JP7000607B1 - 電子レンジ加熱調理用液状調味料 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子レンジを利用して、炒め料理や照焼き料理を簡単に短時間で美味しく作ることができる、電子レンジ加熱調理用液状調味料を提供する。【解決手段】(1)25℃における粘度が100cp以上であり、(2)水分活性が0.96以下であり、かつ(3)食塩および糖類を含む、電子レンジ加熱調理用液状調味料であり、電子レンジによる加熱調理が、加熱用容器底面から液状調味料の液面の高さが、加熱用容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上になるように加熱用容器内に主固形具材が投入された状態で行われる、電子レンジ加熱調理用液状調味料である。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用 発行者名:キッコーマン株式会社、刊行物名:2021春夏商品カタログ、発行年月日:2021年1月1日
本発明は、電子レンジ加熱調理用の包装容器入り液状調味料に関する。
近年、女性の社会進出や消費者のライフスタイルの変化にともない、家庭内において簡単にしかもおいしく調理できる、健康的な食事が望まれている。また、地球温暖化による気温上昇のため、室内気温を加熱させる要因となるコンロを使用した調理方法に替えて、電子レンジを用いた調理方法が好まれる季節要因が存在する。
電子レンジを用いる調理方法では、電子レンジで加熱するだけで食材を短時間で調理できる加熱調理が好まれ、家庭では食材と調味料を混合した状態にしてラップを掛けて加熱することが一般的に行われている。鍋やフライパンによる調理の必要がないため、洗い物も少なくキッチンも汚れないが、食材の下ごしらえや味付けのための調味料に工夫が必要である。また、生肉等の未加熱食材をそのまま電子レンジで加熱調理すると、食材中の水分、肉汁が出てしまい、ジューシーさに欠けパサパサとした食感となり美味しく調理するのは難しく、食材の表面にフライパンやグリルで焼いたような焦げ目を付与できないことから、食欲をそそるような外観ともならない。
このような不具合を解決するために、「パウチ」と呼ばれる電子レンジ調理用の容器を使用した電子レンジ調理用のパウチ入り食品が開発されている。例えば、ジッパーを備えた水蒸気透過性調理用パウチに、野菜や肉などの生鮮食材と調味料やソースとを密封して冷凍保存し、そのまま調理ができる調理用バッグが提案されている(特許文献1)。また、開封・密封が可能なファスナーと加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機構とを備えたパウチ内に、レトルト処理済の液状食品を充填密封しておき、電子レンジ加熱時に、パウチ内に消費者が選んだ生鮮食材を投入して調理を行うようにしたパウチ詰め液状食品が提案されている(特許文献2)。
また、開封・密封が可能なファスナーと加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機構とを備えたスタンディングパウチを用いて、液状調味料におけるだしの含有量と常温での粘度の範囲を調整することにより、縦置き状態で電子レンジにて加熱調理したときに、だしの風味が十分に効いていて肉類が十分に柔らかい肉類煮物料理を得ることができる電子レンジ調理用のスタンディングパウチ入り液状調味料(特許文献3)や、パウチ入りではないが、野菜類を含む具材のための電子レンジ加熱調理用調味料で、具材を均一に味付けして短時間調理できる水分活性とブリックス値を調整した液状調味料(特許文献4)が提案されている。
特開2006-44708号公報 特開2009-254303号公報 特開2015-130811号公報 特開2020-99204号公報
煮物料理のようにだし汁を食材のなかに染み込ませる調理と異なり、フライパンなどを用いて、野菜や肉などを少量の油とともに強火で撹拌しながら加熱する炒め料理や、炒めながらたれをからませる照焼き料理を美味しく調理するためには、高温短時間の適度な加熱により野菜や肉などの表面を香ばしく加熱するとともに、野菜や肉などから出る水分、肉汁を閉じ込めて肉をふっくらとジューシーに仕上げなければならない。炒め料理をフライパン等で美味しく仕上げるには、焦げ付きなどが生じないように絶えず撹拌しながら加熱の加減を調整する必要があり、時間も手間もかかる。
本発明は、美味しく作るのに技術を要し手間がかかる炒め料理や照焼き料理を、電子レンジを利用して家庭で簡単に短時間で美味しく作ることができる、包装容器入り電子レンジ調理用液状調味料を提供することを課題とする
本発明者らは、包装容器入り電子レンジ調理用液状調味料において、食塩と糖類を含んで液状調味料の粘度と水分活性の範囲を調整し、かつ、調理時に主固形具材を加熱用容器に投入した後、電子レンジ内で加熱調理する際、主固形具材が液状調味料中にほぼ浸漬された状態で加熱される場合に上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、包装容器として加熱用容器兼用のスタンディングパウチを用いれば、主固形具材をスタンディングパウチに投入して閉じた後、電子レンジ内で縦置きの状態でそのまま加熱調理することができる。
本発明は、以下[1]~[8]の液状調味料に関する。
[1]電子レンジによる加熱調理用液状調味料であって、(1)25℃における粘度が100~9000cpであり、(2)水分活性が0.66~0.96であり、かつ、(3)食塩および4重量%以上の糖類を含み、電子レンジによる加熱調理が、加熱用容器底面から液状調味料の液面の高さが、加熱用容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上になるように加熱用容器内に主固形具材が投入された状態で行われることを特徴とする液状調味料。
[2]前記液状調味料が所望の大きさにカットされた香味野菜を含む、上記[1]に記載の液状調味料。
[3]包装容器に充填封入された液状調味料である、上記[1]または[2]に記載の液状調味料。
[4]前記包装容器が電子レンジ加熱対応包材の包装容器である、上記[3]に記載の液状調味料。
[5]前記包装容器がスタンディングパウチである、上記[3]または[4]に記載の液状調味料。
[6]前記主固形具材が畜肉、魚肉、または野菜である、上記[1]に記載の液状調味料。
[7]前記包装容器が前記加熱用容器である、上記[3]ないし[5]のいずれか一項に記載の液状調味料。
[8]スタンディングパウチに充填封入された液状調味料が、主固形具材が投入されて縦置きにした状態で、パウチ底面から液状調味料の液面の高さが、パウチ底面から主固形具材の高さの0.5倍以上で電子レンジ加熱調理されるものである、上記[5]または[7]に記載の液状調味料。
また、本発明は、以下[9]~[13]の液状調味料による主固形具材の電子レンジ加熱調理方法に関する。
[9]液状調味料による主固形具材の電子レンジ加熱調理方法であって、液状調味料は、25℃における粘度が100~9000cp、水分活性が0.66~0.96で、かつ、食塩および4重量%以上の糖類を含み、加熱用容器に主固形具材を投入し、加熱用容器底面から該液状調味料の液面の高さが、投入された主固形具材の上面の高さの0.5倍以上となる状態で、電子レンジにより加熱調理することを特徴とする方法。
[10]前記液状調味料として、電子レンジ加熱対応包材の包装容器に充填封入された液状調味料を用い、その包装容器を前記加熱用容器とする、上記[9]に記載の方法。
[11]前記主固形具材が畜肉、魚肉、または野菜である、上記[9]または[10]に記載の方法。
[12]前記包装容器が、加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機能を有するジッパー付スタンディングパウチであり、主固形具材を投入して縦置きにした状態で加熱調理する、上記[10]に記載の方法。
[13]前記加熱調理されたものが、主固形具材の炒め料理風味または照焼き料理風味である、上記[9]ないし[12]のいずれか一項に記載の方法。
本発明の電子レンジ調理用の液状調味料、および液状調味料による主固形具材の電子レンジ加熱調理方法によれば、電子レンジを使用して短時間で簡単に、フライパン等で焼いた肉料理品等と同様の風味、食感、および外観を有する炒め料理を作ることができる。
液状調味料の水分活性を下げることにより、電子レンジのマイクロ波が液状調味料の自由水に吸収される割合が減り、肉料理であれば、肉が持つ水分子への吸収が増えて効率的に肉の内部を加熱できる。また、液状調味料自体も加熱されやすくなるため、フライパン調理のように肉を外部からも加熱できる。もまた、食塩と糖類を含む液状調味料に一定粘度を付与し、かつ肉が液面にほぼ浸漬された状態で加熱されることで、加熱時に液状調味料が肉に絡み、肉汁を閉じ込めてふっくらジューシーに調理でき、外観も香ばしく照りつやも良く仕上がる。魚料理や野菜料理でも同様である。
また、液状調味料を充填封入する包装容器としてそのまま電子レンジ加熱調理でき、加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機能を有するジッパー付パウチを用いれば、主固形具材を投入してジッパーを閉じてそのまま電子レンジで調理できるので、別の加熱用容器に液状調味料を移す必要もなく、簡単にしかも洗い物も少なくなる。
特に、パウチとしてスタンディングパウチを用いて具材を投入して縦置きにした状態で加熱調理すると、液状調味料にほぼ浸漬された状態で加熱される具材が、液状調味料中で動きながら効率的に加熱され、さらにパウチ中の蒸気で液状調味料の上面に効率よく熱がかかり、具材をよりジューシーに仕上げることができる。
また、液状調味料中に所望の大きさにカットされた香味野菜を含有させておくと、予期せぬことに、加熱調理時に主固形具材と同時に香味野菜を投入する場合に比べ、より肉や魚の生臭さを抑えられるだけでなく、味なじみに優れ、香味野菜の風味が全体になじんで、より美味しい炒め料理が得られる。
本発明の一態様である、スタンディングパウチ入り液状調味料の概略図。縦置状態での液状調味料の液面を示しており、加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機能と開閉自在なジッパー付き開口部を有する。(a)は概略正面図、(b)は具材を投入するために開口した概略斜視図である。
本発明の電子レンジ加熱調理用の包装容器入り液状調味料、及び該液状調味料を用いる主固形具材の加熱調理方法について説明する。
本発明の電子レンジ加熱調理用の包装容器入り液状調味料は、フライパンなどで野菜や肉などを少量の油とともに強火で撹拌しながら加熱する炒め料理や、炒めながらたれをからませる照焼き料理を、電子レンジを用いて簡単に短時間で美味しく作ることができる包装容器入り液状調味料であり、また、本発明は該液状調味料による主固形具材の電子レンジ加熱調理方法である。
本発明の液状調味料は、主固形具材である畜肉、魚肉、または野菜をほぼ浸漬した状態で加熱調理することで、香ばしい風味に調理でき、肉類であれば肉のジューシーさや弾力のある肉料理が得られる。炒め料理や照焼き料理に適しているが、液状調味料自体は油脂分が少なくてもよいので、液状調味料のカロリーを抑えることもできる。
本発明の液状調味料は、炒め料理や照焼き料理に適しており、主固形具材はそれらの料理用の食材であれば特に限定されない。畜肉類としては、たとえば鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、鴨肉等や獣肉類が挙げられ、魚肉類としては、たとえば、サケ、タイ、マグロ、カツオ、タラ、スズキ、イワシ、サバ、アジ、サンマ等が挙げられ、エビ、カニ、イカ、タコ、貝などの魚介類も含まれる。また、野菜としては、葉菜類、花菜類、根菜類、果菜類、きのこ類が挙げられ、たとえば、キャベツ、白菜、もやし、ホウレン草、小松菜、ナス、ブロッコリー、カリフラワー、ダイコン、カブ、ニンジン、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジ、エノキ等が含まれる。
主固形具材の大きさや形状は任意であるが、加熱用容器内に投入しやすくて食べやすく、マイクロ波加熱が均等になるような大きさや形状が好ましく、例えば1~20cm程度の塊状、片状、棒状、円形などにカットして使用する。具材は未処理であってもよいが、塩、コショウなどの下味や、具材の種類によっては、下ゆで、あく抜き、油通しなどの下処理をしてもよい。
また、液状調味料中に、あらかじめ所望の大きさにカットした香味野菜を含有させておくと、加熱調理時に主固形具材と同時に香味野菜を投入する場合に比べ、肉や魚の生臭さをより抑えられるだけでなく、香味野菜の風味が全体になじみ、より美味しい料理に出来上がる。さらに、香味野菜が具材に絡むことで、加熱調理品の味にメリハリがつき、咀嚼した後にも風味の余韻が残りやすくなり、味の持続性が高まる。
そして、香味野菜を含有させた調味液では、製造時に香味野菜を炒める工程をとることもできる。これにより、香味野菜の風味がより調味料全体にいきわたるため、味しみや味なじみをさらに良くすることもできる。
本発明の液状調味料は、食塩と糖類を含有する。
本発明における食塩としては、食塩の他に塩分を含む醤油、味噌等の醸造調味料などを使用することができ、醸造調味料に含まれるアミノ酸等の旨味成分により、より美味しく調理できる。醤油には、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、白醤油等が、味噌には、赤味噌、白味噌、麦味噌、米味噌、仙台味噌、八丁味噌等が挙げられる。
味しみが良くなり、かつ加熱調理を短時間で行えるよう液状調味料の導電率を上げ加熱性を高めるために、液状調味料の食塩濃度は多めであることが望ましいが、塩辛くならないよう通常は1~15重量%であり、好ましくは3~12重量%、より好ましくは4~12重量%以下、特に好ましくは5~12重量%である。また、塩分は、味付けの目的以外にも水分活性を低下させる役割を果たすので、本発明の液状調味料の水分活性の範囲内になるように、その含有量を調整する。なお、食塩濃度は、塩化ナトリウムの濃度、またはそれに換算した食塩相当濃度をいい、例えば、電位差滴定法、モール法等の公知の方法で測定することができる。
また、醤油などの醸造調味料の窒素分は、糖類との加熱反応によりメイラード物質を生成し、香ばしさなどの風味や照りなどの外観に寄与する。このため本発明の効果をより好適にするためには一定量含まれることが望ましい。例えば、調味料中の全窒素量は、0.3重量%以上で、好ましく0.5重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上である。なお、調味料の全窒素量は、例えば醤油の配合量から計算により求めることができるが、ケルダール法や燃焼法などにより調味料から直接測定することもできる。
本発明における糖類としては、砂糖の他に料理に使用される糖類、たとえば、グラニュー糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、デキストリン、還元麦芽糖、糖アルコール類などが用いられる。糖類は、味覚の目的以外にも水分活性を低下させる役割を果たすので、本発明の液状調味料の水分活性を調整する観点からも、液状調味料中に3重量%以上、好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上含有させるとよい。
本発明の液状調味料を用いた料理の香ばしさには、加熱により糖とアミノ酸が反応して生成されるメイラードや糖類のカラメル化も関係していると考えられるので、糖類は必要である。
本発明の液状調味料の粘度は、25℃で100cp以上、好ましくは25℃で100~9000cp、より好ましくは300~6000、さらに好ましくは500~4500cpである。粘度は、B型粘度計(ローターNo.1~4)で25℃に調整し回転数60rpmで60秒間回転の条件で測定する。粘度が100cp未満であると、具材表面に液状調味料がとどまらないため、本発明の効果であるフライパン等で焼いた肉料理品等と同様の風味、食感、および外観は得られない。一方、粘度が10000cp以上であると、苦味を感じる焦げが生じたり、調味液と具材の絡みつきが不均一となるため、食感や照りが劣るものになる。
また、液状調味料にカットした香味野菜が含まれている場合には、香味野菜を取り除いて粘度を測定する。
液状調味料に粘度を付与するための増粘剤として、一般に照焼き料理で用いる澱粉、加工澱粉を用いることができ、小麦粉澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチの他、これらのα化澱粉、湿熱澱粉、架橋澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉が挙げられる。また、増粘剤として増粘多糖類を用いることができ、たとえば、グアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガム、タマリンドシードガム、ジェランガムなどが挙げられる。増粘剤は、粘度調整の目的以外にも水分活性を低下させる役割を果たすので、本発明の液状調味料の粘度と水分活性の範囲内になるように、その含有量を調整する。
本発明の調味料の製造において、加工時に機械的攪拌が行われたり、保存性を高める等の目的で高温での殺菌工程を施したり、pHをできる限り下げたりすることがある。そのため、本発明で用いる増粘剤の種類は限定されないが、このような物理的な攪拌や高温での加熱、低pH条件でも安定した粘度を得るという観点から、架橋澱粉、エーテル化架橋澱粉、エステル化架橋澱粉、キサンタンガムを用いることが好適である。
本発明の液状調味料の水分活性は、0.96以下、好ましくは0.66~0.96、より好ましくは0.68~0.95、さらに好ましくは、0.75~0.91である。水分活性が0.96を超えると、電子レンジのマイクロ波が液状調味料中の自由水に吸収されてしまい、肉自体を効率的に加熱できないため、結果として肉の臭みを感じ、香ばしさや照りが足りず、味なじみも悪くなる。
これに対して、液状調味料の水分活性が0.96以下であると、電子レンジのマイクロ波が液状調味料の自由水に吸収される割合が減り、肉料理であれば、肉が持つ水分子への吸収が増えて効率的に肉を加熱できるため、結果として肉汁を閉じ込めてふっくらジューシーに調理でき、結果として照りつやも良く仕上がる。また、水分活性が0.65以下の場合には、部分的に苦味のある焦げが生じる。
液状調味料の水分活性(Aw)は、調味料表面水分の持つ水蒸気圧(水分のエネルギー状態)を意味し、一般にはサンプル上の平衡時蒸気圧(p)を、同じ温度の水の蒸気圧(po)で割った値であり、Aw=p/po という式で計算される。
一般に水分活性は、サンプル中に含まれる自由水の割合に依存する。自由水とはその他の成分の相互作用や束縛を受けていない水分として定義され、純粋な水分の水分活性値は1.00(平衡相対湿度100%)となる。
一方、水以外の成分(塩分、糖分、炭水化物など)を混合させると、それらの成分との相互作用による束縛を受けた結合水や表面に吸着する水分(吸着水)の割合が増えるので、水分活性値は低下する。このように、水分活性は、糖類などの含有量と加水量のバランスを調整することにより、所望の値に調整することができる。また、液状調味料にカットした香味野菜が含まれている場合には、香味野菜入りの液状調味料で水分活性の測定を行う。
本発明の液状調味料は、油脂分を含まなくてもよいが、風味付け等のために含有してもよい。油脂分は主に液状の食用油脂であり、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、エゴマ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ひまわり油、米油、綿実油、パーム油、ヤシ油等が挙げられる。
他にも、食酢、柑橘類、調味料類、香料、香辛料、酒類、食物繊維、アルコール、添加剤などを適宜配合できる。柑橘類としては、ユズ、レモン、スダリ、カボス、ミカン等が、調味料類としては、ケチャップ、マヨネーズ、ソース、つゆ、みりん、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム等が挙げられる。本発明の水分活性の範囲内になるように、その含有量が調整される。
本発明の液状調味料を充填封入する包装容器は、加熱殺菌処理やレトルト処理が可能な液状調味料用の容器であれば任意の容器を用いることができる。
また、本発明の包装容器として、電子レンジ加熱対応包材からなる包装容器を用いれば、包装容器としてだけではなく、加熱用容器としても用いることができ、加熱調理時に液状調味料を包装容器から加熱用容器に移す必要がなく、容器に主固形具材を投入してそのまま加熱調理すればよいので、手間がかからず洗い物も少ない。包装容器が加熱用容器を兼ねる場合には、容器を開封して具材を投入した後電子レンジ調理する前に容器を再封するための再封機能や、電子レンジ加熱調理時に蒸気を容器外に排出する蒸気抜き機構を備えるとよい。
このような容器としては、電子レンジ加熱調理が可能な耐熱性樹脂性の成形容器や、耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルム、剥離層、およびシーラントフィルムの3層の積層プラスチックフィルムからなり、底面にマチをもたせたスタンディングパウチや底面及び側面にマチをもたせたガゼット袋が挙げられる。
マチを有するパウチとして、図1に示す底面にマチをもたせたスタンディングパウチを例として説明する。
スタンディングパウチは、底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部及び上縁シール部を形成した平袋状のパウチである。上縁シール部の下方には平行してジッパー部が設けられ、ジッパー部と上縁シール部の間の側縁シール部には、具材投入用と料理取出用の開口部を、引き裂きにより形成するための切欠が形成されている。
また、ジッパー部の下方のパウチ表面には、電子レンジ加熱調理時にパウチが膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構として、蒸気通過部が設けられている。パウチの蒸気抜き機構としては、密封時のジッパー部が、電子レンジ加熱調理時に容器が膨張する際の圧力で部分的に開口するように、ジッパー部の嵌合を調整するものでもよい。
スタンディングパウチの縦と横の長さは特に限定されないが、縦置き状態で加熱調理する際に安定化し、座屈も起こりにくくなることから、縦の長さ(A):横の長さ(B)の比率(A/B)は、好ましくは0.5~2.0、よりこのましくは0.6~1.6、さらに好ましくは0.8~1.2である。
本発明の電子レンジ加熱調理用の液状調味料は、加熱用容器内に主固形具材が投入された状態で、加熱用容器底面から液状調味料の液面の高さが、加熱用容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上で加熱調理されるものであり、加熱用容器がスタンディングパウチである場合を例に説明する。
加熱調理前にスタンディングパウチに主固形具材を投入し、かつ縦置きに静置した状態において、パウチ底面を基準とした液状調味料の液面の高さ(T1という)が、パウチ底面を基準とした主固形具材の最高点の高さ(T2という)の0.5倍以上で加熱調理される。そうすることで、主固形具材が特定の粘度を有する液状調味料にほぼ浸漬された状態で加熱され、加熱時に液状調味料が具材に絡み、具材中の汁を閉じ込めてふっくらジューシーに調理できるので、外観も香ばしく照りつや良く仕上がる。
加熱調理時の液状調味料の高さと主固形具材の最高点の高さの比(T1/T2比)は0.5~1.4倍が好ましい。0.5倍未満であると、調理された具材の香ばしさや食感が悪くなり、また、1.4倍を超えると、液状調味料の量が相対的に過剰になるため、加熱効率が悪くなる。
スタンディングパウチの場合、具材を投入して縦置きにした状態で加熱調理すると、液状調味液が少量でも具材が浸漬しやすく、肉が調味液に浸漬されながら加熱できる。さらに、具材が調味料中で動きながら効率的に加熱され、調味液も容器中で対流することができて、しかもパウチ中の蒸気で調味液の上面に効率よく熱がかかるため、加熱効率が非常によくなる。よって、具材をよりジューシーに仕上げることができるという利点がある。
スタンディングパウチ以外の加熱用容器の場合でも、電子レンジで加熱調理する姿勢に静置した状態で、容器底面から液状調味料の液面の高さが、容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上で加熱調理すると、加熱調理時に液状調味料が具材に絡み、具材の汁を閉じ込めてふっくらジューシーに調理でき、外観も香ばしく照りつや良く仕上がる。
また、容器に充填する液状調味料の量は、加熱効率の点からあまり多くない方が好ましい。たとえば、スタンディングパウチであれば、パウチの最大密封容積の5~50%となるような量で、液状調味料をパウチに充填するとよい。
本発明の包装容器入り液状調味料は、通常の加熱殺菌方法により、80℃以上100℃未満で1分~60分間加熱殺菌する。また、長期保存のためにレトルト殺菌する場合には、容器をレトルト槽内に並べ、レトルト槽の温度を蒸気や熱水などにより120℃程度まで上昇させて、所定の殺菌効果が得られるように一定時間の殺菌処理を施す。レトルト殺菌とは一般的に、食品の中心温度が121℃、4分間(F値4)以上、またはこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌することである。
また、本発明の電子レンジ加熱調理用液状調味料は、加熱用容器内に主固形具材が投入された状態で、容器底面から液状調味料の液面の高さが、容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上で加熱調理されるものであることから、具材の投入量、具材の大きさ、加熱用容器への投入方法、電子レンジ加熱調理時の姿勢、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間、電子レンジ加熱後の容器の開封方法などの説明表示を備えていることが望ましい。このような説明表示は、包装容器の表面に印刷しても、包装容器入り液状調味料の梱包箱などの外装材に印刷してもよく、また、包装容器とは別個の紙片に印刷して、容器入り液状調味料に添付してもよい。
次に、本発明の液状調味料を用いる主固形具材の電子レンジ加熱調理方法について説明する。
まず、包装容器が加熱用容器でない場合には、レンジ加熱調理が可能な加熱用容器、たとえばタッパーや耐熱皿上に主固形具材を並べ、包装容器から液状調味料を投入して浸して、しばらくの間味をなじませる。ここで、電子レンジで加熱調理する姿勢に静置した状態で、加熱用容器底面から液状調味料の液面の高さが、加熱用容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上となるように調整してから、必要に応じてラップや蓋をして電子レンジで加熱調理する。
また、包装容器が加熱用容器を兼ねている場合、スタンディングパウチ入り液状調味料を例にすると、スタンディングパウチの切欠を起点として上部シール部を切り離し、開口部を広げてから、あらかじめ所定の大きさにカットしておいた主固形具材をその開口部からパウチ内の液状調味料中に投入する。ここで、電子レンジで加熱調理する姿勢、たとえば縦置きに静置した状態で、パウチ底面から液状調味料の液面の高さが、パウチ底面から主固形具材の高さの0.5倍以上となるように、主固形具材の大きさと量を調整しておくか、または、主固形具材をパウチ内に投入してから調整する。その後、ジッパー部を閉じた状態で具材と液状調味料をよく揉み込んだ後、縦置きにした状態で電子レンジにて加熱調理する。
電子レンジでの加熱調理は、液状調味料と具材に必要十分な量の熱を付与できる条件で行い、その結果、加熱用容器内に投入した具材から好ましい風味、食感、外観を加熱により引き出すことができる。液状調味料で具材を調味することから、少なくとも液状調味料が沸騰する加熱条件が必要であり、さらに具材によっても適当な加熱条件が異なる。たとえば、液状調味料と具材の合計100gあたり、出力600W×2分相当以上の加熱をする。ここで600W×2分相当とは、出力300Wであれば4分、出力400Wであれば3分、出力ワット数と時間との積の値が同じ条件以上の電子レンジ加熱をいう。
電子レンジでの加熱調理後数分間蒸らすと、余熱により、さらに味なじみをよくすることができる。
以下、本発明を実施例としての試験例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の試験例によって何ら限定されるものではない。
また、試験例における「%」は全て「質量%」を意味する。
実施例としての各試験例においては、特記する場合を除き、調味液の調製とレンジ調理は、下記の基本方法に準じた。
[調味液の調製:基本方法]
1.原料の調合
各表に示す各原料(調味料全質量あたりの質量%)及び水を混和し、85℃になるまで
攪拌しながら加熱保持して均一に混合する。
2.充填
各調味料70gをレンジ調理可能な蒸気抜き機構を有するジッパー付スタンディング
パウチに入れ、その後シーリングして密封する。
3.加熱処理
調味料の入ったパウチをレトルト釜に入れ、100℃、10分間の加熱処理を行い、パ
ウチ内に液状調味液が充填されている電子レンジ調理用容器入り液状調味液(以下、試験
調味料)を得る。
[レンジ調理:基本方法]
1.肉の準備
鶏もも1枚肉(300g)を準備し、下処理として肉を縦横四等分にカットする。
2.肉の揉み込み
各試験調味液のパウチ上部の開口部を開け、カットした鶏もも肉を投入し、ジップ付き
チャックを閉めて密封する。30秒間パウチの外側を両手で摘みながら肉を揉み、調味液
を肉に絡ませる。
3.レンジ調理
肉の入った試験調味料を、パウチのチャック部が上部にくるように縦置きで自立でき
る状態にして、電子レンジ庫内フラットテーブルの中央に置いた。600W、8分間電子
レンジ加熱を行い、その後庫内で2分間蒸らし調理品を作製する。得られた調理品につ
いて、各官能評価を行う。
試験1
[各官能評価項目の評価基準を設定するための予備試験](試験調味料1~5)
<調理方法>
試験調味料1:調味料を全く使わないで以下の調理を行った。
4分割にした鶏肉300gを、皿(直径20cm・深さ6cm)に乗せ、ふんわりラップをかけてレンジ加熱調理(600W8分、蒸らし2分)を行い、調理品を得た。
試験調味料2:4分割にした鶏肉300gを皮目を下にして、フライパン(直径26.5cm)で中火で3分焼成し、裏返して更に蓋をして5分蒸し焼きにした。その後、蓋を取り除き調味料20g(砂糖5g、醤油15g)を加えて、弱火30秒煮詰めたものを調理品とした。
試験調味料3~5:基本方法に準じた。試験調味料3は、特許文献3の試験例1eに相当する。
<評価方法>
実施例での各試験において、評価パネル、評価項目の概要、評価項目の定義、および評価基準は、下記の試験1の方法で行った。試験3~試験9、試験16、試験17では、評価基準のみ試験2の評価基準で行った。試験10~試験15では、評価基準のみ食感、風味、外観についての定性評価で行った。
また、測定装置は全て試験1と同じものを用いた。
<評価パネル>
肉の評価に秀でた分析型官能評価パネル(A~Cの3名、訓練期間9~11年)を用いて、各評価項目に関する評価訓練を行った。具体的には、評価項目の特性に対しては、パネル間で討議してすり合わせを行って各パネリストが共通認識を持つようにした。官能試験の妥当性を担保するために、いくつかの評価サンプルを用いて該パネルに評価訓練をさせ、各パネリストにおける評価の再現性を確認した。これら評価訓練を行った後、該パネルを用いて各試験調味液の評価サンプルについて評価を行った。
<評価項目の概要>
評価項目は、以下の8項目である。
・風味の評価項目:「香ばしさ」「鶏臭さ」「味なじみ」「焦げ」の4項目
・食感の評価項目:「肉のジューシーさ」「肉の柔らかさ」「肉の弾力」「焦げ」の4項目
・外観の評価項目:「照り」の1項目
加熱直後の調理品を白色の皿(直径22.5cm・深さ0~1.5cm)に移し、これをパネルに提示して外観の評価を行った。
次に、調理はさみにて調理品が一口サイズ(約20g)となるようにカットし、評価サンプルを作製した。この評価サンプルをパネルに提示し、喫食した際に感じる風味(喫食時に口腔内から鼻へぬける香り)と食感の評価を行った。
<評価項目の定義>
・「香ばしさ」:フライパンで調味液を絡めて肉を焼いた際に感じる香ばしい風味。(焼成した際の、調味料の香ばしさと肉の香ばしさの複合的な風味)
・「鶏臭さ」:若鶏特有の臭み及び鶏肉特有の獣臭を合わせた不快な臭い。ブロイラー臭。
・「肉のジューシーさ」:加熱後もドリップ(肉汁)を引き続き保持させた肉の状態であり、肉を噛んだ際に肉から染み出てくる水分の量が多いこと。(パサつきと対義)
・「肉の柔らかさ」:肉芯部の柔らかさであり、肉を噛んだ際に噛み切ることができること。
・「肉の弾力」:肉を噛んだ際に感じる、噛み応えや筋感。
・「照り」:肉の表面がつやを帯びている外観。
・「味なじみ」:肉が調味料によって均一な味付けになっていることで、調味液が肉に染み込み、肉の風味と調和がとれている。
・「焦げ」:焦げの苦味や焦げた香りが強く、調理品の風味を損なっている。あるいは、焦げた塊が異物感に感じる。
<評価基準>
・「香ばしさ、肉のジューシーさ、肉のやわらかさ、肉の弾力、照り」:順位法により評価した。5つの試験調味液間の順位は、上記官能評価項目について感じない試験調味液を順位1として弱い順から順番づけをした。
・「鶏臭さ」:順位法により評価した。5つの試験調味液間の順位は、上記官能評価項目について感じる試験調味液を順位1として強い順から順番づけをした。
・「味なじみ」:次の通りの3段階評価を行った。 × 味なじみが弱い、〇 味なじみがある、◎ 味なじみが良い
・「焦げ」:風味または食感でその有無を評価した。
<調味液の測定装置>
・Bx:デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社)
・pH:pHメーターHM-25R(東亜ディーケーケー社)
・水分活性:水分活性測定装置LabMaster-awSTANDARD(Novasinas社)
・粘度:B型粘度計TVB-10M(東機産業社)
粘度測定用のローターは、No.1~4を適宜用い、25℃に調整し回転数60rpmで60秒間回転の条件で測定。各表中の粘度の括弧内の記載は(ローターの種類、回転数、調味液の温度。)
Figure 0007000607000002

Figure 0007000607000003
表1に試験1の内容を、表2に結果を示す。試験調味液4、5が本発明の実施例で、試験調味液1~3は比較例である。
試験調味液5は、鶏臭さはほとんど感じられず、香ばしさ、肉のジューシーさ、肉の柔らかさ、肉の弾力、照り、味なじみを十分に感じ、焦げは認められなかった。また、香ばしさを最も感じた、試験調味液2(フライパン調理)は、鶏臭さ、照りにおいても試験調味料5と同等で良好だったが、肉のジューシーさ・肉のやわらかさ・肉の弾力はいずれも弱かった。また、味なじみは認められるものの、試験調味液5ほどの効果はなかった。
試験調味料3は、肉のジューシーさ・肉のやわらかさ・肉の弾力において、試験調味料1および2と比べて効果は認められたが、香ばしさ、鶏臭さ、照りは十分とはいえず、試験調味料5と比較するとその効果は劣り、また味なじみも不十分であった。
以上の結果、香ばしさについて最も良好な試験区は試験調味料2(フライパン調理)、それ以外の評価項目について最も良好な試験区は、試験調味料5であった。また、試験調味料3の結果から、本発明である試験調味料4および5は、水分活性が0.97である試験調味料3と比べて顕著な効果があることが示された。
試験2
[容器に関する試験](試験調味料6~8)
<調理方法>
試験調味料6:試験調味料5と同じ(ポジティブコントロール)
試験調味料7:容器をプラスチック容器(11.5×16×高さ6cmの蓋つきタッパーウェア)に変更した。調味液の配合や液量、その他の方法については、試験調味料6と同じである。
試験調味料8:試験調味液7と同じプラスチック容器(11.5×16×高さ6cmの蓋つきタッパーウェア)を用いた。T1/T2比が試験調味料6と同じ程度になるように、調味液の液量を170gに増量した。
<評価基準>
・「香ばしさ」:フライパンで調味液を絡めて肉を焼いた際に感じる香ばしい風味
5:強く感じる(肉をフライパンで焼成した程度)(試験調味料2)
4:感じる(試験調味料5)
3:やや感じる(試験調味料4)
2:ほぼ感じない(試験調味料3)
1:感じない(試験調味料1)
・「鶏臭さ」:若鶏特有の臭み及び鶏肉特有の獣臭を合わせた不快な臭い
5:まったく感じない
4:感じない(試験調味料2および5)
3:かすかに感じる(試験調味料4)
2:感じる(試験調味料3)
1:強く感じる(試験調味料1)
・「肉のジューシーさ」:加熱後もドリップを引き続き保持させた肉の状態であり、肉を噛
んだ際に肉から染み出てくる水分の量が多いこと
5:強く感じる(試験調味料5)
4:感じる(試験調味料4)
3:やや感じる(試験調味料3)
2:ほぼ感じない(試験調味料2)
1:感じない(肉中の水分が少なく、パサついている)(試験調味料1)
・「肉の柔らかさ」:肉芯部の柔らかさであり、肉を噛んだ際に噛み切ることができること
5:強く感じる(試験調味料5)
4:感じる(試験調味料4)
3:やや感じる(試験調味料3)
2:ほぼ感じない(試験調味料2)
1:感じない(筋線維質を感じ、噛み切りにくい)(試験調味料1)
・「肉の弾力」:肉を噛んだ際に感じる、噛み応えや筋感
5:強く感じる(試験調味料5)
4:感じる(試験調味料4)
3:やや感じる(試験調味料3)
2:ほぼ感じない(試験調味料2)
1:感じない(試験調味料1)
・「照り」:肉の表面がつやを帯びている外観
5:強く感じる
4:感じる(試験調味料2および5)
3:やや感じる(試験調味料4)
2:ほぼ感じない(試験調味料3)
1:感じない(試験調味料1)
・「味なじみ」:肉が調味料によって均一な味付けになっていることで、調味液が肉に染み
込み、肉の風味と調和がとれている
◎:味なじみが良い(試験調味料5)
〇:味なじみがある(試験調味料2および4)
×:味なじみが悪い(試験調味料3)
・「焦げ」:焦げの苦味や焦げた香りが強く、調理品の風味を損なっている。あるいは、焦げた塊が異物感に感じる。
なし:風味または食感による評価で焦げがない
あり:風味または食感による評価で焦げがある

<総合評価>
各評価が◎あるいは〇であり、かつ焦げがないものを〇とした。それ以外は×とした。
Figure 0007000607000004

Figure 0007000607000005
表3に試験2の内容を、表4に結果を示す。試験調味液6、8が本発明の実施例で、試験調味液7は比較例である。
試験2における試験調味液7(プラスチック容器・液量変更なし)は、T1/T2比が0.20と低く、肉の柔らかさや照りは良好だったが、香ばしさが足りなかった。この要因として、T1/T2比と容器の2つが考えられる。そこで容器の違いによる影響について詳細に確認するために、試験調味料6と同じT1/T2比になるように調味液の液量を増量した試験調味料8を試験した。その結果、試験調味料8は、鶏臭さがほとんど感じられず、照りも改善された。ジューシーさや肉の弾力も試験調味料7と比べると改善されているが、その効果はスタンディングパウチを用いた試験調味料6ほどではなかった。この要因を推察すると、プラスチック容器はスタンディングパウチに比べて、加熱効率(十分に加熱された調味液が容器中で対流すること)が劣り、加熱調理中に肉汁が調味液に流出しやすくなり、これがジューシーさや肉の弾力に影響したものと考えられる。
このように、本発明ではT1/T2比を調整することが重要であり、また、T1/T2比の調整に加え、容器をスタンディングパウチにすることで、より効果が高まることが示された。
試験3
[T1/T2比に関する試験(その1)](試験調味料9~13)
<調理方法>
試験調味料9~13:調味液の組成はすべて同じ。各試験調味料の液量によりT1/T2比を変えて、試験を行った。
試験調味料13:8分の加熱では、部分的に肉の中心温度が50℃と不十分であるため、追加で2分(合計10分加熱、)電子レンジ加熱を行い、他の試験調味料と同様に肉の中心温度を75℃以上になるように調理した。
Figure 0007000607000006

Figure 0007000607000007
表5に試験3の内容を、表6に結果を示す。試験調味液10~13が本発明の実施例で、試験調味液9は比較例である。
試験3におけるT1/T2比が低い試験調味料9(T1/T2比=0.23)では、焦げを除くいずれの評価も悪かった。一方、試験調味料10~13のように、T1/T2比を0.5以上にすることで、各評価は向上し良好な調理品が得られたことにより、本発明では肉を調味液に浸漬しながら加熱することが重要であることがわかった。また、試験調味料13は十分な効果を有するが、試験調味料10や11と比べると香ばしさが若干弱かった。この要因としては、試験調味料13は肉に対する調味料の液量が多く、さらにレンジ加熱時間が長いため、肉の味付けが濃くなり、それに伴い肉を焼成した時に感じる肉の香ばしさが若干感じにくくなったためと思われる。
以上の結果より、T1/T2比は0.5以上に調整することが好ましく、より好ましくは0.5~1.4であると考える。
試験4
[粘度に関する試験](試験調味料14~19)
<調理方法>
試験調味料14~19:調味液中の加工でんぷんの含有量により、各試験調味液の粘度を調整し、試験した。
粘度測定は、各試験調味料の粘度によって、分析に供するローターの種類を変更して測定した。表中の粘度の括弧内の記載は(ローターの種類、回転数、調味液の温度)である。
Figure 0007000607000008

Figure 0007000607000009
表7に試験4の内容を、表8に結果を示す。試験調味液16~18が本発明の実施例で、試験調味液14、15、19は比較例である。
試験4において、粘度が0cpの試験調味料14では、食感、風味、外観のいずれも評価が悪かった。粘度が10,000cpより高い試験調味料19では、苦みの感じる焦げが発生し、また調味液と肉の絡みつきが不均一であり、そのため肉の食感や照りが不十分であった。
一方、試験調味液の粘度を100~9000cpに調整することで、本発明の効果を奏することが示された。
試験5
[水分活性に関する試験](試験調味料20~29および49)
<調理方法>
試験調味料20~29、49:調味液中のしょうゆ、砂糖、加工でんぷんの含有量により、各試験調味液の水分活性を調整し、試験した。
Figure 0007000607000010

Figure 0007000607000011
表9に試験5の内容を、表10に結果を示す。試験調味液22~29が本発明の実施例で、試験調味液20、21、49は比較例である。
試験5における試験調味液20および21により、水分活性が高いと鶏臭さを感じやすく、味なじみが悪くなり、一方、水分活性が0.65である試験調味液49では、部分的に焦げが認められた。試験調味料22~29の結果により、本発明では、水分活性を0.961以下に、より好ましくは0.66~0.96に調整することが必要であることがわかった。
また、試験調味料26~29の結果から、水分活性を下げることで香ばしさがさらに高くなることがわかった。この香ばしさは、カラメル化やアミノ酸と糖が反応することで生成されるメイラードの香気成分と、肉の焼成されたときに生じる香気成分に起因すると考えられる。
電子レンジ調理は、食品に含まれる水分をマイクロ波で振動させることで加熱する調理方法であり、水分活性を下げることで、調味液中の自由水に吸収されるマイクロ波の割合が減り、肉が持つ水分子への吸収が増えることで、効率的に肉を加熱できるためと考えられる。
試験6
[原料(糖類・醤油・みそ・香味野菜)に関する試験](試験調味料30~37)
砂糖以外の糖類を用いた場合、水分活性を調整する目的で砂糖の一部を食物繊維に置き換えた場合、また、食塩以外の調味料(醤油、味噌)を用いた場合に、本発明の効果があるかを試験した。さらに、調味料に香味野菜を添加した場合に、本発明の効果への影響を試験した。
<調理方法>
試験調味料30:試験調味料5と同じ。
試験調味料31~33:原料の砂糖をぶどう糖、果糖ぶどう糖液糖、水あめにそれぞれ置き換え、各試験調味料を作製し、試験した。なお、果糖ぶどう糖液糖、水あめの各添加量は、各原料に含まれる糖類の重量(固形分相当)で揃えた。
試験調味料34:砂糖の一部を食物繊維(10g)に置き換えて、試験した。
試験調味料35、36:しょうゆの一部を味噌に置き換えて試験した。なお、味噌の使用量は、試験調味料30の窒素分(TN=0.32%)と同様になるように調整して添加した。
試験調味料37:試験調味料30に香味野菜として長ねぎを20g添加し、試験した。
Figure 0007000607000012

Figure 0007000607000013
表11に試験6の内容を、表12に結果を示す。試験調味液30~37が本発明の実施例である。
試験6における試験調味料31~33の結果により、砂糖以外の糖類を用いても効果が得られること、試験調味料34により、水分活性を調整する目的で砂糖の一部を食物繊維に置き換えても効果が得られること、および本発明における砂糖は5重量%以上が好ましいことがわかった。
また、試験調味料35、36において、しょうゆの一部を味噌に置き換えても効果が得られることから、本発明の効果、主に、香ばしさは、しょうゆと味噌に共通する成分(窒素分や塩分など)が影響していることが推察された。そこで試験8を行い、試験8における試験調味料47、48では、原料からしょうゆを除き、調味料中の塩分が食塩のみとなる試験を行ったところ、しょうゆを除いても効果があり、本発明には食塩が必須であることがわかった。
さらに、特に香味野菜を添加した試験調味料37を使用した調理品では、ねぎの風味の香り立ちが良く、肉料理の嗜好性を上げる効果があるばかりではなく、肉の表面がカリっと香ばしく仕上がり、香ばしさは、フライパン調理品(試験調味料2)と同等であり、また、鶏臭さや照りおよび味なじみは、香味野菜無添加の試験調味料30よりも向上し、予想以上のより優れた効果が得られた。
試験7
[原料(増粘剤)に関する試験](試験調味料38~43)
加工でんぷん(馬鈴薯由来ヒドロキシプロピル化リン酸架橋)以外の増粘剤を用いた場合に、本発明の効果があるかを試験した。
<調理方法>
試験調味料38:試験調味料5と同じ。
試験調味料39~43:原料の加工でんぷん(馬鈴薯由来ヒドロキシプロピル化リン酸架橋)を他の加工でんぷんやガム類に置き換え、各試験調味料を作製し、試験した。
Figure 0007000607000014

Figure 0007000607000015
表13に試験7の内容を、表15に結果を示す。試験調味液38~43が本発明の実施例である。
本発明における粘度は、様々な加工でんぷんやガム類など様々な増粘剤を用いて調整することができることが示された。
試験8
[原料(食塩)に関する試験](試験調味料44~48)
本発明における食塩の影響を調べる試験を行った。
<調理方法>
試験調味料44:試験調味料20(水分活性0.98の比較例)と同じ。
試験調味料45:試験調味料46~48の比較対照。ポジティブコントロール。
試験調味料46~48:試験調味料45の水分活性に固定(水分活性0.88)し、しょうゆおよび食塩の添加量を変えて試験した。
Figure 0007000607000016

Figure 0007000607000017
表15に試験8の内容を、表16に結果を示す。試験調味液45~48が本発明の実施例である。
しょうゆ無添加区(塩分は食塩のみ)の試験調味料47および48においても、本発明の効果は認められたことから、本発明の効果には食塩が重要であることが確認された。
食塩は、味しみをよくするとともに、液状調味料の導電率を上げて加熱調理を短時間で行えると考えられるため、食塩濃度は、3重量%以上、または4重量%以上であることが好ましい。
試験9
[T1/T2比に関する試験(その2)](試験調味料50~52)
<調理方法>
試験調味液50~52の調味液の組成はすべて試験調味料5と同じ。容器を変えT1/T2比を0.5未満の範囲で試験を行った。
試験調味料50:容器がスタンディングパウチで縦置き。
試験調味料51:容器がプラスチック容器であるタッパー。
試験調味料52:容器がレンジ用パウチ(リードプチ圧力調理バッグ(ライオン社製))であり、平置き状態で加熱調理。
Figure 0007000607000018

Figure 0007000607000019
表17に試験9の内容を、表18に結果を示す。試験調味液50~52は比較例であり、どのような加熱用容器を用いても、T1/T2比が0.5未満であると本発明の効果は得られなかった。
試験10
[主固形具材に関する試験](試験調味料53~56)
<調理方法>
試験調味液53~56はすべて試験調味料5を用い、主固形具材を変えて試験を行った。
試験調味料53:鶏ムネ肉250gを4分割し、試験調味料に供した。
試験調味料54:豚ロース塊肉250gを2分割し、試験調味料に供した。
試験調味料55:2切れのブリ切り身(計179g)を試験調味料に供した。
試験調味料56:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gを試験調味料に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000020

Figure 0007000607000021
表19に試験10の内容を、表20に定性評価の結果を示す。試験調味液53~56は、本発明の実施例であり、主固形具材が肉だけでなく、魚や野菜でも本発明の効果が得られた。
試験11
[主固形具材に関する比較試験(その1)](試験調味料57~60)
試験調味料の組成および容器中の調味料重量を、試験調味料3に準じて行った。試験調味料3は、特許文献3の試験例1eに相当する。
<調理方法>
試験調味液57~60はすべて試験調味料3を用い、主固形具材を変えて試験を行った。
試験調味料57:鶏ムネ肉250gを4分割し、試験調味料に供した。
試験調味料58:豚ロース塊肉250gを2分割し、試験調味料に供した。
試験調味料59:2切れのブリ切り身(計179g)を試験調味料に供した。
試験調味料60:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gを試験調味料に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000022

Figure 0007000607000023

表21に試験11の内容を、表22に定性評価の結果を示す。試験調味液57~60は、比較例であり、特許文献3の液状調味料は、水分活性が0.97と高いため、試験1での鶏もも肉の場合と同様に、他の主固形具材においても本発明の効果が得られなかった。
試験12
[主固形具材に関する比較試験(その2)](試験調味料61、62)
試験調味料の組成および容器中の調味料重量を、特許文献4の表2に記載のバーニャカウダ味調味料に準じて行った。
<調理方法>
試験調味料61:主固形具材に鶏モモ肉を使用した。21cm角・深さ5cmの皿を用い、これに鶏モモ肉300gと試験調味料120gを入れて、試験に供した。
試験調味料62:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gと試験調味料120gを皿に入れて、試験に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000024

Figure 0007000607000025
表23に試験12の内容を、表24に定性評価の結果を示す。試験調味液60、61は比較例であり、特許文献4のバーニャカウダ味調味料は、鶏もも肉および野菜において本発明の効果が得られなかった。特に野菜においては、大きな平皿を使っているため、調味液が具材に浸漬されず品質のバラつきが大きかった。
試験13
[主固形具材に関する比較試験(その3)](試験調味料63、64)
試験調味料の組成および容器中の調味料重量を、特許文献4の表1に記載の黒酢味調味料に準じて行った。
<調理方法>
試験調味料63:主固形具材に鶏モモ肉を使用した。21cm角・深さ5cmの皿を用い、これに鶏モモ肉300gと試験調味料120gを入れ、試験に供した。
試験調味料64:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gと試験調味料120gを皿に入れ、試験に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000026

Figure 0007000607000027
表25に試験13の内容を、表26に定性評価の結果を示す。試験調味液63、64は比較例であり、特許文献4の黒酢味調味料は、鶏もも肉および野菜において本発明の効果が得られなかった。
試験14
[主固形具材に関する比較試験(その4)](試験調味料65、66)
試験調味料の組成および容器中の調味料重量を、特許文献2の表1に記載のタラの加熱料理用調味料に準じて行った。
<調理方法>
試験調味料65:主固形具材に鶏モモ肉を使用した。21cm角・深さ5cmの皿を用い、これに鶏モモ肉300gと試験調味料120gを入れ、試験に供した。
試験調味料66:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gと試験調味料120gを皿に入れ、試験に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000028

Figure 0007000607000029
表27に試験14の内容を、表28に定性評価の結果を示す。試験調味液65、66は比較例であり、特許文献2のタラの加熱料理用調味料は、水分活性が0.98と高いため、鶏もも肉および野菜において本発明の効果が得られなかった。
試験15
[主固形具材に関する比較試験(その5)](試験調味料67、68)
試験調味料の組成および容器中の調味料重量を、特許文献2の表3に記載のインゲンの加熱料理用調味料に準じて行った。
<調理方法>
試験調味料67:主固形具材に鶏モモ肉を使用した。21cm角・深さ5cmの皿を用い、これに鶏モモ肉300gと試験調味料120gを入れ、試験に供した。
試験調味料68:主固形具材を野菜(豚小間切れとタマネギの野菜炒め)とし、豚こま100gと1.5cmくし切りにしたタマネギ100gと試験調味料120gを皿に入れ、試験に供した。

<評価方法>
食感、風味、外観について定性評価(記述)を行った。
Figure 0007000607000030

Figure 0007000607000031
表29に試験15の内容を、表30に定性評価の結果を示す。試験調味液67、68は比較例であり、特許文献2のインゲンの加熱料理用調味料は、水分活性が0.98と高いため、鶏もも肉および野菜において本発明の効果が得られなかった。
試験16
[香味野菜に関する試験](試験調味料69~71)
液状調味料に香味野菜を添加する場合の、本発明の効果への影響を試験した。
<調理方法>
試験調味料69:試験調味料5と同じ。
試験調味料70:試験調味料37と同じく、試験調味料5に香味野菜として長ねぎ20gを入れて、試験に供した。
試験調味料71:試験調味料5に、香味野菜20重量%(調味料70gに対して14g)は入れずに、レンジ調理加熱直前に加えて試験した。
Figure 0007000607000032

Figure 0007000607000033
表31に試験16の内容を、表32に結果を示す。試験調味液69~71は、本発明の実施例である。
香味野菜を加熱調理時に添加した試験調味料71の調理品は、ねぎの風味の香りが強く残っているが、試験調味料70と比べて鶏臭さが欠け、調味料の旨味や肉への絡み具合がやや弱い。また、味なじみは良いが、最も優れている試験調味料70と比べると劣るので、香味野菜は調味料作製時に同時に添加することが好ましい。
試験17
[水分活性、粘度、およびT1/T2比に関する試験](試験調味料72、73)
<調理方法>
試験調味液72:本発明の水分活性の上限、粘度の下限、かつT1/T2比の下限となるように、原料および容器中の調味料を作製した。
試験調味液73:本発明の水分活性の下限、粘度の上限、かつT1/T2比の上限となるように、原料および容器中の調味料を作製した。
Figure 0007000607000034

Figure 0007000607000035
表33に試験17の内容を、表34に結果を示す。試験調味液72、73は、本発明の実施例である。
水分活性、粘度、およびT1/T2比が本発明の数値範囲内であれば、たとえば、本発明の水分活性の上限×粘度の下限×T1/T2比下限、本発明の水分活性の下限×粘度の上限×T1/T2比上限の試験区においても、本発明の効果があることが確認された。


Claims (13)

  1. 電子レンジによる加熱調理用液状調味料であって、(1)25℃における粘度が100~9000cpであり、(2)水分活性が0.66~0.96であり、かつ、(3)食塩および4重量%以上の糖類を含み、電子レンジによる加熱調理が、加熱用容器底面から液状調味料の液面の高さが、加熱用容器底面から主固形具材の高さの0.5倍以上になるように加熱用容器内に主固形具材が投入された状態で行われることを特徴とする液状調味料。
  2. 前記液状調味料が所望の大きさにカットされた香味野菜を含む、請求項1に記載の液状調味料。
  3. 包装容器に充填封入された液状調味料である、請求項1または2に記載の液状調味料。
  4. 前記包装容器が電子レンジ加熱対応包材の包装容器である、請求項3に記載の液状調味料。
  5. 前記包装容器がスタンディングパウチである、請求項3または4に記載の液状調味料。
  6. 前記主固形具材が畜肉、魚肉、または野菜である、請求項1に記載の液状調味料。
  7. 前記包装容器が前記加熱用容器である、請求項3ないし5のいずれか一項に記載の液状調味料。
  8. スタンディングパウチに充填封入された液状調味料が、主固形具材が投入されて縦置きにした状態で、パウチ底面から液状調味料の液面の高さが、パウチ底面から主固形具材の高さの0.5倍以上で電子レンジ加熱調理されるものである、請求項5または7に記載の液状調味料。
  9. 液状調味料による主固形具材の電子レンジ加熱調理方法であって、液状調味料は、25℃における粘度が100~9000cp、水分活性が0.66~0.96で、かつ、食塩および4重量%以上の糖類を含み、加熱用容器に主固形具材を投入し、加熱用容器底面から該液状調味料の液面の高さが、投入された主固形具材の上面の高さの0.5倍以上となる状態で、電子レンジにより加熱調理することを特徴とする方法。
  10. 前記液状調味料として、電子レンジ加熱対応包材の包装容器に充填封入された液状調味料を用い、その包装容器を前記加熱用容器とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記主固形具材が畜肉、魚肉、または野菜である、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記包装容器が、加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機能を有するジッパー付スタンディングパウチであり、主固形具材を投入して縦置きにした状態で加熱調理する、請求項10に記載の方法。
  13. 前記加熱調理されたものが、主固形具材の炒め料理風味または照焼き料理風味である、請求項9ないし12のいずれか一項に記載の方法。
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