JP7062321B2 - 精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品 - Google Patents

精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品 Download PDF

Info

Publication number
JP7062321B2
JP7062321B2 JP2021516177A JP2021516177A JP7062321B2 JP 7062321 B2 JP7062321 B2 JP 7062321B2 JP 2021516177 A JP2021516177 A JP 2021516177A JP 2021516177 A JP2021516177 A JP 2021516177A JP 7062321 B2 JP7062321 B2 JP 7062321B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
punch
wall
metal material
precision
peripheral wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021516177A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020218377A1 (ja
Inventor
志剛 王
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Tokai National Higher Education and Research System NUC
Publication of JPWO2020218377A1 publication Critical patent/JPWO2020218377A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7062321B2 publication Critical patent/JP7062321B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21KMAKING FORGED OR PRESSED METAL PRODUCTS, e.g. HORSE-SHOES, RIVETS, BOLTS OR WHEELS
    • B21K21/00Making hollow articles not covered by a single preceding sub-group
    • B21K21/08Shaping hollow articles with different cross-section in longitudinal direction, e.g. nozzles, spark-plugs
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21JFORGING; HAMMERING; PRESSING METAL; RIVETING; FORGE FURNACES
    • B21J13/00Details of machines for forging, pressing, or hammering
    • B21J13/02Dies or mountings therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21JFORGING; HAMMERING; PRESSING METAL; RIVETING; FORGE FURNACES
    • B21J5/00Methods for forging, hammering, or pressing; Special equipment or accessories therefor
    • B21J5/02Die forging; Trimming by making use of special dies ; Punching during forging
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21JFORGING; HAMMERING; PRESSING METAL; RIVETING; FORGE FURNACES
    • B21J5/00Methods for forging, hammering, or pressing; Special equipment or accessories therefor
    • B21J5/06Methods for forging, hammering, or pressing; Special equipment or accessories therefor for performing particular operations
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21KMAKING FORGED OR PRESSED METAL PRODUCTS, e.g. HORSE-SHOES, RIVETS, BOLTS OR WHEELS
    • B21K1/00Making machine elements
    • B21K1/28Making machine elements wheels; discs
    • B21K1/30Making machine elements wheels; discs with gear-teeth
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21KMAKING FORGED OR PRESSED METAL PRODUCTS, e.g. HORSE-SHOES, RIVETS, BOLTS OR WHEELS
    • B21K21/00Making hollow articles not covered by a single preceding sub-group
    • B21K21/02Producing blanks in the shape of discs or cups as semifinished articles for making hollow articles, e.g. to be deep-drawn or extruded

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Forging (AREA)

Description

本開示は、精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品に関する。
冷間鍛造である精密鍛造は、高精度部品を低コストで製造できるため、自動車や電気電子機器などに用いられる小物精密部品の製造に広く使われている(特許文献1、特許文献2参照)。精密鍛造は基本工法である据込みと押出しとの組合せで成形加工を行い、成形加工工程の最終段階では、被加工材を金型の未充満部に押し込むために多大な工具圧力が必要となる。
特開平4-55034号公報 特開昭61-255740号公報
王 志剛(Zhi Gang Wang),董 文正(Wen Zheng Dong),谷藤 裕康(Hiroyasu Yatou),"板鍛造による絞りカップ外周フランジの成形法(A new forming method of flange on a drawn cup by plate forging)",Procedure Manufactuaring 15 (2018) 955-960,[online],"第17回 金属加工国際会議(17th International Conference on Metal Forming)",金属加工 2018,16-19 9月 豊橋,日本 (Metal Forming 2018,16-19 September,Toyohashi,Japan)[令和2年3月24日検索]、インターネット<https://www.sciencedirect.com/journal/procedia-manufacturing/vol/15/suppl/C?page=2>
現状の技術では、被加工材の材料流れ及び潤滑等の加工条件を最適化しても工具圧力は最低でも被加工材の引張強さの3倍以上が必要である。そのため、工具材料の耐圧限度の制約上、高強度材料或いは、寸法の大きい部品の精密鍛造は不可能である。
なお、非特許文献1の図6では、絞りカップの外向きフランジの加工成形が行われている。この例では、絞りカップの周壁の外周側の一部をパンチでシェービング加工し、そのシェービング加工された金属部分が、外向きフランジとなるように成形されている。しかし、外向きフランジは、加工成形時にはカップの軸心に対して放射方向にある自由空間に向けて拘束されることなく延びるように変形される。このため、パンチの刃先先端に相対する周壁の部分において、材料割れのリスクがある。図23は、前記シェービング加工された絞りカップを軸心方向に沿って切断したときの外向きフランジとカップの周壁の連結部分の切断断面である。図24は、図23において、四角枠で囲まれた部分の拡大断面である。両図に示すように、外向きフランジと周壁の連結部分に材料割れが生じているのが確認できる。
本開示の目的は、精密鍛造における過大な工具圧力を回避できて、割れのリスクがない精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品を提供することにある。
本開示の精密鍛造法は、パンチの移動方向に沿って延びる壁部と、該壁部から前記移動方向と交差する方向に延出された加工前突出壁と、を有する金属材料を、ダイのダイ孔内に配置して前記パンチの移動により、前記金属材料を鍛造することを含む。
前記精密鍛造法は、加工端面と前記加工端面の縁部に形成された切刃とを有する前記パンチを、前記金属材料の前記壁部の厚さ方向の一部及び前記加工前突出壁に対向するように、前記ダイ孔に配置する第1ステップを含む。
さらに、前記精密鍛造法は、前記金属材料を前記パンチの移動方向において保持し、かつ、前記加工前突出壁の前記交差方向の長さを保持した状態で、前記パンチを前記壁部の高さの範囲内で移動させ、それによって、前記壁部の厚さ方向の一部を前記パンチの移動経路上において前記切刃によって切り込むとともに、その切り込まれた部分を前記加工前突出壁の方向へ移動させるように前記切り込まれた部分に剪断変形を起こさせる第2ステップを含む。
また、前記壁部が前記ダイ孔の内面に少なくとも一部が面接触するはめあい領域を有し、かつ、前記加工前突出壁は前記はめあい領域の反対側に有する前記金属材料を、前記ダイ孔内に配置すること、および前記パンチの切刃が前記ダイ孔の内面から少なくとも前記壁部の厚さより小さく離間して配置されること、を含んでもよい。前記第2ステップは、前記壁部のはめあい領域が残存移動するように前記金属材料を前記切刃によって切り込むことを含んでもよい。
また、前記第1ステップは、前記壁部が前記ダイ孔の内面から離間し、かつ、前記加工前突出壁が前記ダイ孔の内面に少なくとも一部が面接触するように、前記金属材料を前記ダイ孔内に配置すること、および、前記切刃が前記面接触する側より内側に形成されていることを含んでいてもよい。
また、前記精密鍛造法において、前記パンチは第1パンチであり、前記第1ステップは、第2パンチを、前記加工前突出壁を挟んで前記第1パンチとは反対側に配置することを含んでもよい。また、第2ステップは、前記第2パンチを、第1パンチの前記移動方向への移動に追従して移動させることを含んでもよい。
また、前記精密鍛造法において、前記壁部は周壁であり、前記パンチの前記周壁に対する切り込み量をtとしたとき、前記パンチの前記交差方向における長さは、前記周壁の内径よりも2tmm大きくてもよい。前記加工前突出壁の厚さtc0は0.1mm≦tc0≦20mmを満たしてもよい。前記周壁と前記加工前突出壁との間の接合線であって、前記加工前突出壁を挟んで前記パンチとは反対側に位置する接合線における曲率半径をrcpとしたとき、rcp/tc0<2.0が成立してもよい。そして、t/tc0が下記不等式(1)を満たすように前記金属材料が加工されてもよい。
/tc0≧0.052rcp/tc0+0.23 ……(1)
また、前記精密鍛造法において、前記壁部は周壁であり、前記パンチの前記周壁に対する切り込み量をtとしたとき、前記パンチの前記交差方向における長さは、前記周壁の内径よりも2tmm大きくてもよい。前記加工前突出壁の厚さtc0は0.1mm≦tc0≦20mmを満たしてもよい。前記周壁と前記加工前突出壁との間の接合線であって、前記加工前突出壁を挟んで前記パンチとは反対側に位置する接合線における曲率半径をrcpとしたとき、rcp/tc0≧2.0が成立してもよい。そして、t/tc0が下記不等式(2)を満たすように前記金属材料が加工されてもよい。
/tc0≧3.0rcp/tc0-5.7 ……(2)
また、前記精密鍛造法において、前記第2ステップは、前記金属材料を前記パンチの移動方向において保持すべく、ストッパを前記壁部の先端面に当接させることを含んでもよい。
本開示の精密鍛造装置は、金属材料を鍛造する精密鍛造装置であって、前記精密鍛造装置は、前記金属材料が配置されるように構成されたダイ孔を有するダイと、前記金属材料を鍛造するべく、前記ダイ孔内を移動するように構成されたパンチと、を備える。前記金属材料は、前記パンチの移動方向に沿って延びる壁部と、該壁部から前記移動方向とは交差する方向に延出された加工前突出壁と、を有する。前記パンチは、前記金属材料が前記ダイ孔内に配置されたとき、前記壁部の厚さ方向の一部及び前記加工前突出壁に対して対向して配置される。前記パンチは、加工端面と、前記加工端面の縁部に形成された切刃と、を有している。前記切刃は、前記パンチが前記壁部の高さの範囲内で移動された際、前記壁部の厚さ方向の一部を前記パンチの移動経路上において切り込むとともに、その切り込まれた部分に剪断変形を起こさせるように構成される。
また、前記精密鍛造装置は、前記パンチが移動する際、前記壁部の先端面に当接して、前記金属材料を前記パンチの移動方向において保持するように構成されたストッパを備えていてもよい。
本開示の精密鍛造品は、第1方向に延設された壁部と、前記壁部から前記第1方向と交差する第2方向に延設された加工後の突出壁と、を備える。前記加工後の突出壁は、前記壁部と前記加工後の突出壁との間の接合線(A)が存在する側にある第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する。前記精密鍛造品はさらに、前記接合線(A)から前記第2面の接合線(B)まで延びる鍛流線(W)を有する。
また、前記精密鍛造品において、前記壁部が、周回するように延びる周壁であってもよく、前記加工後の突出壁が、前記周壁の内面に形成された内向きフランジまたは底部、或いは周壁の外面に形成された外向きフランジであってもよい。
また、前記精密鍛造品において、前記壁部が、平板形状であるか、または前記第1方向と直交する横断面で見た場合、湾曲または屈曲していてもよい。
本開示によれば、精密鍛造における過大な工具圧力を回避できて、割れのリスクがない効果を奏する。
(a)~(c)は、第1実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 (a)は切削鍛造の原理図、(b)は、剪断速度Vとパンチの速度Vと、切りくずの剪断領域付近の径方向の速度Vとの関係を示す説明図。 (a)は、金属材料の切削鍛造前の要部断面図、(b)は金属材料の切削鍛造後の要部断面図。 (a)は切削鍛造開始時のパンチのコーナ近傍の断面図、(b)は(a)の拡大断面図、(c)は(a)よりも後の段階でのパンチのコーナ近傍の断面図、(d)は(c)の拡大断面図、(e)は(c)よりも後の段階でのパンチのコーナ近傍の断面図、(f)は(e)の拡大断面図。 パンチのストロークに対するp/Cの特性図。 (a)は切削鍛造開始時の底部の内面の周縁部近傍(カウンタパンチのコーナ近傍)の拡大断面図、(b)は(a)よりも後の段階での底部の内面の周縁部近傍(カウンタパンチのコーナ近傍)のひけが生じている部分の拡大断面図、(c)は(b)よりも後の段階での底部の内面の周縁部近傍(カウンタパンチのコーナ近傍)のひけが生じている部分の拡大断面図、(d)は(c)よりも後の段階での底部の内面の周縁部近傍(カウンタパンチのコーナ近傍)のコーナ近傍のひけが生じている部分の拡大断面図。 ひけが生ずる領域と、ひけが生じない領域を表す特性図。 (a)は金属材料10の鋼板の断面図、(b)は絞り工程後の金属材料10、(c)はしごき加工後の金属材料10の断面図、(d)は精密鍛造後の金属材料10の断面図。 (a)鍛流線が現れた鍛造品の断面写真、(b)は鍛流線を線で示す鍛造品の断面写真。 図9(a)の鍛造品の断面部位にビッカース硬度を付した断面写真。 (a)は第2実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工前の金属材料の縦断面図、(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図、(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図。 (a)及び(b)は、第2実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 (a)は第3実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工前の金属材料の縦断面図、(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図、(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図。 (a)及び(b)は、第3実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 (a)は第4実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工前の金属材料の縦断面図、(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図、(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図。 (a)及び(b)は、第4実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 (a)は第5実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工前の金属材料の縦断面図、(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図、(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図。 (a)は第6実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工前の金属材料の縦断面図、(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図、(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図。 (a)は第7実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は加工後の精密鍛造品の斜視図。 (a)及び(b)は、第7実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 (a)は第8実施形態の加工前の金属材料の斜視図、(b)は第8実施形態の加工後の精密鍛造品の斜視図、(c)は第9実施形態の加工後の精密鍛造品の斜視図。 (a)及び(b)は、第8実施形態の精密鍛造法のステップを示す説明図。 非特許文献1のシェービング加工された絞りカップを軸心方向に沿って切断したときの外向きフランジとカップの周壁の連結部分の切断断面。 図23において、四角枠で囲まれた部分の拡大断面。
図1及び図2を参照して、第1実施形態の精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品を説明する。まず、本実施形態で使用する金属材料10について説明する。
<金属材料10>
図1(a)に示すように、金属材料10は、塑性加工法で採用できる材質であればよく、限定するものではない。例えば、塑性加工法に用いられる薄鋼板としては、冷間圧延高張力鋼板(SPFC、SPFCY、SPFH、SPFHY)、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCCT、SPCD、SPCE、SPCEN)、SPP等を挙げることができる。また、塑性加工法に用いられるステンレス鋼としては、SUS201、SUS304、SUS316、SUS321、SUS440、SUS450等を挙げることができる。塑性加工法に用いられるアルミニウム合金展伸材としては、A3003、A3004、A5005、A2014、A2017、A2024等を挙げることができる。また、塑性加工法に用いられる金属材料としては、合金鋼:SCr(クロム鋼)材、SCM(クロムモリブデン鋼)材、SNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼)材等を挙げることができる。
後述する第1ステップで使用される金属材料10の形状は、図1(a)に示すように、周回するように延びる壁部である周壁14と、周壁14の一端側において周壁14に一体に連結された底部12Aとを有していて、周壁の他端が開口している。この形状に成形する方法は、限定しない。例えば、絞り加工で成形されていてもよく、切削加工で形成されていてもよい。周壁14は、その軸心方向である第1方向に延設されている。底部12Aは、周壁14から軸心方向と交差する方向(詳細には、直交する方向)、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されている。底部は、精密鍛造前、すなわち、加工前においては、符号“12A”で示され、精密鍛造中及び精密鍛造後は符号“12B”で示される。底部12Aは加工前突出壁に相当する。底部12Bは加工後の突出壁に相当する。
周壁14で囲まれて形成された空間16の横断面形状は、円形状、楕円形状、歯車状、四角形状等を挙げることができるが、これ以外の他の形状であってもよく限定するものではない。
<精密鍛造装置>
次に、本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図1(a)~図1(c)、及び図2(a)に示すように精密鍛造装置50は、ダイ20、パンチ30、ストッパ24、及びカウンタパンチ40を備えている。なお、図1(a)~図1(c)、図2(a)、図4(a)~図4(f)では、説明の便宜上、パンチ30、カウンタパンチ40、ストッパ24及びダイ20は上下逆に図示されており、鍛造時にはパンチ30を図面中において下方から上方へ移動させるようにしている。すなわち、実際の精密鍛造装置50では、パンチ30は、上方に配置されている。カウンタパンチ40は下方に配置され、鍛造時におけるパンチ30の上方から下方への移動を許容するように従動する。カウンタパンチ40には図示しないエアシリンダー等により背圧が付与される。なお、第2実施形態以下の他の実施形態においても、パンチ30、カウンタパンチ40、ダイ20等は上下逆に図示されており、鍛造時にはパンチ30を図面中において下方から上方へ移動させるようにしている。
ダイ20には、ダイ孔22が形成されている。ダイ孔22の横断面形状は、本実施形態では円形としているが、限定するものではなく、周壁14の外形形状に合致すればよい。ダイ孔22の内周面には、ストッパ24が水平となるように固定されている。ストッパ24の外周形状は、ダイ孔22の横断面形状に沿わせるように、ダイ孔22の横断面形状と同形状が好ましい。従って、本実施形態では、金属材料10の外形に対応してストッパ24の外周形状は円形リング状に形成されている。
なお、上述したようにダイ孔22の横断面形状に沿わせるようにするため、ダイ孔22の横断面形状が円形以外の形状の場合は、ストッパ24は非円形のリング状となる。例えば、ダイ孔22の横断面形状が三角形、四角形、五角形等の多角形、楕円形等の形状であれば、ストッパ24の外形形状はそれらの形状と合わせればよい。
ストッパ24は、前記金属材料10の周壁14の端面全体に対して当接させるために、径方向の肉厚が、周壁14の径方向の肉厚と同じ厚さを有している。なお、ストッパ24は、ダイ20と一体に形成された係止段部であってもよい。
図1(a)~図1(c)及び図2(a)に示すように、パンチ30の加工端面31は、平坦状に形成され、加工端面の縁部の全周には平面視した場合、円形の切刃32が形成されている。切刃32は、ダイ孔22の内周面に対して、径方向に対向し、かつ、離間して配置されている。すなわち、切刃32はダイ孔22の内周面に対して間隙Sを有するように離間して配置されている。切刃32は、金属材料10の底部12A(12B)を切削した際に生ずる連続した切りくずをパンチ30の中央部(軸心)に向かって移動させるように形成されている。
パンチ30は、その直径がダイ孔22の内径よりも小径とされるとともにダイ孔22の軸心と同軸に配置されている。パンチ30が、ダイ孔22を移動する際には、パンチ30とダイ孔22の内周面との間の間隙S内に後述する金属材料10の底部12A(12B)の周縁、すなわち、切刃32よりも径方向外方に位置する部位がそのまま残ることが可能となっている。
パンチ30に対向するカウンタパンチ40は、前記金属材料10の周壁14及び底部12A(12B)で囲まれる空間に侵入して該底部12A(12B)の内底面に当接するように配置される。また、カウンタパンチ40には、図示しないエアシリンダー等により背圧が付与されて、常時、前記底部12A(12B)の内底面を押圧するようにされている。パンチ30は、第1パンチに相当し、カウンタパンチ40は第2パンチに相当する。なお、カウンタパンチ40は、必須ではなく、なくてもよい。
次に、本実施形態の精密鍛造法を説明する。本明細書において精密鍛造を、切削鍛造ということがある。
<精密鍛造法>
次に、精密鍛造法を図1(a)~図1(c)、図2(a)、図3(a)、図3(b)、図4(a)~図4(f)、図5、図6(a)~図6(d)、及び図7を参照して説明する。
(第1ステップ)
図1(a)に示すように、第1ステップでは、底部12A、及び周壁14を有する金属材料10を精密鍛造装置50のダイ20のダイ孔22内に配置するとともに、ストッパ24に周壁14の先端面を当接させる。この状態では、周壁14は、ダイ孔22内でのパンチ30の移動方向に沿って延びるとともに、底部12Aは前記移動方向とは交差する方向に延びる。ここで、パンチ30の移動方向は周壁14の軸心方向と一致する。また、周壁14の外周面は、ダイ孔22の内周面に面接触した状態となる。周壁14の外周面の面接触した領域は、はめあい領域に相当する。なお、本実施形態では、周壁14の外周面の全部をはめあい領域にして、ダイ孔22の内周面に面接触させているが、はめあい領域は、周壁14の外周面の全部であることに限定されない。周壁14の軸心方向における外周面の一部のみを、ダイ孔22の内周面に面接触した状態として、この部分をはめあい領域としてもよい。底部12Aは、周壁14から、周壁14のはめあい領域とは反対方向に向けて延出する。周壁14の径方向は周壁14の厚さ方向と一致する。パンチ30は、周壁14の厚さ方向の一部及び底部12Aに対して、周壁14の軸心方向に対向するようにダイ孔22に配置される。パンチ30と対向する周壁14の厚さ方向の一部は、切刃32の外周縁よりも内周側に存存する周壁14の領域である。なお、本実施形態では、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の一部と対向するようにしたが、切刃32の設けられた位置によっては、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の全部と対向するようにしてもよい。
(第2ステップ)
第2ステップでは、パンチ30を底部12Aに向けて移動させて切刃32により底部12Aを切削しながら押圧する(図1(b)、図1(c)、図4(a)~図4(f)参照)。このとき、金属材料10はストッパ24により、パンチ30の移動方向において保持された状態となっている。パンチ30が底部12Aに最初に当接した位置からのパンチ30の移動量は、底部12Aの厚さ以上であって、周壁14の高さh(図1(a)参照)未満の範囲である。
ここで、パンチ30が底部12Aを押圧して周壁14の厚さ方向の一部を切刃32により切削すると、図2(a)に示すように、切刃32が当たる底部12A(12B)の接合線Aが形成される。接合線Aは、図2(a)示すように切り刃32が切削しなかった周壁14の残りの部分と底部12A(12B)との接合部に連続して形成されたものである。本実施形態では、接合線Aは周壁14の周方向に形成される。この接合線Aと、底部12A(12B)の内面の周縁部との間に、切刃32によって剪断変形が惹起される。底部12A(12B)の内面の周縁部は、底部12Bと周壁14との間の接合線Bでもある。本実施形態の接合線Bは、底部12A(12B)を挟んでパンチ30とは反対側に位置するコーナが周方向に連続して形成されているものである。切刃32の切り込みにより剪断された材料(切りくず)は、パンチ30とカウンタパンチ40との間の底部12A(12B)(節ともいう)に流入して、図2(a)において、接合線Aと接合線Bとの間に鍛流線Wが形成される。以下、接合線Aに相当する切削鍛造後の部位を底部12Bの周縁部Aという。
また、接合線Bが存在する側にある底部12Bの内面、すなわち、内底面は第2面に相当するとともに、内底面と反対側の底部12Bの面、すなわち、外底面は第1面に相当する。鍛流線Wは、第1面(外底面)の接合線Aから第2面(内底面)に延びている。
底部12A、12Bは、パンチ30の移動方向とは交差する方向では、図1(a)~図1(c)に示すように寸法が変化しないようにダイ20により拘束されている。このため、パンチ30による加工の進行にともない、前記材料(切りくず)が節に向かって圧縮されながら移動して節の厚さを増加させる。
また、このときの金属材料10の流動の詳細については、後述する。
カウンタパンチ40に付与される背圧Fは、パンチ30の押圧力Fに比して十分に小さい、すなわちF<<Fである。上記のように節の厚さが増加すると、カウンタパンチ40は、図示しないエアシリンダー等から付与される付勢力(背圧)に抗して、後退する。
また、図1(c)及び図2(a)に示すように、パンチ30が底部12A(12B)を押圧して移動すると、切刃32よりも径方向外側にある周壁14の部位、すなわち、ダイ孔22の内周面に面接触したはめあい領域はそのまま残存した状態となり、あたかも、ダイ20とパンチ30との間隙Sを部分的に埋めるように位置する。この周壁14のはめあい領域は筒状に形成される。結果として、底部12Bの両面にそれぞれ周壁を備える精密鍛造品、すなわち縦断面がH状をなす精密鍛造品が得られる。
ここで、この加工に必要なパンチ30の単位面積当たりの押圧力pは、加工に必要なエネルギーUに基づいて概算すると、以下の通りである。
p/2k=4tc(tanφ+0.5cos-2φ)/d(1-μtanφ)
=4tc/df(φ) ……(3)
(2k:金属材料の変形抵抗、t:節の厚さ、φ:剪断角、d:パンチ30の直径、μ:摩擦係数)
なお、f(φ)は以下の式で表される。
f(φ)=(tanφ+0.5cos-2φ)/(1-μtanφ) ……(4)
<式(3)の導出>
以下、上記式(3)の導出について説明する。
図2(a)に示すように周壁14の内周面から径方向外側に延出したパンチ30の長さをtとすると、カッテイング比rは、
r=t/t=tanφ ……(5)
である。なお、tは、周壁14の内周面の半径とパンチ30の半径との差であり、パンチ30の周壁14に対する径方向の切り込み量である。
剪断された材料の質量保存から、剪断領域の切りくず(chip)がパンチ30の径方向へ移動する速度V
=V・r=V・tanφ ……(6)
である。
なお、Vはパンチ30の速度である。剪断速度Vは、図2(b)に示すようにベクトル分解すると、V=V/cosφである。パンチ30により加工時に入力される全エネルギーUは、U=F・Vである。
Fは、パンチ30の押圧力である。剪断領域に要求される剪断時のエネルギーEは、下記の式のように推定することができる。
=π・d(t + t 1/2・k ……(7)
kは金属材料の剪断抵抗(変形抵抗)である。dはパンチ30の直径である。ここで、切りくずを径方向へ圧縮するのに必要なエネルギーEは、下記のように計算することができる。
=2π・d・t・k・V ……(8)
切りくずとパンチ30との間の摩擦により散逸するエネルギーEは、下記の式で算出できる。
=μ・F・V ……(9)
μは、切りくずとパンチ30との間の摩擦係数である。カウンタパンチ40の背圧(付勢力)をFとし、その背圧のエネルギーをEとすると、
=F・V ……(10)
である。
U=E + E + E + E ……(11)
であるから、パンチ30の押圧力Fは、下記式のようになる。
F=2π・d・t・k(tanφ+0.5cos-2φ)/(1-μtanφ)
……(12)
ここで、F<<Fであるため、Fを無視してよい小さな値としたとき、平均的なパンチ30の押圧力p(単位面積当たり)は、式(3)となる。
なお、概略的には、tanφは、0.1~1.0の範囲であり、μは0.1~0.3の範囲となり、従って、p/2k=3t/d ~ 12t/dとなる。
/dが、0.01~0.1の範囲となるため、p/2kは、1より小さく、従来の冷間鍛造の場合に比してかなり小さくなる。
<金属材料10の流動について>
ここで第2ステップの切削鍛造により生ずる金属材料10の流動をシミュレーションで確認した。使用したシミュレーションソフトは、商用有限要素解析コードDEFORM2Dである。シミュレーションの条件は、表1の通りである。
Figure 0007062321000001
図3(a)は、切削鍛造前の金属材料10の断面図である。同図に示すように、底部12Aの上面(内面)上の複数のポイントにはa1~a3、周壁14の内周面上の複数のポイントにはa4~a6、底部12Aの下面(外面)上の複数のポイントにはb1~b4、及びパンチ30の切刃32の移動軌跡上のポイントにはc1~c4を付した。
図3(b)は、シミュレーションによって得られた、パンチ30による切削鍛造の完了後の金属材料10の断面図である。同図に示すように底部12Bのポイントa1~a3及びポイントb1~b4は、底部12Bの径方向中央部に向かって移動している。また、周壁14の内周面上の複数のポイントa4~a6は、底部12Bの上面に移動している。
さらに、図3(a)に示す切刃32の移動軌跡上にあったポイントc1~c4は、全て底部12Bの下面に移動している。また、このことから、切削鍛造によって生じる加工硬化が、底部12Bにおける圧力抵抗等のような製品強度に寄与するものと思われる。
また、図5は、上記シミュレーションの一例におけるパンチ30のストロークに対するp(圧力)/Cの特性図である。
図5において、点Q1~Q3は、それぞれ図4(b)、図4(d)及び図4(f)に示す段階に相当する。図4(a)は、切削鍛造中の初期におけるパンチのコーナ近傍の断面図、図4(b)は図4(a)の拡大断面図である。図4(c)は図4(a)よりも後の段階でのパンチのコーナ近傍の断面図、図4(d)は図4(c)の拡大断面図である。図4(e)は図4(c)よりも後の段階でのパンチのコーナ近傍の断面図、図4(f)は図4(e)の拡大断面図である。図4(b)、図4(d)及び図4(f)において、底部12A(12B)と周壁14との間の領域であって、底部12Bの上下両面の周縁部A、B間を結ぶ領域は、切削鍛造中に剪断応力が集中する領域である。この応力が集中する領域を、他の底部12A(12B)及び周壁14の部位のハッチングとは異なる向きのハッチングで表している。なお、後述する図6(b)~図6(d)についても同様に、他の部位と異なる向きのハッチングにより、応力が集中する領域を表している。
図4(a)~図4(f)に示すように、パンチ30は、底部12Aに当接してから、底部12Aの厚さ以上の距離を移動する。このパンチ30の移動と、それに伴うパンチ30とカウンタパンチ40との間における剪断変形とにより、底部12Bはパンチ30と同じ方向へ移動する。底部12Bは、ほとんど平らに保たれ、シミュレーション条件下では部分的な膨らみが生ずることはないことが確認された。底部12Bの上面(内面)には、カウンタパンチ40のコーナ付近において、なだらかな凹面を有して僅かに凹んだ凹部が形成されることが確認された。すなわち、底部12Bの厚さは、カウンタパンチ40のコーナ付近においてわずかに薄くなることが確認された。また、底部12Bの上面に形成される、なだらかな凹面を有する凹部は、パンチ30のストロークが増すほど底部12Bの径方向中心側に広がることが確認された。
図5に示すように、点Q1からパンチ30のストローク(移動量)が増すと、パンチ30の圧力は、急速に増加する。パンチ30の縁部(切刃32)が剪断領域に達する点Q2からは、パンチ30の圧力は徐々に増加する。そして、点Q3が含まれる剪断領域ではパンチ30の圧力は、安定する。
なお、図示はしないが、カウンタパンチ40の背圧の大きさを複数回変えて行ったシミュレーションでは、観察された製品の形状にほとんど変化がみられないことが確認できた。
<なだらかな凹面を有する凹部とひけについて>
シミュレーションでは、前記のようになだらかな凹面を有する凹部が生ずる場合と、尖った形状の凹部(以下、ひけという)が生ずる場合とが観測されている。なだらかな凹面を有する凹部と、ひけとは、カウンタパンチ40のコーナに対向する底部12Aの内面の接合線Bにおける曲率半径に関係があるものと考えられる。なお、前記底部12Aの内面の接合線Bにおける曲率半径を以下、肩アールという場合がある。前記肩アールが大きい場合、切削加工の初期において、底部12Aの内面の接合線Bで金属材料の不足が生ずる。
なだらかな凹面を有する凹部が生ずる場合は、図4(b)に示すように、剪断変形の初期でポイントaに応力が集中する。そして、図4(d)及び図4(f)に示すように剪断変形の進行に伴って、なだらかな凹面を有する凹部が大きくなることが観察される。
一方、ひけが生ずる場合のシミュレーションの例を、図6(a)~図6(d)で示している。図6(a)は、底部12Aの内面の接合線Bの肩アールrcpが2mm、パンチ30の移動量が0の場合を示している。図6(a)に示す切削加工前の状態では、応力が現れていない。図6(b)~図6(d)は、図6(a)の状態からパンチ30の移動量がそれぞれ1mm、3mm、6mmとなった場合を示しており、底部12Bの内面の接合線B近傍に尖った形状のひけが生じるとともに、移動量が増すとひけの大きさも増大する。図6(d)の例では、ひけは底部12Bの厚さの略30%の長さに成長している。
ここで、なだらかな凹面を有する凹部が生ずる場合の境界領域と、ひけが生じる場合の境界領域とを、前記シミュレーションにより、探索した。シミュレーションの一例としては、金属材料10をSPCCとし、t=1mmとし、t(=tc0)=1mm、2mm、4mmとし、d=62mmとしている。すなわち、切り込み量tと底部12Aの厚さtc0との複数の組合せについてシミュレーションを行って、複数のシミュレーション結果H1~H5、J1~J9、L1~L5を得た(図7参照)。
また、流動応力σを、σ=501ε0.24 MPaとし、カウンタパンチ40の背圧Pb/Cを0.005とし、カウンタパンチ40と金属材料との間の摩擦係数μをμ=0.1とした。tc0は、切削鍛造前の金属材料10の底部12Aの厚さtc0である。
シミュレーションの結果を、図7の特性図に示す。図7において、縦軸は、t/tc0であり、横軸は、rcp/tc0である。同図に示すように、(rcp,t/tc0)の複数のシミュレーション結果H1~H5、J1~J9、L1~L6に基づいて回帰分析を行うことにより、ひけが生ずる場合と、ひけが生じないでなだらかな凹面を有する凹部Nが生じる場合とを区画するt/tc0の線を求めた。後述する不等式(1)、(2)、(13)~(16)の右辺がその線を表す式である。
H1~H5は、tc0=1mmの場合のシミュレーション結果であり、J1~J9はtc0=2mmの場合のシミュレーション結果であり、L1~L6はtc0=4mmの場合のシミュレーション結果である。なお、パンチ30の直径は周壁14の内径よりも2tmm大きい。
<底部12Aの厚さtc0=1mm、rcp/tc0<2.0の場合>
/tc0≧0.052rcp/tc0+0.23 ……(1)
このことから、底部12Aの厚さtc0が1mmの場合であって、rcp/tc0<2.0の場合は、ひけの防止のためには、不等式(1)を満足するように条件を設定することが好ましい。
<底部12Aの厚さtc0=1mm、rcp/tc0≧2.0の場合>
/tc0≧3.0rcp/tc0-5.7 ……(2)
このことから、tc0が1mmの場合であって、rcp/tc0≧2.0の場合は、ひけの防止のためには、不等式(2)を満足するように条件を設定することが好ましい。
<底部12Aの厚さtc0=2mm、rcp/tc0<1.5の場合>
/tc0≧0.106rcp/tc0+0.23 ……(13)
このことから、tc0が2mmの場合であって、rcp/tc0<1.5の場合は、ひけの防止のためには、不等式(13)を満足するように条件を設定することが好ましい。
<底部12Aの厚さtc0=2mm、rcp/tc0≧1.5の場合>
/tc0≧2.1rcp/tc0-2.8 ……(14)
このことから、tc0=2mmの場合であって、rcp/tc0≧1.5の場合は、不等式(14)を満足するように条件を設定することが好ましい。
<底部12Aの厚さtc0=4mm、rcp/tc0<1.5の場合>
/tc0≧0.067rcp/tc0+0.23 ……(15)
このことから、tc0が4mmの場合であって、rcp/tc0<1.5の場合は、ひけの防止のためには、不等式(15)を満足するように条件を設定することが好ましい。
<底部12Aの厚さtc0=4mm、rcp/tc0≧1.5の場合>
/tc0≧0.66rcp/tc0-0.64 ……(16)
このことから、tc0が4mmの場合であって、rcp/tc0≧1.5の場合は、ひけの防止のためには、不等式(16)を満足するように条件を設定することが好ましい。
なお、ひけが生じても、ひけに問題がない鍛造品の場合もあるため、この数値、及び不等式(1)、(2)、(13)~(16)に限定されるものではない。
なお、底部12Aの厚さを1mm、2mm、4mmにしたシミュレーションの結果に基づいて説明した。しかし、例えば、市場で入手可能な厚さ0.1mmの場合、「底部12Aの厚さtc0=0.1mm、rcp/tc0<2.0」としたときであっても、不等式(1)を満足するように条件を設定すれば、ひけが生じないでなだらかな凹面を有する凹部を確実に得ることが可能となる。
また、「底部12Aの厚さtc0=0.1mm、rcp/tc0≧2.0」とした場合であっても、不等式(2)を満足するように条件を設定すれば、ひけが生じないでなだらかな凹面を有する凹部を確実に得ることが可能となる。
同様に、極厚の底部である場合、例えば、「底部12Aの厚さtc0=20mm、rcp/tc0<2.0」とした場合、不等式(1)を満足するように条件を設定すれば、ひけが生じないでなだらかな凹面を有する凹部を得ることが可能となる。
また、「底部12Aの厚さtc0=20mm、rcp/tc0≧2.0」とした場合であっても、不等式(2)を満足するように条件を設定すれば、ひけが生じないでなだらかな凹面を有する凹部を得ることが可能となる。
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態の精密鍛造法は、パンチの移動方向に沿って延びる壁部14と、該壁部14から前記移動方向と交差する方向に延出された底部12A(加工前突出壁)と、を有する金属材料を、ダイ20のダイ孔22内に配置してパンチ30の移動により、金属材料10を鍛造することを含む。
第1ステップでは、加工端面31と加工端面31の縁部に形成された切刃32とを有するパンチ30を、金属材料10の壁部14の厚さ方向の一部及び底部12A(加工前突出壁)に対向するように、ダイ孔22に配置する。
第2ステップでは、金属材料10をパンチ30の移動方向において保持し、かつ、底部12A(加工前突出壁)の交差方向の長さを保持した状態で、パンチ30を壁部14の高さの範囲内で移動させ、それによって、壁部14の厚さ方向の一部をパンチ30の移動経路上において切刃によって切り込むとともに、その切り込まれた部分を前記底部12A(加工前突出壁)の方向へ移動させるように前記切り込まれた部分に剪断変形を起こさせる。なお、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の全部と対向させた場合には、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の全部が移動経路上において切刃によって切り込まれるとともに、その切り込まれた部分が底部12A(加工前突出壁)の方向へ移動して切り込まれた部分に剪断変形が生ずる。
この結果、本実施形態によれば、従来と異なり、少ない工具圧力で精密鍛造ができる。すなわち、精密鍛造における過大な工具圧力を回避できる。また、切削加工における切りくずの生成機構を鍛造加工に適用しているので、切りくずを金属材料から分離することなく、製品の一部として生かすことが可能となる。また、過大な工具圧力が必要でないことから、寸法が大きく、複雑な断面形状をもつ高強度材料製の中空部品の精密鍛造にも適用できる。
第2ステップでは、底部12A(加工前突出壁)の前記交差方向の寸法を保持することから、パンチの切刃に相対する周壁の切削部分において、材料割れのリスクをなくすることができる。本実施形態の精密鍛造法は、新しい概念として切削鍛造法とも称することができ、据込み、押出しという2つの基本工法に加え、第三の基本工法ともいえる。
(2)本実施形態の精密鍛造法は、第1ステップでは、壁部14がダイ孔22の内面に少なくとも一部が面接触するはめあい領域を有し、かつ、底部12A(加工前突出壁)は、はめあい領域の反対側に有する金属材料10を、ダイ孔22内に配置すること、およびパンチ30の切刃32がダイ孔22の内面から少なくとも壁部14の厚さより小さく離間して配置される。また、第2ステップは、壁部14のはめあい領域が残存するように金属材料10を切刃32によって切り込む。この結果、はめあい領域が残存する場合には、残存した周壁14の部位を筒状に形成することができる。なお、本実施形態と異なり、切刃32を省略したパンチにより、はめあい領域の全部を底部(加工前突出壁)の方向へ移動させた場合には、その部分に変形を起こさせて、非筒状の形状が形成される。
(3)本実施形態の精密鍛造法では、パンチ30を第1パンチとしたとき、第2パンチであるカウンタパンチ40が、底部12Aを挟んで第1パンチであるパンチ30とは反対側に配置される。そして、第2ステップにおいて、カウンタパンチ40は、パンチ30の移動方向への移動に追従して移動する。
この結果、一定の背圧が印加されているカウンタパンチにより、剪断されて排除された材料の切りくずが節(底部)に向かって移動して圧縮され、底部には、硬化した部分を形成することができる。
(4)本実施形態の精密鍛造法において、切り込み量をtとしたとき、パンチ30の径方向の長さは、周壁14の内径よりも2tmm大きい。肩アールrcpと底部12A(加工前突出壁)の厚さtc0とがrcp/tc0<2.0を満たす場合、t/tc0が下記不等式(1)を満たすように金属材料10が加工される。
/tc0≧0.052rcp/tc0+0.23 ……(1)
また、肩アールrcpと底部12A(加工前突出壁)の厚さtc0とがrcp/tc0≧2.0を満たす場合、t/tc0が下記不等式(2)を満たすように金属材料10が加工される。
/tc0≧3.0rcp/tc0-5.7 ……(2)
この結果、上記不等式(1)または不等式(2)を満足させる場合には、ひけを有していない精密鍛造品を得ることができる。
(5)本実施形態の精密鍛造法において、第2ステップでは、ストッパ24が周壁14の先端面に当接されていることにより、金属材料10(詳細には、壁部である周壁14)がパンチ30の移動方向において保持されている。この結果、第2ステップにおいて、切削加工を効率的に行うことができる。
(6)精密鍛造装置は、ダイ20と、パンチ30と、を備える。ダイ孔22内に、パンチ30の移動方向に沿って延びる周壁14と、周壁14から移動方向とは交差する方向に延出された底部12Aとを有する金属材料10が配置される。パンチ30の移動により、金属材料10が鍛造される。パンチ30は、金属材料10がダイ孔22内に配置されたとき、周壁14の厚さ方向の一部及び底部12Aに対して対向して配置される。パンチ30は、加工端面と加工端面の縁部に形成された切刃32と、を有している。切刃32は、パンチ30が周壁14の高さの範囲内で移動された際、周壁14の厚さ方向の一部をパンチ30の移動経路上において切り込むとともに、その切り込まれた部分に剪断変形を起こさせる。
この結果、従来と異なり、少ない工具圧力で精密鍛造ができ、すなわち、精密鍛造における過大な工具圧力を回避できる精密鍛造装置が得られる。
また、切削加工における切りくずの生成機構を鍛造加工に適用しているので、切りくずを金属材料から分離することなく、製品の一部として生かすことが可能な精密鍛造装置が得られる。また、本精密鍛造装置によれば、過大な工具圧力が必要でないことから、寸法が大きく、複雑な断面形状をもつ高強度材料製の中空部品の精密鍛造も行うことができる。
(7)本実施形態の精密鍛造装置は、パンチ30が周壁14の高さの範囲内で移動された際、金属材料10をパンチ30の移動方向において保持するべく周壁14の先端面に当接するストッパ24を備えている。この結果、切削加工を効率的に行うことができる精密鍛造装置が得られる。
(8)本実施形態の精密鍛造品は、軸心方向である第1方向に延設された周壁14と、周壁14から第1方向と交差する径方向である第2方向に延設された底部12Bとを有する。底部12Bは、周壁14と底部12Bとの間の接合線Aが存在する側にある第1面と、第1面とは反対側の第2面を有している。精密鍛造品は、接合線Aから第2面の接合線Bにまで延びる鍛流線を有している。この結果、この精密鍛造品は、過大な工具圧力が必要でない精密鍛造装置で製造することが可能となる。すなわち、本実施形態の精密鍛造品は少ない工具圧力で得られる。すなわち、本実施形態の精密鍛造品は精密鍛造における過大な工具圧力が回避された精密鍛造品である。また、切削加工における切りくずが分離されることなく、精密鍛造品の一部として生かされる。また、本精密鍛造品は、過大な工具圧力を必要としないことから、寸法が大きく、複雑な断面形状をもつ高強度材料製の中空部品とすることもできる。
(9)本実施形態の精密鍛造品は、壁部として、周回するように延びる周壁14を有し、周壁14の内面に形成された底部12Bを有している。この結果、周壁及び底部を有する精密鍛造品として上記(8)の作用効果を実現できる。
(実施例)
次に、実施例を図8(a)~図8(d)、図9(a)、図9(b)、及び図10を参照して説明する。実施例の条件は、表2の通りである。
Figure 0007062321000002
ここで、金属材料10の流動応力σを、σ=501ε0.24 MPaとしている。この金属材料10の初期の流動応力は193MPaであり、金属材料10の塑性係数は501MPaである。この金属材料10は、厚さ1.93mmの冷間圧延鋼から直径100mmの円形板を切断することによって得られたものである。この製造法に使用する全ての工具は高速度工具鋼(SKH51(=HRC63))から形成されている。なお、鍛造加工の工具は、かじり防止のためにTiAlNによりコーティングされている。また、G-3764(日本工作油製、40℃における粘度:550×10-6/s)を潤滑油として使用した。1100KNのサーボプレスで、鍛造加工が施された。鍛造加工中のパンチ30の負荷は、パンチ30のバックプレートに設けられた歪みゲージにより測定された。また、カウンタパンチ40の背圧は、エアシリンダにより付与されたものである。
上記表2の絞り加工の条件で示すようにSPCCからなる鋼板(厚さ1.93mm)の金属材料10(図8(a)参照)に対して絞り加工を行い、図8(b)に示すように底部12及び底部12の周縁に周壁14が形成されたカップ状の金属材料10を得る。この絞り加工において、パンチ(図示しない)の直径、ダイ(図示しない)の直径、及びダイ肩半径は、それぞれ60mm、64.2mm及び12mmである。
この絞り加工により、底部12の内面の接合線B(図8(b)参照)における曲率半径(パンチ肩半径)を10mmにする。
この後、さらにしごき加工を行って図8(c)に示す鍛造用素材カップを形成する。このしごき加工で用いるパンチ(図示しない)及びダイ(図示しない)の直径は、それぞれ60mm及び63.66mmである。このしごき加工により、底部12の内面の接合線Bにおける曲率半径(パンチ肩半径)を0.1mmにする。
次に、精密鍛造装置50(図1(a)等参照)を使用して、前記鍛造用素材カップに対する切り込み量tをそれぞれ1.0mm及び2.0mmとし、パンチ30の速度Vを5.8mm/sとして切削鍛造を行った。なお、切削鍛造で使用したダイ20は、しごき加工で使用したダイと同じであり、切り込み量t=1.0mmの場合、直径が62mmのパンチ30及び直径が63.66mmのダイ20を使用した。また、カウンタパンチ40は、直径60mmのものを使用した。カウンタパンチ40の背圧は、0.05としている。パンチ30は、底部12の厚さ以上であって、周壁14の高さ以下の範囲内で移動させた。
なお、従来の剪断加工(抜き加工)において、パンチは、板材に当接した状態からその板材の厚さ以上で移動させているが、パンチに押された底部は破断する。これに対して本実施例では底部は破断することなく、パンチの移動とともに、周壁の高さの範囲内で移動するところが異なる。
また、従来の半抜き加工では、パンチは、板材に当接した状態からその板材の厚さを超えない移動量で移動させている。これに対して本実施例では底部は、パンチの移動とともに、周壁の高さの範囲内で移動するところが異なる。
この切削鍛造により、底部12の周縁部における内面及び外面の曲率半径を0.1mmにする。この切削鍛造によって、底部12を構成する材料を欠陥なく自由に移動させることができた。ひずみゲージでパンチ30の荷重を計測したところ、加工に必要なパンチ30の押圧力p/Cは、金属材料10の塑性係数の0.3倍程度であった。
上記のように形成された精密鍛造品を高さ方向に切断して、底部12と周壁14の断面を撮影した写真が図9(a)及び図9(b)である。
図9(a)には、図9(b)において点線で明確に示すように、切削鍛造によって剪断変形を受けた部分の鍛流線Wを示す線が現れている。この鍛流線Wは本切削鍛造法に特有なものであって、この鍛流線Wを消すには、精密鍛造品の熱処理が必要となり、大きなコストがかかる。また、従来例の図23及び図24と、本例の図9(a)及び図9(b)とを比較すると、従来例では、鍛流線Wはないことが認められる。
また、図10には、上記のように形成された精密鍛造品の断面において、剪断変形があった剪断領域(図9(b)において鍛流線Wよりも左側の底部12の領域)及びその周囲の領域の複数の箇所におけるビッカース硬度を測定した結果が示されている。数値はビッカース硬度を示している。図10に示すように、剪断領域のビッカース硬度は、精密鍛造品の周壁14の外面に近い部分よりも2倍ほど高い値となっており、剪断領域は周辺領域よりも硬くなっている。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の精密鍛造装置及び精密鍛造品を図11(a)~図11(d)、図12(a)及び図12(b)を参照して説明する。なお、本実施形態を含めた以下の各実施形態では、各図において、第1実施形態の構成と同一または相当する構成の部位については、同一符号を付す。
図11(a)及び図11(b)に示すように、本実施形態の加工前の金属材料10は、第1実施形態と同様に円筒状の周壁14と、周壁14の下部と一体に連結された底部12Aとを備えている。ただし、第1実施形態の底部12は、軸心方向と交差する方向、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されていたが、本実施形態の底部12Aは、外面が球面の一部である凹面となっているとともに内面が球面の一部である凸面となっているところが異なっている。
なお、底部12Aは、図11(b)に二点鎖線で示すように、外面が球面の一部である凸面となり内面が球面の一部である凹面となるように形成されていてもよい。
或いは、図示はしないが、底部12Aの内外両面がともに球面の一部である凹面、または、ともに球面の一部である凸面となっていてもよい。すなわち、底面12Aの平面形状及び断面形状は限定されない。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図12(a)、図12(b)に示すように、精密鍛造装置50は、第1実施形態と同様にダイ孔22を有するダイ20、パンチ30、ストッパ24、及びカウンタパンチ40を備えている。
第1実施形態では、パンチ30の加工端面31が平坦状に形成されている。これに対し、本実施形態では、図12(a)、図12(b)に示すように、パンチ30の加工端面31が、金属材料10の底部12Aの外面に沿うように凸面に形成されている。すなわち、図12(a)に示すように、底部12Aの外面の凹面に沿うように、加工端面31が球面の一部である凸面となっている。
そして、図12(a)、図12(b)に示すように、パンチ30の加工端面31の縁部の全周に切刃32が形成されている。前記切刃32は、第1実施形態と同様に金属材料10の底部12A(12B)を切削した際に生ずる連続した切りくずをパンチ30の中央部(軸心)に向かって移動させるように形成されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態における精密鍛造法は、第1実施形態と同様であるため、第1ステップを図12(a)で図示し、第2ステップを図12(b)で図示して、その詳細説明に代えるものとする。
図11(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図であり、図11(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図である。なお、図11(d)において、二点鎖線で示す底部12Bは、図11(b)に二点鎖線で示す底部12Aを有する加工前の金属材料10を加工することによって得られた精密鍛造品の底部12Bである。この場合は、図示はしないが、パンチ30の加工端面31は、金属材料10の底部12Aの外面に沿うように凹面に形成されている。
本実施形態においても、第1実施形態の(1)~(8)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の精密鍛造装置及び精密鍛造品を図13(a)~図13(d)、図14(a)及び図14(b)を参照して説明する。
図13(a)及び図13(b)に示すように、本実施形態の加工前の金属材料10は、第1実施形態と同様に円筒状の周壁14と、周壁14の一端側の開口を閉塞するように周壁14と一体に連結された頂壁15と、周壁14の他端の外周面に一体に連結されて径方向外側に延びる外向きフランジ17Aとを備えている。周壁14は、その軸心方向である第1方向に延設されている。フランジ17Aは、軸心方向と交差する方向、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されている。
なお、頂壁15は、軸心方向と交差する方向、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されているが、平板状に限定するものではなく、外面が球面の一部である凹面となっているとともに内面が球面の一部である凸面となっていてもよい。また、逆に頂壁15は、外面が球面の一部である凸面となっているとともに内面が球面の一部である凹面となっていてもよい。或いは、図示はしないが、頂壁15の内外両面がともに球面の一部である凹面、または、ともに球面の一部である凸面となっていてもよい。なわち、頂壁15の平面形状及び断面形状は限定されない。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図14(a)、図14(b)に示すように、精密鍛造装置50は、ダイ孔22を有するダイ20、パンチ30、ストッパ24、ノックアウト25及びカウンタパンチ40を備えている。ダイ孔22の横断面形状は、円形としているが、限定するものではなく、他の形状にしてもよい。また、ダイ孔22の横断面形状は、フランジ17Aの外形形状に合致した形状にしたり、合致しない形状としてもよい。フランジ17Aは、ダイ孔22の内面が合致しない場合では、少なくとも一部が面接触する形状であればよい。本実施形態では、フランジ17Aは、全体がダイ孔22の内面と面接触するように形状が合致する形状とされている。
図14(a)、図14(b)に示すように、パンチ30は、円筒状に形成されている。パンチ30の外径はダイ孔22の内径と同一であり、パンチ30の内周側の端縁には切刃32が形成されている。切刃32は、金属材料10の周壁14を切削した際に生ずる連続した切りくずを径方向外側に向かって移動させるように形成されている。
パンチ30の切刃32は、その内径が周壁14の内径よりも長く、かつ、周壁14の外径よりも短くされていて、ダイ孔22の軸心と同軸に配置されている。すなわち、切刃32は、フランジ17Aがダイ孔22の内面と面接触する側(外周面)よりも内側に形成されている。これにより、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の一部及びフランジ17Aに対して対向して配置される。また、切刃32は、周壁14の厚さ方向の一部、すなわち、切刃32の内周縁よりも径方向外側に存する周壁14の外周側領域、に剪断変形を生じさせることが可能なように配置されている。
ストッパ24は、ダイ孔22の軸心と同軸に配置され、図14(a)に示すように、金属材料10の頂壁15の外形形状と合致するように横断面が円形状に形成されている。ストッパ24は、切刃32よりも径方向外側に存する周壁14の外周側領域が剪断変形を生じる際に、頂壁15の外面に当接するように配置される。なお、ストッパ24は金属材料10の切削加工時に金属材料10を保持できればよい。そのため、ストッパ24は、頂壁15の外形形状と必ずしも合致しなくともよく、頂壁15よりも径方向に長くても短くてもよく、また、断面形状が非円形であってもよい。
ノックアウト25は、断面円形の本体部25aと、本体部25aよりも小径の断面円形の嵌合部25bとを有している。嵌合部25bは、周壁14の内部空間の直径と同一径を有していて、周壁14内に着脱自在に嵌合されている。なお、金属材料10の周壁14が円筒状ではなく、断面が非円形である場合には、嵌合部25bの断面形状は、周壁14の内周面の断面形状に合致する断面形状とすればよい。
本体部25aと嵌合部25bとの間には係止段部25cが形成されている。係止段部25cは嵌合部25bが周壁14内に嵌合された際に周壁14の端面に係止される。本体部25aは、切刃32に近接するように外径が設定されている。パンチ30が、ダイ孔22を移動する際には、係止段部25cに当接されている周壁14の内周側領域がそのまま残ることが可能となっている。
パンチ30に対向するカウンタパンチ40は、円筒状に形成されていて、金属材料10の周壁14及びダイ孔22の内周面で囲まれる空間に侵入してフランジ17Aに当接するように配置される。また、カウンタパンチ40には、図示しないエアシリンダー等により背圧が付与されて、カウンタパンチ40は常時、フランジ17Aを押圧するようにされている。パンチ30は第1パンチに相当し、カウンタパンチ40は第2パンチに相当する。なお、カウンタパンチ40は、必須ではなく、なくてもよい。
次に、本実施形態の精密鍛造法を説明する。
(第1ステップ)
図14(a)に示すように、第1ステップでは、フランジ17A及び周壁14を有する金属材料10を精密鍛造装置50のダイ20のダイ孔22内に配置するとともに、ストッパ24に頂壁15の外面を当接させる。この状態で、周壁14はダイ孔22のパンチ移動方向に沿って延びるように配置され、フランジ17Aはパンチ移動方向とは交差する方向に延びるように配置される。ここで、パンチ移動方向は周壁14の軸心方向と一致する。また、フランジ17Aの外周面は、ダイ孔22の内周面に面接触した状態となる。
また、パンチ30は、周壁14の厚さ方向の一部、及びフランジ17Aに対して対向するようにダイ孔22に配置される。パンチ30に対向する周壁14の厚さ方向の一部は、切刃32の内周縁よりも径方向外側に位置する周壁14の外周側領域である。
(第2ステップ)
第2ステップでは、パンチ30をフランジ17Aに向けて移動させて切刃32により周壁14を切削しながら押圧する。ここで、金属材料10はストッパ24により、パンチ30の移動方向において保持された状態となっている。パンチ30がフランジ17Aに最初に当接してからのパンチ30の移動量は、フランジ17Aの厚さ以上であって、周壁14の高さh(図14(a)参照)未満の範囲である。
ここで、パンチ30がフランジ17Aを押圧して周壁14の厚さ方向の一部を切刃32により切削すると、パンチ30の加工端面に形成された切刃32が当たるフランジ17A(17B)の接合線Aと、フランジ17A(17B)と周壁14の外周面との間の接合線Bとの間に、切刃32によって剪断変形が惹起される。なお、切削加工前のフランジは、符号“17A”で示され、加工中または加工後のフランジは符号“17B”で示される。フランジ17Aは加工前突出壁に相当する。フランジ17Bは加工後の突出壁に相当する。
切刃32の切り込みにより剪断された材料(切りくず)は、パンチ30とカウンタパンチ40との間のフランジ17A(節ともいう)に流入して、図14(a)において、接合線Aと接合線Bとの間に鍛流線Wが形成される。
図14(b)は、フランジ17Bが頂壁15の外面と面一となるところで、切削加工が終了した図である。図14(b)に示すように、鍛流線Wは、符号“B”で示した部分から符号“A”で示した部分に延びている。なお、図14(b)において、“B”の符号が付された部分は、フランジ17Bが頂壁15の外面と面一になる直前では、接合線Bとなっていた部分である。ここでフランジ17Bが頂壁15の外面と面一となった状態においても、接合線Bは痕跡として残る。接合線Aが存在する側にあるフランジ17Bの面は第1面に相当するとともに、第1面とは反対側のフランジ17Bの面は第2面に相当する。
フランジ17A、17Bは、パンチ30の移動方向とは交差する方向では、図14(a)及び図14(b)に示すように寸法が変化しないようにダイ20により拘束されている。このため、パンチ30による加工の進行にともない、前記材料(切りくず)が節に向かって圧縮されながら移動して節の厚さを増加させる。
なお、カウンタパンチ40に付与される背圧Fbは、第1実施形態と同様にパンチ30の押圧力Fに比して十分に小さい、すなわちFb<<Fである。上記のように節の厚さが増加すると、カウンタパンチ40は、図示しないエアシリンダー等から付与される付勢力(背圧)に抗して、後退する。
また、図14(b)に示すように、パンチ30がフランジ17Bを押圧して移動すると、切刃32よりも径方向内側にある周壁14の部位、すなわち、ノックアウト25の嵌合部25bの外周面に面接触したはめあい領域はそのまま残存した状態となる。
パンチ30の切削加工が終了した後、ストッパ24及びカウンタパンチ40がダイ20から離間し、そして、ノックアウト25がストッパ24に向けて移動されることにより、金属材料10はダイ20から離型される。
この結果として、図13(c)及び図13(d)に示すように、切削加工後の金属材料10、すなわち精密鍛造品では、周壁14の一端にあった加工前のフランジ17Aが周壁14の他端へ移動してフランジ17Bに変わっている。図13(b)及び図13(d)に示すように、加工後のフランジ17Bの厚さは、加工前のフランジ17Aの厚さよりも厚くなっているとともに、周壁14は加工後の厚さKの方が、加工前の厚さKよりも薄くなる。
第3実施形態では、第2実施形態の(1)、(3)、(5)~(7)と同様の作用効果を有するとともに、下記の特徴を有する。
(10)本実施形態の精密鍛造品は、軸心方向である第1方向に延設された周壁14と、周壁14から第1方向と交差する径方向である第2方向に延設されたフランジ17Bとを有している。フランジ17Bは、周壁14とフランジ17Bとの間の接合線Aが存在する側にある第1面と、該第1面と反対側の第2面を有している。そして、精密鍛造品は、接合線Aから第2面の接合線Bにまで延びる鍛流線Wを有する。この結果、この精密鍛造品を製造する場合には、過大な工具圧力が必要でない精密鍛造装置で製造することが可能となる。すなわち、本実施形態の精密鍛造品は少ない工具圧力で得られる。すなわち、本実施形態の精密鍛造品は精密鍛造における過大な工具圧力が回避された精密鍛造品である。また、切削加工における切りくずが分離されることなく、精密鍛造品の一部として生かされる。また、本精密鍛造品は、過大な工具圧力を必要としないことから、寸法が大きく、複雑な断面形状をもつ高強度材料製の中空部品とすることもできる。
(11)本実施形態の精密鍛造品は、壁部として、周回するように延びる周壁14を有し、周壁14の外面に形成された外向きフランジ17Bを有する。この結果、周壁及びフランジを有する精密鍛造品として上記(10)の作用効果を実現できる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の精密鍛造装置及び精密鍛造品を図15(a)~図15(d)、図16(a)及び図16(b)を参照して説明する。本実施形態は、第3実施形態とは、一部が異なるため、異なる構成を中心に説明する。
図15(a)、図15(b)に示すように、本実施形態の加工前の金属材料10は、同軸に配置された内筒60と外筒62とを備えていることにより、二重筒状をなしている。内筒60の一端と外筒62の一端とは、底部64Aにて一体に連結されている。内筒60と外筒62との間には、リング状の溝63が形成されている。内筒60は、周壁及び壁部に相当し、円筒状に形成されており、その軸心方向である第1方向に延設されている。図16(a)に示すように、外筒62は、円筒状に形成されており、その外径は、精密鍛造装置のダイ20のダイ孔22の内径と同一とされている。
底部64Aは、前記軸心方向と交差する方向、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されている。
なお、底部64Aは、軸心方向と交差する方向、すなわち、径方向に延設されていて、平板状に形成されているが、平板状に限定するものではない。内筒60と外筒62の断面形状は円形としているが、円形に限定するものではなく、他の形状であってもよい。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図16(a)、図16(b)に示すように、精密鍛造装置50は、ダイ孔22を有するダイ20、パンチ30、ストッパ24、及びカウンタパンチ40を備えている。ダイ孔22の横断面形状は、円形としているが、限定するものではなく、外筒62の外形形状の少なくとも一部に合致すればよい。
図16(a)、図16(b)に示すように、パンチ30は、円筒状に形成されている。パンチ30の外径はダイ孔22の内径と同一であり、パンチ30の内周側の端縁には切刃32が形成されている。切刃32は、金属材料10の周壁60を切削した際に生ずる連続した切りくずを径方向外側に向かって移動させるように形成されている。
パンチ30の切刃32は、その内径が内筒60の内径よりも長く、かつ、内筒60の外径よりも短くされていて、ダイ孔22の軸心と同軸に配置されている。これにより、パンチ30は、内筒60の厚さ方向の一部及び底部64Aに対して対向して配置される。また、切刃32は、内筒60の厚さ方向の一部、すなわち、切刃32の内周縁よりも径方向外側に存する内筒60の外周側領域に剪断変形を生じさせることが可能なように配置されている。なお、内筒60の厚さ方向は、径方向と一致する。
ストッパ24は、ダイ孔22の軸心と同軸に配置されて、図示しない固定部材にて固定されている。ストッパ24は、図16(a)に示すように、金属材料10の内筒60に嵌合する先端部と、内筒60の端面に当接する段部24aと、を有する。
パンチ30に対向するカウンタパンチ40は、円筒状に形成されている。カウンタパンチ40は金属材料10の内筒60と外筒62との間の溝63に嵌合されていて、底部64Aに当接するように配置される。また、カウンタパンチ40には、図示しないエアシリンダー等により背圧が付与されて、常時、底部64Aを押圧するようにされている。パンチ30は第1パンチに相当し、カウンタパンチ40は第2パンチに相当する。なお、カウンタパンチ40は、なくてもよい。
次に、本実施形態の精密鍛造法を説明する。
(第1ステップ)
図16(a)に示すように、第1ステップでは、金属材料10を精密鍛造装置50のダイ20のダイ孔22内に配置するとともに、ストッパ24に内筒60を嵌合して段部24aに対して内筒60の端面を当接させる。この状態で、内筒60は、ダイ孔22のパンチ移動方向に沿って延びるように配置され、底部64Aはパンチ移動方向とは交差する方向に延びるように配置される。ここで、パンチ移動方向は内筒60の軸心方向と一致する。また、底部64Aの外周面、すなわち、外筒62の外周面は、ダイ孔22の内周面に面接触した状態となる。
また、パンチ30は、内筒60の厚さ方向の一部、及び底部64Aに対して対向するようにダイ孔22に配置される。パンチ30に対向する内筒60の厚さ方向の一部は、切刃32の内周縁よりも径方向外側に位置する内筒60の外周側領域である。
(第2ステップ)
第2ステップでは、パンチ30を底部64Aに向けて移動させて切刃32により内筒60を切削しながら押圧する。ここで、金属材料10はストッパ24により、パンチ30の移動方向において保持された状態となっている。パンチ30が底部64Aに最初に当接してからのパンチ30の移動量は、底部64Aの厚さ以上であって、内筒60の高さ未満の範囲である。
ここで、パンチ30が底部64Aを押圧して内筒60の厚さ方向の一部を切刃32により切削すると、パンチ30の加工端面に形成された切刃32が当たる底部64A(64B)の接合線Aと、底部64A(64B)と内筒60の外周面との間の接合線Bとの間に、切刃32によって剪断変形が惹起される。なお、切削加工前の底部は、符号“64A”で示され、加工中または加工後のフランジは符号“64B”で示される。底部64Aは加工前突出壁に相当する。底部64Bは加工後の突出壁に相当する。
切刃32の切り込みにより剪断された材料(切りくず)は、パンチ30とカウンタパンチ40との間の底部64A(節ともいう)に流入して、図16(a)において、接合線Aと接合線Bとの間に鍛流線Wが形成される。
接合線Bが存在する側にある底部64A(64B)の面は第1面に相当するとともに、第1面とは反対側の底部64A(64B)の面は第2面に相当する。図16(b)は、切削加工が終了した図である。図16(b)に示すように、鍛流線Wは、第1面の符号“B”で示した部分から第2面の符号”A”で示した部分に延びている。
底部64A、64Bは、パンチ30の移動方向とは交差する方向では、図16(a)及び図16(b)に示すように寸法が変化しないようにダイ20により拘束されている。このため、パンチ30による加工の進行にともない、前記材料(切りくず)が節に向かって圧縮されながら移動して節の厚さを増加させる。
なお、カウンタパンチ40に付与される背圧Fbは、第1実施形態と同様にパンチ30の押圧力Fに比して十分に小さい、すなわちFb<<Fである。上記のように節の厚さが増加すると、カウンタパンチ40は、図示しないエアシリンダー等から付与される付勢力(背圧)に抗して、後退する。
また、図16(b)に示すように、パンチ30が底部64Bを押圧して移動すると、切刃32よりも径方向内側にある内筒60の部位はそのまま残存した状態となる。
この結果として、図15(c)及び図15(d)に示すように、切削加工後の金属材料10、すなわち精密鍛造品では、内筒60の一端にあった加工前の底部64Aが内筒60の他端に向かって移動して底部64Bに変わっている。図15(b)及び図15(d)に示すように、加工後の底部64Bの厚さは、加工前の底部64Aの厚さよりも厚くなっているとともに、内筒60の切削対象部位は、加工後の厚さKの方が、加工前の厚さKよりも薄くなる。
第4実施形態では、第3実施形態と同様の作用効果を有する。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を図17(a)~図17(d)を参照して説明する。
本実施形態の加工前の金属材料10は、図17(a)、図17(b)に示すように、第1実施形態と同様に円筒状の周壁14と、周壁14の下部と一体に連結された底部12Aとを備えている。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50は、第1実施形態で説明した精密鍛造装置50と比較して、切刃32の形状が異なっている。第1実施形態ではパンチ30の加工端面31は、平坦状に形成され、パンチ30が平面視された場合、加工端面31の縁部の全周には、円形の切刃32が形成されていた。これに対し、本実施形態では、パンチ30の加工端面31は、平坦状に形成され、パンチ30が平面視された場合、加工端面31の縁部の全周には、周方向に交互に配置された凹部と凸部とを含む切刃32が形成されている。精密鍛造装置50のパンチ30の切刃32の構成を除く、他の構成は、第1実施形態と同様である。切刃32は、交互に凹部と凸部とが配置された形状に限定されず、他の形状であってもよい。
第5施形態における精密鍛造法は、第1実施形態と同様であるため、第1ステップを図1(a)で図示し、第2ステップを図1(b)、図1(c)で図示して、その詳細説明に代えるものとする。
図17(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図であり、図17(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図である。図17(c)、図17(d)に示すように、金属材料10の周壁14の加工された端部側の内周面には、パンチ30の切刃32により、凸部14a及び凹部14bが周方向に交互に配置される。また、図17(d)に示すように、接合線Aと接合線Bとの間には、鍛流線Wが形成される。
図17(b)及び図17(d)に示すように、加工後の底部12Bの厚さは、加工前の底部12Aの厚さよりも厚くなっているとともに、周壁14の切削対象部位は、加工後の厚さKの方が、加工前の厚さKよりも薄くなる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態を図18(a)~図18(d)を参照して説明する。
本実施形態の加工前の金属材料10は、図18(a)、図18(b)に示すように、第1実施形態と同様に円筒状の周壁14と、周壁14の下部と一体に連結された底部12Aとを備えている。
第1実施形態では、底部12Aは、全体が平板状に形成されていたが、本実施形態では、底部12Aの中央領域は、周壁14が延出する方向に膨出されて図18(b)で見た場合には、頂壁を有する筒状体である膨出部19が形成されている。膨出部19は、断面円形状に形成されていて、周壁14と同軸に配置されている。膨出部19と周壁14との間には円形リング状の溝19aが形成されている。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50は、図示はしないが、第1実施形態で説明した精密鍛造装置50と同様に構成されているため、説明を省略する。
第6実施形態における精密鍛造法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。図18(c)は加工後の精密鍛造品の斜視図であり、図18(d)は加工後の精密鍛造品の縦断面図である。
上記精密鍛造装置による切削鍛造の結果として、図18(c)及び図18(d)に示すように、切削加工後の金属材料10、すなわち精密鍛造品では、周壁14の一端にあった加工前の底部12Aが周壁14の他端に向かって移動して底部12Bに変わっている。図18(b)及び図18(d)に示すように、加工後の底部12Bの厚さは、加工前の底部12Aの厚さよりも厚くなっているとともに、周壁14の切削対象部位は、加工後の厚さKの方が、加工前の厚さKよりも薄くなる。
第6実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を有する
(第7実施形態)
次に、第7実施形態の精密鍛造装置及び精密鍛造品を図19(a)、図19(b)、図20(a)及び図20(b)を参照して説明する。
図19(a)に示すように、加工前の金属材料10は、四角板状の壁部114と、壁部114の下部と一体に連結された四角板状の加工前突出壁112Aと、を有し、断面L字状となっている。すなわち、加工前突出壁112Aは、壁部114から壁部114の高さ方向とは交差する方向である直交方向に延びている。壁部114は、平板状の壁部に相当する。高さ方向は、第1方向に相当する。また、前記高さ方向とは交差する方向である直交方向は第2方向に相当する。なお、以下の説明において、加工前突出壁は符号“112A”で示され、加工中または加工後の突出壁は符号“112B”で示される。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図20(a)、図20(b)に示すように、精密鍛造装置50は、ダイ孔22を有するダイ20、パンチ30、ストッパ24、及びカウンタパンチ40を備えている。
ダイ孔22は、加工前突出壁112Aが嵌合可能なように、横断面が長方形状、すなわち、四角形状に形成されている。ダイ孔22は、その横断面形状である長方形の長辺に対応する、互いに対向する2つの内面22a、22bを有する。第1内面22aは、パンチ32及びカウンタパンチ40の一側面に対して摺接されるとともに、第2内面22bは、パンチ32及びカウンタパンチ40の他側面とは離間される。
ストッパ24は、角柱状に形成されていて、壁部114に当接するようにダイ20に固定されている。なお、ストッパ24は、ダイ20と一体に形成された係止段部であってもよい。
図20(a)及び図20(b)に示すように、パンチ30は、板状に形成されている。パンチ30の加工端面は平坦状に形成され、ダイ孔22の第2内面22bに対向する加工端面の縁部には切刃32が形成されている。切刃32は、図20(a)において、紙面から直交する方向に延びている。ダイ孔22の第2内面22bに対して、間隙Sを有するように離間して配置されている。切刃32は、金属材料10の壁部114を切削した際に生ずる連続した切りくずを内面22aに向かって移動させるように形成されている。
パンチ30が、ダイ孔22を移動する際には、パンチ30と第2内面22bとの間の間隙S内に、切刃32よりも内面22bの近くに位置する金属材料10の部位がそのまま残ることが可能となっている。
パンチ30に対向するカウンタパンチ40は、前記金属材料10の壁部114、加工前突出壁112A及び第1内面22a等で囲まれる空間に当接するように配置される。カウンタパンチ40には、図示しないエアシリンダー等により背圧が付与されて、カウンタパンチ40は常時、突出壁112Aを押圧するようにされている。なお、カウンタパンチ40は、なくてもよい。
次に、本実施形態の精密鍛造法を説明する。
(第1ステップ)
図20(a)に示すように、第1ステップでは、加工前突出壁112A及び壁部114を有する金属材料10をダイ20のダイ孔22内に配置するとともに、ストッパ24に壁部114を当接させる。この状態で、壁部114は、ダイ孔22のパンチ移動方向に沿って延びるように配置され、加工前突出壁112Aはパンチ移動方向とは交差する方向に延びるように配置される。ここで、パンチ移動方向は壁部114の高さ方向と一致する。また、加工前突出壁112Aの端面は、ダイ孔22の第1内面22aに面接触した状態となる。
また、パンチ30は、加工前突出壁112A、及び壁部114の厚さ方向の一部に対して対向するようにダイ孔22に配置される。
(第2ステップ)
第2ステップでは、パンチ30を加工前突出壁112Aに向けて移動させて切刃32により壁部114を切削しながら押圧する。ここで、金属材料10はストッパ24により、パンチ30の移動方向において保持された状態となっている。パンチ30が加工前突出壁112Aに最初に当接してからのパンチ30の移動量は、壁部114の高さ未満の範囲である。
ここで、パンチ30が加工前突出壁112A(112B)を押圧して壁部114の厚さ方向の一部を切刃32により切削すると、パンチ30の切刃32が当たる突出壁112A(112B)の接合線Aと、突出壁112A(112B)と壁部114との間の接合線Bとの間に、切刃32によって剪断変形が惹起される。なお、図20(a)において、切り刃32が紙面から直交する方向に延びているため、本実施形態の接合線A、Bは直線となる。
切刃32の切り込みにより剪断された材料(切りくず)は、パンチ30とカウンタパンチ40との間の突出壁112A(112B)(節ともいう)に流入して、図20(b)において、接合線Aと接合線Bとの間に鍛流線Wが形成される。接合線Bが存在する側にある突出壁112A(112B)の面は第1面に相当するとともに、第1面とは反対側の突出壁112A(112B)の面は第2面に相当する。図20(b)に示すように、鍛流線Wは、第1面の符号“B”で示した部分から第2面の符号“A”で示した部分に延びている。
加工前突出壁112A(加工後の突出壁112B)は、パンチ30の移動方向とは交差する方向では、図20(a)及び図20(b)に示すようにダイ20により寸法が変化しないように拘束されている。このため、パンチ30による加工の進行にともない、前記材料(切りくず)が節に向かって圧縮されながら移動して節の厚さを増加させる。
なお、カウンタパンチ40に付与される背圧Fbは、第1実施形態と同様にパンチ30の押圧力Fに比して十分に小さい、すなわちFb<<Fである。上記のように節の厚さが増加すると、カウンタパンチ40は、図示しないエアシリンダー等から付与される付勢力(背圧)に抗して、後退する。
この結果として、図20(a)及び図20(b)に示すように、切削加工後の金属材料10、すなわち精密鍛造品では、壁部114の一端にあった加工前突出壁112Aが壁部114の他端に向かって移動して突出壁112Bに変わっている。
図19(a)及び図19(b)に示すように、加工後の突出壁112Bの厚さは、加工前突出壁112Aの厚さよりも厚くなっている。
第7実施形態では、壁部114は、平板状としたが、第1方向と直交する横断面で見た場合、屈曲して形成されていてもよい。この場合、パンチ30の切刃32は、壁部114の屈曲に合わせた形状とすることが好ましい。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態の精密鍛造装置及び精密鍛造品を図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)を参照して説明する。
図21(a)に示すように、本実施形態の加工前の金属材料10は、半円リング状の壁部114と、壁部114の基端の外周面と一体に連結されて、放射方向に延出された半円リング状のフランジ120Aとを備えている。すなわち、フランジ120Aは、壁部114に対して壁部114の高さ方向とは交差する放射方向に張り出されている。フランジ120Aは外向きフランジに相当する。壁部114は、湾曲された壁部に相当する。壁部114は、横断面視した場合、半円リング状としているが、半円リング状に限定するものではなく、C状等の他の円弧状や、或いは、曲率半径が周方向において、変化する形状であってもよい。本実施形態において、壁部114の高さ方向が、第1方向に相当する。また、放射方向は第2方向に相当する。
本実施形態で使用する精密鍛造装置50について説明する。
図22(a)、図22(b)に示すように、精密鍛造装置50は、ダイ孔22を有するダイ20、パンチ30、ストッパ24、及びカウンタパンチ40を備えている。
ダイ孔22は、平坦面である第1内面22aと、凹曲面である第2内面22bとにより形成され、横断面が半円形状となっており、フランジ120Aが嵌合可能となっている。パンチ30及び切刃32は、半円リング状に形成されていて、外側の曲率半径は第2内面22bと同一とされて、第2内面22bに対して摺接可能に面接触されている。パンチ30の加工端面の径方向の長さは、フランジ120Aの壁部114からの張出し量よりも長くされるとともに、フランジ120Aの張り出し量と壁部114の径方向の厚さの合計値よりも短くされている。パンチ30の加工端面の内側縁の全体には、切刃32が形成されている。
カウンタパンチ40は、半円リング状に形成されていて、外側の曲率半径は第2内面22bと同一とされて、第2内面22bに対して摺接可能に面接触されている。カウンタパンチ40の内側の曲率半径は壁部114の外面の曲率半径と同一とされて、該外面に対して摺接可能に面接触されている。カウンタパンチ40のパンチ30と対向する端面は、平面に形成されてフランジ120Aに当接されている。
カウンタパンチ40の径方向の幅は、フランジ120Aの壁部114からの張出し量と同じである。
パンチ30は第1内面22aとは離間して配置されるとともに、切刃32と第1内面22aとの間には間隙Sが形成される。ストッパ24は、ダイ20に対して固定されている。ストッパ24は、平坦面である側面24dと凸曲面である側面24eとを有し、横断面が半円形状に形成されている。ストッパ24は、本体部24hと先端部24gとを有する。先端部24gにおける側面24eの半径は本体部24hにおける側面24eの半径よりも小径となっており、本体部24hと先端部24gとの間には係止段部24fが形成されている。
図22(a)及び図22(b)に示すように係止段部24fは、壁部114の先端面に当接している。ストッパ24の本体部24hの側面24eは、カウンタパンチ40と摺接可能に面接触されている。また、ストッパ24の先端部24gの側面24eは壁部114の内面に対して面接触されている。ストッパ24の側面24dの全体は第1内面22aに面接触している。
本実施形態の精密鍛造法及び効果は、第7実施形態で説明した精密鍛造法の記載中、「加工前突出壁112A」を「フランジ120A」に、「加工後の突出壁112B」を「フランジ120B」に、「図20」を「図22」に、「図19」を「図21」に、「112A」を「120A」に、「112B」を「120B」にそれぞれ読み替えればよいため、説明を省略する。フランジ120Aは加工前突出壁に相当する。また、本実施形態のパンチ30の切刃32が半円リング状となるため、接合線A、Bは半円リング状である。
なお、前述の説明では、加工後のフランジ120Bは、壁部114の高さ方向において、壁部114の中央部よりも基端寄りに位置するようにしたが、図21(c)に示すように、壁部114の高さ方向の上端部に位置するようにしてもよい。
また、外向きフランジが設けられた第8実施形態において、外向きフランジの代わりに内向きフランジを設けてもよい。
10…金属材料、12A、12B…底部、14…周壁、16…空間、
20…ダイ、22…ダイ孔、24…ストッパ、30…パンチ、
32…切刃、40…カウンタパンチ、50…精密鍛造装置、
A、B…接合線、W…鍛流線。

Claims (12)

  1. パンチ(30)の移動方向に沿って延びる壁部(14,60,114)と、該壁部(14,60,114)から前記移動方向と交差する方向に延出された加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)と、を有する金属材料(10)を、ダイ(20)のダイ孔(22)内に配置して前記パンチ(30)の移動により、前記金属材料(10)を鍛造することを含む精密鍛造法であって、
    加工端面(31)と前記加工端面の縁部に形成された切刃(32)とを有する前記パンチ(30)を、前記金属材料(10)の前記壁部(14,60,114)の厚さ方向の一部及び前記加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)に対向するように、前記ダイ孔(22)に配置する第1ステップと、
    前記金属材料(10)を前記パンチ(30)の移動方向において保持し、かつ、前記加工前突出壁の前記交差方向の長さを保持した状態で、前記パンチ(30)を前記壁部(14,60,114)の高さの範囲内で移動させ、それによって、前記壁部(14,60,114)の厚さ方向の一部を前記パンチ(30)の移動経路上において前記切刃(32)によって切り込むとともに、その切り込まれた部分を前記加工前突出壁の方向へ移動させるように前記切り込まれた部分に剪断変形を起こさせる第2ステップと、を含む
    精密鍛造法。
  2. 請求項1に記載の精密鍛造法において、
    前記第1ステップは、
    前記壁部(14,60,114)が前記ダイ孔(22)の内面に少なくとも一部が面接触するはめあい領域を有し、かつ、前記加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)は前記はめあい領域の反対側に有する前記金属材料(10)を、前記ダイ孔(22)内に配置すること、および
    前記パンチ(30)の切刃(32)が前記ダイ孔(22)の内面から少なくとも前記壁部の厚さより小さく離間して配置されること、を含み、
    前記第2ステップは、前記壁部(14,60,114)のはめあい領域が残存するように前記金属材料を前記切刃(32)によって切り込むことを含む精密鍛造法。
  3. 請求項1に記載の精密鍛造法において、
    前記第1ステップは、
    前記壁部(14,60,114)が前記ダイ孔(22)の内面から離間し、かつ、前記加工前突出壁(17A)が前記ダイ孔(22)の内面に少なくとも一部が面接触するように、前記金属材料(10)を前記ダイ孔(22)内に配置すること、および、前記切刃(32)が前記面接触する側より内側に形成されていること、を含む精密鍛造法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の精密鍛造法において、
    前記パンチ(30)は第1パンチであり、
    前記第1ステップは、第2パンチ(40)を、前記加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)を挟んで前記第1パンチとは反対側に配置することを含み、
    第2ステップは、前記第2パンチ(40)を、第1パンチ(30)の前記移動方向への移動に追従して移動させることを含む精密鍛造法。
  5. 前記壁部は周壁であり、
    前記パンチの前記周壁に対する切り込み量をtとしたとき、前記パンチの前記交差方向における長さは、前記周壁の内径よりも2tmm大きく、
    前記加工前突出壁の厚さtc0は0.1mm≦tc0≦20mmを満たし、
    前記周壁と前記加工前突出壁との間の接合線(B)であって、前記加工前突出壁を挟んで前記パンチとは反対側に位置する接合線(B)における曲率半径をrcpとしたとき、rcp/tc0<2.0が成立し、
    /tc0が下記不等式(1)を満たすように前記金属材料が加工される請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の精密鍛造法。
    /tc0≧0.052rcp/tc0+0.23 ……(1)
  6. 前記壁部は周壁であり、
    前記パンチの前記周壁に対する切り込み量をtとしたとき、前記パンチの前記交差方向における長さは、前記周壁の内径よりも2tmm大きく、
    前記加工前突出壁の厚さtc0は0.1mm≦tc0≦20mmを満たし、
    前記周壁と前記加工前突出壁との間の接合線(B)であって、前記加工前突出壁を挟んで前記パンチとは反対側に位置する接合線(B)における曲率半径をrcpとしたとき、rcp/tc0≧2.0が成立し、
    /tc0が下記不等式(2)を満たすように前記金属材料が加工される請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の精密鍛造法。
    /tc0≧3.0rcp/tc0-5.7 ……(2)
  7. 請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の精密鍛造法において、
    前記第2ステップは、前記金属材料(10)を前記パンチ(30)の移動方向において保持すべく、ストッパ(24)を前記壁部(14,60,114)の先端面に当接させることを含む精密鍛造法。
  8. 金属材料(10)を鍛造する精密鍛造装置であって、前記精密鍛造装置は、
    前記金属材料(10)が配置されるように構成されたダイ孔(22)を有するダイ(20)と、
    前記金属材料(10)を鍛造するべく、前記ダイ孔(22)内を移動するように構成されたパンチ(30)と、を備え、
    前記金属材料(10)は、前記パンチ(30)の移動方向に沿って延びる壁部(14,60,114)と、該壁部(14,60,114)から前記移動方向とは交差する方向に延出された加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)とを有し、
    前記パンチ(30)は、前記金属材料(10)が前記ダイ孔(22)内に配置されたとき、前記壁部(14,60,114)の厚さ方向の一部及び前記加工前突出壁(12A,17A,64A,112A,120A)に対して対向して配置され、
    前記パンチ(30)は、加工端面と、前記加工端面の縁部に形成された切刃(32)と、を有しており、
    前記切刃(32)は、前記パンチ(30)が前記壁部(14,60,114)の高さの範囲内で移動された際、前記壁部(14,60,114)の厚さ方向の一部を前記パンチ(30)の移動経路上において切り込むとともに、その切り込まれた部分に剪断変形を起こさせるように構成される精密鍛造装置。
  9. 前記パンチ(30)が移動する際、前記壁部(14,60,114)の先端面に当接して、前記金属材料(10)を前記パンチ(30)の移動方向において保持するように構成されたストッパ(24)をさらに備える請求項8に記載の精密鍛造装置。
  10. 第1方向に延設された壁部と、
    前記壁部から前記第1方向と交差する第2方向に延設された加工後の突出壁であって、前記壁部と前記加工後の突出壁との間の接合線(A)が存在する側にある第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する加工後の突出壁と、
    前記接合線(A)から前記第2面の接合線(B)まで延びる鍛流線(W)と、を有し、
    前記鍛流線(W)は、前記第1方向に沿った断面において、実質的に、2つの前記接合線(A),(B)を結ぶ直線に沿って延びている精密鍛造品。
  11. 前記壁部が、周回するように延びる周壁であって、
    前記加工後の突出壁が、前記周壁の内面に形成された内向きフランジまたは底部、或いは周壁の外面に形成された外向きフランジである請求項10に記載の精密鍛造品。
  12. 前記壁部は、平板形状であるか、または前記第1方向と直交する横断面で見た場合、湾曲または屈曲している請求項10に記載の精密鍛造品。
JP2021516177A 2019-04-23 2020-04-22 精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品 Active JP7062321B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019082093 2019-04-23
JP2019082093 2019-04-23
PCT/JP2020/017392 WO2020218377A1 (ja) 2019-04-23 2020-04-22 精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020218377A1 JPWO2020218377A1 (ja) 2021-11-04
JP7062321B2 true JP7062321B2 (ja) 2022-05-06

Family

ID=72942559

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021516177A Active JP7062321B2 (ja) 2019-04-23 2020-04-22 精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品

Country Status (5)

Country Link
US (1) US11925972B2 (ja)
EP (1) EP3960328A4 (ja)
JP (1) JP7062321B2 (ja)
CN (1) CN113784808B (ja)
WO (1) WO2020218377A1 (ja)

Family Cites Families (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56141935A (en) * 1980-04-02 1981-11-05 Toyota Motor Corp Press die for manufacturing gear made of sheet metal
JPS61255740A (ja) * 1985-05-10 1986-11-13 Honda Motor Co Ltd 歯車の精密鍛造方法
JP2723344B2 (ja) * 1990-06-26 1998-03-09 株式会社神戸製鋼所 精密鍛造法
JP2534940B2 (ja) * 1991-06-27 1996-09-18 アイダエンジニアリング株式会社 環状溝の塑性加工方法
JPH0538546A (ja) * 1991-07-31 1993-02-19 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジヨイント用ハウジング粗材の鍛造成形方法
JPH07251235A (ja) * 1992-04-02 1995-10-03 San Shin Uu Chin Kon Chan Guu Fuun Yuu Shen Kon Shii 押抜き鍛造法
JPH07256385A (ja) * 1994-03-17 1995-10-09 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジョイント用ハウジングの鍛造成形方法
JP3339363B2 (ja) * 1996-11-25 2002-10-28 トヨタ車体株式会社 半抜き成形方法およびこれに使用する冷間鍛造型
JP3835941B2 (ja) * 1998-11-12 2006-10-18 アイシン機工株式会社 歯車粗材の製造方法
JP2001047173A (ja) * 1999-06-04 2001-02-20 Toto Ltd 型鍛造方法
JP3990947B2 (ja) * 2002-06-28 2007-10-17 小島プレス工業株式会社 プレス加工による凹溝の形成方法及び装置
JP2008036679A (ja) * 2006-08-08 2008-02-21 Nsk Ltd 突出部付筒状部材の製造方法
EP1894646B1 (de) * 2006-09-01 2012-10-17 Feintool Intellectual Property AG Verfahren und Vorrichtung zum Herstellen einer Verzahnung an einem umgeformten und feingeschnittenen dreidimensionalen Körper
JP4840102B2 (ja) * 2006-11-22 2011-12-21 日本精工株式会社 軌道輪部材の製造方法
JP4984910B2 (ja) * 2007-01-22 2012-07-25 日本精工株式会社 軌道輪部材の製造方法
JP4900713B2 (ja) * 2007-09-25 2012-03-21 コンドーセイコー株式会社 冷間鍛造による平歯車の製造方法
JP5412600B2 (ja) * 2011-11-04 2014-02-12 三菱伸銅株式会社 銅合金熱間鍛造品
JP5771231B2 (ja) * 2013-03-11 2015-08-26 本田技研工業株式会社 鍛造加工方法及びその装置
WO2014148357A1 (ja) * 2013-03-18 2014-09-25 シロキ工業株式会社 リクライニング機構のラチェット、リクライニング機構のラチェット製造方法及びリクライニング機構のラチェット製造装置
JP6255205B2 (ja) * 2013-10-10 2017-12-27 川重商事株式会社 鍛造成形装置
DE102014116988A1 (de) * 2013-11-28 2015-05-28 Richard Bergner Verbindungstechnik Gmbh & Co. Kg Verfahren zur Herstellung einer Montageeinheit
JP5833261B1 (ja) * 2015-01-07 2015-12-16 株式会社関プレス 金属端部断面外周の加工方法及び該加工方法によって得られる金属部品と他部材との接合方法
US10857583B2 (en) 2015-04-28 2020-12-08 Nippon Steel Corporation Press-working apparatus, press-working method, and press-molded product
WO2017006830A1 (ja) * 2015-07-07 2017-01-12 日新製鋼株式会社 突起部成形装置、突起部成形方法及び成形品
KR20170052919A (ko) * 2015-11-05 2017-05-15 한호산업(주) 플랜지를 구비한 치형단조품의 열간단조장치
KR20170108486A (ko) * 2016-03-18 2017-09-27 장준수 차량용 자동 변속기의 이너레이스, 오버드라이브 클러치 허브 및 그 제조방법
CN106984755A (zh) * 2017-03-27 2017-07-28 湖北三环锻造有限公司 轮毂单元挤冲孔锻造模具
JP7173300B2 (ja) 2019-04-03 2022-11-16 日本製鉄株式会社 プレス成形品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3960328A1 (en) 2022-03-02
JPWO2020218377A1 (ja) 2021-11-04
WO2020218377A1 (ja) 2020-10-29
CN113784808A (zh) 2021-12-10
US11925972B2 (en) 2024-03-12
EP3960328A4 (en) 2023-01-18
US20210339306A1 (en) 2021-11-04
CN113784808B (zh) 2024-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5928434B2 (ja) 薄肉部の冷間鍛造方法と防爆弁
JP7062321B2 (ja) 精密鍛造法、精密鍛造装置及び精密鍛造品
JP2019014336A (ja) ヘッドレストステー用の鉄製丸パイプ材の面取り加工方法
JP2011121100A (ja) ヘリカルギア及びその製造方法
KR102023537B1 (ko) 플레인베어링 절삭가공용 지그
Younis et al. Experimental evaluation and finite element simulation to produce square cup by deep drawing process
JPH06344049A (ja) プレス機械による剪断加工方法
Matsumoto et al. Improvement in bonding strength by applying circumferential sliding in cold copper/aluminum forge-bonding
Sadeghi Gear forging: mathematical modeling and experimental validation
JP5091831B2 (ja) 鍛造用潤滑皮膜評価方法及び鍛造用潤滑皮膜評価装置
US20160175918A1 (en) Net shaped forging for fluid ends and other work pieces
JP7129048B1 (ja) アモルファス合金箔のせん断加工法
JP2000140976A (ja) 部品の製造方法
JPH03133530A (ja) ベアリングの製造方法、ベアリングブランクおよびベアリング
JP4358757B2 (ja) カップ形状部品、カップ形状部品製造方法およびカップ形状部品製造装置
Presz et al. Flexible system for micro-clinching processes design and analysis
Jasim et al. An investigation of the shearing forces using blanked carbon steel sheets
US9821368B2 (en) Method for producing a cylindrical component
Parmar et al. A Review on Process of Press Tool Design and its Manufacturing
Bhaduri et al. Forging
JP5912694B2 (ja) 等速自在継手用外側継手部材の製造方法
Zadshakouyan et al. A study on the heading of spur gears: numerical analysis and experiments
Schreiber et al. Optimum blanking clearance choice method by an approach coupling experimental trials and simulations
WO2024122379A1 (ja) 円筒部材及びその製造方法
JP2005205498A (ja) 円筒状部品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A5211

Effective date: 20210302

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7062321

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150