JP2006256296A - ペレット製造方法およびペレット製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出す押出機構と、この押出機構から押し出された不定形の素材を粉砕する粉砕機構と、この粉砕機構にて粉砕された素材をペレット形状に成形する成形機構とを設けた。押出機構で押し出された不定形の素材が一旦粉砕されて成形機構に供給されるので、製造されるペレットをより均質にさせることができ、当該ペレットを原料とした成形品や骨材をより均質にさせることの可能な良質のペレットを大量生産することができる。また、より容易に後成形の成形品を成形することが可能となる。さらに、単位時間当たりのペレット生産量をさらに増やすことが可能となる。
【選択図】図4
Description
ペレットの原料としては、廃材やフライアッシュや石英質系鉱物等を有効利用するため、廃材等の木質系材料を微粒化した材料と熱可塑性樹脂の組み合わせ、フライアッシュと熱可塑性樹脂の組み合わせ、石英質系鉱物と熱可塑性樹脂の組み合わせ、等が用いられている。木質系材料を使用したペレットの場合、例えば、混合撹拌翼を有するミキサーにて素材の粒子どうしを衝突させて発熱させることにより溶融混合させたり、押出機により素材を剪断混合させたりすることにより、良質のペレットを成形する。ここで、押出機には直径3〜5mm程度の押出口を多数有するダイを装着してあり、内部のスクリューを回転させながら軟化状態の素材をダイの押出口から略棒状に押し出し、カッターにより長さ3〜7mm程度に切断してペレット形状に成形している。
さらに、特許文献2には、混練された混練物を押出機にてシート状又は複数の棒状、紐状、線状等の一次成形品に成形し、成形された一次成形品をコンベアにて冷却し、冷却された一次成形品を粉砕機にて粉砕してペレット状の加熱成形材料に造粒する処理装置が記載されている。ここで、特許文献2の段落0018に記載されているように、篩い機構を通過する所定の粒子径未満のペレット状の加熱成形材料が貯蔵タンクに収容され、篩い機構を通過しない所定の粒子径以上の加熱成形材料は粉砕機にて再度粉砕される。従って、造粒された加熱成形材料は、粒径が1mm未満と細かい粒子を含む材料とされる。
また、特許文献1記載の技術では、流動性の小さい素材であっても、ペレットを大量生産することが可能となるものの、製造されるペレットをより均質にさせ、当該ペレットを原料とした成形品や骨材をより均質にしたり、当該ペレットを原料としてプラスチックの押出成形や射出成形等の後成形を行うときに崩れやすくさせて分散性に優れたペレットが望まれていた。
さらに、特許文献2記載の技術では、ノズルで一旦シート状又は複数の棒状、紐状、線状の一次成形品に成形するため、流動性の小さい素材ではノズル内における素材の排出圧力が高くなりすぎ、十分に押し出すことが困難になってしまうという問題がある。また、造粒された加熱成形材料が細かい粒子を含むため、プラスチック成形等の後成形を行う際、加熱成形材料が原料供給用ホッパ内で詰まる等するため、混練段階で原料を均質に混練するのが容易ではない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、流動性の小さい素材を用いてペレットを製造する際に、単位時間当たりのペレット生産量をさらに向上させ、より良質のペレットを大量生産可能とすることを目的とする。
また、本発明のペレット製造装置は、軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出す押出機構と、この押出機構から押し出された不定形の素材を少なくとも用いて粉砕する粉砕機構と、この粉砕機構にて粉砕された素材を少なくとも用いてペレット形状に成形する成形機構とを具備する構成としてある。
このように、押出機構が素材を不定形の状態で押し出して粉砕機構に供給すれば、素材の押出流量は制限されない。従って、流動性の小さい素材であっても、ペレットを大量生産することが可能である。ここで、押出機構で押し出された不定形の素材は、粉砕工程により一旦粉砕されて成形機構に供給されるので、より均質化された状態で素材をペレット形状に成形することができる。これにより、製造されるペレットをより均質にさせることができ、当該ペレットを原料とした成形品や骨材をより均質にさせることの可能な良質のペレットを大量生産することができる。また、粉砕することによりペレット形状に成形する成形工程における加熱を抑えることができ、製造されたペレットを原料としてプラスチック成形等の後成形を行う時に崩れやすくなって分散性が向上し、より均質な成形品等を生産することが可能となる。さらに、不定形の素材を粉砕することによってペレットの成形が容易となり、単位時間当たりのペレット生産量を増やすことが可能となる。
さらに、不定形の素材を一旦粉砕するので、粉砕された素材に対して爆砕木粉等の粉状の機能性素材を容易に混合してペレット化することがすることができ、当該機能性素材による機能が付与されたペレットを容易に得ることが可能となる。また、不定形の素材に対して粉状の機能性素材を添加した後に粉砕し、粉砕した素材をペレット形状に形成しても、当該機能性素材による機能が付与されたペレットを容易に得ることが可能となる。従って、不定形の素材を少なくとも用いて粉砕する粉砕工程には、不定形の素材のみを粉砕する工程の他、不定形の素材に第二の素材を添加して粉砕する工程も含まれる。また、粉砕された素材を少なくとも用いてペレット形状に成形する成形工程には、粉砕された素材のみをペレット形状に成形する工程の他、粉砕された素材に第三の素材を添加してペレット形状に成形する工程も含まれる。
流動状態の樹脂は、例えば、加熱軟化した熱可塑性樹脂、液状の熱硬化性樹脂、等が考えられる。上記所定の素材には熱可塑性樹脂が含まれる場合、上記押出機構は上記所定の素材を加熱する素材加熱機構を備える構成としてもよい。すなわち、素材加熱機構にて素材を加熱することにより軟化させることができる。
ここで、木質系材料は、木粉,木毛,木片,木質繊維,木質パルプ,木質繊維束,等、さまざまなものを採用可能であるし、竹繊維,麻繊維,バカス,モミガラ,稲わら等セルロースを主成分とする材料を混合したものでもよい。
木材は家具工場や建築現場等あらゆる場面で常用されており、これらの場面で木材の切り屑が発生すればこのような切り屑を集めれば本発明における木質系材料として使用することができる。また、木材本体を家具や建築用材等の原料にした後には多量の廃材が発生するので、このような廃材を粉砕すればよい。さらに、家具や建築用材が廃棄されたときには当該廃棄物を粉砕すればよい。このような構成によればペレットのコストが非常に低くなり、また、ゴミを低減することに大きく寄与することができるし、廃棄物リサイクルを促進することもできる。
さらに、所定の素材は、上記木質系材料と溶融可能な樹脂のみから構成されてもよいし、これら以外の第三の材料が添加されて構成されてもよい。充てん材には、上記木質系材料以外の材料が含まれていてもよい。
むろん、所定の素材としては、木質系材料以外にも、微粒状の多孔質無機材料等の種々の微粒状の無機材料、FRPの廃材、熱硬化性樹脂成形体の廃材や粉末、等、様々なものを採用可能である。微粒状の多孔質無機材料としては、微粒状のフライアッシュ、微粒状の石英質系鉱物、等が考えられる。充てん材には、無機材料以外の材料が含まれていてもよい。
簡易な構造の具体例として、上記成形機構は、底部に複数の貫通穴が設けられるとともに上記粉砕機構にて粉砕された素材を収容する成形機用容器を粉砕素材導入部として備え、この成形機用容器に収容された粉砕後の素材を同貫通穴に押し込むとともに同貫通穴から同成形機用容器外に押し出される棒状の素材を切断することによりペレット形状に成形する構成としてもよい。この場合、上記成形機構は、上記成形機用容器内に設けられて当該成形機用容器内の粉砕後の素材を上記貫通穴の一方の開口から押し込み可能な押し込みローラと、上記貫通穴の他方の開口から押し出される棒状の素材を切断可能なカッタとを備える構成としてもよい。
なお、所定の素材に熱可塑性樹脂を含める構成は一例にすぎず、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることも可能である。
また、上記押出工程では、上記押出機構内において上記不定形の素材が押し出される出口の位置における素材の排出圧力を5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下として、上記軟化した所定の素材を上記押出機構にて不定形の状態で押し出してもよい。すると、不定形の素材を円滑に押し出すことができるので、ペレットを大量生産することができる。
さらに、上記不定形の素材を少なくとも用いて、上記成形工程で成形されるペレット形状の素材よりも小さくなるように粉砕してもよい。
さらに、上記不定形の素材を少なくとも用いて粒径が1mm以下となるように粉砕し、上記粉砕工程にて粒径が1mm以下となるように粉砕された素材を少なくとも用いて、当該粉砕された素材の粒子よりも大きく、かつ、直径が1mm以上8mm以下(より好ましくは3mm以上5mm以下)、長さが1mm以上30mm以下(より好ましくは3mm以上7mm以下)のペレット形状に成形してもよい。押出機構で押し出された不定形の素材が粒径1mm以下と細かく粉砕されるので、より均質化された状態で素材をペレット状に成形することができ、良質のペレットが得られる。また、ペレットの大きさが粉砕後の素材の粒子よりも大きくて適度な大きさにされるので、後成形を行う際、ペレットが原料供給用ホッパ内で詰まる等せず、混練段階で原料を均質に混練するのが容易となる。
請求項2にかかる発明では、素材を加熱軟化させることができるので、利便性を向上させることができる。
請求項4にかかる発明では、より効率的にペレットを大量生産することが可能となる。
請求項6にかかる発明では、製造されるペレットをより均質化させるとともに、当該ペレットを原料とした後成形の混練段階で原料を均質に混練するのが容易となり、より良質のペレットを製造することが可能となる。
(1)ペレット製造方法の概略およびペレットの用途:
(2)ペレット製造装置の構成:
(3)ペレット製造装置の動作およびペレット製造方法の作用:
(4)各種変形例:
(5)第二の実施形態:
(6)実施例:
(7)まとめ:
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるペレット製造装置を使用してペレットを予備成形し、当該ペレットを原料として押出成形の本成形(後成形)の成形品を製造する概略を流れ図により示している。本実施形態では、微粒状の木質系材料A2と、熱可塑性樹脂(溶融可能な樹脂)A3とを所定の素材として、ペレットを製造する。
種々の工場等で発生する廃材A1を粉砕して微粒状の木質系材料A2を得る態様が、本発明の好適な実施形態である。木質系材料A2の粒径は種々の径が採用可能であるが、後述するように不定形の素材を粒径1mm以下に粉砕するため、木質系材料A2の粒径も1mm以下とすると好適である。
変性した樹脂を製造するには、例えば付加重合前の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、熱可塑性樹脂A3に含まれる変性した樹脂は、木質系材料A2とのなじみが良くなっている。
素材を粉砕する際、不定形の素材の他に第二の素材も粉砕機に導入してもよい。この第二の素材には、粉状の熱硬化性樹脂、粉状の発泡剤、乾燥爆砕木粉、等の機能性素材を用いることができる。すると、不定形の素材を押し出すときの熱等の条件が第二の素材に加わらないので、第二の素材による機能が付与されたペレットを容易に得ることができる。ペレット中における第二の素材の配合量は、軟化した所定の素材の物理的性質、化学的性質を十分に残す観点からは、不定形の素材と等重量以下とすればよい。
また、ペレット形状に成形する際、粉砕された素材の他に粉状または繊維状の第三の素材も成形機に導入してもよい。この第三の素材には、粉状の熱硬化性樹脂、粉状の発泡剤、乾燥爆砕木粉、樹脂繊維等の繊維素材、等の機能性素材を用いることができる。すると、不定形の素材を押し出すときの熱や素材を粉砕するときの剪断力等が第三の素材に加わらないので、第三の素材による機能が付与されたペレットを容易に得ることができる。ペレット中における第三の素材の配合量は、軟化した所定の素材の物理的性質、化学的性質を十分に残す観点からは、粉砕された素材と等重量以下とすればよい。
なお、上述したいずれかの段階で粉状の熱硬化性樹脂を添加すると、熱硬化性樹脂の物性が残された新規なペレットが形成され、熱硬化性樹脂を有する素材から押出成形や射出成形やブロー成形等の後成形を行うことが可能となる。従って、当該ペレットを原料としてプラスチック成形等の後成形を行うと、この段階で熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが互いになじんだ新規のポリマーブレンドを有する成形品が得られ、強度が向上する等の効果が得られる。また、上述したいずれかの段階で粉状の発泡剤を添加すると、発泡剤の物性が残された新規なペレットが形成され、当該ペレットを原料として押出成形や射出成形やブロー成形等の後成形を行うと素材が発泡しながら成形され、発泡成形品が形成される。従って、後成形時に取り扱いに注意を要する粉状の発泡剤を添加する必要がなくなり、良質の発泡成形品を量産することが可能になる。さらに、上述したいずれかの段階で乾燥爆砕木粉を添加すると、熱により反応及び分解されてしまうリグニン分解物や多糖類がペレット中に残存して熱硬化性樹脂と同様の機能を発揮するとともに、熱により変性してしまうフルフラール等がペレット中に残存して接着剤の機能を発揮する。従って、後成形の成形性が向上したり、後成形品の強度を向上させたりする等の効果が得られる。
むろん、不定形の素材に第二の素材を添加して粉砕し、粉砕後の素材に粉状または繊維状の第三の素材を添加してペレット化してもよい。この場合、軟化した所定の素材の物理的性質、化学的性質を十分に残す観点からは、第二の素材と第三の素材の配合量の合計は、上記所定の素材と等重量以下とすればよい。
上記ペレットA5は、本成形の原料として押出成形装置A6のホッパA7に投入され、適宜熱可塑性樹脂等も本成形の原料として投入されて、加熱機付き押出機A8にて加熱されながら混練されて軟化される。ペレットA5は、加熱されて混練されることにより、崩れて分散し、均質に混合される。混練された原料は、所定形状のダイから押し出されて切断機A9にて切断される。その結果、本成形の成形品A10が得られる。
なお、ペレットA5は、建築用材に配合してもよい。建築用材はセメントを主成分としており、砂利の代替材としてペレットを使用することができる。例えば、上記ペレットA5、セメント原料粉、水を撹拌容器内に投入して撹拌し、所定の形状を有する建築用材の雌型に流し込むと、時間の経過とともに硬化して建築用材となり、種々の建築物に使用することができる。むろん、砂利等を配合してもよい。
図2はペレット製造装置の一実施形態の外観側面図であり、図3は当該ペレット製造装置の外観上面図である。ペレット製造装置10は、概略、材料供給装置11、素材搬送装置12、素材加熱装置13、ペレット成形装置20、選別搬送装置14、制御盤15を備えている。
なお、素材搬送装置12が素材を搬送する能力は、軟化された素材の粘度等の性質に応じて決定すればよい。また、素材搬送装置にて素材がよく溶融混合されると、木質系材料を使用した良質のペレットを製造することができる。
ペレット成形装置20は、軟化状態の素材の押出方向を中心軸とした円筒形状の金属製外筒部21、同外筒部21の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製部材とされた出口部22、同出口部22の下側において開口31aを上側に向けて設置されて押し出される不定形の素材M1を導入する不定形素材導入部31が設けられた粉砕機(粉砕機構)30、同粉砕機30にて粉砕された素材M2を導入する粉砕素材導入部24が形成された成形機用容器23、同成形機用容器23内に設けられた二つの押し込みローラ25,25、成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26、同ダイフェースカッタ部26を回転駆動する電動モータ27、等を備えている。
出口部22には、成形用のダイではなく、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい単一の開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。
このように、素材搬送装置12、外筒部21、出口部22は、軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出す押出機構を構成する。
なお、素材の流動性は、JIS K7210に規定されたMFR(メルトマスフローレイト。単にメルトフローレイトともいう)に準拠して単位時間当たりにメルトフローレイト測定装置から押し出される素材の質量を測定することにより求められる流量(単位:g/10min)で表すことができる。この流量がJIS K7210に準拠して求められるMFRであり、以下、この流量を単にMFRとも呼ぶことにする。
通常、微粒状の木質系材料と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30と木質系材料の多い素材は、当該素材を試料として、押出機構内で不定形の素材が押し出される出口の位置(図5のP1)における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下となる。MFRが小さいほど試料の流動性が小さいため、木質系材料の多い素材は流動性が小さいことになる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を80重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を20重量%配合した素材では、押出機構の出口の素材温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができなくなってしまう。
流動性の小さい素材については、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1〜8mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(上記出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が大きくなりすぎ、押し出すことが困難となって、ペレットを大量生産することができない。なお、排出圧力Peは、押出成形機内において上記出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。特に、排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、微粒状の木質系材料と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、このような流動性の小さい素材であっても本発明のペレット製造装置は押出機構にて混練しながら素材を押し出すことができ、ペレットを大量生産することが可能である。
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された軟化状態の不定形の素材M1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材M1が後続の素材M1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材M1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する不定形素材導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。むろん、不定形素材導入部は、押出機構から離されておらず一部が押出機構と繋がっているような構造とすることも可能である。
また、図7に示すように、押出機構の出口部22の下側から粉砕機用ホッパ32の上側まで不定形の素材M1を載置して移送するコンベア(例えばベルトコンベア)51を設けてもよい。本変形例において、押出機構から押し出された不定形の素材M1は、コンベア51上に載置され、ホッパ32方向に移送されて、当該ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。この場合、不定形の素材を移送するコンベア51とホッパ32と粉砕室33とから不定形素材導入部50が構成される。
貫通穴23dの上側開口から押し込まれた粉砕後の素材は、ローラ25,25により加圧され、同貫通穴23dの他方の開口(下側開口)から略棒状に押し出される。なお、押し込みローラは、一つでも、三つ以上でもよい。
このように、複数の貫通穴23dを有する成形機用容器23と、押し込みローラ25,25および同押し込みローラを駆動する機構25a〜cと、カッタ26bを有するダイフェースカッタ部26と、カッタ駆動用電動モータ27とは、粉砕機構にて粉砕された素材をペレット形状に成形する成形機構を構成する。
なお、素材に用いる樹脂が比較的融点の低い樹脂である場合、粉砕後の素材を成形機構にて加熱することなく底部円板23bとローラ25との間の摩擦力により十分に強固なペレットに成形される。一方、素材に用いる樹脂がナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等の比較的融点の高い樹脂である場合には、成形機用容器23(底部円板23bなど)やローラ25等にヒータを埋設して同ヒータに通電する等して温度を上昇させ、温度を上昇させた成形機用容器23やローラ25等によって素材を加熱すると、十分に強固なペレットに成形されるので好適である。
以下、本ペレット製造方法の作用を本ペレット製造装置10の動作とともに説明する。
まず、微粒状の木質系材料(例えば粒径1mm以下)と粒状の熱可塑性樹脂とからなる所定の素材を用意する。木質系材料の配合比が70重量%以上と木質系材料の多い素材は、MFRが1.0g/10min以下となる。ただし、試験温度を押出機構の出口の位置P1における素材の温度とし、MFR測定装置のおもり(荷重)を2.16kgとしている。
材料供給装置11に上記木質系材料と上記熱可塑性樹脂とを投入すると、素材搬送装置12は素材を混合しながらペレット成形装置20方向に搬送する。このとき、素材加熱装置13が素材を加熱するので、熱可塑性樹脂は溶融し、素材が軟化する。素材搬送装置12は、軟化した素材をスクリュー12gにより混合しながらペレット成形装置の外筒部21内に押し込む。ここで、溶融状態の熱可塑性樹脂は微粒状の木質系材料に滲み込みながら付着するので、木質系材料に熱可塑性樹脂が十分になじんだ(相溶化した)不定形の素材が形成される。
同スクリュー12gは、先端部が外筒部21内に挿入されているので、同外筒部21内でも軟化した素材を混合しながら出口部22方向に押す。ここで、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0以上とされているので、MFRが1.0g/10min以下と低流動性の素材であっても、素材の排出圧力Peは5.0MPa以下、通常は1.0MPa以下となる。すると、軟化しているが流動性の低い素材は、成形されることなく不定形の状態で容易に押し出される。このときの状態が、図4の不定形の素材M1として示されている。なお、素材中の木質系材料の配合割合が多いと素材M1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の熱可塑性樹脂の配合割合が多いと素材M1は太いうどん状となって押し出される。ここまでが、押出工程である。
そして、不定形の素材M1は、落下して粉砕機用ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。言い換えると、同素材M1は、不定形のまま不定形素材導入部31に導入されることになる。なお、粉状の熱硬化性樹脂等の第二の素材を添加する際には、第二の素材を粉砕機用ホッパ32に投入すればよい。
そして、粉砕後の素材M2は、落下して成形機用容器23内に収容される。この状態を、図9の要部断面図にて示している。なお、粉状の熱硬化性樹脂等の第三の素材を添加する際には、第三の素材を成形機用容器23に投入すればよい。
上記充てん材には、木質系材料以外にも、微粒状の多孔質無機材料等を用いてもよい。なお、素材中の各原料の配合割合は、充てん材や樹脂の種類に応じて異なるが、例えば、100μm〜1mm径の充てん材であれば充てん材60〜99.9重量%に対して樹脂(酸変性樹脂を含む)0.1〜40重量%、1μm〜100μm充てん材であれば充てん材50〜60重量%に対して樹脂(酸変性樹脂を含む)40〜50重量%、1nm〜1μm径の充てん材であれば充てん材20〜50重量%に対して樹脂(酸変性樹脂を含む)50〜80重量%、等とすることができる。
上記粉砕機構には、種々の公知の粉砕機を使用可能である。
上記成形機用容器を加熱する容器加熱手段を設けてもよい。上記成形機用容器23内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、成形機用容器23を加熱することができる。すると、成形機用容器23内に収容された不定形の素材の冷却による固化を防ぐことができ、ペレットの製造効率をより向上させることができる。
上記カッタを加熱するカッタ加熱手段を設けてもよい。例えば、上記カッタテーブル26a内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、カッタを加熱することができる。すると、熱可塑性樹脂を含む素材をカッタの近傍にて軟化させて容易に切断することができ、ペレットの製造効率をさらに向上させることができる。
すなわち、ホッパ123と、圧延ロール125a,bおよび同圧延ロールを駆動する機構と、シュレッダ126とが、成形機構を構成する。
以上のように構成しても、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、粉砕後の素材を圧延ロールにて略平板状に圧延し、シュレッダにより細断するという簡易な構造かつ汎用的な機構を利用して、確実に不定形の素材をペレット形状に成形することができる。なお、シュレッダは様々な構造が考えられ、図12に示した構造以外のものであってもよい。
図13は、第二の実施形態にかかるペレット製造装置の粉砕機(粉砕機構)130を示している。なお、押出機構や成形機構等は、第一の実施形態と同じである。第一の実施形態での符号を用いて説明すると、本ペレット製造装置は、外筒部21、出口部22、同出口部22の下側において開口131aを上側に向けて設置されて押し出される不定形の素材M1を導入する不定形素材導入部131が設けられた粉砕機130、同粉砕機130にて粉砕された素材を導入する粉砕素材導入部24が形成された成形機用容器23、押し込みローラ25,25、ダイフェースカッタ部26、電動モータ27、等を備えている。
粉砕機用ホッパ132は、出口部の開口22aから押し出された不定形の素材M1を一旦収容し、当該素材M1を下部開口132bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室133内へ供給することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する不定形素材導入部131が、ホッパ132と粉砕室133に形成されていることになる。
ペレットを無機材料のように熱膨張が小さく難燃性とするためには、フライアッシュに対して同フライアッシュと等重量以下の熱可塑性樹脂を混合すればよい。フライアッシュを51〜99重量%(好ましくは70〜95重量%)とし、熱可塑性樹脂を1〜49重量%(好ましくは5〜30重量%)とすると、建造物の材料等への用途として非常に良質のペレットを得ることができた。ここで、熱可塑性樹脂を1重量%以上(好ましくは5重量%以上)とするのはペレットを固まりのまま崩さずに固化させるためであり、フライアッシュを51%以上(好ましくは70重量%以上)とするのは建造物の材料等として非常に良好な強度を得るためである。
通常、フライアッシュと熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30とフライアッシュの多い素材は、当該素材を試料としてMFRを、押出機構内の出口の位置P1における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下と流動性が小さい。このような流動性の小さい素材は、通常、樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、本発明のペレット製造装置は押出機構にて混練しながらこのような低流動性の素材を押し出すことができ、ペレットを大量生産することが可能である。
なお、充てん材として、一部あるいは全部を微粒状の石英質系鉱物にすることも可能である。
例えば、シランカップリング処理により変性したフライアッシュ51〜99重量%(好ましくは70〜95重量%)に対してポリアミドを1〜49重量%(好ましくは5〜30重量%)を配合して所定の素材とすることができる。
粉砕機130では、常時モータ136に通電してあり、回転駆動軸136aを介して載置テーブル134が回転駆動される。すると、載置テーブル134の上面で当該テーブル134の上下方向を軸とする回転動に従動して粉砕ローラが左右方向を軸として回転動し、粉砕室133内に導入された不定形の素材は、載置テーブル134上と粉砕ローラ135,135周面との間で粒径1mm以下に粉砕される。ここで、導入された素材は微粒状のフライアッシュに熱可塑性樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだフライアッシュが粉砕され、均質にされる。また、粉体輸送機137の送風機にも常時通電してあり、粉砕されて粉砕室133の内周面と載置テーブル134の外周面との間133bから収容室133a内に落下した素材が粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口よりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口から下方に向けて吐出される。そして、粉砕後の素材は、落下して成形機用容器23内に収容される。
特にフライアッシュや石英質系鉱物といった硬質の無機材料を主成分とする素材からペレットを製造する場合、容易に不定形の素材を粉砕することができるので、好適である。
なお、粉砕機構としては、公知の種々の粉砕機を使用可能である。
また、押出機構で押し出された不定形の素材が一旦粉砕されて成形機構に供給されるので、製造されるペレットをより均質化させることができ、当該ペレットを原料とした成形品等をより均質化させることの可能な良質のペレットを大量生産することができる。また、充てん材に樹脂が良くなじんだ後に粉砕され、粉砕後の素材がペレット化されるので、ペレットを原料とした後成形時に原料段階ではペレット形状を維持させ、熱が加わる混練段階でペレットを崩れやすくさせて良好に分散させる。従って、後成形の成形品を成形することが容易となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形しやすくなるので、単位時間当たりのペレット生産量をさらに増やすことが可能となる。
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
[実施例1]
木質系材料として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂(主成分)として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。添加剤(副成分)として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、押出機構の出口部にダイを取り付けず、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。従って、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0に等しい条件で試験を行っている。
粉砕機として、井上電設社製のウッドグラインダーとファインシュレッダーとを用いた。
以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。この180℃を試験温度θとし、荷重を2.16kgとして素材のMFRをMFR測定装置にて測定するとともに、押出機構内の出口の位置P1における排出圧力Peを圧力計にて測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
素材の配合量:
木粉 80重量%
PP 18重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量%
計 100重量%
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。さらに、粉砕機も実施例1と同じものを用いた。
以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRと排出圧力Peを測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
素材の配合量:
木粉 85重量%
PP 13重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量%
計 100重量%
フライアッシュとして、粒径500μm以下に粉砕したフライアッシュを用いた。PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。さらに、粉砕機も実施例1と同じものを用いた。
以下に記載した素材の配合量でフライアッシュとPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRと排出圧力Peを測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
素材の配合量:
フライアッシュ 80重量%
PP 18重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量%
計 100重量%
フライアッシュは、実施例1と同じものを用いた。ただし、このフライアッシュ100重量部に対してシランカップリング剤(日本コニカ社製APZ−6601)1重量部を用いてシランカップリング処理を行った。熱可塑性樹脂として、JIS K7210の条件(試験温度235℃、荷重2.16kg)におけるMFRが55(g/10min)のポリアミド(東洋紡社製T802)を用いた。
加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。さらに、粉砕機も実施例1と同じものを用いた。
以下に記載した素材の配合量でシランカップリング処理により変性したフライアッシュとポリアミドとを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を220℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、200℃であった。実施例1と同様にして、MFRと排出圧力Peを測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
素材の配合量:
変性フライアッシュ 70重量%
Ny6 30重量%
計 100重量%
木粉、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。素材の配合量も、実施例1と同じにした。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。ただし、押出機構の出口部に径5mmの貫通穴を複数有するダイを取り付けて使用した。
木粉と高流動性PPとを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら押し出す状態とし、押出機構内の出口の位置P1における排出圧力Peを圧力計にて測定した。
フライアッシュ、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。素材の配合量も、実施例1と同じにした。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。ただし、押出機構の出口部に径5mmの貫通穴を複数有するダイを取り付けて使用した。
フライアッシュと高流動性PPとを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら押し出す状態とし、押出機構内の出口の位置P1における排出圧力Peを圧力計にて測定した。
実施例1よりも木粉の配合比を多くした実施例2では、素材はMFRが0.0g/10minと流動性が小さかったが、排出圧力Peが0.2MPaとなって押出機から不定形の状態で素材を押し出すことができ、不定形の素材の押出量は220kg/時となった。そして、連続してペレットを作製することができた。
シランカップリング処理を行ったフライアッシュとポリアミドを用いた実施例4では、素材はMFRが0.3g/10minと流動性が小さかったが、排出圧力Peが0.1MPaとなって押出機から不定形の状態で素材を押し出すことができ、不定形の素材の押出量は150kg/時となった。そして、連続してペレットを作製することができた。
実施例1〜4で作製されたペレットを断面110mm×9mm角の押出成形品を形成する加熱機付き混練押出成形機に投入し、混練押出成形機に供給した原料を実施例1〜3のペレットでは230℃、実施例4のペレットでは200℃、に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、成形品を試作したところ、均質な成形品が得られた。
[実施例5]
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。粉砕機として、井上電設社製のウッドグラインダーとファインシュレッダーとを用いた。後成形時に用いる加熱機付き混練押出成形機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、110mm×9mm角のダイを取り付け、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。
以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRと排出圧力Peを測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
そして、作製したペレットを加熱機付き混練押出成形機に投入し、200℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、後成形の成形品を試作した。その際、混練押出成形機内の出口の位置における押出圧力(排出圧力)を圧力計にて測定し、成形品に未溶融部分が見られるか否かを評価し、成形品の曲げ強度を測定した。
素材の配合量:
木粉 80重量%
PP 18重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量%
計 100重量%
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は実施例5と同じものを用い、素材の配合比も実施例5と同じにした。また、ペレット作製用の加熱機付き混練押出機、後成形時に用いる加熱機付き混練押出成形機も実施例5と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例5と同じにした。
木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRと排出圧力Peを測定した。ただし、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕せずに、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
そして、作製したペレットを加熱機付き混練押出成形機に投入し、200℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、後成形の成形品を試作した。その際、混練押出成形機内の出口の位置における排出圧力を圧力計にて測定し、成形品に未溶融部分が見られるか否かを評価し、成形品の曲げ強度を測定した。
粉砕工程を設けなかった比較例ではペレットの成形量が120kg/hrと比較的少なかったのに対し、粉砕工程を設けた実施例ではペレットの成形量が220kg/hrと比較的多かった。これは、粉砕した場合には素材が粉砕されてダイの貫通穴に入りやすくなるため成形量が多いと推察される。
また、比較例では後成形時の素材の押出圧力が18MPaと比較的大きいのに対し、実施例では同押出圧力が10MPaと比較的小さかった。これは、不定形の素材を粉砕していない場合には素材が比較的大きな塊となって押し出されるため圧力が大きくなり、粉砕した場合にはこのような塊が粉砕されて細かくされるので圧力が小さくなるためと推察される。
さらに、比較例では素材の未溶融部分が見られ、不均質であったのに対し、実施例では素材の未溶融部分は見られず、均質であった。これは、不定形の素材を粉砕していない場合には素材に比較的大きな未溶融部分が混在したまま押し出されて成形されるのに対し、粉砕した場合にはこのような未溶融部分が細かくされるので後成形の成形品に未溶融部分が見られなくなるためと推察される。
さらに、比較例では後成形の成形品の曲げ強度が42MPaと比較的大きいのに対し、実施例では同曲げ強度が28MPaと比較的小さかった。これも、不定形の素材を粉砕していない場合には成形品に未溶融部分が混在して不均一となることにより曲げる力に対して弱くなり、粉砕した場合には未溶融部分が混在せず均一となることにより曲げる力に対して強くなるためと推察される。
以上より、押出工程と成形工程との間に粉砕工程を設けることによって、ペレットをより均質にさせることができ、当該ペレットを原料とした後成形品をより均質にさせることが確認された。
[実施例6]
試験区1は粉砕後の素材に粉末状フェノール樹脂を添加した例、試験区2は試験区1の比較例として粉砕後の素材に粉末状フェノール樹脂を添加しなかった例を示している。
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。粉末状の熱硬化性樹脂として、粉末フェノール樹脂を用いた。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。粉砕機も実施例1と同じものを用いた。後成形時に用いる加熱機付き混練押出成形機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、110mm×9mm角のダイを取り付け、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。
試験区1,2ともに、以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRを測定した。次に、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機に投入し、粒径1mm以下に粉砕した。
混練押出機に投入した素材の配合量:
木粉 78重量部
PP 18重量部
マレイン酸変性樹脂 2重量部
計 98重量部
試験区1では、以下に記載した配合量で、粉砕後の素材と上記粉末フェノール樹脂とを混合してペレット成形機に投入した。
ペレット成形機に投入した素材の配合量:
上記粉砕後の素材 98重量部
フェノール樹脂 2重量部
計 100重量部
そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
試験区2では、粉砕後の素材のみをペレット成形機に投入した。そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
その後、試験区1,2ともに、それぞれ、作製したペレットを加熱機付き混練押出成形機に投入し、200℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、後成形の成形品を試作した。
従って、粉砕後の素材に粉状のフェノール樹脂を添加しても、フェノール樹脂を添加しない場合と同様にペレットの保形性は良好であり、後成形の成形品についてもフェノール樹脂を添加しない場合と同様に均質であることが確認された。
以上により、熱硬化性樹脂を含む素材を原料として良好な成形性で押出成形を行うことができ、熱硬化性樹脂を含む均質な押出成形品が得られることが確認された。これは、加熱して不定形の素材を形成し、粉砕した後にフェノール樹脂を添加したため、熱硬化性樹脂の機能が失われずにペレットが形成され、後成形時に熱硬化性樹脂の機能が発揮されて均質な押出成形品が形成されたためと推察される。
試験区1は粉砕後の素材に粉末状の発泡剤を添加した例、試験区2は試験区1の比較例として粉砕後の素材に粉末状の発泡剤を添加しなかった例を示している。
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。粉末状の発泡剤として、重曹を用いた。また、加熱機付き混練押出機も実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。粉砕機も実施例1と同じものを用いた。後成形時に用いる加熱機付き混練押出成形機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、110mm×9mm角のダイを取り付け、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。
試験区1,2ともに、以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRを測定した。次に、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機に投入し、粒径1mm以下に粉砕した。
混練押出機に投入した素材の配合量:
木粉 50重量部
PP 46重量部
マレイン酸変性樹脂 2重量部
計 98重量部
試験区1では、以下に記載した配合量で、粉砕後の素材と上記粉末状の発泡剤とを混合してペレット成形機に投入した。
ペレット成形機に投入した素材の配合量:
上記粉砕後の素材 98重量部
粉末状の発泡剤 2重量部
計 100重量部
そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
試験区2では、粉砕後の素材のみをペレット成形機に投入した。そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
その後、試験区1,2ともに、それぞれ、作製したペレットを加熱機付き混練押出成形機に投入し、200℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、後成形の成形品を試作した。
従って、粉砕後の素材に粉状の発泡剤を添加しても、発泡剤を添加しない場合と同様にペレットの保形性は良好であり、後成形の成形品についても均質であることが確認された。
以上により、発泡剤を含む素材を原料として良好な成形性で押出成形を行うことができ、均質な発泡成形品が得られることが確認された。これは、加熱して不定形の素材を形成し、粉砕した後に発泡剤を添加したため、発泡剤の機能が失われずにペレットが形成され、後成形時に発泡剤の機能が発揮されて均質な発泡成形品が形成されたためと推察される。
試験区1は粉砕後の素材に乾燥爆砕木粉を添加した例、試験区2は試験区1の比較例として粉砕後の素材に乾燥爆砕木粉を添加しなかった例を示している。
木質系材料、PP、マレイン酸変性樹脂は、実施例1と同じものを用いた。
また、乾燥爆砕木粉を以下のようにして調製した。
すなわち、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を2kg用いた。当該木粉を圧力反応釜の中に入れ、さらに6kgすなわち300重量%(当該木粉の重量を基準とした相対量)の水を添加して、水蒸気存在下で飽和水蒸気圧230℃まで加熱しながら加圧した。この状態を、10分間保持した後、圧力反応釜のバルブを開いて圧力反応釜の内容物を急激に外気へ放出して減圧し、木粉を爆砕した。このときに得られた爆砕物の含水率は、200重量%であった。
存在する水分を除去することなく上記爆砕物を乾燥台上に平たく薄く厚さ1cmとなるように載せ、送風乾燥機にて100℃で加熱しながら、送風機にて爆砕材料に風速0.5m/secで送風しながら、24時間、絶乾処理を行った。その後、送風乾燥機内を30℃に下げ、乾燥爆砕木粉を得た。当該乾燥爆砕木粉の含水率を測定したところ、0重量%であった。
試験区1,2ともに、以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。実施例1と同様にして、MFRを測定した。次に、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機に投入し、粒径1mm以下に粉砕した。
混練押出機に投入した素材の配合量:
木粉 70重量部
PP 18重量部
マレイン酸変性樹脂 2重量部
計 90重量部
試験区1では、以下に記載した配合量で、粉砕後の素材と上記乾燥爆砕木粉とを混合してペレット成形機に投入した。
ペレット成形機に投入した素材の配合量:
上記粉砕後の素材 90重量部
乾燥爆砕木粉 10重量部
計 100重量部
そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
試験区2では、粉砕後の素材のみをペレット成形機に投入した。そして、投入した素材をペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
その後、試験区1,2ともに、作製したペレットを加熱機付き混練押出成形機に投入し、200℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、後成形の成形品を試作した。
従って、粉砕後の素材に乾燥爆砕木粉を添加しても、乾燥爆砕木粉を添加しない場合と同様にペレットの保形性は良好であり、後成形の成形品についても乾燥爆砕木粉を添加しない場合と同様に均質であることが確認された。
以上により、爆砕木粉を含む素材を原料として良好な成形性で押出成形を行うことができた。
なお、粉砕前の不定形の素材に粉状の機能性素材(第二の素材)を添加しても、加熱して不定形の素材を形成した後に機能性素材を添加することになるため、機能性素材の機能が失われずにペレットが形成され、良好な保形性のペレットが得られ、均質な後成形品が得られる。
本ペレット製造方法では、MFRが1.0g/10min以下と流動性の小さい素材であっても、押出機構内の出口の位置における素材の排出圧力を5.0MPa以下としているので、素材の押出流量は制限されず、ペレットを大量生産することが可能となる。ここで、押出機構で押し出された不定形の素材は、一旦粉砕され、粉砕後の素材がペレット化されるので、より均質化された状態でペレットを製造することができる。また、製造されたペレットを原料として後成形を行う時に原料段階では粉体状に崩れず、熱を加える混練段階でペレットが崩れやすくなって分散性が向上するので、より容易に後成形の成形品を成形することが可能となる。
特に、溶融可能な樹脂に大量の充てん材を配合した素材の場合、押出工程を経ずに粉砕してペレット形状に成形すると、充てん材に樹脂がなじまず、ばらばらに崩れて粉体状になりやすい。押出工程を経た後に粉砕してペレット形状に成形すると、充てん材に樹脂が良くなじんだ後にペレット化されるので、高充填量の充てん材が配合されて成形されたペレットを原料とした後成形を行ったときに原料段階ではペレットが粉体状に崩れることなく混練段階で崩れて分散し、容易に原料を均質に混練することができる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、有用なペレット製造方法およびペレット製造装置を提供することができる。
11…材料供給装置
12…素材搬送装置
13…素材加熱装置
14…選別搬送装置
15…制御盤
20,120…ペレット成形装置
21…外筒部
21a…素材流入口
22…出口部
22a…開口
23…成形機用容器
24,124…粉砕素材導入部
30,130…粉砕機(粉砕機構)
31,50,131…不定形素材導入部
32,132…粉砕機用ホッパ
33,133…粉砕室
34…回転テーブル
35…回転刃
36,136…電動モータ
37,137…粉体輸送機
37a…粉体吐出口
37b…粉体吸引口
40…冷却槽
51…コンベア
123…金属製ホッパ
134…載置テーブル
135…粉砕ローラ
A1…廃材
A2…木質系材料
A3…熱可塑性樹脂
A5…ペレット
M1…不定形の素材
M2,M3,M12,M13…粉砕後の素材
M4…略棒状の素材
M14…圧延された素材
M15…成形された素材
Claims (6)
- 軟化した所定の素材を押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す押出工程と、
上記押出機構から押し出された不定形の素材を少なくとも用いて粉砕する粉砕工程と、
この粉砕工程にて粉砕された素材を少なくとも用いてペレット形状に成形する成形工程とを備えることを特徴とするペレット製造方法。 - 上記所定の素材を熱可塑性樹脂が含まれる素材とし、上記押出工程では上記所定の素材を素材加熱機構にて加熱して軟化させるとともに当該軟化した素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出すことを特徴とする請求項1に記載のペレット製造方法。
- 上記所定の素材は、当該素材を試料としてJIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)を、上記押出機構内で上記不定形の素材が押し出される出口の位置における素材の温度を試験温度とし、荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが1.0g/10min以下の素材とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のペレット製造方法。
- 上記押出工程では、上記押出機構内において上記不定形の素材が押し出される出口の位置における素材の排出圧力を5.0MPa以下として、上記軟化した所定の素材を上記押出機構にて不定形の状態で押し出すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のペレット製造方法。
- 上記粉砕工程では、上記不定形の素材を少なくとも用いて粒径が1mm以下となるように粉砕し、
上記成形工程では、上記粉砕工程にて粒径が1mm以下となるように粉砕された素材を少なくとも用いて、当該粉砕された素材の粒子よりも大きく、かつ、直径が1mm以上8mm以下、長さが1mm以上30mm以下のペレット状に成形することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のペレット製造方法。 - 軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出す押出機構と、
この押出機構から押し出された不定形の素材を少なくとも用いて粉砕する粉砕機構と、
この粉砕機構にて粉砕された素材を少なくとも用いてペレット形状に成形する成形機構とを具備することを特徴とするペレット製造装置。
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