JPH1014524A - 香油含有食品の製造方法 - Google Patents

香油含有食品の製造方法

Info

Publication number
JPH1014524A
JPH1014524A JP8191620A JP19162096A JPH1014524A JP H1014524 A JPH1014524 A JP H1014524A JP 8191620 A JP8191620 A JP 8191620A JP 19162096 A JP19162096 A JP 19162096A JP H1014524 A JPH1014524 A JP H1014524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
starch
oil
food
fragrance
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8191620A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3615315B2 (ja
Inventor
Yoshio Sato
良夫 佐藤
Yutaka Goto
裕 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Seifun Group Inc
Original Assignee
Nisshin Seifun Group Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Seifun Group Inc filed Critical Nisshin Seifun Group Inc
Priority to JP19162096A priority Critical patent/JP3615315B2/ja
Publication of JPH1014524A publication Critical patent/JPH1014524A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3615315B2 publication Critical patent/JP3615315B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バージンオリーブ油等の香油の香りが充分に
活かされていて風味に優れ、しかも食感などにも優れる
パスタソースなど食品、および香油用香気保持剤を提供
すること。 【解決手段】 (A)親油性澱粉;及び(B)特性(濃度
が5〜15重量%の澱粉水溶液又は澱粉水分散液の状態
で70〜90℃で糊化したときの70℃での粘度が15
00〜40000cpであるという特性)及び特性
(上記で糊化した液を121℃で30分間加熱処理し
70℃に冷却したときの粘度が200cp以下であると
いう特性)を有する澱粉から選ばれる少なくとも1種か
らなる澱粉を含有する香油用香気保持剤を食品中に含有
させて、澱粉の糊化前又は糊化後に食品中にバージンオ
リーブ油等の香油を添加して香油を含有する食品を調製
し、それを100℃以上の温度に加熱処理することによ
り、香油の香気を有する風味および食感に優れる香油含
有食品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香油を含有する食
品、その製造方法および香油用香気保持剤に関する。よ
り詳細には、本発明は、100℃以上の高温に加熱した
後に食品中に添加した香油の香りが失われておらず、香
油に由来する良好な風味と良好な食感を有する食品、そ
の製造方法およびそれに用いる香油用香気保持剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の即席化、洋風化などによ
り、常温で長期間保存が可能であって、しかも食したい
ときに調理を行わずにそのまま喫食したりまたは単に温
めるだけで喫食できる、レトルトパックなどの容器に入
った食品が色々開発、販売されている。そしてそのよう
な容器入り食品が普及するにつれて、風味、食感などに
一層優れる高級感のある製品や、従来にないような新ら
しい風味や食感を有する製品が消費者に強く求められる
ようになっている。また、レトルト食品以外の食品にお
いても、風味、香り、食感などに優れる食品が求められ
ている。特に、スパゲッティなどのパスタ類は若者世代
を中心に人気のある食品の一つであり、それに伴ってパ
スタソースの需要が近年大幅に伸びていて、風味や食感
などに一層優れる製品が強く求められている。
【0003】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者らは、
風味や食感に優れ、しかも従来にないような風味などを
有するパスタソースの開発を目的として研究を行ってき
た。そして、バージンオリーブ油がイタリア料理にマッ
チする特有の良好な香りを有しているところから、バー
ジンオリーブ油の香りのするパスタソースを製造するこ
とに想到して実験を行った。ところが、通常のパスタソ
ースの製法に準じてバージンオリーブ油を添加してパス
タソースをつくったところ、それにより得られるパスタ
ソースではバージンオリーブ油の香りが殆ど失われてお
り、バージンオリーブ油の香りを有するパスタソースを
得ることができなかった。また、バージンオリーブ油の
香りの失われたそのようなパスタソースを容器に充填し
て加熱殺菌処理して得られた容器入りパスタソースにお
いてもバージンオリーブ油の香りが殆ど失われていた。
【0004】そこで、バージンオリーブ油の香りが失わ
れずにそのまま良好に保たれていて風味に優れるパスタ
ソースを得ることを目的として、種々の観点から色々検
討を重ねた。その結果、パスタソースにバージンオリー
ブ油を添加してパスタソースを製造するに当たって、特
定の澱粉、すなわち親油性澱粉、および糊化後に高温で
加熱処理するとその粘性を大幅に低減する特定の澱粉の
少なくとも1種を用いて、該澱粉の糊化前または糊化後
にバージンオリーブ油を添加して100℃以上の温度に
加熱してパスタソースを製造すると、100℃以上の温
度に加熱する直前の加熱調理済みのパスタソースではバ
ージンオリーブ油の香りが殆ど失われているにも拘わら
ず、それを100℃以上の温度で加熱したものでは、予
想外にもバージンオリーブ油の香りが再度良好に発現し
て、バージンオリーブ油に由来する芳香を有する風味に
優れるパスタソースが得られることを見出した。そし
て、本発明者らは、バージンオリーブ油以外のゴマ油や
落花生油などの香油を添加した食品についても同様の試
験を行ったところ、それらの香油を用いる食品の場合に
も、上記した特定の澱粉を用いることによって、100
℃以上の温度で加熱した後の食品に香油の良好な香りが
し、風味に優れる食品が得られることが判明し、それら
の知見に基づいて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、香油を含有する食品
の製造方法であって、 (A)親油性澱粉;および (B)下記の特性および特性; 濃度が5〜15重量%の澱粉水溶液または澱粉水分
散液の状態にして70〜90℃の温度で糊化したときの
70℃における粘度が1500〜40000cpである
という特性;および 上記で糊化した液を121℃の温度で30分間加
熱処理を行い70℃に冷却したときの粘度が200cp
以下であるという特性;を有する澱粉;から選ばれる少
なくとも1種からなる澱粉を食品中に含有させ、澱粉の
糊化前または糊化後に食品中に香油を添加した後、10
0℃以上の温度で加熱することを特徴とする香油の香気
が保持された香油含有食品の製造方法である。
【0006】そして、本発明は、上記の方法により製造
される香油を含有する食品を包含する。
【0007】さらに、本発明は、(A)親油性澱粉;お
よび (B)下記の特性および特性; 濃度が5〜15重量%の澱粉水溶液または澱粉水分
散液の状態にして70〜90℃の温度で糊化したときの
70℃における粘度が1500〜40000cpである
という特性;および 上記で糊化した液を121℃の温度で30分間加
熱処理を行い70℃に冷却したときの粘度が200cp
以下であるという特性;を有する澱粉;から選ばれる少
なくとも1種からなる澱粉を含有することを特徴とする
香油用香気保持剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、香油の種類は特に制限されず、香ば
しい香りを有していて食品に良好な風味を付与し得る油
脂類であればいずれでもよい。本発明で用い得る香油と
しては、バージンオリーブ油、ゴマ油、落花生油などを
挙げることができ、そのうちでもバージンオリーブ油、
ゴマ油が好ましく用いられ、バージンオリーブ油がより
好ましく用いられる。
【0009】また、本発明の食品では、食品の種類は特
に制限されず、上記したような香油の使用によって風味
が一層向上し、食感的にも一層引き立ったものとなる食
品であればいずれでもよい。例えば、バージンオリーブ
油を含有させる食品としては、洋風食品、エスニック風
食品;ゴマ油を用いる食品としては中華風食品、和風食
品;落花生油を用いる食品としては和風食品、中華風食
品などを挙げることができる。そのうちでも、本発明は
パスタソース類、シチュー類、スープ類、汁物などのよ
うな液状、ペースト状などの食品の製造に適しており、
特にパスタソース類の製造に適している。そして、本発
明では、上記で挙げたような食品を容器に充填し加熱殺
菌処理して容器入り食品の形態にしておくと、その良好
な風味、香気、食感を充分に保ちつつ長期保存が可能な
食品にすることができるので好ましい。
【0010】オリーブ油は、一般に、粗砕したオリーブ
果実を、例えば簡単な回転ふるいやスーパーデカンター
などを用いて、果肉ペースト、果汁、油層に分離した時
に得られる高品質のバージン油(油層)(エキストラバ
ージンオリーブ油);果肉ペーストを圧搾して得られる
初期の段階での圧搾油(バージンオリーブ油);圧搾の
後段での油や圧搾後の果肉をヘキサンなどで溶剤抽出し
て得た油をアルカリ脱酸、活性白土などで脱色、脱臭な
どの精製処理を施して得られる精製オリーブ油に分類さ
れる。そして前記したオリーブ油のうちで、エキストラ
バージンオリーブ油およびバージンオリーブ油はいずれ
も芳香を有し、本発明における香油として有効に使用で
きる。本発明では、エキストラバージンオリーブ油およ
びバージンオリーブ油をそれぞれ単独で使用しても、ま
たは両者を併用してもよい。
【0011】食品への香油の添加量は、食品の種類や香
油の種類などに応じて調節し得るが、一般に、食品の全
重量(100℃以上の温度で加熱する直前の食品の全重
量)に基づいて、香油の含有量が0.1〜10.0重量
%程度になるようにすると、香油の香りが適度にして風
味に優れる食品が円滑に得られる点から好ましく、香油
の含有量が0.2〜8.0重量%であるのがより好まし
い。特に、バージンオリーブ油を含有するパスタソース
類を製造する場合は、パスタソースの全重量に基づい
て、バージンオリーブ油の含有量を0.4〜6.0重量
%にすると、バージンオリーブ油の香りが充分に活かさ
れ、しかも食感の点でも良好なパスタソースを得ること
ができる。
【0012】また、食品への香油の添加は、食品を調理
する際の初期の段階で行ってもよいが、調理時の最終段
階で添加するのが香油の香りを活かした容器入り食品を
円滑に得ることができる点から好ましく、特に食品に親
油性澱粉(A)および/または澱粉(B)を添加した後
該澱粉を加熱α化して食品の粘度を高めた状態で香油を
添加し、それを100℃以上の温度に加熱すると、香油
の香りの一層高い容器入り食品を得ることができるので
望ましい。また、例えば香油の一部を用いて原材料を炒
め、残りの香油を上記したような調理の後段で添加する
ようにしてもよい。
【0013】そして本発明では、上記した香油の香りの
する風味に優れる食品を得るために、親油性澱粉(A)
および澱粉(B)の少なくとも1種を用いることが必要
である。親油性澱粉(A)としては、親油性の基(疎水
性の基)を有するように変性されている澱粉であって、
食品中に添加した香油を100℃以上の温度で加熱処理
する前までの段階において食品中に均一に分散させ得る
澱粉であればいずれも使用可能であるが、特に下記の一
般式(I)および/または一般式(II);
【0014】
【化3】 (式中、R1およびR2は炭素数5以上のアルキル基、ア
ルケニル基、アラルキル基またはアラルケニル、Xは水
素原子またはカルボキシル基と塩を形成する陽イオンを
示す)で表される基で変性されている親油性澱粉が好ま
しく用いられる。
【0015】そのうちでも、親油性澱粉(A)として
は、R1がアルケニル基である上記の一般式(I)で示
される基で変性された親油性澱粉、すなわちアルケニル
コハク酸またはその無水物で半エステル状に変性されて
いる、下記の式(III);
【0016】
【化4】 で表される澱粉(すなわちアルケニルコハク酸半エステ
ル澱粉)が特に好ましく用いられる。
【0017】また、上記の一般式(I)、一般式(II)
および式(III)において、そのカルボキシル基におけ
るXとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム、カル
シウム、マグネシウム、アンモニウムなどの陽イオンを
挙げることができ、そのうちでも、Xがナトリウムイオ
ンであるものが好ましく用いられる。
【0018】上記の一般式(I)および/または一般式
(II)で表される基で変性された澱粉では、それらの基
による変性割合によってその親油性の程度が種々異なり
得るが、一般的には、変性する前の澱粉の重量に基づい
て、上記の一般式(I)および/または一般式(II)で
表される変性基の含有量[一般式(I)および一般式
(II)の両方を含有する場合はその合計含有量)が4重
量%以下(絶乾重量に基づく)であるものが好ましく用
いられ、2〜4重量%のものがより好ましく用いられ
る。そのような親油性澱粉、特にアルケニルコハク酸半
エステル澱粉は既に市販されており、本発明では親油性
澱粉(A)として市販のものを購入して用いることがで
きる。
【0019】また、本発明で使用する澱粉(B)は、上
記したように、 濃度が5〜15重量%の澱粉水溶液または澱粉水分
散液の状態にして70〜90℃の温度で糊化したときの
70℃における粘度が1500〜40000cpである
という特性;および 上記で糊化した液を121℃の温度で30分間加
熱処理を行い70℃に冷却したときの粘度が200cp
以下であるという特性;を有する澱粉である。
【0020】ここで、澱粉(B)における上記の特性
は、澱粉を内割で(すなわち水と澱粉の合計重量に基づ
いて)5〜15重量%の割合で含む澱粉水溶液または澱
粉水分散液を調製し、それを70〜90℃の範囲の温度
に加熱して澱粉を糊化したときの澱粉糊化液の粘度が1
500〜40000cp(測定時温度70℃)になるこ
とをいう。そして、この特性としては、前記の粘度が
3000〜20000cp(測定時温度70℃)である
のがより好ましい。また、澱粉(B)における上記の特
性は、上記の澱粉糊化液を121℃の温度にまで加
熱し、該温度に30分間保った後に70℃まで冷却し該
70℃の温度で測定したときの粘度が200cp以下で
あることを意味する。そしてこの特性としては、粘度
が100cp以下(測定温度70℃)であるのがより好
ましい。なお、本発明における澱粉(B)の特性およ
び特性における粘度の値(cp)は、いずれもB型粘
度計を用いて上記した所定の温度で測定したときの値を
いう。
【0021】上記の特性および特性を有する澱粉
(B)は、澱粉(B)の水溶液または水分散液をその糊
化温度またはそれよりやや高めの温度(通常約70〜9
0℃の範囲の温度)に加熱したときには高い粘度を有
し、一方前記温度で糊化した澱粉溶液を加熱殺菌処理が
行われるような90℃を超える温度、特に100℃以上
の温度に加熱したときには粘度が急激に低下するという
特徴を有している。
【0022】本発明では、澱粉(B)として、上記の特
性および特性を有する澱粉のいずれもが使用できる
が、架橋処理、エーテル化処理および酸化処理のうちの
少なくとも一つの処理が施されている澱粉であって且つ
上記した特性および特性を有する澱粉が好ましく用
いられ、特に架橋処理、エーテル化処理および酸化処理
のうちの少なくとも一つの処理が施されていて且つ上記
した特性および特性を有するワキシーコーンスター
チがより好ましく用いられる。
【0023】親油性澱粉(A)および/または澱粉
(B)の使用量は、食品の種類や澱粉の種類などに応じ
て調節することができる。そして、香油含有食品がレト
ルト食品などのような容器入りの食品である場合は、一
般に、親油性澱粉(A)および/または澱粉(B)を食
品の全重量に基づいて約0.6〜6.0重量%の割合で
用いると、容器に充填する際の食品の粘度を充填に適す
る粘度にすることができて良好な作業性で均一充填が可
能であり、しかも食品に添加した香油の香りを充分に出
現させることができ、且つ食品の食感を良好なものにす
ることができるので好ましく、食品の全重量に基づいて
約1.0〜5.0重量%の割合で用いるのがより好まし
い。
【0024】食品への親油性澱粉(A)および/または
澱粉(B)の添加時期は、食品の調製(調理)を円滑に
行うようにするために、調理の後段であるのが好まし
い。特に容器入りの食品の場合は、上記したように、食
品の調製の後段で食品中に親油性澱粉(A)および/ま
たは澱粉(B)を添加し、加熱した澱粉をα化して食品
の粘度を高めた後に、香油を添加し、必要に応じて更に
加熱してから、それを容器に充填するようにすると、容
器への充填が円滑に行われる。
【0025】本発明では、食品の種類、それに用いる原
材料、食品の調理方法などは特に制限されず、食品の種
類などに応じて適宜選択すればよい。本発明で製造され
る食品としては、例えば、各種のパスタソース類、シチ
ュー類、スープ類、カレー類、野菜のうま煮、タレ類な
どを挙げることができる。 また、本発明で用い得る食品用原材料としては、食品の
種類に応じて、例えば、各種の野菜類、穀類、肉をはじ
めとする畜産物、水産物、それらの加工品、食塩、砂
糖、調味料、香辛料、水、スープ、アルコール類などの
うちから適当なものを使用すればよい。そして、調理法
もそれぞれの食品に適した方法を採用すれば、例えば炒
めたり、煮たり、炒めてから煮たりしてもよく、また容
器に充填する前には煮ず、100℃以上の温度に加熱処
理する際に同時にその高温で煮るようにしてもよい。
【0026】また、食品の粘度も食品の種類などに応じ
て調節できる。特に容器入り食品の場合は、一般的に
は、1,000〜20,000cp程度にしておくの
が、容器への均一充填性に優れ、しかも充填時の作業性
が良好になるなどの点から好ましい。容器入り食品で
は、容器への充填方法は特に制限されず、食品の種類や
粘度などに応じて選択することができ、例えば公知のロ
ータリー式自動充填包装機、ピストン式定量自動充填包
装機などを使用して行うことができる。その際に充填す
る容器の種類は特に限定されず、安全性、衛生性、密封
性などに優れていて加熱殺菌に耐えることのできる食品
用容器であればいずれも使用でき、例えばプラスチック
フイルムやシート、プラスチックと金属箔や紙などとの
複合材料からなるレトルトパウチ、ガラスやプラスチッ
ク製のビン、金属缶などを挙げることができる。
【0027】そして、上記のようにして調製した香油含
有食品を100℃以上の温度に加熱することによって、
食品中に添加した香油の香気を再度良好に発現させるこ
とができる。その際の加熱処理温度は100℃以上の温
度で且つ食品の風味や食感などが損なわれないような温
度であればいずれでもよい。特に、香油含有食品が容器
入り食品の場合は、食品を容器に充填した後、容器を密
封する前または密封した後に100℃以上、好ましくは
102〜140℃、より好ましくは110〜130℃の
温度に加熱して殺菌処理を行うと、加熱殺菌処理および
香油の香気の出現の両方を同時に達成することができ
る。100℃以上の温度での加熱処理時間としては、一
般に5〜120分間、好ましくは10〜60分間が採用
される。また、前記の加熱処理はレトルト釜などを利用
して行うのが便利である。そしてそのような加熱処理に
よって、特に容器入り食品では、常温でも長期保存が可
能で、しかも食品中に添加した香油の香りが失われずに
良好に発現されている容器入り食品を得ることができ
る。
【0028】また、本発明では、上記した親油性澱粉
(A)および澱粉(B)から選ばれる少なくとも1種か
らなる澱粉自体または該澱粉を主要成分として含有する
素材を、そのままで香油用香気保持剤として流通、販売
することができ、したがって上記したように、本発明は
親油性澱粉(A)および澱粉(B)から選ばれる少なく
とも1種からなる澱粉を含有する香油用香気保持剤を本
発明の範囲に包含する。
【0029】本発明により得られる食品において、親油
性澱粉(A)および/または澱粉(B)を用いることに
よって、バージンオリーブ油などの香油の香りが加熱殺
菌処理後の食品に良好に発現している理由は明確ではな
いが、次のように推定される。すなわち、親油性澱粉
(A)を用いた食品では、100℃以上の温度に加熱す
る前および加熱した後(容器入り食品では容器に充填す
る前また充填した後で加熱殺菌処理する前)のいずれの
段階においても香油が食品中に均一に分散された状態に
なっている。そして、親油性澱粉(A)を添加しそれを
加熱糊化して得られる食品中に香油を添加して更に加熱
調理したものでは添加した香油の香りが大幅に低減して
いるが、それを100℃以上の温度に加熱したもの(容
器入り食品では加熱殺菌処理したもの)では、食品中に
添加した香油の香りが再度強く現れていて、食品に添加
する前の香油とほぼ同じような芳香を有している。した
がって、それらの点から親油性澱粉(A)を用いた場合
には、食品中に添加した香油中に含まれる香りの成分が
100℃以上の温度に加熱する前の調理時の加熱処理に
よっては親油性澱粉(A)によって覆われてその芳香の
発散が一時的に遮られているが、100℃以上の高温に
加熱することによって、親油性澱粉(A)による香り成
分の被覆が何らかの形態になって外れて、香りを再度発
散するようになるものと推定される。
【0030】また、澱粉(B)を用いた食品では、10
0℃以上の温度に加熱する前(容器入り食品では容器に
充填する前)は香油が食品中に均一に分散した状態にな
っておりそこでは香油の香りが大幅に低減したものとな
っているが、それを100℃以上の温度に加熱した食品
(容器入り食品では加熱殺菌処理したもの)では、澱粉
(B)の粘度が大幅に低減することによって香油が食品
から分離して油滴や油膜を形成しており、それと併せて
香油の香りが再度強く現れている。したがってこのこと
から、澱粉(B)を用いた場合には、食品中に添加した
香油が、100℃以上の温度に加熱する前には澱粉
(B)の作用などによって食品中に取り込まれていてそ
の芳香を発散し得ない状態になっているのが、100℃
以上の高温での加熱処理によって香油が油滴や油膜の状
態で分離・露出してくることによって、香油の芳香が再
度発現するものと推定される。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが本発明はそれにより何ら限定されない。以下の
例において、特に断らない限りは、%は重量%を示す。
【0032】《実施例 1》 (1) 澱粉として、下記の; (a)架橋・エーテル化・酸化処理を施されているワキ
シーコーンスターチ(松谷化学工業株式会社製「グルメ
スター」); (b)オクテニルコハク酸無水物で変性されたワキシー
コーンスターチ(松谷化学工業株式会社製「エマルスタ
ー#1」); (c)オクテニルコハク酸無水物で変性した後に酸によ
り低粘度化したワキシーコーンスターチ(松谷化学工業
株式会社製「エマルスター#30A」);および、 (d)無処理ワキシーコーンスターチ(日本食品化工株
式会社製「ワキシーコーンスターチY」);の1種また
は2種を用いて、澱粉水溶液(澱粉水分散液)をそれぞ
れ調製した。 (2) 次いで85℃の温度に1分間加熱して澱粉糊化
液を調製し、該澱粉糊化液の温度を70℃にして、その
ときの粘度をB型粘度計(東京計器株式会社製「B
L」)を用いて測定したところ、下記の表2に示すとお
りであった。
【0033】(3) 上記(2)で調製した澱粉糊化液
に、70℃の温度でバージンオリーブ油(カルボネール
社製「エクストラバージンオリーブ油」)を添加して、
下記の表2に示すバージンオリーブ油濃度および澱粉濃
度を有する、バージンオリーブ油を含有する澱粉糊化液
を調製した後(なお表2におけるバージンオリーブ油濃
度および澱粉濃度はバージンオリーブ油、澱粉および水
の合計重量に基づく)、85℃の温度に5分間加熱し
た。このときのバージンオリーブ油を含有する澱粉糊化
液の香りを下記の表1に示す評価基準にしたがって5名
のパネラーに評価してもらいその平均値を採ったとこ
ろ、下記の表2に示すとおりであった。 (4) 次に、上記(3)で調製したバージンオリーブ
油を含有する澱粉糊化液のそれぞれを容器(東洋製缶株
式会社製レトルトパック)に100g/袋の割合で充填
した後密封して、加熱殺菌処理(121℃で30分間)
を行い、ついで温度を70℃まで低下させ、そのときの
バージンオリーブ油を含有する澱粉糊化液の粘度を上記
(1)におけるのと同じ粘度計を用いて測定したとこ
ろ、下記の表2に示すとおりであった。 (5) そして、上記(4)で得られたバージンオリー
ブ油を含有する澱粉糊化液(温度85℃)の香りを下記
の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに評
価してもらい、その平均値を採ったところ、表2に示す
とおりであった。
【0034】
【表1】 澱粉糊化液の香りの評価基準 5点:澱粉糊化液に添加する前の香油と同じ強さの芳香を有しており、 香りが極めて良好である。 4点:澱粉糊化液に添加する前の香油に比べて香りが僅かに弱くなって いるだけであり、良好な芳香を有している。 3点:澱粉糊化液に添加する前の香油に比べて香りが少し弱くなってい るが、ほぼ良好な香りである。 2点:澱粉糊化液に添加する前の香油に比べて香りがかなり弱くなって おり、香りがあまりせず不良。 1点:澱粉糊化液に添加する前の香油に比べて香りが大幅に弱くなって おり、香りが殆どせず著しく不良。
【0035】
【表2】 実 験 番 号 1 2 3 4 澱粉糊化液組成 : バージンオリーブ油含量(%) 10.4 10.4 18.9 18.9 澱粉種類;澱粉含量(%) a;5.3 d;5.3 b;2.7 d;6.5 c;3.8 水(%) 84.3 84.3 74.6 74.6 合 計(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 澱粉糊化液の粘度(cp) : レトルトパック充填前 10,000 15,000 7,500 20,000 加熱殺菌処理後 150 5,000 2,500 7,000澱粉糊化液の香り : レトルトパック充填前 2.3 2.0 2.1 1.7 加熱殺菌処理後 4.7 2.5 4.5 2.3 澱粉の種類: a:架橋・エーテル化・酸化処理したワキシーコーンスターチ(松谷化学 社製「グルメスター」) b:オクテニルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスターチ (松谷化学工業株式会社製「エマルスター#1」) c:オクテニルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスターチ (松谷化学工業株式会社製「エマルスター#30A」) d:無処理ワキシーコーンスターチ(日本食品化工株式会社製「ワキシー コーンスターチY」)
【0036】上記の表2の結果から、上記の特性およ
び特性を有する澱粉(B)(「グルメスター」)の澱
粉糊化液中にバージンオリーブ油を添加した実験番号
1、並びに親油性澱粉(A)(「エマルスター#1」お
よび「エマルスター#30A」)の澱粉糊化液中にバー
ジンオリーブ油を添加した実験番号3の場合には、レト
ルトパックに充填する前の加熱した澱粉糊化液ではバー
ジンオリーブ油の香りが大幅に低減されているが、加熱
殺菌処理後にはバージンオリーブ油の香りが再度現れて
いて、良好な香りを有すること、そのため親油性澱粉
(A)および澱粉(B)は香油用香気保持剤として有効
に用い得ることがわかる。それに対して、親油性澱粉
(A)および澱粉(B)以外の澱粉(「ワキシーコーン
スターチY])を用いている実験番号2および実験番号
4の澱粉糊化液の場合には、レトルトパックに充填する
前の加熱した澱粉糊化液においてバージンオリーブ油の
香りが大幅に低減されており、しかも加熱殺菌処理後も
バージンオリーブ油の香りが弱いままであり、良好な香
りを有していないことがわかる。
【0037】《実施例 2》 (1) 試験例1で用いたのと同じバージンオリーブ油
89gを熱して、ニンニクみじん切り30gをよく炒め
た後、セロリみじん切り5g、椎茸みじん切り100
g、ニンジン細片20g、および牛肉100gを入れて
よく炒めた。 (2) 次に、トマトペースト250g、食塩20g、
上白糖10g、香辛料3gおよび水150gを加えて8
5℃で5分間煮込んだ後、試験例で用いたのと同じオク
テニルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスタ
ーチ(「エマルスター#1」)を27gおよびオクテニ
ルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスターチ
(「エマルスター#30A」)38gを水150gに分
散させて添加して、85℃まで加熱した。 (3) 次いで、赤ワイン10g、試験例1で用いたの
と同じバージンオリーブ油100gを添加して、70℃
で1分間加熱してパスタソースを製造した。この段階で
得られたパスタソース(温度85℃)について、5名の
パネラーによりその風味を下記の表3に示す評価基準に
よって点数評価してもらってその平均値を採ったところ
下記の表4に示すとおりであった。また、同じパネラー
5名にその食感を下記の表3に示す評価基準にしたがっ
て点数評価してもらい平均値を採ったところ下記の4に
示すとおりであった。 (4) さらに、上記(3)で得られたパスタソース
を、温度70℃(パスタソースの粘度9,000cp)
で容器(東洋製缶株式会社製レトルトパック)に105
g/袋の割合で充填して、温度125℃、圧力2.3k
g/cm2の条件下に30分間加熱殺菌処理して、レト
ルトパック入りのパスタソースを製造した。 (5) 上記(4)で得られたレトルトパック入りのパ
スタソースを室温下に1カ月保存した後、電子レンジ
(出力200W)で1.5分間加熱して、その内容物の
風味および食感を下記の表3に示す評価基準にしたがっ
て5名のパネラーにより点数評価してもらいその平均値
を採ったところ下記の表4に示すとおりであった。
【0038】《比較例 1》 (1) 澱粉として、オクテニルコハク酸無水物で変性
されたワキシーコーンスターチ(「エマルスター#1」
27gおよび「エマルスター#30A」38g)を用い
る代わりに、試験例1で用いたのと同じ無処理ワキシー
コーンスターチ(「ワキシーコーンスターチY」)65
gを用いた以外は、実施例2と全く同様にしてパスタソ
ースを製造した。この段階で得られたレトルトパックに
充填する前のパスタソースについて、5名のパネラーに
よりその風味および食感を表3に示す評価基準にしたが
った点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、
下記の表4に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られたパスタソースを、実施例
2の(4)と同様にしてレトルトパックに充填し加熱殺
菌処理してレトルトパック入りのパスタソースを製造
し、室温で1カ月保存後に内容物の風味および食感を表
3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーにより点
数評価してもらってその平均値を採ったところ下記の表
4に示すとおりであった。
【0039】《実施例 3》 (1) しめじ100g、赤ピーマン10g、脱脂粉乳
150g、フィチン酸0.4g、食塩20g、上白糖5
g、香辛料2g、ガーリック30gおよび水500gを
加えて80℃で2分間煮込んだ。 (2) 次いで、温度を75℃まで下げ後、試験例1で
用いたのと同じ架橋・エーテル化・酸化処理したワキシ
ーコーンスターチ(「グルメスター」)53gを水10
0gで溶いたものを添加した。 (3) 次に、75℃の加熱下に試験例で使用したのと
同じバージンオリーブ油30gを添加した後、温度を6
5℃まで下げて、この段階で得られたパスタソースにつ
いて、5名のパネラーによりその風味および食感を下記
の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに点
数評価してもらいその平均値を採ったところ、下記の表
4に示すとおりであった。
【0040】(4) 上記(3)で得られたパスタソー
スを容器(東洋製缶株式会社製レトルトパック)に83
g/袋の割合で充填して、温度130℃、圧力2.3k
g/cm2の条件下に30分間加熱殺菌処理して、レト
ルトパック入りのパスタソースを製造した。 (5) 上記(4)で得られたレトルトパスタソース入
りのパスタソースを室温下に1カ月保存した後、電子レ
ンジ(出力200W)で1.5分間加熱して、その内容
物の風味および食感を下記の表3に示す評価基準にした
がって5名のパネラーにより点数評価してもらい、その
平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであっ
た。
【0041】《比較例 2》 (1) 澱粉として、架橋・エーテル化・酸化処理した
ワキシーコーンスターチ(「グルメスター」)53gを
用いる代わりに、試験例1で用いたのと同じ無処理ワキ
シーコーンスターチ(「ワキシーコーンスターチY」)
53gを用いた以外は実施例3と全く同様にしてパスタ
ソースを製造した。この段階で得られたレトルトパック
に充填する前のパスタソースについて、その風味および
食感を下記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパ
ネラーにより点数評価してもらい、その平均値を採った
ところ、下記の表4に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られたパスタソースを、実施例
3の(4)と同様にしてレトルトパックに充填し加熱殺
菌処理してレトルトパック入りのパスタソースを製造
し、室温で1カ月保存後に内容物の風味および食感を下
記の表3に示す評価基準にしたがって5名のパネラーに
より点数評価してもらいその平均値を採ったところ下記
の表4に示すとおりであった。
【0042】
【表3】 食品の品質の評価基準 風 味: 5点:香油の香ばしさが強く感じられ、食品中の他の素材に由来する香り と相俟って極めて良好な風味を有している。 4点:香油の香ばしさが感じられ、食品中の他の素材に由来する香りと相 俟って良好な風味を有している。 3点:香油の香りがやや感じられ、食品中の他の素材に由来する香りと相 俟ってほぼ良好な風味を有している。 2点:食品中の他の素材に由来する香りが強く、香油の香りが弱い。 1点:食品中の他の素材に由来する香りのみが強く、香油の香りが殆どし ない。 食 感: 5点:口内、舌に広がり、重くてコクのある感じであり、極めて良好。 4点:口内、舌に広がり、コクのある感じであり、良好。 3点:口内、舌にやや広がり、ややコクのある感じであり、ほぼ良好。 2点:口内、舌への広がりが殆どなく、コクをあまり感じず、やや不良。 1点:口内、舌への広がりが全くなく、コクを感じず、不良。
【0043】
【表4】 実施例 比較例 実施例 比較例 2 1 3 2 バージンオリーブ油含量(%)1) 18.9 18.9 10.4 10.4 澱粉種類;澱粉含量(%)1) b;2.7 d;6.5 a;5.3 d;5.3 c;3.8 食品の品質: レトルトパック充填前 風 味 2.0 2.1 2.3 1.9 食 感 4.8 4.5 4.9 4.5 加熱殺菌処理後 風 味 4.3 2.5 4.8 2.1 食 感 3.7 3.5 4.2 3.9 1) 食品の全重量の基づく含量 澱粉の種類: a:架橋・エーテル化・酸化処理したワキシーコーンスターチ(松谷化学 社製「グルメスター」) b:オクテニルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスターチ (松谷化学工業株式会社製「エマルスター#1」) c:オクテニルコハク酸無水物で変性されたワキシーコーンスターチ (松谷化学工業株式会社製「エマルスター#30A」) d:無処理ワキシーコーンスターチ(日本食品化工株式会社製「ワキシー コーンスターチY」)
【0044】上記の表4の結果から、澱粉として親油性
澱粉(A)(「エマルスター#1」および「エマルスタ
ー#30A」)、または上記の特性および特性を有
する澱粉(B)(「グルメスター」」)を用いて、バー
ジンオリーブ油を含有するパスタソースを製造している
実施例2および実施例3による場合は、レトルトパック
に充填する前のパスタソースではバージンオリーブ油の
香りが大幅に弱くなっているにも拘わらず、加熱殺菌処
理後にはバージンオリーブ油の香りが再度強く現れてい
て他の成分の香りと相俟って良好な風味を有し、しかも
食感にも優れるパスタソースが得られることがわかる。
それに対して、親油性澱粉(A)および澱粉(B)以外
の澱粉(無処理ワキシーコーンスターチ)を用いている
比較例1および比較例2の場合には、レトルトパックに
充填する前のパスタソースにおいてバージンオリーブ油
の香りが大幅に弱まっており、そして加熱殺菌処理後も
バージンオリーブ油の香りが弱く、風味の点で劣ってい
ることがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明による場合は、香油に由来する良
好な風味と良好な食感を有する食品、そのうちでも常温
で長期保存が可能な容器入り食品を円滑に製造すること
ができる。本発明において、特に香油としたバージンオ
リーブ油を用いてパスタソースを製造した場合には、バ
ージンオリーブ油の香りがパスタソースで充分に活かさ
れていて、従来にないような、新鮮で良好な風味および
食感を有するパスタソースを得ることができる。また、
本発明の香油用香気保持剤は、それ自体で、バージンオ
リーブ油やその他の香油用の香気保持剤として、食品な
どの製造時に有効に使用することができる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 香油を含有する食品の製造方法であっ
    て、 (A)親油性澱粉;および (B)下記の特性および特性; 濃度が5〜15重量%の澱粉水溶液または澱粉水分
    散液の状態にして70〜90℃の温度で糊化したときの
    70℃における粘度が1500〜40000cpである
    という特性;および 上記で糊化した液を121℃の温度で30分間加
    熱処理を行い70℃に冷却したときの粘度が200cp
    以下であるという特性;を有する澱粉;から選ばれる少
    なくとも1種からなる澱粉を食品中に含有させ、澱粉の
    糊化前または糊化後に食品中に香油を添加した後、10
    0℃以上の温度で加熱することを特徴とする香油の香気
    が保持された香油含有食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 食品中に香油を添加した後に容器に充填
    して、100℃以上の温度で加熱して殺菌処理すること
    からなる請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 親油性澱粉(A)が、下記の一般式
    (I)および/または一般式(II); 【化1】 (式中、R1およびR2は炭素数5以上のアルキル基、ア
    ルケニル基、アラルキル基またはアラルケニル、Xは水
    素原子またはカルボキシル基と塩を形成する陽イオンを
    示す)で表される基で変性されている澱粉である請求項
    1または2の製造方法。
  4. 【請求項4】 親油性澱粉(A)が、アルケニルコハク
    酸またはその無水物で半エステル状に変性された、アル
    ケニルコハク酸半エステル澱粉である請求項3の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 親油性澱粉(A)が、オクテニルコハク
    酸またはその無水物で変性された、オクテニルコハク酸
    半エステル澱粉である請求項4の製造方法。
  6. 【請求項6】 澱粉(B)が架橋処理、エーテル化処理
    および酸化処理のうちの少なくとも一つの処理が施され
    ている澱粉である請求項1または2の製造方法。
  7. 【請求項7】 澱粉(B)がワキシーコーンスターチで
    ある請求項6の製造方法。
  8. 【請求項8】 香油が、バージンオリーブ油、ゴマ油ま
    たは落花生油である請求項1〜7のいずれか1項の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 香油がバージンオリーブ油である請求項
    8の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項の方法に
    より製造される香油を含有する食品。
  11. 【請求項11】 パスタソースである請求項10の食
    品。
  12. 【請求項12】 (A)親油性澱粉;および (B)下記の特性および特性; 濃度が5〜15重量%の澱粉水溶液または澱粉水分
    散液の状態にして70〜90℃の温度で糊化したときの
    70℃における粘度が1500〜40000cpである
    という特性;および 上記で糊化した液を121℃の温度で30分間加
    熱処理を行い70℃に冷却したときの粘度が200cp
    以下であるという特性;を有する澱粉;から選ばれる少
    なくとも1種からなる澱粉を含有することを特徴とする
    香油用香気保持剤。
  13. 【請求項13】 親油性澱粉(A)が、下記の一般式
    (I)および/または一般式(II); 【化2】 (式中、R1およびR2は炭素数5以上のアルキル基、ア
    ルケニル基、アラルキル基またはアラルケニル、Xは水
    素原子またはカルボキシル基と塩を形成する陽イオンを
    示す)で表される基で変性されている澱粉である請求項
    12の香油用香気保持剤。
  14. 【請求項14】 親油性澱粉(A)が、アルケニルコハ
    ク酸またはその無水物で半エステル状に変性された、ア
    ルケニルコハク酸半エステル澱粉である請求項13の香
    油用香気保持剤。
  15. 【請求項15】 澱粉(B)が架橋処理、エーテル化処
    理および酸化処理のうちの少なくとも一つの処理が施さ
    れている澱粉である請求項12の香油用香気保持剤。
  16. 【請求項16】 澱粉(B)がワキシーコーンスターチ
    である請求項15の香油用香気保持剤。
JP19162096A 1996-07-03 1996-07-03 香油含有食品の製造方法 Expired - Lifetime JP3615315B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19162096A JP3615315B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 香油含有食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19162096A JP3615315B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 香油含有食品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1014524A true JPH1014524A (ja) 1998-01-20
JP3615315B2 JP3615315B2 (ja) 2005-02-02

Family

ID=16277674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19162096A Expired - Lifetime JP3615315B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 香油含有食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3615315B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321360A (ja) * 2002-04-15 2003-11-11 Daiho Ri 植物の果実から抽出した果実油、その抽出方法、医薬組成物およびその用途
JP2006304719A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Q P Corp 具材入りレトルト液状食品の製造方法
JP2014103884A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Q P Corp ネギ科野菜ソース
JP7278508B1 (ja) * 2021-08-06 2023-05-19 株式会社日清製粉ウェルナ 煮込み調理用調味液及びその製造方法並びに煮込み料理の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321360A (ja) * 2002-04-15 2003-11-11 Daiho Ri 植物の果実から抽出した果実油、その抽出方法、医薬組成物およびその用途
JP2006304719A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Q P Corp 具材入りレトルト液状食品の製造方法
JP2014103884A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Q P Corp ネギ科野菜ソース
JP7278508B1 (ja) * 2021-08-06 2023-05-19 株式会社日清製粉ウェルナ 煮込み調理用調味液及びその製造方法並びに煮込み料理の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3615315B2 (ja) 2005-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4707375A (en) Structured food products and process
JP2012213355A (ja) 容器入り液状又はペースト状食品組成物、及びその製造方法
JP4769981B2 (ja) 濃縮タイプのペースト状食品
JP5379027B2 (ja) 電子レンジ用カレーソース、電子レンジ用容器詰カレーソース及びカレー煮の製造方法
JP3615315B2 (ja) 香油含有食品の製造方法
JP3499372B2 (ja) イカスミを用いたレトルト食品
JP7148676B2 (ja) 調味用組成物及びその使用
JP3596979B2 (ja) 容器入り即席粥または即席雑炊の製造方法
CN115243565A (zh) 容器装焦糖色洋葱调味料及其制造方法
JP5523945B2 (ja) レトルト中華麺用穀粉組成物およびこれを用いたレトルト中華麺の製造方法
JP6784549B2 (ja) ひよこ豆含有レトルト食品およびその製造方法
JP2815517B2 (ja) 調味ペースト
JP3305846B2 (ja) ケーシング詰サラダ素材の製造方法
JPS6075266A (ja) レトルト食品の製造法
JP2730814B2 (ja) 乳製品含有食品の製造方法
JP3273760B2 (ja) トマト加熱加工品
JP2969041B2 (ja) 即席パスタ及び即席スープパスタの製造方法
JP3469819B2 (ja) 炒め物用調味料組成物及びその製造方法
JP2000032928A (ja) ペースト状食品
JP7154980B2 (ja) 液状又はペースト状食品組成物の製造方法
JP2011045289A (ja) おからペーストを使用した液状食品及びその製造方法
JP4704152B2 (ja) サラダの製造方法
JPH0779718A (ja) 密閉容器入りドリンクタイプ粥または雑炊およびその製造方法
JP3776533B2 (ja) 野菜ポタージュスープの製造方法
JP2001224339A (ja) 生ウニをベースとした練り食品及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040616

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041029

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term