JP7073975B2 - 化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents
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Description
(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒と、
(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
を含有し、pHが1以上6以下である。
(D)水溶性高分子をさらに含有することができる。
前記(A)シリカ砥粒が-20mV以下の永久負電荷を有することができる。
研磨対象との静電的相互作用係数が負符号となることができる。
ケイ素含有基板研磨用であることができる。
前記ケイ素含有基板がタングステンを有することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(C)成分」ともいう。)と、を含有し、pHが1以上6以下である。以下、本実施形態に係
る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について詳細に説明する。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒を含有する。(A)成分は、配線材料、絶縁膜材料及びバリアメタル膜材料を機械的に研磨し、これらの材料に対する研磨速度を向上させる機能を有する。(A)成分は、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するために、これらの材料の中でも特にタングステン及びケイ素が含まれる材料の研磨速度を向上させることができる。また、(A)成分は、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するので、静電反発力により分散性や分散安定性が良好となる。その結果、被研磨面での研磨傷の発生を低減することができる。
リス社製の孔径約0.1μmの、例えばPlanargard NMBフィルター型番PNB01010V6の濾過フィルターに、3回通過させた際の濾過前後におけるシリカ粒子のゼータ電位の絶対値の変化が5mV以下のものをいう。すなわち、前記「-20mV以下の永久負電荷を有するシリカ砥粒」とは、前記3回の濾過前後でそれぞれゼータ電位が-20mV以下であり、かつ、濾過前後のゼータ電位の絶対値の変化が5mV以下のものをいう。
(静電的相互作用係数)=(前記ろ過後の化学機械研磨用水系分散体に含まれるシリカ砥粒のゼータ電位)×(研磨対象面のゼータ電位)
すなわち、静電的相互作用係数が負符号となり、その絶対値が大きいほど、シリカ砥粒と研磨対象とが引き合う力が強くなり、研磨対象面の研磨速度がより向上するものと考えられる。さらに、静電的相互作用係数が負符号となり、その絶対値が大きいほど、研磨対象面上に凝集粒子が溜まりにくく、より効果的な研磨を行い得るため、配線材料等の研磨傷の発生を低減することができる場合がある。したがって、静電的相互作用係数は負符号であることが好ましく、その絶対値はより大きい方が好ましく、100以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(B)成分を含有することにより、被研磨面の表面を酸化させて脆弱な改質層を作り出し、研磨速度を向上させることができる。特にタングステンやケイ素が含まれる材
料の研磨速度を向上させることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(C)成分を含有することにより、(C)成分が被研磨面に配位して研磨速度を向上させるとともに、研磨中における金属塩の析出を抑制することができる。また、(C)成分が被研磨面に配位することで、被研磨面のエッチング及び腐食によるダメージを低減できる場合がある。
シド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ化合物、及びアンモニア等が挙げられる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)水溶性高分子(以下、「(D)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(D)成分を含有することにより、(D)成分が被研磨面に吸着して研磨摩擦が低減されることで、平坦性を向上できる場合がある。また、(D)成分がタングステン膜の表面に吸着した場合、タングステン膜の腐食を抑制できる場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体である水の他に、必要に応じて、酸化剤、界面活性剤、含窒素複素環化合物、pH調整剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体として水を含有する。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、上述した化学機械研磨用水系分散体の構成材料の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)成分とは異なる酸化剤を含有し
てもよい。このような酸化剤を含有することにより、被研磨面をさらに酸化して研磨液成分との錯化反応を促して該被研磨面に脆弱な改質層を作り出すことができるため、研磨速度がより向上する場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、化学機械研磨用水系分散体に適度な粘性を付与できる場合がある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、含窒素複素環化合物を含有してもよい。含窒素複素環化合物を含有することにより、配線材料の過剰なエッチングを抑制し、かつ、研磨後の表面荒れを防ぐことができる場合がある。
複素五員環;ピリジン構造、ピリミジン構造、ピリダジン構造、ピラジン構造等の複素六員環が挙げられる。これらの複素環は縮合環を形成していてもよい。具体的には、インドール構造、イソインドール構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キナゾリン構造、シンノリン構造、フタラジン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造等が挙げられる。このような構造を有する複素環化合物のうち、ピリジン構造、キノリン構造、ベンゾイミダゾール構造またはベンゾトリアゾール構造を有する複素環化合物が好ましい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、pHを1以上6以下に調整するために、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、水酸化カリウム、エチレンジアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、アンモニア等の塩基が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpH値は1以上6以下であり、1以上5以下であることが好ましく、1以上4.2以下であることがより好ましく、1以上3.5以下であることがさらにより好ましく、1.5以上3以下であることが特に好ましい。pH値が前記範囲であると、タングステンやケイ素が含まれる材料の表面電位を正とすることができるため、(A)成分がタングステンやケイ素が含まれる材料を優先的に研磨することで研磨速度を向上させることができる。また、pH値が前記範囲であると、タングステン膜の表面荒れや腐食等を抑制することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料の少なくともいずれかの材料を被研磨面に有する基板を高速で研磨するのに適した組成ではあるが、中でもタングステンや二酸化ケイ素等のケイ素が含まれる材料を研磨するのに特に適している。そのため、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料としてのタングステン及び絶縁膜材料としての窒化ケイ素や二酸化ケイ素を有する被研磨面を化学機械研磨するための研磨材料として好適である。すなわち、配線以外のタ
ングステンを除去するとともに、配線としてのタングステンを取り巻く層間絶縁膜を同時に化学機械研磨する、タングステンプラグ及び相互接続工程に好適である。
TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」;AMAT社製、型式「Reflexion LK」;FILTEC社製、型式「FLTec-15」等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<シリカ粒子分散体Aの調製>
シリカ粒子分散体Aは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径73nmのシリカ粒子分散体Aを得た。
シリカ粒子分散体Bは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-1;シリカ含有量(固形分濃度)12質量%、平均粒子径35nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度12質量%、平均粒子径36nmのシリカ粒子分散体Bを得た。
シリカ粒子分散体Cは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度
コロイダルシリカ(品番:PL-7;シリカ含有量(固形分濃度)22質量%、平均粒子径120nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度22質量%、平均粒子径117nmのシリカ粒子分散体Cを得た。
特表2017-514295号公報に記載された製造方法を基にして、シリカ粒子分散体Dを以下のようにして作製した。1質量%のコロイドシリカ及び0.004質量%のテトラブチル水酸化アンモニウムを含む分散体を調製した。扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)の平均粒径を有する濃縮されたコロイドシリカ分散体と、テトラブチル水酸化アンモニウム及び水とを混合させることにより、テトラブチル水酸化アンモニウムで表面処理された、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径75nmのシリカ粒子分散体Dを得た。
特表2017-514295号公報に記載された製造方法を基にして、シリカ粒子分散体Eを以下のようにして作製した。1質量%のコロイドシリカ及び0.004質量%の3-(アミノプロピル)トリメトキシルシランを含む分散体を調製した。扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)の平均粒径を有する濃縮されたコロイドシリカ分散体と、3-(アミノプロピル)トリメトキシルシラン及び水とを混合させることにより、3-(アミノプロピル)トリメトキシルシランで表面処理された、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径75nmのシリカ粒子分散体Eを得た。
ポリエチレン製容器に、下表1又は下表2に示す組成となるように各成分を添加し、さらに水酸化カリウムを必要に応じて加えて下表1又は下表2に示すpHとなるように調整し、全成分の合計量が100質量部となるように純水を加えることにより、各実施例及び各比較例で使用する化学機械研磨用水系分散体を得た。
2.3.1.研磨速度の評価
上記で調製した化学機械研磨用水系分散体を用いて、直径12インチのタングステン膜500nm付きウェハと直径12インチのシリコン酸化膜2000nm付きウェハを被研
磨体として、下記の研磨条件で60秒の化学機械研磨試験を行った。
・研磨装置:G&P TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」
・研磨パッド:ニッタ・ハース社製、「IC1000」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:100mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
・研磨速度(nm/分)=(研磨前の膜の厚さ-研磨後の膜の厚さ)/研磨時間
膜の厚さ(Å)=[タングステン膜の体積抵抗率(Ω・m)÷シート抵抗値(Ω)]×1010
(タングステン膜研磨速度の評価基準)
・研磨速度が100Å/分以上である場合、研磨速度が大きいため、実際の半導体研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが容易に確保でき、実用的であるから良好と判断し「○」と表記した。
・研磨速度が100Å/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し「×」と表記した。
(シリコン酸化膜研磨速度の評価基準)
・研磨速度が300Å/分以上である場合、研磨速度が大きいため、実際の半導体研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが容易に確保でき、実用的であるから良好と判断し「○」と表記した。
・研磨速度が300Å/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し「×」と表記した。
被研磨体である直径12インチのシリコン酸化膜付きウェハを、下記条件で1分間研磨を行った。
<研磨条件>
・研磨装置:AMAT社製、型式「Reflexion LK」
・研磨パッド:ニッタ・ハース社製、「IC1000」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:300mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
(評価基準)
・ウェハ当たりの欠陥総数が500個未満である場合を良好と判断し、表中に「○」と記載した。
・ウェハ当たりの欠陥総数が500個以上である場合を不良と判断し、表中に「×」と記載した。
流動電流法の固体表面分析用ゼータ電位測定装置(アントンパール社製、型式「Surpass3」)を用いて、シリコン酸化膜表面のゼータ電位を測定した。測定用セルに、上記シリコン酸化膜付きウェハを貼り付け、流動圧を600mbarから200mbarに変化させたときの、流動電流変化をゼータ電位に換算した。測定時の内部液として、化学機械研磨用水系分散体を遠心分離により砥粒を除去し、得られた上澄み液を測定に用いた。
下表1及び下表2に、各実施例及び各比較例の化学機械研磨用水系分散体の組成並びに各評価結果を示す。
<砥粒>
・シリカ粒子分散体A~E:上記でそれぞれ調製したもの。
<金属硝酸塩等>
・硝酸鉄:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硝酸鉄(III)九水和物」
・硫酸鉄:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硫酸鉄(III)n水和物」
<水溶性高分子>
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー・ファインケム社製、商品名「ポリナスPS-1」、重量平均分子量(Mw)=10,000
・ポリカルボン酸:東亜合成社製、商品名「ジュリマーAC-10L」、ポリアクリル酸、重量平均分子量(Mw)=50,000
<有機酸>
・マレイン酸:十全化学社製、商品名「マレイン酸」
・マロン酸:扶桑化学工業社製、商品名「マロン酸」
<その他の添加剤>
・硝酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硝酸」、無機酸
・水酸化カリウム:関東化学社製、pH調整剤
かった。
Claims (5)
- (A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒と、
(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
を含有し、
前記(A)シリカ砥粒が-20mV以下の永久負電荷を有し、pHが1以上6以下である、化学機械研磨用水系分散体。 - (D)水溶性高分子をさらに含有する、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 研磨対象との静電的相互作用係数が負符号となる、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- ケイ素含有基板研磨用である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 前記ケイ素含有基板がタングステンを有する、請求項4に記載の化学機械研磨用水系分散体。
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