以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る弾性クローラについて説明をする。なお、本明細書において、「クローラ幅方向」、「クローラ厚み方向」および「クローラ周方向」は、それぞれ、クローラ本体(ここでは、「弾性クローラ」と同義。)を基準とした方向をいう。図中、クローラ幅方向は、矢印WDで示し、クローラ厚さ方向は、矢印TDで示し、また、クローラ周方向は、矢印CDで示す。また、本明細書中、「クローラ内周側」および「クローラ外周側」も、それぞれ、クローラ本体(ここでは、「弾性クローラ」と同義。)を基準とした「内周側」および「外周側」をいう。さらに、本明細書中、「クローラ厚み方向外周側」とは、クローラ厚み方向両側のうちのクローラ外周側をいい、単に、「下側」ともいう。また、本明細書中、「クローラ厚み方向内周側」とは、クローラ厚み方向両側のうちのクローラ内周側をいい、単に、「上側」ともいう。
図1は、本発明の一実施形態に係る弾性クローラを適用可能なクローラ走行装置の一例を概略的に示す側面図である。
図1中、符号100は、本発明の第1実施形態に係る弾性クローラを適用可能なクローラ走行装置である。クローラ走行装置100は、例えば、農業機械(トラクター、コンバイン等)、建設機械(ミニショベル等)等の車両走行用として使用することができる。この例では、クローラ走行装置100は、トラクター用の走行装置として構成されている。
図1の例では、クローラ走行装置100は、駆動輪110と、従動輪120と、転輪130と、を備えている。これらは、車両の機体(図示省略)に取り付けられている。駆動輪110は、かご型スプロケットである。前記かご型スプロケットは、回転軸Oの周りに同一ピッチで配置された複数のピン110Pを有している(図1では、例示的に1つのみに符号を付している。)。この例では、クローラ走行装置100は、1つの駆動輪110と、2つの従動輪120と、3つの転輪130とを備えている。ただし、駆動輪110、従動輪120および転輪130の個数は、それぞれ、クローラ走行装置100の構成に応じて変更することができる。また、この例では、ピン110Pは、クローラ幅方向に延在する円柱状に構成されているが、ピン110Pの構成は適宜変更することができる。
符号1Aは、本発明の一実施形態に係る弾性クローラである。弾性クローラ1Aは、駆動輪110、従動輪120及び転輪130に巻き掛けられている。
弾性クローラ1Aは、無端帯状に形作られているとともに弾性材料からなるクローラ本体2を備えている。また、弾性クローラ1Aは、クローラ本体2の内周面21に間隔を置いて配置されている複数の突起3を備えている(図1では、例示的に1つのみに符号を付している。)。
図1に示すように、複数の突起3は、それぞれ、クローラ本体2の内周面21からクローラ内周側へ突出している。また、複数の突起3は、それぞれ、クローラ周方向に互いに一定の間隔を置いて配列されている。本実施形態では、弾性クローラ1Aの内周面11は、クローラ本体2の内周面21と、突起3の外表面F3oとで、構成されている。
さらに、本実施形態に係る弾性クローラ1Aは、クローラ本体2の外周面22に間隔を置いて配置されている複数のラグ4を備えている(図1では、例示的に1つのみに符号を付している。)。複数のラグ4は、それぞれ、クローラ本体2の外周面22からクローラ外周側へ突出している。ラグ4の形状や配置は、各図に示すものに限られず、任意の形状、配置を採用することができる。本実施形態では、弾性クローラ1Aの外周面12は、クローラ本体2の外周面22と、各ラグ4の外表面とで、構成されている。ラグ4は、弾性材料からなる。この例では、前記弾性材料は、ゴムである。ラグ4は、クローラ本体2と共に一体に成形することができ、また、クローラ本体2に対して加硫接着することができる。
図1の矢印Dに示すように、駆動輪110が回転軸O周りに回転すると、各ピン110Pは、それぞれ、当該ピン110Pに対応する弾性クローラ1Aの突起3に対して順次接触するように構成されている。突起3は、駆動輪110のピン110Pが突起3と接触する際に、ピン110Pからの駆動力をクローラ本体2に伝達する機能を有する。
図2は、弾性クローラ1Aを一部断面で示す斜視図である。
本実施形態に係る弾性クローラ1Aは、芯金レスゴムクローラである。図2に示すように、本実施形態では、複数の突起3は、それぞれ、クローラ幅方向中央に配置されている。
本実施形態では、クローラ本体2は、当該クローラ本体2の内部に埋設されたスチールコード層5及び1層又は複数層(図の例では3層)の補強プライ6と、を備えている。スチールコード層5は、それぞれ、クローラ周方向に平行に延びる複数本のスチールコード5a(図1では、例示的に1つのみに符号を付している。)からなる。各補強プライ6は、スチールコード層5よりもクローラ外周側に配置されている。補強プライ6は、それぞれ、例えば、クローラ周方向に対して傾斜した複数本のコード6a(図1では、各補強プライ6に対して例示的に1つのみに符号を付している。)を含む。ただし、補強プライ6は、省略することもできる。
図2の1つの突起3に例示するように、複数の突起3は、それぞれ、弾性材料部31と、樹脂部材32と、を備えている。本実施形態では、図2に示すように、弾性材料部31と、樹脂部材32と、からなる。
本実施形態では、弾性材料部31は、クローラ本体2の内周面21に設けられた弾性突起である。弾性材料部31は、ピン110Pとの接触に対する強度を有しつつ、外部からの衝撃を吸収する。本実施形態では、弾性材料部31は、突起3の一部として、クローラ本体2の内周面21からクローラ内周側へ突出している。また、本実施形態では、突起3の一部として、弾性材料部31は、クローラ幅方向中央に、クローラ周方向に互いに一定の間隔を置いて配列されている。弾性材料部31は、弾性材料からなる。この例では、前記弾性材料は、ラグ4と同様、ゴムである。
樹脂部材32は、弾性材料部31を被覆する被覆部材である。樹脂部材32は、弾性材料部31の摩耗、破損を抑制し、また、弾性材料部31を補強する。本実施形態では、樹脂部材32は、ポリケトン樹脂によって形成されている。本実施形態では、樹脂部材32は、弾性材料部31に埋設されている。また、本実施形態では、樹脂部材32の一部は、弾性材料部31から露出している。符号F31oは、弾性材料部31の外表面である。また、符号F32oは、樹脂部材32の外表面である。本実施形態では、突起3の外表面F3oは、弾性材料部31の外表面F31oと、樹脂部材32の外表面F32oとによって形成されている。樹脂部材32のうち、当該樹脂部材32の露出部分(外表面F32o)を除いた残部は、弾性材料部31の内部に埋設されている。本実施形態では、弾性材料部31の外表面F31oと樹脂部材32の外表面F32oとは、両者間に段差が無く、突起3の外表面F3oを滑らかに形成している。言い換えれば、突起3の外表面F3oは、弾性材料部31の外表面F31oと樹脂部材32の外表面F32oとで構成された同一面(例えば、同一平面)である。ただし、弾性材料部31の外表面F31oと樹脂部材32の外表面F32oとの間には段差があってもよい。例えば、樹脂部材32の外表面F32oが弾性材料部31の外表面F31oよりも外側に突出することにより、突起3の外表面F3oに段差を生じさせることもできる。
突起3は、例えば、樹脂部材32をインサート品として、例えば、未加硫ゴムによって、弾性材料部31とともに成形することができる。また、突起3は、例えば、弾性材料部31に対して樹脂部材32を接着することによって形成することができる。これらの場合、突起3は、クローラ本体2に対して加硫接着することができる。また、突起3は、樹脂部材32をインサート品として、例えば、未加硫ゴムによって、弾性材料部31およびクローラ本体2とともに成形することもできる。即ち、突起3は、弾性材料部31と樹脂部材32とを、化学的に又は物理的に結合させることによって形成することができる。
図3には、弾性クローラ1Aの内周面11の一部を拡大して示す。図3には、例示的に3つの突起3が示されている。
図3の図面上側の突起3を参照すると、本実施形態では、突起3の外表面F3oは、当該突起3の頂面F3t(以下、「突起頂面F3t」ともいう。)と、突起頂面F3tを取り囲む、当該突起3の側面(F3w,F3c,F3s)とで構成されている。突起頂面F3tは、突起3の外表面F3oのうち、クローラ本体2の内周面21よりもクローラ厚み方向内周側に位置している。また、突起3の前記側面は、突起頂面F3tを除いた突起3の外表面F3oである。本実施形態では、突起3の前記側面は、クローラ幅方向両側に配置された2つのクローラ幅方向側面F3wと、クローラ周方向両側に配置された2つのクローラ周方向側面F3cと、突起3のクローラ幅方向側面F3wおよび突起3のクローラ周方向側面F3cに連なる、4つの柱状隅面F3sと、で構成されている。
ここで、図4Aは、樹脂部材32を概略的に示す平面図である。また、図4Bは、樹脂部材32の底面図である。また、図4Cおよび図4Dは、それぞれ、樹脂部材32の正面図および側面図である。さらに、図4Eは、図4BのC-C断面図である。
図4Aを参照すると、樹脂部材32は、クローラ幅方向側面部321を備えている。
本実施形態では、樹脂部材32は、互いに対向するようにクローラ幅方向に配置された2つのクローラ幅方向側面部321を備えている。また、本実施形態では、樹脂部材32は、2つのクローラ幅方向側面部321を連結する少なくとも1つの連結部322を備えている。本実施形態では、樹脂部材32は、1つの連結部322を備えている。即ち、本実施形態では、2つのクローラ幅方向側面部321は、1つの連結部322によって連結されている。
本実施形態では、2つのクローラ幅方向側面部321は、それぞれ、クローラ周方向に延在しているクローラ周方向延在壁部321aと、クローラ幅方向内側に向かって延在しているクローラ幅方向内側延在壁部(壁部)321bと、を備えている。したがって本実施形態では、クローラ幅方向側面部321の外表面F321oは、クローラ周方向延在壁部321aの外表面F321aoと、クローラ幅方向内側延在壁部321bの外表面F321boと、で構成されている。
具体的には、図4Bに示すように、2つのクローラ幅方向側面部321は、それぞれ、薄い板状のパネルで形成されている。本実施形態では、1つのクローラ幅方向側面部321は、1つのクローラ周方向延在壁部321aと、2つのクローラ幅方向内側延在壁部321bと、を備えている。本実施形態では、2つのクローラ幅方向内側延在壁部321bがそれぞれ、1つのクローラ周方向延在壁部321aに連結されている。したがって、本実施形態では、クローラ幅方向側面部321の内表面F321iは、クローラ周方向延在壁部321aの内表面F321aiと、クローラ幅方向内側延在壁部321bの内表面F321biと、で構成されている。
さらに具体的には、クローラ幅方向内側延在壁部321bは、クローラ幅方向延在壁部321b1と、クローラ周方向延在壁部321aおよびクローラ幅方向延在壁部321b1を繋ぐ、柱状隅壁部321b2と、で構成されている。図4Bに示すように、本実施形態では、柱状隅壁部321b2は、平面視で、湾曲した形状を有している。これにより、柱状隅壁部321b2は、図4Bに示すように、クローラ周方向延在壁部321aとクローラ幅方向延在壁部321b1とを滑らかに連ならせている。
図4Bに示すように、本実施形態では、クローラ幅方向内側延在壁部321bの内表面F321biは、クローラ幅方向延在壁部321b1の内表面F321b1iと、柱状隅壁部321b2の内表面F321b2iと、で構成されている。また、図4Cに示すように、本実施形態では、クローラ幅方向内側延在壁部321bの外表面F321boは、クローラ幅方向延在壁部321b1の外表面F321b1oと、柱状隅壁部321b2の外表面F321b2oと、で構成されている。
なお、本実施形態において、柱状隅壁部321b2は、図4Cに示すように、クローラ幅方向延在壁部321b1とともにクローラ周方向外側を向くように配置されると同時に、図4Dに示すように、クローラ周方向延在壁部321aとともにクローラ幅方向外側を向くように配置される。
また、図4Eに示すように、本実施形態では、樹脂部材32の連結部322は、クローラ幅方向側面部321の上端に連結されている。図4Eに示すように、連結部322も、薄い板状のパネルで形成されている。連結部322は、クローラ幅方向側面部321に対して直接的に連結されるとともに、リブ323を介しても、クローラ幅方向側面部321に対して間接的に連結されている。本実施形態では、樹脂部材32は、2つのリブ323を備えている。リブ323は、連結部322に沿ってクローラ幅方向に延在し、クローラ幅方向側面部321の内表面F321iに連結されている。具体的には、リブ323は、クローラ幅方向側面部321のクローラ周方向延在壁部321aの内表面F321aiに連結されている。
図4Fは、樹脂部材32を、当該樹脂部材32の底面から示す斜視図である。本実施形態では、樹脂部材32は、2つのリブ323を有している。2つのリブ323は、それぞれ、連結部322のクローラ周方向外側端に配置されている。また、本実施形態では、樹脂部材32は、連結部322の内表面F322iに、さらにリブ324を有している。本実施形態では、リブ324は、クローラ周方向に延在している。本実施形態では、複数(この例では2つ)のリブ324が、2つのリブ323の間を、クローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。なお、リブ323および234の個数は任意の個数とすることができる。また、リブ323及び324は、いずれか一方とすることができる。
また、符号325は、クローラ幅方向側面部321の端縁である。端縁325は、クローラ幅方向側面部321の輪郭を形作る面である。本実施形態では、後述するように、クローラ幅方向側面部321の端縁325は、クローラ幅方向側面部321を弾性材料部31に埋設したとき、当該弾性材料部31とクローラ幅方向側面部321との界面BSを形作る。
ここで、図4Dを参照すると、本実施形態では、クローラ幅方向側面部321の端縁325は、クローラ周方向延在壁部321aの輪郭を形作る端縁325Aと、クローラ幅方向内側延在壁部321bの輪郭を形作る端縁325Bとで構成されている。
本実施形態では、クローラ周方向延在壁部321aの端縁325Aは、クローラ厚み方向側に向くように形成された、クローラ厚み方向側の端縁(クローラ厚み方向端縁)である。本実施形態では、クローラ周方向延在壁部321aの端縁325Aは、クローラ厚み方向外周側の端縁(以下、「クローラ厚み方向外周端縁325A」ともいう。)である。
また、図4Eを参照すれば、本実施形態では、クローラ幅方向内側延在壁部321bの端縁325Bは、クローラ幅方向延在壁部321b1の端縁325B1と、柱状隅壁部321b2の端縁325B2と、で構成されている。本実施形態では、クローラ幅方向延在壁部321b1の端縁325B1は、クローラ幅方向内側に向くように形成された、クローラ幅方向側の端縁(クローラ幅方向端縁)である。即ち、本実施形態では、クローラ幅方向延在壁部321b1の端縁325B1は、クローラ幅方向内側の端縁である。また。本実施形態では、柱状隅壁部321b2の端縁325B2は、クローラ厚み方向側に向くように形成された、クローラ厚み方向側の端縁(クローラ厚み方向端縁)である。本実施形態では、柱状隅壁部321b2の端縁325B2は、クローラ厚さ方向外周側の端縁(以下、「クローラ厚み方向外周端縁325B2」ともいう。)である。
即ち、クローラ幅方向側面部321は、クローラ厚み方向端縁として、クローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2を有している。
ここで、図3において、図面上側の突起3と、図面中央の突起3とを参照すると、本実施形態において、突起3のクローラ幅方向側面F3wは、弾性材料部31と、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321と、で構成されている。また、本実施形態において、突起3のクローラ周方向側面F3cは、弾性材料部31で構成されている。また、本実施形態において、突起3の柱状隅面F3sは、弾性材料部31と、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321と、で構成されている。さらに、本実施形態において、突起3の頂面F3tは、弾性材料部31と、樹脂部材32の連結部322と、で構成されている。
より具体的には、図3の図面下側の突起3を参照すると、本実施形態では、突起3のクローラ幅方向側面F3wは、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のうちの、クローラ周方向延在壁部321aの外表面F321aoと、当該クローラ外表面F321aoと連なる弾性材料部31のクローラ幅方向側面F31woと、で構成されている。また、本実施形態では、突起3のクローラ周方向側面F3cは、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ幅方向延在壁部321b1の外表面F321b1oと、当該外表面F321b1oと連なる弾性材料部31のクローラ周方向側面F31coと、で構成されている。また、本実施形態では、突起3の柱状隅面F3sは樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の柱状隅壁部321b2の外表面F321b2oと、当該外表面F321b2oと連なる弾性材料部31の柱状隅面F31soと、で構成されている。さらに、本実施形態では、突起3の頂面F3tは、樹脂部材32の連結部322の外表面F323toと、当該外表面F323tと連なる弾性材料部31の頂面F31toと、で構成されている。
ここで、図5Aは、図3のA-A断面図である。図5Aでは、弾性クローラ1Aは、クローラ幅方向から示す断面(クローラ幅方向断面)で示されている(以下、「クローラ幅方向断面視」ともいう。)。また、図5Bは、図5Aの領域Xを拡大して示した拡大断面図である。
図5Aに示すように、クローラ幅方向側面部321は、弾性材料部31との界面BSを形作るクローラ厚み方向外周端縁325A(本実施形態では、クローラ厚み方向外周端縁325B2も同様。)を有している。
図5Bに示すように、本実施形態では、クローラ厚み方向外周端縁325Aは、図5Bに示すように、クローラ幅方向断面視で、クローラ幅方向側面部321の外表面F321oに連なるクローラ幅方向外側角部325aと、クローラ幅方向側面部321の内表面F321iに連なるクローラ幅方向内側角部325bと、クローラ幅方向外側角部325aとクローラ幅方向内側角部325bとに連なる、中間部325cと、で構成されている。
図5Bに示すように、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aは、クローラ厚み方向断面視において、クローラ幅方向側面部321の外表面F321oから当該クローラ幅方向側面部321の内表面F321iに向かって丸みを帯びた形状(フィレット)からなる。
図5Bに示すように、本実施形態では、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aは、クローラ幅方向断面視で、曲率半径Raの円弧によって輪郭付けられている。このように、本実施形態において、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aには、クローラ厚み方向外周端縁325Aの延在方向に沿って、曲率半径Raのフィレットが付されている。前記フィレットは、例えば、R加工によって形成することができる。
また、図5Bに示すように、本実施形態では、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aは、クローラ幅方向断面視において、クローラ幅方向外側角部325aに連なるとともに当該クローラ幅方向側面部321の内表面F321iに向かって平坦に延在している平坦部を有している。本実施形態では、前記平坦部は、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aの中間部325cである。
また、図5Bに示すように、本実施形態では、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向内側角部325bは、クローラ幅方向断面視において、クローラ幅方向側面部321の内表面F321iから当該クローラ幅方向側面部321の外表面F321oに向かって丸みを帯びた形状(フィレット)によって形作られている。図5Bに示すように、本実施形態では、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向内側角部325bは、クローラ幅方向断面視で、曲率半径Rbの円弧によって輪郭付けられている。このように、本実施形態において、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向内側角部325bには、クローラ厚み方向外周端縁325Aの延在方向に沿って、曲率半径Rbのフィレットが付されている。前記フィレットも、例えば、R加工によって形成することができる。曲率半径Raは、曲率半径Rbよりも大きく設定されることが好ましい。本実施形態において、曲率半径Raは、曲率半径Rbよりも大きく設定されている。ただし、本発明によれば、曲率半径Raは、曲率半径Rbと同一または曲率半径Rbよりも小さく設定することができる。
図5Aに示すように、本例のクローラ走行装置100では、転輪130は、クローラ幅方向に間隔を置いて配置された2つの転輪本体131と、転輪本体131を連結する連結シャフト132と、を備えている。更に、この例では、転輪本体131の外周面は、ゴム部133によって被覆されている。本例のクローラ走行装置100では、転輪130は、それぞれ、転輪通過面11a上を転動するように構成されている。即ち、本実施形態に係る弾性クローラ1Aは、走行時において、転輪130上を通過するように構成されている。
また、本例のクローラ走行装置100では、弾性クローラ1Aの突起3は、2つの転輪本体131のクローラ幅方向内側に配置されるように構成されている。突起3は、突起幅方向側面F3wによって、転輪130をクローラ幅方向にガイドする機能を有する。これにより、弾性クローラ1Aの脱輪(弾性クローラ1Aが転輪130等の前記回転体から外れること)が抑制される。また、この例では、従動輪120も、転輪130と同様に構成されている。これにより、従動輪120からの弾性クローラ1Aの脱輪も抑制される。
本実施形態のように、クローラ幅方向側面部321を、樹脂部材32の一部として、弾性材料部31のクローラ幅方向側面F31woに露出させ、突起3のクローラ幅方向側面F3wを構成すれば、突起3を樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321によって保護することができる。また、樹脂部材32は、ゴムよりも摩擦係数が低い樹脂材料によって形成されている。このため、本実施形態のように、突起3を弾性材料部31および樹脂部材32によって形成すれば、転輪130等の回転体が突起3を乗り上げようとしても、当該回転体は滑り落ちることで、弾性クローラ1Aの脱輪が生じ難くなる。
一方、突起3が弾性材料部31と樹脂部材32とによって形成される場合、弾性材料部31と樹脂部材32との間に形作られた界面BSを基点に、材質の違いによって剛性差が生じる。このため、弾性材料部31と樹脂部材32との界面BSまたは当該界面BSの付近に歪が集中すると、弾性材料部31にクラックが入ることが懸念される。
これに対し、図5Bを参照すれば、本実施形態では、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321において、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aは、クローラ幅方向側面部321の外表面F321oから内表面F321iに向かって丸みを帯びた形状からなる。本実施形態では、弾性材料部31と樹脂部材32との界面BSは、丸みを帯びた面取り形状となっている。この場合、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321にクローラ幅方向内側に向かって大きな荷重が負荷されても、弾性材料部31と樹脂部材32との界面BSまたは当該界面BSの付近、特に、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aと弾性材料部31との界面BSまたは当該BSの付近には、クローラ幅方向内側に向かう方向に歪が集中することなく、当該クローラ幅方向外側角部325aと弾性材料部31との界面BSまたは当該BSの付近での歪の発生が軽減される。したがって、本実施形態によれば、弾性材料部31と樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aとの界面BSまたは当該BSの付近からのクローラ幅方向内側に向かうクラックの発生が抑制される。また、この場合、弾性材料部31に生じるせん断力の向きは、図6Bの矢印に示すように、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aを形作る、丸みを帯びた形状に沿って、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の内側に回り込んだ向きとなる。したがって、本実施形態によれば、クローラ幅方向内側に向かうクラックが生じた場合でも、当該クラックの進展が抑制される。
また、本実施形態において、クローラ厚み方向外周端縁325Aの中間部325cは、クローラ幅方向断面視において、クローラ幅方向外側角部325aに連なるとともにクローラ幅方向側面部321の内表面F321iに向かって平坦に延在している平坦部である。この場合、クローラ厚み方向外周端縁325Aのクローラ幅方向外側角部325aとクローラ幅方向内側角部325bとの間に平坦部を残すことによって、クラックの発生およびその進展がより抑制されることから、より耐久性が向上する。
また、本実施形態において、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aの内側角部325biは、クローラ幅方向断面視において、クローラ幅方向側面部321の内表面F321iから外表面F321oに向かって丸みを帯びた形状からなる。この場合、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚さ方向外周端縁325Aのクローラ幅方向内側角部325bが、丸みを帯びた前記形状によって形作られてない場合に比べて、クラックの発生およびその進展がより抑制されることから、より耐久性が向上する。
なお、図5Aおよび図5Bに示すように、本実施形態では、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321において、クローラ幅方向内側延在壁部321bのクローラ厚み方向外周端縁325B2についても、クローラ幅方向外側角部325aおよびクローラ幅方向内側角部325bが丸みを帯びた形状(フィレット)であるとともに、中間部325cが平坦部である。
本実施形態において、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321は、クローラ厚み方向内周側(上側)に、連結部322を介して、片持ち状態に連結されている。この場合、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321は、クローラ厚み方向内周側を基点に連結部322に対して動き易くなる。このため、突起3において、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のうち、クローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2と弾性材料部31との界面BSおよび当該界面BSの付近には、転輪130の接触等によって歪が集中し易くなる。
これに対して、本実施形態では、少なくとも、樹脂部材32のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2は、クローラ幅方向外側角部325aおよびクローラ幅方向内側角部325bが丸みを帯びた形状(フィレット)であるとともに、中間部325cが平坦部であるから、クラックの発生およびその進展がより抑制されることから、より耐久性が向上する。
また、本実施形態において、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321は、クローラ幅方向内側に向かって延在しているクローラ幅方向内側延在壁部(壁部)321bを含んでいる。この場合、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の強度が向上することによって、クラックの発生およびその進展がより抑制されることから、より耐久性が向上する。
また、本実施形態において、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321は、弾性材料部31のクローラ幅方向側面F31wに露出している。この場合、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321が弾性材料部31を保護することによって、突起3の摩耗・変形等が抑制されることから、より耐久性が向上する。
また、本実施形態において、樹脂部材32は、互いに対向するようにクローラ幅方向に配置された2つのクローラ幅方向側面部321を備えているとともに、2つのクローラ幅方向側面部321を連結する少なくとも1つの連結部322をさらに備えている。また、本実施形態では、2つのクローラ幅方向側面部321と連結部322とを除いた突起3の部分は、弾性材料部31によって形作られている。この場合、樹脂部材32において、2つのクローラ幅方向側面部321が連結部322によって1つの剛体として連結されることによって、樹脂部材32全体の剛性が向上することから、より耐久性が向上する。また、この場合、樹脂部材32において、2つのクローラ幅方向側面部321と連結部322とを除いた突起3の部分が弾性材料部31によって形作られることによって、樹脂部材32と弾性材料部31との接合面積が大きく確保されることから、樹脂部材32と弾性材料部31とがより強固に接合される。したがって、この場合、突起3全体の耐久性が向上することから、より耐久性が向上する。
ところで、本実施形態では、樹脂部材32は、薄肉の板材として構成されている。本実施形態では、樹脂部材32は、熱可塑性樹脂等を用いた射出成形により、1つの部品として一体に形成されている。本実施形態では、図4Aに示すように、樹脂部材32の連結部322のクローラ周方向の長さは、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ周方向の長さよりも短い。また、樹脂部材32の連結部322は、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の上端に連結されている。これにより、樹脂部材32には、クローラ幅方向側面部321と連結部322の間に、突起3を構成する弾性材料部31を収容(充填)する領域Rが区画されている。この場合、弾性材料部31と接する、樹脂部材32の埋込面F(図4F参照。)が大きく確保され、ひいては、弾性材料部31と樹脂部材32との接着面積が大きく確保される。これにより、本実施形態によれば、突起3の耐久性、ひいては、当該弾性クローラ1Aの耐久性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、樹脂部材32は、弾性材料部31と接する部分、即ち、埋込面Fに、凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を有していることが好ましい。この場合、弾性材料部31と接する、樹脂部材32の埋込面Fが大きく確保され、ひいては、弾性材料部31と樹脂部材32との接合面積が大きく確保される。これにより、弾性材料部31と樹脂部材32との結合力が高まる結果、突起3の耐久性、ひいては、当該弾性クローラ1Aの耐久性をより向上させることができる。
図4Fに示すように、本実施形態では、樹脂部材32は、弾性材料部31と接する部分が埋込面Fとして構成されている。本実施形態では、樹脂部材32の埋込面Fは、樹脂部材32の外表面F32o以外の、樹脂部材32の内表面F32iおよび樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の端縁325によって構成されている。リブ323およびリブ324は、埋込面Fの一部を構成している。
また、樹脂部材32の埋込面Fには、他の凹部または凸部を設けることができる。前記他の凹部または凸部としては、単一の凸部、エンボス、シボ等が挙げられる。例えば、本実施形態では、図4Fのハッチで示すように、埋込面F全体に、さらに、エンボス等の、他の凹部または凸部を設けることができる。この場合、弾性材料部31と樹脂部材32との接着が良好なものとなる。特に、弾性材料部31がゴムの場合、樹脂部材32との接着が良好なものとなる。これに対し、樹脂部材32の外表面F32oは、転輪130等との接触を考慮して、摩擦抵抗を低減させることが好ましい。このため、樹脂部材32の外表面F32oには、前記凸部を設ける等の、表面粗さ加工を行わないことが好ましい。
また、図5Bに示すように、本実施形態において、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向端縁325は、クローラ外周側に配置されたクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2である。また、本実施形態において、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2は、突起3のクローラ厚み方向外周端3eよりもクローラ厚み方向内周側に配置されている。
ここで、図6は、図3のB-B断面図である。図6では、弾性クローラ1Aは、クローラ周方向から示す断面で示されている。
図6を参照すれば、符号3eは、突起3のクローラ厚み方向外周端である。突起3のクローラ厚み方向外周端3eは、突起3とクローラ本体2との境界面である。即ち、突起3のクローラ厚み方向外周端3eは、突起3の最下端である。本実施形態では、突起3のクローラ厚み方向外周端3eは、クローラ本体2の内周面21と一致している。また、本実施形態では、突起3のクローラ厚み方向外周端3eは、クローラ本体2との仮想結合面である。クローラ走行装置100の駆動輪110が回転すると、各ピン110Pは、それぞれ、当該ピン110Pに対応する弾性クローラ1Aの突起3のクローラ周方向側面F3cに対して順次接触するように構成されている。
図5Aを参照すれば、本実施形態において、突起3の高さHは、クローラ厚み方向の高さである。本実施形態では、突起3の高さHは、突起3のクローラ厚み方向外周端3eから突起3の頂面F3tまでの高さである。また、本実施形態では、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向端縁325のうちの最もクローラ厚み方向外周側の端縁325は、クローラ幅方向側面部321のクローラ周方向延在壁部321aのクローラ厚み方向外周端縁325Aおよびクローラ幅内側延在壁部321bにおける柱状隅壁部321b2のクローラ厚み方向外周端縁325B2である。即ち、本実施形態において、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2は、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の最下端である。本実施形態では、クローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2は、突起3のクローラ厚み方向外周端3eから高さh(>0)に位置している。高さhは、クローラ厚み方向の高さである。高さhは、弾性クローラ1Aの寸法、形状、要求性能等の様々な要求に応じて、適宜設定することができる。例えば、本実施形態では、高さhは、樹脂部材32が弾性クローラ1Aを装着し得る転輪130のゴム部133(図5参照。)に対して直接的に接触することが回避されるように、当該ゴム部133のクローラ厚み方向の厚さよりも高く設定されている。
本実施形態において、樹脂部材32は、当該樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2が突起3のクローラ厚み方向外周端3eよりもクローラ厚み方向内周側(上側)に配置されるように、弾性材料部31に埋め込まれている。この場合、突起3のクローラ厚み方向外周端3eは元々、転輪130との接触等によって歪が集中し易い部分であるため、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2が突起3のクローラ厚み方向外周端3eまで達すると、突起3のクローラ厚み方向外周端3e付近に生じる歪は、樹脂部材32と弾性材料部31との界面BSに生じる剛性差によってさらに増加するが、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2を突起3のクローラ厚み方向外周端3eよりも高い位置に配置するとともに、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2のクローラ幅方向外側角部325aをフィレットによって形作れば、突起3のクローラ厚み方向外周端3e付近に生じる歪が抑制されることによって、クラックの発生およびその進展がより抑制されることから、より耐久性が向上する。
次いで、図7は、本発明の第2実施形態に係る弾性クローラ1Bの突起3を概略的に示す拡大斜視図である。以下、上述した部分と実質的に同一の部分は、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
本実施形態に係る弾性クローラ1Bでは、突起3の頂面F3tは、樹脂部材32の連結部322の頂面F322tと、弾性材料部31の頂面F31tとで構成されている。本実施形態では、2つの樹脂部材32の連結部322がクローラ周方向に間隔を置いて配置されている。弾性材料部31の頂面F31tは、2つの樹脂部材32の連結部322の頂面F322tの間に介在している。第1実施形態と同様、樹脂部材32の連結部322の頂面F322tと弾性材料部31の頂面F31tとは、両者間に段差が無く、突起3の頂面F3tを滑らかに形成している。言い換えれば、本実施形態においても、突起3の頂面F3tは、樹脂部材32の連結部322の頂面F322tと弾性材料部31の頂面F31tとで構成された同一面(例えば、同一平面)である。
図8は、弾性クローラ1Bの突起3の一部を構成する樹脂部材32を概略的に示す平面斜視図である。本実施形態では、樹脂部材32は、2つのクローラ幅方向側面部321を連結する2つの連結部322を備えている。この場合、樹脂部材32全体の剛性が向上するため、弾性クローラ1Bの突起3の耐久性、ひいては、当該弾性クローラ1Bの耐久性をより向上させることができる。また、本実施形態では、2つの連結部322の間には、隙間Sが形成されている。本実施形態では、第1実施形態に係る樹脂部材32の領域Rに加えて、隙間Sが領域Rとして機能し、当該隙間Sの間に弾性材料部31の一部が収容されている。この場合、弾性材料部31と接する、樹脂部材32の埋込面Fが大きく確保され、ひいては、弾性材料部31と樹脂部材32との接着面積が大きく確保される。これにより、弾性材料部31と樹脂部材32との接着に関して、当該接着に対する耐久力が高まる結果、弾性クローラ1Bの突起3の耐久性、ひいては、当該弾性クローラ1Bの耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態では、樹脂部材32は、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321及び連結部322を組み合わせて形成されている。詳細には、樹脂部材32は、2つのクローラ幅方向側面部321と、2つの連結部322とを有しクローラ幅方向側面部321及び連結部322のそれぞれが個別の4つの部品として構成されている。樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321と連結部322は、接着、締結等の固定手段とを用いて結合させることができる。本実施形態では、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321と連結部322は、ボルト等の締結要素を用いて結合させている。但し、本実施形態はその変形例として、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321及び連結部322は、第1実施形態と同様、一体成形することができる。或いは、第1実施形態に係る樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321及び連結部322は、本実施形態のように、個々の部品として組み付けることができる。
また、本実施形態に係る弾性クローラ1Bでも、樹脂部材32は、突起3と接する埋込面に、凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を有していることが好ましい。
図8及び図9に示すように、本実施形態では、樹脂部材32は、弾性材料部31と接する埋込面Fに、凹部326を有している。本実施形態では、凹部326は、第1溝部326aと、第2溝部326bとからなる。本実施形態では、図9に示すように、第1溝部326aと、第2溝部326bとは、互いに傾斜の向きが異なる。これにより、本実施形態では、凹部326は、複数の格子状の溝部として構成されている。但し、本発明に従えば、第1溝部326a及び第2溝部326bは、いずれか一方とすることができる。また、本発明に従えば、凹部314は、少なくとも1つとすることができる。
本実施形態の場合も、弾性材料部31と接する、樹脂部材32の埋込面Fが大きく確保され、ひいては、弾性材料部31と樹脂部材32との接合面積が大きく確保される。これにより、弾性材料部31と樹脂部材32との結合力が高まる結果、弾性クローラ1Bの突起3の耐久性、ひいては、当該弾性クローラ1Bの耐久性を向上させることができる。
なお、本発明に従えば、凹部326は、本実施形態のような溝形状に限定されない。他の凹部326としては、例えば、封止穴(盲穴)が挙げられる。また、本実施形態に係る弾性クローラ1Bにおいても、樹脂部材32の埋込面Fには、凸部を設けることができる。前記凸部としては、単一の凸部、エンボス、シボ等が挙げられる。例えば、凹部326には、前記凸部を設けることができる。凹部326等の樹脂部材32の埋込面Fに対して凸部を設けた場合、弾性クローラ1Aと同様、弾性材料部31と樹脂部材32との接着が良好なものとなる。特に、弾性材料部31がゴムの場合、樹脂部材32との接着が良好なものとなる。これに対し、樹脂部材32の外表面F32oも、弾性クローラ1Aと同様、転輪130等との接触を考慮して、摩擦抵抗を低減させることが好ましい。このため、本実施形態においても、弾性クローラ1Aと同様、樹脂部材32の外表面F32oには、前記凸部を設ける等の、表面粗さ加工を行わないことが好ましい。
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、本実施形態では、図4Fに示すように、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の端縁325全体に、クローラ幅方向外側角部325aおよびクローラ幅方向内側角部325bが丸みを帯びた形状(フィレット)であるとともに、中間部325cが平坦部であるが、クローラ幅方向延在壁部321b1の端縁325B1を除いた、少なくとも、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ厚み方向外周端縁325Aおよび325B2のみとすることができる。また、本発明によれば、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321において、クローラ幅方向側面部321は、クローラ幅方向内側延在壁部321bを省略して、クローラ周方向延在壁部321aのみとすることができる。また、本発明によれば、樹脂部材32は、クローラ幅方向側面部321のみで構成することができる。この場合、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321の端縁325のうち、クローラ厚み方向外周側端縁またはクローラ厚み方向内周側(上側)の少なくともいずれか一方を上述した形状とすることができる。
樹脂部材32の一部、他の一部等は、分離させることができる。本実施形態では、樹脂部材32は、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321及び連結部322を一体に構成しているが、それぞれを個別の部材で構成することもできる。また、樹脂部材32の連結部322は、弾性材料部31に対して内蔵させてもよい。この場合、樹脂部材32の連結部322は、弾性材料部31に露出することがない。また、本発明に従えば、樹脂部材32のクローラ幅方向側面部321のクローラ幅方向内側壁部321bは省略することができる。上述した各実施形態に採用された様々な構成は、互いに組み合わせて使用することができる。また、上述した各実施形態に採用された様々な構成は、相互に適宜、置き換えることができる。