以下、本明細書に開示した一実施例を図面を用いて説明する。
まず、図1乃至図6を用いて測定装置10の構成を説明する。
測定装置10の基台11には、部品実装機40(図7参照)に取付固定するための取付フレーム12が設けられている。基台11上には、板状のベース部13が配置され、そのベース部13の上面には、投光部14と受光部15とが所定の位置関係で固定されている。
図示はしないが、投光部14は、レーザ光源で発生したレーザ光を特殊レンズで上下方向に所定の幅をもつ平行レーザ光16に変換してベース部13の上面と平行な方向に出力する。この投光部14の平行レーザ光出力方向には、平行レーザ光16の光路を直角に屈曲させるミラー、プリズム等の光路屈曲部材17が配置されている。平行レーザ光16の上下方向の幅は、測定対象の厚み寸法(上下方向寸法)よりも幅広となるように設定されている。本実施例では、測定対象は、電子部品のリード42の列(図5及び図6参照)である。
一方、受光部15の受光面前方には、投光部14の光路屈曲部材17で直角に屈曲された平行レーザ光16の光路を直角に屈曲させるミラー、プリズム等の光路屈曲部材18が配置され、この光路屈曲部材18で直角に屈曲された平行レーザ光16が受光部15で受光される。これにより、投光部14と受光部15との間の平行レーザ光16の光路は、2つの光路屈曲部材17,18でП状に屈曲され、且つ、投光部14の光路屈曲部材17と受光部15の光路屈曲部材18との間を通る平行レーザ光16の光路がベース部13の上面と平行になるように設定されている。2つの光路屈曲部材17,18間の平行レーザ光16に測定対象を挿入して測定対象の厚み寸法又は厚み方向への変形量(曲がり量)を測定するようになっている。
受光部15は、受光素子として、CCD、CMOS等の一次元イメージセンサ素子を用いて、平行レーザ光16のうちの測定対象で遮光された部分の幅とその位置の両方を測定できるように構成しても良い。或は、受光部15は、受光する平行レーザ光16をレンズで集光してフォトダイオード等の受光素子で受光し、平行レーザ光16のうちの測定対象で遮光された部分の幅に応じて受光素子の受光量が減少するという特性を利用して、その受光量を検出して、その受光量の検出値から平行レーザ光16のうちの測定対象で遮光された部分の幅を測定するように構成しても良い。
投光部14と受光部15とを固定したベース部13の下面側には、支持基板21が例えば4箇所の角度調節部22を介して取付けられている。各角度調節部22は、ボルトとナット等により構成され、作業者が各角度調節部22をスパナ等の工具で調節することで、支持基板21に対するベース部13の角度を調節できるようになっている。ベース部13と支持基板21は、基台11に軸23(図4参照)を介して上下方向に一体に傾動可能に支持されている。
図4に示すように、測定装置10には、ベース部13を傾動させることで平行レーザ光16の照射角度を変化させる傾動機構部25が設けられている。この傾動機構部25は、基台11に設けられたモータ26と、このモータ26により回転される偏心カム、楕円カム等のカム27と、ベース部13の支持基板21に設けられたカムフォロア28とを備え、カム27の回転によりカムフォロア28をベース部13の傾動方向である上下方向に往復動させることでベース部13を軸23を支点にして上下方向に往復傾動させるようになっている。モータ26とカム27との間の回転伝達系は、モータ26の回転軸に嵌着されたギア30と、カム27と一体に回転するギア31とを噛み合わせて構成されている。モータ26は、回転角を検出するエンコーダ等の回転角センサを備えたステッピングモータ、サーボモータ等であり、測定動作時には、回転角センサの出力信号に基づいてカム27を1回転させてベース部13を傾動前の角度から上下方向に1往復傾動させて傾動前の角度に戻して停止させるようになっている。
測定装置10には、平行レーザ光16と一定の位置関係が維持される部位に上方から画像認識可能な基準位置部34(図1参照)が設けられている。本実施例では、平行レーザ光16と一定の位置関係が維持される部位である、投光部14側の光路屈曲部材17の上面側の所定位置と受光部15側の光路屈曲部材18の上面側の所定位置の2箇所に基準位置部34が設けられ、2つの光路屈曲部材17,18間の平行レーザ光16のXY方向(水平方向)の向きを特定できるようになっている。
受光部15、受光部15及び傾動機構部25のモータ26の動作を制御する測定制御部35(図7参照)は、マイクロコンピュータ等により構成され、傾動機構部25によりベース部13を上下方向に傾動させることで平行レーザ光16の照射角度を変化させながら平行レーザ光16のうちの測定対象で遮光された部分の幅の測定値が増減するのを観測してその測定値の最小値を求め、その測定値の最小値に基づいて測定対象の厚み寸法又は厚み方向への変形量を測定するようにしている。
以上のように構成した測定装置10は、部品実装機40(図7参照)の所定位置に着脱可能に取り付けられる。部品実装機40には、回路基板に実装する各種電子部品を供給するテープフィーダ、トレイフィーダ、スティックフィーダ等の部品供給装置41が交換可能にセットされている。部品供給装置41から供給される電子部品の中には、部品ボディの2辺又は4辺に複数のリード42が列設されたリード付き電子部品が含まれる。
部品実装機40は、回路基板を搬送するコンベア43と、部品供給装置41が供給する電子部品をピックアップして保持する吸着ノズル又はチャック等の保持部(図示せず)を交換可能に取り付けた実装ヘッド(図示せず)と、この実装ヘッドをXY方向(前後左右方向)とZ方向(上下方向)に移動させる実装ヘッド移動装置44と、保持部でピックアップして保持した電子部品を下方から撮像する部品撮像用カメラ45と、回路基板の基準位置マーク等を上方から撮像するマーク撮像用カメラ46とを備えている。部品撮像用カメラ45は、部品実装機40の所定位置に上向きに固定されている。マーク撮像用カメラ46は、実装ヘッド側に下向きに取り付けられ、実装ヘッド移動装置44によって実装ヘッドと一体的に移動する。部品実装機40内における測定装置10の位置は、実装ヘッドの保持部の移動可能範囲内に測定装置10の平行レーザ光16が位置するように設定されている。
部品実装機40の制御部47は、1台又は複数台のコンピュータにより構成され、部品実装機40の上述した各機能の動作を制御する。この部品実装機40の制御部47は、部品供給装置41から供給される電子部品がリード付き電子部品である場合には、当該電子部品を実装ヘッドの保持部でピックアップして測定装置10側へ移動させると共に、マーク撮像用カメラ46で測定装置10の基準位置部34を撮像して画像認識することで当該基準位置部34の位置を基準にして測定装置10の2つの光路屈曲部材17,18間の平行レーザ光16の位置を測定し、その測定値に基づいて実装ヘッドを平行レーザ光16の上方へ移動させて、当該実装ヘッドの保持部に保持された電子部品の測定対象であるリード42の列を平行レーザ光16の幅内に収めて一定の角度に保持した状態(つまり測定装置10のベース部13が傾動してもリード42の列が傾動しないように一定の角度に保持した状態)で、部品実装機40の制御部47から測定装置10の測定制御部35へ測定実行指令信号を送信して、次のようにしてリード42の厚み寸法又は厚み方向への変形量を測定する。
測定装置10の測定制御部35は、部品実装機40の制御部47から測定実行指令信号を受信すると、投光部14から平行レーザ光16を出力すると共に、傾動機構部25のモータ26を起動してカム27を1回転させてベース部13を軸23を支点にして傾動前の角度から上下方向に1往復傾動させることで、平行レーザ光16を傾動前の角度から上下方向に1往復傾動させて傾動前の角度に戻して停止させる。これにより、測定制御部35は、図5から図6に示すように、平行レーザ光16の照射角度を変化させながら受光部15の受光信号を取り込んで平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅の測定値が増減するのを観測してその測定値の最小値を求め、その測定値の最小値に基づいてリード42の厚み寸法又は厚み方向への変形量を測定する。
例えば、曲がりの無いリード42の列であっても、図5に示すように、平行レーザ光16の照射方向(光軸)に対してリード42の列が傾いている場合には、平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅がリード42の列の傾き角度に応じて大きくなるが、図6に示すように、平行レーザ光16の照射方向(光軸)の傾き角度がリード42の列の傾き角度と一致すると、平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅が最小となる。従って、測定制御部35は、平行レーザ光16を傾動前の角度から上下方向に1往復傾動させて、平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅の測定値が増減するのを観測してその測定値の最小値を求め、その測定値の最小値に基づいてリード42の厚み寸法(又は厚み方向への変形量)を測定し、その測定値がリード42の厚み寸法の許容誤差範囲内に収まっていれば、リード42の列が正常(リード42の厚み寸法が許容誤差範囲内で且つリード42の曲がり無し)と判定し、一方、当該測定値がリード42の厚み寸法の許容誤差範囲を外れていれば、リード42の列が異常(リード42の曲がり有り又はリード42の厚み寸法が不適正)と判定する。このリード42の列の正常/異常の判定結果は、測定制御部35から部品実装機40の制御部47へ送信される。
尚、測定制御部35から平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅の測定値を部品実装機40の制御部47へ送信して、部品実装機40の制御部47が当該測定値の最小値を求めて、当該測定値の最小値に基づいてリード42の厚み寸法(又は厚み方向への変形量)を測定し、その測定値がリード42の厚み寸法の許容誤差範囲内に収まっているか否かで、リード42の列の正常/異常を判定するようにしても良い。或は、測定制御部35で測定値の最小値を求める処理まで行い、測定制御部35から当該測定値の最小値を部品実装機40の制御部47へ送信して、部品実装機40の制御部47で当該測定値の最小値から求めたリード42の厚み寸法(又は厚み方向への変形量)の測定値がリード42の厚み寸法の許容誤差範囲内に収まっているか否かで、リード42の列の正常/異常を判定するようにしても良い。
電子部品の各辺のリード42の列毎に、上述した方法でリード42の列の正常/異常を判定する。その結果、部品実装機40の制御部47は、電子部品のいずれかの辺のリード42の列に異常有りと判定した場合には、実装ヘッドを所定の廃棄場所の上方へ移動させて当該電子部品を当該所定の廃棄場所に廃棄する。
一方、部品実装機40の制御部47は、電子部品の全てのリード42の列が正常であると判定した場合には、実装ヘッドを部品撮像用カメラ45の上方に移動させて、実装ヘッドの保持部に保持されている電子部品を部品撮像用カメラ45で撮像して画像認識することで、当該電子部品の位置や角度のずれ量を計測して、実装ヘッドを回路基板の上方へ移動させ、当該電子部品の位置や角度のずれ量を補正して、当該電子部品のリード42を回路基板のランドに半田付けする。
以上説明した本実施例によれば、測定装置10の傾動機構部25によって平行レーザ光16の照射角度を変化させながら受光部15の受光信号を取り込んで平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅の測定値が増減するのを観測してその測定値の最小値を求め、その測定値の最小値に基づいてリード42の厚み寸法(又は厚み方向への変形量)を測定するようにしたので、平行レーザ光16の光軸に対してリード42の列が傾いていても、その傾きの影響を受けずに、リード42の厚み寸法又は厚み方向への変形量を精度良く測定することができる。
尚、本実施例では、測定対象を電子部品のリード42の列としたが、電子部品のボディ部分の所定部位としても良い。
また、本実施例では、測定装置10を部品実装機40に取り付けて使用するようにしたが、部品実装機40以外の機器に使用しても良い。従って、測定対象は、電子部品の所定部位に限定されず、電子部品以外の物品を測定対象としても良い。
測定装置10の平行レーザ光16の照射方向もほぼ水平方向に限定されず、上下方向等、ほぼ水平方向以外の方向であっても良い。一般に、測定対象の厚み方向は、平行レーザ光の幅方向(照射方向に対して直角方向)である。
また、平行レーザ光16のうちのリード42の列で遮光された部分の幅の測定値が増減するのを観測してその測定値が最小となったときのベース部13の傾き角度(平行レーザ光16の照射角度)に基づいて測定対象の厚み方向への傾き角度を測定するようにしても良い。この際、ベース部13の傾き角度(平行レーザ光16の照射角度)の測定方法は、傾動機構部25のモータ26の回転角を検出するエンコーダ等の回転角センサの出力信号に基づいてベース部13の傾き角度を測定するようにしても良いし、或は、ベース部13の傾き角度を検出するセンサを設けても良い。
また、本実施例では、投光部14と受光部15との間の平行レーザ光16の光路を2つの光路屈曲部材17,18でП状に屈曲させる構成としたが、光路屈曲部材17,18を無くして、投光部14と受光部15とを対向させて投光部14と受光部15との間の平行レーザ光の光路が一直線となるように構成しても良い。
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、傾動機構部25の構成を変更したり、レーザ光以外の種類の平行光を用いても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。