JP7060871B2 - クローラ - Google Patents

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本発明は、農機具や建設用機械等の走行部に用いられるクローラに係るものである。
内周面を転輪が通過するタイプのクローラにあって、芯金と抗張体を除く部分は概ねその材質は弾性体である。スプロケットやアイドラーへの巻回時や機体重量による落ち込みによって弾性体は伸縮し、それに伴って発熱する。弾性体内部は空気による冷却効果を受けにくいため、その熱が弾性体内部に蓄積し、弾性体の熱老化によるクラックの早期発生や、弾性体と芯金との接着力の低下による芯金と弾性体の剥離などを引き起こす要因となり、クローラ寿命に影響を与えていた。また、クローラ本体の強度確保のために転輪通過面を厚く形成している場合もあり、その場合はより蓄熱しやすくなる。特に、軽量化を目的とした芯金レスクローラにおいてはクローラの大部分が弾性体となるため、蓄熱への対応策は更に重要な課題となる。
上記に対する改善策として、例えば特許文献1には発熱自体を防止するために巻き掛け抵抗を低減する構造が開示されている。また、特許文献2には、気流による冷却効果を有する構造が開示され、特許文献3には、内部発熱を発散する構造が提案されている。
特許文献1のクローラは、クローラ本体の内周部に、クローラ周方向に隣接する翼部の間からクローラ幅方向外側へ延びる凹部を形成している。言い換えれば、巻回部分においてクローラ本体の圧縮歪みが大きくなる部分を取り除いている。これにより、巻回部分においてクローラ本体の隣接する芯金間に生じる圧縮歪みが緩和され、結果、走行時におけるクローラ本体の隣接する芯金間の発熱が抑制されるとしている。
特許文献2のクローラは、内周面に転輪が通過する転輪通過部が形成されたクローラにおいて、転輪通過部よりもクローラ幅方向外側で、クローラ幅方向の端部よりも内側に形成された窪み部に、クローラ周方向に間隔をあけて複数配設され、クローラ幅方向の端部側から転輪通過部に向かって延びる突条部を有し、これにより、走行時に突条部に沿ってゴム弾性体の端部側から転輪通過部に向かって空気が流れるため、冷却することができるものである。
特許文献3のクローラは、内周面を転輪が転動してなるゴムクローラにおいて、無端状ゴム弾性体には、ガイド突起の幅方向外側に無端状ゴム弾性体の内周面から盛り上がり転輪が転動する転動面がそれぞれ形成され、ゴムクローラの内周側平面視で発熱しやすい芯金間に対応する部位の幅が芯金に対応する部位よりも狭いことを特徴とし、これにより、熱の発散に優れた構造となり、ゴムの老化が極めて低減され、ゴムの寿命が著しく向上する。
特許第5566866号 特許第5758421号 特許第4608296号
上記の構造においては、いずれも金型の変更が必要になり、初期段階での工数が増加してしまうため、既存の金型を継続利用できればより効率的となる。
したがって、本発明は、内周面側を転輪が通過するタイプのクローラにあって、上記のような金型変更が必要な方法を用いることなく、弾性体内部の熱を好適に放出し、転輪走行面における表面発熱を低減し、且つクローラの走行に影響を与えないクローラの構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、無端状の弾性体と、周方向に抗張体が埋設され、外周側にラグを有し、内周側を転輪が走行するクローラであって、当該弾性体よりも熱伝導率の高い柔軟性シートの一部分をクローラ内周側に露出させて露出部とし、加硫により前記弾性体となる未加硫のゴム板の間に当該露出部に連続する他の部分を埋設して埋設部とした生クローラを加硫により一体化した構造であることを特徴とする。前記柔軟性シートの熱伝導性によってクローラ内部の熱を好適に放出する。
また、前記柔軟性シートとして低摩擦性を有するシート、布帛状シートを用いて、前記露出部は転輪走行面を含むように構成することにより、クローラ内周面と転輪との間の摩擦による表面発熱を低減するものである。
本発明は、クローラ内周面において、低摩擦性を有する柔軟性シートにより、クローラ内部の熱を好適に放出し、転輪走行面における表面発熱を低減する構造とすることが可能となり、また、柔軟性シートを布帛状又はシート状とすることにより、柔軟性シートの配置による巻き掛け抵抗を最小限に留めることとなり、クローラの走行に影響を与えず、耐久性に優れたクローラを提供できたものである。なお、柔軟性シートが微小な隙間を有する場合、そこに未加硫ゴムが侵入することにより接着性が向上する。
第1実施例に係るクローラを示す図であり、図1Aは内周面、図1BはA-A断面、図1Cは変形例を夫々示している。 第2実施例に係るクローラを示す図であり、図2Aは内周面、図2BはB-B断面、図2Cは変形例の内周面、図2DはC-C断面を夫々示している。 第3実施例に係るクローラを示す図であり、図3Aは内周面、図3BはD-D断面を夫々示している。 第4実施例に係るクローラを示す図であり、図4Aは内周面、図4BはE-E断面を夫々示している。 第5実施例に係るクローラを示す図であり、図5Aは内周面、図5Bは変形例の内周面、図5CはF-F断面を夫々示している。 第6実施例に係るクローラベルトを示す図であり、図6Aは内周面、図6BはG-G断面を夫々示している。 第1実施例に係るクローラの各種の変形例であり、図7A~7Dは埋設部の異なる形状を示している。 埋設部の埋設深さを示す例である。 クローラの断面を示す図であり、図9Aは周方向断面、図9BはH-H断面、図9Cは芯金レスクローラを夫々示している。 生クローラの組み立て状況を示す図である。
クローラは、無端状の弾性体と、周方向に抗張体が埋設され、外周側にラグを有し、内周側を転輪が走行する。クローラの主たる材質である弾性体は、スプロケットやアイドラーへの巻回時や、転輪による機体重量による落ち込みによる圧縮歪みにより発熱する。図9は周方向に一定間隔に配置された芯金1を有するクローラ80を示している。クローラは転輪が走行する転輪走行面(図中、符号5で示す範囲)を、クローラ80の一周にわたり有している。クローラ80は、接地面側にラグ9を所定の周期に設けている。クローラ80は抗張体2を有しており、抗張体2は伸張しないため、スプロケットやアイドラーへの巻回時においては、抗張体2よりも内周側の弾性体ELが圧縮を受けることになる。図9BのH-H断面を参照して転輪走行面5の下側で抗張体2までの弾性体ELの厚さをクローラの一周の厚さで見た場合、芯金1の存在する部分の厚さh3は薄く、芯金と芯金の間の厚さh4は厚くなっている。芯金1は殆ど変形をしないため、スプロケットやアイドラーへの巻回時における変形は、専ら芯金1と芯金1の間の弾性体ELで生じる。この部分の厚さh4は、h3よりも厚いため、圧縮歪みによる熱が放出されにくい。これに対して、芯金1の位置では、弾性体ELの厚さは薄く、また熱伝導体である金属に接しているため、熱が溜まりにくい。
一方、芯金の無いクローラ(芯金レスクローラ)90の場合(図9C)には、スプロケットやアイドラーへの巻回時における圧縮変形は、駆動突起10やラグ9の影響はあるものの、芯金レスクローラ90の一周でほぼ同様に生じる。一方で、駆動突起10の存在する場所は、特に弾性体ELの厚さが厚く圧縮熱は放出しにくい。
本発明は、抗張体よりも内周側であって、クローラの一周にわたって弾性体ELの厚さが厚くなっている箇所に対して弾性体ELよりも高い熱伝導率を有する柔軟性シートを埋設し、柔軟性シートの一部分をクローラ表面に露出させて、弾性体の圧縮歪みにより生じた熱を放出させる。または芯金のあるクローラにおいては、埋設した柔軟性シートを芯金に接触させることにより弾性体ELの圧縮歪みにより生じた熱を放出させる。
クローラの製造においては、周知の通り、未加硫のゴム板GM、芯金1、抗張体2を部品として組み上がった生クローラを、金型に入れて加硫する。図10に、本発明における、生クローラの組み立て状況を示す。図10に示すように、折曲げ自在な柔軟性シート6を生クローラに組み上げる段階で、未加硫のゴム板GMの間に挿入することにより埋設するのである。柔軟性シート6は、柔軟であるのでゴム板GMの表面の形状に追随して自由に折り曲がる。このとき、柔軟性シート6の一部分は内周側に配置される未加硫のゴム板GMの上に被せて露出させ(露出部)、当該露出部に連続する他の部分を未加硫のゴム板GMの間に折り込んで埋設する(埋設部)。その後、加硫により一体化する。尚、図中GSは、抗張体2を含むゴム板を示している。製造されたクローラにおいては、未加硫のゴム板GMが加硫により弾性体ELになり、柔軟性シート6の一部が内周面側に露出し、一部が弾性体ELの中に埋設される。このように本発明によれば、いずれも金型の変更を必要とせずに、既存の金型を継続利用することができる。
本発明における、柔軟性シート6は、クローラの主たる部分を構成する弾性体ELよりも高い熱伝導率を有しており、例えばトレカ(東レ株式会社の登録商標第1021495号)のクロスや同プリプレグ等の炭素繊維やカプロンファイバー(株式会社セイホウの登録商標第4717720号)等の銅繊維、金属コードの織り合わせのような布帛状、或いは金属製のシート、熱伝導性を有するシルパッドSP(北川工業株式会社)やギャップパッドGP1(北川工業株式会社)等のシリコーンシートやパレル(東レ株式会社の登録商標第843135号)等のポリマーシート等、熱伝導性もしくは制電性を有するものであれば材質を問わず用いることが可能である。加えて、例えば炭素繊維や金属製シートのように低摩擦性を有していれば、表面発熱も低減することができ、更に蓄熱防止効果を奏する。また、銅は加硫により強固に接着することが知られているが、銅繊維シートのように柔軟性や加工性に優れ、軽量なものであればクローラの走行に何ら影響を与えない構造とすることが可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。尚、図中、柔軟性シート6の厚さは、柔軟性シート6として選択される素材により図面に現れた厚さよりは遙かに薄い場合もある。
図1に本発明の第1実施例に係るクローラ20を示す。図1Aは、クローラ20の内周面を示す図である。クローラ20の内周側の転輪走行面5において、クローラ20の内周側に露出するように全周にわたって連続する高い熱伝導率を有する柔軟性シート6が加硫一体として配置される。柔軟性シート6としては布帛状又は低摩擦性を有するシートが望ましい。露出部6aのクローラ幅方向W長さは、少なくとも転輪8が走行する際に接触する全長さを含む面とする。
図1BのA-A断面図において、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wにおける両端部は弾性体EL内に埋設され埋設部6bを構成している。ラグ9は、芯金1の直下に配置されている。本構成により、芯金1の間の弾性体EL内部に蓄積した熱は、柔軟性シートを介して、露出部6aの露出表面から好適に大気中へ放熱される。芯金1の箇所にも柔軟性シート6が配置されているので、当該箇所の弾性体EL内部に蓄積した熱も同様に放熱可能である。また、柔軟性シート6の端部を弾性体EL内に埋設し、埋設部6bとすることによって加硫一体として配置した柔軟性シート6がその端部より剥離することを防止する。
尚、柔軟性シート6の埋設部6bに関して、図7Aに示すように、蛇腹状に折りたたんで埋設しても良い。さらに、図7Bに示すように、柔軟性シート6の両端部に周期的にクローラ幅方向Wの切り込みを入れて、隣り合う切り込みをクローラ幅方向Wにずらせて埋設して埋設部6bを構成することにより弾性体ELとの接着性を向上させることができる。
また、柔軟性シート6のクローラ幅方向W内側と外側の端部は連続していても良く、例えば、図1Cに示すクローラ20’のように柔軟性シート6を筒状に形成し、柔軟性シート6の一部を転輪走行面5に露出させて露出部6aとし、柔軟性シート6によって囲まれた内部に弾性体ELを充填させた状態でその他の部分をクローラ本体内に埋設させて埋設部6bとして生クローラを作成し加硫することも可能である。これによってより多くの柔軟性シート6がクローラ内部に埋設されることとなり、接着強度が増大する。
上記構成により、弾性体EL内に蓄積した熱は埋設部6bから柔軟性シート6を介して露出部6aに伝達され、大気中へ放出することが可能となり、更に、柔軟性シート6として布帛状又はシート状の低摩擦性の柔軟性シート6を用いれば、露出部6aによって転輪走行面5における表面摩擦を低減することができるという効果を奏する。
図2は本発明の第2実施例に係るクローラ30を示す図であり、柔軟性シート6をクローラ30の周方向Lの全周にわたって弾性体EL内部に連続して埋設することにより埋設部6bを構成し、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wの端部の一方もしくは両方をクローラ内周面に露出させて露出部6aを構成し、加硫一体として配置される。
図2Aは、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wの両方をクローラ内周面に露出させて露出部6aを構成した例を内周面から見た図で有り、図2Bは、B-B断面図である。柔軟性シート6のクローラ幅方向Wにおける両側の端部はクローラ30の内周面に露出している。埋設部6bは転輪走行面5の下側の弾性体ELの厚み方向中央付近に埋設し、露出部6aは転輪走行面5を外れた箇所に露出配置した状態で生クローラを作成し、加硫一体化する。
図2Cは、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wの一方をクローラ内周面に露出させて露出部6aを構成した例で有り、図2Dは、C-C断面図である。柔軟性シート6のクローラ幅方向Wにおける一方の端部(本例ではクローラ幅方向外側)はクローラ30’の内周面に露出している。他は図2Bの例と同様である。また、露出部6aは、転輪8による摩擦の影響を受けることが無いため、剥離することを防止することができる。尚、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wにおけるクローラ幅方向内側の一方にのみ端部を露出しても良い。
第2実施例に示す構成により、弾性体EL内部において蓄積した熱は、埋設部6bより露出部6aへと伝わり、大気中へ放熱される。また、露出部6aは、転輪8による摩擦の影響を受けることが無いため、剥離することを防止することができる。
上記構成により、弾性体EL中央付近に蓄積した熱を好適に露出部6aまで伝達することができ、また、露出部6aが転輪走行面5を除く位置にあるため、柔軟性シート6が転輪8による摩擦の影響を受けず、端部からの剥離も防げるため、柔軟性シート6の寿命が延びることとなる。
図3は本発明の第3実施例に係るクローラ40を示す図であり、図3Aはクローラ40の内周面を示している。本実施例においては、柔軟性シート6の露出部6aはクローラ40の内周側の転輪走行面5の範囲であって、芯金1の投影面に重なる範囲が少なくとも含まれるように埋設される。柔軟性シート6の埋設部6bは、芯金1の間に埋設される。柔軟性シート6はクローラ40の全周にわたって連続し、加硫一体として配置される。このとき、柔軟性シート6のクローラ幅方向Wの長さは、少なくとも転輪走行面5を含む長さとする。
上記構成によると、蓄熱しやすい芯金1間に埋設部6bを配置することによって芯金1間の熱を露出部6aから好適に大気中に放出することができる。また、柔軟性シート6として布帛状又は低摩擦性のシートを用いれば、露出部6a上においては転輪8が芯金1上を走行する際の摩擦による表面発熱を低減することができる。
図3BはD-D断面図であり、芯金1の間に対応する部分の柔軟性シート6はクローラ40の本体内に埋設され埋設部6bを構成する。埋設部6bの埋設深さは、最も深い部分が抗張体2よりも内周側となるように配置することが好ましい。本構成により、柔軟性シート6の剥離をより効果的に防止する効果を奏する。また、露出部6aのクローラ幅方向Wの端部は第1実施例のように弾性体EL内に埋設しても良い。
図4は本発明の第4実施例に係る芯金レスクローラ50を示している。芯金レスクローラ50は、先に示したクローラ20、30、40とは相違し、これらが有していた芯金1を有さない。図4Aは、クローラ50の内周面を示す図であり、芯金レスクローラ50において駆動突起10の下側に埋設部6bを構成し、駆動突起10のクローラ幅方向Wの両側に埋設部6bに連続する露出部6aが現れるように柔軟性シート6が配置される。このとき、露出部6aのクローラ幅方向Wの長さは、少なくとも転輪走行面5を含む長さとする。
図4BはE-E断面図であり、芯金レスクローラ50の本体と駆動突起10の境界部分に埋設部6bを構成する。本構成によってクローラ周方向Lにおける駆動突起10間においては露出部6aを構成する。
芯金レスクローラ50の場合、芯金が無いため、抗張体2の内周側はスプロケットやアイドラーへの巻回時に、駆動突起10の直下において圧縮歪みや、転輪8による機体重量による落ち込みによる圧縮歪みにより発熱する。駆動突起10は弾性体ELにより形成されており(他の部分の弾性体ELと同じ材質でも良いし、異なっていても良い)、駆動突起10及びその直下において発生する圧縮歪みによる熱は、厚い弾性体により放出されにくい状態になっている。柔軟性シート6は、埋設部6bにおいて熱を取込み、同一平面上に連続する露出部6aにおいてその熱を放出する。
なお、埋設部6bは、必ずしも露出部6aと同一平面上に設けなくても良い。芯金レスクローラ50の厚さ方向において駆動突起10の先端から抗張体2までの間を貫通していれば良いのであり、駆動突起10の平面視中央付近を含んでいることが好ましい。更に、駆動突起10を跨いでクローラ幅方向W左右においては露出部6aを構成することにより、柔軟性シート6が低摩擦性も有している場合、転輪8との摩擦を低減し、表面発熱を低減することができる。また、クローラ幅方向Wの端部を埋設部6bとすることによって、転輪走行面5の下側に生じる圧縮熱を好適に大気中に放出することができるとともに、柔軟性シート6の端部が弾性体ELの中に隠れるので柔軟性シート6自体が剥離しにくくなる。
また、上記構成によると、芯金レスクローラ50において最もゴム厚が大きくなる駆動突起10内に埋設部6bを配置することによって、芯金レスクローラ50の加硫時に柔軟性シート6を介して駆動突起10の内側に熱を伝達して加硫をすることができる。
さらに、シート状の柔軟性シート6の埋設部6bに関して、厚みを薄く構成することによりコストダウンが図れる。柔軟性シート6として布帛状の柔軟性シート6を選択する場合においては、埋設部6bの表面積が露出部6aより大きくなるように形成することにより、隙間に入るゴム量が増加し、接着強度が増大する。
図5は本発明の第5実施例を示す図である。図5A及び図5Bは夫々係る第5実施例のクローラ60とこれを変形したクローラ60’の内周面を示している。クローラ60および60’の周方向Lにおいて柔軟性シート6が分割され、非連続な状態で配置される。柔軟性シート6は芯金1間に位置し、クローラ幅方向Wの端部の少なくとも一方の端部をクローラ内周面に露出させて露出部6aを構成し、加硫一体として配置される(クローラ60は両方の端部を露出させ、クローラ60’は幅方向W外側の端部を露出させた)。このとき、柔軟性シート6の埋設部6bは芯金1と同等の弾性体ELの厚み方向中央付近に埋設し、露出部6aは転輪走行面5を除くクローラ内周面に形成することが好ましい。
上記構成によると、柔軟性シート6を配置することによるスプロケットやアイドラーへの巻き掛け時のクローラ屈曲抵抗を低減することができる。
図5Cは図5BのF-F断面図である。本実施例においては芯金1と同等の弾性体EL厚み方向中央付近に埋設部6bを構成する。本構成によって、芯金1間において芯金1と干渉することなく埋設部6bを弾性体ELの厚み方向中央付近に配置することができるため、弾性体EL内の最も蓄熱しやすい部分から、より好適に放熱することが可能となる。なお、本実施例では芯金1を有するクローラにおいて適用しているが、芯金レスクローラにおいてもクローラ周方向Lにおいて柔軟性シート6を分割し、非連続な状態で配置することによって弾性体EL内の好適な放熱効果を奏する。また、柔軟性シート6が分割されているので、クローラの屈曲抵抗を低減することができる。
図6は本発明の第6実施例に係るクローラ70を示す図であり、図6Aに示すクローラ内周面側の転輪走行面5において、柔軟性シート6はクローラ周方向Lに対して波罫状で露出部6a及び埋設部6bを構成し、加硫一体として配置される。柔軟性シート6のクローラ幅方向W長さは、少なくとも転輪走行面5を含む長さとする。
図6BはG-G断面図であり、柔軟性シート6はクローラ周方向Lに対して波罫状でクローラ本体内に埋設され、露出部6a及び埋設部6bを構成する。当該埋設部6bの埋設深さは、芯金1上においては最も深い部分が芯金1よりも内側となるように配置することが好ましく、芯金1間においては芯金1と同程度の深さに埋設することが好ましい。本構成により、柔軟性シート6の剥離をより効果的に防止する効果を奏する。また、露出部6aのクローラ幅方向W端部は第1実施例のように弾性体EL内に埋設しても良い。
上記構成によると、弾性体EL内の熱を好適に大気中に放出することができ、更に、スプロケットやアイドラーに巻き掛けられた際の屈曲抵抗が低減される。
本発明における、埋設部6bの埋設深さは最深部が抗張体2よりも内周側になるように配置する。埋設深さが大きすぎて柔軟性シート6と抗張体2がプレス時に当接するような位置にあると当該部分の接着強度が低下し、剥離を生じるからである。具体的には、芯金1を有する場合のクローラにおいては、図8Aに示すようにガイド突起先端部からクローラ幅方向端部までの長さをw1、転輪走行面5と抗張体2の間の弾性体ELの厚さをh1としたとき、クローラ幅方向Wについてはw1の1/3から2/3の間の範囲内に、クローラの厚さ方向Hについてh1の1/3から2/3の間の範囲内に、埋設部6bの最深部が存在することが好ましい。埋設部6bの一部が係合部3を中心とした左右の弾性体ELにおいて、クローラ幅方向W及び厚さ方向Hの略中央部に埋設されるのが望ましい。また、柔軟性シート6の埋設部6bは、露出部6aよりも相対的に表面積が大きくなるよう形成されていることが望ましい。柔軟性シート6の膜の厚さを部分的に変えても良く、その場合には埋設部6bは、露出部6aよりも薄いシート状に形成するのが良い。
また、芯金1と柔軟性シート6との位置関係において、敢えて柔軟性シート6を芯金1の一部に当接させることによって、芯金1の熱伝導性を利用して芯金1の露出部分、例えば係合部3より放熱させることも可能である。この場合、柔軟性シート6は露出部6aを有しなくとも良い。
なお、本発明における上記実施例においては、ガイド突起4の左右外側に一対の柔軟性シート6を配置しているが、これらの例に限らず、露出部6aが左右一対のガイド突起4を覆うような構成とすることによってスプロケット及びアイドラーとの接触部分の摩擦を低減することができる。上記のように、各実施例を組み合わせたり、用途やクローラの構造に応じて柔軟性シート6の露出部6a、もしくは埋設部6bがクローラ幅方向中央部を含む配置や左右片側のみの配置にしても良い。また、使用する柔軟性シート6の面積は、少なくとも露出部6aと埋設部6bを構成することが可能な大きさであれば良く、クローラのサイズや露出程度に応じて適宜調整を行う。
埋設方法に関しては上記に限定されず、また、上記2つの方法を組み合わせてもよい。
1 芯金
2 抗張体
3 係合部
4 ガイド突起
5 転輪走行面
6 柔軟性シート
6a 露出部
6b 埋設部
8 転輪
9 ラグ
10 駆動突起
20、20’、30、30’、40、60、60’、70、80 クローラ
50、90 芯金レスクローラ
EL 弾性体
GM ゴム板
GS 抗張体を含むゴム板

Claims (11)

  1. 無端状の弾性体と、周方向に抗張体が埋設され、外周側にラグを有し、内周側を転輪が走行するクローラであって、当該弾性体よりも熱伝導率の高い柔軟性シートの一部分をクローラ内周側に露出させて露出部とし、加硫により前記弾性体となる未加硫のゴム板の間に当該露出部に連続する他の部分を埋設して埋設部とした生クローラを加硫により一体化した構造であることを特徴とするクローラ。
  2. 前記埋設部の一部が係合部を中心とした左右弾性体のクローラ幅方向及び厚さ方向の略中央部に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のクローラ。
  3. 芯金を有さないクローラにおいて、前記柔軟性シートは、駆動突起の内部に埋設された埋設部と、当該埋設部に連続し前記駆動突起のクローラ幅方向両側に露出した露出部とを有している請求項1又は2に記載のクローラ。
  4. 前記柔軟性シートは低摩擦性を有する布帛状構造物であり、前記露出部は転輪走行面を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクローラ。
  5. 前記柔軟性シートは低摩擦性を有する部材からなり、前記露出部は転輪走行面を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクローラ。
  6. 前記柔軟性シートの埋設部は露出部よりも相対的に表面積が大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項4に記載のクローラ。
  7. 前記柔軟性シートの埋設部は露出部よりも薄いシート状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のクローラ。
  8. 前記柔軟性シートの露出部と埋設部はクローラ幅方向において連続している請求項1から7のいずれかに記載のクローラ。
  9. 前記柔軟性シートの露出部と埋設部は少なくともクローラ周方向において連続している請求項1から7のいずれかに記載のクローラ。
  10. 前記柔軟性シートはクローラ周方向において非連続である請求項1から7のいずれかに記載のクローラ。
  11. 無端状の弾性体と、周方向に抗張体及び一定間隔に芯金が埋設され、外周側にラグを有し、内周側を転輪が走行するクローラの構造であって、当該弾性体よりも熱伝導率の高い柔軟性シートを前記弾性体となる未加硫のゴム板の間に埋設し、前記柔軟性シートを前記芯金の一部に当接させた生クローラを加硫一体化していることを特徴とするクローラ。
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