JP7088148B2 - 活物質複合体の製造装置及び活物質複合体の製造方法 - Google Patents
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電極に用いられる活物質複合体の製造装置であって、
結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を収容して供給する供給部と、
キャリアイオンを吸蔵放出する活物質を収容する収容部と、
前記供給部から供給された前記溶液を吐出して紡糸し、前記収容部の活物質の表面へ繊維状結着材を形成する吐出部と、
を備えたものである。
電極に用いられる活物質複合体の製造方法であって、
結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を用い、平均直径Dが0.03μm以上3μm以下の範囲となるように紡糸し、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質の表面へ繊維状結着材を直接形成する紡糸形成工程、
を含むものである。
本開示の活物質複合体は、二次電池の電極に用いられるものであって、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質と、活物質の表面に1本以上形成され結着材である樹脂を含んで構成される繊維状結着材とを備えたものとする。また、この活物質複合体は、活物質の導電性が低い場合、繊維状結着材に導電材を更に含むものとしてもよい。キャリアイオンは、蓄電デバイスに用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属イオンや第2族元素イオンなどが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオンやナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。第2族元素イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどが挙げられる。ここでは、リチウムイオンを一例として以下説明する。
この製造方法は、蓄電デバイスの電極に用いられる活物質複合体を製造する方法である。この製造方法は、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質の表面へ繊維状結着材を直接形成する紡糸形成工程を含む。ここで、結着材を含む溶液を紡糸するには、紡糸可能なレベルの低粘度溶液にすることが必要である。溶媒で希釈し、低粘度化した溶液は、紡糸時には溶媒を含有する状態であるので密着性が高い。したがって、溶媒が乾燥しないうちに活物質に触れると活物質の周囲に繊維状結着材が自発的に複合化されることになる。このように、この工程では、活物質の表面に直接、繊維状結着材を紡糸するため、紡糸が終了した時点で、製造装置内の活物質全体に繊維状結着材が均一に複合化されることになる。この工程では、上述した活物質複合体で挙げられた特性の部材、例えば、活物質、結着材、導電材や配合比、サイズなどを適宜採用すればよい。例えば、紡糸形成工程では、体積抵抗率が103Ωcm以上である活物質を用いるものとしてもよいし、体積抵抗率が102Ωcm以下である活物質を用いるものとしてもよい。また、活物質は、正極活物質としてもよいし負極活物質としてもよい。
この製造装置は、電極に用いられる活物質複合体を製造する装置である。図3は、活物質複合体製造装置30の一例を示す説明図である。この活物質複合体製造装置30は、活物質複合体10を製造するものであり、上述した活物質複合体の製造方法を実行する装置である。したがって、用いる原料や、配合比、紡糸条件などは、上述した製造方法の内容を適宜採用すればよい。この活物質複合体製造装置30は、チャンバー31と、供給部32と、吐出部33と、収容部コレクタ35と備えている。また、活物質複合体製造装置30は、電圧印加部36や撹拌部38を備えているものとしてもよい。チャンバー31は、吐出部33や収容部コレクタ35を収容する箱体である。供給部32は、結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を収容して吐出部33へ一定速度で供給するものである。この溶液は、例えば、上記紡糸ペーストとしてもよく、導電材を含むものとしてもよい。供給部32は、例えば、シリンジ及びシリンジポンプにより構成してもよい。吐出部33は、供給部32から供給された溶液を吐出して紡糸し、収容部コレクタ35に収容された活物質の表面へ繊維状結着材を形成するものである。この吐出部33には、紡糸ペーストを収容部コレクタ35に向かって吐出するノズルが先端に配設されている。このノズルは、先端に開口を有するが、その開口の大きさは、紡糸する繊維状結着材の太さや、含まれる導電材の大きさに応じて経験的に選択するものとすればよい。例えば、吐出部33は、平均直径Dが0.03μm以上3μm以下の範囲の繊維状結着材を紡糸するものとしてもよい。また、吐出部33は、活物質11の表面に存在する平均凹凸周期よりも長い長さLの繊維状結着材を紡糸するものとしてもよい。活物質複合体製造装置30では、吐出部33のノズル及び紡糸ペーストは、電気的に浮いた状態で配置されており、紡糸ペーストを介してノズルが接地されないように構成されている。収容部コレクタ35は、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質11を収容する容器状のものであり、吐出部33から吐出されて形成された導電繊維状結着材20を受ける部材である。また、この収容部コレクタ35は、アースされている。吐出部33から吐出された繊維状結着材は、静電引力で収容部コレクタ35へ向かって防止される。電圧印加部36は、吐出部33に高電圧(例えば、+10kV以上+50kV以下)を印加するものである。撹拌部38は、収容部コレクタ35に収容された活物質を撹拌、混合するものである。この撹拌部38は、例えば、マグネチックスターラーやそれ以外の回転系スターラー、振動攪拌器、機体流動攪拌器などとしてもよい。
本開示の電極は、上述した活物質複合体を備えたものである。この電極は、活物質の電位に対して対極の電位に基づいて正極又は負極のいずれかとなる。この電極は、集電体上に上述した活物質複合体を形成し、加熱処理して集電体上に固着したものとしてもよい。即ち、上述した活物質複合体は、溶媒を用いてペースト状にして集電体上に塗布するなどの工程は不要であり、活物質複合体をそのまま集電体に形成することができる。即ち、本開示の活物質複合体は、乾燥工程で電極を作製可能なものである。活物質複合体の集電体上への固着は、例えば、加熱プレスなどにより行うことができる。加熱温度は、樹脂の種別に応じて適宜設定すればよいが、例えば、100℃以上や120℃以上、150℃以上としてもよいし、200℃以下や180℃以下、160℃以下などとしてもよい。集電体は、活物質の電位などに応じて適宜選択すればよいが、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、銅、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1~500μmのものが用いられる。活物質複合体の形成量は、蓄電デバイスに求められる所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
本開示の蓄電デバイスは、上述した活物質複合体を有する電極を備えたものである。この蓄電デバイスは、正極活物質の活物質複合体を有する正極と、負極活物質の活物質複合体を有する負極と、のうち少なくとも1以上を有するものとすればよい。例えば、正極及び負極の両者が上記活物質複合体を有する電極としてもよい。また、この蓄電デバイスは、正極と、負極と、正極及び負極の間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体とを備えるものとしてもよい。この蓄電デバイスは、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池、キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、空気電池などのうちいずれかであるものとしてもよい。
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を体積比として90:5:5で混合した混合溶媒に、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF,クレハ製W7300)を溶解した溶液へ、導電材としてのアセチレンブラック(デンカ製HS-100)を添加した。アセチレンブラックは、一次粒径が20~50nmのものを用いた。この溶液を-60℃以下の露点雰囲気で十分に拡散したものを紡糸用ペーストとして用いた。実験例1~6の導電材(炭素材料)の添加量、結着材(樹脂)の濃度、ペースト密度及び溶媒をまとめて表1に示した。なお、PHRは、結着材の固形分の100質量部に対する導電材の質量部を示し、100PHRは、結着材と導電材とが同質量であることを表す。また、表1には、結着材の固形分の100体積部に対する導電材の体積部も示した。導電繊維状結着材の紡糸は、図3Aに示す活物質複合体製造装置30を用いて行った。紡糸工程は、100mm下方に配置しアースしたCu平板のコレクタに向けて、+20kVに電圧を印加した0.4mmのノズルから紡糸用ペーストを2mL/hrの流量で吐出させる条件で行った。なお、ノズル及び紡糸ペーストは、電気的に浮いた状態で配置されており、紡糸ペーストを介してノズルが接地されないようになっている。導電材の添加比が200PHR、150PHR、100PHR、50PHR、30PHR、20PHR及び10PHRであるものをそれぞれ実験例1~7の導電繊維状結着材とした。
実験例1~7のSEM観察を行った。SEM観察は、日立ハイテクノロジーズ社製S-3600Nを用いて1000~5000倍の条件で行った。また、観察結果より、導電繊維状結着材の直径D(μm)を計測し、その上下限値を求めた。
実験例1~7の体積抵抗率を測定した。測定試料は、上記紡糸ペーストを用いて、図5に示す活物質複合体製造装置30Bを用いて紡糸した。図5は、活物質複合体製造装置30Bによる繊維作製及び評価の説明図であり、図5Aが活物質複合体製造装置30Bの説明図、図5Bが得られた導電繊維状結着材の説明図、図5Cが直線状に伸ばした導電繊維状結着材とそのSEM写真、図5Dが距離に対する抵抗の測定概念図である。活物質複合体製造装置30Bは、円周部が鋭角に形成された所定直径(例えば200mm)の円板形状のコレクタ34Bを備えている。コレクタ34Bを回転させながら紡糸すると、その円周部に沿って導電繊維状結着材が紡糸される。上述した紡糸条件により、コレクタ34Bを300rpmで回転させながら30分間紡糸した。これを直線状に伸ばしたサンプルを用いて、繊維の長手方向の抵抗を測定した。ここでは、距離を変えたときの抵抗を測定し(図5C)、その関係図(図5D)の傾きに基づいて体積抵抗率(Ωcm)を求めた。
実験例1~7の結着性の評価を行った。この評価では、上述した電気抵抗の評価を行った導電繊維状結着材の繊維束1cmを15μm角のAl箔集電体に挟んで、含まれる樹脂の融点以上である200℃でロールプレスを行った。常温に戻したあと、Al箔同士が付着しているものを「A」、Al箔が剥がれたものを「C」と評価した。
また、実験例1~7を総合判定した。この評価では、体積抵抗率が10Ωcm以下で且つ結着性「A」であるものを総合判定「A」、体積抵抗率が10Ωcm超過100Ωcm以下の範囲で且つ結着性「A」であるものを総合判定「B」、体積抵抗率が100Ωcm超過、又は結着性「C」であるものを総合判定「C」とした。
図6は、実験例1の導電繊維状結着材のSEM写真であり、図6Bが図6Aの拡大写真である。図6Cは、実験例3の導電繊維状結着材のSEM写真であり、図6Dが図6Cの拡大写真である。図6Eは、実験例5の導電繊維状結着材のSEM写真であり、図6Fが図6Eの拡大写真である。また、実験例1~7の導電材添加比と、結着材濃度、ペースト密度ρ及びペーストの溶媒種別をまとめて表2に示した。図6、表2に示すように、実験例1~7において、紡糸条件及びペーストの粘度を適正化することにより、炭素材料を200PHRまで含む結着材樹脂を繊維状に紡糸することができることが確認された。また、得られた導電繊維状結着材は、容易に解砕することができ、適宜その繊維長さLを調整することができた。また、表2に示すように、実験例1~6では、体積抵抗率が100Ωcm以下であり好ましく、特に実験例1~5では体積抵抗率が10Ωcm以下でありより好ましいことがわかった。また、実験例2~7では、結着性が良好であり、繊維径Dが0.3~3μmと好ましい範囲であった。総合評価としては、導電材が20~150PHRであるものが好ましく、30PHR以上がより好ましいことがわかった。
次に、正極活物質の粒子表面に導電繊維状結着材を形成した複合体を作製した。正極活物質粒子は、平均粒径D50が5μmであるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いた。ここでは、図3に示した活物質複合体製造装置30を用い、実験例2の100PHRの導電繊維状結着材を正極活物質上に紡糸した。静電紡糸は、正極活物質が97.0質量%、導電繊維状結着材が3.0質量%となる組成比で、正極活物質を撹拌しながら、実験例2と同様の条件で行った。得られた複合体を実験例8とした。図7は、実験例8の導電繊維状結着材(図7A)及び正極活物質複合体(図7B)のSEM写真である。図7Aの導電繊維状結着材は、平板状のコレクタに紡糸した。図7Aに示すように、静電紡糸により作製した導電繊維状結着材は、その直径Dが300nm~3μmの範囲内であった。また、この導電繊維状結着材は、体積抵抗率が10-2Ωcmであった。また、図7Bに示すように、活物質粒子の表面には、複数の導電繊維状結着材が形成されていることがわかった。また、導電繊維状結着材は、粒子の凹部の長さYよりも長い長さを有し、凹部の内部に収容されずに外表面に形成されていることがわかった。
従来のスラリー法で正極を作製した。正極活物質としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を用い、活物質を95.3質量%、導電材としてカーボンブラックを2.9質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを3.7質量%混合し、分散材としてN-メチル-2-ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状の正極合材とした。この正極合材を15μm厚のAl箔に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、直径が16mmとなるように打ち抜き、これを正極とした。この正極を用いた以外は、実験例8と同様にハーフセルを組み立て、得られたものを実験例9とした。
特開2016-72152号公報の製造方法に基づき、粒子状の結着材と粒子状の導電材とを複合化した正極活物質複合体を用いて乾式で正極を作製した以外は、実験例8と同様にハーフセルを組み立て、得られたものを実験例10とした。結着材としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、HSV900、数平均粒子径:0.2μm)を用い、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラックHS-100、数平均粒子径:0.048μm)を用いた。正極活物質、導電材および結着剤の配合比は、実験例9と同様に、それぞれ、95.3質量%、2.9質量%、3.7質量%とした。正極活物質、導電材および結着剤をミキサー(協立理工株式会社製、SK-M10R)を用いて、室温にて5分間攪拌することで正極活物質複合体を得た。
作製した実験例8~10のハーフセルを用い、充放電試験を行った。充放電試験は、上限電圧4.1V、下限電圧3.0V、電流密度を0.4mA/cm2、試験温度を20℃として定電流充放電を実施した。
図8は、実験例8~10のハーフセルの充放電曲線である。図8に示すように、実験例10では、従来のスラリー法による実験例9と同じ導電材、結着材の配合量であるが、実験例9に比して容量が大きく、且つ分極抵抗が低くなることが確認された。一方、導電繊維状結着材を用いた実験例8では、導電材及び結着材の量が合計3質量%と実験例9,10の半分以下であるが、電極を作製することができ、更に容量や分極抵抗においてより良好であり、優れた性能を示すことがわかった。なお、実験例8の正極の密着性をテープ剥離試験で評価したところ、従来の実験例10の正極と遜色のない密着強度を有することがわかった。
次に、負極活物質の粒子表面に繊維状結着材を形成した複合体を作製した。負極活物質粒子は、平均粒径D50が10μmである天然黒鉛を用いた。ここでは、図3に示した活物質複合体製造装置30を用い、繊維状結着材を負極活物質上に紡糸した。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を体積比として90:5:5で混合した混合溶媒に、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF,クレハ製W9300)を溶解した。この溶液を-60℃以下の露点雰囲気で十分に拡散したものを紡糸用ペーストとして用いた。静電紡糸は、繊維状結着材が1.0質量%となる組成比で、負極活物質を撹拌しながら、実験例2と同様の条件で行った。得られた複合体を実験例11とした。図9は、実験例11の繊維状結着材(図9A)及び負極活物質複合体(図9B)のSEM写真である。図9Aに示すように、繊維状結着材は、直径Dが300nm~3μmの範囲内にあり、導電材が添加されていないため導電性は有していなかった。また、図9Bに示すように、活物質粒子の表面には、複数の繊維状結着材が形成されていることがわかった。また、繊維状結着材は、粒子の凹部の長さYよりも長い長さを有し、凹部の内部に収容されずに外表面に形成されていることがわかった。
従来のスラリー法で負極を作製した。負正極活物質として天然黒鉛を用い、活物質を97質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを3.0質量%混合し、分散材としてN-メチル-2-ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状の負極合材とした。この負極合材を10μm厚のCu箔に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、直径16mmとなるように打ち抜き、これを負極とした。この負極を用いた以外は、実験例11と同様にハーフセルを組み立て、得られたものを実験例12とした。
特開2016-72152号公報の製造方法に基づき、粒子状の結着材を複合化した負極活物質複合体を用いて乾式で負極を作製した以外は、実験例11と同様にハーフセルを組み立て、得られたものを実験例13とした。結着材としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、HSV900、数平均粒子径:0.2μm)を用いた。負極活物質および結着剤の配合比は、実験例12と同様に、それぞれ、97質量%、3.0質量%とした。負極活物質および結着剤をミキサー(協立理工株式会社製、SK-M10R)を用いて、室温にて5分間攪拌することで負極活物質複合体を得た。
作製した実験例11~13のハーフセルを用い、充放電試験を行った。充放電試験は、上限電圧1.5V、下限電圧0.01V、電流密度を0.4mA/cm2、試験温度を20℃として定電流充放電を実施した。
図10は、実験例11~13のハーフセルの充放電曲線である。図10に示すように、実験例13では、従来のスラリー法による実験例12と同じ結着材の配合量であるが、実験例12に比して容量が大きく、且つ分極抵抗が低くなることが確認された。一方、繊維状結着材を用いた実験例11では、結着材の量が1質量%と実験例12,13の半分以下であるが、電極を作製することができ、更に容量や分極抵抗においてより良好であり、優れた性能を示すことがわかった。なお、実験例11の負極の密着性をテープ剥離試験で評価したところ、従来の実験例12の正極と遜色のない密着強度を有することがわかった。
Claims (20)
- 電極に用いられる活物質複合体の製造装置であって、
結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を収容して供給する供給部と、
キャリアイオンを吸蔵放出する活物質を収容する収容部と、
前記供給部から供給された前記溶液を吐出して紡糸し、前記収容部の活物質の表面へ繊維状結着材を形成し活物質複合体の粒子を得る吐出部と、
を備えた活物質複合体の製造装置。 - 前記吐出部は、平均直径Dが0.03μm以上3μm以下の範囲の繊維状結着材を紡糸する、請求項1に記載の活物質複合体の製造装置。
- 前記吐出部は、前記活物質の表面に存在する平均凹凸周期よりも長い長さLの前記繊維状結着材を紡糸する、請求項1又は2に記載の活物質複合体の製造装置。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造装置であって、
前記吐出部に電圧を印加する電圧印加部、を備え、
前記収容部は、コレクタであり、
前記吐出部は、静電紡糸する、活物質複合体の製造装置。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造装置であって、
前記収容部に収容された前記活物質の粉体を撹拌、混合する撹拌部、
を備えた、活物質複合体の製造装置。 - 前記供給部は、更に導電材を含む前記溶液を収容し、
前記吐出部は、前記導電材を更に含む溶液を吐出して紡糸する、請求項1~5のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造装置。 - 電極に用いられる活物質複合体の製造方法であって、
結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を用い、平均直径Dが0.03μm以上3μm以下の範囲となるように紡糸し、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質の表面へ繊維状結着材を直接形成し活物質複合体の粒子を得る紡糸形成工程、
を含む活物質複合体の製造方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造装置を用いた活物質複合体の製造方法であって、
結着材である樹脂を溶媒に溶解した溶液を用い、平均直径Dが0.03μm以上3μm以下の範囲となるように紡糸し、キャリアイオンを吸蔵放出する活物質の表面へ繊維状結着材を直接形成し活物質複合体の粒子を得る紡糸形成工程、
を含む活物質複合体の製造方法。 - 前記紡糸形成工程では、結着材である樹脂と、導電材である炭素材料とを前記樹脂の100体積部に対して前記炭素材料が20体積部以上150体積部以下の範囲となるよう溶媒と共に混合し、体積抵抗率が100Ωcm以下である導電繊維状結着材を前記活物質の表面に形成する、請求項7又は8に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、前記炭素材料を前記樹脂の100質量部に対する質量比率が20PHR以上150PHR以下となるよう混合する、請求項9に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、前記炭素材料として、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、鱗片状黒鉛及びカーボンナノチューブのうち1以上を用いる、請求項9又は10に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、粒径が20nm以上50nm以下の範囲である前記炭素材料を用いる、請求項9~11のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、体積抵抗率が10Ωcm以下である前記導電繊維状結着材を紡糸する、請求項9~12のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、粒子状であり、一次粒子の粒径が10nm以上100nm以下の範囲である前記炭素材料を用いる、請求項9~13のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、体積抵抗率が103Ωcm以上である前記活物質を用いる、請求項9~14のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、体積抵抗率が102Ωcm以下である前記活物質を用いる、請求項7~15のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、前記活物質の平均粒径Xに対して1/5以下の平均直径Dを有する前記繊維状結着材を紡糸する、請求項7~16のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、平均直径Dが0.3μm以上2μm以下の範囲に前記繊維状結着材を紡糸する、請求項7~17のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド及びアセトンのうち1以上を含む前記溶媒を用いる、請求項7~18のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
- 前記紡糸形成工程では、静電紡糸法により前記繊維状結着材を紡糸する、請求項7~19のいずれか1項に記載の活物質複合体の製造方法。
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