JP7033949B2 - イオン液体、磁気記録媒体用潤滑剤、及び磁気記録媒体 - Google Patents
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- PVJOLJRFUKNSKC-MRVPVSSYSA-O CC(CC=C1)=CC[C@@H]1S([OH2+])(Cl)=O Chemical compound CC(CC=C1)=CC[C@@H]1S([OH2+])(Cl)=O PVJOLJRFUKNSKC-MRVPVSSYSA-O 0.000 description 1
- PYSGFFTXMUWEOT-UHFFFAOYSA-N CN(C)CCCO Chemical compound CN(C)CCCO PYSGFFTXMUWEOT-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Description
しかし、この方式では、ディスクが局所的に200℃付近まで加熱される(非特許文献2参照)。そのため、この方式に用いられる潤滑剤には200℃以上(長期耐久性を考慮すると、好ましくは250℃以上)の熱安定性が求められる。しかし、前述のPFPEでは、熱安定性が不十分であるという問題がある。
<1> カチオン成分と、アニオン成分とを有し、
前記カチオン成分が、パーフルオロポリエーテル鎖を有する基と、水酸基を有する基とを有することを特徴とするイオン液体である。
<2> 下記一般式(1)で表される前記<1>に記載のイオン液体である。
Xは、単結合、及び2価の連結基のいずれかを表す。
R1は、水酸基を有するアルキル基を表す。
R2、及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基を表す(ただし、R2、及びR3は、結合して炭素数2~8の含窒素炭化水素環を形成してもよい)。
Z-は、前記アニオン成分を表す。
<3> 下記一般式(2)で表される前記<1>から<2>のいずれかに記載のイオン液体である。
<4> 前記アニオン成分が、フッ素化炭化水素基を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のイオン液体である。
<5> 前記アニオン成分が、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)のいずれかで表される前記<1>から<4>のいずれかに記載のイオン液体である。
ただし、前記一般式(II)中、x1及びx2は、それぞれ独立して、0~8の整数を表す。
ただし、前記一般式(III)中、x3は、1~8の整数を表す。
ただし、前記一般式(IV)中、nは、1~8の整数を表す。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のイオン液体を含有することを特徴とする磁気記録媒体用潤滑剤である。
<7> 更にフッ素系溶剤を含有する前記<6>に記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
<8> 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に前記<6>から<7>のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体。
本発明のイオン液体は、アニオン成分と、カチオン成分とを有する。即ち、前記イオン液体は、前記アニオン成分と、前記カチオン成分とから構成される。
イオン液体自体は熱安定性に優れる。更に、カチオン成分が、パーフルオロポリエーテル鎖を有することにより、摩耗特性、及びフッ素系溶剤溶解性に優れ、かつ低融点となる。低融点であることにより、常温(25℃)での流動性に優れる。更に、カチオン成分が、水酸基を有することにより、フッ素系溶剤溶解性及び流動性を低下せずに、ボンド率を高くすることができる。
前記カチオン成分は、パーフルオロポリエーテル鎖を有する基と、水酸基を有する基とを有する。
前記カチオン成分は、4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。
Xは、単結合、及び2価の連結基のいずれかを表す。
R1は、水酸基を有するアルキル基を表す。
R2、及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基を表す(ただし、R2、及びR3は、結合して炭素数2~8の含窒素炭化水素環を形成してもよい)。
前記パーフルオロポリエーテル鎖又は前記Rfの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,500以下が好ましく、1,000以下がより好ましく、600以下がより好ましい。前記パーフルオロポリエーテル鎖又は前記Rfの分子量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、300などが挙げられる。
前記Xにおける2価の連結基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数2以上のアルキレン基を有することが好ましく、炭素数2~10のアルキレン基を有することがより好ましい。
前記R1は、水酸基を有するアルキル基を表す。前記アルキル基の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~18が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更により好ましく、2~4が特に好ましい。
前記R1における水酸基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~4が好ましく、1~2がより好ましい。
前記R2、及び前記R3は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基を表す(ただし、R2、及びR3は、結合して炭素数2~8の含窒素炭化水素環を形成してもよい)。
前記炭素数2~8の含窒素炭化水素環としては、例えば、アルキレンイミン環が挙げられる。前記アルキレンイミン環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環などが挙げられる。
pとしては、例えば、1~18の整数であってもよいし、1~16の整数であってもよいし、1~10の整数であってもよい。
pとしては、2~8の整数が好ましく、3~6の整数がより好ましい。
また、ボンド率の観点からは、pとしては、7~18の整数が好ましく、8~16の整数がより好ましく、9~15の整数が特に好ましい。
前記アニオン成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶解性の点から、フッ素化炭化水素基を有することが好ましく、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)のいずれかで表されることがより好ましい。前記フッ素化炭化水素基は、全フッ素化炭化水素基であってもよいし、部分フッ素化炭化水素基であってもよい。
ただし、前記一般式(II)中、x1及びx2は、それぞれ独立して、0~8の整数を表し、1~8の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。
ただし、前記一般式(III)中、x3は、1~8の整数を表し、1~3の整数が好ましい。
ただし、前記一般式(IV)中、nは、1~8の整数を表し、1~4の整数が好ましい。
Xは、単結合、及び2価の連結基のいずれかを表す。
R1は、水酸基を有するアルキル基を表す。
R2、及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基を表す(ただし、R2、及びR3は、結合して炭素数2~8の含窒素炭化水素環を形成してもよい)。
Z-は、前記アニオン成分を表す。
前記一般式(2)中のm、n、pの例示は、前記一般式(2-1)中のm、n、pの例示と同じであり、好ましい態様も同じである。
前記イオン液体の融点は、25℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましい。前記イオン液体の融点の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記イオン液体の融点は、-100℃以上が好ましい。
前記融点は、例えば、示差走査熱量測定により求めることができる。
前記イオン液体が常温以下の融点であることで、常温において流動性があるイオン液体となる。
本発明の磁気記録媒体用潤滑剤は、イオン液体を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記その他の成分としては、例えば、公知の潤滑剤、極圧剤、防錆剤、溶剤などが挙げられる。
前記潤滑剤は、前記イオン液体を単独で使用してもよいが、従来公知の潤滑剤と組み合わせて用いてもよい。公知の潤滑剤としては、例えば、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸エステル、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロポリエーテル誘導体などが挙げられる。
厳しい条件で潤滑効果を持続させるために、前記磁気記録媒体用潤滑剤は、質量比30:70~70:30程度の配合比で極圧剤を併用してもよい。前記極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触が生じたときに、これに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜を形成することにより、摩擦・摩耗防止作用を行うものである。前記極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤、イオウ系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合型極圧剤などのいずれも使用できる。
前記防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用可能であるものであればよく、例えば、フェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物などが挙げられる。また、前記防錆剤は、潤滑剤として混合して用いてもよいが、非磁性支持体上に磁性層を形成し、その上部に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤層を塗布するというように、2層以上に分けて被着してもよい。
前記溶剤としては、例えば、有機溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤としては、フッ素系溶剤、アルコール系溶剤などが挙げられる。前記アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノールなどが挙げられる。前記フッ素系溶剤としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル〔例えば、C3F7OCH3、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C2F5CF(OCH3)C3F7、C5H2F10〕などが挙げられる。
前記フッ素系溶剤は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、3M社製のNovecTM 7000、7100、7200、7300、71IPA、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製のVertrel XF、X-P10などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、磁性層と、本発明の前記磁気記録媒体用潤滑剤とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記磁性層は、前記非磁性支持体上に形成されている。即ち、前記磁性層は、前記非磁性支持体上に配されている。
前記磁気記録媒体用潤滑剤は、前記磁性層上に形成されている。即ち、前記磁気記録媒体用潤滑剤は、前記磁性層上に配されている。
前記溶剤としては、フッ素系溶剤が好ましい。前記フッ素系溶剤としては、例えば、
ハイドロフルオロエーテル〔例えば、C3F7OCH3、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C2F5CF(OCH3)C3F7、C5H2F10〕などが挙げられる。
前記フッ素系溶剤は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、3M社製のNovecTM 7000、7100、7200、7300、71IPA、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製のVertrel XF、X-P10などが挙げられる。
<イオン液体(1-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とヒドロキシプロピル基をカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(1-D)を、以下の方法で合成した。
得られた混合物溶液はエバポレータにて溶媒留去後、ヘキサン及びジエチルエーテルにてデカンテーション後、エバポレータで再度濃縮を行った。得られた濃縮液にNovec7100(3M社製)を加え、0.2μmのメンブレンフィルターにてろ過後、80℃で減圧乾燥を行い、上記構造式で表される臭化物塩(1-C)を82%の収率で得た。合成した臭化物塩(1-C)はLC-MS(ELSD)の測定結果から、約95%が目的物であることを確認した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=692、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(2-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とジオール構造をカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(2-D)を、以下の方法で合成した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=708、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(3-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とアンモニウムカチオンの間の連結部分をヘキサメチレンに変更し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(3-D)を、以下の方法で合成した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=584、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(4-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とヒドロキエチル基とピロリジン環とをカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(4-D)を、以下の方法で合成した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=704、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(5-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とヒドロキプロピル基をカチオン部に有し、アニオン部はノナフルオロブタンスルホネートからなるイオン液体(5-D)を、以下の方法で合成した。
<イオン液体(6-D)の合成>
ヒドロキシプロピル基は有さず、ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造をカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(6-D)を、以下の方法で合成した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=690、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(7-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造を有さず、オクテデシル基とヒドロキシプロピル基をカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(7-D)を、以下の方法で合成した。
目的物はLC-MS(ELSD)にて分析を行い、LCからは目的のアニオン、カチオンのみからなることが確認でき、MSの結果から、カチオンがM/z=356、アニオンがM/z=580となり、目的物と同定できた。
<イオン液体(8-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とヒドロキエチル基とピロリジン環とをカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(8-D)を、以下の方法で合成した。
得られた混合物溶液はエバポレータにて溶媒留去後、ヘキサン及びジエチルエーテルにてデカンテーション後、そのまま<<工程8-D>>に利用した。合成した臭化物塩(8-C)はLC-MS(ELSD)の測定結果から、約98%が目的物であることを確認した。
<イオン液体(9-D)の合成>
ふっ素化トリエチレングリコール(PFTEG)構造とヒドロキエチル基とピロリジン環とをカチオン部に有し、アニオン部はビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドからなるイオン液体(9-D)を、以下の方法で合成した。
得られた混合物溶液はエバポレータにて溶媒留去後、ヘキサンおよびジエチルエーテルにてデカンテーション後、そのまま<<工程9-D>>に利用した。合成した臭化物塩(8-C)はLC-MS(ELSD)の測定結果から、約96%が目的物であることを確認した。
以下の評価を行った。
濃度が1質量%となるようにフッ素系溶剤に添加し、25℃に保持して撹拌した。溶解性を、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示した。
フッ素系溶剤としては、一般にハードディスクへの潤滑剤塗布に用いられる以下の2つを用いた。
・Vertrel XF:三井・デュポン フロロケミカル株式会社製
・Novec7100:3M社製
なお、Vertrel XFは、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(CAS-No. 138495-42-8)である。
Novec7100は、C4F9OCH3(沸点61℃)で表されるハイドロフルオロエーテルである。
〔評価基準〕
○:フッ素系溶剤に溶解し、放置しても沈殿の発生がない
×:フッ素系溶剤に不溶である、又は一時的に溶解しても放置すると沈殿が発生する
比較例2の試料は、1質量%では溶解しなかった。
TG-DTA(メーカー名:セイコーインスツル株式会社、型番:EXSTAR6000)により、温度に対する重量減少を測定し、5%重量減少温度を熱分解温度と定義した。測定条件は、昇温速度を10℃/min、Air流量を200mL/minとした。
結果を表2に示した。
DSC(メーカー名:セイコーインスツルメンツ 型番:EXSTAR6000)により吸熱のピーク温度を求め、それを融点とした。測定条件は、昇温速度を10℃/min、空気雰囲気とした。
結果を表2に示した。
非イオン液体である比較例3に比べ、実施例1~7、及び比較例1~2のイオン液体は5%重量減温度300℃以上の高い耐熱性を示した。
実施例1~7のイオン液体はどれも常温(25℃)以下の融点を示した。
-潤滑剤塗布ハードディスクの作製-
図1に示すような断面構造の磁気ディスクを作製した。ディップコーティングに用いる潤滑剤溶液は、表3に示す溶剤を用いて調製した。なお、潤滑剤溶液は、シリンジフィルター(0.2μm)を使用し濾過した。また、潤滑剤溶液における、イオン液体の濃度を0.2質量%とした(比較例2のイオン液体は、Vertrel XFに対する濃度0.2質量%となる添加において溶解した。)。
ディップコーティングは、潤滑剤溶液を入れたガラス容器から磁気ディスクを速度50mm/minにて引き上げて行った。
それぞれの潤滑剤に対してディップ濃度条件を系統的に変えて、膜厚のディップ濃度の依存性を調べた。膜厚はエリプソメトリー(型番:M-2000、メーカー:ジェーエーウーラム)により測定した。それぞれの潤滑剤に対してディップ濃度を調整し形成された潤滑剤層の平均厚みが10Åになるようにした。
作製したサンプルを用いて、以下の試験条件で摺動回数に対する摩擦係数を測定することで、摩擦特性を評価した。結果を表3に示した。
[試験条件]
自動摩擦測定装置(メーカー:協和界面科学株式会社製、型番:Triboster TS-501)を用い、点接触(3mm鋼球)、重り:15g、速度:1.7mm/sec、距離:20mm、繰り返し回数:100回)の条件で測定した。
比較例1に関しては、初期摩擦は実施例と同等程度だが、100回後の繰り返し摩擦係数は0.30であり、潤滑性を示さなかった。
ボンド率は、潤滑剤がどの程度記録メディア表面に固定化されているかを示す数値であり、その値は、塗布後の潤滑剤の膜厚とフッ素系溶剤による表面リンス後の潤滑剤の膜厚によって決定され、下式によって表される。
(ボンド率)=100×(フッ素系溶剤によるリンス後の潤滑剤膜厚)/(リンス前の潤滑剤膜厚)[%]
潤滑剤塗布ハードディスクの表面を、フッ素系溶剤を用いてリンスし、リンス前後の潤滑剤の膜厚を測定した。
潤滑剤塗布ハードディスクは、潤滑剤溶液におけるイオン液体の濃度を1.0質量%とした以外は、摩耗特性の評価において作製した方法と同様にして、作製した。潤滑剤膜厚は、10Åとした。
フッ素系溶剤として、Vertrel XFを用いた。
リンスは、ディスクをVertrel XFに3分間浸漬することにより行った。
膜厚はエリプソメトリー(型番:M-2000、メーカー:ジェーエーウーラム)により測定した。
なお、リンス前にUV照射を行った場合についても、評価した。UV照射の際にハードディスク表面に光電子が発生し、それと潤滑剤分子構造中の極性官能基が反応すると考えられる。UV照射は、185nm,253nmの波長で、強度:2mW(254nm)で、60秒間行った。
結果を表4に示した。
比較例1はUV60照射後においても25%未満の比較的低ボンド率であった。
なお、比較例2は、Vertrel XFに溶解しないため、測定しなかった。
上記評価結果を、以下にランク分けし、更に、以下の評価基準で総合評価を行った。結果を表5に示した。
<ランク分け>
〔フッ系素溶剤溶解性〕
○評価:ランク○
×評価:ランク×
〔融点〕
25℃以下:ランク○
25℃超:ランク×
〔耐熱性(熱分解温度)〕
300℃以上:ランク○
300℃未満:ランク×
〔耐摩耗性〕
摺動回数100回の摩擦係数が0.20以下:ランク○
摺動回数100回の摩擦係数が0.20超:ランク×
〔ボンド率〕
UV60秒照射後の場合に50%以上:ランク◎
UV60秒照射後の場合に40%以上50%未満:ランク○
UV60秒照射後の場合に30%以上40%未満:ランク△
UV60秒照射後の場合に30%未満:ランク×
◎:ボンド率以外が○、かつボンド率が◎
○:ボンド率以外が○、かつボンド率が○
△:ボンド率以外が○、かつボンド率が△
×:5つの評価のうち1つ×を含む
××:5つの評価のうち2つ以上×を含む
なお、総合評価は、◎、○、△が合格レベルである。
12 下地層
13 磁性層
14 カーボン保護層
15 潤滑剤層
21 基板
22 磁性層
23 カーボン保護層
24 潤滑剤層
25 バックコート層
Claims (6)
- 前記アニオン成分が、フッ素化炭化水素基を有する請求項1に記載のイオン液体。
- 請求項1から3のいずれかに記載のイオン液体を含有することを特徴とする磁気記録媒体用潤滑剤。
- 更にフッ素系溶剤を含有する請求項4に記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
- 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に請求項4から5のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体。
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