本発明は、冷間鍛造により平歯車を製造する方法に関する。
自動車のエンジンに使用されているポンプローターの歯車の生産量は、近年、大幅に増加している。
これらの部品は、鍛造素形品から切削や研磨をして仕上げるか、あるいは粉末焼結成形により製造している。
最近、日本国内においては、材料の価格上昇が顕著であり、それが部品の製造コストのアップの大きな原因になっている。コストアップを抑制するために、材料の有効利用を図る製造技術が求められている。
特許文献1に示されているように、歯車を冷間鍛造の張り出し加工によって製造する方法は公知である。
張り出し加工は、周知のとおり、歯形の横断面を全体的に張り出す加工であるが、とくに歯先部に、だれや欠肉が生じやすい。そのため、材料をダイの歯先部を含めて歯形全体に充満させることが重要である。
特許第2913522号公報
自動車のエンジンに使用されているポンプローターの歯車を冷間鍛造によって製造する場合、だれや欠肉が歯面に生じやすい。そのため、従来は、冷間鍛造後に、歯面の切削加工による多大な修正が必要であった。
そのような多大な修正を回避するために、だれや欠肉が歯面に生じないように、過大な荷重をパンチにかけて、ダイ内に材料を充満させると、加工対象部材(ブランク部材)の両端面が互いにパンチ等で軸方向に押圧された瞬間に、加工圧が急激に増大する。とくに、閉塞鍛造の場合、材料がダイの内部全体に充満したとき、極めて過大な荷重が生じる。
本発明の目的は、冷間鍛造後に歯面の切削加工による多大な修正を必要とせず、かつ、過大な加工荷重を回避でき、しかも、単純な加工作業により高精度でバラツキの小さい部品を大量生産することが可能な平歯車の冷間鍛造部品の製造方法を提供することである。
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
(1)ダイの内周面の中で、加工対象部材を第1押圧手段と第2押圧手段によって冷間鍛造して、冷間鍛造部品として平歯車を製造する方法において、ダイの内周面と第1押圧手段および第2押圧手段の外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定され、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されるが、閉塞鍛造にせず、閉塞鍛造のときに生じる過大な加工荷重の発生を回避するために、バリ又は余肉の突き出し方向に突き出し用隙間が残るように、平歯車の歯面に影響することなく、冷間鍛造部品の外周端縁部に全周にわたって軸方向に突き出る形にバリ又は余肉が形成されることを特徴とする冷間鍛造部品の製造方法。
(2)第1押圧手段が中実状のパンチで、第2押圧手段が中実状のノックアウトであり、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定され、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、平歯車の歯面に影響することなく、冷間鍛造部品の外周端縁部に全周にわたって軸方向に突き出る形にバリ又は余肉が形成されることを特徴とする請求項1に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
(3) 第1押圧手段がスリーブ状のパンチで、第2押圧手段がスリーブ状のノックアウトであり、スリーブ状のパンチの内周面の中とスリーブ状のノックアウトの内周面の中にピンが挿入され、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定され、かつ、ピンの外周面とパンチおよびノックアウトの内周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定され、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部及び内周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、平歯車の歯面に影響することなく、冷間鍛造部品の外周端縁部及び内周端縁部に全周にわたって軸方向に突き出る形にバリ又は余肉が形成されることを特徴とする請求項1に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
(4)仕上げのために冷間鍛造でサイジング加工をする前は、加工対象部材の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されておらず、サイジング加工によって、加工対象部材の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、平歯車の歯面に影響することなく、冷間鍛造部品の外周端縁部に全周にわたって軸方向に突き出る形にバリ又は余肉が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
(5) 仕上げのために冷間鍛造でサイジング加工をする前は、加工対象部材の外周端縁部にバリ又は余肉が形成されておらず、サイジング加工によって、加工対象部材の外周端縁部及び内周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、平歯車の歯面に影響することなく、冷間鍛造部品の外周端縁部及び内周端縁部に全周にわたって軸方向に突き出る形にバリ又は余肉が形成されることを特徴とする請求項3に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
(6)バリ又は余肉の形成後に、冷間鍛造部品をダイから取り出す途中で、ダイの内周面の全周に設けられた膨隆部によって、冷間鍛造部品の外周面に対して、しごき作用を与えることを特徴とする請求項4に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
(7) バリ又は余肉の形成後に、冷間鍛造部品をダイとピンとの間から取り出す途中で、ダイの内周面とピン外周面の全周に設けられた膨隆部によって、冷間鍛造部品の外周面と内周面に対して、しごき作用を与えることを特徴とする請求項5に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
本発明の方法によれば、突き出し用隙間を設けるため、だれや欠肉の修正の場合に比較して、冷間鍛造後に冷間鍛造部品の切削加工による多大な修正を必要としない。
本発明の方法によれば、閉塞鍛造のときに避けがたかった過大な加工荷重の発生を回避できる。
しかも、本発明の方法によれば、冷間鍛造後に単純な加工作業によりバリや余肉を簡単に除去できるので、高精度でバラツキの小さい冷間鍛造部品を大量生産することができる。
さらに、精密な歯形が必要な部品を冷間鍛造加工により大量生産することが容易である。
本発明方法に用いるダイと押圧手段(例えばノックアウトやパンチ)は、閉塞鍛造のものを少し改造するだけで、つまり、突き出し用隙間を設けるように改造するだけで、ごく簡単に形成できる。
また、本発明の方法によれば、余肉やバリを形成して、被加工物(冷間鍛造部品)の角や隅にだれや欠肉が発生することを確実に回避できるので、だれや欠肉について、冷間鍛造後に全品検査をすることが不要となる。
冷間鍛造により形成される平歯車の内外の周端縁部は平歯車の歯面に影響することなく、容易に除去可能な部分であり、そこに余肉又はバリが形成される。平歯車の用途によっては、余肉やバリを除去せず、残しておいてもよい。
本発明は、冷間鍛造による平歯車の製造方法も対象としている。
本発明の製造方法は、ダイ(型)の内周面の中で、円板状、円柱状、円筒状、リング状、スリーブ状その他の単純な形状や複雑な形状を有する加工対象部材(冷間鍛造をした部材と、そうでない部材がある)をパンチ等によって冷間鍛造して、冷間鍛造部品を製造する方法である。
本発明の製造方法においては、ダイの内周面とパンチ等の外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定される。そして、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部および内周端縁部の少なくとも一方が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、冷間鍛造部品の外周端縁部や内周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成される。
本発明の1つの態様においては、第1押圧手段と第2押圧手段として、それぞれロッド状のパンチとロッド状のノックアウトを使用して、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定される。そして、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、加工対象部材から形成された冷間鍛造部品の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成される。
また、本発明の別の態様においては、第1押圧手段と第2押圧手段として、それぞれスリーブ状のパンチと、スリーブ状のノックアウトとを使用し、さらに第3押圧手段としてピンを使用する。そして、スリーブ状のパンチの内周面の中とスリーブ状のノックアウトの内周面の中にピンが挿入され、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定され、かつ、ピンの外周面とパンチおよびノックアウトの内周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間が設定される。冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁分及び内周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、加工対象部材から形成された冷間鍛造部品の外周端縁部及び内周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成される。
本発明において、サイジング加工は、冷間鍛造や他の加工の最後に仕上げのために必要に応じて実施するものである。
冷間鍛造や他の加工の最後に仕上げのために冷間鍛造でサイジング加工をする場合、好ましくは、サイジング加工の前は、加工対象部材の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されておらず、サイジング加工によって、加工対象部材の外周端縁が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、加工対象部材から形成された冷間鍛造部品の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されることが好ましい。
また、ピンを使用する態様においても、冷間鍛造又は他の加工の最後に仕上げのために冷間鍛造でサイジング加工をする前は、加工対象部材の内外の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されておらず、サイジング加工によって、加工対象部材の外周端縁部及び内周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、加工対象部材から形成された冷間鍛造部品の外周端縁部及び内周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されることが好ましい。
バリ又は余肉は、周端縁部の全周に連続して形成するように設計すると、製作コストの面で好ましいが、必要に応じて、周端縁部の全周に不連続にバリ又は余肉を形成するように、つまり、周端縁部の一部にバリ又は余肉が形成されないように、設計することもできる。
また、本発明は、サイジング加工をする態様のみに限定されるものではない。サイジング加工を省略して、最後の冷間鍛造のときに冷間鍛造部品の内外の外周端縁部の全周にバリ又は余肉を形成することも可能である。
また、サイジング加工は省略しないが、中間加工の最後の冷間鍛造加工とサイジング加工のとき、加工対象部材を1つのダイの中に入れたまま、パンチで複数回押圧することで、冷間鍛造部品の内外の外周端縁部の全周にバリ又は余肉を形成することもできる。
バリ又は余肉は、突き出し用隙間を適当な寸法に設定して、冷間鍛造部品の内外の両周端部に任意の種々の形状(厚みや高さ)で形成することができる。1つの冷間鍛造部品の複数の周端縁部の各々に互いに異なる種々のバリや余肉を形成することもできる。
サイジング加工をしない場合、突き出し用隙間を比較的広く設定して、冷間鍛造の最後の段階でのみ、前述のバリ又は余肉を形成することが好ましい。
バリや余肉の厚みは、寸法の大小にかかわらず、突き出し用隙間の寸法にほぼ依存するのが通例である。
突き出し用隙間が全体的に同じ寸法に設定されている場合、バリや余肉の厚みは、全て同一となるのが通例であるが、バリや余肉の高さ(長さともいえる)は、パンチ側の突き出し用隙間では高く突き出され、ノックアウト側の突き出し用隙間では低く突き出される傾向がある。なぜなら、パンチによって押圧された加工対象部材が変形して、軸方向に圧縮され、半径方向に増大するとき、加工対象部材(材料)の外周面がダイの内周面に押圧されて摩擦抵抗を受け、パンチ側の突き出し力は大きく作用するが、ノックアウト側の突き出し力は、摩擦抵抗で弱くなってしまって小さく作用するからである。加工対象部材の軸方向の長さが長くなれば、それだけ、この傾向は強くなる。
バリや余肉は、用途によっては、そのまま残しておいてもよい場合もあるが、適当な周知の手段(例えば、両端面切削又はディスク研削)によって除去するのが好ましい。そのようにバリや余肉を除去した跡(バリ又は余肉の除去跡)は、ファイバーフローを切断した形で残る。なぜなら、突き出し用隙間に突き出される際に、バリや余肉の内部に流動的なファイバーフローが生じるが、バリや余肉を除去したとき、そのファイバーフローが途中で切断されるからである。
本発明でいう「バリ又は余肉の除去跡」は、そのまま肉眼で見えるものに限定されず、表面がコーティングされたり処理されたりして、外側からは見えなくなっているが、依然として内部には存在するものも含む。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
図1〜2は、本発明の実施例1による冷間鍛造部品の製造方法の一例を概略的に示す。
図1に示されているように、ダイ1(金型)の内周面の中で、予め前工程で形成されたリング状の加工対象部材5を最後の仕上げのサイジング加工として冷間鍛造して、冷間鍛造部品を製造する。
この実施例においては、前の工程で冷間鍛造された冷間鍛造品を加工対象部材5として使用する。
第1押圧手段であるスリーブ状のパンチ3と、第2押圧手段であるスリーブ状のノックアウト4を使用して、スリーブ状のパンチ3の内周面の中とスリーブ状のノックアウト4の内周面の中にピン2が挿入され、ダイ1の内周面とパンチ3およびノックアウト4の外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間S1、S2が設定され、かつ、ピン2の外周面とパンチ3およびノックアウト4の内周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間S3、S4が設定される。これらの突き出し用隙間S1、S2、S3、S4は同じ寸法を有する。
冷間鍛造の際に、冷間鍛造部品である加工対象部材5の上下両方の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイ1の内周面及びピン2の外周面に沿って突き出し用隙間S1〜S4の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周に、連続して、バリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図1〜図2の実施例1においては、冷間鍛造によって仕上げのためにサイジング加工をする前は、つまり、前工程で形成された状態では、冷間鍛造部品である加工対象部材5の内外の周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されていない。ダイ1の中に加工対象部材5を入れて、サイジング加工をすることによって、初めて、冷間鍛造部品である加工対象部材5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周にバリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図1によく示されているように、ダイ1、とくに外周面サイジング用のダイ1は、円筒状の内周面1aの上端領域(図1にGで示す領域)がガイド領域になっていて、それに続いて、幅Wと、好ましくは0.05〜0.50mmの高さを有する膨隆部1bが、円周方向に形成されている。
ピン2、とくに内周面サイジング用のピン2にも、ダイ1と同様に、円筒状の外周面2aの上端近くの領域に、幅Wと、好ましくは0.05〜0.50mmの高さを有する膨隆部2bが、円周方向に形成されている。
幅Wは0.3〜3.0mmとするのが好ましい。
図示されていないが、ダイ1とピン2との間に、スリーブ状のパンチ3が上方から昇降可能に配置されていて、しかも、スリーブ状のノックアウト4が下方から昇降可能に配置されている。
加工対象部材5は、前工程で加工されたブランク部材であり、そのブランク寸法(前工程での加工寸法)は、図示されていないが、外径がダイ1の膨隆部1bの内径よりも少し小さく、内径がピン2の膨隆部2bの外径よりも少し大きくなっている。
冷間鍛造されたブランク部材である加工対象部材5は、次のようにしてサイジング加工のために冷間鍛造が実行される。
まず、一方で、パンチ3を上方位置(図示せず)に配置し、他方で、ダイ1、ピン2及びノックアウト4を図1に示す所定の鍛造位置に配置する。しかるのち、ダイ1、ピン2及びノックアウト4によって画成されたほぼリング状の空間に、加工対象部材5を挿入する。加工対象部材5をダイ1とピン2の加工領域の入口から挿入して、すなわち、ダイ1の膨隆部1bとピン2の膨隆部2bを越えて加工対象部材5を通過させて、ブランク寸法(前工程の加工寸法)を有するリング状のブランク部材つまり加工対象部材5を加工領域の奥まで挿入する。その結果、加工対象部材5の下面がノックアウト4の上端面に到達する。この状態の加工対象部材5に対し、パンチ3を上方位置(図示せず)から下降させる。そして、パンチ3の下端面で加工対象部材5を押圧する。そのとき、加工対象部材5は、軸方向に圧縮され、それと同時に半径方向に押し出される。その結果、加工対象部材5の外周は、ダイ1の内周面1aに接触して押圧され、かつ、加工対象部材5の内周は、ピン2の外周面2aに接触して押圧される。さらに、パンチ3の押圧力により、加工対象部材5の内周面の上方縁及び下方縁と外周面の上方縁及び下方縁が、それぞれ、ピン2とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S3〜S4の上下方向に突き出されるとともに、ダイ1とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S1〜S2の上下方向に突き出される。
その結果、パンチ3の所定の押圧動作が完了したとき、冷間鍛造部品5は、図2に示すように、内周面と外周面の上下両方の縁にバリ7a〜7dが形成される。そのように形成されるバリ7a〜7dは、高さが0.1〜1.0mmで、厚みが0.3〜0.8mmであることが好ましい。
図1の実施例1においては、突き出し用隙間S1〜S4が全体的に同じ寸法に設定されている。この場合、バリ7a〜7dの厚みは、全て同一となるが、バリ7a〜7dの高さは、パンチ3側の突き出し用隙間S1、S3では高く突き出され、ノックアウト4側の突き出し用隙間S2、S4では低く突き出される。なぜなら、パンチ3によって押圧された加工対象部材5が変形するとき、加工対象部材5(材料)の内周面及び外周面が、それぞれピン2の外周面2a及びダイ3の内周面1aによって摩擦抵抗を受けるため、パンチ3側の突き出し力は大きいが、ノックアウト4側の突き出し力は摩擦抵抗で弱くなってしまうからである。しかし、本実施例1では、ダイ1の膨隆部1bとピン2の膨隆部2bが存在するため、上方のバリ7a、7cは、形状が、ダイ1の膨隆部1bとピン2の膨隆部2bによって制限される。
前述のようなバリ7a〜7dの形成は、冷間鍛造部品の上下縁部のダレや欠肉を解消するのに役立つとともに、後述するように、閉塞鍛造加工の欠点(過大な加工圧の問題)を解消するのにも役立つ。
パンチ3の押圧動作の完了後、パンチ3を上昇させるとともに、ノックアウト4によって冷間鍛造部品5を上昇させる。その途中で、冷間鍛造部品5の外周面と内周面が、それぞれダイ1の膨隆部1bとピン2の膨隆部2bによって「しごき」作用をうけて精密な面に仕上げられる。
バリ7a〜7dを形成するように、ダイ1及びピン2と、パンチ3及びノックアウト4との間に所定の突き出し用隙間S1〜S4として、0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.8mmの隙間を設けると、閉塞鍛造の「過大な瞬間的な荷重」の欠点を解消できる。そのため、加工荷重の変動幅が小さくなり、ダイ1の破損が起こりにくくなり、冷間鍛造部品(被加工品)の寸法のバラツキが少なくなり、安定して良好な部品が得られる。
前述のバリ7a〜7dは、後工程において適当な周知の手段によって除去する。
なお、図中、バリ形成のための突き出し用隙間S1〜S4と、冷間鍛造部品(被加工品)の内外の周面にしごき作用を与える膨隆部1b、2bは、誇大して示してある。
加工対象部材5の全てのバリは同じ厚みと高さにしてもよいし、種々の厚みと高さを組み合わせてもよい。
図3〜4の実施例2においては、突き出し用隙間S1〜S4の寸法が互いに相違している。
図3に示されているように、ダイ1の内周面の中で、予め前工程で形成されたリング状の加工対象部材5を最後の仕上げのサイジング加工として冷間鍛造して、冷間鍛造部品(平歯車)を製造する。
この実施例2においても、前の工程で冷間鍛造された冷間鍛造品を加工対象部材5として使用する。
第1押圧手段であるスリーブ状のパンチ3と、第2押圧手段であるスリーブ状のノックアウト4を使用して、スリーブ状のパンチ3の内周面の中とスリーブ状のノックアウト4の内周面の中にピン2が挿入され、ダイ1の内周面とパンチ3およびノックアウト4の外周面との間に、全周にわたって、互いに寸法の相違する突き出し用隙間S1、S2が設定される。パンチ3側の隙間S1の寸法がノックアウト側の隙間S2の寸法よりも大きい。
ピン2の外周面とパンチ3およびノックアウト4の内周面との間に、全周にわたって、同じ寸法の突き出し用隙間S3、S4が設定される。
冷間鍛造の際に、冷間鍛造部品である加工対象部材5の上下両方の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイ1の内周面及びピン2の外周面に沿って突き出し用隙間S1〜S4の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周に、連続して、厚みと高さの相違するバリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図3〜図4の実施例2においては、冷間鍛造によって仕上げのためにサイジング加工をする前は、つまり、前工程で形成された状態では、冷間鍛造部品である加工対象部材5の内外の周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されていない。ダイ1の中に加工対象部材5を入れて、サイジング加工をすることによって、初めて、冷間鍛造部品である加工対象部材5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周にバリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図3によく示されているように、ダイ1は、円筒状の内周面1aの上端領域(図3にGで示す領域)がガイド領域になっていて、それに続いて、幅Wと、好ましくは0.05〜0.50mmの高さを有する膨隆部1bが、円周方向に連続して形成されている。
ピン2も、ダイ1と同様に、円筒状の外周面2aの上端近くの領域に、幅Wと、0.05〜0.50mmの高さを有する膨隆部2bが、円周方向に連続して形成されている。
図示されていないが、ダイ1とピン2との間に、スリーブ状のパンチ3が上方から昇降可能に配置されていて、しかも、スリーブ状のノックアウト4が下方から昇降可能に配置されている。
加工対象部材5は、前工程で加工されたブランク部材であり、図示はされていないが、そのブランク寸法(前工程での加工寸法)は、外径がダイ1の膨隆部1bの内径よりも少し小さく、内径がピン2の膨隆部2bの外径よりも少し大きくなっている。
冷間鍛造されたブランク部材である加工対象部材5は、次のようにしてサイジング加工のために冷間鍛造が実行される。
まず、一方で、パンチ3を上方位置(図示せず)に配置し、他方で、ダイ1、ピン2及びノックアウト4を図3に示す所定の鍛造位置に配置する。しかるのち、ダイ1、ピン2及びノックアウト4によって画成されたほぼリング状の空間に、加工対象部材5を挿入する。加工対象部材5をダイ1とピン2の加工領域の入口から挿入して、すなわち、ダイ1の膨隆部1bとピン2の膨隆部2bを越えて加工対象部材5を通過させて、ブランク寸法(前工程の加工寸法)を有するリング状のブランク部材つまり加工対象部材5を加工領域の奥まで挿入する。その結果、加工対象部材5の下面がノックアウト4の上端面に到達する。この状態の加工対象部材5に対し、パンチ3を上方位置(図示せず)から下降させる。そして、パンチ3の下端面で加工対象部材5を押圧する。そのとき、加工対象部材5は、軸方向に圧縮され、それと同時に半径方向に押し出される。その結果、加工対象部材5の外周は、ダイ1の内周面1aに接触して押圧され、かつ、加工対象部材5の内周は、ピン2の外周面2aに接触して押圧される。さらに、パンチ3の押圧力により、加工対象部材5の内周面の上方縁及び下方縁と外周面の上方縁及び下方縁が、それぞれ、ピン2とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S3〜S4の上下方向に突き出されるとともに、ダイ1とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S1〜S2の上下方向に突き出される。
その結果、パンチ3の所定の押圧動作が完了したとき、冷間鍛造部品5は、図4に示すように、内周面と外周面の上下両方の縁にバリ7a〜7dが形成される。
図3の実施例2においては、突き出し用隙間S1〜S4が互いに相違する寸法に設定されており、バリ7a〜7dの厚みは、全て異なるが、バリ7a〜7dの高さは、ほぼ同じになるように設定されている。この場合、パンチ3側の突き出し用隙間S1、S3では強く突き出され、ノックアウト4側の突き出し用隙間S2、S4では弱く突き出される。それは、突き出し用隙間S1〜S4が図3に示すように互いに相違する寸法に設定されているからである。その結果、パンチ3によって押圧された加工対象部材5が変形するとき、加工対象部材5(材料)の内周面及び外周面が、それぞれピン2の外周面2a及びダイ3の内周面1aによって摩擦抵抗を受け、パンチ3側の突き出し力は大きいが、ノックアウト4側の突き出し力は摩擦抵抗で弱くなってしまうが、パンチ3側では、隙間S1が大きいため、バリ7aの高さは低く、ノックアウト4側では、隙間S2が小さいため、バリ7bの高さは高くなる。
本実施例2では、ピン2側の上方のバリ7cの高さは、ピン2の膨隆部2bによって制限されるが、ダイ1側の上方のバリ7aは、ダイ1の膨隆部1bによって制限されない。
前述のようなバリ7a〜7dの形成は、冷間鍛造部品の上下縁部のダレや欠肉を解消するのに役立つとともに、閉塞鍛造加工の欠点(過大な加工圧の問題)を解消するのにも役立つ。
前述のバリ7a〜7dは、必要に応じて、後工程において適当な周知の手段によって除去する。
なお、図中、バリ形成のための突き出し用隙間S1〜S4と、冷間鍛造部品(被加工品)の内外の周面にしごき作用を与える膨隆部1b、2bは、誇大して示してある。
加工対象部材の種類によっては、ダイ1やピン2は、膨隆部を設けず、単純な円筒形状の面にしてもよい。
図5〜6はダイ1及びピン2に全く膨隆部を設けない実施例3を示している。
図5に示されているように、ダイ1の内周面の中で、予め前工程で形成されたリング状の加工対象部材5を最後の仕上げのサイジング加工として冷間鍛造して、冷間鍛造部品を製造する。
この実施例3においては、前の工程で冷間鍛造された冷間鍛造品を加工対象部材5として使用する。
第1押圧手段であるスリーブ状のパンチ3と、第2押圧手段であるスリーブ状のノックアウト4を使用して、スリーブ状のパンチ3の内周面の中とスリーブ状のノックアウト4の内周面の中にピン2が挿入され、ダイ1の内周面とパンチ3およびノックアウト4の外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間S1、S2が設定され、かつ、ピン2の外周面とパンチ3およびノックアウト4の内周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間S3、S4が設定される。これらの突き出し用隙間S1、S2、S3、S4は全て同じ寸法になっている。
冷間鍛造の際に、冷間鍛造部品である加工対象部材5の上下両方の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイ1の内周面及びピン2の外周面に沿って突き出し用隙間S1〜S4の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周に、連続した形で、バリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図5〜6の実施例3においては、冷間鍛造によって仕上げのためにサイジング加工をする前は、つまり、前工程で形成された状態では、冷間鍛造部品である加工対象部材5の内外の周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されていない。ダイ1の中に加工対象部材5を入れて、サイジング加工をすることによって、初めて、冷間鍛造部品である加工対象部材5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dが、全周にわたって、ダイの内周面及びピンの外周面に沿って突き出し用隙間の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5b及び内周端縁部5c、5dの全周にバリ又は余肉7a〜7dが形成される。
図示されていないが、ダイ1とピン2との間に、スリーブ状のパンチ3が上方から昇降可能に配置されていて、しかも、スリーブ状のノックアウト4が下方から昇降可能に配置されている。
加工対象部材5は、前工程で加工されたブランク部材である。
冷間鍛造されたブランク部材である加工対象部材5は、次のようにしてサイジング加工のために冷間鍛造が実行される。
まず、一方で、パンチ3を上方位置(図示せず)に配置し、他方で、ダイ1、ピン2及びノックアウト4を図5に示す所定の鍛造位置に配置する。しかるのち、ダイ1、ピン2及びノックアウト4によって画成されたリング状の空間に、加工対象部材5を挿入する。
加工対象部材5をダイ1とピン2の加工領域の入口から挿入して、ブランク寸法(前工程の加工寸法)を有するリング状のブランク部材つまり加工対象部材5を加工領域の奥まで挿入する。その結果、加工対象部材5の下面がノックアウト4の上端面に到達する。この状態の加工対象部材5に対し、パンチ3を上方位置(図示せず)から下降させる。そして、パンチ3の下端面で加工対象部材5を押圧する。そのとき、加工対象部材5は、軸方向に圧縮され、それと同時に半径方向に押し出される。その結果、加工対象部材5の外周は、ダイ1の内周面1aに接触して押圧され、かつ、加工対象部材5の内周は、ピン2の外周面2aに接触して押圧される。さらに、パンチ3の押圧力により、加工対象部材5の内周面の上方縁及び下方縁と外周面の上方縁及び下方縁が、それぞれ、ピン2とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S3〜S4の上下方向に突き出されるとともに、ダイ1とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S1〜S2の上下方向に突き出される。
その結果、パンチ3の所定の押圧動作が完了したとき、冷間鍛造部品5は、図6に示すように、内周面と外周面の上下両方の縁にバリ7a〜7dが形成される。
図5〜6の実施例3においては、突き出し用隙間S1〜S4が全体的に同じ寸法に設定されている。この場合、バリ7a〜7dの厚みは、全て同一となるが、バリ7a〜7dの高さは、パンチ3側の突き出し用隙間S1、S3では高く突き出され、ノックアウト4側の突き出し用隙間S2、S4では低く突き出される。なぜなら、パンチ3によって押圧された加工対象部材5が変形するとき、加工対象部材5(材料)の内周面及び外周面が、それぞれピン2の外周面2a及びダイ3の内周面1aによって摩擦抵抗を受けるため、パンチ3側の突き出し力は大きいが、ノックアウト4側の突き出し力は摩擦抵抗で弱くなってしまうからである。
前述のようなバリ7a〜7dの形成は、冷間鍛造部品の上下縁部のダレや欠肉を解消するのに役立つとともに、閉塞鍛造加工の欠点(過大な加工圧の問題)を解消するのにも役立つ。
パンチ3の押圧動作の完了後、パンチ3を上昇させるとともに、ノックアウト4によって冷間鍛造部品5を上昇させる。
バリ7a〜7dを形成するように、ダイ1及びピン2と、パンチ3及びノックアウト4との間に所定の突き出し用隙間S1〜S4として、0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.8mmの隙間を設けると、閉塞鍛造の「過大な瞬間的な荷重」の欠点を解消できる。そのため、加工荷重の変動幅が小さくなり、ダイ1の破損が起こりにくくなり、冷間鍛造部品(被加工品)の寸法のバラツキが少なくなり、安定して良好な部品が得られる。
前述のバリ7a〜7dは、後工程において適当な周知の手段によって除去する。
なお、図中、バリ形成のための突き出し用隙間S1〜S4は、誇大して示してある。
図7〜8は、本発明の実施例4による冷間鍛造部品の製造方法の一例を概略的に示す。
図7に示されているように、ダイ1の内周面の中で、予め前工程で形成された中実の柱状又は棒状の加工対象部材5を最後の仕上げのサイジング加工として冷間鍛造して、冷間鍛造部品を製造する。
この実施例4においては、前の工程で冷間鍛造された冷間鍛造品を加工対象部材5として使用する。
第1押圧手段である中実の棒状のパンチ3と、第2押圧手段である中実の棒状のノックアウト4を使用して、ダイ1の内周面とパンチ3およびノックアウト4の外周面との間に、全周にわたって、突き出し用隙間S1、S2が設定される。
冷間鍛造の際に、冷間鍛造部品である加工対象部材5の上下両方の外周端縁部5a、5bが、全周にわたって、ダイ1の内周面に沿って突き出し用隙間S1、S2の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5bの全周にバリ又は余肉7a、7bが形成される。
図7〜8の実施例4においては、冷間鍛造によって仕上げのためにサイジング加工をする前は、つまり、前工程で形成された状態では、冷間鍛造部品である加工対象部材5の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成されていない。ダイ1の中に加工対象部材5を入れて、サイジング加工をすることによって、初めて、冷間鍛造部品である加工対象部材5の外周端縁部5a、5bが、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間S1、S2の中に突き出されて、冷間鍛造部品5の外周端縁部5a、5bの全周にバリ又は余肉7a、7bが形成される。
図7によく示されているように、ダイ1は、円筒状の内周面1aの上端領域(図1にGで示す領域)がガイド領域になっていて、それに続いて、幅Wと、好ましくは0.05〜0.50mmの高さを有する膨隆部1bが、円周方向に形成されている。
図示されていないが、パンチ3が上方から昇降可能に配置されていて、しかも、ノックアウト4が下方から昇降可能に配置されている。
加工対象部材5は、前工程で加工されたブランク部材であり、そのブランク寸法(前工程での加工寸法)は、外径がダイ1の膨隆部1bの内径よりも少し小さくなっている。
冷間鍛造されたブランク部材である加工対象部材5は、次のようにしてサイジング加工のために冷間鍛造が実行される。
まず、一方で、パンチ3を上方位置(図示せず)に配置し、他方で、ダイ1及びノックアウト4を図7に示す所定の鍛造位置に配置する。しかるのち、ダイ1及びノックアウト4によって画成されたほぼ円筒状の空間に、加工対象部材5を挿入する。加工対象部材5をダイ1の加工領域の入口から挿入して、ブランク部材つまり加工対象部材5を加工領域の奥まで挿入する。その結果、加工対象部材5の下面がノックアウト4の上端面に到達する。この状態の加工対象部材5に対し、パンチ3を上方位置(図示せず)から下降させる。そして、パンチ3の下端面で加工対象部材5を押圧する。そのとき、加工対象部材5は、軸方向に圧縮され、それと同時に半径方向に押し出される。その結果、加工対象部材5の外周は、ダイ1の内周面1aに接触して押圧される。さらに、パンチ3の押圧力により、加工対象部材5の外周面の上方縁及び下方縁が、それぞれ、ダイ1とパンチ3及びノックアウト4との突き出し用隙間S1〜S2の上下方向に突き出される。
その結果、パンチ3の所定の押圧動作が完了したとき、冷間鍛造部品5は、図8に示すように、外周面の上下両方の縁にバリ7a、7bが形成される。そのように形成されるバリ7a、7bは、高さが0.1〜1.0mmで、厚みが0.3〜0.8mmである。
図7〜8の実施例4においては、突き出し用隙間S1〜S2が全体的に同じ寸法に設定されている。この場合、バリ7a、7bの厚みは、全て同一となるが、バリ7a、7bの高さは、パンチ3側の突き出し用隙間S1では高く突き出され、ノックアウト4側の突き出し用隙間S2では低く突き出される。なぜなら、パンチ3によって押圧された加工対象部材5が変形するとき、加工対象部材5(材料)の外周面が、ダイ3の内周面1aによって摩擦抵抗を受けるため、パンチ3側の突き出し力は大きいが、ノックアウト4側の突き出し力は摩擦抵抗で弱くなってしまうからである。
本実施例4では、ダイ1に膨隆部1bが存在するため、上方のバリ7aは、形状が、ダイ1の膨隆部1bによって少し制限される。
前述のようなバリ7a、7bの形成は、冷間鍛造部品の上下縁部のダレや欠肉を解消するのに役立つとともに、閉塞鍛造加工の欠点(過大な加工圧の問題)を解消するのにも役立つ。
パンチ3の押圧動作の完了後、パンチ3を上昇させるとともに、ノックアウト4によって冷間鍛造部品5を上昇させる。その途中で、冷間鍛造部品5の外周面が、ダイ1の膨隆部1bによって「しごき」作用をうけて精密な面に仕上げられる。
バリ7a、7bを形成するように、ダイ1と、パンチ3及びノックアウト4との間に所定の突き出し用隙間S1、S2として、0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.8mmの隙間を設けると、閉塞鍛造の「過大な瞬間的な荷重」の欠点を解消できる。そのため、加工荷重の変動幅が小さくなり、ダイ1の破損が起こりにくくなり、冷間鍛造部品(被加工品)の寸法のバラツキが少なくなり、安定して良好な部品が得られる。
前述のバリ7a、7bは、後工程において適当な周知の手段によって除去する。
なお、図中、バリ形成のための突き出し用隙間S1、S2と、冷間鍛造部品(被加工品)の内外の周面にしごき作用を与える膨隆部1bは、誇大して示してある。
図9は、歯形の冷間鍛造部品を突き出し成形法によって製造する実施例5を示している。
図9の実施例5においては、張り出し加工と突き出し加工を2つの工程に分けて実行し、そのあと、更にサイジング加工を仕上げ加工として実行している。
まず、初期工程において、中実の円柱状の金属材料を所定のダイ(図示省略)に挿入して張り出し成形をする。これにより、大きな円弧形の歯先を有する初期歯形を得る。そのあと、中間工程において、初期工程で得られた初期歯形を初期工程で用いたダイと別のダイ(図示省略)に挿入して、特許第3906998号公報に記載されている突き出し成形を少なくとも1回実行する。これにより、別の大きな円弧状の歯先を有する歯形を得る。
仕上げ工程において、中間工程で得られた歯形を、以下に説明するようにサイジング加工をして仕上げる。これにより、所望の歯形を得る。
図9の実施例においては、加工対象部材20が前の工程で冷間鍛造で加工された平歯車(所望の完成歯形に近似した歯形を有する平歯車)である。
ダイ21は軸心26の方向に貫通した孔21aを有する。この孔21aの周面には、雌の歯形27が成形されている。歯形27は正規の平歯形である。符号23は、その平歯形のピッチ円を示す。符号24は歯形27の歯先円を示す。符号25は歯形27の歯元円を示す。
加工対象部材20の外径又は直径が歯先円24の直径よりも少し大きい。例えば、加工対象部材20の直径が35mm程度のとき、歯先円24の直径はそれより0.02〜0.2mm小さくなっている。
加工対象部材20の上方に、第1押圧手段としてパンチ28が配置される。このパンチ28は、矢印X方向に加工対象部材20を押圧するものである。パンチ28は、加工対象部材20に接する先端部28aを有する。先端部28aの外周には、雄の歯形が形成されており、その歯形は、形状がダイ21の雌の歯形27に対応している。
加工対象部材20の下方には、第2押圧手段としてノックアウト29が設けられている。ノックアウト29は、加工対象部材20の下端面を支持する。ノックアウト29は、支持手段(図示せず)により動かないようになっている。ノックアウト29の周囲には、雄の歯形29aが成形されている。ノックアウト29の雄の歯形29aは、形状がダイ21の雌の歯形27に対応している。
前述のダイ2、パンチ28、ノックアウト29を使用して、平歯車を製造する手順を詳細に説明する。
まず、加工対象部材20の直下に、ノックアウト29を所定位置に設置する。そのあと、所望の完成歯形に近い歯形を有するブランク部材(冷間鍛造部品)である加工対象部材20をダイ21内に挿入する。
ダイ21内に挿入した加工対象部材20を、パンチ28で押圧する。
パンチ28がダイ21の最奥位置すなわちノックアウト29に接触する位置に到着するまでは、加工対象部材20は、特許第3906998号公報に記載されている「突き出し」加工と同じやり方で突き出し成形をする。
すなわち、加工対象部材20をダイ21の入口から中に入れてダイ21の軸方向にダイ21の最奥位置まで移動させる間に、パンチ28が加工対象部材20の一方の端面のみをダイ21の軸方向に押圧する。そのとき、加工対象部材20の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまでダイ21の歯形に接触させて加工対象部材20の歯形の歯底をダイ21の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮する。それと同時に、加工対象部材20の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出す。その突き出しのときに、加工対象部材20の歯形の歯先の頂部がダイ21の歯形に接触しない状態を維持する。さらに、加工対象部材20がダイ21の最奥位置まで移動したとき、そのダイ21の最奥位置で、加工対象部材20の両方の端面をダイ21の軸方向にパンチ28によってノックアウト29の方向に押圧して、加工対象部材20の歯先を歯形の半径方向にさらに突き出す。
このとき、加工対象部材20の歯形の歯先の頂部がダイの歯形に接触したあと、さらに、加工対象部材20の両端面への押圧を続けて、加工対象部材20(冷間鍛造部品)の上下の外周端縁部にバリ又は余肉を形成する。
この点を詳細に述べると、予め、ダイ28の内周面とパンチ28およびノックアウト29の外周面との間に、全周にわたって、図7に示されたような突き出し用隙間S1、S2が設定されており、冷間鍛造の際に、加工対象部材20(冷間鍛造部品)の上下の外周端縁部が、全周にわたって、ダイ21の内周面に沿って突き出し用隙間S1、S2の中に突き出される。その結果、冷間鍛造部品20の両端の外周端縁部の全周にバリ又は余肉が形成される。
前述の「突き出し」成形のあと、そのままパンチ28を作動させて、連続する形で、バリや余肉を成形してもよいし、いったんパンチ28を停止したあと、再びパンチ28を作動させて、バリや余肉を成形してもよい。
念のために、この実施例5にとって重要な特徴である、ダイ21の最奥位置に到達するまでの「突き出し」加工(バリや余肉を形成する前の加工)について更に詳細に説明する。
「突き出し」加工と、従来の「絞り」加工および「張り出し」加工は、冷間鍛造による形状の変化と加工圧のかかり方が、基本的に相違している。
絞り加工は、加工対象部材の横断面を全体的に絞る鍛造加工(つまり加工対象部材の横断面を全体的に減少させる鍛造加工)であるので、その分、軸方向の寸法(長さ)が増加する。
これとは逆に、張り出し加工は、加工対象部材の横断面を全体的に張り出す加工である。
また、絞り加工では、全周にわたって、加工対象部材の横断面の全体を減少させるので、ダイの入り口部分に加工圧が集中する。
これとは逆に、張り出し加工では、加工対象部材の歯形が全体的にダイの歯形よりも小さいため、加工対象部材は、ダイの入口から奥までダイの中にスムーズに入る。加工圧が集中するのは、ダイの最も奥の位置である。そのダイの最奥位置で、加工対象部材の両端面が互いにパンチ等で軸方向に押圧された瞬間に、加工圧は急激に増大する。
従来の「張り出し」加工の場合、加工の際に、冷間鍛造部品の歯形の頂部(歯先)は、ダイの歯形に密に接触する。もし仮に張り出し加工のときに冷間鍛造部品の歯形の頂部(歯先)をダイの歯形に密に接触させないとすると、周知のとおり、冷間鍛造部品の歯先(頂部)に欠肉が生じる。このような冷間鍛造部品は不良品である。
この実施例5においては、好ましくは、最後に仕上げのために、冷間鍛造でサイジング加工をし、そのとき、バリや余肉を形成する。そうすれば、欠肉が生じないだけでなく、仕上げが良好となる。
サイジング加工のときにバリや余肉を形成するのは、主として精度を良くするために必要に応じて追加的に実施するものといえる。
本実施例5においては、まず、突き出し加工をして、すなわち、加工対象部材20(ブランク部材)をダイ21の入口から中に入れて軸方向に最奥位置まで移動させていく間に、加工対象部材20の一方の端面のみをパンチ28によって押圧して、加工対象部材20の歯底全体を半径の内向き方向に圧縮すると同時に、加工対象部材20の歯先を半径の外向き方向に突き出し、さらに、加工対象部材20がダイ21の最奥位置まで移動したとき、そのダイ21の最奥位置で、加工対象部材20の両方の端面をダイ21の軸方向に押圧して、加工対象部材20の歯先を歯形の半径方向にさらに突き出す。
この突き出し加工のとき、加工対象部材20をダイ21の入口から中に入れて軸方向に最奥位置まで移動させていく間に、つねに加工対象部材20の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまでダイの歯形が接触して、加工対象部材の歯底を半径の内向き方向に圧縮する。そのとき、加工対象部材20の歯先とダイ21の歯形との間には、空間が存在する。
加工の最後の段階において、加工対象部材20がダイ21の最奥位置に到来したとき、加工対象部材20は、パンチ28とノックアウト29とによって挟む形でパンチ28側の端面がノックアウト29側の端面に押圧されて、加工対象部材20の歯先は、半径方向(外向き)に更に突き出される。
この実施例5においては、ダイ21の最奥位置で加工が完了する瞬間には、加工対象部材(冷間鍛造部品)の歯先とダイの歯形との間に空間が存在しないが、突き出し用隙間(図7のS1、S2に相当する隙間)が存在する。
それゆえ、ダイ21の途中の突き出し成形のときは、当然のこととして、ダイ21の最奥位置で加工が完了する瞬間においても、一種の「突き出し」加工をしているので、閉塞鍛造のように加工圧が急激に増大することはない。
ダイ21の入口から奥まで同一横断面形状の歯形を有する場合、ダイ21の最奥位置での加工圧は、大きくはなるが、従来のように閉塞状態でダイの最奥位置のみで押圧する「張り出し加工」の加工圧に比べれば、格段に小さくできる。その結果、「張り出し加工」に比較して、ダイの寿命を長くすることができるばかりでなく、鍛造歯形の品質を高くすることができる。
さらに、ダイ21の入口から最奥位置まで実行する「突き出し」加工は、加工圧がダイ21の入口のみに片寄って集中しないため、ダイ21の歯形の入口付近の形状を絞り加工用のダイのように特別なものにする必要がない。例えば、図9に示すように、ダイ21の入口位置から最奥位置まで同一横断面の歯形形状とし、ダイ21の入口に面取りをしただけの単純構造のダイによって、所望の突き出し加工を実施することができる。
図10〜14は、前述の実施例5と同様に「突き出し」加工法を利用した実施例6を示す。
図10〜14を参照して、突き出し加工のあと、更にサイジング(仕上げ加工)を行う際の各工程を説明する。
初期工程において、加工対象部材を所定のダイ(図示せず)の歯形の内側に挿入して張り出し成形をする。これにより、図10に示す大きな円弧形状の歯先を有する初期歯形121を形成する。そのとき、符号120bで示す三ケ月形の空間が加工品の初期歯形121の歯先とダイの歯形120aの歯先との間に残っている。
図11に示すように、中間工程において、初期工程で得られた初期歯形121を、初期工程で用いたダイとは別のダイ120cに挿入して、実施例5において述べた突き出し成形(特許第3906998号公報に記載されている突き出し成形)をする。これにより、図11に示す歯形122を形成する。符号120dはサイジング代を示す。
なお、加圧加減によっては、歯形122はダイ120cの輪郭全面に当接しない場合もある。
仕上げ工程において、中間工程で得られた歯形122を、冷間鍛造でサイジング加工する。これにより、図12に示す所望の完成歯形123を得る。
このように冷間鍛造でサイジング加工をするときに、図14に示す冷間鍛造部品130の外周端縁部の全周に、バリ(図7のバリ7a、7bに相当する)が、図7〜8の実施例と同様の方法で形成される。すなわち、予め、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、図7〜8に示されているような突き出し用隙間(図7の隙間S1、S2に相当する)が設定されて、冷間鍛造の際に、加工対象部材の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間(S1、S2)の中に突き出されて、その加工対象部材から形成された冷間鍛造部品130の外周端縁部の全周にバリ又は余肉(7a、7b)が形成される。
図13は、図10〜12の図示内容を合わせた形で、かつ歯形内部のファイバーフローを模式的に示す。
符号125は、ファーバーフローを概念的に示す。得られた歯形123は、ファイバーフロー125が良好となり、そのため、亀裂が生じにくくなっている。
図14は、本発明の更に別の実施例7を示す。
この実施例7は、加工対象部材に対する張り出し加工と突き出し加工を2つの工程に分け、更にサイジング(仕上げ加工)工程と組み合わせて行う例である。
図中、符号130は平歯車を示す。符号134はピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
初期工程において、円筒状の加工対象部材を所定のダイ(図示せず)に挿入して張り出しを成形する。これにより、大きな円弧形の歯先を有する初期歯形131を得る。
中間工程において、前述の実施例5〜6と同様に、初期工程で得られた初期歯形131を、初期工程で用いたダイとは別のダイ(図示せず)に挿入して「突き出し」成形をする。これにより、別の大きな円弧形の歯先を有する歯形132を得る。
仕上げ工程において、中間工程で得られた歯形132を、冷間鍛造でサイジング加工する。これにより、歯形133を得る。符号130dはサイジング代を示す。
なお、符号131a、133aは、加工品(冷間鍛造部品)の歯の形状を示す。そのとき、符号135a、135bで示す空間がダイの内側に残っている。
この実施例7においては、サイジング加工用の冷間鍛造をする際に、ダイの入口から最奥位置に到来する間に、加工対象部材130の頂部130aが、サイジング用のダイに接触する。そのため、ダイは、加工対象部材130の頂部130aをサイジング代130dの分だけ圧縮する。
そのあと、冷間鍛造部品(加工対象部材)130の外周端縁部の全周に、バリ又は余肉が、図7〜8の実施例と同様の方法で形成される。
すなわち、予め、ダイの内周面とパンチおよびノックアウトの外周面との間に、全周にわたって、図7〜8に示されているような突き出し用隙間S1、S2が設定されて、冷間鍛造の際に、冷間鍛造部品である加工対象部材130の外周端縁部が、全周にわたって、ダイの内周面に沿って突き出し用隙間(S1、S2)の中に突き出されて、加工対象部材130から形成された冷間鍛造部品(130)の外周端縁部の全周にバリ又は余肉(7a、7b)が形成される。
なお、本発明は前述の実施例に限定されない。たとえば、ダイの内周面は単純な円筒形のものに限定されない。また、加工対象部材も、単純な円筒形のものに限定されない。本発明は、もっと複雑な形状を有する形態(例えば、フランジを有する部材で、そのフランジの部分のみを加工対象とするような形態)を含むものである。
本発明の実施例1による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
図1に記載の方法で製造された冷間鍛造部を示す。
本発明の別の実施例2による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
図3に記載の方法で製造された冷間鍛造部品を示す。
本発明の更に別の実施例3による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
図5に記載の方法で製造された冷間鍛造部品を示す。
本発明の更に別の実施例4による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
図7に記載の方法で製造された冷間鍛造部品を示す。
本発明の更に別の実施例5による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
本発明の更に別の実施例6による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
図10の実施例6の次の工程を示す。
図10の実施例6の更に次の工程を示す。
図10に示された実施例6について図10〜12の図示内容をまとめ、かつ、ファイバーフローを加えて示す。
本発明の更に別の実施例7による冷間鍛造部品の製造方法を示す。
1 ダイ(金型)
1a 内周面
1b 膨隆部
2 ピン
2a 外周面
2b 膨隆部
3 パンチ
4 ノックアウト
5 冷間鍛造部品
5a、5b 外周端縁部
5c、5d 内周端縁部
5c、5d 内周端縁部
7a〜7d バリ又は余肉
20 加工対象部材
21 ダイ
21a 孔
26 軸心
27 歯形
28 パンチ
28a 先端部
29 ノックアウト
29a 歯形
121 歯形
120a 歯形
120c ダイ
121 歯形
122 歯形
123 完成歯形
130 加工対象部材
130a 頂部
131 歯形
132 歯形
133 歯形
S1、S2 突き出し用隙間
S3、S4 突き出し用隙間
W 幅