JP7083651B2 - 親水性シート - Google Patents

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本発明は、基材層上に、少なくとも親水性層と保護層とを有する親水性シートに関する。
従来、親水性コート剤や、これを用いて形成された親水性層を有する親水性シートが知られている。
例えば、特許文献1には、ベタインモノマー及びアルコキシシリル基含有化合物を含有するモノマー成分を重合させて得られるアルコキシシリル基含有ポリマーを含有する親水性コート剤や、この親水性コート剤を用いて形成された被膜を有する防曇性シート等が記載されている。
WO2014/084219号
特許文献1に記載されるような親水性コート剤を基材シート上に塗布して親水性層を形成し、親水性シートを製造する場合、通常は、その親水性層は親水性シートの最外層を構成する。このため、親水性シートを保管したり、運搬したりする際に、親水性層が傷ついたり、剥がれたりすることが原因で、親水性シートを使用する際に、その親水性が十分発揮されないおそれがあった。
本発明は、この問題を解決することを目的に行われたものであり、親水性シートを保管したり、運搬したりする際に、親水性層が十分に保護される親水性シートであって、親水性シートを使用するまでの間、親水性シートが本来有する優れた親水性が十分に維持される親水性シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、基材層上に親水性層を有する親水性シートについて鋭意検討した。その結果、親水性層上に保護層を設けることにより、親水性シートを保管したり、運搬したりする際に、親水性層を十分に保護し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔8〕の親水性シートが提供される。
〔1〕基材層上に、少なくとも親水性層と保護層とを有する親水性シートであって、前記親水性層が、水接触角が30°以下の表面を有する層であり、前記保護層が、水接触角が30°超100°以下の表面を有し、かつ、前記親水性層上に直接積層されている層であり、少なくとも一方の側の最外層が前記保護層である親水性シート。
〔2〕前記親水性シートが、下記の試験を行ったときに、保護層が除去されて、親水性層が露出するものである、〔1〕に記載の親水性シート。
〔試験〕
親水性シートを加工して、幅25mm、長さ100mmの短冊状の試験片を用意する。
外径97mmの500ml目盛り付きビーカー(容量600ml)に、温度23℃の蒸留水550mlと、直径7mm、長さ40mmの撹拌子を入れる。
上記の試験片を、その一方の端からビーカー内の蒸留水に浸漬させ、幅25mm、長さ80mmの領域が蒸留水に浸かった状態で、試験片を固定する。
撹拌子を、回転速度300rpmで回転させて蒸留水を撹拌する。
撹拌開始から10分後に試験片を取り出し、これを23℃50%RH(相対湿度)の環境下で1時間自然乾燥させた後、その表面の水接触角を測定し、保護層の有無を確認する。
〔3〕下記(A)成分が、少なくとも前記親水性層に含まれ、かつ、下記(B)成分が、少なくとも前記保護層に含まれているものである、〔1〕又は〔2〕に記載の親水性シート。
(A)成分:双性イオンポリマー
(B)成分:水性ポリエステル系樹脂
〔4〕前記(A)成分の双性イオンポリマーが、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体である、〔3〕に記載の親水性シート。
Figure 0007083651000001
〔式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~11のシアノアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~10のアルケニル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。また、R及びRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。Aは、下記式(2)~(4)
Figure 0007083651000002
(式中、A及びAは、それぞれ独立に、置換基を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキレン基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。nは1~10の整数を表す。*1は炭素原子との結合手を表し、*2は窒素原子との結合手を表す。)
のいずれかで示される2価の基を表す。-Gは、脱プロトン化カルボキシ基(-COO)又は脱プロトン化スルホ基(-SO )を表す。mは、2~5の整数を表す。〕
〔5〕前記式(1)中の-Gが、脱プロトン化スルホ基である、〔4〕に記載の親水性シート。
〔6〕前記(A)成分の双性イオンポリマーが、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位、及び、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位(ただし、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を除く。)を有する重合体である、〔3〕~〔5〕のいずれかに記載の親水性シート。
〔7〕前記(B)成分の水性ポリエステル系樹脂が、下記式(5)
Figure 0007083651000003
(式中、Arは3価の芳香族基を表し、Xは親水性基を表し、Yはアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
で示される繰り返し単位を有する重合体である、〔3〕~〔6〕のいずれかに記載の親水性シート。
〔8〕Xで表される親水性基が、-SOH、-COH、-PO、又はこれらの基が塩基と反応してなる基である、〔7〕に記載の親水性シート。
本発明によれば、親水性シートを保管したり、運搬したりする際に、親水性層が保護層により保護されている親水性シートであって、親水性シートを使用するまでの間、親水性シートが本来有する優れた親水性が十分に維持される親水性シートが提供される。
実施例で行った処理2を表す模式図である。 未処理の親水性シートの表面についてのC1sスペクトルと、処理1(表面に水滴を滴下した後、これを拭き取るという処理)を施した後の親水性シートの表面についてのC1sスペクトルを表す図である。
本発明の親水性シートは、基材層上に、少なくとも親水性層と保護層とを有する親水性シートであって、前記親水性層が、水接触角が30°以下の表面を有する層であり、前記保護層が、水接触角が30°超100°以下の表面を有し、かつ、前記親水性層上に直接積層されている層であり、少なくとも一方の側の最外層が前記保護層である親水性シートである。
〔基材層〕
本発明の親水性シートを構成する基材層は、親水性層と保護層を担持できるものであれば特に限定されない。
基材層としては、樹脂シート、金属箔、無機シート、紙、及びこれらが積層されてなるもの等が挙げられる。
樹脂シートを構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;スチレン系樹脂;等が挙げられる。
樹脂シートは、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。
樹脂シートの表面は親水化処理が施されていてもよい。
親水化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の物理的表面処理;酸接触等の化学的表面処理;等が挙げられる。
金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、鉄等が挙げられる。
無機シートを構成する無機化合物としては、ガラス等が挙げられる。
紙としては、上質紙、コート紙、グロス紙等が挙げられる。
基材層の厚さは、通常20~200μm、好ましくは30~100μmである。
〔親水性層〕
本発明の親水性シートを構成する親水性層は、水接触角が30°以下の表面を有する層である。この「表面」とは、親水性層の2つの面のうち、保護層と接する側の面をいう。本明細書において、この「表面」を「親水性層の表面」と記載することがある。
親水性層の表面の水接触角は30°以下であり、好ましくは15°以下である。下限値は特になく小さいほど好ましいが、通常は1°以上である。
親水性層の表面の水接触角が30°以下であることで、本発明の親水性シートは親水性に優れたものとなる。
親水性層の表面の水接触角は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
親水性層の厚さは、通常1~1,000nm、好ましくは3~200nm、より好ましくは5~50nmである。
親水性層を構成する成分は、表面の水接触角が30°以下である層を形成し得る限り、特に限定されない。
表面の水接触角が30°以下になり易いことから、親水性層は樹脂成分として、双性イオンポリマー(以下、「(A)成分」ということがある。)を含むことが好ましい。
双性イオンポリマーとは、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を有する重合体である。
双性イオンモノマーとは、分子内に、重合性炭素-炭素二重結合と、カチオン性部と、アニオン性部とを有する化合物をいう。
双性イオンモノマー由来の繰り返し単位としては、下記式(1)で示されるものが挙げられる。
Figure 0007083651000004
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~11のシアノアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~10のアルケニル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。また、R及びRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
、Rのエーテル結合を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキル基の、炭素数1~10のアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~5がより好ましい。
エーテル結合を有しないアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するアルキル基としては、下記式(6)又は(7)で示される基等が挙げられる。
Figure 0007083651000005
式(6)中、Rは、炭素数1~8のアルキル基を表し、Zは、炭素数2~9のアルキレン基を表し、RとZの炭素数の合計は、3~10である。*は結合手を表す。
式(7)中、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表し、Zは、炭素数2~7のアルキレン基を表し、Zは、炭素数2~7のアルキレン基を表し、R、Z、Zの炭素数の合計は、5~10である。*は結合手を表す。
、Rのエーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~11のシアノアルキル基の、炭素数2~11のシアノアルキル基の炭素数は、2~9が好ましく、2~6がより好ましい。
エーテル結合を有しないシアノアルキル基としては、シアノメチル基、2-シアノエチル基、3-シアノプロピル基、4-シアノブチル基、6-シアノヘキシル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するシアノアルキル基としては、下記式(8)又は(9)で示される基等が挙げられる。
Figure 0007083651000006
式(8)中、Rは、炭素数2~9のシアノアルキル基を表し、Zは、炭素数2~9のアルキレン基を表し、RとZの炭素数の合計は、4~11である。*は結合手を表す。
式(9)中、R10は、炭素数2~7のシアノアルキル基を表し、Zは、炭素数2~7のアルキレン基を表し、Zは、炭素数2~7のアルキレン基を表し、R10、Z、Zの炭素数の合計は、6~11である。*は結合手を表す。
、Rのエーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~10のアルケニル基の、炭素数2~10のアルケニル基の炭素数は、2~9が好ましく、2~6がより好ましい。
エーテル結合を有しないアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基等が挙げられる。
エーテル結合を有するアルケニル基としては、下記式(10)又は(11)で示される基等が挙げられる。
Figure 0007083651000007
式(10)中、R11は、炭素数2~8のアルケニル基を表し、Zは、炭素数2~8のアルキレン基を表し、R11とZの炭素数の合計は、4~10である。*は結合手を表す。
式(11)中、R12は、炭素数2~6のアルケニル基を表し、Zは、炭素数2~6のアルキレン基を表し、Zは、炭素数2~6のアルキレン基を表し、R12、Z、Zの炭素数の合計は、6~10である。*は結合手を表す。
、Rの置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基の、炭素数6~20のアリール基の炭素数は6~10が好ましい。
無置換のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
とRが結合して形成される環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
式(1)中、Aは、下記式(2)~(4)のいずれかで示される2価の基を表す。
Figure 0007083651000008
式(2)~(4)中、A及びAは、それぞれ独立に、置換基を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキレン基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。nは1~10の整数を表す。*1は炭素原子との結合手を表し、*2は窒素原子との結合手を表す。
、Aの、置換基を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキレン基の、炭素数1~10のアルキレン基の炭素数は、1~8が好ましく、1~6がより好ましい。
無置換のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基等の分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。
置換基を有するアルキレン基の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
、R及びRの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
、R及びRの置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基の、炭素数6~20のアリール基の炭素数は6~10が好ましい。
無置換のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
nは、1~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
式(1)中、-Gは、脱プロトン化カルボキシ基(-COO)又は脱プロトン化スルホ基(-SO )を表す。これらの中でも、-Gは、脱プロトン化スルホ基が好ましい。脱プロトン化スルホ基を有する双性イオンポリマーは、比較的容易に合成することができるため、量産化により適している。
式(1)中、mは、2~5の整数であり、3又は4が好ましい。
双性イオンポリマーは、双性イオンモノマーを用いて重合反応を行うことで合成することができる。例えば、前記式(1)で示される繰り返し単位を有する双性イオンポリマーは、下記式(1a)で示される双性イオンモノマーを用いて重合反応を行うことで合成することができる。
Figure 0007083651000009
式(1a)中、R、R、R、A、及びmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
式(1a)で示される双性イオンモノマーの合成方法は特に限定されない。
式(1a)中、「-G」が脱プロトン化カルボキシ基である化合物は、例えば、対応するアミン化合物〔下記式(1b)〕と、式:hal-(CH-COOH(halはハロゲン原子を表し、mは前記と同じ意味を表す。)で表されるハロゲン化カルボン酸を反応させる方法等の、公知のカルボキシベタイン化合物の製造方法により得ることができる(特開平8-99945号公報、特開平7-278071号公報、特開2006-143634号公報、特開2006-143635号公報等)。
また、式(1a)中、「-G」が脱プロトン化スルホ基である化合物は、例えば、下記式に示すように、対応するアミン化合物(1b)とスルトン化合物(1c)とを反応させることにより得ることができる。
Figure 0007083651000010
上記式中、R~R、Aは、前記と同じ意味を表し、pは(m-2)である。
アミン化合物(1b)は、公知の方法で製造し、入手することができる。
前記スルトン化合物(1c)としては、1,2-エタンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、2,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトンが挙げられる。
これらは、公知化合物であり、公知の方法で製造し、入手することができる。また、本発明においては、これらのスルトン化合物として市販品を用いることもできる。
アミン化合物(1b)とスルトン化合物(1c)との反応において、スルトン化合物(1c)の使用量は、アミン化合物(1b)に対して、好ましくは0.8~1.2当量、より好ましくは0.9~1.1当量である。スルトン化合物(1c)の使用量を前記範囲にすることで、未反応物を除去する工程を省略したり、除去にかかる時間を短縮したりすることができる。
アミン化合物(1b)とスルトン化合物(1c)との反応は、無溶媒で行ってもよいし、不活性溶媒の存在下に行ってもよい。
用いる不活性溶媒としては、水;テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
不活性溶媒を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、アミン化合物(1b)1質量部に対して、通常1~100質量部である。
反応温度は、特に限定されないが、通常0~200℃、好ましくは10~100℃、より好ましくは20~60℃の範囲である。また、常圧(大気圧)下で反応を実施してもよいし、加圧条件下で反応を実施してもよい。
反応時間は、特に限定されないが、通常12~332時間、好ましくは24~168時間である。
反応は、酸素による酸化や、空気中の水分によるスルトン化合物(1c)の加水分解による収率の低下を防ぐ観点から、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知の精製方法により精製して、目的とする双性イオンモノマーを単離することができる。
また、本発明においては、双性イオンモノマーとして市販品を用いることもできる。
双性イオンポリマーは、双性イオンモノマーと共重合可能なモノマー由来の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
双性イオンポリマー中の、双性イオンモノマーと共重合可能なモノマー由来の繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位、マレイン酸由来の繰り返し単位、クロトン酸由来の繰り返し単位、イタコン酸由来の繰り返し単位等のカルボキシ基を有する繰り返し単位;(メタ)アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸由来の繰り返し単位等のスルホ基を有する繰り返し単位;(メタ)アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位;(メタ)アクリルアミド由来の繰り返し単位;等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する(以下にて同じ)。
これらの中でも、双性イオンモノマーと共重合可能なモノマー由来の繰り返し単位としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、又は、これらの基が塩基と反応してなる基〔脱プロトン化カルボキシ基(-COO)等のアニオン性基や、アニオン性基と塩基由来のカチオンが相互作用している基(例えば、-COONa)〕を有することが好ましい。これらの繰り返し単位を有する双性イオンポリマーを含有する親水性層は、親水性により優れる。
双性イオンポリマー中の、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位の量は、双性イオンポリマー全体を基準として、通常50~100モル%、好ましくは60~99モル%、より好ましくは70~95モル%である。
双性イオンポリマーが、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位の量は、双性イオンポリマー全体を基準として、通常0~50モル%、好ましくは1~40モル%、より好ましくは5~30モル%である。
双性イオンポリマーの質量平均分子量は特に限定されないが、通常5万~300万、好ましくは10万~250万、より好ましくは20万~200万である。
双性イオンポリマーの質量平均分子量は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
双性イオンポリマーの合成方法は特に限定されない。例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、双性イオンモノマー等の重合反応を行うことにより、双性イオンポリマーを合成することができる。
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)等の油溶性アゾ重合開始剤;4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロロイド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジスルホネートジヒドレート、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロロイド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等の水溶性アゾ重合開始剤;等が挙げられる。
これらの中でも、水溶性アゾ重合開始剤が好ましく、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)が特に好ましい。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応に用いるモノマー1モルに対し、通常0.0001~0.1000モル、好ましくは0.0005~0.0050モルである。
ラジカル重合反応の反応条件は、目的の重合反応が進行する限り特に限定されない。加熱温度は、通常40~150℃であり、反応時間は、1分から24時間の範囲で適宜設定することができる。
親水性層が双性イオンポリマーを含有する場合、親水性層は双性イオンポリマーを1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときの双性イオンポリマーの含有量は、親水性層全体に対して、30~100質量%が好ましく、40~100質量%がより好ましい。
親水性層は、双性イオンポリマー以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂成分(I)」ということがある。)を含有してもよい。その他の樹脂成分(I)としては、後述する水性ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、その他の樹脂成分(I)としては、水性ポリエステル系樹脂が好ましい。親水性層が水性ポリエステル系樹脂を含有するとき、この親水性層は、基材との密着性により優れたものとなる。
親水性層がその他の樹脂成分(I)を含有する場合、親水性層はその他の樹脂成分(I)を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときのその他の樹脂成分(I)の含有量は、親水性層全体に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
親水性層に含まれる樹脂成分〔(A)成分、その他の樹脂成分(I)〕は、架橋構造を有していてもよい。
特に(A)成分は架橋構造を有することが好ましい。(A)成分が架橋構造を有するとき、この親水性層は耐水性により優れたものになる。
架橋構造は、親水性層の形成工程中に、架橋剤を用いて架橋反応を行うことにより形成することができる。
架橋剤とは、親水性層に含まれる樹脂成分と反応して、架橋構造を形成し得る化合物である。
架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。
これらの中でも、エポキシ系架橋剤が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
架橋剤を用いて親水性層を形成する場合、架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤を用いて親水性層を形成する場合、その使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは1~10質量部である。
親水性層は、(C)成分として、炭素数が0~10の陽イオンを有するイオン性化合物を含有してもよい。
(C)成分としては、炭素数が0~5の陽イオンを有するイオン性化合物が好ましく、炭素数が0の陽イオンを有するイオン性化合物がより好ましい。
炭素数が0~10の陽イオンを有するイオン性化合物としては、下記式(12)~(15)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0007083651000011
式(12)~(15)中、Mは炭素数0~10の1価の陽イオンを表し、M’は炭素数0~10の2価の陽イオンを表し、Xは1価の陰イオンを表し、X’は2価の陰イオンを表す。
Mとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;アンモニウムイオン(NH );第1級アンモニウムイオン;第2級アンモニウムイオン;第3級アンモニウムイオン;第4級アンモニウムイオン;等が挙げられる。
M’としては、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;マグネシウムイオン;等が挙げられる。
Xとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;炭酸水素イオン;硝酸イオン;等が挙げられる。
X’としては、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
炭素数が0の陽イオンを有するイオン性化合物としては、NaCl、NaCO、NaHCO、NaSO、NaNO、KCl、KCO、KHCO、KSO、KNO等のアルカリ金属の塩;MgCl、MgSO等のマグネシウム塩;CaCl等のアルカリ土類金属の塩;NHCl等のアンモニウム塩;等が挙げられる。
炭素数が1~10の陽イオンを有するイオン性化合物としては、〔(CH)NH〕Cl、〔(CHNH〕Cl、〔(CHNH〕Cl、〔(CHN〕Cl等が挙げられる。
親水性層が(C)成分を含有する場合、親水性層は(C)成分を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときの(C)成分の含有量は、親水性層全体に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
親水性層は、他の添加剤を含有してもよい。
他の添加剤としては、界面活性剤、保湿剤、粘度調整剤、色素等が挙げられる。
親水性層がこれらの添加剤を含有する場合、親水性層はこれらの添加剤を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、これらの添加剤の含有量は、目的に応じて適宜決定することができる。
親水性層は、基材層上に直接又はその他の層を介して積層されている層である。
基材層上にその他の層を介して親水性層が積層されているとき、その他の層としては、シロキサン系ポリマーを含有する層が挙げられる。
シロキサン系ポリマーとは、シロキサン結合(Si-O-Si)を有するポリマーである。シロキサン系ポリマーは、通常、加水分解性有機ケイ素化合物を加水分解重縮合させることにより得ることができる。この「加水分解性」とは、水との反応によりシラノール基を生成させる性質をいう。
基材層の表面状態によっては、形成された親水性層が基材層との密着性に劣る場合がある。基材層と親水性層の間にシロキサン系ポリマーを含有する層を設けることで、シロキサン系ポリマーを含有する層上に、親水性層を密着性良く形成することができる。
シロキサン系ポリマーを含有する層は、例えば、基材層上に、シロキサン系ポリマーの前駆体化合物(テトラアルコキシシラン等の加水分解性有機ケイ素化合物)を含有する塗布液を塗布し、得られた塗膜中の加水分解性有機ケイ素化合物を加水分解重縮合させることで、シロキサン系ポリマーを含有する塗膜を形成し、次いで、この塗膜を乾燥させることにより形成することができる。
なお、前記シロキサン系ポリマーの前駆体化合物を含有する塗布液としては、いわゆるアルコール性シリカゾルとして知られる市販品を用いてもよい。
基材層と親水性層の間にシロキサン系ポリマーを含有する層を設ける場合、シロキサン系ポリマーを含有する塗膜が半乾きの状態(溶媒が残存した状態)で、その塗膜の上に、親水性層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、次いで、これらの塗膜を乾燥させて、シロキサン系ポリマーを含有する層と親水性層を同時に形成することが好ましい。この方法によれば、シロキサン系ポリマーを含有する層と親水性層の界面で、両層を構成する樹脂成分がより絡み合うため、密着性により優れる親水性層を形成することができる。
その他の層の厚さは、通常10~10,000nm、好ましくは30~5,000nm、より好ましくは50~500nmである。
〔保護層〕
本発明の親水性シートを構成する保護層は、水接触角が30°超100°以下の表面を有する層である。この「表面」とは、保護層の2つの面のうち、親水性層と接していない側の面をいう。本明細書において、この「表面」を「保護層の表面」と記載することがある。
保護層の表面の水接触角は30°超100°以下であり、好ましくは30°超70°以下である。
保護層の表面の水接触角は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
保護層の厚さは、通常50~10,000nm、好ましくは200~2,000nmである。
表面の水接触角が30°超100°以下である層を形成し得る限り、保護層を構成する成分は特に限定されない。
表面の水接触角が30°超100°以下である層を容易に形成することができるという観点から、保護層は樹脂成分として、水性ポリエステル系樹脂(以下、「(B)成分」ということがある。)を含むことが好ましい。
水性ポリエステル系樹脂は、水又は水溶性の有機溶剤(例えば、アルコール、アルキルセロソルブ、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒を50質量%未満含む水溶液)に溶解して水溶液の形態、又は、水中にエマルションとして分散した水分散体の形態をとり得るポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸(またはジカルボン酸エステル)とジオールとをエステル化(またはエステル交換)させながら重縮合させる方法等により得られる樹脂である。
水性ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂に、水性(水溶性又は水分散性)が付与された樹脂である。
水性ポリエステル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、通常2,000~10,0000、好ましくは2,500~80,000、より好ましくは5,000~50,000である。
この質量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
水性ポリエステル系樹脂の水接触角は、通常30°超100°以下、好ましくは30°超80°以下、より好ましくは30°超75°以下である。
水性ポリエステル系樹脂の水接触角は、例えば全自動接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、DM-701)を用いて測定することができる。
水性ポリエステル系樹脂の酸価は、通常0.1~60mgKOH/g、好ましくは0.5~15mgKOH/gである。
水性ポリエステル系樹脂の酸価は、例えば、フェノールフタレイン溶液などの指示薬と水酸化カリウム溶液などのアルカリ性溶液を用いた中和点滴定法で測定することができる。
水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-10~130℃が好ましく、10~115℃がより好ましく、30~90℃がさらに好ましく、40~65℃が特に好ましい。
水性ポリエステル系樹脂は、通常、分子内に親水性基を有する。
水性ポリエステル系樹脂に含まれる親水性基としては、スルホ基(-SOH)、カルボキシ基(-COH)、ホスホン酸基(-PO)、ヒドロキシ基(-OH)、これらの基が塩基と反応してなる基等のアニオン系親水性基;置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換の窒素含有複素環基、これらの基が酸と反応してなる基等のカチオン系親水性基;等が挙げられる。
これらの中でも、親水性基としては、アニオン系親水性基が好ましく、-SOH、-COH、-PO、又はこれらの基が塩基と反応してなる基(以下、「これらの基が塩基と反応してなる基」を「アニオン系親水性基(α)」ということがある。)がより好ましい。
アニオン系親水性基(α)の生成に用いられる塩基としては、周期表第1族又は第2族の金属の水酸化物や、アミン化合物が挙げられる。したがって、アニオン系親水性基(α)を有する水性ポリエステル系樹脂は、通常は、周期表第1族又は第2族の金属のイオンやアンモニウムイオンを有し、水性ポリエステル系樹脂全体としては電気的に中性の状態になっている。
水性ポリエステル系樹脂の具体例としては、下記式(5)で示される繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
Figure 0007083651000012
式(5)中、Arは3価の芳香族基を表し、Xは親水性基を表し、Yはアルキレン基、又はアリーレン基を表す。
Arで表される芳香族基の炭素数は、通常6~20、好ましくは6~15、より好ましくは6~10である。
Arで表される芳香族基としては、下記式で表される基、又は、その水素原子が置換されたものが挙げられる。
Figure 0007083651000013
式中、a~a10は、水性ポリエステル系樹脂の主鎖に含まれる炭素原子(C=O結合中の炭素原子)との結合手を表す。Xは、親水性基を表し、芳香環中の任意の炭素原子と結合している。
Arで表される芳香族基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Xで表される親水性基としては、前記したものが挙げられる。これらの中でも、-SOH、-COH、-PO、又はこれらの基が塩基と反応してなる基が好ましい。
Yで表されるアルキレン基の炭素数は、通常1~20、好ましくは2~10である。
Yで表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基等の分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
Yで表されるアリーレン基の炭素数は、通常6~20、好ましくは6~15、より好ましくは6~10である。
Yで表されるアリーレン基としては、下記式で表される基、又は、その水素原子が置換されたものが挙げられる。
Figure 0007083651000014
式中、b~b10は、水性ポリエステル系樹脂の主鎖に含まれる酸素原子との結合手を表す。
Yで表されるアリーレン基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記式(5)で示される繰り返し単位としては、下記式(5a)で示されるものが好ましく、(5b)で示されるものがより好ましい。
Figure 0007083651000015
式(5a)中、Xは、前記と同じ意味を表す。式(5b)中、Mは、アルカリ金属イオンを表し、ナトリウムイオンが好ましい。
また、水性ポリエステル系樹脂が前記式(5)で示される繰り返し単位を有する場合、このものは、前記式(5)で示される繰り返し単位を1種又は2種以上含有してもよく、前記式(5)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
前記式(5)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位や、Xを有しない点を除き、前記式(5)で示される繰り返し単位と同様の構造を有するものが挙げられる。なかでも、下記式で示される構造の繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007083651000016
水性ポリエステル系樹脂に含まれる前記式(5)で示される繰り返し単位の量は、水性ポリエステル系樹脂全体に対して、通常40~100質量%、好ましくは60~100質量%、より好ましくは80~100質量%、特に好ましくは95~100質量%である。
水性ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂に水性を付与することにより得ることができる。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸(またはジカルボン酸エステル)とジオールとをエステル化(またはエステル交換)させながら重縮合させる方法等の、従来公知の製造方法により得ることができる。
ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびそのエステル;アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸およびそのエステル;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸およびそのエステル;ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸およびそのエステル;等が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルが好ましい。
ジカルボン酸エステルとしては、ジカルボン酸の、メチルエステル、エチルエステル等の、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。これらのエステルはモノエステルであってもジエステルであってもよい。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂に水性を付与して水性ポリエステル系樹脂を得る方法としては、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する際に、前記ジカルボン酸とポリオールに加え、分子中に親水性基を有するモノマーを共重合させる方法が挙げられる。
分子中に親水性基を有するモノマーとしては、親水性基を有するジカルボン酸または親水性基を有するジカルボン酸エステルが好ましい。親水性基を有するジカルボン酸をジカルボン酸成分として用いる方法により、親水性基を有する水性ポリエステル系樹脂を得ることができる。
より具体的には、前記式(5)で示される繰り返し単位を有する水性ポリエステル系樹脂は、下記式(5c)で示されるカルボキシ基及び親水性基を有する化合物と、下記式(5d)で示される水酸基含有化合物とを常法に従って重縮合反応させることで合成することができる。
Figure 0007083651000017
式(5c)、(5d)中、Ar、X、Yは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
また、スルホ基またはカルボキシ基等のアニオン系親水性基(アニオン系親水性基(α)を除く。)を有するポリエステル系樹脂に、アルカリ金属、各種アミン類、アンモニウム系化合物等の水溶性塩を形成する物質を作用させることにより、アニオン系親水性基(α)を有する水性ポリエステル系樹脂を得ることができる。
また、水性ポリエステル系樹脂は、変性ポリエステル系樹脂であってもよい。変性ポリエステル系樹脂としては、アクリル変性ポリエステル系樹脂、ウレタン変性ポリエステル系樹脂、エポキシ変性ポリエステル系樹脂、グリコール変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐ブロッキング性に優れる保護層を形成し易いことから、アクリル変性ポリエステル系樹脂が好ましい。アクリル変性ポリエステル系樹脂としては、例えば、主鎖としてポリエステル鎖を有し、側鎖としてアクリル系単量体由来の重合体鎖を有するグラフト共重合体が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂は、上記の方法により得られた重合体(未変性の水性ポリエステル系樹脂)に対して公知の方法により変性処理を行う方法等により、目的の変性ポリエステル系樹脂を得ることができる。例えば、アクリル変性ポリエステル系樹脂は、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基と重合性二重結合を有する単量体を、カルボキシ基等を有する未変性の水性ポリエステル系樹脂と反応させることにより、この未変性の水性ポリエステル系樹脂に重合性二重結合を導入し、次いで、この重合性二重結合を利用して、アクリル系単量体の重合反応を行い、側鎖(アクリル系単量体由来の重合体鎖)を形成することにより合成することができる。
保護層が水性ポリエステル系樹脂を含有する場合、保護層は水性ポリエステル系樹脂を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときの水性ポリエステル系樹脂の含有量は、保護層全体に対して、30~100質量%が好ましく、40~100質量%がより好ましい。
保護層は、水性ポリエステル系樹脂以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂成分(II)」ということがある。)を含有してもよい。その他の樹脂成分(II)としては、双性イオンポリマー、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、その他の樹脂成分(II)としては、双性イオンポリマーが好ましい。保護層が双性イオンポリマーを含有すると、親水性シートを使用する際、保護層をより効率よく除去することができる。
保護層がその他の樹脂成分(II)を含有する場合、保護層はその他の樹脂成分(II)を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときのその他の樹脂成分(II)の含有量は、保護層全体に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
保護層は、前記(C)成分を含有してもよい。
保護層が(C)成分を含有する場合、保護層は(C)成分を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときの(C)成分の含有量は、保護層全体に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
保護層は、添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、界面活性剤、保湿剤、粘度調整剤、色素等が挙げられる。
保護層が添加剤を含有する場合、保護層は添加剤を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。また、このときの添加剤の含有量は、目的に応じて適宜決定することができる。
保護層は、親水性層上に直接積層されている層である。保護層が親水性層上に直接積層されていることにより、保護層は親水性層を保護することができる。
本発明において、「保護層が親水性層上に直接積層されている」とは、保護層と親水性層の間に界面が存在し、これらの層を明確に区別し得る状態だけではなく、保護層と親水性層との間に、両層を構成する成分が混ざり合った領域が存在する状態も表すものである。すなわち、親水性層を形成した後、その上に保護層を形成する場合、通常は、保護層と親水性層の間に界面が存在する親水性シートを得ることできる。一方、後述するように、親水性層と保護層とを一つの塗布液を用いて同時に形成する場合、保護層と親水性層との間に、両層を構成する成分が混ざり合った領域が存在する親水性シートが得られる場合がある。
保護層は、本発明の親水性シートを使用する際には除去されるものである。例えば、下記の試験を行ったときに、保護層が除去されて、親水性層が露出することが好ましい。
(試験)
親水性シートを加工して、幅25mm、長さ100mmの短冊状の試験片を用意する。
外径97mmの500ml目盛り付きビーカー(容量600ml)に、温度23℃の蒸留水550mlと、直径7mm、長さ40mmの撹拌子を入れる。
上記の試験片を、その一方の端からビーカー内の蒸留水に浸漬させ、幅25mm、長さ80mmの領域が蒸留水に浸かった状態で、試験片を固定する。
撹拌子を、回転速度300rpmで回転させて蒸留水を撹拌する。
撹拌開始から10分後に試験片を取り出し、これを23℃50%RH(相対湿度)の環境下で1時間自然乾燥させた後、その表面の水接触角を測定し、保護層の有無を確認する。
ここで、「その表面」とは、親水性シートの保護層が形成されていた側の表面をいう。
〔親水性シート〕
本発明の親水性シートにおいては、少なくとも一方の側の最外層が前記保護層である。
保護層がこの位置にあることで、親水性シートを保管したり、運搬したりする際に、親水性層を十分に保護することができる。さらに、親水性シートを使用する際は、所定の方法により、保護層を効率よく除去し、親水性層を露出させることができる。
本発明の親水性シートとしては、下記の層構造を有するものが挙げられる。
基材層/親水性層/保護層
基材層/シロキサン系ポリマーを含有する層/親水性層/保護層
保護層/親水性層/基材層/親水性層/保護層
保護層/親水性層/シロキサン系ポリマーを含有する層/基材層/シロキサン系ポリマーを含有する層/親水性層/保護層
保護層/親水性層/基材層/シロキサン系ポリマーを含有する層/親水性層/保護層
親水性シートの厚さは、通常20~210μm、好ましくは30~70μmである。
親水性シートの製造方法は特に限定されない。例えば、以下の方法(a)又は方法(b)を用いて、親水性シートを製造することができる。
〔方法(a)〕
(a-1)親水性層形成用塗布液と保護層形成用塗布液をそれぞれ調製する。
(a-2)基材層上に、直接又はその他の層を介して、親水性層形成用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させて親水性層を形成する。
(a-3)親水性層上に、直接、保護層形成用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させて保護層を形成することにより、親水性シートを製造する。
方法(a)において用いる親水性層形成用塗布液は、目的の水接触角を有する親水性層を形成し得る樹脂成分等を溶媒に溶解又は分散させることにより調製することができる。同様に、保護層形成用塗布液は、目的の水接触角を有する保護層を形成し得る樹脂成分等を溶媒に溶解又は分散させることにより調製することができる。
親水性層形成用塗布液や保護層形成用塗布液の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;メトキシエタノール等のセロソルブ系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;等が挙げられる。
溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
親水性層形成用塗布液や保護層形成用塗布液の固形分濃度は、取り扱い性や塗布適性の観点から、0.5~30質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
親水性層形成用塗布液や保護層形成用塗布液は、公知の方法を用いて、樹脂成分等を混合することにより調製することができる。
方法(a)における、各塗布液の塗布方法、塗膜の乾燥方法、乾燥条件は特に限定されず、適宜決定することができる。
〔方法(b)〕
(b-1)親水性層形成用の成分と保護層形成用の成分とを含有する、親水性層及び保護層形成用塗布液を調製する。
(b-2)基材層上に、直接又はその他の層を介して、親水性層及び保護層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成する。
(b-3)塗膜を乾燥させて親水性層及び保護層形成用塗布液の乾燥膜を形成する。
(b-4)形成された乾燥膜をそのまま静置することにより、親水性層形成用の樹脂成分等を乾燥膜内の下部に偏らせ、保護層形成用の樹脂成分等を乾燥膜内の上部に偏らせることにより、親水性シートを得る。
方法(b)において用いる親水性層及び保護層形成用塗布液は、目的の水接触角を有する親水性層を形成し得る樹脂成分、目的の水接触角を有する保護層を形成し得る樹脂成分等を溶媒に溶解又は分散させることにより調製することができる。
親水性層及び保護層形成用塗布液の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;メトキシエタノール等のセロソルブ系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;等が挙げられる。
溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
親水性層及び保護層形成用塗布液の固形分濃度は、取り扱い性や塗布適性の観点から、0.5~30質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
親水性層及び保護層形成用塗布液は、公知の方法を用いて、樹脂成分等を混合することにより調製することができる。
方法(b)における、塗布液の塗布方法、塗膜の乾燥方法、乾燥条件は特に限定されず、適宜決定することができる。
前記(b-4)において、形成された乾燥膜を静置する時間は、通常1~336時間、好ましくは6~240時間である。形成された乾燥膜を静置する際の温度は、通常10~40℃、好ましくは15~30℃である。形成された乾燥膜を静置する際の相対湿度(RH)は、通常0~70%、好ましくは30~60%である。
樹脂成分等の偏りは、水との親和性の差により生じる現象である。したがって、樹脂成分等の偏りは、水分量が比較的少ない雰囲気下で静置することにより、効率よく行うことができる。
また、通常、親水性である樹脂成分は、乾燥膜中の下部に偏り、疎水性である樹脂成分は、乾燥膜中の上部に偏る傾向がある。
したがって、例えば、双性イオンポリマーと水性ポリエステル系樹脂を含有する親水性層及び保護層形成用塗布液を用いる場合、双性イオンポリマーが乾燥膜中の下部に偏り、最終的に双性イオンポリマーを多く含む親水性層が形成され、水性ポリエステル系樹脂が乾燥膜中の上部に偏り、最終的に水性ポリエステル系樹脂を多く含む保護層が形成される。
なお、このとき親水性層用の樹脂成分等と保護層用の樹脂成分等の分離の程度により、保護層と親水性層の間に界面が存在し、これらの層を明確に区別し得る状態の親水性シートが得られたり、保護層と親水性層との間に、両層を構成する成分が混ざり合った領域が存在する親水性シートが得られたりする。
このように、方法(b)を用いることで、前記(A)成分が、少なくとも前記親水性層に含まれ、かつ、前記(B)成分が、少なくとも前記保護層に含まれているものである親水性シートを効率よく形成することができる。
本発明の親水性シートの保護層を除去し、親水性層を露出させる方法は特に限定されない。
例えば、保護層がある溶媒に対する溶解度が高い成分を含有する場合は、その溶媒を保護層に接触させて当該成分を抽出することにより、保護層を除去することができる。
溶媒としては特に限定されないが、保護層が水性ポリエステル系樹脂を含有する場合、水が好ましく用いられる。
溶媒を保護層に接触させる方法は特に限定されない。接触方法としては、例えば、親水性シートを水平に置き、その上に溶媒を塗布することにより、溶媒を保護層に接触させる方法、親水性シートを傾けた後、その上流部から下流部に向けて溶媒を流すことにより、溶媒を保護層に接触させる方法、容器中に溶媒を入れ、その中に、親水性シートを浸漬することにより、溶媒を保護層に接触させる方法等が挙げられる。
上記のように、本発明の親水性シートは、基材層上に、少なくとも前記親水性層と前記保護層とを有する親水性シートであって、少なくとも一方の側の最外層が前記保護層である親水性シートである。
この親水性シートは、保管したり、運搬したりする際に、親水性層が保護層により十分に保護されるものである。したがって、親水性シートを使用するまでの間、親水性シートが本来有する優れた親水性が十分に維持される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
〔質量平均分子量(Mw)〕
双性イオンポリマーの質量平均分子量(Mw)は、以下の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を行って求めた。
装置:HLC-8320GPC/UV-8320(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgelGMPWXL(東ソー株式会社製)×2
検出器:HLC-8320GPC 内蔵RI検出器/UV-8320(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料濃度:1.0g/L(ポリマー成分濃度)
注入量:100μL
溶離液:0.2M NaNO水溶液
流速:1.0mL/分
分子量マーカー:標準ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
〔製造例1〕双性イオンモノマーの合成
撹拌装置付きの反応容器内に、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド100部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、アセトン267部を仕込み、内容物を撹拌しながらゆっくりとプロパンサルトン78部を滴下した。その後、内容物を25℃で24時間撹拌し、析出した白色固体をろ取し、これを乾燥することで、双性イオンモノマー(N-アクリロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホキシベタイン)を得た。
〔製造例2〕双性イオンポリマーの合成
撹拌装置付きの反応容器内に、N-アクリロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホキシベタイン98.7部、アクリル酸1.3部、重合開始剤(和光純薬株式会社製、製品名「V-501」、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸))0.21部、蒸留水234部を入れ、反応容器内に窒素を導入しながら25℃で30分間撹拌した。その後、系内を80℃まで上昇させ、そのまま12時間撹拌することで重合反応を行い、双性イオンポリマーを含有する溶液を得た。得られた双性イオンポリマーの質量平均分子量は、720,000であった。
〔実施例1〕
製造例2で得られた、双性イオンポリマーを含有する溶液(固形分100部)、塩化ナトリウム17部、水性ポリエステル系樹脂(1)含有液〔互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート RZ-105」(固形分濃度25%)〕(固形分100部)を加え、蒸留水を加えて固形分濃度を2.0%に調整し、このものを十分に撹拌して親水性組成物を得た。
基材シート(ポリエステルフィルム、三菱ケミカル株式会社製、製品名「ダイアホイル」、厚さ50μm)に、アルコール性シリカゾル(コルコート株式会社製、製品名「N-103X」、固形分濃度2.0%)を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の厚さが100nmとなるように塗布し、得られた積層体を100℃で1分間加熱し、シロキサン系ポリマーを含有する層を形成した。
次いで、このシロキサン系ポリマーを含有する層上に、前記親水性組成物を塗布し、100℃で1分間加熱して塗膜を乾燥させ、乾燥膜を形成した。この乾燥膜の厚さは1μmであった。その後23℃50%RH(相対湿度)環境下で、168時間静置してシーズニングを行い、親水性層形成用の成分を乾燥膜内の下部に偏らせ、保護層形成用の成分を乾燥膜内の上部に偏らせることにより、親水性層と保護層とを有する親水性シートを得た。
得られた親水性シートを3つに分け、そのうちの1枚の親水性シートについて、以下のように、水接触角測定とXPS(X線光電子分光法)測定を行った。
〔水接触角測定〕
親水性シートの表面に、イオン交換水2μLを滴下した。全自動接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、Drop Master、DM-701)を用いて、滴下から3秒後の水滴について水接触角を測定した。結果を第1表に示す。
〔XPS測定〕
親水性シートの表面について、XPSを用いて元素分析を行い、親水性シートの表面に存在する炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対する、各原子濃度を算出した。また、エステル結合由来のピークを確認することを目的として、炭素原子の結合状態を調べた。C1sスペクトルを図2に示し、元素分析結果を第2表に示す。
XPSの測定条件は以下のとおりである。
測定装置:PHI Quantera SXM(アルバック・ファイ株式会社製)
X線源:単色化AlKα
出力:25W
加速電圧:15kV
ビーム直径:100μm
光電子取り出し角度:45°
パルスエネルギー:112eV(炭素原子、酸素原子)、224eV(窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子)
ステップ分解能:0.1eV(炭素原子、酸素原子)、0.2eV(窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子)
測定面積:100μmφ
2枚目の親水性シートについて以下の処理1を施した後、その親水性シートについて、上記と同様の方法により水接触角測定とXPS(X線光電子分光法)測定を行った。
(処理1)
親水性シートの表面に、イオン交換水5μLをスポイトで滴下した。次いで、不織布シート(旭化成株式会社製、製品名「ベンコット」)で水滴を拭き取った。このものを23℃50%RH(相対湿度)の環境下で1時間自然乾燥させた。
3枚目の親水性シートについて以下の処理2を施した後、その親水性シートについて上記と同様の方法により水接触角測定を行った。
(処理2)
親水性シートを加工して、幅25mm、長さ100mmの短冊状の試験片を用意した。
次いで、図1(A)~(C)に示すように試験片をビーカー内に固定して処理2を行った。
すなわち、外径97mmの500ml目盛り付きビーカー(1)(容量600ml)に、温度23℃の蒸留水(2)550mlと、直径7mm、長さ40mmの撹拌子(3)を入れた〔図1(A)〕。
上記の試験片(4)を、その一方の端からビーカー内の蒸留水に浸漬させ〔図1(B)〕、幅25mm、長さ80mmの領域が蒸留水に浸かった状態で、試験片を固定した。試験片の固定には、棒(5)とクリップ(6)を用いた〔図1(C)〕。
撹拌子を、回転速度300rpmで回転させて蒸留水を撹拌した。撹拌開始から10分後に試験片を取り出し、これを23℃50%RH(相対湿度)の環境下で1時間自然乾燥させた。
〔実施例2~10、比較例2〕
実施例1において、各成分の種類と量を第1表に記載のとおりに変更したことを除き、実施例1と同様にして親水性組成物を得た。次いで、これを用いて基材シート上に厚さ1μmの乾燥膜を形成した後、シーズニングを行い、親水性シートを得た。
得られた親水性シートを2つに分け、その一方の親水性シートに対して、上記の処理1を施した。次いで、これらの親水性シートについて、上記と同様の方法により、水接触角を測定した。結果を第1表に示す。
なお、各例においては、以下の市販品を使用した。
水性ポリエステル系樹脂(1)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート RZ-105」(固形分濃度25%)、Tg54℃、分子量16,000
水性ポリエステル系樹脂(2)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z-760」(固形分濃度25%)、Tg52℃、分子量3,000
水性ポリエステル系樹脂(3)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z-687」(固形分濃度25%)、Tg110℃、分子量26,000
水性ポリエステル系樹脂(4)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z-690」(固形分濃度25%)、Tg110℃、分子量28,000
水性ポリエステル系樹脂(5)含有液:東洋紡績株式会社製、製品名「MD-1245」固形分濃度30%)、Tg64℃、分子量20,000
水性ポリエステル系樹脂(6)含有液:互応化学工業株式会社製、製品名「プラスコート Z-221」(固形分濃度20%)、Tg47℃、分子量14,000
〔比較例1〕
何も塗布していない基材シート(ポリエステルフィルム、三菱ケミカル株式会社製、製品名「ダイアホイル」、厚さ50μm)を2つ用意し、その一方の基材シートに対して上記の処理1を施した。次いで、これらの基材シートについて、上記と同様の方法により、水接触角を測定した。結果を第1表に示す。
Figure 0007083651000018
Figure 0007083651000019
第1表から以下のことがわかる。
実施例1~10で得られた親水性シートは、水接触角が30°超100°以下の表面を有する。
これらの親水性シートに対して処理1又は処理2を施すと、その表面の水接触角は、30°以下になる。
したがって、これらの親水性シートは、最外層として保護層を有するものであり、処理1又は処理2を施すことにより、この保護層が除去され、親水性層が露出するものである。
一方、比較例1~2で得られた基材シート及び親水性シートにおいては、処理1又は処理2を施しても、親水性はほとんど変化しなかった。
図2中、(A)は未処理の親水性シートの表面についてのC1sスペクトルであり、(B)は処理1を施した後の親水性シートの表面についてのC1sスペクトルである。
(A)のC1sスペクトルにおいては、「*」で示すように、エステル結合を示すC-O(286.4eV)とC=O(288.9eV)が観測されていることから、処理1を施す前の親水性シートの表面には、水性ポリエステル系樹脂が存在することが分かる。
一方、これらのピークは、(B)のC1sスペクトルではほとんど観測されていないことから、処理1を施した後の親水性シートの表面には、水性ポリエステル系樹脂はほとんど存在していないことが分かる。
また、第2表に示すように、処理1を施した後は、CとOが減り、SとNが増えていることから、処理1を施すことで、水性ポリエステル系樹脂を多く含む保護層が除去され、双性イオンポリマーを多く含む親水性層が露出したことが分かる。
1:ビーカー
2:蒸留水
3:撹拌子
4:試験片
5:棒
6:クリップ
A:未処理の親水性シートの表面についてのC1sスペクトル
B:処理1を施した後の親水性シートの表面についてのC1sスペクトル

Claims (8)

  1. 基材層上に、少なくとも親水性層と保護層とを有する親水性シートであって、
    前記親水性層が、水接触角が30°以下の表面を有する、樹脂成分として、(A)成分:双性イオンポリマーを含む層であり、
    (B)成分:水性ポリエステル系樹脂が、少なくとも前記保護層に含まれているものであり、
    前記保護層が、水接触角が30°超100°以下の表面を有し、かつ、前記親水性層上に直接積層されている層であって、親水性シートを使用する際には除去されるものであり、
    少なくとも一方の側の最外層が前記保護層である親水性シート。
  2. 前記親水性シートが、下記の試験を行ったときに、保護層が除去されて、親水性層が露出するものである、請求項1に記載の親水性シート。
    〔試験〕
    親水性シートを加工して、幅25mm、長さ100mmの短冊状の試験片を用意する。
    外径97mmの500ml目盛り付きビーカー(容量600ml)に、温度23℃の蒸留水550mlと、直径7mm、長さ40mmの撹拌子を入れる。
    上記の試験片を、その一方の端からビーカー内の蒸留水に浸漬させ、幅25mm、長さ80mmの領域が蒸留水に浸かった状態で、試験片を固定する。
    撹拌子を、回転速度300rpmで回転させて蒸留水を撹拌する。
    撹拌開始から10分後に試験片を取り出し、これを23℃50%RH(相対湿度)の環境下で1時間自然乾燥させた後、その表面の水接触角を測定し、保護層の有無を確認する。
  3. 前記(A)成分の双性イオンポリマーが、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体である、請求項1又は2に記載の親水性シート。
    Figure 0007083651000020
    〔式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~11のシアノアルキル基、エーテル結合を有する若しくは有しない炭素数2~10のアルケニル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。また、R及びRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。Aは、下記式(2)~(4)
    Figure 0007083651000021
    (式中、A及びAは、それぞれ独立に、置換基を有する若しくは有しない炭素数1~10のアルキレン基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、置換基を有する若しくは有しない炭素数6~20のアリール基を表す。nは1~10の整数を表す。*1は炭素原子との結合手を表し、*2は窒素原子との結合手を表す。)
    のいずれかで示される2価の基を表す。-Gは、脱プロトン化カルボキシ基(-COO)又は脱プロトン化スルホ基(-SO )を表す。mは、2~5の整数を表す。〕
  4. 前記式(1)中の-Gが、脱プロトン化スルホ基である、請求項に記載の親水性シート。
  5. 前記(A)成分の双性イオンポリマーが、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位、及び、カルボキシ基、スルホ基、又は、これらの基が塩基と反応してなる基を有する繰り返し単位(ただし、双性イオンモノマー由来の繰り返し単位を除く。)を有する重合体である、請求項1~のいずれかに記載の親水性シート。
  6. 前記(B)成分の水性ポリエステル系樹脂が、下記式(5)
    Figure 0007083651000022
    (式中、Arは3価の芳香族基を表し、Xは親水性基を表し、Yはアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
    で示される繰り返し単位を有する重合体である、請求項1~5のいずれかに記載の親水性シート。
  7. Xで表される親水性基が、-SOH、-COH、-PO、又はこれらの基が塩基と反応してなる基である、請求項に記載の親水性シート。
  8. 前記親水性層中の(A)成分の双性イオンポリマーの含有量が、親水性層全体に対して、30~100質量%である請求項1~のいずれかに記載の親水性シート。
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