JP7073153B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。また、同様の合成樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比較すると、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れており、またポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比べて、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。これらの特徴により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材など様々な用途に用いられている。用途によっては、着色された型内発泡成形体が好まれるが、発泡粒子中のセルが微細な場合には、色が白っぽくみえやすく、目的の色とするためには着色剤を増やす必要があった。
また、従来、当該分野で使用されている発泡剤としては、高発泡倍率の発泡粒子が得られることから、揮発性有機発泡剤が使用されてきた。しかしながら、環境問題への関心の高まりから、近年では発泡剤として空気、窒素、酸素、炭酸ガス(二酸化炭素)などの無機ガスが使用されるようになってきた。無機ガスを発泡剤として用いる場合、ポリプロピレン系樹脂への溶解性が低いために、1回の発泡工程では高い倍率が得られにくく、タルクなどのセル造核剤を添加することにより発泡倍率を上げることができるものの、セル径が微細化しやすいことから、特許文献1のように、無機ガスを発泡剤として用いるためにポリエチレングリコールやグリセリンなどの吸水性物質を添加する場合がある。しかしながら、発泡粒子の製造段階で水系分散媒に樹脂粒子を分散させる場合、ポリエチレングリコールやグリセリンは水溶性の物質であるために、分散媒中に溶出し、排水処理に負荷が生じる場合が出てきた。
特許文献2や3では、ポリプロピレン系樹脂発泡体のフィラーや充填剤として、シラスバルーンなどの球状中空ガラス組成物を用いることが例示されている。しかしながら、これらの文献においては、ポリプロピレン系発泡成形品に剛性等を付与するため球状中空ガラス組成物は多数あるフィラーや充填剤の一つとして例示されているのみである。
特許文献4では、ポリプロピレンとホタテ貝殻粉末、シラスバルーン、発泡剤ペレットを溶融混合させて独立気泡発泡素材(ビーズ)を得る製造方法が開示されている。また、特許文献5では、シラスバルーンなどの微小有孔粒状体を0.3~1.5重量%含有するポリオレフィン樹脂を発泡させる製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献4や5は押出発泡に関するものである。
国際公開2016/13675号公報 特開平5-70621号公報 国際公開2012/09082号公報 特開2007-29938号公報 特開2010-37367号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造において、発泡剤として無機ガスを用いて1回の発泡工程で高い倍率を得るために添加していた吸水性物質の使用量を削減、もしくは、無くして排水処理への負荷を低減しつつ、セル径が微細化しにくいポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下含むポリプロピレン系樹脂粒子を用いることにより、発泡剤として無機ガスを用いて発泡粒子を製造する場合においても、吸水性物質の使用量を削減、もしくは、無くし、セルの微細化を抑制しつつ、所望の倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が製造できる製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下含むポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水系分散媒に分散させ、発泡剤として無機ガスを圧力をかけて含浸させ、ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱したポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(2)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下、着色剤0.1重量部以上10重量部以下を含むポリプロピレン系樹脂粒子を用いることを特徴とする(1)記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(3)前記着色剤がカーボンブラックである(2)記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(4)前記球状中空ガラス組成物がシラスバルーンである(1)~(3)いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(5)前記発泡剤としての無機ガスが二酸化炭素である(1)~(4)いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(6)(1)~(5)のいずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、以下の(11)~(22)の特徴を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
(11)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が100μm以上である。
(22)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率が15倍以上である。
(7)(1)~(5)のいずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法により得られた発泡粒子を、2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、金型に配置された水蒸気孔を通じて水蒸気により発泡粒子を加熱すること特徴とする、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
本発明の製造方法により、発泡剤として無機ガスを用いて発泡粒子を製造する場合においても、排水処理の負荷を増大させるような吸水性物質の使用を削減、もしくは、無くし、セルの微細化を抑制しつつ、所望の倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が製造できる。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を示差走査熱量計(DSC)にて、40℃~220℃まで10℃/分の速度で昇温したときに得られるDSC曲線の一例である。ここで、低温側の融解ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線で囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量がQl、DSC曲線の高温側の融解ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線で囲まれる熱量である高温側融解ピーク熱量がQhである。
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するにあたって、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下含むポリプロピレン系樹脂粒子を用いる。
本発明における基材樹脂として用いられるポリプロピレン系樹脂としては、単量体の主成分として50重量%以上のプロピレンを含んでいれば、特に限定はなく、例えば、プロピレンホモポリマー、オレフィン-プロピレン系ランダム共重合体、オレフィン-プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂における共重合可能なオレフィンとしては、特に制限は無く、炭素数が2あるいは4以上のオレフィンが挙げられる。具体的には、エチレンや、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどのα-オレフィンが挙げられ、更には、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエンなどが挙げられる。なお、これらの炭素数が2あるいは4以上のオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらの中でも、入手容易性、経済性、機械的特性の点から、エチレンまたはα-オレフィンが好ましく、エチレン、1-ブテンが最も好ましい。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂における共重合可能な、オレフィン含量としては、0重量%以上10重量%以下が好ましく、1重量%以上7重量%以下がより好ましく、1.5重量%以上6重量%以下がさらに好ましく、1.5重量%以上5重量%以下が特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂における共重合可能なオレフィン含量が当該範囲にあると、得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の機械的強度や高温時での寸法安定性が良好なものが得られる傾向にある。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが、共重合されていても構わない。
以上のようなポリプロピレン系樹脂中でも、良好な発泡性、耐寒脆性の向上、安価等の観点から、エチレン、1-ブテンを含有するエチレン-プロピレンランダム共重合体、1-ブテン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体が、好適に使用し得る。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂の融点は、特に限定されないが、130℃以上155℃以下であることが好ましく、より好ましくは140℃以上151℃以下である。ポリプロピレン系樹脂の融点が上述した範囲にあると、得られた発泡粒子を型内発泡成形した際に、寸法性や機械的強度、表面美麗性のバランスに優れた型内発泡成形体が得られやすい傾向がある。
本発明における融点とは示差走査熱量計DSCを用いて、ポリプロピレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂粒子1mg以上10mg以下を40℃から220℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、その後、220℃から40℃まで10℃/分の降温速度で冷却し、再度40℃から220℃まで10℃/分の昇温速度で昇温した際に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度である。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと称する場合がある。)は3.0g/10分以上12g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは5.0g/10分以上9.0g/10分以下である。ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが上述した範囲にある場合、得られた発泡粒子を型内発泡成形した際に、変形が少なく、表面美麗性に優れた型内発泡成形体が得られやすい傾向がある。
本発明におけるMFRの測定は、JIS K7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定した際の値である。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、チーグラー触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒、等の触媒を用いて得ることができる。チーグラー触媒を使用すると、Mw/Mnが大きい重合体が得られる傾向にある。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、有機過酸化物を用いて酸化分解することにより、分子量やメルトフローレート等の特性を調整することができる。ポリプロピレン系樹脂を酸化分解するには、例えば、有機過酸化物を添加したポリプロピレン系樹脂を押出機内で加熱溶融により行うことができる。
本発明で使用する球状中空ガラス組成物は、ガラス組成物中に、SiO2を40~80質量%,Al2O3を10~40質量%,Fe2O3を1~18質量%含有していることが好ましい。この組成を有する球状中空ガラス組成物としては、火山の噴出物であるシラスを焼成・発泡させたシラスバルーン、ガラス質火山岩を焼成発泡させたものとして、真珠岩、黒曜石またはこれに準ずる石質を有する岩石を焼成・発泡させたパーライト、石炭火力発電所で微粉炭を燃焼した際に発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰を分級して得られるフライアッシュ、及びガラス素材、ガラス廃材等を人工的に中空形状にした加工物が挙げられる。これらの中でもシラスバルーンが特に好ましく利用できる。
本発明に使用される球状中空ガラス組成物はどのような種類のものも使用できるが、球状中空ガラス組成物の平均粒径が2μm~180μmのものが好ましく使用され、平均粒径が20μm~90μmのものが特に好ましい。また、球状中空ガラス組成物の嵩比重が0.1g/cm3~1.0g/cm3が好ましく、0.1g/cm3~0.7g/cm3であることがより好ましい。
本発明における樹脂粒子中の球状中空ガラス組成物の含有量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物3重量部以上15重量部以下であり、好ましくは、4重量部以上12重量部以下である。3重量部未満の場合には、発泡粒子の倍率向上の効果が小さくなる傾向にあり、15重量部を超えるような場合には、ポリプロピレン系樹脂の比率が低くなり、ポリプロピレン系樹脂由来の特性が損なわれるおそれがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造においては、樹脂粒子中に添加する吸水性物質量を削減、もしくは、無くしても、所望の倍率の発泡粒子を得ることができる。吸水性物質としては、例えばWO2016/136875記載の吸水性物質が援用され、好ましくはメラミン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ホウ酸亜鉛などの物質が挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂混合物に加えて、必要に応じて、セル造核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤等を含んでもよい。このような添加剤は、あらかじめその他の樹脂に該添加剤を高濃度で含有させてマスターバッチ化しておき、このマスターバッチ樹脂をポリプロピレン系樹脂混合物に添加しても良い。このようなマスターバッチ樹脂に使用される樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
本発明で用いられるセル造核剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらセル造核剤の中でも、タルクが均一なセルが得られる為、好ましい。前記ポリプロピレン系樹脂粒子におけるセル造核剤の含有量としては、目的とするセル径および造核剤の種類により適宜調整すれば良いが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、セル造核剤0.001重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.01重量部以上0.2重量部以下である。セル造核剤の含有量が当該範囲にあると、均一で発泡粒子に適した大きさのセルが得られやすい。
前記着色剤としては、カーボンブラック、群青、シアニン系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料カドミウム黄、酸化クロム、酸化鉄、ペリレン系顔料、およびアンスラキノン系顔料等を用いることができる。前記ポリプロピレン系樹脂粒子における着色剤の含有量に制限は無く、着色剤の着色力や求める色に応じて調整すれば良いが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、着色剤が0.01重量部以上15重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上10重量部以下であることがより好ましい。含有量が当該範囲であると、発泡粒子の型内発泡成形性を損なうことなく、良好な色目が得られやすい。
前記着色剤としては、天然ガスや石油などの不完全燃焼,熱分解により得られる炭素の微粉であるカーボンブラックが黒色顔料として色や着色性の面から、外観を重視する際に用いられる場合が多く、好ましい形態である。
前記ポリプロピレン系樹脂粒子におけるカーボンブラックの含有量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、カーボンブラックが0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1重量部以上8重量部以下であることがより好ましい。含有量が当該範囲にあると、着色性が良好であり、樹脂の粘度低下等が起こりにくく、得られた発泡粒子を型内発泡成形した際に、良好な品質の型内発泡成形体が得られやすい傾向である。
本発明におけるカーボンブラックは一次粒径が0nmより大きく100nm以下であることが好ましい。好ましくは10nm以上50nm以下である。一次粒径が当該範囲にあると、着色性に優れ、均一な黒色の発泡粒子が得られやすい傾向にある。本発明におけるカーボンブラックの一次粒径は、得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子のセル膜の断面を、透過型電子顕微鏡にて4万倍に拡大した写真を撮影し、得られた透過型電子顕微鏡写真において、任意に50個のカーボンブラック一次粒子についてのX方向とY方向の粒子径(フェレ径)をそれぞれ測定し、平均値を算出した値である。このようなカーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスク、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらの一種または2種以上を使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、まず、ポリプロピレン系樹脂粒子を製造する。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂粒子を製造する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
まず、ポリプロピレン系樹脂および球状中空ガラス組成物、さらに必要に応じてその他の添加剤の混合物を、ドライブレンド法、マスターバッチ法等の混合方法により混合する。
次いで、得られた混合物を、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(登録商標)、ロール等を用いて溶融混練した後に、カッター、ペレタイザー等を用いて細断し、粒子形状とすることにより、ポリプロピレン系樹脂粒子が得られる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、0.2mg以上10mg以下が好ましく、0.5mg以上6.0mg以下がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量が当該範囲にある場合、得られた発泡粒子を型内発泡成形する際に寸法や充填性が良好になりやすい。
ここで、ポリプロピレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、ポリプロピレン系樹脂粒子をランダムに選んだ100粒から得られる平均樹脂粒子重量である。
通常、ポリプロピレン系樹脂粒子の組成や粒重量などは、発泡工程、型内発泡成形工程を経てもほとんど変化は無く、発泡粒子や型内発泡成形体を再溶融させても同じ性質を示す。
本発明では、このようにして得られたポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水系分散媒に分散させ、発泡剤として無機ガスを圧力をかけて含浸させ、ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度(発泡温度)まで加熱したポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する。
本発明の一実施形態において、「ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上」とは、用いられるポリプロピレン系樹脂の融点-10℃以上であることを意味する。また、発泡温度は、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上であればよく、特に限定されないが、例えば、用いられるポリプロピレン系樹脂の融点-10℃以上、融点+10℃以下であることが好ましい。
発泡倍率を調節する目的で、放出する雰囲気の温度を、室温~110℃程度に調節してもよい。特に高い発泡倍率の発泡粒子を得る為には、放出する雰囲気の温度を蒸気等で100℃程度にすることが望ましい。
本発明における上記密閉容器内で発泡剤を含浸させる圧力(発泡圧力)は、約1.5MPa(ゲージ圧)以上5.0MPa以下(ゲージ圧)であることが好ましく、約2.5MPa(ゲージ圧)以上3.5MPa以下(ゲージ圧)であることがより好ましい。発泡圧力が当該範囲にあると、セル径と発泡倍率のバランスに優れた発泡粒子が得られやすい。
本発明における発泡剤としては、環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素、窒素、空気等の無機ガスを用いる。これらの発泡剤の中でも、比較的高い発泡倍率の発泡粒子が得られやすいことから、二酸化炭素が好ましい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)密閉容器にポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、次いで密閉容器内へ発泡剤として無機ガスを導入し、その後ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上まで加熱する。加熱することによって密閉容器内の圧力が約1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がるように発泡剤である無機ガスの添加量を調整する。必要に応じて、加熱後、さらに発泡剤である無機ガスを追加して所望の発泡圧力に調整、さらに発泡温度への温度微調整を行いつつ、0分を超えて120分以下の間ホールドし、次いで、水蒸気等で80℃以上110℃以下に調節された密閉容器の内圧よりも低い圧力域(通常は大気圧)に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る。
本発明における上記とは別の発泡剤の導入方法としては、以下の方法が挙げられる。
(2)密閉容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込むと同時に、ドライアイスの形で固体の二酸化炭素を仕込むことにより、発泡剤を導入する方法。
(3)密閉容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら、発泡剤を導入する方法。
(4)密閉容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、発泡温度付近まで加熱し、この時点で発泡剤を導入する方法。
なお、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を高くする方法としては、例えば、密閉容器内の内圧を高くする、圧力開放速度を速くする、放出前の密閉容器内温度を高くする方法等がある。
本発明で用いられる密閉容器には、特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであれば良く、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
本発明でのポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、ポリプロピレン系樹脂粒子同士の合着を防止する為に、水系分散媒中に分散剤を使用することが好ましい。
本発明で用いられる分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が例示できる。
これら分散剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明でのポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、分散剤と共に、分散助剤を使用することが好ましい。
本発明で用いられる分散助剤の例としては、例えば、
N-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;
アルキルスルホン酸塩、n-パラフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;
硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル型;
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。
また、分散助剤として、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
これら分散助剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、分散助剤としてn-パラフィンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。
本発明における分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂粒子の種類と使用量によって異なるが、通常、水系分散媒100重量部に対して、分散剤0.1重量部以上3重量部以下を配合することが好ましく、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下を配合することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好なものにする為に、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上100重量部以下で使用するのが好ましい。
本発明の一実施形態において、以上のように、ポリプロピレン系樹脂粒子からポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る発泡工程を、「一段発泡工程」と称す場合があり、このようにして得たポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量計法による測定において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5~6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する際に得られるDSC曲線において2つの融解ピークを有していることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、DSC比が10%以上50%以下であることが好ましく、15%以上30%以下であることがより好ましい。DSC比が当該範囲であると、表面美麗性の高いポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られやすい。
ここで、DSC比とは、図1に示すように、低温側の融解ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線で囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量がQl、DSC曲線の高温側の融解ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線で囲まれる熱量である高温側融解ピーク熱量がQhとしたときに、これらから算出した、高温側の融解ピークの比率[Qh/(Ql+Qh)×100]である。
かかるDSC 比は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する際の発泡時の温度および圧力に依存して変化する為、発泡温度及び発泡圧力を適宜調整する事により目的とするDSC比となる発泡粒子を得ることができる。一般的には、発泡温度および発泡圧力を上げるとDSC比は低下する傾向にあり、ポリプロピレン系樹脂の種類、添加剤、及び発泡剤の種類にも依存するが、具体的には、発泡温度を1 ℃ 上昇させるとDSC比は概ね5~20%程度減少し、発泡圧力を0.1MPa上昇させると0.5~5%程度減少する。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、特に制限は無く、必要に応じて調整すれば良い。本発明の製造方法を用いることにより、発泡倍率15倍以上の発泡粒子を製造する場合にも好適に使用できる。
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とは、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm3)を測定し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の真比重ρb=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)として算出した値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上400μm以下であることがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が当該範囲にあると、得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の色調、外観が良好になりやすい。
ここで、平均気泡径は、次のようにして、測定した値である。
発泡粒子の切断面に関する顕微鏡観察により得られる画像において、発泡粒子のほぼ中心を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡数nおよび、該直線と発泡粒子表面との交点から定まる発泡粒子径L(μm)を読み取り、式(1)によって求める。
平均気泡径(μm)=L/n ・・・(1)
本発明の発泡粒子を用いてポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を製造する方法は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、、金型に配置された水蒸気孔を通じて水蒸気により発泡粒子を加熱し、発泡粒子を相互に加熱融着させて型通りに成形し、水等の冷媒により冷却した後に取り出し、型内発泡成形体を得る方法である。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、型内発泡成形前に発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与することが好ましい。発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与された発泡粒子を用い型内発泡成形すると、粒間が無く表面美麗であり、変形の少ないポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られ易い。発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与する方法に特に制限は無いが、例えば従来から知られている内圧付与法や圧縮充填法などの方法により発泡粒子内部に圧力を付与することができる。
内圧付与法では、予めポリプロピレン系樹脂発泡粒子を無機ガスの加圧下に保持することにより発泡粒子内に大気圧以上の内圧を付与し、内圧が付与された発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しない金型等の成形空間内に充填する。
上記内圧は、0.12MPa(絶対圧)以上0.40MPa(絶対圧)以下が好ましく、0.14MPa(絶対圧)以上0.30MPa(絶対圧)以下がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内圧が当該範囲にある場合、外観が美麗な型内発泡成形体を得やすい傾向にある。上記内圧付与に用いられる無機ガスとしては、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、二酸化炭素等が使用できる。これらのガスは単独で用いても、また2種以上混合して用いても良い。これらのうちでも、汎用性の高い空気、窒素が好ましい。
圧縮充填法では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を圧縮タンク中で加圧ガスを用いて、好ましくは充填前の発泡粒子の嵩密度の1.25~3倍の嵩密度に圧縮、より好ましくは充填前の発泡粒子の嵩密度の1.5~2.2倍の嵩密度に圧縮し、圧縮された発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しない金型等の成形空間内に充填する。
圧縮の割合が当該範囲にある場合、外観が美麗な型内発泡成形体を得やすい傾向にある。
上記圧縮に用いる加圧ガスとしては、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、二酸化炭素等が使用できる。これらのガスは単独で用いても、また2種以上混合して用いても良い。これらのうちでも、汎用性の高い空気、窒素が好ましい。
上記方法により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型等の中へ充填した後、水蒸気などを加熱媒体として0.15~0.4MPa(G)程度の加熱水蒸気圧にて3~50秒程度の加熱時間で成形し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を融着させた後、金型を水冷により冷却した後、金型を開き、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られる。
なお、水蒸気を用いて加熱する場合には、目標とする加熱水蒸気圧にするまでに、5~30秒程度の時間をかけて昇圧させることが好ましい。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびその製造方法を、実施例および比較例を挙げて、詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行わずに使用した。
○ポリプロピレン系樹脂(市販品、又は、樹脂メーカー供試品)
・ポリプロピレン系樹脂A:エチレン-プロピレンランダム共重合体[MFR=7.5g/10分、融点146.1℃]
・ポリプロピレン系樹脂B:エチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体[MFR=6.7g/10分、融点143.0℃]
○カーボンブラック
カーボンブラックはポリプロピレン系樹脂(MFR=7.5g/10分、融点146.1℃)中に40重量%含有するカーボンブラックマスターバッチとして、使用した。なお、表1には得られた発泡粒子中でのカーボンブラックの平均粒径を併記した。
○他の添加剤
・シラスバルーン[丸中白土(株)製、マールライト735C]
・グリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]
・ポリエチレングリコール[ライオン(株)製、平均分子量300]
・タルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK-S]
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、説明する。
<カーボンブラックの粒径>
得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子のセル膜の断面を、透過型電子顕微鏡にて4万倍に拡大した写真を撮影した。得られた透過型電子顕微鏡写真において、任意に50個のカーボンブラック一次粒子についてのX方向とY方向の粒子径(フェレ径)をそれぞれ測定し、平均値を算出し、カーボンブラックの粒子径とした。
<発泡倍率の測定>
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、60℃で2時間乾燥し、温度23℃、湿度50%の室内で1時間静置した後、重量w(g)を測定し、別途、水没法にて体積v(cm3)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w÷vを算出した。
そして、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から、発泡倍率=ρr÷ρbを算出した。
<発泡粒子のDSC比>
示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5~6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する際に得られるDSC曲線(図1に例示)において、2つのピークを有し、該融解ピークのうち低温側の融解ピーク熱量Qlと、高温側の融解ピーク熱量Qhから次式により算出した。
DSC比=Qh/(Ql+Qh)×100
<発泡粒子の平均気泡径の測定>
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、両刃カミソリ[フェザー製、ハイステンレス両刃]を用いて、発泡粒子の中央で切断した。
該切断面を、光学顕微鏡[キーエンス社製、VHX-100]を用いて、倍率50倍にて観察して得られた画像において、発泡粒子のほぼ中心を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡数nおよび、該直線と発泡粒子表面との交点から定まる発泡粒子径L(μm)を読み取り、次式より算出した。
平均気泡径(μm)=L/n
上記、平均気泡径算出を発泡粒子10粒について実施し、平均値を求めた。
(実施例1)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂Aを使用し、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、シラスバルーンを10重量部となるように計量し、ドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を、二軸押出機[東芝機械(株)製、TEM26-SX]を用いて、樹脂温度220℃にて溶融混練し、押出されたストランドを長さ2mの水槽で水冷後、切断して、ポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を製造した。
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
容量10Lの耐圧オートクレーブ中に、得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(2.4kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物としての第三リン酸カルシウム[太平化学産業(株)製]0.5重量部、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム(n-パラフィンスルホン酸ソーダ)[花王(株)製、ラテムルPS]0.03重量部を仕込んだ後、攪拌下、発泡剤として二酸化炭素を5重量部添加した。
オートクレーブ内容物を昇温し、表1記載の発泡温度148.5℃まで加熱した。その後、発泡剤である二酸化炭素を追加圧入してオートクレーブ内圧を表1記載の発泡圧力3.3MPaまで昇圧した。前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、直径3.6mmの開口オリフィス(1穴)を通して、オートクレーブ内容物を水蒸気にて95℃に調節した雰囲気下に放出して、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子について、発泡倍率、DSC比、平均気泡径を測定した。結果を、表1に示す。
(実施例2~6、比較例1~2、参考例1~2)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂および添加剤の種類および混合量を表1に示すように変更し、[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、発泡温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を作製した。
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子における評価結果を、表1に示す。
Figure 0007073153000001
実施例1と比較例1、2からわかるように、本発明の製造方法を用いることにより、タルクのような造核剤のみを用いた場合と比べて、発泡倍率が同等以上であるにも関わらず、セル径の大きい発泡粒子を得ることができる。また、実施例1~6と参考例1~2から判るように、本発明の製造方法を用いることにより、吸水性物質を使用しない、もしくは、参考例1の3分の1の添加量の場合においても、参考例1~2のように吸水性物質を用いた場合と同等の発泡倍率であり、セル径が150μm以上の比較的粗大なセルの発泡粒子が得られている。

Claims (6)

  1. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
    ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下含むポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水系分散媒に分散させ、発泡剤として無機ガスを圧力をかけて含浸させ、ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱したポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  2. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、球状中空ガラス組成物を3重量部以上15重量部以下、着色剤0.1重量部以上10重量部以下を含むポリプロピレン系樹脂粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  3. 前記着色剤がカーボンブラックである請求項2記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  4. 前記球状中空ガラス組成物がシラスバルーンである請求項1~3いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  5. 上記、発泡剤としての無機ガスが二酸化炭素である請求項1~4いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法により得られた発泡粒子を、2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、金型に配置された水蒸気孔を通じて水蒸気により発泡粒子を加熱すること特徴とする、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
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