JP7084133B2 - 液晶性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶性樹脂の製造方法に関する。
液晶性ポリエステル樹脂及び液晶性ポリエステルアミド樹脂に代表される液晶性樹脂は、高流動性、低バリ性、耐リフロー性等に優れるため、種々の分野で広く用いられている。液晶性樹脂は、溶融重合後にさらに固相重合することで、強度や耐熱性に優れた液晶性樹脂とすることができる。例えば、特許文献1には、安定的にかつ短時間、低コストで液晶樹脂成形物の強度を向上するため、液晶ポリアリレートまたはポリエステルアミド樹脂成型物に所定の構造式で示される有機燐化合物の少なくとも1種を付与し、所定温度で固相重合することを特徴とする高強度液晶樹脂成形物の製法が記載されている。
他方、ナノダイヤモンド粒子は、機械的強度や熱伝導性に優れていることから、その特性を利用した樹脂との複合材料が注目を集めている。しかしながら、ナノダイヤモンド粒子は樹脂中での分散性が低いため、従来の研究では、樹脂中の分散性を高める方法が主に検討されている。例えば、特許文献2には、ダイヤモンド微粒子及び/又はカーボンナノチューブを含有するポリエステル樹脂を製造する方法において、アルキレングリコールの分散性に優れたダイヤモンド微粒子及び/又はカーボンナノチューブを、ポリエステル合成時にアルキレングリコール分散物として添加する方法が記載されている。この方法によれば、ダイヤモンド微粒子及び/又はカーボンナノチューブが高濃度で均一に分散されたポリエステル樹脂が得られるとされている。
特開平1-207319号公報 特開2012-25930号公報
本発明者は、液晶性樹脂の製造方法について研究を重ねる過程で、ナノダイヤモンド粒子が、液晶性樹脂を固相重合する際の反応速度を上昇させる作用を有することを発見した。本発明は、従来よりも短時間で製造することが可能な液晶性樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下に関するものである。
[1]液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドから選択される少なくとも1種を含む原料樹脂を、ナノダイヤモンド粒子の存在下で固相重合させる、液晶性樹脂の製造方法。
[2]ナノダイヤモンド粒子が、爆轟法により得られたものである、[1]に記載の液晶性樹脂の製造方法。
[3]ナノダイヤモンド粒子のメディアン径が2nm以上50μm以下である、[1]又は[2]に記載の液晶性樹脂の製造方法。
[4]ナノダイヤモンド粒子の使用量が、反応物中0.001~5質量%である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の液晶性樹脂の製造方法。
[5]固相重合温度が、原料樹脂の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の液晶性樹脂の製造方法。
本発明によれば、従来よりも短時間で製造することが可能な液晶性樹脂の製造方法を提供することができる。従来よりも短時間で製造できるので、コストダウンが可能になるとともに、重合反応に伴う副反応を抑制することも可能となる。
実施例1及び比較例1における固相重合時間(横軸、単位:h)と、得られたポリマーの溶融粘度から算出した溶融粘度上昇率(縦軸)との関係を示すグラフである。 実施例2及び比較例2における固相重合時間(h)と、得られたポリマーの溶融粘度から算出した溶融粘度上昇率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[液晶性樹脂の製造方法]
本発明者は、液晶性樹脂の製造方法について研究を重ねる過程で、ナノダイヤモンド粒子が、液晶性樹脂を固相重合する際の重縮合速度を上昇させる、触媒のような作用を有することを発見した。本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法は、この知見に基づくものであり、液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドから選択される少なくとも1種を含む原料樹脂を、ナノダイヤモンド粒子の存在下で固相重合させる工程を有する。
「液晶性」とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有することをいう。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。液晶性を有する樹脂は、直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
(原料樹脂)
原料樹脂は、固相重合反応の原料となる樹脂であり、液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドから選択される少なくとも1種を含む。液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドとしては、特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。また、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルを用いることもできる。
芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとしては、特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである。より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として
(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、
(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステル;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(5)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド等、を挙げることができる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドを構成する具体的化合物(モノマー)の好ましい具体例としては、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(II)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び下記一般式(III)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
Figure 0007084133000001
(X:アルキレン(C~C)、アルキリデン、-O-、-SO-、-SO-、-S-、及び-CO-より選ばれる基である。)
Figure 0007084133000002
Figure 0007084133000003
(Y:-(CH-(n=1~4)及び-O(CHO-(n=1~4)より選ばれる基である。)
液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドの製造方法は、特に限定されず、上述したモノマー化合物(又はモノマーの混合物)を用いて、直接重合法やエステル交換法を用いて、公知の方法で製造することができるが、通常は、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等、又はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、溶融重合法、又は溶融重合法と固相重合法との組み合わせが好ましく用いられる。エステル形成能を有する化合物である場合は、そのままの形で重合に用いてもよく、また、重合の前段階でアシル化剤等を用いて前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものを用いてもよい。アシル化剤としては、無水酢酸等の無水カルボン酸等を挙げることができる。
重合に際しては、種々の触媒の使用が可能である。使用可能な触媒の代表的なものとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)等の金属塩系触媒、N-メチルイミダゾール、4 - ジメチルアミノピリジン等の有機化合物系触媒を挙げることができる。触媒の使用量は、一般にはモノマーの全重量に対して、約0.001~1質量%であり、特に、約0.01~0.2質量%が好ましい。
原料樹脂は、粉粒体混合物の形態で用いてもよいし、ペレット等の溶融混合物(溶融混練物)の形態で用いてもよい。
(ナノダイヤモンド粒子)
ナノダイヤモンド粒子は、50μm以下のメディアン径(粒径D50)を有するダイヤモンド粒子のことをいう。ナノダイヤモンド粒子は、一次粒子であってもよく、一次粒子が複数集成して形成された二次粒子であってもよい。ナノダイヤモンドの一次粒子とは、粒径が10nm以下のナノダイヤモンドのことをいう。二次粒子は、一次粒子同士が強く相互作用して集成している凝着体であり、後述する爆轟法で得られる粗生成物は、通常、二次粒子である場合が多い。
ナノダイヤモンド粒子は、メディアン径(粒径D50)が2nm以上50μm以下である二次粒子を好ましく用いることができる。メディアン径(粒径D50)は、20nm~30μmであることがより好ましく、200nm~10μmであることが特に好ましい。メディアン径(粒径D50)は、動的光散乱法により測定することができる。
ナノダイヤモンド粒子は、爆轟法により得られたものであることが好ましい。爆轟法は、空冷式爆轟法と水冷式爆轟法とが知られているが、いずれの方法で得られたものであってもよい。爆轟法により得られたナノダイヤモンド粒子は、金属酸化物やグラファイト等を含む場合が多い。ナノダイヤモンド粒子は、酸処理や酸化処理により、金属酸化物やグラファイトが除去されたものを用いることもできる。酸処理は、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸及び王水等の強酸を用いて水溶媒中で処理する方法等により行うことができる。酸化処理は、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸等の酸化剤を用いる方法により行うことができる。
ナノダイヤモンド粒子は、液晶性樹脂を固相重合する際の触媒的な作用をより発現しやすい点で、酸処理及び/又は酸化処理の他に、水素化処理をされていることが好ましい。水素化処理は、水素を含む不活性ガス中で500~1000℃で加熱することにより行うことができる。
ナノダイヤモンド粒子は、さらに化学的処理や金属ビーズミル等による水分散処理により、二次粒子から一次粒子を分離させたものを用いることもできる。化学的処理は、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ化合物を用いて行うことができる。水分散処理は、例えば、水中でZrビーズ等とナノダイヤモンド粒子とを攪拌することにより行うことができる。
ナノダイヤモンド粒子の使用量は、反応に用いる物質の総量中、0.001~5質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがより好ましく、0.1~0.5質量%であることが特に好ましい。ナノダイヤモンド粒子は、後述する固相重合反応後に得られた生成物中にも含まれ、その含有量は、反応生成物全量に対して、0.001~5質量%であることが好ましい。
(添加剤)
原料樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のその他の熱可塑性樹脂を配合することができる。その場合のその他の熱可塑性樹脂の配合量は、液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミド100質量部に対して、1~40質量部とすることができる。
原料樹脂には、各種の繊維状、粉粒状、板状の無機及び有機の充填剤を配合することができる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、カーボン繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトの如き珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。なお、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
粉粒状充填剤としては、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。これらの無機及び有機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。
充填材の配合量は、反応物中、1~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
また、原料樹脂には、その他の成分として、酸化防止剤、安定剤、滑剤、顔料、結晶核剤等の添加剤が配合されていてもよい。
(固相重合工程)
固相重合工程では、上記した原料樹脂を、上記したナノダイヤモンド粒子の存在下で固相重合させる。固相重合により、原料樹脂の分子量の増加を図ることができ、強度や耐熱性に優れた液晶性樹脂(LCP)を得ることができる。
固相重合は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、減圧又は真空下、窒素ガス等の不活性ガス気流中で、原料樹脂の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度で加熱することにより行うことができる。なお、液晶性樹脂は固相重合が進むにしたがってその融点も上昇するので、原料樹脂の元の融点以上で固相重合することも可能である。固相重合は、一定の温度で実施してもよいし段階的に高温にしてもよい。加熱方法は、特に限定されず、マイクロ波加熱、ヒータ加熱等を用いることができる。
(その他の工程)
液晶性樹脂の製造方法は、固相重合工程の前に、原料樹脂を準備するための溶融重合工程を有していてもよい。溶融重合工程は、上記した液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドの調製方法と同様であるからここでは記載を省略する。液晶性樹脂の製造方法は、さらに溶融混練の工程等を有していてもよい。
(液晶性樹脂)
本実施形態に係る製造方法により得られる液晶性樹脂の融点は、特に限定されず、250~380℃とすることができる。液晶性樹脂の溶融粘度は、特に限定されず、液晶性樹脂の融点よりも10~30℃高いシリンダー温度及びせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度が、5Pa・s以上100Pa・s以下であり、さらに好ましくは、10Pa・s以上50Pa・s以下である。「液晶性樹脂の融点よりも10~30℃高いシリンダー温度」とは、液晶性樹脂が溶融粘度の測定が可能な程度まで溶融することができるシリンダー温度を意味しており、融点よりも何℃高いシリンダー温度とするかは、10~30℃の範囲で原料樹脂の種類によって異なる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[実施例1]
(原料樹脂LCP1の準備:溶融重合工程)
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に325℃まで3.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズして原料樹脂LCP1ペレットを得た。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸;1660g(73モル%)
2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;837g(27モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);165mg
アシル化剤(無水酢酸);1714g
(固相重合工程)
得られた原料樹脂LCP1ペレットとナノダイヤモンド粒子(株式会社ダイセル製、メディアン径6.7μm)、ガラス繊維(日東紡(株)製PF70E001、繊維径10μm、平均繊維長70μm)とを表1に示す配合量で、シリンダー温度300℃の二軸押出機で溶融混練して、ナノダイヤモンド粒子を含有する樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットの溶融粘度を測定したところ、69Pa・sであった。得られた樹脂ペレットを固相重合装置の反応容器内に入れ、窒素気流下、260℃で10時間の熱処理を行って、目的のポリマー(液晶性樹脂)を得た。途中、反応時間が3時間の段階で生成したポリマーを回収して溶融粘度を測定したところ、94Pa・sであった。反応終了後、得られたポリマーの溶融粘度を測定したところ、192Pa・sであった。なお、上記ポリマーの溶融粘度の測定方法については以下に示す。測定した溶融粘度から、原料樹脂の溶融粘度(固相重合0時間)に対する、それぞれの固相重合時間における溶融粘度の割合(比)を溶融粘度上昇率として算出し、算出した溶融粘度上昇率及び固相重合時間(h)の関係を図1に示した。
[実施例2]
(原料樹脂LCP2の準備:溶融重合工程)
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズして原料樹脂LCP2ペレットを得た。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸;1380g(60モル%)
2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;157g(5モル%)
テレフタル酸;484g(17.5モル%)
4,4’-ジヒドロキシビフェニル;388g(12.5モル%)
4-アセトキシアミノフェノール;160g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
(固相重合工程)
得られた原料樹脂LCP2ペレットとナノダイヤモンド粒子(株式会社ダイセル製、メディアン径6.7μm)、ガラス繊維(日東紡(株)製PF70E001、繊維径10μm、平均繊維長70μm)とを表1に示す配合量で、シリンダー温度350℃の二軸押出機で溶融混練して、ナノダイヤモンド粒子を含有する樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットの溶融粘度を測定したところ、42Pa・sであった。得られた樹脂ペレットを固相重合装置の反応容器内に入れ、窒素気流下、290℃で10時間の熱処理を行って、目的のポリマー(液晶性樹脂)を得た。途中、反応時間が3時間の段階で生成したポリマーを回収して溶融粘度を測定したところ、61Pa・sであった。反応終了後、得られたポリマーの溶融粘度を測定したところ、141Pa・sであった。なお、上記ポリマーの溶融粘度の測定方法については以下に示す。測定した溶融粘度から実施例1と同様にして算出した溶融粘度上昇率、及び固相重合時間(h)の関係を図2に示した。
[比較例1]
固相重合工程においてナノダイヤモンド粒子を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして液晶性樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットの溶融粘度を測定したところ、66Pa・sであった。実施例1と同様に、反応時間が3時間の段階で生成したポリマーを回収して溶融粘度を測定したところ、82Pa・sであった。反応終了後、得られたポリマーの溶融粘度を測定したところ、121Pa・sであった。測定した溶融粘度から実施例1と同様にして算出した溶融粘度上昇率、及び固相重合時間(h)の関係を図1に示した。
[比較例2]
固相重合工程においてナノダイヤモンド粒子を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして液晶性樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットの溶融粘度を測定したところ、44Pa・sであった。実施例2と同様に、反応時間が3時間の段階で生成したポリマーを回収して溶融粘度を測定したところ、64Pa・sであった。反応終了後、得られたポリマーの溶融粘度を測定したところ、131Pa・sであった。測定した溶融粘度から実施例1と同様にして算出した溶融粘度上昇率、及び固相重合時間(h)の関係を図2に示した。
[溶融粘度の測定]
実施例及び比較例の樹脂組成物ペレットについて、キャピラリー式レオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D:ピストン径10mm)により、以下の条件で、見かけの溶融粘度をISO 11443に準拠して測定した。測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。
シリンダー温度:
300℃(実施例1、比較例1)
360℃(実施例2、比較例2)
せん断速度:1000sec-1
表1及び図1、図2に示すように、固相重合工程においてナノダイヤモンド粒子を添加した実施例は、ナノダイヤモンド粒子を添加していない比較例よりも短時間で溶融粘度を高めることができた。また、同じ反応時間の場合は、溶融粘度がより高い液晶性樹脂を得ることができた。この結果から、本実施形態に係る製造方法は、従来よりも短時間で液晶性樹脂を製造することが可能であることが明らかである。短時間で製造することができるので、コストダウンが可能になるとともに、重合反応に伴う副反応を抑制することも可能となる。

Figure 0007084133000004

Claims (4)

  1. 液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドから選択される少なくとも1種を含む原料樹脂を、ナノダイヤモンド粒子の存在下で固相重合させ、
    ナノダイヤモンド粒子の使用量が、反応物中0.001~5質量%である、液晶性樹脂の製造方法。
  2. ナノダイヤモンド粒子が、爆轟法により得られたものである、請求項1に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  3. ナノダイヤモンド粒子のメディアン径が2nm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  4. 固相重合温度が、原料樹脂の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度である、請求項1からのいずれか一項に記載の液晶性樹脂の製造方法。
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