した。
白金-1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.3wt%)を0.4g添加し、α-メチルスチレン265gを反応温度40~90℃に保つように滴下した。
Figure 2024032013000010
滴下終了後に85℃で攪拌を2時間継続した後、反応液を0.5g採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi-H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積からSi-H基の反応率を計算する)によりSi-H基の反応率が約36%であることを確認した。次に反応液を減圧下で135℃に加熱して2時間低沸分を溜去し、ヒドロシリル基含有化合物である架橋剤(Y-1)を673g得た。
得られた架橋剤(Y-1)は、29Si-NMRにより、下記式(a-1)で示される化合物であることを確認した。
得られた架橋剤(Y-1)について、25℃においてウベローデ型粘度管を使用してJIS-Z-8803に沿って粘度を測定したところ、26mm/sであった。
Figure 2024032013000011
<その他の成分>
各例で用いたその他の成分は下記のとおりである。
カーボンブラック:旭カーボン(株)製、旭#50HG。
軟化剤:出光興産(株)製、ダイアナ(登録商標)プロセスPS-430、パラフィン系プロセスオイル。
白色充填剤:備北粉化工業(株)製、ホワイトンSB、重質炭酸カルシウム。
酸化防止剤:BASFジャパン(株)製、イルガノックス1010、ヒンダードフェノール系酸化防止剤。
脱水剤:井上石灰工業(株)製、ベスタPP、酸化カルシウム。
発泡剤:永和化成工業(株)製、セルボンFE-507、重曹系発泡剤。
反応抑制剤:日信化学工業(株)製、1-エチニル-1-シクロヘキサノール。
触媒:ダウ・東レ製、SRX212Catalyst、塩化白金酸と1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯塩。
<実施例1>
[未架橋の共重合体組成物の調製]
本例で用いた共重合体組成物は、以下のように調製した。
第一段階として、BB-4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、表2の原料1に示す原料を140℃で2分間混練した。混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2とした。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、同じ混練条件で1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、8インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、表2の原料2に示す原料を加え、10分間混練して未架橋の共重合体組成物を得た。
得られた未架橋の共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を表2に示す。
[チューブ状発泡成形体の製造]
チューブ状ダイス(高さ13mm×横幅11mm、ダイス孔の外径:50mm、肉厚:1.5mm)を装着した押出成形機を用い、未架橋の共重合体組成物(原料組成物)をダイス温度80℃、シリンダー温度50℃の条件で上向きに連続的に押出して、チューブ状の予備成形体(長尺物)を成形した。図1に示すように、押し出された予備成形体を直ちに第1の架橋槽内に導入し、鉛直方向上向きに走行させながら遠赤外線を照射して加熱させた。この後、第1の架橋槽外に導出し、プーリーで走行方向を反転して第2の架橋槽内に導入し、鉛直方向下向きに走行させながら遠赤外線を照射して加熱した。第1の架橋槽と第2の架橋槽の鉛直方向の高さは同じであり、走行速度は一定とした。
このようにして予備成形体を加熱して架橋および発泡を行い、チューブ状発泡成形体を得た。
第1の架橋槽における加熱は成形体の温度が160℃となる条件とし、第2の架橋槽における加熱は成形体の温度が180℃となる条件とした。
成形時間は、第1の架橋槽を通過するのに要した時間と第2の架橋槽を通過するのに要した時間の合計とした。成形時間を表2に示す。
得られたチューブ状発泡成形体の物性等を評価した。結果を表2に示す。
<比較例1>
本例では、実施例1と同じ未架橋の共重合体組成物を用い、横型の架橋装置で加熱して架橋および発泡を行った。本例で用いた架橋装置は、密閉可能な加熱槽と、加熱槽内を水平方向に走行するコンベアと、前記コンベア上に載置された長尺物にUHF(極超短波電磁波)を照射するヒーター備える。
チューブ状ダイス(高さ13mm×横幅11mm、ダイス孔の外径:50mm、肉厚:1.5mm)を装着した押出成形機を用い、未架橋の共重合体組成物(原料組成物)をダイス温度80℃、シリンダー温度50℃の条件で横向きに連続的に押出して、チューブ状の予備成形体(長尺物)を成形した。
押し出された予備成形体を直ちに横型の架橋槽内に導入して加熱し、架橋および発泡を行い、チューブ状発泡成形体を得た。
架橋槽における加熱は熱空気の設定温度が250℃、電磁波の出力を1kWとなる条件とした。
成形時間は架橋槽を通過するのに要した時間とした。成形時間を表2に示す。
得られたチューブ状発泡成形体の物性等を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024032013000012
上記実施例1及び比較例1における成形時間は、発泡成形体の比重が0.5~0.6の範囲内となるように設定した。
表2の結果に示されるように、実施例1と比較例1は同じ共重合体組成物を用い、比重が同程度となるように加熱したにも関わらず、縦型の加熱槽を用いた実施例1は、横型の加熱槽を用いた比較例に比べて、成形時間が短縮され、形状保持率が向上した。
また、一般的に、発泡成形体の製造においては成形時間が長いほど圧縮永久歪み(CS)が低減する傾向がある。表2に示されるように、実施例1より比較例1の方が、成形時間が長いにもかかわらず、実施例1の発泡成形体は、比較例1の発泡成形体より圧縮永久歪みが低減した。
1 架橋装置
2 第1の架橋槽
2a 上蓋体
2b 下蓋体
2c 扉
3 第2の架橋槽
3a 上蓋体
3b 下蓋体
3c 扉
4 プーリー
5 押出成形機
6 ローラー
7 遠赤外線ヒーター
10 長尺物

Claims (8)

  1. 共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒とを含む共重合体組成物を予備成形し、得られた予備成形体を吊り下げた状態で遠赤外線を照射して架橋する架橋工程を有する、架橋成形体の製造方法であって、
    前記共重合体(S)が、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
    前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)が下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、架橋成形体の製造方法。
    (i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
    (ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
    Figure 2024032013000013
    Figure 2024032013000014
    (式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
  2. 前記共重合体(S)が、下記要件(iii)~(v)のうちの1または2以上の要件を満たす、請求項1に記載の架橋成形体の製造方法。
    (iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
    (nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
    但し、式(1)において、(Mw)は共重合体(S)の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
    (iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
    P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
    (v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
    LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
  3. 前記共重合体(S)が、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位として、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構成単位を含む、請求項1に記載の架橋成形体の製造方法。
  4. 前記予備成形体が長尺物である、請求項1に記載の架橋成形体の製造方法。
  5. 前記共重合体組成物が、さらに発泡剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋成形体の製造方法。
  6. 前記架橋成形体が、ウェザーストリップスポンジである、請求項5に記載の架橋成形体の製造方法。
  7. 原料組成物を上向きに連続的に押出して長尺物を成形する押出成形機と、
    前記長尺物を吊り下げた状態で上向きに走行させた後、吊り下げた状態で下向きに走行させるプーリーと、
    上向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第1の架橋槽と、
    下向きに走行している前記長尺物に遠赤外線を照射する第2の架橋槽とを有する、架橋装置。
  8. 請求項7に記載の架橋装置を用いた架橋方法であって、
    前記原料組成物が、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒とを含む共重合体組成物であり、
    前記共重合体(S)が、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
    前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)が下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、架橋方法。
    (i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
    (ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S)を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
    Figure 2024032013000015
    Figure 2024032013000016
    (式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
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