JP5091831B2 - 鍛造用潤滑皮膜評価方法及び鍛造用潤滑皮膜評価装置 - Google Patents
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前記据え込み加工の加工荷重と、前記第1金型及び前記第2金型のストロークとにより、前記試験片の塑性曲線を算出する工程をさらに含んでもよい。
前記試験片の側面部に、円周状の罫書き線が付されており、前記後方押し出し加工後の前記罫書き線の位置に基づいて、潤滑皮膜の潤滑性能を評価してもよい。
前記第2金型の外周面には、前記試験片に接触する前記第2金型の接触面から、前記円柱穴の内周面に対して0°〜1°の角度をなして前記第2金型の外径が太くなるように延びるランド部が形成されていてもよい。前記ランド部の長さは0.5〜5.0mmが好ましい。
まず、試験片4を下側金型2の上端面2a上に、上端面2aに設けられた突起11と試験片4の下端面4bに設けられた穴14とが嵌まり込むように配置して、下側金型2をサイドダイ3の円柱穴3aに下方から挿入する。また、上側金型1をサイドダイ3の円柱穴3aに上方から挿入し、上側金型1の下端面1bに設けられた突起を試験片4の上端面4aに設けられた穴14に嵌め込む。これにより、上側金型1と、試験片4と、下側金型2とがそれぞれ芯合わせされながら、試験片4が、サイドダイ3の円柱穴3a内で、上側金型1及び下側金型2に挟まれた状態となる。また、下側金型2の上端面2aに設けられた溝12及び上側金型1の下端面1bに設けられた同様の溝がそれぞれ、試験片4の下端面4b及び上端面4aをしっかりと拘束する。
まず、据え込み加工の工程について説明する。プレート6を下方に押し下げることにより、円柱穴3a内で、試験片4が上側金型1及び下側金型2によって挟圧される。すると、図4に示されるように、試験片4は、その側面部4cが円周方向外方に向かって張り出すように圧縮され、樽状に変形する。このとき、試験片4の側面部4cを被覆している潤滑皮膜には、縦方向の圧縮表面ひずみと、横方向の引っ張りひずみが付与され、剥離もしくは構造破壊による皮膜の脱落が促される。このときの据え込み率は、50%以上であることが好ましい。据え込み率が高いほど、上側金型1及び下側金型2に接触しない自由表面、すなわち側面部4cの張り出しが多くなり、密着性が維持できない潤滑皮膜の脱落など、潤滑皮膜のダメージが促される。
図5に示されるように、上側金型1及び下側金型2によって試験片4がさらに挟圧されると、樽状に変形した試験片4の側面部4c(図4参照)は、サイドダイ3の円柱穴3aの内周面に接触し、下側金型2と円柱穴3aの内周面との間に形成されたクリアランスに充填される。その後は、プレート6(図1参照)のストロークと共にクリアランス内を下方に押し出され、規定の底厚にて加工を終了する。後方押し出し加工での局部的な表面積拡大比は大きく、据え込み加工でのダメージが大きかった潤滑皮膜は加工に耐えられず、加工荷重の上昇や焼付きを起す。
さらに、予め試験片4の側面部4cに円周状に罫書き線15を付し、加工後の罫書き線15の位置に基づいて潤滑皮膜の潤滑性能を評価することにより、加工荷重測定が出来ない場合などでも加工時の摩擦状態履歴を評価することができるほか、予め有限要素法解析による解析によって摩擦係数と加工後の線位置との関係を調査しておくことで摩擦係数を見積もることもできる。
また、試験片4の形状は円柱形状に限定するものではなく、試験片の軸線に対して軸対称の形状であれば、どのような形状であってもよい。
さらに、上側金型1の下端面1b及び下側金型2の上端面2aに設けられた溝の形状は、同心円状の形状に限定するものではなく、試験片4の上端面4a及び下端面4bをそれぞれ拘束できる形状であればどのようなものでもよく、任意の形状の溝や、溝ではなく複数の凹凸が設けられる構成でもよい。
(1)脱脂:市販の脱脂剤(ファインクリーナー4360(登録商標),日本パーカライジング(株))濃度20g/L、温度60℃、浸漬10分
(2)水洗:水道水、室温、浸漬30秒
(3)化成処理:市販のリン酸亜鉛化成処理剤(パルボンド181X(登録商標),日本パーカライジング(株))濃度90g/L,温度80℃、浸漬10分
※目標付着質量=5g/m2
(4)水洗:水道水、室温、浸漬30秒
(5)石けん処理:市販の反応石けん潤滑剤(パルーブ235(登録商標),日本パーカライジング(株))濃度70g/L、80℃、浸漬3分
※付着質量=5g/m2
(6)乾燥:80℃、3分
(1)脱脂:市販の脱脂剤(ファインクリーナー4360(登録商標),日本パーカライジング(株))濃度20g/L、温度60℃、浸漬10分
(2)水洗:水道水、60℃、浸漬30秒
(3)皮膜処理:試作した一工程型潤滑剤I、60℃、浸漬10秒
※皮膜組成=ケイ酸ナトリウム(60%)、ポリエチレンワックス(40%)
※付着質量=10g/m2
(4)乾燥:80℃、3分
(1)脱脂:市販の脱脂剤(ファインクリーナー4360(登録商標),日本パーカライジング(株))濃度20g/L、温度60℃、浸漬10分
(2)水洗:水道水、60℃、浸漬30秒
(3)皮膜処理:試作した一工程型潤滑剤II、60℃、浸漬10秒
※皮膜組成=ケイ酸ナトリウム(80%)、ポリエチレンワックス(20%)
※付着質量=10g/m2
(4)乾燥:80℃、3分
加工速度10mm/secでストローク20mmまでの据え込み加工(据え込み率71.4%)を実施し、潤滑皮膜1〜3のダメージの程度を、試験片の側面部の目視外観にて評価した。尚、評価基準は以下の通りである。
○:加工前後で潤滑皮膜の外観の変化が少ない
△:潤滑皮膜の表面の粉化による皮膜脱落が見られる
×:潤滑皮膜の表面の全面が顕著に粉化し多くの皮膜脱落が見られる
σ=570(ε+0.315)0.2
σ:真応力
ε:真ひずみ
据え込み加工に続いて、加工速度10mm/secでストローク25mmまでの後方押し出し加工を行うことで、潤滑皮膜1〜3を評価した。まず、後方押し出し加工後の試験片の外側面部及び内側面部の焼付きの有無及び焼付き程度を目視にて評価し、次いで、有限要素解析により得た図7を用いて、据え込み加工前の試験片の側面部に予め付された罫書き線の試験後の位置から比較的表面積拡大比が小さい領域でのせん断摩擦係数を導いた。後方押し出し加工後の試験片の外側面部での摩擦状態による罫書き線の位置は、本実施例の条件の場合、ストローク22.5mmまでで決定され、それ以降は摩擦の影響を受けない。ストローク22.5mmでの外側面部の表面積拡大比は、最大で約2.7である。
○:水準間で比較した加工荷重が一番低い
△:水準間で比較した加工荷重が二番目に低い
×:水準間で比較した加工荷重が一番高い
Claims (6)
- 軸線を有すると共に該軸線に対して軸対称の円柱形状を有した金属製の試験片について、潤滑皮膜の潤滑性能を評価する鍛造用潤滑皮膜評価方法であって、
第1金型と、該第1金型の外径と同じ内径の円柱穴を有するサイドダイと、前記円柱穴の内径よりも小さい外径を有する第2金型と、前記試験片とを準備する工程と、
前記第1金型が前記円柱穴の一方の端から前記円柱穴に挿入されると共に前記第2金型の外周面が前記円柱穴の内周面に接しないように前記第2金型が前記円柱穴の他方の端から前記円柱穴に挿入され、かつ、前記試験片が前記円柱穴内で前記第1金型及び前記第2金型に挟まれるように、前記試験片を前記サイドダイに設置する工程と、
前記第1金型及び前記第2金型が前記試験片を挟圧することにより、前記試験片の側面部が外方に向かって張り出し、該試験片の両端面から該両端面間の中央部分に向かって外方への張り出し度合いが大きくなる形状に前記試験片を塑性変形させる据え込み加工を行う工程と、
該据え込み加工後に、前記第1金型及び前記第2金型が前記試験片をさらに挟圧することにより、前記試験片の一部を前記円柱穴の内周面と前記第2金型の外周面との間に押し出す後方押し出し加工を行う工程と
を含む、鍛造用潤滑皮膜評価方法。 - 前記据え込み加工の加工荷重と、前記第1金型及び前記第2金型のストロークとにより、前記試験片の塑性曲線を算出する工程をさらに含む、請求項1に記載の鍛造用潤滑皮膜評価方法。
- 前記試験片の側面部に、円周状の罫書き線が付されており、
前記後方押し出し加工後の前記罫書き線の位置に基づいて、潤滑皮膜の潤滑性能を評価する、請求項1または2に記載の鍛造用潤滑皮膜評価方法。 - 軸線を有すると共に該軸線に対して軸対称の円柱形状を有した金属製の試験片について、潤滑皮膜の潤滑性能を評価する鍛造用潤滑皮膜評価装置であって、
第1金型と、
該第1金型の外径と同じ内径の円柱穴を有するサイドダイと、
前記円柱穴の内径よりも小さい外径を有する第2金型と
を備え、
前記第1金型が前記円柱穴の一方の端から前記円柱穴に挿入されると共に前記第2金型が前記円柱穴の他方の端から前記円柱穴に挿入され、かつ、前記試験片が前記円柱穴内で前記第1金型及び前記第2金型によって挟まれるように配置され、
前記第1金型及び前記第2金型が前記試験片を挟圧することにより、前記試験片の側面部が外方に向かって張り出し、該試験片の両端面から該両端面間の中央部分に向かって外方への張り出し度合いが大きくなる形状に前記試験片を塑性変形させた後、さらに前記試験片を挟圧することにより、前記試験片の一部が前記円柱穴の内周面と前記第2金型の外周面との間に押し出される、鍛造用潤滑皮膜評価装置。 - 前記第2金型の外周面には、前記試験片に接触する前記第2金型の接触面から、前記円柱穴の内周面に対して0°〜1°の角度をなして前記第2金型の外径が太くなるように延びるランド部が形成されている、請求項4に記載の鍛造用潤滑皮膜評価装置。
- 前記ランド部の長さは0.5〜5.0mmである、請求項5に記載の鍛造用潤滑皮膜評価装置。
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