JP6997018B2 - エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物 - Google Patents
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ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)を含む層(II)とが直接接していることを特徴とする積層体に係る。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)>
本発明の積層体の層(I)を形成するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)〔以下、「共重合体(S)」と略称する場合がある。〕は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有する。
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
要件(i)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中のエチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1を満たすことを特定するものであり、このモル比は好ましくは50/50~90/10、より好ましくは55/45~85/15、さらに好ましくは55/45~78/22を満たすことが望ましい。このような本発明のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ヒドロシリル架橋して得られるパッキンなどの成形体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
要件(ii)は、本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)中において、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中(すなわち全構成単位の重量分率の合計100重量%中)、0.07重量%~10重量%の範囲であることを特定するものである。この非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率は、好ましくは0.1重量%~8.0重量%、より好ましくは0.5重量%~5.0重量%であることが望ましい。
要件(iii)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)において、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、共重合体中における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、次の関係式(1)を満たすことを特定するものである。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦35 … 式(1')
なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
要件(iv)は、本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率:重量%)とが、下記式(2)を満たすことを特定するものである。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×5.7 … 式(2')
なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定される値を意味する。
要件(v)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たすことを特定するものである。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
上記式(3)により、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw) ‥ 式(3')
ここで、Mwと1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めることができる。本明細書においては、具体的には、次のようにして求めた。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.5mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
粘度計より得られた極限粘度と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg'iを式(v-1)から算出した。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)では、非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、VNBであることがより好ましい。すなわち上述した式(1)、式(2)ならびに後述する式(4)等において、「(C)の重量分率」が「VNBの重量分率」(重量%)であることが好ましい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、共役ポリエン(D)に由来する構成単位の重量分率((D)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)と、共役ポリエン(D)の分子量((D)の分子量)とが、下記式(4)を満たす。
4.5≦Mw×{((C)の重量分率/100/(C)の分子量)+((D)の重量分率/100/(D)の分子量)}≦45 … 式(4)
式(4)では、共重合体1分子中の非共役ジエン((C)と(D)の合計)の含量を特定している。
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、特に限定されるものではないが、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン(c)に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 … 式(5)
ここで、複素粘度η* (ω=0.01)および複素粘度η* (ω=10)は、要件(vi)における複素粘度η* (ω=0.1)および複素粘度η* (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
(C)に由来する見かけのヨウ素価=(C)の重量分率×253.81/(C)の分子量
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(C)の含有量の指標を表す。要件(vii)を満たし、上記式(5)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方上記式(5)を満たさない場合には、共重合した非共役ポリエン(C)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いこと分かる。
6-0.45×Ln(Mw)≦(C)の重量分率≦10 …式(6)
(nC)=(Mw)×{(C)の重量分率/100}/非共役ポリエン(C)の分子量
(nD)=(Mw)×{(D)の重量分率/100}/非共役ポリエン(D)の分子量
本発明に係るエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)は、エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)と、必要に応じて前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に1つのみ2含む非共役ポリエン(D)とからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
本発明に係わる共重合体(S)に配合される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドが挙げられる。
本発明に係わる共重合体(S)が有機過酸化物を含むと、圧縮永久歪みに優れる積層体からなる成形体を提供することができる。
本発明に係わる共重合体(S)が、特定量のカーボンブラックを含有すると、共重合体(S)の加工性を向上させ、しかも引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上した共重合体組成物を得ることができる。
軟化剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。なかでも石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましく、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等がさらに好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。これらの軟化剤は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
老化防止剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の老化防止剤を用いることができる。具体的には、イオウ系老化防止剤、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤などが挙げられる。
本発明に係わる共重合体(S)がイオウ系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.2~8質量部、特に好ましくは0.2~6質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でイオウ系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明に係わる共重合体(S)の架橋を阻害することもないため好ましい。
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して好ましくは0.5~2モル、より好ましくは約等モルの量で用いられる。
充填剤としては、例えば、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の積層体を形成する層(II)は、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)、好ましくは、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対して、上記白金系触媒(Z)を0.01~10質量部、および下記式[III]で表される反応抑制剤(D)を0~20質量部の範囲で含む層である。
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれる成分の一つであるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と反応して架橋剤として作用する。このヒドロシリル基含有化合物(Y)は、従来から製造・市販されている、例えば、線状、環状、分岐状の各構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物など、その構造においていずれでも使用可能であるが、本発明で用いるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含んでいなければならない。
R4 bHcSiO(4-b-c)/2
上記一般式において、R4は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1~10、特に炭素原子数1~8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基に至る、n-、iso-、sec-、tert-などの異性体を含むアルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、例えばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3
(式中のdは2以上の整数である。)
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3
(式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H
(式中のeは1以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H
(式中のeは1以上の整数である。)
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH3)2H
(式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。)
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれる成分の一つであるヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)は、付加反応触媒であり、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。
本発明の積層体を形成する層(II)に含まれてもよい成分の一つである反応抑制剤(D)は、層(I)に含まれるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)が有するアルケニル基と、層(II)に含まれるヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。
これら化合物の中でも3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが特に好ましい。
本発明の積層体は、上記共重合体(S)を含む層(I)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と白金系触媒(Z)、必要に応じて反応抑制剤(D)とを含む層(II)が直接接していることを特徴としている。
層(II)は、ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対し、上記白金系触媒(Z)を、通常0.01~10質量部、好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.01~3質量部、上記反応抑制剤(D)を、通常0~20質量部、好ましくは0~15質量部、より好ましくは0~10質量部の範囲で含む。
実施例および比較例で行った共重合体の物性は前記記載の測定方法で、共重合体組成物等の物性は、以下測定方法で評価した。
架橋シートからJIS K-6251(1993年)に記載の3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を調製した。この試験片を用いて、JIS K-6251第3項に規定されている方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断点応力〔TB〕(MPa)および引張破断点伸び〔EB〕(%)を求めた。
厚み2mmの架橋シートを20mm角に切断し、6枚重ねて得られた試験片を圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの25%相当を圧縮し、金型ごと100℃のギヤーオーブン中にセットして168時間熱処理した。次いで、試験片を金型から取出し、30分間放冷後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から圧縮永久歪み(CS)(%)を算出した。
圧縮永久歪み(CS)(%)={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間放冷した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
架橋密度νは下記の平衡膨潤を利用したFlory-Rehnerの式(a)から算出した。式(a)中のVRは架橋した2mmシートを37℃×72hの条件でトルエン抽出して求めた。
架橋シートの表面状態は以下の3段階で評価した。
×;触ると手に黒色粘調物が付着
〇;表面に滑り性がある
◎表面の滑り性が極めて高い
〔製造例1〕
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:53.6L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が5.1kg/h、プロピレン量が7.5kg/h、VNBフィード量が300g/hおよび水素フィード量が15NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
得られた共重合体(S-1)の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
《層(I)の製造》
第一段階として、BB-2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)100質量部を30秒間素練りし、次いでこれに、カーボンブラック(旭#50G、旭カーボン(株)社製)75質量部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW-380、出光興産(株)製)40質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
上記第二段階で得られた未架橋の配合物を厚さ2mmのシート状に分出して10cm角のシートからなる層(I)を用意した。
ヒドロシリル基含有化合物(信越化学(株)製:(CH3)3SiO-(SiH(CH3)-O-)6-Si(CH3)2-O-Si(C6H6)2-O-Si(CH3)3)4gと反応抑制剤(信越化学(株)製:3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)0.3gを23℃で1分間混合攪拌し、この混合液に白金系触媒(信越化学(株)製:塩化白金酸+[CH2=CH(Me)SiO]4錯体)0.1gを加え、23℃で1分間混合攪拌して、3種薬品の混合液を調製した。
前記方法で得た層(I)の表面に、前記方法で調整した3種薬品の混合液を塗布した後、エアーオーブン中170℃で20分間加熱処理を行い、架橋シートを得た。
得られた架橋シートを用い、圧縮永久歪みを測定すると共に、表面状態を観察した。
結果を表2に示す。
実施例1で得た層(I)の表面に、実施例1で用いた混合液を塗布せずに、エアーオーブン中170℃で20分間加熱処理を行い、架橋シートを得た。得られた架橋シートを得られた架橋シートを用い、圧縮永久歪みを測定すると共に、表面状態を観察した。
結果を表2に示す。
実施例1の第二段階で得られた未架橋の配合物をシート状に分出し、100トンプレス成形機を用いて170℃で10分間プレスし、厚み2mmの架橋シートを調製した。得られた架橋シートの物性を上記記載の方法で評価し、参考例としてその物性を表2に示した。
なお、表2には架橋密度の数値は、×1019個/ccで表示した。
Claims (3)
- エチレン(A)と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)とに由来する構成単位を有し、下記(i)~(v)の要件を満たすことを特徴とするエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)を含む層(I)と、
ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)およびヒドロシリコン架橋用の白金系触媒(Z)を含む層(II)とが直接接していることを特徴とする積層体。
(ii)非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100重量%中、0.07重量%~10重量%である。
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(C)の分子量((C)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(C)の重量分率/100/(C)の分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の重量分率((C)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の重量分率×6 … 式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3) - 層(I)が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量部に対して、有機過酸化物を0.5~15質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 上記層(II)が、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)、当該ヒドロシリル基含有化合物(Y)100質量部に対して、上記白金系触媒(Z)を0.01~10質量部、および更に反応抑制剤(D)を0~20質量部の範囲で含む層である請求項1に記載の積層体。
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