JP7073975B2 - 化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、化学機械研磨用水系分散体に関する。
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、半導体装置の製造における平坦化技術などで急速な普及を見せてきた。このCMPは、被研磨体を研磨パッドに圧着し、研磨パッド上に化学機械研磨用水系分散体を供給しながら被研磨体と研磨パッドとを相互に摺動させて、被研磨体を化学的かつ機械的に研磨する技術である。
近年、半導体装置の高精細化に伴い、半導体装置内に形成される配線及びプラグ等からなる配線層の微細化が進んでいる。これに伴い、配線層をCMPにより平坦化する手法が用いられている。半導体装置における基板には、絶縁膜材料、配線材料、該配線材料の無機材料膜への拡散を防止するためのバリアメタル材料等が含まれている。ここで、絶縁膜材料としては例えば二酸化ケイ素が、配線材料としては例えば銅やタングステンが、バリアメタル材料としては例えば窒化タンタルや窒化チタンが主に使用されている。
そして、タングステンプラグ及び相互接続工程において、タングステンがより低い速度でエッチング(腐食)される化学機械研磨組成物へのニーズがあり、例えば永久正電荷が6mV以上のコロイダルシリカ、アミン化合物、及び硝酸鉄等を含む化学機械研磨組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2017-514295号公報
特許文献1に記載された化学機械研磨組成物は、砥粒表面を安定した正電荷とすることで、砥粒の分散性を向上させるとともにタングステン膜の研磨速度を向上させている。これは、ゼータ電位の値が高い砥粒を用いることで、静電的な反発力により砥粒の凝集を抑制するとともに、タングステン膜との密着効果が顕著に発現したためと推測される。
しかしながら、近年の多層配線化に伴い、実際のタングステンプラグ及び相互接続工程では、CMPによって配線以外のタングステンを除去するとともに、配線としてのタングステンを取り巻く層間絶縁膜を同時に平坦化できる技術へのニーズがある。特許文献1に記載された化学機械研磨組成物は、タングステン膜の研磨速度を向上させることはできるものの、絶縁膜を高速で研磨することが困難であった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、タングステン及び絶縁膜を含む基板を高速で研磨することができるとともに、被研磨面における研磨傷の発生を低減できる化学機械研磨用水系分散体を提供する。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のいずれかの態様として実現することができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の一態様は、
(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒と、
(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
を含有し、pHが1以上6以下である。
前記化学機械研磨用水系分散体の一態様において、
(D)水溶性高分子をさらに含有することができる。
前記化学機械研磨用水系分散体のいずれかの態様において、
前記(A)シリカ砥粒が-20mV以下の永久負電荷を有することができる。
前記化学機械研磨用水系分散体のいずれかの態様において、
研磨対象との静電的相互作用係数が負符号となることができる。
前記化学機械研磨用水系分散体のいずれかの態様は、
ケイ素含有基板研磨用であることができる。
前記化学機械研磨用水系分散体のいずれかの態様において、
前記ケイ素含有基板がタングステンを有することができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体によれば、タングステン及び絶縁膜を含む基板を高速で研磨することができるとともに、被研磨面における研磨傷の発生を低減することができる。さらに、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体によれば、分散体中に含まれる砥粒の分散安定性を向上させることができる。
化学機械研磨装置を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本明細書において、「~」を用いて記載された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
「配線材料」とは、アルミニウム、銅、コバルト、チタン、ルテニウム、タングステン等の導電体金属材料のことをいう。「絶縁膜材料」とは、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン等の材料のことをいう。「バリアメタル材料」とは、窒化タンタル、窒化チタン等の配線の信頼性を向上させる目的で配線材料と積層させて用いられる材料のことをいう。
1.化学機械研磨用水系分散体
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(C)成分」ともいう。)と、を含有し、pHが1以上6以下である。以下、本実施形態に係
る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)シリカ砥粒
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒を含有する。(A)成分は、配線材料、絶縁膜材料及びバリアメタル膜材料を機械的に研磨し、これらの材料に対する研磨速度を向上させる機能を有する。(A)成分は、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するために、これらの材料の中でも特にタングステン及びケイ素が含まれる材料の研磨速度を向上させることができる。また、(A)成分は、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するので、静電反発力により分散性や分散安定性が良好となる。その結果、被研磨面での研磨傷の発生を低減することができる。
「スルホン酸塩を形成し得る基」は、具体的には下記一般式(1)で表される基のことをいう。
Figure 0007073975000001
(式(1)中、Rは、アルキレン基、アリーレン基、若しくはこれらの組み合わせ、又は単結合を表す。)
(A)成分としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられるが、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば特開2003-109921号公報等に記載される方法で製造されたものを使用することができる。
シリカ砥粒の表面にスルホン酸塩を形成し得る基を導入する方法としては、特に制限されないが、例えば、国際公開第2011/093153号、J.Ind.Eng.Chem.,Vol.12,No.6,(2006)911-917等に記載されているシリカ砥粒の表面を修飾する方法が挙げられる。
シリカ砥粒の表面にスルホン酸塩を形成し得る基を導入する方法の一例としては、スルホン酸塩を形成し得る基を共有結合を介してシリカ砥粒の表面に固定させる方法が挙げられる。具体的には、シリカ砥粒とメルカプト基含有シランカップリング剤を酸性媒体中で十分に撹拌することにより、シリカ砥粒の表面にメルカプト基含有シランカップリング剤を共有結合させることによって達成できる。メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その後、さらに過酸化水素を適量添加して十分に放置することにより、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒を得ることができる。なお、シリカ砥粒のゼータ電位は、前記メルカプト基含有シランカップリング剤の添加量を適宜増減することにより調整することができる。
(A)成分は、-20mV以下の永久負電荷を有することが好ましく、-25mV以下の永久負電荷を有することがより好ましい。前記値以下の永久負電荷を有するシリカ砥粒であると、(A)成分は高い分散特性を有し、特にタングステン及びケイ素が含まれる材料の研磨速度を向上させることができる。
「永久負電荷のシリカ粒子」とは、調製された化学機械研磨用水系分散体を、インテグ
リス社製の孔径約0.1μmの、例えばPlanargard NMBフィルター型番PNB01010V6の濾過フィルターに、3回通過させた際の濾過前後におけるシリカ粒子のゼータ電位の絶対値の変化が5mV以下のものをいう。すなわち、前記「-20mV以下の永久負電荷を有するシリカ砥粒」とは、前記3回の濾過前後でそれぞれゼータ電位が-20mV以下であり、かつ、濾過前後のゼータ電位の絶対値の変化が5mV以下のものをいう。
「静電的相互作用係数」とは、シリカ砥粒と研磨対象との引力度合いを示す定数のことをいい、下記式で表すことができる。
(静電的相互作用係数)=(前記ろ過後の化学機械研磨用水系分散体に含まれるシリカ砥粒のゼータ電位)×(研磨対象面のゼータ電位)
すなわち、静電的相互作用係数が負符号となり、その絶対値が大きいほど、シリカ砥粒と研磨対象とが引き合う力が強くなり、研磨対象面の研磨速度がより向上するものと考えられる。さらに、静電的相互作用係数が負符号となり、その絶対値が大きいほど、研磨対象面上に凝集粒子が溜まりにくく、より効果的な研磨を行い得るため、配線材料等の研磨傷の発生を低減することができる場合がある。したがって、静電的相互作用係数は負符号であることが好ましく、その絶対値はより大きい方が好ましく、100以上であることが特に好ましい。
(A)成分の平均粒子径については特に限定されないが、その下限は、好ましくは5nmであり、より好ましくは10nmであり、特に好ましくは15nmであり、その上限は、好ましくは300nmであり、より好ましくは150nmであり、特に好ましくは100nmである。(A)成分の平均粒子径が前記範囲にあると、タングステンやケイ素が含まれる材料の研磨速度を向上させながら、被研磨面における研磨傷の発生を低減できる場合がある。前記範囲の中でも、(A)成分の平均粒子径が10nm以上であると、タングステンやケイ素が含まれる材料の研磨速度をより向上できる場合がある。また、(A)成分の平均粒子径が100nm以下であると、被研磨面における研磨傷の発生をより低減できる場合がある。
(A)成分の平均粒子径は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置で測定することにより求めることができる。動的光散乱法による粒子径測定装置としては、堀場製作所社製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」、ベックマン・コールター社製のナノ粒子アナライザー「DelsaNanoS」、Malvern社製の「Zetasizernanozs」等が挙げられる。なお、動的光散乱法を用いて測定した平均粒子径は、一次粒子が複数個凝集して形成された二次粒子の平均粒子径を表している。
(A)成分の含有量の下限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0.05質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.3質量%が特に好ましい。(A)成分の含有量が前記下限値以上であると、タングステンやケイ素が含まれる材料を研磨するのに十分な研磨速度が得られる場合がある。一方、(A)成分の含有量の上限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、3質量%が特に好ましい。(A)シリカ粒子の含有量が前記上限値以下であると、貯蔵安定性が良好となりやすく、被研磨面における良好な平坦性や研磨傷の低減を実現できる場合がある。
1.2.(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(B)成分を含有することにより、被研磨面の表面を酸化させて脆弱な改質層を作り出し、研磨速度を向上させることができる。特にタングステンやケイ素が含まれる材
料の研磨速度を向上させることができる。
(B)成分の具体例としては、硝酸銅、硝酸コバルト、硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸モリブデン、硝酸ビスマス、硝酸セリウム等の金属硝酸塩;硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸銀等の金属硫酸塩が挙げられる。これらの中でも、硝酸銅、硝酸鉄、硫酸銅、硫酸鉄であることが好ましく、硝酸鉄、硫酸鉄であることがより好ましく、硝酸鉄であることが特に好ましい。特に硝酸鉄は、金属硝酸塩の中でも高い酸化力を有するので、タングステンやケイ素が含まれる材料を効果的に酸化させて脆弱な改質層が形成されやすく、これらの材料の研磨速度を向上させる効果が高い。
(B)成分の含有量の下限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0.001質量%が好ましく、0.01質量%がより好ましく、0.05質量%が特に好ましい。一方、(B)成分の含有量の上限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、0.15質量%が特に好ましい。(B)成分の含有量が前記範囲にあると、被研磨面の表面を酸化させて脆弱な改質層を作り出す効果が十分に得られるので、研磨速度を向上させることができる。また、過度な研磨を抑制するため、配線材料等の研磨傷の発生を低減することができる場合がある。
1.3.(C)有機酸及びその塩
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(C)成分を含有することにより、(C)成分が被研磨面に配位して研磨速度を向上させるとともに、研磨中における金属塩の析出を抑制することができる。また、(C)成分が被研磨面に配位することで、被研磨面のエッチング及び腐食によるダメージを低減できる場合がある。
(C)成分としては、配線材料の元素からなるイオン又は原子に対して配位能力を有する有機酸及びその塩であることが好ましい。このような(C)成分としては、一分子内にヒドロキシル基を0~1個及びカルボキシル基を1~2個有する有機酸がより好ましく、一分子内にヒドロキシル基を0~1個及びカルボキシル基を1~2個有し、かつ、第一酸解離定数pKaが1.5~4.5である有機酸が特に好ましい。このような(C)成分であれば、被研磨面に配位する能力が高いので、被研磨面に対する研磨速度を向上させることができる。また、このような(C)成分は、配線材料等の研磨により発生する金属イオンを安定化し、金属塩の析出を抑制することができるので、被研磨面の表面荒れを抑制しながら高度な平坦性が得られるとともに、配線材料等の研磨傷の発生を低減することができる。
(C)成分のうち、有機酸の具体例としては、乳酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、キノリン酸、キナルジン酸、アミド硫酸;グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、トリプトファン、芳香族アミノ酸、及び複素環型アミノ酸等のアミノ酸が挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、コハク酸、乳酸、マロン酸、p-ヒドロキシ安息香酸及びグリコール酸が好ましく、マレイン酸及びマロン酸がより好ましい。(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、任意の割合で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分のうち、有機酸塩の具体例としては、上記例示した有機酸の塩であってもよく、化学機械研磨用水系分散体中で別途添加した塩基と反応して上記有機酸の塩を形成してもよい。このような塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ化合物、及びアンモニア等が挙げられる。
(C)成分の含有量の下限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0.001質量%が好ましく、0.01質量%がより好ましく、0.1質量%が特に好ましい。一方、(C)成分の含有量の上限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、2質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、0.5質量%が特に好ましい。(C)成分の含有量が前記範囲にあると、被研磨面を研磨するのに十分な研磨速度が得られ、金属塩の析出が抑制されることで被研磨面の研磨傷の発生を低減できる場合がある。
1.4.(D)水溶性高分子
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)水溶性高分子(以下、「(D)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(D)成分を含有することにより、(D)成分が被研磨面に吸着して研磨摩擦が低減されることで、平坦性を向上できる場合がある。また、(D)成分がタングステン膜の表面に吸着した場合、タングステン膜の腐食を抑制できる場合がある。
(D)成分としては、例えば、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。ポリカルボン酸の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリスルホン酸の具体例としては、ポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン酸及びその塩であることが好ましく、ポリスチレンスルホン酸及びその塩であることがより好ましい。これらの水溶性高分子を用いることで、(B)成分との相溶性が良好になり、前記効果に加え、化学機械研磨用水系分散体の分散特性が良好になる場合がある。
(D)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上1,000,000以下であり、より好ましくは3,000以上800,000以下である。(D)成分の重量平均分子量が前記範囲内にあれば、(D)成分が被研磨面に吸着しやすくなり、研磨摩擦がより低減できる場合がある。その結果、被研磨面の研磨傷の発生をより低減できる場合がある。なお、本明細書中における「重量平均分子量(Mw)」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量のことを指す。
(D)成分の含有量の下限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0.001質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましい。一方、(D)成分の含有量の上限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が前記範囲にあると、配線材料等の被研磨面に吸着して被研磨面の平坦性を向上できる場合がある。
1.5.その他の成分
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体である水の他に、必要に応じて、酸化剤、界面活性剤、含窒素複素環化合物、pH調整剤等を含有してもよい。
<水>
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、主要な液状媒体として水を含有する。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、上述した化学機械研磨用水系分散体の構成材料の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
<酸化剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)成分とは異なる酸化剤を含有し
てもよい。このような酸化剤を含有することにより、被研磨面をさらに酸化して研磨液成分との錯化反応を促して該被研磨面に脆弱な改質層を作り出すことができるため、研磨速度がより向上する場合がある。
このような酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、次亜塩素酸カリウム、オゾン、過ヨウ素酸カリウム、過酢酸等が挙げられる。これらの酸化剤のうち、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸カリウム及び過酸化水素が好ましく、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が(B)成分とは異なる酸化剤を含有する場合、この酸化剤の含有量の下限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、0.001質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.01質量%が特に好ましい。一方、この酸化剤の含有量の上限値は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、5質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、1.5質量%が特に好ましい。なお、(B)成分とは異なる酸化剤を前記範囲で含有する場合、配線材料等の金属を含む被研磨面の表面に酸化膜が形成されることがあるため、酸化剤はCMPの研磨工程を行う直前に添加されることが好ましい。
<界面活性剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、化学機械研磨用水系分散体に適度な粘性を付与できる場合がある。
界面活性剤としては、特に制限されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩;パーフルオロアルキル化合物等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩及び脂肪族アンモニウム塩などが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等の三重結合を有する非イオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール型界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.001~3質量%であり、特に好ましくは0.01~1質量%である。
<含窒素複素環化合物>
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、含窒素複素環化合物を含有してもよい。含窒素複素環化合物を含有することにより、配線材料の過剰なエッチングを抑制し、かつ、研磨後の表面荒れを防ぐことができる場合がある。
本明細書において「含窒素複素環化合物」とは、少なくとも1個の窒素原子を有する複素五員環及び複素六員環から選択される少なくとも1種の複素環を含む有機化合物のことをいう。前記複素環としては、ピロール構造、イミダゾール構造、トリアゾール構造等の
複素五員環;ピリジン構造、ピリミジン構造、ピリダジン構造、ピラジン構造等の複素六員環が挙げられる。これらの複素環は縮合環を形成していてもよい。具体的には、インドール構造、イソインドール構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キナゾリン構造、シンノリン構造、フタラジン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造等が挙げられる。このような構造を有する複素環化合物のうち、ピリジン構造、キノリン構造、ベンゾイミダゾール構造またはベンゾトリアゾール構造を有する複素環化合物が好ましい。
含窒素複素環化合物の具体例としては、アジリジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾイソキノリン、プリン、プテリジン、トリアゾール、トリアゾリジン、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられ、さらに、これらの骨格を有する誘導体が挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、イミダゾール及びカルボキシベンゾトリアゾールが好ましい。これらの含窒素複素環化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体が含窒素複素環化合物を含有する場合、含窒素複素環化合物の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.05~2質量%であり、より好ましくは0.1~1質量%であり、特に好ましくは0.2~0.6質量%である。
<pH調整剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、pHを1以上6以下に調整するために、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、水酸化カリウム、エチレンジアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、アンモニア等の塩基が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
1.6.pH
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpH値は1以上6以下であり、1以上5以下であることが好ましく、1以上4.2以下であることがより好ましく、1以上3.5以下であることがさらにより好ましく、1.5以上3以下であることが特に好ましい。pH値が前記範囲であると、タングステンやケイ素が含まれる材料の表面電位を正とすることができるため、(A)成分がタングステンやケイ素が含まれる材料を優先的に研磨することで研磨速度を向上させることができる。また、pH値が前記範囲であると、タングステン膜の表面荒れや腐食等を抑制することができる。
なお、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpH値は、(B)成分、(C)成分、及びpH調整剤等の添加量を適宜増減することにより調整することができる。
本発明において、pHとは、水素イオン指数のことを指し、その値は、25℃、1気圧の条件下で市販のpHメーター(例えば、株式会社堀場製作所製、卓上型pHメーター)を用いて、測定することができる。
1.7.用途
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料、絶縁膜材料、及びバリアメタル材料の少なくともいずれかの材料を被研磨面に有する基板を高速で研磨するのに適した組成ではあるが、中でもタングステンや二酸化ケイ素等のケイ素が含まれる材料を研磨するのに特に適している。そのため、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料としてのタングステン及び絶縁膜材料としての窒化ケイ素や二酸化ケイ素を有する被研磨面を化学機械研磨するための研磨材料として好適である。すなわち、配線以外のタ
ングステンを除去するとともに、配線としてのタングステンを取り巻く層間絶縁膜を同時に化学機械研磨する、タングステンプラグ及び相互接続工程に好適である。
上述の化学機械研磨には、例えば図1に示すような研磨装置100を用いることができる。図1は、研磨装置100を模式的に示した斜視図である。上述の化学機械研磨では、スラリー供給ノズル42からスラリー(化学機械研磨用水系分散体)44を供給し、かつ研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図1には、水供給ノズル54及びドレッサー56も併せて示してある。
キャリアーヘッド52の研磨荷重は、0.7~70psiの範囲内で選択することができ、好ましくは1.5~35psiである。また、ターンテーブル48及びキャリアーヘッド52の回転数は10~400rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30~150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー(化学機械研磨用水系分散体)44の流量は、10~1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50~400mL/分である。
市販の研磨装置としては、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO-112」、「EPO-222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP-510」、「LGP-552」;アプライドマテリアル社製、型式「Mirra」、「Reflexion」;G&P
TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」;AMAT社製、型式「Reflexion LK」;FILTEC社製、型式「FLTec-15」等が挙げられる。
2.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.シリカ粒子分散体の調製
<シリカ粒子分散体Aの調製>
シリカ粒子分散体Aは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径73nmのシリカ粒子分散体Aを得た。
<シリカ粒子分散体Bの調製>
シリカ粒子分散体Bは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-1;シリカ含有量(固形分濃度)12質量%、平均粒子径35nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度12質量%、平均粒子径36nmのシリカ粒子分散体Bを得た。
<シリカ粒子分散体Cの調製>
シリカ粒子分散体Cは、以下のようにして作製した。まず、扶桑化学工業社製の高純度
コロイダルシリカ(品番:PL-7;シリカ含有量(固形分濃度)22質量%、平均粒子径120nm)5kgと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン6gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、シリカ粒子の表面を酸化させてスルホン酸基を固定化した。このようにして、シリカ濃度が固形分濃度22質量%、平均粒子径117nmのシリカ粒子分散体Cを得た。
<シリカ粒子分散体Dの調製>
特表2017-514295号公報に記載された製造方法を基にして、シリカ粒子分散体Dを以下のようにして作製した。1質量%のコロイドシリカ及び0.004質量%のテトラブチル水酸化アンモニウムを含む分散体を調製した。扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)の平均粒径を有する濃縮されたコロイドシリカ分散体と、テトラブチル水酸化アンモニウム及び水とを混合させることにより、テトラブチル水酸化アンモニウムで表面処理された、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径75nmのシリカ粒子分散体Dを得た。
<シリカ粒子分散体Eの調製>
特表2017-514295号公報に記載された製造方法を基にして、シリカ粒子分散体Eを以下のようにして作製した。1質量%のコロイドシリカ及び0.004質量%の3-(アミノプロピル)トリメトキシルシランを含む分散体を調製した。扶桑化学工業社製の高純度コロイダルシリカ(品番:PL-3;シリカ含有量(固形分濃度)20質量%、平均粒子径75nm)の平均粒径を有する濃縮されたコロイドシリカ分散体と、3-(アミノプロピル)トリメトキシルシラン及び水とを混合させることにより、3-(アミノプロピル)トリメトキシルシランで表面処理された、シリカ濃度が固形分濃度20質量%、平均粒子径75nmのシリカ粒子分散体Eを得た。
2.2.化学機械研磨用水系分散体の調製
ポリエチレン製容器に、下表1又は下表2に示す組成となるように各成分を添加し、さらに水酸化カリウムを必要に応じて加えて下表1又は下表2に示すpHとなるように調整し、全成分の合計量が100質量部となるように純水を加えることにより、各実施例及び各比較例で使用する化学機械研磨用水系分散体を得た。
また、上記で得られた化学機械研磨用水系分散体に含まれる砥粒の表面電荷(以下、「ろ過前ゼータ電位」という。)を超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology社製、型式「DT-1200」)を用いて測定した。その結果を下表1及び下表2に併せて示す。
さらに、上記で得られた化学機械研磨用水系分散体を、インテグリス社製の孔径約0.1μmの、Planargard NMBフィルター型番PNB01010V6の濾過フィルターに3回通過させた。このようにして濾過フィルターを3回通過させた化学機械研磨用水系分散体に含まれる砥粒の表面電荷(以下、「ろ過後ゼータ電位」という。)を超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology社製、型式「DT-1200」)を用いて測定した。その結果を下表1及び下表2に併せて示す。
2.3.評価方法
2.3.1.研磨速度の評価
上記で調製した化学機械研磨用水系分散体を用いて、直径12インチのタングステン膜500nm付きウェハと直径12インチのシリコン酸化膜2000nm付きウェハを被研
磨体として、下記の研磨条件で60秒の化学機械研磨試験を行った。
<研磨条件>
・研磨装置:G&P TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」
・研磨パッド:ニッタ・ハース社製、「IC1000」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:100mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
・研磨速度(nm/分)=(研磨前の膜の厚さ-研磨後の膜の厚さ)/研磨時間
なお、タングステン膜の厚さは、抵抗率測定機(NPS社製、型式Σ-5」)により直流4探針法で抵抗を測定し、このシート抵抗値とタングステンの体積抵抗率から下記式によって算出した。
膜の厚さ(Å)=[タングステン膜の体積抵抗率(Ω・m)÷シート抵抗値(Ω)]×1010
一方、シリコン酸化膜の厚さは、フィルメトリクス株式会社製の光干渉式膜厚計「F20膜厚測定システム」を用いて測定した。
研磨速度の評価基準は下記の通りである。タングステン膜とシリコン酸化膜の研磨速度及びその評価結果を下表1及び下表2に併せて示す。
(タングステン膜研磨速度の評価基準)
・研磨速度が100Å/分以上である場合、研磨速度が大きいため、実際の半導体研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが容易に確保でき、実用的であるから良好と判断し「○」と表記した。
・研磨速度が100Å/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し「×」と表記した。
(シリコン酸化膜研磨速度の評価基準)
・研磨速度が300Å/分以上である場合、研磨速度が大きいため、実際の半導体研磨において他材料膜の研磨との速度バランスが容易に確保でき、実用的であるから良好と判断し「○」と表記した。
・研磨速度が300Å/分未満である場合、研磨速度が小さいため、実用困難であり不良と判断し「×」と表記した。
2.3.2.欠陥評価
被研磨体である直径12インチのシリコン酸化膜付きウェハを、下記条件で1分間研磨を行った。
<研磨条件>
・研磨装置:AMAT社製、型式「Reflexion LK」
・研磨パッド:ニッタ・ハース社製、「IC1000」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:300mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
上記のようにして研磨が行われたシリコン酸化膜付きウェハについて、欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、型式「Surfscan SP1」)を用いて、90nm以上の大きさの欠陥総数をカウントした。評価基準は以下の通りである。ウェハ当たりの欠陥総数及びその評価結果を下表1及び下表2に併せて示す。
(評価基準)
・ウェハ当たりの欠陥総数が500個未満である場合を良好と判断し、表中に「○」と記載した。
・ウェハ当たりの欠陥総数が500個以上である場合を不良と判断し、表中に「×」と記載した。
2.3.3.静電的相互作用係数
流動電流法の固体表面分析用ゼータ電位測定装置(アントンパール社製、型式「Surpass3」)を用いて、シリコン酸化膜表面のゼータ電位を測定した。測定用セルに、上記シリコン酸化膜付きウェハを貼り付け、流動圧を600mbarから200mbarに変化させたときの、流動電流変化をゼータ電位に換算した。測定時の内部液として、化学機械研磨用水系分散体を遠心分離により砥粒を除去し、得られた上澄み液を測定に用いた。
次いで、砥粒とシリコン酸化膜の引力度合いを示す定数、つまりろ過後の化学機械研磨用水系分散体のゼータ電位と、シリコン酸化膜表面のゼータ電位との積を、静電的相互作用係数と定義し、下表1及び下表2に示した。この静電的相互作用係数が負符号となり、その絶対値が大きいほど、砥粒とシリコン酸化膜とが接触しやすく、研磨速度が増大しやすいということができる。
2.4.評価結果
下表1及び下表2に、各実施例及び各比較例の化学機械研磨用水系分散体の組成並びに各評価結果を示す。
Figure 0007073975000002
Figure 0007073975000003
表1及び表2中の各成分は、それぞれ下記の商品又は試薬を用いた。
<砥粒>
・シリカ粒子分散体A~E:上記でそれぞれ調製したもの。
<金属硝酸塩等>
・硝酸鉄:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硝酸鉄(III)九水和物」
・硫酸鉄:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硫酸鉄(III)n水和物」
<水溶性高分子>
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー・ファインケム社製、商品名「ポリナスPS-1」、重量平均分子量(Mw)=10,000
・ポリカルボン酸:東亜合成社製、商品名「ジュリマーAC-10L」、ポリアクリル酸、重量平均分子量(Mw)=50,000
<有機酸>
・マレイン酸:十全化学社製、商品名「マレイン酸」
・マロン酸:扶桑化学工業社製、商品名「マロン酸」
<その他の添加剤>
・硝酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硝酸」、無機酸
・水酸化カリウム:関東化学社製、pH調整剤
実施例1~9の化学機械研磨用水系分散体によれば、スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒と、金属硝酸塩又は金属硫酸塩と、有機酸とを含有することにより、タングステン膜及びシリコン酸化膜を高速で研磨でき、かつ、被研磨面の表面欠陥の発生を低減できることがわかった。なお、実施例1~9の化学機械研磨用水系分散体では、シリカ粒子分散体A、B、及びCが永久負電荷を有しており、シリコン酸化膜の表面電位が正となることから、その積である静電的相互作用係数が負符号の大きな値を示していた。
比較例1の化学機械研磨用水系分散体は、砥粒としてテトラブチル水酸化アンモニウムで表面処理されたシリカ粒子分散体Dを含有する。この場合、タングステン膜及びシリコン酸化膜のいずれも高速研磨することができなかった。また、シリカ粒子分散体Dを含有する化学機械研磨用水系分散体を使用することにより、被研磨面の表面欠陥も多数発生することがわかった。
比較例2の化学機械研磨用水系分散体は、砥粒として3-(アミノプロピル)トリメトキシルシランで表面処理されたシリカ粒子分散体Eを含有する。この場合、シリコン酸化膜を高速研磨することができなかった。砥粒の表面電位及び被研磨面の表面電位がともに正となっており、強い斥力が作用したためと考えられる。また、シリカ粒子分散体Eを含有する化学機械研磨用水系分散体を使用することにより、被研磨面の表面欠陥も多数発生することがわかった。
比較例3の化学機械研磨用水系分散体は、(B)成分を含有しないので、被研磨面を酸化させることができなかったために、タングステン膜及びシリコン酸化膜のいずれも高速研磨することができなかった。
比較例4の化学機械研磨用水系分散体は、(C)成分の代わりに無機酸である硝酸を含有する。この場合は、強酸である硝酸により、被研磨面が荒れてしまい、表面欠陥が多数発生した。
比較例5及び比較例6の化学機械研磨用水系分散体は、液性が塩基性であるため、シリカ砥粒表面だけでなくシリコン酸化膜の表面も負に帯電し、強い斥力が作用したために高速研磨することができなかった。
以上の結果から、本発明に係る化学機械研磨用組成物によれば、タングステン膜及びシリコン酸化膜を高速で研磨でき、かつ、被研磨面の表面欠陥の発生を低減できることがわ
かった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
42…スラリー供給ノズル、44…スラリー(化学機械研磨用水系分散体)、46…研磨布、48…ターンテーブル、50…基板、52…キャリアーヘッド、54…水供給ノズル、56…ドレッサー、100…研磨装置

Claims (5)

  1. (A)スルホン酸塩を形成し得る基を表面に有するシリカ砥粒と、
    (B)金属硝酸塩及び金属硫酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
    (C)有機酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
    を含有し、
    前記(A)シリカ砥粒が-20mV以下の永久負電荷を有し、pHが1以上6以下である、化学機械研磨用水系分散体。
  2. (D)水溶性高分子をさらに含有する、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  3. 研磨対象との静電的相互作用係数が負符号となる、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  4. ケイ素含有基板研磨用である、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  5. 前記ケイ素含有基板がタングステンを有する、請求項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
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