JP3469819B2 - 炒め物用調味料組成物及びその製造方法 - Google Patents
炒め物用調味料組成物及びその製造方法Info
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Description
菜等を調理する際に使用する調味料組成物に関するもの
である。
炒めた場合、熱による野菜表面の細胞壁が破壊され、経
時的な水の流出が生じる。このように生じた水は炒め調
理時の熱によりある程度蒸発させることができる。しか
しながら、一般家庭にあるコンロの火力は弱いため、炒
めた時に野菜から多量に生じる水を十分に蒸発させるこ
とができず、ベチャベチャとした、食感及び外観の悪い
ものとなる場合が多い。また、炒めた野菜の中心付近の
細胞壁は維持され、細胞内の水が保持されるが、炒め調
理後、経時的に表面から流出する。従って、炒め直後に
は水っぽくなくても、数分も経つと、ベチャベチャした
野菜炒めとなる。更には、塩こしょう等の調味料を添加
して炒めた場合、炒め物の具材表面に、塩水の層がで
き、これによる浸透圧差により野菜から水が流出しやす
くなる。
さを軽減する野菜炒め用調味料も市販されている。例え
ば、特開平9-163952号公報及び特開平9-234015号公報
に、野菜炒め用調味料が提案されている。前者は、風味
成分を含有してなるO/W型乳化組成物であって、食用
油脂を10〜50重量%およびHLBが11〜19のシ
ョ糖脂肪酸エステルを0.03〜0.3重量%含有して
なり、粘度が2000〜7000センチポイズ/20℃
であり、平均油滴粒子径が30μm以下である前記乳化
組成物からなることを特徴とする炒め物用調味料であ
る。 また後者は、前者のショ糖脂肪酸エステルを、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルに代えた炒め物用調味料で
ある。しかし、これらの調味料を用いて調理した野菜炒
めは、依然として水っぽい食感である。ところで、上記
の炒め物用調味料には、粘性付与の目的ででん粉を含ん
でもよいとされている。また、でん粉を含む炒め物用調
味料製品も市販されているが、この製品は水を多く含ん
でいる。そのため、この調味料中のでん粉は調理時には
膨潤された状態にあるため吸水能力がないか、またはそ
の能力が低下している。従って、炒め物から流出する水
のうち、調理時に蒸発しなかったものは、そのまま残存
することになり、依然として水っぽい野菜炒めしか得ら
れないこととなる。
理する際に流出する水分の量を従来品を用いた場合に比
べて少なくすることができ、さらには調理後の経時的な
離水を抑制することができ、従って、見栄えがよく、水
っぽくない炒め物を調理可能な調味料組成物を提供する
ことを目的とする。
るでん粉粒を分散させた、水分含量が低減されたW/O
型の調味料組成物を用いて調理することにより、上記課
題を効率的に解決することができるとの知見に基づくも
のである。すなわち、本発明は、水分含量が10重量%
以下のW/O型の炒め物用調味料組成物であって、油脂
の連続相にでん粉粒が分散されており、該でん粉が未膨
潤又は不完全膨潤の状態にあることを特徴とする炒め物
用調味料組成物を提供する。また、本発明は、水分含量
が10重量%以下のW/O型の炒め物用調味料組成物の
製造方法であって、油脂に乳化剤を添加した後加熱混合
し、得られた混合物に未膨潤又は不完全膨潤の状態にあ
るでん粉粒を添加した後、均一混合により該でん粉粒を
油脂の連続相に分散させることを含む該製造方法を提供
する。
えばキャベツ、もやし、白菜、玉ねぎ、にんじん、ピー
マン等の野菜類、豚肉、牛肉、鶏肉等の肉類、ホタテ、
あさり、鮭等の魚介類が挙げられる。また、炒め物調理
とは、上記炒め物をフライパン又は中華鍋などに入れ
て、少量の油を加え、必要により攪拌を行いながら、強
火で調理する料理のことをいう。これにより、例えばチ
ンジャオロウスウ、ホイコウロウ、八宝菜等が調理され
る。本発明は、水分の多い野菜を多量に含み、その結
果、調理時に出る水の量が多くなる炒め物料理ほど、食
感および外観を改善できる効果が高い。従って、例え
ば、本発明の炒め物調味料組成物は、野菜炒め用調味料
組成物であるのが好ましい。このような本発明の調味料
組成物は、液状であっても、ペースト状であってもよ
い。また、本発明の調味料組成物の水分含量は、該組成
物の重量をベースとして、10重量%以下、好ましくは
8重量%以下、より好ましくは3重量%以下に調整す
る。また、本発明の調味料組成物は、W/O型エマルジ
ョンの形態にある。更には、本発明の調味料組成物は、
保存性を高めるために、加熱殺菌処理してもよく、ある
いは無菌処理された原料を用いて無菌的に製造されたも
のであってもよい。
は、通常炒め物に用いる食用油脂であればよく、風味に
より適宜選択すればよいが、具体例としては、牛脂、豚
脂、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、オリ
ーブ油、サフラワー油、パーム油、バター、マーガリン
などの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。液状油
脂を用いることにより、調理時の作業性がよくなる。ま
た、本発明の調理組成物の全重量に対する油脂の量は、
2〜10重量%とするのが好ましく、より好ましくは3
〜6重量%である。また、調味料組成物の全量に対する
油脂の量は、上記調理組成物に対する量に応じて設定す
ればよく、好ましくは30〜80重量%、より好ましく
は40〜50重量%である。ここで、油脂の連続相と
は、調味料組成物中に含まれる水または水を含む調味
料、あるいは粉体調味料が、油脂中に均一に分散されて
いる状態を意味する。
は、未膨潤又は不完全膨潤の状態にあるものとする。こ
こで、でん粉粒について、未膨潤又は不完全の状態と
は、例えば、調理時に野菜等の炒め物具材から流出した
水を、膨潤により吸収可能な状態にあるでん粉を意味す
る。具体的には、未α化でん粉やα化したでん粉でも水
で完全に膨潤していないものをいう。より具体的には、
とうもろこしでん粉、馬鈴薯でん粉、小麦粉でん粉、も
ち米でん粉などの生でん粉、あるいはこれらのα化でん
粉、でん粉分解物または架橋でん粉などを例示すること
ができる。調理時の作業性の観点から、架橋でん粉が好
ましい。架橋でん粉としては、エーテル化でん粉、エス
テル化でん粉、リン酸化でん粉等が挙げられ、このう
ち、エーテル化でん粉が好ましい。また、でん粉粒の粒
径は特に制限されないが、小さいもの程好ましい。本発
明においては、例えば、市販のでん粉(50μm以下の
粒径を有するもの)を用いてもよいが、好ましくは、5
〜20μmの粒径を有するでん粉粒を用いる。本発明の
調味料組成物は、調理組成物の全重量に対して、0.1
〜3.0重量%のでん粉粒を含有させるのが好ましく、
より好ましくは0.5〜1.5重量%である。一方、調
味料組成物の全重量に対しては、2〜15重量%のでん
粉粒を含有させるのが好ましく、より好ましくは5〜1
0重量%である。ここで、上記でん粉粒は、油脂の連続
相に分散されていることが必要である。このように分散
させることにより、調味料組成物中に含まれるでん粉
を、該組成物中の水分と非接触の状態で、油脂中に含ま
せ、膨潤を防止することができる。
組成物に含ませることができるが、その添加によってで
ん粉粒が膨潤しないものを選択すべきである。なお、添
加する原料は低水分のものが好ましい。従って、例えば
液状調味料などの水を含む原料を用いずに粉体調味料な
どの粉体原料のみを含む態様も本発明に含まれる。以下
に、本発明の調味料組成物に含ませることができる原料
を例示する。 乳化剤:炒め物調味料中の粉体原料の分散性がよくな
る。特に、グリセリン脂肪酸エステルを含むことによ
り、炒め物調味料中の油脂に粘性を付与でき、炒め物の
具材と油脂のからまりが良くなる。これによって、調理
時作業性、仕上がった炒め物の外観が良好になる。 調味料:食塩、糖類、醤油、唐辛子、こしょう、あるい
は醤油、エキスなどの液状調味原料を粉末乾燥した粉末
調味料、化学調味料などである。粉末調味料などの吸湿
しやすい原料は、水と非接触状態で組成物中に分散(油
脂の連続相中に分散)させるのがよい。 その他:フレーバー、着色料などである。
造方法の一例として、以下の工程〜を順に行う製造
方法を記載するが、これに限定される訳ではない。な
お、製造工程において、原料混合物を加熱殺菌などの目
的で加熱処理する場合には、でん粉粒の膨潤を防ぐため
に、当該混合物に含まれる水分含量が10重量%以下、
好ましくは8重量%以下とすべきことに特に注意を要す
る。
る。乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステルを配合した
場合には、加熱温度を50℃〜90℃とすることが好適
である。 上記加熱した油脂に、水性調味料を均一に混合し、液
状混合物を得る。水性調味料としては、例えば醤油、野
菜又は肉のエキス、みそ、野菜ペースト等の液状又はペ
ースト原料がある。混合方法は、例えばミキサー、ホモ
ジナイザー、コミトロール等を用いて行えばよい。混合
条件に制限はないが、この混合処理により、上記原料が
50μm以下の粒径となるまで混合することが好まし
い。 上記液状混合物に、でん粉、その他調味料等の粉末原
料を添加し、これを均一に混合する。これによって、炒
め物調味料組成物を得る。粉末状原料の混合は、減圧雰
囲気で行うことが好ましい。粉末状原料を混合する際に
エアがみが生じ、混合物の体積が急増するのを防止でき
るからである。減圧程度は制限されないが、500mm
Hg以下、好ましくは300mmHg以下まで減圧する
ことが好ましい(大気圧を760mmHg、真空を0m
mHgとした場合)。 上記炒め物調味料組成物を、容器に充填密封し冷却
し、製品化する。冷却は、常温雰囲気に炒め物調味料を
放置することにより行えばよい。あるいは、冷水に浸漬
等することにより、急速冷却しても良い。
とにより、炒め物を調理する際に流出する水分の量を従
来品を用いた場合に比べて少なくすることができ、従っ
て、見栄えがよく水っぽくない炒め物を火力の弱いコン
ロでも作ることができる。
びグリセリン脂肪酸エステル5重量部を85℃で加熱混
合し、これに肉エキス5重量部および醤油5重量部を加
えて、ホモジナイザーで乳化処理し、乳化組成物56重
量部を得た。次いで、上記乳化組成物56重量部に、エ
ーテル化工でん粉8重量部、食塩12重量部、ショ糖7
重量部、粉末調味料17重量部を、記載の順に添加し、
300mmHgの減圧雰囲気下で高速攪拌して均一混合
した。これによって、醤油風味の野菜炒め調味料組成物
100重量部を得た。
成物を用いて、野菜炒めを調製した。フライパンに大さ
じ1杯のサラダ油を入れて60秒間加熱し、その後この
フライパンに薄切り豚肉80重量部を入れて30秒間炒
める。次に、ざくに切ったキャベツ120重量部、もや
し150重量部、薄切りにしたにんじん30重量部を上
記フライパンに入れ、強火で60秒間軽く炒める。フラ
イパンを火からおろし、野菜炒め調味料40重量部を加
えて20秒間混合する。再度強火で30秒間攪拌しなが
ら加熱し、野菜炒め350重量部を得た。 (野菜炒めの評価)上記加熱調理中、フライパンの中に
は水がほとんど出なかった。従って、ベチャベチャせ
ず、水っぽくない野菜炒めを調理することができた。
リン脂肪酸エステル5重量部を85℃で加熱混合し、次
いで上記加熱混合物をホモジナイザーで乳化処理し、乳
化組成物46重量部を得た。次いで、上記乳化組成物4
6重量部に、エーテル化工でん粉8重量部、食塩12重
量部、ショ糖7重量部、粉末調味料27重量部を、記載
の順に添加し、300mmHgの減圧雰囲気下で高速攪
拌して均一混合した。これによって、野菜炒め調味料組
成物100重量部を得た。上記野菜炒め調味料組成物
を、実施例1と同様にして野菜炒めを調製し、野菜炒め
350重量部を得た。上記野菜炒めの加熱調理中、水が
フライパンの中にほとんど出なかったので、仕上がった
野菜炒めは水っぽさが感じられなかった。また、上記野
菜炒めは、調理後時間が経過しても離水が発生せず、良
好な外観すなわち、べちゃべちゃしていない外観を維持
していた。
Claims (5)
- 【請求項1】 水分含量が10重量%以下のW/O型の
炒め物用調味料組成物であって、油脂の連続相にでん粉
粒が分散されており、該でん粉が未膨潤又は不完全膨潤
の状態にあることを特徴とする炒め物用調味料組成物。 - 【請求項2】 でん粉粒が架橋でん粉である請求項1記
載の組成物。 - 【請求項3】 野菜炒め用調味料組成物である請求項1
又は2のいずれか1項記載の組成物。 - 【請求項4】 水分含量が10重量%以下のW/O型の
炒め物用調味料組成物の製造方法であって、油脂に乳化
剤を添加した後加熱混合し、得られた混合物に未膨潤又
は不完全膨潤の状態にあるでん粉粒を添加した後、均一
混合することにより該でん粉粒を油脂の連続相に分散さ
せることを含む該製造方法。 - 【請求項5】 でん粉粒を全調味料組成物の重量をベー
スとして2〜15%添加する請求項4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14528899A JP3469819B2 (ja) | 1999-05-25 | 1999-05-25 | 炒め物用調味料組成物及びその製造方法 |
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Family Applications (1)
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JP7515236B2 (ja) * | 2018-03-02 | 2024-07-12 | オリエンタル酵母工業株式会社 | 調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤、並びに調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法 |
-
1999
- 1999-05-25 JP JP14528899A patent/JP3469819B2/ja not_active Expired - Lifetime
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