JP7081991B2 - 食品の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1(特開2007-228932号公報)には、濃縮タイプのペースト状食品を、本質的に粘質付与剤として高粘性の澱粉質と可溶性澱粉を含み、85~135℃で加熱処理してなるものとすることが記載されている。また、かかる濃縮タイプのペースト状食品は、本質的にテクスチャーを重視する点より澱粉質によって粘性を付与するものであって、常温での長期安定性を有し、容器から取り出しを容易にし、水などの液体で素早く均一に希釈出来、希釈後は加熱しないでそのまま食してもよく、更には必要に応じて加熱調理も可能となる、優れた多くの特性を有するものであるとされている。
特許文献3(特表平7-505520号公報)には、レトルト食品処理に用いられる改質食品澱粉に関する技術が記載されている。同文献において、レトルト澱粉は、酸化、非架橋、置換ヒドロキシアルキル化澱粉エーテルであり、特定の条件を満たすことが記載されている。
本発明の第1の発明によれば、
食品素材に、以下の酸処理澱粉を配合して、前記酸処理澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する前記食品組成物を得る工程(1-1)と、
前記食品組成物を加熱処理する工程(1-2)と、
加熱処理された前記食品組成物を容器に充填し、蓋をする工程(1-3)と、
容器に充填された前記食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る工程(1-4)と、
を含む、
加熱され流動状態で喫食される前記食品の製造方法であって、
前記酸処理澱粉が、以下の条件(a1)を満たす、食品の製造方法が提供される。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。
条件(a2):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、5℃に調温した際の、5℃の粘度が800mPa・s以上である。
前記酸処理澱粉が、以下の条件(a1)を満たす、前記剤が提供される。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。
さらに、本発明の第2の発明によれば、
食品素材に、以下の酸化澱粉を配合して、前記酸化澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する前記食品組成物を得る工程(2-1)と、
前記食品組成物を加熱処理する工程(2-2)と、
加熱処理された前記食品組成物を容器に充填し、蓋をする工程(2-3)と、
容器に充填された前記食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る工程(2-4)と、
を含む、
加熱され流動状態で喫食される前記食品の製造方法であって、
前記酸化澱粉が、以下の条件(b1)を満たす、食品の製造方法が提供される。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
条件(b2):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、5℃に調温した際の、5℃の粘度が55mPa・s以上である。
前記酸化澱粉が、以下の条件(b1)を満たす、前記剤が提供される。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明の第1および第2の発明における製造方法により得られる食品が提供される。
本実施形態において、食品は、加熱され流動状態で喫食されるものである。
加熱され流動状態で喫食される食品の具体例として、カレー、ハッシュドビーフ、シチューおよびスープからなる群から選択される1種が挙げられ、好ましくはカレーである。
食品とは、食品素材に、酸処理澱粉または酸化澱粉を所定量配合して得た食品組成物を、加熱処理したのち、容器に充填し、蓋をし、0℃超10℃以下の温度に冷却することを含んで得られるものである。以下、食品素材に酸処理澱粉を配合する態様を第1の実施形態とし、食品素材に酸化澱粉を配合する態様を第2の実施形態とする。
食品の5℃および70℃の粘度は、B型粘度計を用いて測定される。ただし、食品素材が固形分を含む場合、固形分を除いてから澱粉を配合し食品組成物を作製する。また、食品組成物や食品の状態で固形分を除いてもよい。固形分を除く方法としては、限定されないが、網やざる等で濾しとる方法が挙げられ、一例として目開き1.2mmの網で濾すことで固形分を除く。
食品の70℃の粘度は、以下の測定方法で得られた値である。
1.食品素材の具材をざる等で濾す。その後、食品素材250gを手鍋に測りとり、これに、所定量の澱粉試料を添加し、食品組成物を得る。
2.上記食品組成物にさらに水を10g添加し混合する。手鍋で80℃まで加熱し、手鍋の重さを測り、添加した水分が蒸発するまで手鍋を加熱する。
3.手鍋中の食品組成物をレトルト用透明シール袋に充填し、シールする。これをレトルト食品用オートクレーブ SR-240(株式会社トミー精工製)に入れ、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加熱処理する。
4.加熱処理後、シール袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温まで冷ます。次に、加熱処理された食品組成物50gを50mLポリチューブに移してキャップを閉め、冷蔵(3℃)し、16時間以上20時間以下保管し、食品を得る。
5.上記4.で得た食品を、冷蔵条件から取り出し後、70℃の湯浴中で加熱し、4-6時間静置し、食品が70℃に到達後、B型粘度計を用いて70℃の粘度を測定する。具体的には、B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定する。
1.食品素材の具材をざる等で濾す。その後、食品素材250gを手鍋に測りとり、これに、所定量の澱粉試料を添加し、食品組成物を得る。
2.上記食品組成物にさらに水を10g添加し混合する。手鍋で80℃まで加熱し、手鍋の重さを測り、添加した水分が蒸発するまで手鍋を加熱する。
3.手鍋中の食品組成物をレトルト用透明シール袋に充填し、シールする。これをレトルト食品用オートクレーブ SR-240(株式会社トミー精工製)に入れ、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加熱処理する。
4.加熱処理後、シール袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温まで冷ます。次に、加熱処理された食品組成物50gを50mLポリチューブに移してキャップを閉め、冷蔵(3℃)し、16時間以上20時間以下保管し、食品を得る。
5.上記4.で得た食品を、冷蔵条件から取り出し後、5℃に調温し、5℃の粘度をB型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、上記70℃の粘度と同じ方法で測定する。
一方、5℃における食品の粘度は、喫食時の流動性および舌触りを向上させる観点から、好ましくは40000mPa・s以下であり、より好ましくは10000mPa・s以下、さらに好ましくは5000mPa・s以下である。また、運搬時の保形性を向上させる観点から、5℃における食品の粘度は、好ましくは2800mPa・s以上であり、より好ましくは2850mPa・s以上、さらに好ましくは2950mPa・s以上、さらにより好ましくは3000mPa・s以上である。
次に、第1の実施形態について説明する。本実施形態の食品は、以下の条件(a1)を満たす酸処理澱粉を含む。また、本実施形態において、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性向上剤は、有効成分として上記酸処理澱粉を含む。
条件(a1):酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。
本実施形態においては、条件(a1)を満たす酸処理澱粉を選択し、これを食品中に配合することにより、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性を向上することができる。さらに具体的には、条件(a1)を満たす酸処理澱粉を食品中に配合することにより、食品の輸送時の保形性を向上させるとともに、食品を加熱し流動状態で喫食する際の舌触りおよび糊っぽさの抑制された良好な口どけとすることができる。
以下、酸処理澱粉についてさらに具体的に説明する。
本発明の酸処理澱粉の原料澱粉として、たとえば植物由来の澱粉が挙げられる。原料澱粉の由来となる植物の具体例として、トウモロコシ、もちトウモロコシ(ワキシーコーン)、米、もち米、小麦、甘藷、馬鈴薯、もち馬鈴薯、キャッサバ、サゴヤシ等が挙げられる。
また、原料澱粉は、食品の輸送時の保形性と喫食時の舌触りとのバランスを向上させる観点から、好ましくは、ワキシーコーンスターチ、もち米澱粉およびもち馬鈴薯澱粉から選ばれる1種または2種以上であり、より好ましくはワキシーコーンスターチである。
酸処理澱粉を調製するための澱粉の酸処理は、公知の方法によりおこなうことができる。具体的には、原料の澱粉と水を反応装置に投入する。あるいは水に無機酸をあらかじめ溶解させた酸水と原料を反応装置に投入する。酸処理をより安定的に行う観点からは、反応中の澱粉の全量が水相内に均質に分散した状態、またはスラリー化した状態にあることが望ましい。そのためには、酸処理を行う上での澱粉スラリーの濃度をたとえば20質量%以上50質量%以下、好ましくは25質量%以上45質量%以下の範囲になるように調整する。スラリー濃度が高すぎると、スラリー粘度が上昇し、均一なスラリーの攪拌が難しくなる場合がある。
反応条件の一例として、澱粉乾物に対する塩酸濃度3.7%とし、スラリー濃度35質量%、反応温度40℃において8時間以上30時間以下処理することで、所望の酸処理澱粉を得ることができる。
酸処理澱粉の糊液の70℃の粘度は、以下の測定方法で得られた値である。
1.試料澱粉溶液(澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%)をレトルト用透明シール袋に充填し、シーラー(MUDA ZERO MZC-300-C)で口をシールし、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製、SR-240)を用い、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加熱をおこなう。
2.上記1の後、袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温で冷却後、冷蔵庫(3℃)で16時間以上20時間以下保存する。
3.上記2.の保存後の試料の一部を50mLポリチューブに移して70℃の湯浴にて加熱し、試料が70℃に到達後、70℃での粘度測定をおこなう。B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定する。
1.試料澱粉溶液(澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%)をレトルト用透明シール袋に充填し、シーラー(MUDA ZERO MZC-300-C)で口をシールし、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製、SR-240)を用い、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加熱をおこなう。
2.上記1の後、袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温で冷却後、冷蔵庫(3℃)で16時間以上20時間以下保存する。
3.上記2.の保存後の試料の一部を50mLポリチューブに移して5℃に到達後、5℃での粘度測定をおこなう。B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定する。
澱粉試料の糊液の30℃の粘度は、乾物換算質量濃度が20質量%の糊液200gを200mLビーカーに入れ、30℃の湯浴にて加温し、30℃に到達後、質量を計量し、元の重量より減少した水分を加えることにより蒸発分の水分を補正し、B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定した値である。
また、喫食時の舌触りを好ましいものとする観点から、糊液の70℃での粘度の下限値は、6mPa・s以上であり、好ましくは7mPa・s以上である。
また、糊液の5℃での粘度の上限値は、限定されないが、喫食時の好ましくない糊っぽさを抑制する観点から、6000mPa・s以下が好ましく、3000mPa・s以下がより好ましい。
また、喫食時の好ましくない糊っぽさを抑制する観点から、糊液の30℃の粘度は、好ましくは3000mPa・s以下であり、より好ましくは900mPa・s以下である。
酸処理澱粉の糊化開始温度は、以下の方法で測定される。
澱粉試料の糊化開始温度はラビット・ビスコ・アナライザー(Newport Scientific社製)により測定する。蒸留水25mLを入れたビーカー中に乾物換算で6%になるように澱粉を投入、攪拌したのち、澱粉スラリーを装置付属のアルミニウム容器に移した。装置付属のパドルを160回転/分で回転させながら澱粉溶液を加熱し、1分間に6℃ずつ温度を上昇させながら澱粉溶液の粘度を測定する。澱粉溶液の粘度が20RVUに達した時の温度を糊化開始温度とする。
酸処理澱粉の糊化開始温度は、製造時の作業性の観点から、好ましくは55℃以上であり、より好ましくは65℃以上である。
また、糊っぽさを抑制し、口どけを好ましいものとする観点から、酸処理澱粉の糊化開始温度は、好ましくは71℃以下であり、より好ましくは69℃以下である。
食品組成物中の酸処理澱粉の配合量は、食品組成物全体に対して0.7質量%以上であり、食品の輸送時の保形性および舌触りを向上させる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。
また、食品組成物の酸処理澱粉の配合量は20質量%以下であり、喫食時の食品の糊っぽさを抑制する観点から、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらにより好ましくは6質量%以下である。
次に、加熱され流動状態で喫食される食品の製造方法を説明する。
本実施形態において、食品の製造方法は、以下の工程を含む。
工程(1-1):食品素材に、上述した酸処理澱粉を配合して、酸処理澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する食品組成物を得る。
工程(1-2):食品組成物を加熱処理する。
工程(1-3):加熱処理された食品組成物を容器に充填し、蓋をする。
工程(1-4):容器に充填した食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る。
食品素材は、具材、調味料等を含んでもよい。
具材の例として、農海産物が挙げられ、さらに具体的には、野菜、果物等の青果物;家禽肉、畜肉等の肉類;魚類、貝類、エビ、カニ等の魚介類が挙げられる。
また、食品素材は、カレー、ハッシュドビーフ、シチュー、スープ等の調理済み素材であってもよい。
工程(1-2)における加熱温度は、食品組成物の殺菌効果を高める観点から、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは115℃以上である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(1-2)における加熱温度は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは135℃以下である。
工程(1-2)が加圧加熱処理であるとき、加圧圧力は、食品組成物の殺菌効果を高める観点から、好ましくは0.150MPa以上であり、より好ましくは0.180MPa以上である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(1-2)における加圧圧力は、好ましくは0.350MPa以下であり、より好ましくは0.250MPa以下である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(1-2)における加熱時間は、好ましくは90分以下であり、より好ましくは60分以下である。
また、蓋は、容器中の食品を外部から確認できるようにする観点から、透明であることが好ましい。
後述の工程(1-4)において、食品の保存安定性を高める観点から、食品組成物が充填された容器は、さらに食品用の透明フィルム等で包装されることが好ましい。
工程(1-4)における冷却温度は、食品の凍結を抑制する観点から、0℃超であり、好ましくは2℃以上である。
また、食品の流動性を充分に低下させる観点から、工程(1-4)における冷却温度は10℃以下であり、好ましくは8℃以下、さらに好ましくは6℃以下である。
得られた食品は、冷蔵して、たとえば0℃超10℃以下の温度で、保存、輸送されることが好ましい。
また、得られた食品は、喫食前に加熱され、好ましくは容器内に充填された状態で適宜蓋を除去して加熱される。加熱には、たとえば電子レンジが用いられる。
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態の食品は、以下の条件(b1)を満たす酸化澱粉を含む。また、本実施形態において、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性向上剤は、有効成分として上記酸化澱粉を含む。
条件(b1):酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
本実施形態においては、条件(b1)を満たす酸化澱粉を選択し、これを食品中に配合することにより、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性を向上することができる。さらに具体的には、条件(b1)を満たす酸化澱粉を食品中に配合することにより、食品の輸送時の保形性を向上させるとともに、食品を加熱し流動状態で喫食する際の舌触りおよび糊っぽさの抑制された良好な口どけとすることができる。
本発明の酸化澱粉の原料澱粉として、たとえば植物由来の澱粉が挙げられる。原料澱粉の由来となる植物の具体例として、トウモロコシ、もちトウモロコシ(ワキシーコーン)、米、もち米、小麦、甘藷、馬鈴薯、もち馬鈴薯、キャッサバ、サゴヤシ等が挙げられる。
また、原料澱粉は、食品の輸送時の保形性と喫食時の舌触りとのバランスを向上させる観点から、タピオカ澱粉が好ましい。
酸化澱粉は、公知の酸化処理により得ることができる。酸化処理に用いられる酸化剤としては次亜塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、過酸化水素、硝酸などが挙げられ、種類、純度など問わず利用できる。また、反応時の酸化剤濃度や、スラリー濃度、反応温度、反応時間を適宜調整し、所望の粘度を有する酸化澱粉を得ることが可能である。
反応条件の一例として、澱粉乾物に対する次亜塩素酸ナトリウム濃度1.5%以上3.0%以下の範囲で、pH8.25、スラリー濃度35%、反応温度38℃において飽和ヨウ化カリウム水溶液によって有効塩素が検出されなくなるまで反応を行い、所望の酸化澱粉を得ることができる。
反応条件の一例として、酸化澱粉に、澱粉乾物に対する無水酢酸濃度が1.65%となるよう無水酢酸を加え、37℃、pH8.1で10分間反応させることで、所望のアセチル化酸化澱粉を得ることができる。
酸化澱粉は、上述した条件(b1)を満たす。条件(b1)は、酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液の加圧加熱後の粘度特性を規定する。具体的には、酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱後処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
本実施形態において、各温度での酸化澱粉の粘度の測定方法は、第1の実施形態における<2-4.酸処理澱粉の粘度>に記載の方法でおこなう。
また、条件(b1)における糊液の70℃の粘度の下限値は、食品の喫食時の舌触りの観点から、6mPa・s以上であり、好ましくは10mPa・s以上である。
また、酸化澱粉の糊液の5℃の粘度の上限値は、限定されないが、喫食時の好ましくない糊っぽさを抑制する観点から、好ましくは950000mPa・s以下であり、より好ましくは90000mPa・s以下、さらに好ましくは10000mPa・s以下、さらにより好ましくは1000mPa・s以下である。
また、喫食時の好ましくない糊っぽさを抑制する観点から、糊液の30℃の粘度は、好ましくは10000mPa・s以下であり、より好ましくは7000mPa・s以下であり、さらに好ましくは4500mPa・s以下である。
酸化澱粉の糊化開始温度は、製造時の作業性の観点から、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。
また、糊っぽさを抑制し、口どけを好ましいものとする観点から、酸化澱粉の糊化開始温度は、好ましくは68℃以下であり、より好ましくは65℃以下であり、さらに好ましくは63℃以下である。
なお、酸化澱粉の糊化開始温度は、第1の実施形態における<2-5.酸処理澱粉の糊化開始温度>に記載の方法で測定される。
食品組成物への酸化澱粉の配合量は、食品の輸送時の保形性および口どけを向上させる観点から、食品全体に対して0.7質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。
また、喫食時の食品の糊っぽさを抑制する観点から、食品組成物への酸化澱粉の配合量は、20質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である。
次に、加熱され流動状態で喫食される食品の製造方法を説明する。
本実施形態において、食品の製造方法は、以下の工程を含む。
工程(2-1):食品素材に、上述した酸化澱粉を配合して、酸化澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する食品組成物を得る。
工程(2-2):食品組成物を加熱処理する。
工程(2-3):加熱処理された食品組成物を容器に充填し、蓋をする。
工程(2-4):容器に充填した食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る。
食品素材には、具材、調味料等が含まれる。
具材の例として、農海産物が挙げられ、さらに具体的には、野菜、果物等の青果物;家禽肉、畜肉等の肉類;魚類、貝類、エビ、カニ等の魚介類が挙げられる。
また、食品素材は、カレー、ハッシュドビーフ、シチュー、スープ等の調理済み素材であってもよい。
工程(2-2)における加熱温度は、食品組成物の殺菌効果を高める観点から、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは115℃以上である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(2-2)における加熱温度は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは135℃以下である。
工程(2-2)が加圧加熱処理であるとき、加圧圧力は、食品組成物の殺菌効果を高める観点から、好ましくは0.150MPa以上であり、より好ましくは0.180MPa以上である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(2-2)における加圧圧力は、好ましくは0.350MPa以下であり、より好ましくは0.250MPa以下である。
また、食品としての好ましい形態を維持する観点から、工程(2-2)における加熱時間は、好ましくは90分以下であり、より好ましくは60分以下である。
また、蓋は、容器中の食品を外部から確認できるようにする観点から、透明であることが好ましい。
後述の工程(2-4)において、食品の保存安定性を高める観点から、食品組成物が充填された容器は、さらに食品用の透明フィルム等で包装されることが好ましい。
工程(2-4)における冷却温度は、食品の凍結を抑制する観点から、0℃超であり、好ましくは2℃以上である。
また、食品の流動性を充分に低下させる観点から、工程(2-4)における冷却温度は10℃以下であり、好ましくは8℃以下、さらに好ましくは6℃以下である。
得られた食品は、冷蔵して、たとえば0℃超10℃以下の温度で、保存、輸送されることが好ましい。
また、得られた食品は、喫食前に加熱され、好ましくは容器内に充填された状態で適宜蓋を除去して加熱される。加熱には、たとえば電子レンジが用いられる。
本例では、未加工のワキシーコーンスターチを原料澱粉として、以下の手順で酸処理澱粉を製造した。
ワキシーコーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製)を用い、澱粉180gにスラリー質量に対する澱粉乾物換算質量濃度が38%(dry starch weight/slurry weight)となるよう水を加えたスラリーを調製した。得られたスラリーを300rpmで撹拌しながら5.5%(v/v)に調整した塩酸水溶液36.78mLを加え、スラリー質量35%に調整した。このとき、澱粉乾物に対する塩酸濃度は3.7%になった。その後、40℃に調整し、8、15または24時間の各時間反応後、3%水酸化ナトリウムでpH6まで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ワキシーコーンスターチを得た。
未処理のワキシーコーンスターチを試料1とし、反応時間を8、15、24および30時間として得られた酸処理ワキシーコーンスターチを、それぞれ試料2~5とする。
本例では、未加工のタピオカ澱粉を原料澱粉として、以下の手順で酸化澱粉を製造した。
500mLセパラブルフラスコに、タピオカ澱粉(株式会社J-オイルミルズ製)を用い、澱粉160gにスラリー質量に対する澱粉乾物換算質量濃度が38%(dry starch weight/slurry weight)となるよう水を加えたスラリーを調製した。
得られたスラリーの温度を38℃にした後、300rpmで撹拌しながら次亜塩素酸ナトリウム水溶液を澱粉乾物換算質量濃度で2.0、2.5、または3.0%となるように投入し、3質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH8.25にした。
その後、適時水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、反応終了までpHを設定値±0.03以内に維持し、酸化澱粉を得た。反応終了は、スラリーを少量サンプリングして飽和ヨウ化カリウム水溶液に滴下し、紫色を呈しなくなった時点とした。
反応終了を確認後、スラリーに3質量%塩酸を添加してpH6まで中和し、洗浄脱水したのち乾燥させ、酸化澱粉を得た。
未処理のタピオカ澱粉を試料6とし、次亜塩素酸ナトリウム水溶液濃度を2.0、2.5、3.0%として得られた酸化澱粉を、それぞれ試料7~9とする。
本例では、未加工のタピオカ澱粉を原料澱粉として、以下の手順でアセチル化酸化澱粉を製造した。
500mLセパラブルフラスコに、タピオカ澱粉(株式会社J-オイルミルズ製)を用い、澱粉160gにスラリー質量に対する澱粉乾物換算質量濃度が38%(dry starch weight/slurry weight)となるよう水を加えたスラリーを調製した。
得られたスラリーの温度を38℃にした後、300rpmで撹拌しながら次亜塩素酸ナトリウム水溶液を澱粉対乾物換算質量濃度3.0%となるように投入し、3質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH8.25にした。
その後、適時水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、反応終了までpHを設定値±0.03以内に維持し、酸化澱粉を得た。反応終了は、スラリーを少量サンプリングして飽和ヨウ化カリウム水溶液に滴下し、紫色を呈しなくなった時点とした。
反応終了を確認後、37℃で、pH8.1で無水酢酸2.3gをゆっくり加え、その後、適時水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、反応終了までpHを設定値±0.03以内に維持し、10分間反応させた。その後、スラリーに3質量%水酸化ナトリウムを添加してpH6まで中和し、洗浄脱水したのち乾燥させ、アセチル化酸化澱粉を得た。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液濃度3.0%として得られたアセチル化酸化澱粉を試料10とする。
各澱粉試料の糊液の粘度の測定方法は、以下の通りである。
(糊液の30℃の粘度の測定)
1.試料を、水分計(研精工業株式会社製、電磁水分計:型番MX50)を用いて、130℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾物質量を算出し、乾物換算で50gとなる試料を準備した。
2.上記試料280gから水分込みの試料量を差し引いた量の蒸留水を試料の入った手鍋に加え、IHコンロ(TOSHIBA MR-20ED)のメモリ2で蒸発水分30gを加熱により飛ばして20%糊液(250g)を作製した。このうち200gを200mLビーカーに移した。
3.上記2.のビーカーを、あらかじめ加温しておいたウォーターバスにつけ30℃に加温した。適温に到達後、蒸発分の水分を補正し、糊液を作製した。B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型ローター、No.4)にて、60rpmで10回転目の粘度を測定した(糊液の30℃の粘度)。
試料を、水分計(研精工業株式会社製、電磁水分計:型番MX50)を用いて、130℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾物質量を算出し、乾物換算で50gとなる試料を準備した。
上記試料280gから水分込みの試料量を差し引いた量の蒸留水を試料の入った手鍋に加え、IHコンロ(TOSHIBA MR-20ED)のメモリ2で蒸発水分30gを加熱により飛ばして20%糊液(250g)を作製した。このうち200gをレトルト用透明シール袋に充填し、シーラー(MUDA ZERO MZC-300-C)で口をシールし、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製、SR-240)を用い、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加圧加熱処理をおこなった。
加圧加熱処理後、袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温で冷却後、冷蔵庫(庫内温度3℃)で18時間保存した。
保存後の試料の一部を50mLポリチューブに移して5℃に調温し、5℃の粘度の測定をおこなった。B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定した(糊液の5℃の粘度)。
また、保存後の試料の一部をポリチューブに移して70℃の湯浴にて加熱し、適温に到達後、5℃における測定方法に準じて、70℃での粘度を測定した(糊液の70℃の粘度)。
各澱粉の糊化開始温度をラビット・ビスコ・アナライザー(Newport Scientific社製)により測定した。蒸留水25mLを入れたビーカー中に乾物換算で6%になるように澱粉を投入、攪拌したのち、澱粉スラリーを装置付属のアルミニウム容器に移した。装置付属のパドルを160回転/分で回転させながら澱粉溶液を加熱し、1分間に6℃ずつ温度を上昇させながら澱粉溶液の粘度を測定した。澱粉溶液の粘度が20RVUに達した時の温度を糊化開始温度とした。
本例では、食品素材として調理済みカレーを用い、カレーサンプルの作製および評価をおこなった。澱粉試料として、前述した試料1~10を用いた。カレーサンプルの作製方法および評価方法を以下に示す。
市販のレトルトカレー(株式会社神戸物産 HK1製 たっぷりサイズのビーフカレー250g)を12パック開封してボウルに移し、カレーの具材を目開き1.2mmの網で濾した。その後、カレー250gを手鍋に測りとった。これに、澱粉の添加量が表1~表4に記載の濃度となるように、各例における澱粉試料を添加し、さらに水を10g添加し混合した。
そして、手鍋で80℃まで加熱した。加熱中、手鍋の重さを測り、添加した水分が蒸発するまで手鍋を加熱した。
なお、対照例については、水のみ添加し同様に加熱した。
加熱後、手鍋の内容物をレトルト用透明シール袋に充填し、シールした。これをレトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製、SR-240)に入れ、121℃、25分、加圧メモリ「中」(0.206MPa)にて加圧加熱処理した。
加圧加熱処理後、シール袋をレトルト食品用オートクレーブから取り出し、室温まで冷ました。
そして、得られたカレーサンプルのうち50gを50mLポリチューブに移してキャップを閉めて冷蔵保管し、本発明の食品としてのカレーを得た。このカレーを後述のカレーの5℃および70℃における粘度の測定に供した。
また、得られたカレーサンプルの100gを後述の容器に充填し、後述の保形性評価および舌触り、糊っぽさ/口どけの評価に供した。
上述の50mLポリチューブに移したカレーサンプルを冷蔵(3℃)で一晩保管し、カレーを得た。
そして、冷蔵条件から取り出し後、5℃に調温し、5℃の粘度を測定した。具体的には、B型粘度計(東京計器株式会社製、BM型、ローターNo.4)を用い、60rpmで10回転目の粘度を測定した。
5℃における測定終了後、引きつづき、サンプルチューブを70℃の湯浴中で加熱し、6時間静置した後、同様にして粘度の測定を行った。
作業者1名が以下の方法および基準で評価した。
プラスチックどんぶり容器(シーピー化成株式会社製、型式BF-76、115×115×43mm、低発泡ポリスチレン製)に各例で得られたカレーサンプルを100g充填後、プラスチックの透明蓋を閉めた。そして、冷蔵(3℃)で一晩保管しカレーを得た。
保管後、冷蔵庫から取り出し、直ちにシェーカー(東京硝子器械社製、FS-003)にて、180rpmで30秒間振とう後、容器側面への付着評価を以下の基準で評価し、2点以上を合格とした。また、当該評価における一部の結果を図1に示した。図1は、カレーの保形性の評価基準を示す図である。
5:全く付かない
4:ほとんど付かない
3:僅かに液面より上に付く
2:やや液面より上に付くが許容範囲である
1:液面よりかなり上に付く
容器側面への付着評価をしたカレーを電子レンジで72±2℃に加熱した。そして、加熱後喫食時のカレーの食感(舌触り、および、糊っぽさ/口どけ)評価を、専門パネラー3名が下記評価基準で評価した評点の平均が、2点を超えるものを合格とした。
(舌触り評価)
5:非常になめらかである
4:なめらかである
3:ややなめらかである
2:ややざらつく
1:かなりざらつく
(糊っぽさ/口どけ評価)
5:全く糊っぽさを感じず、非常に口どけが良い
4:ほとんど糊っぽさを感じず、口どけが良い
3:わずかに糊っぽさは感じるが、やや口どけが良い
2:やや糊のような感じがあり、あまり口どけが良くない
1:かなり糊のような感じがあり、口どけが良くない
また、実施例1~3(試料2~4)のように酸処理が8時間以上24時間以下では、70℃の粘度が7.5mPa・s以上45.0mPa・s以下となり、加熱後喫食時の舌触りおよび糊っぽさ/口どけが良好であった。殊に試料2のように45.0mPa・sの場合、舌触りがさらに良好であった。また、試料3および試料4のように酸処理時間が15時間以上24時間以下の場合70℃での粘度が7.5mPa・s以上15.0mPa・s以下となり、糊っぽさがほとんど感じられない良好な口どけであった。
また、得られた食品の70℃での粘度が、700mPa・s以上1000mPa・s以下の範囲では、食品の食感が良好になった。
一方、比較例1(試料1)においては、保形性は優れているものの、加熱後喫食時の舌触りはざらつき、かなり糊のような感じがあり、口どけが良くなかった。試料1の70℃での粘度は10200mPa・sであり、70℃での粘度が10200mPa・s以上では加熱後喫食時の食感が悪くなることがわかった。さらに、得られた食品の70℃での粘度が、5050mPa・s以上では、食感が良くなかった。
また、酸処理を30時間にした場合(試料5)、保形性が十分ではなかった。すなわち、試料5のように5℃での粘度が700mPa・s以下では、保形性が悪かった。
また、試料4の澱粉を1質量%以上7質量%以下添加したカレーの場合、食感は良好であった。なかでも5質量%以上7質量%以下添加した場合、舌触りはなめらかであった。また、1質量%以上5質量%以下添加した場合に、糊っぽさが抑制され、口どけが良好であり、殊に1質量%以上3質量%以下添加した場合に糊っぽさ/口どけが良好であった。
また、得られた食品の5℃での粘度が、3050mPa・s以上4450mPa・s以下の範囲では、保形性が良好になった。
また、試料7~10は加熱後喫食時の食感も良好であった。すなわち、70℃での粘度が15mPa・s以上4700mPa・s以下の場合、舌触りは良好であり、糊っぽさ/口どけも問題なかった。試料7および8のように70℃での粘度が450mPa・s以上4700mPa・s以下の場合、糊っぽさがより抑制され、さらに、試料9および10のように、70℃での粘度が15mPa・s以上23mPa・s以下の時、ほとんど糊っぽさが感じられず最も口どけが良好であった。
一方、試料6を添加した場合には、保形性は良好だったものの、かなり糊のような感じが強く、口どけが良くなかった。すなわち70℃の粘度が、B型粘度計で測定できないほど高いと、かなり糊っぽく、口どけが良くなかった。
また、得られた食品の5℃での粘度が、2850mPa・s以上35500mPa・s以下の範囲では、保形性が良好になり、3050mPa・s以上35500mPa・s以下でさらに良好であり、殊に3100mPa・s以上35500mPa・s以下で、非常に良好であった。
また、試料10の澱粉を1質量%以上15質量%以下カレーに添加した場合、加熱後喫食時の食感は良好であった。3質量%以上5質量%以下添加した場合、糊っぽさ/口どけはさらに良好であり、5質量%添加した場合、糊っぽさ/口どけは非常に良好であった。15質量%添加した場合、やや糊っぽさはあるが許容範囲であった。
Claims (13)
- 食品素材に、以下の酸処理澱粉を配合して、前記酸処理澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する前記食品組成物を得る工程(1-1)と、
前記食品組成物を加熱処理する工程(1-2)と、
加熱処理された前記食品組成物を容器に充填し、蓋をする工程(1-3)と、
容器に充填した前記食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る工程(1-4)と、
を含む、
加熱され流動状態で喫食される前記食品の製造方法であって、
前記酸処理澱粉が、以下の条件(a1)を満たす、食品の製造方法。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。 - 前記食品が、カレー、ハッシュドビーフ、シチューおよびスープからなる群から選択される1種である、請求項1に記載の食品の製造方法。
- 前記酸処理澱粉の原料澱粉が、トウモロコシ澱粉である、請求項1または2に記載の食品の製造方法。
- 前記酸処理澱粉が、さらに以下の条件(a2)を満たす、請求項1乃至3いずれか1項に記載の食品の製造方法。
条件(a2):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、5℃に調温した際の、5℃の粘度が800mPa・s以上である。 - 有効成分として以下の酸処理澱粉を含む、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性向上剤であって、
前記酸処理澱粉が、以下の条件(a1)を満たす、前記剤。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。 - 加熱され流動状態で喫食される食品の保形性を向上する方法であって、前記食品に以下の条件(a1)を満たす酸処理澱粉を配合する、前記方法。
条件(a1):前記酸処理澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上400mPa・s以下である。 - 食品素材に、以下の酸化澱粉を配合して、前記酸化澱粉を食品組成物全体に対して0.7質量%以上20質量%以下含有する前記食品組成物を得る工程(2-1)と、
前記食品組成物を加熱処理する工程(2-2)と、
加熱処理された前記食品組成物を容器に充填し、蓋をする工程(2-3)と、
容器に充填した前記食品組成物を0℃超10℃以下の温度に冷却し、食品を得る工程(2-4)と、
を含む、
加熱され流動状態で喫食される前記食品の製造方法であって、
前記酸化澱粉が、以下の条件(b1)を満たす、食品の製造方法。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。 - 前記食品が、カレー、ハッシュドビーフ、シチューおよびスープからなる群から選択される1種である、請求項7に記載の食品の製造方法。
- 前記酸化澱粉の原料澱粉が、タピオカ澱粉である、請求項7または8に記載の食品の製造方法。
- 前記酸化澱粉が、アセチル化酸化澱粉である、請求項7乃至9いずれか1項に記載の食品の製造方法。
- 前記酸化澱粉が、さらに以下の条件(b2)を満たす、請求項7乃至10いずれか1項に記載の食品の製造方法。
条件(b2):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、5℃に調温した際の、5℃の粘度が55mPa・s以上である。 - 有効成分として以下の酸化澱粉を含む、加熱され流動状態で喫食される食品の保形性向上剤であって、
前記酸化澱粉が、以下の条件(b1)を満たす、前記剤。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。 - 加熱され流動状態で喫食される食品の保形性を向上する方法であって、前記食品に以下の条件(b1)を満たす酸化澱粉を配合することを特徴とする、前記方法。
条件(b1):前記酸化澱粉の乾物換算質量濃度が20質量%の糊液を121℃、0.206MPaで25分間、加圧加熱処理後、3℃で16時間以上20時間以下冷却したのち、70℃に加熱した際の、70℃の粘度が6mPa・s以上7000mPa・s以下である。
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