JP6997018B2 - エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物 - Google Patents

エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物 Download PDF

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本発明は、熱空気下で架橋しても成形体の表面が劣化せず、かつ耐傷付き性、圧縮永久歪みに優れる成形体を得るに好適なエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物に関する。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(以下、EPDMと略す場合がある)をヒドロシリル架橋して得られる共重合体組成物(特許文献1)は、イオウ加硫や過酸化物架橋と比較して機械的強度、耐熱老化性、圧縮永久歪み、ブルーム性に優れ、連続架橋が可能であることなどの特徴を有し、パッキン、ガスケット等シール部品への応用が期待される。
EPDMからなる共重合体組成物は、EPDMにさまざまな架橋剤、触媒、充填剤、配合剤を段階的に加えながら所定の温度条件下で段階的に混練して得られる。しかしながら、EPDMの炭素-炭素二重結合とヒドロシリル基含有化合物とによるヒドロシリル架橋反応は、温度がかかる混練の初期段階から既に開始されるため、混練途中での加工性が徐々に低下する。そのため、架橋反応を抑制する目的で、反応抑制剤が配合される場合がある。
特開2006-290917号公報
本発明の目的は、熱空気下で架橋しても成形体の表面が劣化せず、かつ耐傷付き性、圧縮永久歪みに優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む成形体を得ることにある。
本発明は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有し、下記(i)~(v)の要件を満たすことを特徴とするエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)を含む層(I)と、
ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)を含む層(II)とが直接接していることを特徴とする積層体に係る。
Figure 0006997018000001
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
本発明の積層体は熱空気下で架橋しても成形体の表面劣化が起こらず、且つ得られる架橋成形体は引張強度、および圧縮永久歪みに優れる。
《層(I)》
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)>
本発明の積層体の層(I)を形成するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)〔以下、「共重合体(S)」と略称する場合がある。〕は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有する。
Figure 0006997018000002
このような本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、上記(A)、(B)、(C)に由来する構造単位に加えて、さらに上記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を有していてもよい。
炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素原子数3~8のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα-オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。これらのα-オレフィンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
すなわち、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、少なくとも1種の炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリル架橋が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(C)がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン(C)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、エチレン(A)、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)および前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位に加えて、さらに、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
このような非共役ポリエン(D)としては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリル架橋時の架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン(D)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を含む場合、その割合は本発明の目的を損なわない範囲において特に限定されるものではないが、通常、0~20重量%、好ましくは0~8重量%、より好ましくは0.01~8重量%程度の重量分率で含む(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)の重量分率の合計を100重量%とする)。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、上述の通り、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、上記非共役ポリエン(C)と、必要に応じて上記非共役ポリエン(D)とに由来する構成単位を有する共重合体であって、下記(i)~(v)の要件を満たす。
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
本明細書において、前記(i)~(v)をそれぞれ、要件(i)~(v)とも記す。また、本明細書において、「炭素原子数3~20のα-オレフィン」を単に「α-オレフィン」とも記す。
(要件(i))
要件(i)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中のエチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1を満たすことを特定するものであり、このモル比は好ましくは50/50~90/10、より好ましくは55/45~85/15、さらに好ましくは55/45~78/22を満たすことが望ましい。このような本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ヒドロシリル架橋して得られるパッキンなどの成形体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中のエチレン量(エチレン(A)に由来する構成単位の含量)およびα-オレフィン量(α-オレフィン(B)に由来する構成単位の含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
(要件(ii))
要件(ii)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中において、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中(すなわち全構成単位の重量分率の合計100重量%中)、0.07重量%~10重量%の範囲であることを特定するものである。この非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率は、好ましくは0.1重量%~8.0重量%、より好ましくは0.5重量%~5.0重量%であることが望ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が、要件(ii)を満たすと、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物から得られる成形体が充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなるため好ましく、層(II)に含まれる後述のヒドロシリル基含有化合物(Y)に加え有機過酸化物架橋を併用した場合には、早い架橋速度を示すものとなり、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が、成形体の製造に好適なものとなるため好ましい。
なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中の非共役ポリエン(C)量(非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
(要件(iii))
要件(iii)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)において、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、共重合体中における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、次の関係式(1)を満たすことを特定するものである。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が、要件(iii)を満たす場合、VNBなどの非共役ポリエン(C)に由来する構造単位の含有量が適切であって、十分なヒドロシリル架橋性能および有機過酸化物架橋性能を示すとともに、本発明に係る共重合体(S)を含む層を架橋して得られる成形体は、架橋速度に優れ、架橋後の成形体が、引張強度、モジュラス、および圧縮永久歪みに優れるため好ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、より好ましくは、下記関係式(1')を満たすことが望ましい。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦35 … 式(1')
なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、「Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量」が前記式(1)あるいは(1')を満たす場合には架橋程度が適切となり、これを用いることにより機械的物性と耐熱老化性とにバランスよく優れた成形体を製造することができる。「Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量」が少なすぎる場合には、ヒドロシリル架橋と有機過酸化物架橋とを併用する際に架橋性が不足して架橋速度が遅くなることなることがあり、また多すぎる場合には過度に架橋を生じて得られる成形体の機械的物性が悪化する場合がある。
(要件(iv))
要件(iv)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)とが、下記式(2)を満たすことを特定するものである。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
ここで、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構成単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、従来公知のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより上記式(2)を満たすことができると考えられる。本発明において、P値は、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%、周波数を変えた条件で測定を行って求めた、0.1rad/sでの複素粘度と、100rad/sでの複素粘度とから、比(η*比)を求めたものである。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、好ましくは、下記式(2')を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×5.7 … 式(2')
なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定される値を意味する。
(要件(v))
要件(v)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たすことを特定するものである。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
上記式(3)により、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。
このようなエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、含まれる長鎖分岐の割合が少なく、ヒドロシリル架橋と有機過酸化物架橋とを併用する場合の硬化特性に優れるとともに、これを用いて得られる成形体が耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、好ましくは、下記式(3')を満たす。
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw) ‥ 式(3')
ここで、Mwと1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めることができる。本明細書においては、具体的には、次のようにして求めた。
3D-高温GPC装置PL-GPC220型(Polymer Laboratories社製)を用い、絶対分子量分布を求め、同時に粘度計で極限粘度を求めた。主な測定条件は以下の通り。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.5mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定した。
粘度計より得られた極限粘度と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg'iを式(v-1)から算出した。
Figure 0006997018000003
ここで、[η]=KMv;v=0.725の関係式を適用した。
また、g'として各平均値を下記式(v-2)、(v-3)、(v-4)から算出した。なお、短鎖分岐のみを有すると仮定したTrendlineは試料ごとに決定した。
Figure 0006997018000004
更にg'wを用いて、分子鎖あたりの分岐点数BrNo、炭素1000個あたりの長鎖分岐数LCB1000C、単位分子量あたりの分岐度λを算出した。BrNo算出はZimm-Stockmayerの式(v-5)、また、LCB1000Cとλの算出は式(v-6)、(v-7)を用いた。gは慣性半径Rgから求められる長鎖分岐パラメーターであり、極限粘度から求められるg'との間に次の単純な相関付けが行われている。式中のεは分子の形に応じて種々の値が提案されている。ここではε=1(すなわちg'=g)と仮定して計算を行った。
Figure 0006997018000005
λ=BrNo/M …(V-6)
LCB1000C=λ×14000 …(V-7)
*式(V-7)中、14000はメチレン(CH2)単位で1000個分の分子量を表す。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、極限粘度[η]が好ましくは0.1~5dL/g、より好ましくは0.5~5.0dL/g、さらに好ましくは0.9~4.0dL/gであることが望ましい。
また本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、重量平均分子量(Mw)が好ましくは10,000~600,000、より好ましくは30,000~500,000、さらに好ましくは50,000~400,000であることが望ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、上記の極限粘度[η]および重量平均分子量(Mw)を兼ね備えて満たすことが好ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)では、非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、VNBであることがより好ましい。すなわち上述した式(1)、式(2)ならびに後述する式(4)等において、「(C)の重量分率」が「VNBの重量分率」(重量%)であることが好ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、上述したように、上記(A)、(B)および(C)に由来する構造単位に加えて、さらに、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を、0重量%~20重量%の重量分率(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)の重量分率の合計を100重量%とする)で含むことも好ましい。この場合には、下記(vi)の要件を満たすことが好ましい。
(要件(vi))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、共役ポリエン(D)に由来する構成単位の重量分率((D)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)と、共役ポリエン(D)の分子量((D)の分子量)とが、下記式(4)を満たす。
4.5≦Mw×{((C)の重量分率/100/(C)の分子量)+((D)の重量分率/100/(D)の分子量)}≦45 … 式(4)
式(4)では、共重合体1分子中の非共役ジエン((C)と(D)の合計)の含量を特定している。
上記(D)に由来する構造単位を含むエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が式(4)を満たす場合、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の組成物から得られる成形体が優れた機械物性と耐熱老化性を示すものとなるため好ましい。
要件(vi)を満たさず、式(4)中の「Mw×{((C)の重量分率/100/(C)の分子量)+((D)の重量分率/100/(D)の分子量)}」が少なすぎる場合、すなわち非共役ジエンの含量が少なすぎる場合には、十分な架橋がなされず適切な機械物性が得られない場合があり、多すぎる場合にはヒドロキシ架橋と有機過酸化物架橋とを併用して得られる成形体の機械物性が悪化する場合がある他、耐熱老化性が悪化する場合がある。
(要件(vii))
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、特に限定されるものではないが、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン(c)に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 … 式(5)
ここで、複素粘度η* (ω=0.01)および複素粘度η* (ω=10)は、要件(vi)における複素粘度η* (ω=0.1)および複素粘度η* (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
また、非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
(C)に由来する見かけのヨウ素価=(C)の重量分率×253.81/(C)の分子量
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(C)の含有量の指標を表す。要件(vii)を満たし、上記式(5)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方上記式(5)を満たさない場合には、共重合した非共役ポリエン(C)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いこと分かる。
またさらに本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位を十分量含有することが好ましく、共重合体中における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、共重合体の重量平均分子量(Mw)とが、下記式(6)を満たすことが好ましい。
6-0.45×Ln(Mw)≦(C)の重量分率≦10 …式(6)
また本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数(nC)が、好ましくは6個以上、より好ましくは6個以上40個以下、さらに好ましくは7個以上39個以下、またさらに好ましくは10個以上38個以下であることが望ましい。
このような本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、VNBなどの非共役ポリエン(C)から導かれる構成単位を十分量含有し、かつ、長鎖分岐含有量が少なく、ヒドロキシ架橋と有機過酸化物架橋とを併用して架橋を行う場合の硬化特性に優れ、成形性がよく、機械的特性などの物性バランスに優れるとともに特に耐熱老化性に優れる。
さらに本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(D)に由来する構成単位の数(nD)が、好ましくは29個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは1個未満であることが望ましい。
このような本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、ENBなどの非共役ポリエン(D)から導かれる構成単位の含有量が本発明の目的を損なわない範囲に抑制されており、後架橋を生じにくく、十分な耐熱老化性を有するため好ましい。
ここで、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数(nC)あるいは非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数(nD)は、非共役ポリエン(C)または(D)の分子量と、共重合体中における非共役ポリエン(C)または(D)に由来する構成単位の重量分率((C)または(D)の重量分率(重量%))と、共重合体の重量平均分子量(Mw)とから、下記式により求めることができる。
(nC)=(Mw)×{(C)の重量分率/100}/非共役ポリエン(C)の分子量
(nD)=(Mw)×{(D)の重量分率/100}/非共役ポリエン(D)の分子量
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)および(D)に由来するそれぞれの構成単位の数(nc)および(nD)が、いずれも上記の範囲を満たす場合には、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が、長鎖分岐含有量が少なく、かつ、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)を含む組成物をヒドロキシ架橋と有機過酸化物架橋とを併用して架橋を行う場合の架橋速度が速く、得られる成形体の機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、後架橋を生じにくく特に耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の製造>
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)と、必要に応じて前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に1つのみ2含む非共役ポリエン(D)とからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、前記の要件(i)~(v)を満たす限りにおいて、どのような製法で調製されてもよいが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、具体的には、例えば、国際公開第2015/122495号パンフレット記載のメタロセン触媒に記載の方法を採用することにより製造することができる。
本発明の積層体の層(I)を形成する共重合体(S)には、上記成分に加え、本発明の目的が損なわれない限り、それ自体公知のゴム配合剤、例えば、有機過酸化物、α,β-不飽和有機酸の金属塩、カーボンブラック、軟化剤、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、充填剤、加工助剤、活性剤、酸化防止剤、発泡剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
〔有機過酸化物〕
本発明に係わる共重合体(S)に配合される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドが挙げられる。
本発明に係わる共重合体(S)が有機過酸化物を含む場合は、上記共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1~10質量部の範囲で含む。
本発明に係わる共重合体(S)が有機過酸化物を含むと、圧縮永久歪みに優れる積層体からなる成形体を提供することができる。
〔カーボンブラック〕
本発明に係わる共重合体(S)が、特定量のカーボンブラックを含有すると、共重合体(S)の加工性を向上させ、しかも引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上した共重合体組成物を得ることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、旭#55G、旭#60G(以上、旭カーボン(株)製)、シースト(SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT、G-SO等)(以上、東海カーボン(株)製)などの公知のものを使用することができる。これらは、単独で使用することもできるし、併用することもできる。また、シランカップリング剤などで表面処理したものを使用することもできる。
本発明に係わる共重合体(S)がカーボンブラックを含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.5~50質量部、特に好ましくは1~20質量部の範囲で用いられる。カーボンブラックの配合量が前記範囲内にあれば、動倍率(動的弾性率/静的弾性率)、加工性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
〔軟化剤〕
軟化剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。なかでも石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましく、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等がさらに好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。これらの軟化剤は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に係わる共重合体(S)が軟化剤を含む場合は、上記共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは20~150質量部、より好ましくは20~80質量部、特に好ましくは20~70質量部の範囲で用いられる。軟化剤の配合量が前記範囲内にあれば、タックが少なく、加工性、耐熱老化性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
〔老化防止剤〕
老化防止剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の老化防止剤を用いることができる。具体的には、イオウ系老化防止剤、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤などが挙げられる。
本発明において、老化防止剤は、単独で用いてもよいが、高温下で、長時間の耐熱老化性を維持する点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明に係わる共重合体(S)がイオウ系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.2~8質量部、特に好ましくは0.2~6質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でイオウ系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明に係わる共重合体(S)の架橋を阻害することもないため好ましい。
本発明に係わる共重合体(S)がフェノール系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~5質量部、より好ましくは0.5~4質量部、特に好ましくは0.5~3質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でフェノール系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明に係わる共重合体(S)の架橋を阻害することもないため好ましい。
本発明に係わる共重合体(S)がアミン系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~4質量部、特に好ましくは0.2~3質量部の範囲で用いられる。前記範囲でアミン系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明に係わる共重合体(S)の架橋を阻害することもないため好ましい。
〔架橋助剤〕
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して好ましくは0.5~2モル、より好ましくは約等モルの量で用いられる。
〔充填剤〕
充填剤としては、例えば、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係わる共重合体(S)が充填剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対し、好ましくは1~500質量部、より好ましくは1~400質量部、さらに好ましくは1~300質量部の範囲で用いられる。充填剤の配合量が前記範囲内であると、得られる成形体の引張強度、引裂強度、耐摩耗性等の機械的性質を向上させることができる。
〔加工助剤〕
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明に係わる共重合体(S)が加工助剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、共重合体組成物の混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れる。
〔活性剤〕
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明に係わる共重合体(S)が活性剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~15質量部、好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~8質量部の範囲で適宜配合することができる。
本発明では、必要に応じて用いられる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用樹脂が挙げられる。また、本発明では、必要に応じて用いられるゴムとしては、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどをブレンドして用いることができる。
また、上記共重合体(S)とは異なるが類似するゴム(EPT)、更には、上記共重合体(S)同士であっても、(イ)エチレン/炭素数3~20のα-オレフィンのモル比、(ロ)ヨウ素価、または(ハ)極限粘度[η]が異なる上記共重合体(S)同士を2種以上混合して用いることもできる。特に、(ハ)においては、低極限粘度成分と高極限粘度の混合が挙げられる。
《層(II)》
本発明の積層体を形成する層(II)は、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)、好ましくは、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対して、上記白金系触媒(Z)を0.01~10質量部、および下記式[III]で表される反応抑制剤(D)を0~20質量部の範囲で含む層である。
<ヒドロシリル基含有化合物(Y)>
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれる成分の一つであるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と反応して架橋剤として作用する。このヒドロシリル基含有化合物(Y)は、従来から製造・市販されている、例えば、線状、環状、分岐状の各構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物など、その構造においていずれでも使用可能であるが、本発明で用いるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含んでいなければならない。
このようなヒドロシリル基含有化合物(Y)は、通常、下記の一般式で表わされる化合物を使用することができる。
4 bcSiO(4-b-c)/2
上記一般式において、R4は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1~10、特に炭素原子数1~8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基に至る、n-、iso-、sec-、tert-などの異性体を含むアルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、例えばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
上記一般式において、bは、1≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、1<c≦3、好ましくは1≦c<2であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
本発明に係るヒドロシリル基含有化合物(Y)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2~1000個、特に好ましくは2~300個、最も好ましくは4~200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R2 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2単位とからなり、任意にR2 3SiO1/2 単位、R2 2SiO2/2 単位、R2(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2 またはR2SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
(CH33SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH33
(式中のdは2以上の整数である。)
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
(CH33SiO-(-Si(CH32-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH33
(式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。)
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)e-Si(CH32
(式中のeは1以上の整数である。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH32O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH32
(式中のeは1以上の整数である。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH32
(式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。)
以上のような化合物は、公知の方法により製造することができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、-10℃~+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
<白金系触媒(Z)>
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれる成分の一つであるヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)は、付加反応触媒であり、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。
具体的な白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。
より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
<反応抑制剤(D)>
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれてもよい成分の一つである反応抑制剤(D)は、層(I)に含まれるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、層(II)に含まれるヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。
本発明に係わる反応抑制剤(D)の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール;1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール類;、アクリロニトリル;N,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミドなどアミド化合物);その他、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
これら化合物の中でも3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが特に好ましい。
《積層体》
本発明の積層体は、上記共重合体(S)を含む層(I)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と白金系触媒(Z)、必要に応じて反応抑制剤(D)とを含む層(II)が直接接していることを特徴としている。
上記の層(II)は液体であっても固体であってもよい。また、その他の成分として樹脂、溶媒、添加剤等を含んでいてもよい。
層(II)は、ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対し、上記白金系触媒(Z)を、通常0.01~10質量部、好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.01~3質量部、上記反応抑制剤(D)を、通常0~20質量部、好ましくは0~15質量部、より好ましくは0~10質量部の範囲で含む。
層(I)と層(II)は公知の方法で積層することができる。層(II)が液体である場合は、層(I)に塗布してもよい。塗布はスプレー等の噴霧でも、刷毛や市販のコーターを使用してもよい。
本発明の積層体は、種々用途、たとえば、架橋体や発泡体などは、様々な用途に用いることができる。具体的には、タイヤ用ゴム、O-リング、工業用ロール、パッキン(例えばコンデンサーパッキン)、ガスケット、ベルト(例えば、断熱ベルト、複写機ベルト、搬送ベルト)、自動車用ホースなどのホース類(例えば、ウォーターホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホース、エアーホース)、防振ゴム、防振材あるいは制振材(例えば、エンジンマウント、モーターマウント)、マフラーハンガー、スポンジ(例えば、ウェザーストリップスポンジ、断熱スポンジ、プロテクトスポンジ、微発泡スポンジ)、ケーブル(イグニッションケーブル、キャブタイヤケーブル、ハイテンションケーブル)、電線被覆材(高圧電線被覆材、低電圧電線被覆材、舶用電線被覆材)、グラスランチャネル、カラー表皮材、給紙ロール、ルーフィングシート等に好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で行った共重合体の物性は前記記載の測定方法で、共重合体組成物等の物性は、以下測定方法で評価した。
〈引張破断点応力〔TB〕および引張破断点伸び〔EB〕〉
架橋シートからJIS K-6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を調製した。この試験片を用いて、JIS K-6251第3項に規定されている方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断点応力〔TB〕(MPa)および引張破断点伸び〔EB〕(%)を求めた。
〈圧縮永久歪み(CS)〉
厚み2mmの架橋シートを20mm角に切断し、6枚重ねて得られた試験片を圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの25%相当を圧縮し、金型ごと100℃のギヤーオーブン中にセットして168時間熱処理した。次いで、試験片を金型から取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から圧縮永久歪み(CS)(%)を算出した。
圧縮永久歪み(CS)(%)={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
〈架橋密度〉(個/cc)
架橋密度νは下記の平衡膨潤を利用したFlory-Rehnerの式(a)から算出した。式(a)中のVRは架橋した2mmシートを37℃×72hの条件でトルエン抽出して求めた。
Figure 0006997018000006
〈表面状態(粘着性)〉
架橋シートの表面状態は以下の3段階で評価した。
×;触ると手に黒色粘調物が付着
〇;表面に滑り性がある
◎表面の滑り性が極めて高い
[エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造]
〔製造例1〕
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:53.6L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が5.1kg/h、プロピレン量が7.5kg/h、VNBフィード量が300g/hおよび水素フィード量が15NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を87℃に保ちながら、主触媒としてジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.0025mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4(CB-3)をフィード量0.0125mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量10mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体を14質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)が、毎時6.9kgの速度で得られた。
得られた共重合体(S-1)の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006997018000007
[実施例1]
《層(I)の製造》
第一段階として、BB-2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)100質量部を30秒間素練りし、次いでこれに、カーボンブラック(旭#50G、旭カーボン(株)社製)75質量部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW-380、出光興産(株)製)40質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、6インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、ジクミルパーオキシド(カヤクミルD-40C、化薬アクゾ社製)6.8重量部を加え10分間混練して未架橋の配合物を得た。
上記第二段階で得られた未架橋の配合物を厚さ2mmのシート状に分出して10cm角のシートからなる層(I)を用意した。
《層(II)の調整》
ヒドロシリル基含有化合物(信越化学(株)製:(CH3)3SiO-(SiH(CH3)-O-)6-Si(CH3)2-O-Si(C6H6)2-O-Si(CH3)3)4gと反応抑制剤(信越化学(株)製:3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)0.3gを23℃で1分間混合攪拌し、この混合液に白金系触媒(信越化学(株)製:塩化白金酸+[CH2=CH(Me)SiO]4錯体)0.1gを加え、23℃で1分間混合攪拌して、3種薬品の混合液を調製した。
《積層体の製造》
前記方法で得た層(I)の表面に、前記方法で調整した3種薬品の混合液を塗布した後、エアーオーブン中170℃で20分間加熱処理を行い、架橋シートを得た。
得られた架橋シートを用い、圧縮永久歪みを測定すると共に、表面状態を観察した。
結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1で得た層(I)の表面に、実施例1で用いた混合液を塗布せずに、エアーオーブン中170℃で20分間加熱処理を行い、架橋シートを得た。得られた架橋シートを得られた架橋シートを用い、圧縮永久歪みを測定すると共に、表面状態を観察した。
結果を表2に示す。
[参考例]
実施例1の第二段階で得られた未架橋の配合物をシート状に分出し、100トンプレス成形機を用いて170℃で10分間プレスし、厚み2mmの架橋シートを調製した。得られた架橋シートの物性を上記記載の方法で評価し、参考例としてその物性を表2に示した。
なお、表2には架橋密度の数値は、×1019個/ccで表示した。
Figure 0006997018000008

Claims (3)

  1. エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有し、下記(i)~(v)の要件を満たすことを特徴とするエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)を含む層(I)と、
    ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)を含む層(II)とが直接接していることを特徴とする積層体。
    Figure 0006997018000009
    (i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である。
    (ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
    (iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
    4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
    (iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
    P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
    (v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
    LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
  2. 層(I)が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量部に対して、有機過酸化物を0.5~15質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 上記層(II)が、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対して、上記白金系触媒(Z)を0.01~10質量部、および更に反応抑制剤(D)を0~20質量部の範囲で含む層である請求項1に記載の積層体。
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