JP7019659B2 - 偏光フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された偏光フィルムの製造方法であって、前記接着剤層は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に活性エネルギー線を照射して得られた硬化物層により形成されたものであり、前記偏光子の貼合面に、オクタノール/水分配係数を表すlogPowが-1~1であるA成分を含有する第1活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する第1塗工工程と、前記透明保護フィルムの貼合面に、logPowが2~7であるB成分を含有する第2活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する第2塗工工程と、前記偏光子および前記透明保護フィルムとを貼り合わせる貼合工程と、前記偏光子面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた前記接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含み、前記接着工程後に形成される前記接着剤層は、前記偏光子側での前記A成分の濃度が高いことを特徴とする偏光フィルムの製造方法、によっても製造可能である。
単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体は、偏光子や各種の透明保護フィルムとの接着性を確保するうえで、また、重合速度が速く生産性に優れる点で好ましい。(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例としては、例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-N-プロパン(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN-アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド等のN-アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のN-メルカプトアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;などが挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド基の窒素原子が複素環を形成している複素環含有(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン等があげられる。
また、二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、2-エチル-2-ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンがあげられる。具体例としては、アロニックスM-220(東亞合成社製)、ライトアクリレート1,9ND-A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDGE-4A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP-A(共栄社化学社製)、SR-531(Sartomer社製)、CD-536(Sartomer社製)等が挙げられる。また必要に応じて、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物を用いる場合の光重合開始剤は、活性エネルギー線によって適宜に選択される。紫外線または可視光線により硬化させる場合には紫外線または可視光線開裂の光重合開始剤が用いられる。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α´-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン化合物;メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフエノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1などのアセトフェノン系化合物;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインブチルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1―プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物において、ラジカル重合性化合物として、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を用いる場合には、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤と組み合わせて用いるのが好ましい。かかる構成によれば、特に高湿度環境または水中から取り出した直後(非乾燥状態)であっても、偏光フィルムの有する接着剤層の接着性が著しく向上する。この理由は明らかでは無いが、以下の原因が考えられる。つまり、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、接着剤層を構成する他のラジカル重合性化合物とともに重合しつつ、接着剤層中のベースポリマーの主鎖および/または側鎖に取り込まれ、接着剤層を形成する。かかる重合過程において、水素引き抜き作用のあるラジカル重合開始剤が存在すると、接着剤層を構成するベースポリマーが形成されつつ、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物から、水素が引き抜かれ、メチレン基にラジカルが発生する。そして、ラジカルが発生したメチレン基とPVAなどの偏光子の水酸基とが反応し、接着剤層と偏光子との間に共有結合が形成される。その結果、特に非乾燥状態であっても、偏光フィルムの有する接着剤層の接着性が著しく向上するものと推測される。
カチオン重合硬化型接着剤の硬化性成分としては、エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物(芳香族系エポキシ化合物)や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物(脂環式エポキシ化合物)等が例として挙げられる。ただし接着剤層において、A成分に関し成分傾斜構造を実現するために、カチオン重合硬化型接着剤を使用する場合であっても、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、オクタノール/水分配係数を表すlogPowが-1~1であるA成分と、logPowが2~7であるB成分とを含有する必要がある。
カチオン重合硬化型接着剤は、硬化性成分として以上説明したエポキシ化合物及びオキセタン化合物を含有し、これらはいずれもカチオン重合により硬化するものであることから、光カチオン重合開始剤が配合される。この光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基やオキセタニル基の重合反応を開始する。
金属アルコキシドは、金属に有機基であるアルコキシ基が少なくとも一つ以上結合した化合物であり、金属キレートは、金属に酸素原子を介して有機基が結合または配位した化合物である。金属としてはチタン、アルミニウム、ジルコニウムが好ましい。この中でも、チタンに比べてアルミニウムおよびジルコニウムは反応性が速く、接着剤組成物のポットライフが短くなるとともに、接着耐水性の向上効果が低くなる場合がある。したがって、接着剤層の接着耐水性向上の観点から、有機金属化合物の金属としてチタンがより好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、下記成分を含有しても良い。
粘度が15mPa・s以上であるアルコキシシラン基含有化合物としては、アルコキシシラン基を含有する低分子量化合物よりも高分子量の化合物が使用され、特に、側鎖および/または分子末端にアルコキシシラン基を含有する重合体、あるいはオリゴマー型アルコキシシラン基含有化合物が好適に使用可能である。
(メタ)アクリル系ポリマー構造のものが好適に使用可能である。アクリル系ポリマーを構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)」は以下同様の意味である。
本発明において使用する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、前記ラジカル重合性化合物に係る硬化性成分、あるいはカチオン重合硬化型接着剤に加えて、(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマーを含有することができる。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、非重合性の(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマーを含有する場合、偏光子および透明保護フィルム間に介在する接着剤組成物の成分の偏在が進行し易くなり、偏光子側でのA成分の濃度が高くなるような成分傾斜構造がより得られ易くなる。このため、接着剤層の偏光子および透明保護フィルムとの接着性および耐水性がさらに高まるため好ましい。さらに、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物中にアクリル系オリゴマー成分を含有することで、該組成物に活性エネルギー線を照射・硬化させる際の硬化収縮を低減し、接着剤と、偏光子および透明保護フィルムなどの被着体との界面応力を低減することができる。その結果、接着剤層と被着体との接着性の低下を抑制することができる。硬化物層(接着剤層)の成分傾斜構造をより確実に得るために、さらには硬化収縮を十分に抑制するためには、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の全量を100重量%としたとき、アクリル系オリゴマーの含有量を5~30重量%とすることが好ましく、10~20重量%とすることがより好ましい。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物において、光酸発生剤を含有することができる。上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に、光酸発生剤を含有する場合、光酸発生剤を含有しない場合に比べて、接着剤層の耐水性および耐久性を飛躍的に向上することができる。光酸発生剤は、下記一般式(3)で表すことができる。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物において、光酸発生剤とアルコキシ基、エポキシ基いずれかを含む化合物を併用することができる。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用してもよい。ここでエポキシ基との反応性を有する官能基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、1級又は2級の芳香族アミノ基等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、一分子中に2つ以上有することが特に好ましい。
分子内にアルコキシル基を有する化合物としては、分子内に1個以上のアルコキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、メラミン化合物、アミノ樹脂、シランカップリング剤などが代表として挙げられる。
本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤が活性エネルギー線硬化性硬化型の場合には、シランカップリング剤は、活性エネルギー線硬化性の化合物を使用することが好ましいが、活性エネルギー線硬化性でなくても同様の耐水性を付与することができる。
本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物がビニルエーテル基を有する化合物を含有する場合、偏光子と接着剤層との接着耐水性が向上するため好ましい。かかる効果が得られる理由は明らかではないが、ビニルエーテル基を有する化合物が有するビニルエーテル基が偏光子と相互作用することにより、偏光子と接着剤層との接着力が高まることが理由の一つであると推測される。偏光子と接着剤層との接着耐水性をさらに高めるためには、ビニルエーテル基を有する化合物はビニルエーテル基を有するラジカル重合性化合物であることが好ましい。また、ビニルエーテル基を有する化合物の含有量は、硬化性成分の全量100重量部に対して0.1~19重量部含有することが好ましい。
本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物には、ケト-エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。例えば、架橋剤を含む接着剤組成物または架橋剤を配合して使用され得る接着剤組成物において、上記ケト-エノール互変異性を生じる化合物を含む態様を好ましく採用することができる。これにより、有機金属化合物配合後における接着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化、ならびにミクロゲル物の生成を抑制し、該組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。
また、本発明で使用する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどのポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどの重合禁止剤;重合開始助剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;無機充填剤;顔料;染料などを挙げることができる。
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、前記硬化性成分を含有するが、当該接着剤組成物の粘度は、塗工性の観点から、25℃において100cp以下であるのが好ましい。一方、本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤が25℃において100cpを超える場合には、塗工時に接着剤の温度をコントロールして、100cp以下に調整して用いることもできる。粘度のより好ましい範囲は1~80cp、最も好ましくは10~50cpである。粘度は東機産業社製のE型粘度計TVE22LTを使用して測定することができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物により形成された接着剤層の厚みは、0.1~3μmになるように制御することが好ましい。接着剤層の厚みは0.3~2μmであるのがより好ましく、さらには0.5~1.5μmが好ましい。接着剤層の厚さを0.1μm以上とすることは、接着剤層の凝集力により接着不良の発生や、ラミネート時に外観不良(気泡)が生じることを抑えるうえで好ましい。一方、接着剤層が3μmより厚くなると、偏光フィルムが耐久性を満足できないおそれがある。
クランプ距離20mm、
測定モード:引っ張り、周波数:1Hz、昇温速度:5℃/分動的粘弾性の測定を行い、tanδのピークトップの温度Tgとして採用した。
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、電子線硬化型、紫外線硬化型、可視光線硬化型の態様で用いることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物としては、可視光線硬化型接着剤組成物が生産性の観点から好ましい。
(1)の光重合開始剤を含有することによって、UV吸収能を有する透明保護フィルム越しに紫外線を照射して、接着剤層を硬化形成することができる。よって、偏光子の両面にUV吸収能を有する透明保護フィルムを積層した偏光フィルムにおいても、接着剤層を硬化させることができる。ただし、当然ながら、UV吸収能を有さない透明保護フィルムを積層した偏光フィルムにおいても、接着剤層を硬化させることができる。なお、UV吸収能を有する透明保護フィルムとは、380nmの光に対する透過率が10%未満である透明保護フィルムを意味する。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚みは特に制限されないが、一般的に80μm程度以下である。
[その他の工程]
上記の薄型偏光膜の製造方法は、上記工程以外に、その他の工程を含み得る。その他の工程としては、例えば、不溶化工程、架橋工程、乾燥(水分率の調節)工程等が挙げられる。その他の工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。
上記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは50~99重量%、さらに好ましくは60~98重量%、特に好ましくは70~97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
本発明の偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
本発明の偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶表示装置などの各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光フィルムまたは光学フィルム、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光フィルムまたは光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
<ポリビニルアルコール系偏光子Xの作製>
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、ポリビニルアルコール系偏光子X(厚み23μm)を得た。
<ポリビニルアルコール系薄型偏光子Yの作製>
薄型偏光子Yを作製するため、まず、非晶性PET基材に24μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成し、次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された10μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向されたポリビニルアルコール系薄型偏光子Yを構成する、厚さ10μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成することができた。
透明保護フィルムA :特開2010-284840号公報の製造例1に記載のイミド化MS樹脂100重量部およびトリアジン系紫外線吸収剤(アデカ社製、商品名:T-712)0.62重量部を、2軸混練機にて220℃にて混合し、樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットを、100.5kPa、100℃で12時間乾燥させ、単軸の押出機にてダイス温度270℃でTダイから押出してフィルム状に成形した(厚み160μm)。さらに当該フィルムを、その搬送方向に150℃の雰囲気下に延伸し(厚み80μm)、次いで水性ウレタン樹脂を含む易接着剤を塗布した後フィルム搬送方向と直交する方向に150℃の雰囲気下に延伸して、厚み40μm(透湿度58g/m2/24h)の透明保護フィルムAを得た。
透明保護フィルムB:厚み55μmの環状ポリオレフィンフィルム(日本ゼオン社製:ZEONOR,透湿度11g/m2/24h)にコロナ処理を施したものを使用した。
透明保護フィルムC:厚み80μmのPETフィルム(東洋紡績社製,透湿度13g/m2/24h)の貼合面にウレタン樹脂を使用して易接着処理を施したものを使用した。
透湿度の測定は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて測定した。直径60mmに切断したサンプルを約15gの塩化カルシウムを入れた透湿カップにセットし、温度40℃、湿度90%R.H.の恒温機に入れ、24時間放置した前後の塩化カルシウムの重量増加を測定することで透湿度(g/m2/24h)を求めた。
活性エネルギー線として、可視光線(ガリウム封入メタルハライドランプ) 照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10 バルブ:Vバルブ ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380~440nm)を使用した。なお、可視光線の照度は、Solatell社製Sola-Checkシステムを使用して測定した。
(活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の調製)
表1に記載の配合表に従い、各成分を混合して50℃で1時間撹拌し、実施例1~5および比較例1~2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。
上記透明保護フィルムA、BまたはC上に、実施例1~5または比較例1~2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、MCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、表1に記載の接着剤層厚みになるように塗工し、偏光子Xを使用する場合は、その両面に透明保護フィルムをロール機で貼り合わせた。一方、薄型偏光子Yを使用する場合は、PVA層との反対面のみに透明保護フィルムをロール機で貼り合わせた。その後、貼り合わせた透明保護フィルム側(偏光子Xを使用する場合は両側)から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、上記可視光線を両面に照射して実施例1~5および比較例1~2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた後、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光フィルムを得た。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
透明保護フィルムを機械的に切削し接着剤層を露出させた後、クラスターイオンを用いたエッチングと、TOF-SIMS測定を交互に繰り返すことによって、接着剤層の厚み方向分析を実施した。TOF-SIMSはアルバック・ファイ社製「TRIFTV」を使用した。各成分に特有の二次イオンを選定し、該二次イオンの厚み方向の強度比を比較することによって、厚み方向部位に偏在する成分を特定した。評価は、接着剤層厚み方向中心部におけるlogPowが-1~1であるA成分の割合を1としたときの、接着剤層の偏光子側界面でのA成分の比率を算出することにより行った。接着剤層の偏光子側界面でのA成分の比率が1より大きい場合、接着剤層は、偏光子側でのA成分の濃度が高いことを意味する。評価結果を表1に示す。
接着剤組成物が塗布された透明保護フィルムの表面をFLIR社製サーモグラフィー「FLIR-E49001」にて測定した。なお、塗布された接着剤層は透明保護フィルムに対して非常に薄膜であるため、接着剤組成物の温度は、塗布後直ちに透明保護フィルムと同等になるものと推定可能である。
各例で得られた偏光フィルムを偏光子の延伸方向と平行に200mm、直行方向に20mmの大きさに切り出し、透明保護フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、偏光フィルムをガラス板に貼り合わせた。テンシロンにより、90度方向に透明保護フィルムと偏光子とを剥離速度500mm/minで剥離し、その剥離強度を測定した。また、剥離後の剥離面の赤外吸収スペクトルをATR法によって測定し、剥離界面を下記の基準に基づき評価した。
A:透明保護フィルムの凝集破壊
B:透明保護フィルム/接着剤層間の界面剥離
C:接着剤層/偏光子間の界面剥離
D:偏光子の凝集破壊
上記基準において、AおよびDは、接着力がフィルムの凝集力以上であるため、接着力が非常に優れることを意味する。一方、BおよびCは、透明保護フィルム/接着剤層(接着剤層/偏光子)界面の接着力が不足している(接着力が劣る)ことを意味する。これらを勘案して、AまたはDである場合の接着力を○、A・B(「透明保護フィルムの凝集破壊」と「透明保護フィルム/接着剤層間の界面剥離」とが同時に発生)あるいはA・C(「透明保護フィルムの凝集破壊」と「接着剤層/偏光子間の界面剥離」とが同時に発生)である場合の接着力を△、BまたはCである場合の接着力を×とする。
各例で得られた偏光フィルムを、偏光子の延伸方向に50mm、垂直方向に25mmの長方形にカットした。かかる偏光フィルムを60℃の温水に6時間浸漬した後、剥れた長さを拡大鏡にて目視で測定した。測定は剥離が起こった部分の断面からの垂直距離の最大値とした(mm)。
各例で得られた偏光フィルムを偏光子の延伸方向と平行に200mm、直行方向に20mmの大きさに切り出した。当該偏光フィルムを23℃の純水に24時間浸漬した後に、純水中から取り出し乾いた布で拭き取った後、透明保護フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、偏光フィルムをガラス板に貼り合わせた。純水中から取り出してから評価までを1分以内に行った。以後は、上記<接着力>と同様の評価を行った。
4HBA;4-ヒドロキシブチルアクリレート、logPow=0.68、大阪有機化学工業社製、
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド、logPow=-0.56、興人社製、
ACMO:アクリロイルモルホリン、logPow=0.20、興人社製、
ファンクリルFA511AS;ジシクロペンテニルアクリレ-ト、logPow=2.26、日立化成社製、
ライトアクリレートDCP-A:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、logPow=3.05、共栄社化学社製、
ライトアクリレート1,9ND-A:1,9-ノナンジオールジアクリレート、logPow=3.68、共栄社化学社製、
ファンクリルFA-P324A:ビスフェノールA PO4モル変性ジアクリレート、logPow=6.43、日立化成社製、
アロニックスM-220:トリプロピレングリコールジアクリレート、logPow=1.68、東亞合成社製、
アロニックスM-5700:2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、logPow=1.17、東亞合成社製、
ARUFON UG-4010:(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマー、東亜合成社製、
ニカノールY-1000:キシレン樹脂、フドー社製
IRGACURE907;2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、BASF社製、
KAYACURE DETX-S;ジエチルチオキサントン、日本化薬社製、
IRGACURE184;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製、を示す。
以下の化合物を含有する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を調整した。
第1活性エネルギー線硬化型接着剤組成物(液粘度10mPa・s/25℃);HEAA 94重量%、IRGACURE907 3重量%、KAYACURE DETX-S
3重量%
第2活性エネルギー線硬化型接着剤組成物(液粘度350mPa・s/25℃);ライトアクリレート1,9ND-A 94重量%、IRGACURE907 3重量%、KAYACURE DETX-S 3重量%
薄型偏光子Yの、PVA層面に、第1活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工した
(接着剤層厚み0.3μm)。また、透明保護フィルムAの貼合面に、第2活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工し(接着剤層厚み0.7μm)、そしてこれらをロール機で貼り合わせた。第1活性エネルギー線硬化型接着剤組成物と第2活性エネルギー線硬化型接着剤組成物との割合は30:70である。その後、貼り合わせた透明保護フィルム側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、上記可視光線を両面に照射して第1および第2活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた後、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光フィルムを得た。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
貯蔵弾性率は、TAインスツルメンツ製動的粘弾性測定装置RSAIIIを用い以下の測定条件で測定した。
サンプルサイズ:幅10mm、長さ30mm、
クランプ距離20mm、
測定モード:引っ張り、周波数:1Hz、昇温速度:5℃/分動的粘弾性の測定を行い、貯蔵弾性率の25℃での測定値とした。
(活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の調製)
表3に記載の配合表に従い、各成分を混合して50℃で1時間撹拌し、実施例7~15および比較例3に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート、東亞合成社製(アロニックスM-220)、
金属アルコキシドおよび金属キレートは、
TC-750:アセト酢酸エチルキレート(有機基の炭素数6)、マツモトファインケミカル社製;
TC-100:チタンアセチルアセトナート(有機基の炭素数5)、マツモトファインケミカル社製;
TA-30:チタンオクトキシド(有機基の炭素数8)、マツモトファインケミカル社製;
D20:チタンブトキシド(有機基の炭素数4)、信越シリコーン社製;
ZA65:ジルコニウムブトキシド(有機基の炭素数4)、マツモトファインケミカル社製;
アルミキレートM:アルキルアセトアセテートジイソプロピレート(有機基の炭素数4以上)、川研ファインケミカル社製;を示し、
ビニルエーテル化合物は、
VEEA:アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製、を示し、
光酸発生剤は、
CPI-100P、サンアプロ社製;を示す。
(活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の調製)
表4に記載の配合表に従い、各成分を混合して50℃で1時間撹拌し、実施例16~19および比較例4~7に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。
TAポリマーSA100S:主鎖(メタ)アクリル系ポリマータイプ、カネカ社製
X-MAP SA110S:主鎖(メタ)アクリル系ポリマータイプ、カネカ社製
X-40-9225:オリゴマー型アルコキシシラン基含有化合物、信越シリコーン社製、
KR-213:オリゴマー型アルコキシシラン基含有化合物、信越シリコーン社製、
KC-89S:低分子量アルコキシシラン基含有化合物、信越シリコーン社製、
KBM403:低分子量アルコキシシラン基含有化合物、信越シリコーン社製、
を示す。
Claims (14)
- 偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された偏光フィルムであって、
前記接着剤層は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物(ただし、(メタ)アクリロイル基と酸基とが炭素数1~10の有機基を介して結合した酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を除く)に活性エネルギー線を照射して得られた硬化物層により形成されたものであり、
前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、オクタノール/水分配係数を表すlogPowが-1~1であるA成分と、logPowが2~7であるB成分とを含有し、
前記接着剤層は、前記偏光子側での前記A成分の濃度が高く、接着剤層厚み方向中心部における前記A成分の割合を1としたときの、前記接着剤層の偏光子側界面でのA成分の比率が1より大きいことを特徴とする偏光フィルム。 - 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、前記A成分として(メタ)アクリルアミド誘導体を含有する請求項1に記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、前記B成分として多官能(メタ)アクリレートを含有する請求項1または2に記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、(メタ)アクリルモノマーを重合してなるアクリル系オリゴマーを含有する請求項1~3のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、ヒドロキシル基含有光重合開始剤を含有する請求項1~4のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、金属アルコキシドおよび金属キレートからなる群より選択される少なくとも1種の有機金属化合物を含有する請求項1~5のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が含有する前記有機金属化合物の金属がチタンである請求項6に記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、前記有機金属化合物として前記金属アルコキシドを含有し、前記金属アルコキシドが有する有機基の炭素数が6以上である請求項6または7に記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、前記有機金属化合物として前記金属キレートを含有し、前記金属キレートが有する有機基の炭素数が4以上である請求項6または7に記載の偏光フィルム。
- 粘度が15mPa・s以上であるアルコキシシラン基含有化合物を含有する請求項1~9のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記アルコキシシラン基含有化合物の主鎖が、アクリル系ポリマー構造である請求項10に記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させて得られる接着剤層の、25℃における貯蔵弾性率が1.0×107Pa以上である請求項1~11のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の全量を100重量%としたとき、前記B成分の含有量が30~95重量%である請求項1~12のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 請求項1~13のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法であって、
前記偏光子および前記透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する塗工工程と、
前記偏光子および前記透明保護フィルムを貼り合わせる貼合工程と、
前記偏光子面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた前記接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含み、
前記塗工工程後、前記接着工程までの間、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の温度を15~40℃に調整することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
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