JP4836976B2 - 固形食品用着色材 - Google Patents
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Description
特許文献2には、調理時に米飯中への均一分散が容易であり、且つ焦げつき防止された米飯用調味料が記載されている。この米飯用調味料では、油脂と調味液とでO/W型乳化物を生成し、炊飯用の水に混合するか、炊飯米調理時に添加することを特徴とする。但し、調味料に色剤を含む点、ご飯に混ぜて着色する用途について開示示唆がない。
特許文献3には、炊飯したご飯に混ぜるだけで、ご飯のべっとり感やバラバラ感がなく適度に付着性を有したふんわりとした味付けご飯を得ることができる調味料組成物が記載されている。但し、この調味料組成物は、油相原料が少なく水相原料が多い組成物である。このため、水相に色剤を含む場合に、ご飯に混ぜると、水相が広がりすぎて色剤が薄まってまばらになり、米粒へ均一に着色することが出来ない問題があった。
また、本発明は前記固形食品用着色材を固形食品にまぶすことを特徴とする固形食品の着色方法を提供する。
水相を構成する水性成分には、水のほか、水溶性色剤、水溶性調味成分、水溶性香料などが含まれる。
油相を構成する油性成分には、食用油脂のほか、脂溶性色剤、脂溶性調味成分、脂溶性香料などが含まれる。また、油相比率が水相比率よりも高いことが好ましい。
食用油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、サフラワー油、牛脂、豚脂、バター、及びこれらの分別油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂等の加工油脂、マーガリン、ショートニングなどが挙げられる。前記食用油脂は単独で、又は2種以上組み合わせて用いても良い。
水溶性色剤としては、カラメル色素、サフラン色素、アナトー色素、フラボノイド色素などが挙げられる。本発明の固形食品用着色材における水溶性色剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。前記水溶性色剤は単独で、又は2種以上組合せて用いても良い。
脂溶性色剤としては、パプリカエキス、ターメリック色素、ウコン色素、カロテン色素、葉緑素色素などが挙げられる。本発明の固形食品用着色材における脂溶性色剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。前記脂溶性色剤は単独で、又は2種以上組合せて用いても良い。
水溶性調味成分を含んで連続相である水相の比重を高くする、即ち、例えば水相の比重を1よりも大きく、好ましくは1.2以上にすることで、調味材のO/W型乳化を安定にすることができる。比重の大きい水相中に、これよりも比重が相当小さい油相が分散することで、水相より油相が分離し難いためである。上記構成となるように、水溶性調味成分を適宜含めばよく、特に食塩、糖類、調味料を10〜20質量%含むことが好ましい。水溶性調味成分は、水相中に析出せずに溶解させて用いることが望ましい。
本発明の固形食品用着色材における調味成分の含有量は、本発明のO/W型乳化物の構成が達成され、原料の比重分離などが起きない限度で、求める風味などに応じて適宜の量となし得る。以上の原料とは別に、本発明のO/W型乳化物に肉、野菜、果実などの固形の具材を含ませることもできる。
本発明の固形食品用着色材は、水分が20〜40質量%、好ましく20〜30質量%で、油脂分が45〜80質量%、好ましく45〜65質量%である。油脂分が水分よりも多いことにより、保存時の乳化の安定と、固形食品に混ぜて、簡単に良好で鮮明な彩りを固形食品に均一に付与することができる。
水分は、恒量としたガラスひよう量管(50×20mmでうすく脱脂綿をしいたもの)に試料約3gをはかり取り、105℃で3時間乾燥した後ひよう量し、乾燥前の重量と乾燥後の重量との差の試料重量に対する百分比を水分とする。
油脂分は、水分測定後の試料をソックスレー脂肪抽出器を用いエチルエーテルを溶剤として8時間湯浴上で抽出する。次いでフラスコ中のエチルエーテルを除去した後、105℃の乾燥器中で2時間乾燥してひよう量し、フラスコの重量との差の試料重量に対する百分比を油脂分とする。
固形食品としては、白飯、釜飯、五目飯、炒飯、ピラフ、パエリアなどの米飯類、そば、うどん、ラーメンなどの麺類、スパゲティー、マカロニなどのパスタ類などが挙げられる。好ましくは、加温調理された固形食品であり、例えば炊飯、炒めなどをした米飯類、茹で、炒めなどをした麺類、パスタ類である。揚げ物などの高温の食品や、冷たいサラダなどでもよい。
本発明の固形食品用着色材を用いて着色された固形食品は、カレー、シチュー、パエリアなどに用いる米飯などの色目が求められる場合に好適なものとなる。
下記表1に示した量の水、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酢酸、キサンタンガム、食塩、砂糖、調味料及び香辛料を95℃5分間加熱混合した。得られた混合物(水相)の比重は約1.2であった。
得られた混合物に、下記表1に示したサラダオイル、ショ糖脂肪酸エステル及びパプリカエキスの混合物(油相)を加えて、ホモゲナイザーにて8000rpmで2分間混合しO/W型乳化物を得た。なお、表中の数値は全て質量%を示す。
前記乳化物は、水分31質量%、油脂分47質量%のもので、品温25℃における粘度が約45000mPa・sであり、3000rpmで30分間遠心分離処理しても塩などの調味料の分離は見られなかった。
この調味材は、炊飯米などの加温調理された固形食品や、冷たいご飯などに混ぜるだけで、固形食品(米粒など)どうしが結着せず簡単にパラリとした食感が得られた。さらに、良好な風味を均一に付与することができ、固形食品の表面に均一に赤色が着色された。調味材は、使用を繰り返し、12カ月冷蔵庫で保存している間も、塩などの調味料の分離がなく乳化が安定であった。
下記表1に示した量の原料を使用し、脂溶性色剤のパプリカエキスをターメリック色素に置換えた以外は、実施例1と同様にしてO/W型乳化物を得た。
この乳化物は、実施例1で得たものと同等の水相の比重、水分、油脂分を有し、粘度約48000mPa・sで、固形食品に混ぜた際に食品に黄色が着色された以外は、同等の性能を有するものであった。
下記表1に示した量の原料を使用し、水溶性色剤のカラメル色素を水相に用いた以外は、実施例1と同様にしてO/W型乳化物を得た。
この乳化物は、実施例1で得たものと同等の水相の比重、水分を有し、油脂分46質量%、粘度約48000mPa・sで、粘度固形食品に混ぜた際に食品に肌色が着色された以外は、同等の性能を有するものであった。
表1に示した量の原料を使用した以外は、実施例1と同様にしてO/W系乳化物を得た。乳化物の水相の比重は約1.1であった。
この乳化物は、水分66質量%、油脂分12質量%のもので、品温25℃における粘度が約5000mPa・sであり、3000rpmで30分間遠心分離処理した場合に、塩などの調味料の分離は見られなかった。
この調味材は、炊飯米などの加温して調理された固形食品や、冷たいご飯などに混ぜると、固形食品(米粒など)どうしが結着して簡単に混ざらず、食品がべたついた水っぽい食感となった。また、良好な風味を均一に付与することができず、固形食品の表面がまだら模様に不均一に赤色が着色された。調味材は、冷蔵庫で1カ月程度しか保存できないものであった。
調味材が高水分のO/W型乳化物である場合には、HLBが特定のものである親水性乳化剤及び親油性乳化剤を併用しても、本発明の所望の効果は得られなかった。
表1に示した量の原料を使用した以外は、実施例1と同様にしてO/W系乳化物を得た。乳化物の水相の比重は約1.1であった。
この乳化物は、水分36質量%、油脂分47質量%のもので、品温25℃における粘度が約21000mPa・sであり、3000rpmで30分間遠心分離処理しても塩などの調味料の分離は見られなかった。
この調味材は、炊飯米などの加温して調理された固形食品や、冷たいご飯などに混ぜると、固形食品(米粒など)どうしが結着して簡単に混ざらず、食品がべたついた塊があるもっちりとした食感となった。また、良好な風味を均一に付与することができず、固形食品の表面がまだら模様に不均一に赤色が着色された。
調味材は、使用を繰り返し、12カ月冷蔵庫で保存している間も、塩などの調味料の分離がなく乳化が安定であった。
下記表2に示した量の水、卵黄、酢酸、食塩、砂糖、調味料及び香辛料を95℃5分間加熱混合した。得られた混合物(水相)の比重は約1.2であった。
得られた混合物に、下記表2に示したサラダオイル、ショ糖脂肪酸エステル及びパプリカエキスの混合物(油相)を加えて、ホモゲナイザーにて8000rpmで2分間混合しO/W型乳化物を得た。
この乳化物は、水分22質量%、油脂分53質量%のもので、品温25℃における粘度が約52000mPa・sであり、3000rpmで30分間遠心分離処理しても塩などの調味料の分離は見られなかった。
この調味材は、炊飯米などの加温調理された固形食品や、冷たいご飯などに混ぜるだけで、固形食品(米粒など)どうしが結着せず簡単にパラリとした食感が得られ、かつ、良好な風味を均一に付与することができた。さらに、良好な風味を均一に付与することができ、固形食品の表面に均一に赤色が着色された。調味材は、使用を繰り返し、12カ月冷蔵庫で保存している間も、塩などの調味料の分離がなく乳化が安定であった。
下記表2に示した量の原料を使用し、脂溶性色剤のパプリカエキスをターメリック色素に置換えた以外は、実施例4と同様にしてO/W型乳化物を得た。
この乳化物は、実施例4で得たものと同等の水相の比重を有し、水分24質量%、油脂分53質量%、粘度約55000mPa・sで、固形食品に混ぜた際に食品に黄色が着色された以外は、同等の性能を有するものであった。
下記表2に示した量の原料を使用し、水溶性色剤のカラメル色素を水相に用いた以外は、実施例4と同様にしてO/W型乳化物を得た。
この乳化物は、実施例4で得たものと同等の水相の比重を有し、水分23質量%、油脂分48質量%、粘度約65000mPa・sで、固形食品に混ぜた際に食品に肌色が着色された以外は、同等の性能を有するものであった。
表2に示した量の原料を使用した以外は、実施例4と同様にしてO/W系乳化物を得た。乳化物の水相の比重は約1.2であった。
この乳化物は、水分28質量%、油脂分52質量%のもので、品温25℃における粘度が約55000mPa・sであり、3000rpmで30分間遠心分離処理しても塩等の調味料の分離は見られなかった。
この調味材は、比較例2で得られたものと略同等の性能のものであった。
Claims (7)
- 連続相である水相と分散相である油相とによって構成され、かつ、水分20〜40質量%、油脂分45〜80質量%及び色剤を含有するO/W型乳化物であって、
HLBが8〜18である親水性乳化剤及び/又は卵黄を含有し、かつ、HLBが3〜7である親油性乳化剤を含有することを特徴とする固形食品用着色材。 - 親水性乳化剤0.1〜10質量%及び/又は卵黄1〜25質量%と親油性乳化剤0.1〜10質量%を含有する請求項1記載の固形食品用着色材。
- 親水性乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる、請求項2記載の固形食品用着色材。
- 水相に水溶性色剤を含有するか、油相に脂溶性色剤を含有するか、あるいは、水相に水溶性色剤を含有しかつ油相に脂溶性色剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の固形食品用着色材。
- 固形食品にまぶして使用するためのものである請求項1〜4のいずれか1項記載の固形食品用着色材。
- 固形食品が米飯類、麺類、パスタ類からなる群から選ばれる、請求項5記載の固形食品用着色材。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の固形食品用着色材を固形食品にまぶすことを特徴とする固形食品の着色方法。
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