JP2024075071A - 化学機械研磨用組成物の製造方法 - Google Patents

化学機械研磨用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン窒化膜を含有する半導体基板を高速で研磨しながら、研磨後の被研磨面における表面欠陥の発生を低減できる化学機械研磨用組成物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る化学機械研磨用組成物の製造方法は、(A)砥粒と、(B)液状媒体とを含有し、pHが1以上5以下である化学機械研磨用組成物の製造方法であって、前記(A)成分と前記(B)成分を含有する組成物へ酸を添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV以上である分散液を作成する第一工程と;前記第一工程で得られた前記分散液へリン酸エステルを添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV未満である化学機械研磨用組成物を作成する第二工程と;を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、化学機械研磨用組成物の製造方法に関する。
化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」ともいう。)法は、半導体製造工程、特に、多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において活用されている。このような半導体製造工程では、シリコン酸化膜や緻密で誘電率の大きいシリコン窒化膜などが絶縁膜の材料として使用され、これらの材料を高速に研磨するだけでなく、高平坦性と低欠陥のバランスの取れた研磨特性が要求される。
このようなバランスの取れた研磨特性を実現すべく、例えばシリコン窒化膜を研磨するための研磨用組成物(スラリー)が検討されている(例えば、特許文献1~2参照)。
特開2008-235652号公報 国際公開第2017-057155号
近年の半導体基板の更なる微細化に伴い、シリコン窒化膜を含有する半導体基板を高速で研磨しながら、研磨後の被研磨面における表面欠陥の発生を低減させる必要があり、これらの2つの特性を両立できる化学機械研磨用組成物が要求されている。
本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、シリコン窒化膜を含有する半導体基板を高速で研磨しながら、研磨後の被研磨面における表面欠陥の発生を低減できる化学機械研磨用組成物の製造方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のいずれかの態様として実現することができる。
本発明に係る化学機械研磨用組成物の製造方法の一態様は、
(A)砥粒と、(B)液状媒体とを含有し、pHが1以上5以下である化学機械研磨用組成物の製造方法であって、
前記(A)成分と前記(B)成分を含有する組成物へ酸を添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV以上である分散液を作成する第一工程と;
前記第一工程で得られた前記分散液へリン酸エステルを添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV未満である化学機械研磨用組成物を作成する第二工程と;
を有する。
前記化学機械研磨用組成物の製造方法の一態様において、
前記第一工程において、前記分散液のpHが4以下であってもよい。
前記化学機械研磨用組成物の製造方法の一態様において、
前記第一工程において、10℃~60℃で攪拌してもよい。
前記化学機械研磨用組成物の製造方法の一態様において、
前記第2工程において、10℃~40℃で攪拌してもよい。
前記化学機械研磨用組成物の製造方法のいずれかの態様において、
前記リン酸エステルが、下記一般式(5)で表される化合物であってもよい。
Figure 2024075071000001
(式(5)中、Rは炭素数2以上7未満の炭化水素基を表し、nは0以上2未満であり、mは1又は2である。)
本発明に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物によれば、シリコン窒化膜を含有する半導体基板を高速研磨することができ、かつ、研磨後の被研磨面における表面欠陥の発生を低減することができる。
本実施形態に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物の使用に適した被処理体を模式的に示した断面図である。 第1研磨工程終了時での被処理体を模式的に示した断面図である。 第2研磨工程終了時での被処理体を模式的に示した断面図である。 化学機械研磨装置を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本明細書において、「配線材料」とは、アルミニウム、銅、コバルト、チタン、ルテニウム、タングステン等の導電体金属材料のことをいう。「絶縁膜材料」とは、酸化シリコン、窒化シリコン、アモルファスシリコン等の材料のことをいう。「バリアメタル材料」とは、窒化タンタル、窒化チタン等の配線の信頼性を向上させる目的で配線材料と積層させて用いられる材料のことをいう。
本明細書において、「X~Y」を用いて記載された数値範囲は、数値Xを下限値として含み、かつ、数値Yを上限値として含むものとして解釈される。
1.化学機械研磨用組成物の製造方法
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨用組成物の製造方法は、(A)砥粒(本明細書において、「(A)成分」ともいう。)と、(B)液状媒体(本明細書において、「(B)成分」ともいう。)とを含有し、pHが1以上5以下である化学機械研磨用組成物の製造方法であって、
前記(A)成分と前記(B)成分を含有する組成物へ酸を添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV以上である分散液を作成する第一工程と;
前記第一工程で得られた前記分散液へリン酸エステルを添加して、前記(A)成分のゼ
ータ電位が0mV未満である化学機械研磨用組成物を作成する第二工程と;
を有する。
本実施形態に係る方法によって製造される化学機械研磨用組成物は、濃縮タイプの原液として調製し、使用時に水等の液状媒体で希釈して使用することもできる。
以下、本実施形態に係る化学機械研磨用組成物の製造方法について工程毎に説明する。
1.1.第一工程
第一工程は、予め調製しておいた(A)砥粒と(B)液状媒体とを含有する分散液へ酸を添加して、(A)成分のゼータ電位が0mV以上である分散液を作成する工程である。第一工程では、(A)砥粒と(B)液状媒体とを含有する分散液へ酸を添加した後、好ましくは10℃~60℃、より好ましくは20℃~55℃、特に好ましくは25℃~50℃の温度で攪拌することが望ましい。攪拌方法は、特に制限されず、後述する各成分を均一に溶解又は分散できればどのような方法を適用してもよい。また、後述する各成分の混合順序や混合方法についても特に制限されない。以下、分散液に含まれ得る成分について詳細に説明する。
1.1.1.(A)成分
(A)成分は、シリカを主成分とする粒子であることが好ましい。シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられるが、コロイダルシリカがより好ましい。コロイダルシリカは、スクラッチ等の研磨欠陥を低減する観点から好ましく用いられる。コロイダルシリカとしては、例えば特開2003-109921号公報等に記載された方法で製造されたものを使用することができる。
(A)成分の形状は、真球状、繭状、連鎖球状、表面に複数の突起を有する金平糖状(confetti-like)等のいずれの形状であってもよいが、これらの中でも3つ以上の粒子が繋がって形成された連鎖球状であることが好ましい。「連鎖球状」とは、3つ以上の粒子が一列もしくは複数列に結合してできた粒子群のことをいい、直線構造だけでなく分岐構造も含まれる。(A)成分が3つ以上の粒子が繋がって形成された連鎖球状であると、被研磨面であるシリコン窒化膜との接触抵抗が大きくなることで、シリコン窒化膜に対する高速研磨を実現できるとともに、適度な選択比が得られる場合がある。(A)成分が3つ以上の粒子が繋がって形成された連鎖球状であるか否かを確認するためには、常法により(A)成分の試料を作製し、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)を用いて観察することにより確認することができる。
(A)成分の平均一次粒子径は、好ましくは10nm以上300nm以下であり、より好ましくは15nm以上200nm以下であり、特に好ましくは20nm以上100nm以下である。(A)成分の平均一次粒子径が前記範囲にあると、十分な研磨速度が得られるとともに、粒子の沈降・分離を生ずることのない安定性に優れた化学機械研磨用組成物が得られる場合がある。なお、(A)成分の平均一次粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に選んだ50個の一次粒子の粒子径を測定し、その測定値から算出して求めることができる。
(A)成分は、その表面の少なくとも一部が以下に示すような官能基によって修飾されていてもよい。
(A)成分は、下記一般式(1)で表される官能基を有することができる。
-SO ・・・・・(1)
(Mは1価の陽イオンを表す。)
上記式(1)中、Mで表される1価の陽イオンとしては、これらに限定されないが、例えば、H、Li、Na、K、NH が挙げられる。すなわち、上記一般式(1)で表される官能基は、「スルホ基及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基」と言い換えることもできる。ここで、「スルホ基の塩」とは、スルホ基(-SOH)に含まれている水素イオンをLi、Na、K、NH 等の1価の陽イオンで置換した官能基のことをいう。上記一般式(1)で表される官能基を有する(A)成分は、その表面に上記一般式(1)で表される官能基が共有結合を介して固定された砥粒であり、その表面に上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物が物理的あるいはイオン的に吸着したような砥粒は含まれない。
上記一般式(1)で表される官能基を有する(A)成分は、例えば特開2010-269985号公報に記載された方法を適用して製造することができる。
(A)成分は、下記一般式(2)で表される官能基を有することができる。
-COO ・・・・・(2)
(Mは1価の陽イオンを表す。)
上記式(2)中、Mで表される1価の陽イオンとしては、これらに限定されないが、例えば、H、Li、Na、K、NH が挙げられる。すなわち、上記一般式(2)で表される官能基は、「カルボキシ基及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基」と言い換えることもできる。ここで、「カルボキシ基の塩」とは、カルボキシ基(-COOH)に含まれている水素イオンをLi、Na、K、NH 等の1価の陽イオンで置換した官能基のことをいう。上記一般式(2)で表される官能基を有する(A)成分は、その表面に上記一般式(2)で表される官能基が共有結合を介して固定された砥粒であり、その表面に上記一般式(2)で表される官能基を有する化合物が物理的あるいはイオン的に吸着したような砥粒は含まれない。
上記一般式(2)で表される官能基を有する(A)成分は、例えば特開2010-105896号公報に記載された方法を適用して製造することができる
(A)成分は、下記一般式(3)又は下記一般式(4)で表される官能基を有することができる。
-NR ・・・・・(3)
-N ・・・・・(4)
(上記式(3)及び上記式(4)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、又は置換もしくは非置換の炭化水素基を表す。Mは陰イオンを表す。)
上記一般式(3)で表される官能基はアミノ基を表しており、上記一般式(4)で表される官能基はアミノ基の塩を表している。したがって、上記一般式(3)で表される官能基と上記一般式(4)で表される官能基を纏めて、「アミノ基及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基」と言い換えることもできる。上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される官能基を有する(A)成分は、その表面に上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される官能基が共有結合を介して固定された砥粒であり、その表面に上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される官能基を有する化合物が物理的あるいはイオン的に吸着したような砥粒は含まれない。
上記式(4)中、Mで表される陰イオンとしては、これらに限定されないが、例えば、OH、F、Cl、Br、I、CN等の陰イオンの他、酸性化合物由来の陰
イオンが挙げられる。
上記式(3)及び上記式(4)中、R~Rは各々独立して、水素原子、又は置換もしくは非置換の炭化水素基を表すが、R~Rのうち2つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。
~Rで表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基のいずれでもよい。また、脂肪族炭化水素基及び芳香脂肪族炭化水素基の脂肪族は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状でも分岐状でもよい。これらの炭化水素基としては、例えば直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、及びアリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~6の低級アルキル基が好ましく、炭素数1~4の低級アルキル基がより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数1~6の低級アルケニル基が好ましく、炭素数1~4の低級アルケニル基がより好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、n-プロペニル基、iso-プロペニル基、n-ブテニル基、iso-ブテニル基、sec-ブテニル基、tert-ブテニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7~12のものが好ましい。このようなアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、メチルフェネチル基、エチルベンジル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6~14のものが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、2,4-キシリル基、2,5-キシリル基、2,6-キシリル基、3,5-キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
上記のアリール基及びアラルキル基の芳香環は、例えば、メチル基、エチル基等の低級アルキル基や、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等を置換基として有していてもよい。
上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される官能基を有する(A)成分は、特開2007-153732号公報や特開2013-121631号公報に記載された方法を適用してシリカを作製し、次いで、シリカとアミノ基含有シランカップリング剤を酸性媒体中で十分に攪拌し、シリカの表面にアミノ基含有シランカップリング剤を共有結合させることにより製造することができる。ここで、アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3―アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記一般式(3)又は下記一般式(4)で表される官能基を有する(A)成分の市販品としては、KLEBOSOL(登録商標)1598-B25表面修飾コロイダルシリカ粒子(AZ Electronics Materials製、The Dow Chemical company, Midland, MIから入手可
能);FUSO(登録商標)BS-3及びPL-3(Fuso Chemical Co., Ltd., Osaka, Japan)を例示することができる。
第一工程で使用される分散液中の(A)成分の含有量は、分散液の全質量を98質量部としたときに、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、特に好ましくは0.5質量部以上である。分散液中の(A)成分の含有量は、分散液の全質量を98質量部としたときに、好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下であり、特に好ましくは5質量部以下である。分散液中の(A)成分の含有量が前記範囲であると、(A)成分同士の凝集を防ぐことができ、分散性に優れた分散液が得られやすい。
1.1.2.(B)液状媒体
(B)成分としては、水、水及びアルコールの混合媒体、水及び水との相溶性を有する有機溶媒を含む混合媒体等が挙げられる。これらの中でも、水、水及びアルコールの混合媒体を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、分散液の構成成分の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
1.1.3.酸
第一工程では、予め調製しておいた上記(A)成分と上記(B)成分とを含有する分散液へ酸を添加してpHを1以上5以下に調整することによって、上記(A)成分の分散液中のゼータ電位を0mV以上に調整することができる。
酸としては、有機酸、無機酸、及びこれらの塩が挙げられる。
有機酸及びその塩としては、カルボキシ基を有する化合物、スルホ基を有する化合物であることが好ましい。カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、アルケニルコハク酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、グリコール酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、キノリン酸、キナルジン酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸;グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、トリプトファン、ドデシルアミノエチルアミノエチルグリシン、芳香族アミノ酸、複素環型アミノ酸等のアミノ酸;アルキルイミノジカルボン酸等のイミノ酸;及びこれらの塩が挙げられる。スルホ基を有する化合物としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸;ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸;テトラデセンスルホン酸等のα-オレフィンスルホン酸;アミド硫酸;及びこれらの塩が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機酸及びその塩としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、及びこれらの塩が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一工程において、分散液へ添加する酸の添加量は、分散液の全質量を98質量部としたときに、好ましくは0.001質量部以上であり、より好ましくは0.01質量部以上である。第一工程において、分散液へ添加する酸の添加量は、分散液の全質量を98質量部としたときに、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下である。第一工程において、分散液へ添加する酸の添加量が前記範囲であると、分散液のpHを1以上5以下に容易に調整することができる。
第一工程において、分散液のpHは、5以下であり、好ましくは4以下である。第一工程において、分散液のpHは、1以上であり、好ましくは2以上であり、特に好ましくは2.5以上である。第一工程における分散液のpHが前記範囲にあると、分散液中の(A)成分のゼータ電位を0mV以上にすることができる。
本発明において、pHとは、水素イオン指数のことを指し、その値は、25℃、1気圧の条件下で市販のpHメーター(例えば、株式会社堀場製作所製、卓上型pHメーター)を用いて測定することができる。
(A)成分のゼータ電位は、酸添加後の分散液中において0mV以上である。(A)成分のゼータ電位は、酸添加後の分散液中において、好ましくは+1mV以上であり、より好ましくは+3mV以上であり、特に好ましくは+6mV以上である。(A)成分のゼータ電位が前記範囲にあると、分散液中において、砥粒間の静電反発力によって粒子同士の凝集を防ぐことができる場合がある。なお、ゼータ電位測定装置としては、大塚電子株式会社製の「ELSZ-2000ZS」、Malvern社製の「Zetasizer nano Ultra」等が挙げられる。
1.2.第二工程
第二工程は、第一工程で得られた分散液へリン酸エステルを添加して、(A)成分のゼータ電位が0mV未満である化学機械研磨用組成物を作成する工程である。リン酸エステルが(A)成分に吸着することで、(A)成分のゼータ電位を低下させて反転させることができると推測される。第二工程では、第一工程で得られた分散液へリン酸エステルを添加した後、好ましくは10℃~40℃、より好ましくは15℃~40℃、特に好ましくは20℃~35℃の温度で攪拌することが望ましい。攪拌方法は、特に制限されず、リン酸エステルを均一に溶解又は分散できればどのような方法を適用してもよい。
(A)成分の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、特に好ましくは0.5質量部以上である。(A)成分の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下であり、特に好ましくは5質量部以下である。化学機械研磨用組成物中の(A)成分の含有量が前記範囲であると、(A)成分同士の凝集を防ぐことができ、分散性に優れた化学機械研磨用組成物が得られやすい。
以下、化学機械研磨用組成物に含まれ得る成分について詳細に説明する。
1.2.1.リン酸エステル
一般に、「リン酸エステル」とは、リン酸(O=P(OH))が持つ3個の水素の全て又は一部が有機基で置換された構造を有する化合物の総称のことをいう。第二工程で使用されるリン酸エステルは、このような構造を有するリン酸エステルであれば特に制限されないが、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024075071000002
(式(5)中、Rは炭素数2以上7未満の炭化水素基を表し、nは0以上2未満であり、mは1又は2である。)
上記式(5)中、Rは、炭素数2以上7未満の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数4以上6以下のアルキル基である。炭素数2以上7未満の炭化水素基の具体例としては、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基等が挙げられる。上記式(5)中、m=2である場合、2つのRは、同じ基であってもよく、異なる基であってもよく、2つの基が組み合わされていてもよい。
リン酸エステルの具体例としては、モノエチルホスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノn-ブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、モノ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノn-ラウリルホスフェート等が挙げられる。これらのリン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらのリン酸エステルには、モノエステルとジエステルがあるが、モノエステル又はジエステルをそれぞれ単独で使用してもよいし、モノエステル及びジエステルの混合物として使用してもよい。
リン酸エステルの添加量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.05質量部以上であり、特に好ましくは0.1質量部以上である。リン酸エステルの添加量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下であり、特に好ましくは0.5質量部以下である。リン酸エステルの添加量が前記範囲であると、化学機械研磨用組成物中の(A)成分のゼータ電位を0mV未満に容易に反転させることができる。
第二工程を経ることによって得られる化学機械研磨用組成物のpHは、好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下であり、特に好ましくは4以下である。第二工程を経ることによって得られる化学機械研磨用組成物のpHは、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上であり、特に好ましくは3以上である。得られる化学機械研磨用組成物のpHが前記範囲にあると、化学機械研磨用組成物中の(A)成分のゼータ電位の絶対値が大きくなることで分散性が向上するため、シリコン窒化膜を含有する半導体基板の表面欠陥の発生を低減しながら高速研磨することができる。
1.2.2.その他の成分
第二工程においては、リン酸エステルの他、必要に応じて上述の酸、水溶性高分子、含窒素複素環化合物、界面活性剤、塩基性化合物等を添加してもよい。
<水溶性高分子>
水溶性高分子は、被研磨面の表面に吸着して研磨摩擦を低減させ、被研磨面のディッシングの発生を低減できる場合がある。
水溶性高分子の具体例としては、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは0.5万以上150万以下であり、より好ましくは2万以上100万以下である。ここで、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量のことを指す。
水溶性高分子の添加量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは0.001質量部以上であり、より好ましくは0.002質量部以上である。水溶性高分子の添加量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量部としたときに、好ましくは0.1質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以下である。
<含窒素複素環化合物>
「含窒素複素環化合物」とは、少なくとも1個の窒素原子を有する、複素五員環及び複素六員環から選択される少なくとも1種の複素環を含む有機化合物のことをいう。前記複素環の具体例としては、ピロール構造、イミダゾール構造、トリアゾール構造等の複素五員環;ピリジン構造、ピリミジン構造、ピリダジン構造、ピラジン構造等の複素六員環が挙げられる。これらの複素環は、縮合環を形成していてもよい。具体的には、インドール構造、イソインドール構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キナゾリン構造、シンノリン構造、フタラジン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造等が挙げられる。このような構造を有する複素環化合物のうち、ピリジン構造、キノリン構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造を有する複素環化合物が好ましい。
含窒素複素環化合物の具体例としては、アジリジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾイソキノリン、プリン、プテリジン、トリアゾール、トリアゾリジン、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、及びこれらの骨格を有する誘導体が挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール及びトリアゾールから選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの含窒素複素環化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、特に制限されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩;パーフルオロアルキル化合物等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等の三重結合を有する非イオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール型界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<塩基性化合物>
塩基性化合物としては、有機塩基及び無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、アミンが好ましく、例えばトリエチルアミン、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルアミン、メチルアミン、エチレンジアミン、ジグリコールアミン、イソプロピルアミン等が挙げられる。無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらの塩基性化合物の中でも、アンモニア、水酸化カリウムが好ましい。これらの塩基性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.3.用途
本実施形態に係る方法により製造される化学機械研磨用組成物は、半導体装置を構成する複数種の材料を有する半導体基板を化学機械研磨するための研磨材料として好適である。研磨対象となる半導体基板は、酸化シリコン、窒化シリコン、アモルファスシリコン等の絶縁膜材料の他、タングステンやコバルト等の配線材料や、チタン、窒化チタン、窒化タンタル等のバリアメタル材料を有していてもよい。
本実施形態に係る方法により製造される化学機械研磨用組成物の研磨対象は、シリコン窒化膜を含有する部位を備えた半導体基板であることが好ましい。このような半導体基板の具体例としては、例えば、図1に示すようなシリコン酸化膜をシリコン窒化膜の下地に施した半導体基板が挙げられる。本実施形態に係る方法により製造される化学機械研磨用組成物によれば、シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜を高速研磨でき、かつ、研磨後の被研磨面における表面欠陥の発生を低減することができる。
2.研磨方法
本発明の一実施形態に係る研磨方法は、上述の方法により製造された化学機械研磨用組成物を用いて半導体基板を研磨する工程を含む。上述の方法により製造された化学機械研磨用組成物は、シリコン窒化膜を含有する部位を備えた半導体基板を高速研磨でき、かつ、研磨後の被研磨面の表面欠陥の発生を低減することができる。したがって、本実施形態に係る研磨方法は、シリコン酸化膜をシリコン窒化膜の下地に施した半導体基板を研磨する場合に特に好適である。以下、本実施形態に係る研磨方法の一具体例について、図面を用いて詳細に説明する。
2.1.被処理体
図1は、本実施形態に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物を用いた研磨方法の使用に適した被処理体を模式的に示した断面図である。被処理体100は、下記工程(1)~工程(4)を経ることにより形成される。
(1)まず、図1に示すように、基体10を用意する。基体10は、例えばシリコン基板とその上に形成されたシリコン酸化膜から構成されていてもよい。さらに、基体10には、(図示しない)トランジスタ等の機能デバイスが形成されていてもよい。次に、基体10の上に、熱酸化法を用いて絶縁膜である第1シリコン酸化膜(熱酸化膜)12を形成する。
(2)次いで、第1シリコン酸化膜12の上に、第2シリコン酸化膜14を形成する。第2シリコン酸化膜14は、例えば、化学気相成長法(CVD)により形成することができる。
(3)次いで、第2シリコン酸化膜14上に感光性レジスト膜をスピンコーターで製膜し、フォトマスクで選択的に露光させ、現像する。次いで、プラズマを照射して、レジストのない部分をエッチングする。その後、保護したレジストを除去する。
(4)次いで、化学気相成長法(CVD)により1,500~2,500Åのシリコン窒化膜16を堆積させる。以上のような工程(1)~工程(4)を経ることにより被処理体100を作製することができる。
2.2.研磨方法
2.2.1.第1研磨工程
図2は、第1研磨工程終了時での被処理体100を模式的に示した断面図である。図2
に示すように、第1研磨工程は、シリコン窒化膜16を高速研磨できる化学機械研磨用組成物を用いてシリコン窒化膜16を粗方研磨する工程である。第1研磨工程では、シリコン窒化膜を高速研磨できる化学機械研磨用組成物を用いるために、シリコン窒化膜16の表面に図2に示すようなディッシングと呼ばれる表面欠陥が発生することがある。
2.2.2.第2研磨工程
図3は、第2研磨工程終了時での被処理体100を模式的に示した断面図である。図3に示すように、第2研磨工程は、本実施形態に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物を用いて第2シリコン酸化膜14及びシリコン窒化膜16を平坦化するために研磨する工程である。上述の化学機械研磨用組成物は、シリコン窒化膜16の研磨速度をバランスよく制御することができるので、シリコン窒化膜16のディッシングの発生を低減し、露出した第2シリコン酸化膜14及びシリコン窒化膜16を高速かつバランスよく研磨することにより平坦化することができる。また、上述の化学機械研磨用組成物は、(A)成分の分散性が良好であるため、被研磨面における研磨傷の発生を低減することができる。
2.3.化学機械研磨装置
上述の第1研磨工程及び第2研磨工程には、例えば図4に示すような研磨装置200を用いることができる。図4は、研磨装置200を模式的に示した斜視図である。上述の第1研磨工程及び第2研磨工程は、スラリー供給ノズル42からスラリー(化学機械研磨用組成物)44を供給し、かつ研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、半導体基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図4には、水供給ノズル54及びドレッサー56も併せて示してある。
キャリアーヘッド52の研磨荷重は、0.7~70psiの範囲内で選択することができ、好ましくは1.5~35psiである。また、ターンテーブル48及びキャリアーヘッド52の回転数は10~400rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30~150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー(化学機械研磨用組成物)44の流量は、10~1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50~400mL/分である。
市販の研磨装置としては、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO-112」、「EPO-222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP-510」、「LGP-552」;アプライドマテリアルズ社製、型式「Mirra」、「Reflexion」、「Reflexion LK」;G&P TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」、「POLI-762」等が挙げられる。
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.砥粒の調製
<砥粒Aの調製>
三角フラスコ(容量300mL)にテトラメチルオルトシリケート(TMOS)102.6gを計り取った。このTMOSを三角フラスコ(容量1L)に計量した純水347.4gに攪拌しながら加えた。当初は不透明であった反応液が、15分後には加水分解反応の進行により透明な均一溶液となった。そのまま反応を1時間継続し、シリカ濃度9質量%のTMOS加水分解液450gを調製した。
温度計及びジムロート冷却管、蒸気温確認用温度計をつけたト字管(distilling head)、活性ケイ酸水溶液フィード管、攪拌機を取り付けた4つ口フラスコ(3L)に純水2250g、アルカリ触媒としてエチレンジアミンを所定量加え、母液とした。これを加熱し、リフラックス状態となったところでTMOS加水分解液のフィードを開始した。添加速度は2.5mL/分(5.9gシリカ/時/kg母液)とした。加水分解液をフィード終了したら、その状態で30分間保持した。その後、上記アルカリ触媒の1mmol/g水溶液4.5gを加え、pH8~9に調整した。以後pH8を保持するようアルカリ触媒水溶液を適宜添加しながら、上記要領で、3時間毎にTMOS加水分解液を調製しつつ、添加を継続した。TMOS加水分解液は、合計12回調製して添加した。その後、残留メタノールを水置換/除去後、加熱濃縮を行い、シリカ濃度が20%となるまで濃縮した。濃縮後、混合セルロース3μmメンブランフィルター(東洋濾紙株式会社製)でろ過し、砥粒Aを含有する水分散体を得た。
該水分散体に含まれる砥粒Aを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク社、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選び観察したところ、いずれも3つ以上の粒子が繋がって形成された連鎖球状であることが確認できた。また、任意に50個選んだ砥粒Aの平均一次粒径を測定したところ、28nmであった。
<砥粒Bの調製>
容量2000cmのフラスコに、25質量%濃度のアンモニア水70g、イオン交換水40g、エタノール175g及びテトラエトキシシラン21gを投入し、180rpmで攪拌しながら60℃に昇温した。60℃のまま1時間攪拌した後冷却し、コロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。次いで、エバポレータにより、80℃でこの分散体にイオン交換水を添加しながらアルコール分を除去する操作を数回繰り返すことにより分散体中のアルコールを除き、固形分濃度15%の砥粒Bを含有する水分散体を調製した。
該水分散体に含まれる砥粒Bを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選び観察したところ、いずれも繭状であることが確認できた。また、任意に50個選んだ砥粒Bの平均一次粒径を測定したところ、35nmであった。
<砥粒Cの調製>
特開2007-153732号公報に記載の実施例7に従い、シリカ濃度13.7質量%、pH7.7の砥粒Cを含有する水分散体を調製した。
該水分散体に含まれる砥粒Cを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選び観察したところ、表面に複数の突起を有する形状であることが確認できた。また、任意に50個選んだ砥粒Cの平均一次粒径を測定したところ、30nmであった。
<砥粒Dの調製>
上記で得られた砥粒Aを含有する水分散体5000gと3-アミノプロピルトリメトキシシラン2gを混合し、4時間加熱還流することにより、砥粒Aの表面にアミノ基が固定化された砥粒Dを19質量%含有する水分散体を得た。
該水分散体に含まれる砥粒Dを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選んだ砥粒Dの平均一次粒径を測定したところ、28nmであった。
<砥粒Eの調製>
上記で得られた砥粒Aを含有する水分散体5000gと3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン2gを混合し、2時間加熱還流することにより、チオール化シリカゾルを得た。そのシリカゾルに、過酸化水素を加えて8時間加熱還流することにより、砥粒Aの表面にスルホ基が固定化された砥粒Eを19質量%含有する水分散体を得た。
該水分散体に含まれる砥粒Eを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選んだ砥粒Eの平均一次粒径を測定したところ、29nmであった。
<砥粒Fの調製>
上記で得られた砥粒Aを含有する水分散体5000gと(3-トリエトキシシリル)プロピルこはく酸無水物5gを混合し、4時間加熱還流した後、冷却することにより、砥粒Aの表面にカルボキシ基が固定化された砥粒Fを20質量%含有する水分散体を得た。
該水分散体に含まれる砥粒Fを透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、型式「H-7000」)にて30,000倍で観察し、任意に50個選んだ砥粒Fの平均一次粒径を測定したところ、29nmであった。
3.2.化学機械研磨用組成物の調製
3.2.1.実施例1~12及び比較例1~4
<第一工程>
表1又は表2に記載された第一工程で砥粒を所定濃度となるように容量10Lのポリエチレン製の瓶に添加し、表1又は表2に示す組成となるように酸を添加し、さらに表1又は表2に示すpHとなるようにアンモニア水溶液で調整し、最終的に得られる分散液の合計量が98質量部となるように(B)液状媒体としての純水を添加して調整することにより、各実施例及び各比較例の分散液を調製した。このようにして得られた各分散液について、ゼータ電位測定装置(マルバーン社製、型式「Zetasizer Ultra」)を用いて砥粒のゼータ電位を測定した結果を表1又は表2に併せて示す。
<第二工程>
前記「3.2.1.第一工程」で調製した分散液へ、さらに表1又は表2に記載された含有量となるように各成分を添加し、さらに表1又は表2に示すpHとなるようにアンモニア水溶液で調整し、最終的に得られる化学機械研磨用組成物の合計量が100質量部となるように(B)液状媒体としての純水を添加して調整することにより、各実施例及び各比較例の化学機械研磨用組成物を調製した。このようにして得られた各化学機械研磨用組成物について、ゼータ電位測定装置(マルバーン社製、型式「Zetasizer Ultra」)を用いて砥粒のゼータ電位を測定した結果を表1又は表2に併せて示す。
3.2.2.比較例5~6
容量10Lのポリエチレン製の瓶に添加し、表3に示す組成となるように酸、リン酸エステル、その他の添加剤、純水を混合し、アンモニア水溶液で表3に示すpHとなるように調整した。最後に砥粒を添加して、第一工程及び第二工程を経ずに一括合成された砥粒を含有する化学機械研磨用組成物を得た。得られた各化学機械研磨用組成物について、ゼータ電位測定装置(マルバーン社製、型式「Zetasizer Ultra」)を用いて砥粒のゼータ電位を測定した結果を表3に併せて示す。
3.3.評価方法
3.3.1.研磨速度評価
上記で得られた化学機械研磨用組成物を用いて、直径12インチのシリコン窒化膜200nm付きウェハ及び直径12インチのシリコン酸化膜1000nm付きウェハをそれぞ
れ被処理体として、下記の研磨条件で60秒間の化学機械研磨試験を行った。
<研磨条件>
・研磨装置:アプライドマテリアルズ社製、型式「Reflexion LK」
・研磨パッド:ニッタ・デュポン社製、「IC1000XYP」
・化学機械研磨用組成物供給速度:300mL/分
・定盤回転数:87rpm
・ヘッド回転数:93rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
・研磨速度(Å/分)=(研磨前の膜の厚さ(Å)-研磨後の膜の厚さ(Å))/研磨時間(分)
シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の厚さは、非接触式光学式膜厚測定装置(SCREENホールディングス社製、型式「VM―1310」)を用いて屈折率を測定することによって算出した。
研磨速度の評価基準は、下記の通りである。シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の研磨速度、並びにそれらの評価結果を表1~表3に併せて示す。
(評価基準)
・「A」…シリコン窒化膜の研磨速度が100Å/分以上である場合、実際の半導体研磨において研磨時間を大幅に短縮できるため、良好であると判断した。
・「B」…シリコン窒化膜の研磨速度が100Å/分未満である場合、研磨速度が小さく、実用に供することが困難であるため、不良であると判断した。
3.3.2.欠陥評価
上記で得られた化学機械研磨用組成物を用いて、直径12インチのシリコン窒化膜200nm付きウェハを被処理体として、下記の研磨条件で60秒間の化学機械研磨試験を行った。続いて下記の条件で定盤上洗浄処理を行い、最後に下記の条件でブラシスクラブ洗浄を行った。
<化学機械研磨条件>
・研磨装置:アプライドマテリアルズ社製、型式「Reflexion LK」
・研磨パッド:ニッタ・デュポン社製、「IC1000XYP」
・化学機械研磨用組成物供給速度:300mL/分
・定盤回転数:87rpm
・ヘッド回転数:93rpm
・ヘッド押し付け圧:2psi
<定盤上洗浄処理条件>
・処理剤:超純水
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:100g/cm
・定盤回転数:71rpm
・処理剤供給速度:300mL/分
・処理時間:30秒
<ブラシスクラブ洗浄>
・処理剤:超純水
・上部ブラシ回転数:400rpm
・下部ブラシ回転数:400rpm
・基板回転数:50rpm
・処理剤供給速度:1200mL/分
・処理時間:40秒
このようにして得られた処理後のウェハ表面をウェハ欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、型番「SP-1」)を用いて、ウェハ全表面の欠陥数を計測した。その結果を表1~表3に示す。なお、評価基準は下記のとおりである。
欠陥評価の評価基準は下記の通りである。評価結果を表1~表3に併せて示す。
(評価基準)
・「A」…欠陥数が100個未満である場合、良好であると判断した
・「B」…欠陥数が100個以上である場合、不良であると判断した。
3.4.評価結果
表1~表3に、各実施例及び各比較例で得られた化学機械研磨用組成物の組成並びに評価結果を示す。
Figure 2024075071000003
Figure 2024075071000004
Figure 2024075071000005
表1~表3中の各成分は、それぞれ下記の商品又は試薬を用いた。
<砥粒>
・砥粒A:上記で調製した連鎖球状コロイダルシリカ、平均一次粒径28nm
・砥粒B:上記で調製した繭状コロイダルシリカ、平均一次粒径35nm
・砥粒C:上記で調製した表面に複数の突起を有するコロイダルシリカ、平均一次粒径30nm
・砥粒D:上記砥粒Aの表面をアミノ基で修飾したコロイダルシリカ、平均一次粒径28nm
・砥粒E:上記砥粒Aの表面をスルホ基で修飾したコロイダルシリカ、平均一次粒径29nm
・砥粒F:上記砥粒Aの表面をカルボキシ基で修飾したコロイダルシリカ、平均一次粒径29nm
<酸>
・マレイン酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「マレイン酸」
・クエン酸:扶桑化学工業社製、商品名「精製クエン酸(結晶)L」
・マロン酸:東京化成工業社製、商品名「Malonic Acid」
・硫酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硫酸」(10%水溶液)
・硝酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「硝酸 (1.38)」(60%水溶液)
・リン酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「りん酸」
<リン酸エステル>
・ブトキシエチルアシッドホスフェート:城北化学社製、商品名「JP-506H」
・モノエチルホスフェート:城北化学社製、商品名「JAMP-2」
・モノn―ブチルホスフェート:城北化学社製、商品名「JAMP-4」
・2-エチルヘキシルアシッドホスフェート:城北化学社製、商品名「JP-508」
・モノn―ラウリルホスフェート:城北化学社製、商品名「JAMP-12」
<その他の添加剤>
(有機酸)
・酢酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「酢酸」
・グリコール酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「グリコール酸」
・トリメリット酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「トリメリット酸」
(水溶性高分子)
・ポリエチレングリコール:東邦化学工業社製、商品名「PEG-400」
・ポリアクリル酸:東亜合成社製、商品名「ジュリマーAC-10L」
実施例1~12によれば、本願発明に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物を用いることで、シリコン窒化膜を高速研磨することができ、かつ、被研磨面の表面欠陥を低減できることがわかった。
比較例1、2は、第二工程においてリン酸エステルを用いずに、化学機械研磨用組成物中のゼータ電位の絶対値が0mV以上の砥粒を使用した例である。この場合には、シリコン窒化膜の研磨速度が小さくなり不良な結果となった。
比較例3、4は、第一工程後に得られた分散液中のゼータ電位が0mV未満の砥粒を使用した例である。この場合には、リン酸エステルが砥粒に吸着しない上、砥粒自体のアニオン性が大きく、正電荷を帯びたシリコン窒化膜との静電的引力が大きくなる。そのため、相互作用性が高くなり、シリコン窒化膜上の砥粒残りによる欠陥が多くなり不良な結果となった。
また、比較例5及び比較例6は、化学機械研磨用組成物の組成がそれぞれ実施例3、実施例1と同じであるが、第一工程及び第二工程を経ずに調製された化学機械研磨用組成物を使用した例である。この場合には、リン酸エステルが砥粒に効率よく吸着しないため砥粒が凝集し、凝集した砥粒によりシリコン窒化膜上の表面欠陥が多くなり不良な結果となった。
以上の結果から、本願発明に係る方法により製造された化学機械研磨用組成物によれば、シリコン窒化膜を含有する半導体基板を高速研磨でき、かつ、被研磨面の表面欠陥を低減できることがわかった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…基体、12…第1シリコン酸化膜(熱酸化膜)、14…第2シリコン酸化膜、16…シリコン窒化膜、42…スラリー供給ノズル、44…化学機械研磨用組成物(スラリー
)、46…研磨布、48…ターンテーブル、50…半導体基板、52…キャリアーヘッド、54…水供給ノズル、56…ドレッサー、100…被処理体、200…化学機械研磨装置

Claims (5)

  1. (A)砥粒と、(B)液状媒体とを含有し、pHが1以上5以下である化学機械研磨用組成物の製造方法であって、
    前記(A)成分と前記(B)成分を含有する組成物へ酸を添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV以上である分散液を作成する第一工程と;
    前記第一工程で得られた前記分散液へリン酸エステルを添加して、前記(A)成分のゼータ電位が0mV未満である化学機械研磨用組成物を作成する第二工程と;
    を有する、化学機械研磨用組成物の製造方法。
  2. 前記第一工程において、前記分散液のpHが4以下である、請求項1に記載の化学機械研磨用組成物の製造方法。
  3. 前記第一工程において、10℃~60℃で攪拌する、請求項1に記載の化学機械研磨用組成物の製造方法。
  4. 前記第2工程において、10℃~40℃で攪拌する、請求項1に記載の化学機械研磨用組成物の製造方法。
  5. 前記リン酸エステルが、下記一般式(5)で表される化合物である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化学機械研磨用組成物の製造方法。
    Figure 2024075071000006
    (式(5)中、Rは炭素数2以上7未満の炭化水素基を表し、nは0以上2未満であり、mは1又は2である。)
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