JP3769239B2 - 炒め物用調味料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、炒飯等の炒め物を調理するのに好適なW/O型乳化組生物からなる調味料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炒め物料理の中で、例えば炒飯は中華料理専門店のメニューとして、あるいは家庭料理として広く食されている。一般に、炒飯は中華鍋やフライパン等に油脂を入れて熱し、これに溶き卵を入れ、この溶き卵が固まるか又は固まらないうちに米飯、具材その他調味料を加え、これらを炒めながら混合して調理されるが、この際、手早く上手に混合して米粒の表面に速やかに油膜を形成すると、米飯がべとつかず、ぱらりとした舌触り・食感を有する炒飯に仕上げることができる。しかしながら、この調理操作には熟練した調理技術を要し、通常の一般家庭では、このように手早く上手に混合することができないことから、米粒の表面に油膜が形成される前に、米粒同士が糊化してくっつき、べとついた舌触り・食感の炒飯となり易く、また焦げを生じさせてしまう場合もある。
【0003】
このため、一般家庭等でも、米飯がべとつかず、ぱらりとした舌触り・食感の炒飯を簡単に調理するための調味料として、HLB値が4〜10程度の乳化剤を含ませた粉体調味料が提案され、上市されている。この粉体調味料を用いると、比較的速やかに米粒の表面に油膜を形成することができ、ぱらりとした舌触り・食感の炒飯を調理し易くなる。しかしながら、この粉体調味料は、別途油脂を準備する必要があるとともに、油脂と上記HLB値の乳化剤とを別々に添加するため、実際の調理においては、依然としてある程度の調理技術を要し、べとついた舌触り・食感の炒飯となる場合が多いのが実情であった。
これに対して、このような調味料を、上記HLB値の乳化剤を含ませたW/O型乳化組生物の形態とすれば、油脂を別途準備する必要がなくなり、また、油脂に予め上記HLB値の乳化剤が含まれているため、求める炒飯を一層簡単に調理することが可能になる。しかしながら、W/O型乳化組生物には、上記HLB値の乳化剤を含ませると乳化状態が直ぐに壊れるという別の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好な舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を簡単に調理することができる乳化安定性の優れたW/O型乳化組生物からなる炒め物用調味料を提供することを目的とする。また、本発明は、当該調味料を用いて調理された炒め物を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該調味料の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、風味成分を含有するW/O型乳化組生物に、HLB値が2以下で且つ融点の低い乳化剤と、HLB値が2を超え且つ融点の高い乳化剤とを含有させることにより、上記課題を解決することができるとの知見に基づくものである。更に、本発明は、上記知見に基づき得られた炒め物用調味料が、上記課題を解決できることに加えて、電子レンジ又はオーブンを用いて炒め物を調理する場合にも有用であったとの知見に基づくものである。
【0006】
すなわち、本発明は、風味成分を含有するW/O型乳化組生物であって、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを含有することを特徴とする米飯の炒め物用調味料を提供する。また、本発明は、上記米飯の炒め物用調味料を用いて調理された米飯の炒め物を提供する。更に、本発明は、上記米飯の炒め物用調味料を製造する方法であって、25℃のときに液状の油脂と固形状の油脂とを加熱混合して得られた油相を、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤の融点よりも低い温度に冷却した後、当該油相に、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを添加混合し、その後、風味成分を含有する水相を添加混合してW/O型乳化組生物とすることを特徴とする米飯の炒め物用調味料の製造方法を提供する。更に、本発明は、風味成分を含有するW/O型乳化組生物であって、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを含有することを特徴とする、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して米飯の炒め物を得るための米飯の炒め物用調味料を提供する。更に、本発明は、風味成分並びに、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤及びHLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤を含有するW/O型乳化組生物と、乾燥食材とからなることを特徴とする、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して米飯の炒め物を得るための米飯の炒め物用素材を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の炒め物用調味料は、上述の炒飯に限らず、種々の炒め物に適用することができる。このような炒め物としては、例えば、ピラフ、ドリヤ、焼飯、蕎麦飯等の米飯の炒め物、チンジャオロース、ホイコウロウ、野菜炒め等の肉類、野菜類、魚介類の炒め物、スパゲッティ、パスタ等が挙げられる。特に、これらのうちでも、米飯の炒め物に有用である。尚、本発明において「炒め物」とは、中華鍋等を用い直火で炒めて調理されるものに限らず、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して得られるものをも包含するものとする。
【0008】
本発明の炒め物用調味料は、風味成分を含有するW/O型乳化組生物である。ここで、風味成分としては、通常の炒め物の味付けに用いられているものであればよく、例えば、食塩、醤油、味噌、食酢、酒、砂糖、オイスターソース、グルタミン酸ナトリウム等の化学調味料、各種エキス類、各種ブイヨン類、胡椒等の香辛料、チャツネ、乳製品等が挙げられる。W/O型乳化組生物の水相を構成する水性成分としては、ブイヨン等の水分の多い風味成分や水を用いることができる。
【0009】
また、W/O型乳化組生物の油相を構成する油性成分としては、食用油脂を用いることができる。食用油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、サフラワー油、牛脂、豚脂、バター、及びこれらの分別油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂等の加工油脂、マーガリン、ショートニング等が挙げられる。これらの油脂は単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。特に、本発明では、25℃のときに液状の油脂と固形状の油脂とを例えば60〜100℃程度で加熱混合することにより、常温下では高粘度で且つ高温下では低粘度となる油脂混合物を調製し、当該油脂混合物をW/O型乳化組生物の油相として用いることにより、後述する好適な粘度の炒め物用調味料を得ることができる。上記油脂は、炒め物用調味料中に好ましくは30〜90質量%(以下、%という)、より好ましくは40〜60%含有させるのがよい。
【0010】
また、本発明では、油性成分として、上記食用油脂に香味成分を含ませた香味油を使用することもできる。この香味油は、例えば、上記食用油脂に香味成分を含む原料を添加して加熱処理を施し、該原料中の香味成分を油脂に移行させた後、残渣をとり除き、油相を採取することにより得ることができる。上記香味成分を含む原料としては、例えば、ジンジャー、ガーリック、オニオン、ネギ、モヤシ、トウバンジャンなどが挙げられる。尚、香味油は、電子レンジより加熱調理して炒め物を得る場合に、特に有用である。この場合、中華鍋等を用いて直火で炒めるのと同様の香味を好適に付与できるからである。
【0011】
本発明の炒め物用調味料には、HLB値が2以下で且つ融点の低い乳化剤(以下、低融点乳化剤という)を含有させる。本発明において、HLB値が2以下の低融点乳化剤を含有させるのは、W/O型乳化組生物の乳化を促進し、安定に保持するためである。尚、低融点乳化剤の最も好ましいHLB値は1である。
低融点乳化剤の融点は、50℃未満、より好ましくは47℃以下、更に好ましくは45℃以下であるのがよい。このような低融点乳化剤としては、例えば、不飽和脂肪酸又は炭素数が14未満の飽和脂肪酸のエステル等が挙げられる。当該脂肪酸の中では、オレイン酸が好ましい。
【0012】
また、低融点乳化剤として、具体的には、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用してもよい。低融点乳化剤は、炒め物用調味料中に好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%含有させるのがよい。
尚、本明細書において「融点」とは、示唆走査熱量計等によって測定した融点(ピークトップ温度)をいう。
【0013】
本発明の炒め物用調味料には、HLB値が2を超え且つ融点の高い乳化剤(以下、高融点乳化剤という)を含有させる。これにより、W/O型乳化組生物の乳化状態を保持し、かつ、炒飯等の炒め物を簡単に調理することができる炒め物用調味料を得ることができる。その原理は定かでないが、次のように考えられる。すなわち、保存時等の常温下では、高融点乳化剤は実質的に溶解していないか又は低融点油脂と比較して溶解の不充分な状態にあるためにW/O型乳化組生物の乳化破壊の作用が抑えられ、一方、調理時の高温下では、高融点乳化剤は充分に溶解して、米飯等の食材表面への油膜の形成を促進し、良好な舌触り・食感を有する炒め物を簡単に調理することができると考えられる。尚、高融点乳化剤のHLB値は、好ましくは4〜10であり、より好ましくは5〜7である。
【0014】
高融点乳化剤の融点は、50℃以上、より好ましくは50〜70℃、更に好ましくは55〜65℃であるのがよい。このような高融点乳化剤としては、例えば、炭素数が14以上の飽和脂肪酸のエステル等が挙げられる。当該飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、パルチミン酸、ベヘリン酸等が挙げられる。また、具体的には、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用してもよい。
高融点乳化剤は、炒め物用調味料中に好ましくは0.1〜2.0%、より好ましくは0.2〜1.0%含有させるのがよい。また、低融点乳化剤と高融点乳化剤の割合は、5:1〜40:1とするのが好ましく、より好ましくは10:1〜30:1である。
【0015】
本発明の炒め物用調味料は、品温25℃における粘度が8000〜50000mPa・s、より好ましくは10000〜35000mPa・sであり、品温90℃における粘度が200〜4000mPa・s、より好ましくは1000〜3000mPa・sであるのがよい。この場合、保存時等の常温下では高粘度で乳化安定性を向上させ、一方、調理時の高温下では低粘度で米飯等の食材への混合が容易になる。
【0016】
本発明の炒め物用調味料を製造するには、例えば、油性成分を混合して油相とし、風味成分及び水性成分を混合して水相とし、ホモジナイザーやホモミキサー等の乳化装置を用いて、油相に低融点乳化剤と高融点乳化剤とを添加混合してから油相と水相を混合してW/O型に乳化させればよい。但し、高融点乳化剤は、W/O型乳化組生物の乳化破壊の作用を抑える上で、その融点よりも低い温度条件下で混合するのがよい。そのため、前述のように、25℃のときに液状の油脂と固形状の油脂とを加熱混合して油脂混合物を調製して油相とする場合には、次のようにして製造するのがよい。
【0017】
すなわち、25℃のときに液状の油脂と固形状の油脂とを例えば60〜100℃程度で加熱混合して得られた油相を、高融点乳化剤の融点よりも低い温度に冷却した後、当該油相に、低融点乳化剤及び高融点乳化剤を添加混合し、その後、風味成分を含有する水相を添加混合してW/O型乳化組生物を製造する。また、W/O型乳化組生物を製造するに当たり、水性成分にゼラチンとグルタミン酸ナトリウム等のナトリウムを含む成分とを添加混合すると、ゼラチンとナトリウムイオンとの反応により難水溶性かつ難油溶性の物質が形成され、この物質をW/O型乳化組生物中に分散させると更に乳化安定性を向上させることができる。
【0018】
このようにして得られる炒め物用調味料は、容器に充填密封するなどして製品に供することができる。容器としては、柔軟性で炒め物用調味料を絞り出し可能なものが好ましく、例えば、チューブ状容器、パウチ等が挙げられる。
本発明の炒め物用調味料の使用方法は任意であるが、例えば、中華鍋やフライパン等の調理器具に、炒め物用調味料とともに米飯等の食材、適当な大きさに刻んだ野菜・肉等の具材、溶き卵等を入れて炒めながら混合することにより、良好な風味、舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を簡単に調理することができる。尚、従来一般的な炒め物の調理では、米飯等の食材や具材、溶き卵等の添加順序や調理時間等の差異によって得られる炒め物の品質が大きく異っていたのであるが、本発明の炒め物用調味料を用いると、上記差異に拘らず略一様な品質の炒め物を調理することができる。また、本発明の炒め物用調味料によれば、後述する実施例のように別途油脂を準備する必要がないという利点もある。但し、本発明は、別途油脂を使用することを排除するものではない。
【0019】
また、本発明の炒め物用調味料によれば、電子レンジ又はオーブンを用いて、良好な風味、舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を簡単に調理することもできる。ここで、本発明の炒め物用調味料について、電子レンジを用いて炒め物を得る場合の好ましい使用方法 の一例について説明する。すなわち、料理皿等の食器に米飯等の食材と炒め物用調味料を入れ、これらを混合することなく、そのまま電子レンジに入れて2〜3分間程度加熱調理する。そして、電子レンジによる加熱調理後に、米飯等の食材と炒め物用調味料を箸やスプーン等を用いて混合すればよい。この方法によれば、電子レンジによる加熱により炒め物用調味料中の高融点乳化剤が充分に溶解しているため、米飯等の食材に対し、炒め物用調味料を簡単かつ均一に混合することができ、しかも、中華鍋等を用いて直火で加熱調理したものと同等の良好な風味、舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を得ることができる。また、オーブンを用いる場合も、上記方法と同様にして、炒め物を得ることができる。但し、電子レンジ又はオーブンを用いる場合の使用方法は、上記方法に制限される訳ではない。
【0020】
また、このようにして電子レンジ又はオーブンを用いて炒め物を得る場合に、野菜、肉等の具材や卵等として生のものを用いてもよいが、これらの乾燥物(以下、乾燥食材という)を用いてもよい。すなわち、米飯等の食材に対し、上記乾燥食材を炒め物用調味料とともに加えて電子レンジ又はオーブンにより加熱調理すれば、この乾燥食材は米飯等の水分によって復元させることができる。したがって、この場合は、野菜・肉等の具材の下ごしらえ(適当な大きさに刻んだり、中華鍋等で炒める等)や卵を溶いたりする手間が省け、それにともなって、中華鍋等の調理器具が不要となり洗浄作業の手間なども大きく軽減される。
【0021】
上記乾燥食材としては、種々のものを用いることができる。具体的には、例えば、ネギやキャベツ、ニンジン、タマネギ、ガーリック、シイタケ、ピーマン、ハクサイ等の野菜の乾燥物、豚肉や牛肉、鶏肉等の肉の乾燥物、卵の乾燥物、エビやイカ、タコ、カニ、ホタテ等の魚介の乾燥物、コンブやワカメ等の海藻の乾燥物が挙げられる。これらの乾燥食材は、生の食材を水分15%以下、好ましくは2〜10%に乾燥したものを用いるのがよい。乾燥方法としては、熱風乾燥、凍結乾燥、真空凍結乾燥、マイクロウェーブドライヤー、フライ等の任意の方法を採用することができる。
上記乾燥食材は、適当な大きさに加工し、W/O型乳化組生物の炒め物用調味料とは別の容器に包装するなどして、当該炒め物用調味料とともに、電子レンジにより加熱調理して炒め物を得るための炒め物用素材として製品に供することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な風味、舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を簡単に調理することができる乳化安定性の優れたW/O型乳化組生物からなる炒め物用調味料が提供される。また、本発明によれば、当該調味料を用いて調理された良好な風味、舌触り・食感を有する炒め物が提供される。更に、本発明によれば、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して、良好な風味、舌触り・食感を有する炒飯等の炒め物を簡単に得ることができる炒め物用調味料及び炒め物用素材が提供される。
【0023】
【実施例】
実施例1
1)炒飯用調味料の製造
▲1▼ 顆粒醤油25質量部(以下、部という)、肉エキス25部、食塩105部、胡椒5部、グルタミン酸ナトリウム120部、ゼラチン25部、及びブイヨン210部をミキサーで5分間攪拌混合して水相部を調製した。
▲2▼ サラダ油(液状)400部及び菜種極度硬化油(固形状)35部をミキサーで70℃で加熱しながら5分間攪拌混合して油相部を調製した。
▲3▼ この油相部を品温30℃に冷却した後、融点が30℃のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、商品名:リョウトウエステルO−170、HLB値:1)60部、及び融点が55℃のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、商品名:リョウトウエステルS−570、HLB値:5)5部を添加し、ホモジナイザーを用いて、1000rpmで5分間攪拌混合した。
▲4▼ 次に、この油相部に、上記▲1▼で得られた水相部を加え、ホモジナイザーにより、1000rpmで10分間攪拌混合して、W/O型乳化組生物の炒飯用調味料を製造した。そして、この炒飯用調味料を23gずつパウチに充填密封して、パウチ入りの炒飯用調味料を得た。尚、この炒飯用調味料は、品温25℃における粘度が25000mPa・sであり、品温90℃における粘度が1700mPa・sのものであった(B型粘度計)。
【0024】
2)炒飯の調理
試作人25名により、次の▲1▼〜▲3▼の手順に従って炒飯を調理した。
▲1▼ フライパンに、パウチを開封して炒飯用調味料を絞り出すとともに米飯250gを入れ、弱火で2分間炒めながらフライ返しを用いてかき混ぜる。
▲2▼ 次に、刻んだハム10gと長ネギ5gを加え、中火で30秒間炒めながらかき混ぜる。
▲3▼ 次に、溶き卵(1個分)を加え、中火で更に2分30秒間炒めながらかき混ぜる。
【0025】
3)評価
試作人25名が自ら調理した炒飯について、(1)ぱらりとした舌触り・食感に仕上がっている、(2)ぱらりとした舌触り・食感に仕上がっていない、(3)どちらともいえない、の基準により評価を行った。その結果は、次のとおりであった。
(評価結果)
(1) ぱらりとした舌触り・食感に仕上がっている: 23名
(2) ぱらりとした舌触り・食感に仕上がっていない: 2名
(3) どちらともいえない: 0名
4)乳化安定性
前記のパウチ入り炒飯用調味料は、25℃で30日間保存後も、水性成分の分離が認められず良好な乳化状態を保持していた。
【0026】
実施例2
1)炒飯用調味料の製造
▲1▼ 実施例と同様にして水相部を調製した。
▲2▼ サラダ油(液状)200部にネギ10部を添加し、攪拌混合しながら20分間で120℃にまで昇温させ、当該温度を20分間保持した後、残渣をとり除き、油相を採取して香味油を得た。この香味油200部、サラダ油(液状)200部及び菜種極度硬化油(固形状)35部をミキサーで70℃で加熱しながら5分間攪拌混合して油相部を調製した。
▲3▼ この油相部を品温30℃に冷却した後、融点が30℃のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、商品名:リョウトウエステルO−170、HLB値:1)60部、及び融点が55℃のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、商品名:リョウトウエステルS−570、HLB値:5)5部を添加し、ホモジナイザーを用いて、1000rpmで5分間攪拌混合した。
▲4▼ 次に、この油相部に、上記▲1▼で得られた水相部を加え、ホモジナイザーにより、1000rpmで10分間攪拌混合して、W/O型乳化組生物の炒飯用調味料を製造した。そして、この炒飯用調味料を23gずつパウチに充填密封して、パウチ入りの炒飯用調味料を得た。尚、この炒飯用調味料は、品温25℃における粘度が25000mPa・sであり、品温90℃における粘度が1700mPa・sのものであった(B型粘度計)。
2)乾燥食材の製造
▲1▼ 溶き卵をマイクロウェーブドライヤーにより乾燥し、乾燥卵(水分7.5%)を得た。また、生のエビ、ネギをそれぞれ熱風乾燥し、乾燥エビ(水分6.0%)、乾燥ネギ(水分6.0%)を得た。
▲2▼ 上記乾燥卵6.0g、上記乾燥エビ1.0g及び上記乾燥ネギ2.0gずつパウチに充填密封して、パウチ入り乾燥食材を得た。
【0027】
3)炒飯の調理
皿に米飯(冷飯)250gを盛り、その上に、パウチを開封して炒飯用調味料を絞り出すとともに乾燥食材を振り掛け、この皿をそのまま電子レンジに入れて2分間加熱調理した。次に、電子レンジから皿を取り出し、スプーンを用いて米飯、炒飯用調味料及び乾燥食材を混ぜ合わせた。
【0028】
4)評価
得られた炒飯は、香ばしいネギの香味が活かされ、実施例1と同様に、ぱらりとした舌触り・食感に仕上がっていた。又、卵、エビ及びネギが復元されており、良好な食味・食感を有するものであった。
Claims (6)
- 風味成分を含有するW/O型乳化組生物であって、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを含有することを特徴とする米飯の炒め物用調味料。
- 品温25℃における粘度が8000〜50000mPa・sであり、品温90℃における粘度が200〜4000mPa・sである請求項1に記載の米飯の炒め物用調味料。
- 請求項1又は2に記載の調味料を用いて調理された米飯の炒め物。
- 請求項1又は2に記載の米飯の炒め物用調味料を製造する方法であって、25℃のときに液状の油脂と固形状の油脂とを加熱混合して得られた油相を、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤の融点よりも低い温度に冷却した後、当該油相に、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを添加混合し、その後、風味成分を含有する水相を添加混合してW/O型乳化組生物とすることを特徴とする米飯の炒め物用調味料の製造方法。
- 風味成分を含有するW/O型乳化組生物であって、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤と、HLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤とを含有することを特徴とする、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して米飯の炒め物を得るための米飯の炒め物用調味料。
- 風味成分並びに、HLB値が2以下で且つ融点が50℃未満である乳化剤及びHLB値が4〜10で且つ融点が50〜70℃である乳化剤を含有するW/O型乳化組生物と、乾燥食材とからなることを特徴とする、電子レンジ又はオーブンにより加熱調理して米飯の炒め物を得るための米飯の炒め物用素材。
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