JP2016009509A - 磁気記録媒体用潤滑剤、及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用潤滑剤、及び磁気記録媒体 Download PDF

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弘毅 初田
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Makiya Ito
牧八 伊藤
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Kyon Song Yun
キョンソン ユン
近藤 洋文
Hirofumi Kondo
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Abstract

【課題】優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を有しつつ、更にフッ素系溶剤への溶解性にも優れる磁気記録媒体用潤滑剤などの提供。【解決手段】ブレンステッド酸と、ブレンステッド塩基とから形成されるイオン液体を含有し、前記ブレンステッド酸が、パーフルオロポリエーテル骨格を有するカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のいずれかであり、前記ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである磁気記録媒体用潤滑剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体用潤滑剤、及びそれを用いた磁気記録媒体に関する。
近年、高度情報社会の進展により、大量の情報を通信、処理、及び保管することが求められている。年間に世界中で生成されるデータ量は1ゼタバイト(1テラバイトの10億倍)といわれており、それらを保管する記録媒体として、非磁性支持体上に磁性層が形成されてなる磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、磁気ディスク)が注目されている。磁気記録媒体は、光ディスクと比較して大容量のデータを保管し、高速に記録、及び再生することができるため、さらなる高性能化が期待されている。
磁気記録媒体、例えば、磁気ディスクの記録容量、及び処理速度を向上させるためには、高効率で記録再生磁場を電気信号に変換させることが必要である。そのためには、ヘッドとディスクとの隙間である磁気ヘッドの浮上量を低下させることが必要である。一方、磁気ヘッドを低浮上化すると、磁気ヘッドとディスクとの摩擦力が大きくなり、互いに摩耗するため、磁気ディスクの信頼性が低下する。そのため、通常、前記磁性層上には、潤滑剤を含有する潤滑剤層が形成されている。磁気ディスクの高信頼性を実現させるためには、繰り返し摺動しても優れた潤滑性を維持できる潤滑剤を設計することが重要である。
磁気記録媒体の潤滑剤に求められる特性は、幅広い温度領域で液体である、低蒸気圧、高い熱的安定性、高い酸化安定性、低表面張力、優れた摩擦性能などである。これらの特性を満たす化学構造として、末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテル(PFPE)が使われている(例えば、非特許文献1参照)。
これらの特性の中でも、熱的安定性、及び摩擦性能を向上する方法として、パーフルオロポリエーテルカルボン酸をアニオンとし、アルキルアミンをカチオンとしたプロトン性イオン液体により、優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を達成している(例えば、特許文献1、及び非特許文献2参照)。
このようなイオン液体型潤滑剤を使用することにより、優れた耐熱性と優れた摩擦特性との両立が可能である。
これらのイオン液体型潤滑剤を、非磁性支持体上に形成された磁性層上に均一に塗布するには、潤滑剤をフッ素系溶剤(例えば、3M社製のNovecTM 7100、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製のVertrel XF)などに溶解させた上でディスクメディアを浸漬、及び引き揚げる、いわゆるディップコートを行うことが有効である(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらのイオン液体は、フッ素系溶剤に対する溶解性が十分ではなく、不溶又は一時的に溶解しても沈殿が再発生してしまい、その状態で塗布すると均一塗布はできない。その結果、磁気記録媒体用潤滑剤としての利用が困難になってしまうという問題がある。
したがって、優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を有しつつ、更にフッ素系溶剤への溶解性にも優れる磁気記録媒体用潤滑剤、及びそれを用いた磁気記録媒体の提供が求められているのが現状である。
特開平5−93059号公報 特開2008−75000号公報
B.Bhushan,Tribology and Mechanics of Magnetic Storage Device, Springer (1996) Hirofumi Kondo (2011). Ionic Liquid Lubricant with Ammonium Salts for Magnetic Media, Applications of Ionic Liquids in Science and Technology, Prof. Scott Handy (Ed.)
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を有しつつ、更にフッ素系溶剤への溶解性にも優れる磁気記録媒体用潤滑剤、及びそれを用いた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ブレンステッド酸と、ブレンステッド塩基とから形成されるイオン液体を含有し、
前記ブレンステッド酸が、パーフルオロポリエーテル骨格を有するカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のいずれかであり、
前記ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである、
ことを特徴とする磁気記録媒体用潤滑剤である。
<2> ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜3の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである前記<1>に記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
<3> ブレンステッド酸が、パーフルオロポリエーテル骨格を有するジカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸のいずれかであり、
ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するモノアミンである、
前記<1>に記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
<4> ブレンステッド酸が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される前記<3>に記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す。
<5> ブレンステッド塩基が、下記一般式(3)で表される前記<3>から<4>のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
ただし、前記一般式(3)中、R、R、及びRは、置換基を表す。前記R、R、及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(A)で表される基である。
ただし、前記一般式(A)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
<6> ブレンステッド塩基が、下記一般式(3−1)で表される前記<3>から<5>のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
ただし、前記一般式(3−1)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
<7> 一般式(3−1)において、yが、2〜3の整数である前記<6>に記載の磁気記録媒体用潤滑剤である。
<8> 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に前記<1>から<7>のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を有しつつ、更にフッ素系溶剤への溶解性にも優れる磁気記録媒体用潤滑剤、及びそれを用いた磁気記録媒体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るハードディスクの一例を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係る磁気テープの一例を示す断面図である。
(磁気記録媒体用潤滑剤)
本発明の磁気記録媒体用潤滑剤は、イオン液体を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
<イオン液体>
前記イオン液体は、ブレンステッド酸と、ブレンステッド塩基とから形成される。
本発明者らは、フッ素系溶剤へのイオン液体の溶解性が低いことには、フッ素系溶剤へのアルキルアミン(ブレンステッド塩基)の溶解性が低いことが起因していると考えた。
そこで、本発明者らは、フッ素系溶剤へのイオン液体の溶解性を向上させるための方法として、アミンにパーフルオロアルキル鎖を導入することを考えた。
しかし、アミノ基の窒素原子に直接にパーフルオロアルキル鎖を導入したパーフルオロアルキルアミンを用いた場合、フッ素による電子吸引性によって、アミンの塩基性が低下してしまうと、発明者らは、考えた。なお、文献(Phys. Chem. Phys., 2012, 14, pp.5178−5186)によれば、プロトン性イオン液体の耐熱性は、酸と塩基との酸解離定数の差によって決まる。そのため、パーフルオロアルキルアミンを用いると、耐熱性が悪化すると、発明者らは、考えた。
そして、発明者らは、鋭意検討した結果、ブレンステッド酸と、ブレンステッド塩基とから形成されるイオン液体を含有する磁気記録媒体用潤滑剤において、前記ブレンステッド酸を、パーフルオロポリエーテル骨格を有するカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のいずれかとし、前記ブレンステッド塩基を、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンとすることにより、優れた耐熱性、及び優れた摩擦特性を有しつつ、更にフッ素系溶剤への溶解性にも優れる磁気記録媒体用潤滑剤が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
<<ブレンステッド酸>>
前記ブレンステッド酸は、パーフルオロポリエーテル骨格を有するカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のいずれかである。
前記カルボン酸は、モノカルボン酸であってもよいし、多価カルボン酸であってもよいが、ジカルボン酸であることが、摩擦特性及び磨耗特性のバランスの点から、好ましい。
前記スルホン酸は、モノスルホン酸であってもよいし、多価スルホン酸であってもよいが、ジスルホン酸であることが、摩擦特性及び磨耗特性のバランスの点から、好ましい。
即ち、前記ブレンステッド酸は、パーフルオロポリエーテル骨格を有するジカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸のいずれかであることが好ましい。
前記ブレンステッド酸がモノカルボン酸の場合、前記ブレンステッド酸は、片末端にカルボキシル基(カルボン酸基、−COOH)を有することが好ましい。
前記ブレンステッド酸がモノスルホン酸の場合、前記ブレンステッド酸は、片末端にスルホ基(スルホン酸基、−SOH)を有することが好ましい。
前記ブレンステッド酸がジカルボン酸の場合、前記ブレンステッド酸は、両末端にカルボキシル基(カルボン酸基、−COOH)を有することが好ましい。
前記ブレンステッド酸がジスルホン酸の場合、前記ブレンステッド酸は、両末端にスルホ基(スルホン酸基、−SOH)を有することが好ましい。
前記パーフルオロポリエーテル骨格としては、例えば、下記一般式(I)〜一般式(IV)などが挙げられる。
(I):−CF−(OCFCF−(OCF−OCF
(II):−(CFO)−(CFCFO)−(CFO)−CF
(III):−(CFCFCFO)−CFCF
(IV):−(CFCF(CF)O)−CF
前記一般式(I)〜一般式(IV)において、m、n、j、k、l、o、及びpは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
なお、前記一般式(I)において、前記パーフルオロポリエーテル骨格は、ポリオキシパーフルオロエチレン鎖と、ポリオキシパーフルオロメチレン鎖とのブロック構造に限定されるものではなく、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造であってもよい。
前記ブレンステッド酸は、例えば、前記一般式(I)〜一般式(IV)の骨格を有する化合物の両末端に、炭素数1〜6の無置換のアルキレン基を介して、又は介さずに、カルボン酸基(−COOH)、又はスルホン酸基(−SOH)を有する。
前記ブレンステッド酸は、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表されることが、耐熱性の点で、好ましい。
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す。
なお、前記一般式(1)及び一般式(2)における前記パーフルオロポリエーテル骨格は、ポリオキシパーフルオロエチレン鎖と、ポリオキシパーフルオロメチレン鎖とのブロック構造に限定されるものではなく、前記一般式(1)及び一般式(2)のブレンステッド酸は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造であってもよい。
前記一般式(1)及び一般式(2)における、mとnとの比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、m/nは、0.5〜2.0が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。
前記一般式(1)のブレンステッド酸は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、ルベイソレクシス社製のFomblin Z−DIAC(数平均分子量、約2,000)、Fomblin Z−DIAC4000(数平均分子量、約4,000)、Fluorolink C10(数平均分子量、約1,700)などが挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸は、例えば、原料として、ソルベイソレクシス社製Fomblin Z−DOL〔構造式:HO−CH−CF−(OCFCF−(OCF−OCF−CH−OH〕、CFCFCFCF−OCFCF−OCFCF−OCF−CH−OHなどを用いて合成することができる。
例えば、原料として、HO−CH−CF−(OCFCF−(OCF−OCF−CH−OHを用いた場合の合成法は、次の通りである。tert−ブトキシカリウムとtert−ブチルアルコールとを混合し、攪拌し完全に溶解させ、そこへ滴下ロートを用いて、原料を少しずつ加え、室温にて攪拌する。そこへ、1,3−プロパンスルトンを加え、60℃程度の温度で攪拌する。そして、エバポレータにより溶媒を除去することにより、パーフルオロポリエーテルを主骨格とするスルホン酸のカリウム塩が得られる。このカリウム塩に対して、蒸留水、濃塩酸を加え、室温にて攪拌した後、エバポレータにより塩酸水を除去し、メチルイソブチルケトンで抽出し、抽出液をエバポレートすることにより、パーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸が得られる。
前記ブレンステッド酸の数平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜5,000が好ましく、1,300〜2,500がより好ましく、1,800〜2,200が特に好ましい。
前記数平均分子量は、例えば、19F−NMR(Fluorine Nuclear Magnetic Resonance)により求められる。
<<ブレンステッド塩基>>
前記ブレンステッド塩基は、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである。前記無置換のアルキレン基の炭素数は、2〜3であることが、耐熱性の点から、好ましい。即ち、前記ブレンステッド塩基は、炭素数が2〜3の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンであることが好ましい。
前記無置換のアルキレン基の炭素数が1以下であると、耐熱性が低下し、6以上であると、フッ素系溶剤への溶解性が低下する。
前記炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基としては、例えば、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基などが挙げられる。
前記アミンは、モノアミンであってもよいし、多価アミンであってもよいが、モノアミンであることが、摩擦特性及び磨耗特性の点から、好ましい。
前記アミンは、1級アミンであってもよいし、2級アミンであってもよいし、3級アミンであってもよいが、1級アミンであることが、摩擦特性及び磨耗特性の点から、好ましい。
前記ブレンステッド塩基は、下記一般式(3)で表されることが、摩擦特性、磨耗特性、及び溶解性の点から、好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、R、R、及びRは、置換基を表す。前記R、R、及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(A)で表される基である。
ただし、前記一般式(A)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
前記一般式(3)において、前記一般式(A)で表される基以外のR、R、及びRとしては、例えば、水素原子、置換又は無置換のアルキル基などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(A)のxは、6〜9の整数であることが好ましく、7であることがより好ましい。
前記一般式(A)のyは、2〜3の整数であることが好ましい。
前記一般式(A)の炭素数は、7〜16が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜11が特に好ましい。
前記ブレンステッド塩基は、下記一般式(3−1)で表されることがより好ましい。
ただし、前記一般式(3−1)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
前記一般式(3−1)のxは、4〜9の整数であることが好ましく、7であることがより好ましい。
前記一般式(3−1)のyは、2〜3の整数であることが好ましい。
前記一般式(3−1)の炭素数は、7〜16が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜11が特に好ましい。
前記イオン液体は、下記一般式(4)で表されるイオン液体、下記一般式(5)で表されるイオン液体が好ましい。
前記一般式(4)及び一般式(5)中、m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す。xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
前記一般式(4)及び一般式(5)のxは、4〜9の整数であることが好ましく、7であることがより好ましい。
前記一般式(4)及び一般式(5)のyは、2〜3の整数であることが好ましい。
前記一般式(4)及び一般式(5)において、x+yは、6〜15が好ましく、8〜14がより好ましく、9〜10が特に好ましい。
なお、前記一般式(4)及び一般式(5)における前記パーフルオロポリエーテル骨格は、ポリオキシパーフルオロエチレン鎖と、ポリオキシパーフルオロメチレン鎖とのブロック構造に限定されるものではなく、前記一般式(4)及び一般式(5)の共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造であってもよい。
前記一般式(4)及び一般式(5)における、mとnとの比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、m/nは、0.5〜2.0が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。
前記一般式(4)及び一般式(5)の共役塩基の数平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜5,000が好ましく、1,300〜2,500がより好ましく、1,800〜2,200が特に好ましい。
前記共役塩基の前記数平均分子量は、例えば、19F−NMR(Fluorine Nuclear Magnetic Resonance)により求められる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、公知の潤滑剤、極圧剤、防錆剤、溶剤などが挙げられる。
<<公知の潤滑剤>>
前記潤滑剤は、前記イオン液体を単独で使用してもよいが、従来公知の潤滑剤と組み合わせて用いてもよい。公知の潤滑剤としては、例えば、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸エステル、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロポリエーテル誘導体などが挙げられる。
<<極圧剤>>
厳しい条件で潤滑効果を持続させるために、前記磁気記録媒体用潤滑剤は、質量比30:70〜70:30程度の配合比で極圧剤を併用してもよい。前記極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触が生じたときに、これに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜を形成することにより、摩擦・摩耗防止作用を行うものである。前記極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤、イオウ系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合型極圧剤などのいずれも使用できる。
<<防錆剤>>
前記防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用可能であるものであればよく、例えば、フェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物などが挙げられる。また、前記防錆剤は、潤滑剤として混合して用いてもよいが、非磁性支持体上に磁性層を形成し、その上部に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤層を塗布するというように、2層以上に分けて被着してもよい。
<<溶剤>>
前記溶剤としては、例えば、有機溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤としては、フッ素系溶剤、アルコール系溶剤などが挙げられる。前記アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(磁気記録媒体)
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、磁性層と、本発明の前記磁気記録媒体用潤滑剤とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記磁性層は、前記非磁性支持体上に形成されている。
前記磁気記録媒体用潤滑剤は、前記磁性層上に形成されている。
前記潤滑剤は、磁性層が非磁性支持体表面に蒸着やスパッタリング等の手法により形成された、所謂、金属薄膜型の磁気記録媒体に適用することが可能である。また、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成の磁気記録媒体にも適用することもできる。このような磁気記録媒体としては、磁気ディスク、磁気テープなどを挙げることができる。
図1は、ハードディスクの一例を示す断面図である。このハードディスクは、基板11と、下地層12と、磁性層13と、カーボン保護層14と、潤滑剤層15とが順次積層された構造を有する。
また、図2は、磁気テープの一例を示す断面図である。この磁気テープは、バックコート層25と、基板21と、磁性層22と、カーボン保護層23と、潤滑剤層24とが順次積層された構造を有する。
図1に示す磁気ディスクにおいて、非磁性支持体は、基板11、下地層12が該当し、図2に示す磁気テープにおいて、非磁性支持体は、基板21が該当する。非磁性支持体として、Al合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合、基板表面にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成して、その表面を硬くしてもよい。
磁性層13、22は、メッキ、スパッタリング、真空蒸着、プラズマCVD等の手法により、連続膜として形成される。磁性層13、22としては、Fe、Co、Ni等の金属や、Co−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Ni−Pt系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や、Co−Cr系合金薄膜、Co−O系薄膜等の垂直磁化記録金属磁性薄膜が例示される。
特に、面内磁化記録金属磁性薄膜を形成する場合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の非磁性材料を、下地層12として形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるいはスパッタし、磁性金属薄膜中にこれら非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保するとともに、抗磁力を向上するようにしてもよい。
また、磁性層13、22の表面に、カーボン膜、ダイヤモンド状カーボン膜、酸化クロム膜、SiO膜等の硬質な保護層を形成してもよい。
このような金属薄膜型の磁気記録媒体に前記磁気記録媒体用潤滑剤を保有させる方法としては、図1及び図2に示すように、磁性層13、22の表面や、カーボン保護層14、23の表面にトップコートする方法が挙げられる。前記磁気記録媒体用潤滑剤の塗布量としては、0.1mg/m〜100mg/mであることが好ましく、0.5mg/m〜30mg/mであることがより好ましく、0.5mg/m〜20mg/mであることが特に好ましい。
また、図2に示すように、金属薄膜型の磁気テープは、磁性層22である金属磁性薄膜の他に、バックコート層25が必要に応じて形成されていてもよい。
バックコート層25は、樹脂結合剤に導電性を付与するためのカーボン系微粉末や表面粗度をコントロールするための無機顔料を添加し塗布形成されるものである。
また、他の実施の形態として、磁性塗料を非磁性支持体表面に塗布することにより磁性塗膜が磁性層として形成される、所謂、塗布型の磁気記録媒体にも潤滑剤の適用が可能である。塗布型の磁気記録媒体において、非磁性支持体や磁性塗膜を構成する磁性粉末、樹脂結合剤などは、従来公知のものがいずれも使用可能である。
例えば、前記非磁性支持体としては、例えば、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート等に代表されるような高分子材料により形成される高分子支持体や、アルミニウム合金、チタン合金等からなる金属基板、アルミナガラス等からなるセラミックス基板、ガラス基板などが例示される。また、その形状も何ら限定されるものではなく、テープ状、シート状、ドラム状等、如何なる形態であってもよい。さらに、この非磁性支持体には、その表面性をコントロールするために、微細な凹凸が形成されるような表面処理が施されたものであってもよい。
前記磁性粉末としては、γ−Fe、コバルト被着γ−Fe等の強磁性酸化鉄系粒子、強磁性二酸化クロム系粒子、Fe、Co、Ni等の金属や、これらを含んだ合金からなる強磁性金属系粒子、六角板状の六方晶系フェライト微粒子等が例示される。
前記樹脂結合剤としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル等の重合体、あるいはこれら二種以上を組み合わせた共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。これら結合剤には、磁性粉末の分散性を改善するために、カルボン酸基やカルボキシル基、リン酸基等の親水性極性基が導入されてもよい。
前記磁性塗膜には、前記の磁性粉末、樹脂結合剤の他、添加剤として分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等が加えられてもよい。
このような塗布型の磁気記録媒体に前記磁気記録媒体用潤滑剤を保有させる方法としては、前記非磁性支持体上に形成される前記磁性塗膜を構成する前記磁性層中に内添する方法、前記磁性層の表面にトップコートする方法、若しくはこれら両者の併用等がある。また、前記磁気記録媒体用潤滑剤を前記磁性塗膜中に内添する場合には、前記樹脂結合剤100質量部に対して0.2質量部〜20質量部の範囲で添加される。
また、前記磁気記録媒体用潤滑剤を前記磁性層の表面にトップコートする場合には、その塗布量は0.1mg/m〜100mg/mであることが好ましく、0.5mg/m〜20mg/mであることがより好ましい。なお、前記磁気記録媒体用潤滑剤をトップコートする場合の被着方法としては、前記イオン液体を溶剤に溶解し、得られた溶液を塗布若しくは噴霧するか、又はこの溶液中に磁気記録媒体を浸漬すればよい。
前記溶剤としては、フッ素系溶剤が好ましい。前記フッ素系溶剤としては、例えば、
ハイドロフルオロエーテル〔例えば、COCH、COCH、COC、CCF(OCH)C、C10〕などが挙げられる。
前記フッ素系溶剤は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、3M社製のNovecTM 7000、7100、7200、7300、71IPA、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製のVertrel XF、X−P10などが挙げられる。
本発明の前記磁気記録媒体用潤滑剤を用いることにより、良好な潤滑作用を発揮して摩擦係数を低減することができ、熱的に高い安定性を得ることができる。また、この潤滑作用は、高温、低温、高湿、低湿下等の厳しい条件下においても損なわれることはない。
したがって、前記磁気記録媒体用潤滑剤を適用した磁気記録媒体は、潤滑作用により、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性等を発揮し、さらに、熱的安定性を向上させることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。本実施例では、イオン液体を合成し、イオン液体のフッ素系溶剤への溶解性を測定した。また、イオン液体の熱分解温度を測定した。また、イオン液体を含有する潤滑剤を作製し、摩擦係数を測定した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<PFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン(C2F8アミン)塩の合成>
冷却管を備えた100mLのナスフラスコに、パーフルオロポリエーテルカルボン酸として、ソルベイソレクシス社製のFomblin Z−DIAC(数平均分子量 約2,000)5g(2.5mmol)、及び1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン(SYNQUEST社製)2.56g(5.5mmol)を導入し、分散溶媒としてエタノール20g、NovecTM 7200(3M社製)10g、及びn−ヘキサン5gを導入し、常温で4時間撹拌した。反応後の溶液をエバポレートにより濃縮した後、ヘキサンとジエチルエーテルとで各7回ずつ洗浄し、余剰の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンを除去した。その洗液がpH試験紙で中性であることを確認した後、真空オーブンにて乾燥させることで、収率92%で、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(実施例2)
<PFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデシルアミン(C3F8アミン)塩の合成>
実施例1において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンを、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデシルアミン(シグマアルドリッチ社製)(5.5mmol)に代えた(仕込みモル比は、ジカルボン酸:モノアミン=2.5:5.5)以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(実施例3)
実施例1において、Fomblin Z−DIAC(数平均分子量 約2,000)を、ソルベイソレクシス社製のFomblin Z−DIAC4000(数平均分子量 約4,000)に代え、仕込みモル比をジカルボン酸:モノアミン=0.5:1.05で合成した以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(実施例4)
実施例1において、Fomblin Z−DIAC(数平均分子量 約2,000)を、ソルベイソレクシス社製のFluorolink C10(数平均分子量 約1,700)に代え、仕込みモル比をジカルボン酸:モノアミン=3.0:6.3で合成した以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(実施例5)
<パーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸の合成>
200mLの三つ口フラスコに冷却管、温度計、及び滴下ロートをセットした。その三つ口フラスコに、tert−ブトキシカリウム2.7g(24mmol)、及びtert−ブチルアルコール50mLを入れ、攪拌し完全に溶解させた。そこへ滴下ロートを用いて、ソルベイソレクシス社製FomblinZ−DOL(数平均分子量約2,000)20g(約10mmol)をアルカリ水溶液中へ少しずつ加え、室温にて2時間攪拌した。そこへ、1,3−プロパンスルトン(東京化成工業株式会社製)2.9g(24mmol)を加え、60℃で8時間攪拌した。そして、エバポレータにより溶媒を除去することにより、パーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のカリウム塩の白色粉末を得た。この白色粉末10gに対して、蒸留水30g、濃塩酸20gを加え、室温にて8時間攪拌した。その後、エバポレータにより塩酸水を除去し、メチルイソブチルケトンで抽出し、抽出液をエバポレートすることにより液体を1.0g得た。H−NMR(Proton Nuclear Magnetic Resonance)により、生成物が、下記構造で表されるパーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸であることを確認した。H−NMR(CDOD)δ:3.9、3.7、2.9、2.1(パーフルオロポリエーテル鎖に対してα、γ、δ、ε)
前記式中、m/n=1である。前記ジスルホン酸は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
<イオン液体の合成>
実施例1において、Fomblin Z−DIAC(数平均分子量 約2,000)を、上記で合成したパーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸に代え、仕込みモル比をジスルホン酸:モノアミン=1.0:2.2で合成した以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジスルホン酸の1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(比較例1)
<PFPEジカルボン酸の1H,1H−パーフルオロオクチルアミン(C1F7アミン)塩の合成>
実施例1において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンを、1H,1H−パーフルオロオクチルアミン(Alfa Aesar社製)(5.5mmol)に代えた(仕込みモル比は、ジカルボン酸:モノアミン=2.5:5.5)以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H−パーフルオロオクチルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(比較例2)
<PFPEジカルボン酸のステアリルアミン塩の合成>
実施例1において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンを、ステアリルアミン(和光純薬工業株式会社製)(5.5mmol)に代えた(仕込みモル比は、ジカルボン酸:モノアミン=2.5:5.5)以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸のステアリルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(比較例3)
<PFPEジカルボン酸のオクチルアミン塩の合成>
実施例1において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンを、オクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)(5.5mmol)に代えた(仕込みモル比は、ジカルボン酸:モノアミン=2.5:5.5)以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸のオクチルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(比較例4)
<Fomblin Z−Dol>
下記構造で表されるFomblin Z−Dol(数平均分子量 約2,000)を比較例4の潤滑剤として用いた。
前記式中、m/n=1である。Fomblin Z−Dolは、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
(比較例5)
<PFPEジカルボン酸の6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサン−1−アミン(C6F6アミン)塩の合成>
実施例1において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデシルアミンを、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサン−1−アミン(SYNQUEST社製)(5.5mmol)に代えた(仕込みモル比は、ジカルボン酸:モノアミン=2.5:5.5)以外は、実施例1と同様にして、下記構造で表されるPFPEジカルボン酸の1H,1H,2H,2H,3H,3H,4H,4H,5H,5H,6H,6H−パーフルオロドデシルアミン塩(イオン液体)を得た。
前記式中、m/n=1である。共役塩基は、オキシパーフルオロエチレン鎖と、オキシパーフルオロメチレン鎖とが、ランダムに導入されたランダム構造である。
<フッ素系溶剤に対する溶解性>
実施例1〜5及び比較例1〜5の潤滑剤を、濃度が1質量%となるように各種フッ素系溶剤に添加し、25℃に保持して撹拌した。溶解性を、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示した。
〔評価基準〕
○:フッ素系溶剤に溶解し、放置しても沈殿の発生がない
×:フッ素系溶剤に不溶である、又は一時的に溶解しても放置すると沈殿が発生する
表1中の各フッ素系溶剤は以下のとおりである。
NovecTM 7100:3M社製、ハイドロフルオロエーテル(COCH
NovecTM 7200:3M社製、ハイドロフルオロエーテル(COC
NovecTM 7300:3M社製、ハイドロフルオロエーテル〔CCF(OCH)C
NovecTM 71IPA:3M社製、ハイドロフルオロエーテル共沸様混合物(NovecTM 7100 95質量%、イソプロピルアルコール 5質量%未満)
Vertrel XF:三井・デュポン フロロケミカル株式会社製、C10
Vertrel X−P10:三井・デュポン フロロケミカル株式会社製、Vertrel XF90質量%及びイソプロピルアルコール10質量%の混合物
比較例3の潤滑剤は、フッ素系溶剤に対して高い溶解性を示した。これは、アミンの炭素数が短いためである。
<熱分解温度の測定>
TG−DTA(メーカ名:セイコーインスツル株式会社、型番:EXSTAR6000)により、温度に対する重量減少を測定し、5%重量減少温度を熱分解温度と定義した。測定条件は、昇温速度を10℃/min、Air流量を200mL/minとした。
結果を表2に示した。
パーフルオロアルキル鎖とアミノ基との間の無置換のアルキレン基の炭素数が1つ(メチレン基)のアミンを用いた比較例1に対して、パーフルオロアルキル鎖とアミノ基との間の無置換のアルキレン基の炭素数が2つ(1,2−エチレン基)を用いた実施例1、3〜5、及び炭素数が3つ(1,3−プロピレン基)のアミンを用いた実施例2は、熱分解温度が有意に向上した。この結果から、アミノ基とパーフルオロアルキル基との間の無置換のアルキレン基の炭素数を増やすことにより、電子吸引性が低減できていることが確認できた。
ブレンステッド酸としてPFPEジスルホン酸を用いた実施例5は、熱分解温度が高く非常に優れていた。
実施例1〜5と、非イオン液体潤滑剤である比較例4とを比較すると、実施例1〜5の熱分解温度のほうが高かった。
<耐摩耗性>
<<磁気テープの作製>>
図2に示すような断面構造の磁気テープを作製した。先ず、5μm厚の東レ社製ミクトロン(芳香族ポリアミド)フィルムからなる基板21に、斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚100nmの強磁性金属薄膜からなる磁性層22を形成した。次に、この強磁性金属薄膜表面にプラズマCVD法により10nmのカーボンライクカーボンからなるカーボン保護層23を形成させた後、6ミリ幅に裁断した。
得られたテープを、スライドガラスに貼り付け、潤滑剤をディップコーティングしてサンプルを作製した。
ディップコーティングに用いる潤滑剤は、表3に示す溶剤で0.2質量%に調製したものを用いた。ディップコーティングは、潤滑剤を入れたガラス容器からスライドガラスを速度50mm/minにて引き上げて行った。
<<評価>>
作製したサンプルを用いて、以下の試験条件で摺動回数に対する摩擦係数を測定することで、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[試験条件]
自動摩擦測定装置(メーカー:協和界面科学株式会社製、型番:Triboster TS−501)を用い、点接触(3mm鋼球)、重り:15g、速度:1.7mm/sec、距離:20mm、繰り返し回数:20回)の条件で測定した。
比較例2の潤滑剤は、フッ素系溶剤に溶解しないため、溶剤として、ヘキサン/エタノール混合溶剤(Hex/EtOH=8:2(質量比))を用いた。
実施例5の潤滑剤は、溶剤として、Vertrel XF/メタノール混合溶剤(XF/MeOH=3:7(質量比))を用いた。
実施例1、2、4、及び5は、摺動回数が1回〜20回の間での摩擦係数が0.15〜0.20であり、安定していた。特に、実施例2、及び4は、摺動回数が20回を超えても低い摩擦係数を維持した。
アミンの炭素数が小さい比較例1、及び3は、少ない摺動回数で摩擦係数が高くなった。それに対し、比較例2は、摺動回数15回までは摩擦係数が低かったが、15回を超えると、摩擦係数が高くなった。
ブレンステッド塩基が、炭素数が6の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである比較例5は、1回目から摩擦係数が若干高く、摺動回数が増えると摩擦係数が徐々に高くなった。
<まとめ>
フッ素系溶剤に対する溶解性試験、熱分解温度の測定、及び耐摩耗性試験の結果から、以下のことが確認できた。
本発明の磁気記録媒体用潤滑剤である実施例1〜5の潤滑剤は、優れた耐熱性、優れた摩擦特性、及びフッ素系溶剤への優れた溶解性を有していた。
一方、比較例1〜5の潤滑剤は、耐熱性、摩擦特性、及びフッ素系溶剤への溶解性の少なくともいずれかが不十分であった。
なお、実施例5は、フッ素系溶剤への溶解性が他の実施例よりも若干劣るものの、熱分解温度が他の実施例、比較例よりも非常に優れていた。
耐熱性、摩擦特性、及びフッ素系溶剤への溶解性を総合的に評価すると、実施例1〜5は、比較例1〜5よりも優れていた。なかでも、フッ素系溶剤への溶解性の観点から実施例1、及び2が特に優れていた。これは、ブレンステッド酸の数平均分子量、及び酸の種類が影響していると考えられ、その点から、ブレンステッド酸の数平均分子量は、1,300〜2,500がより好ましいことが確認でき、酸の種類はカルボン酸が好ましいことが確認できた。
11 基板
12 下地層
13 磁性層
14 カーボン保護層
15 潤滑剤層
21 基板
22 磁性層
23 カーボン保護層
24 潤滑剤層
25 バックコート層

Claims (8)

  1. ブレンステッド酸と、ブレンステッド塩基とから形成されるイオン液体を含有し、
    前記ブレンステッド酸が、パーフルオロポリエーテル骨格を有するカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するスルホン酸のいずれかであり、
    前記ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである、
    ことを特徴とする磁気記録媒体用潤滑剤。
  2. ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜3の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するアミンである請求項1に記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
  3. ブレンステッド酸が、パーフルオロポリエーテル骨格を有するジカルボン酸、及びパーフルオロポリエーテル骨格を有するジスルホン酸のいずれかであり、
    ブレンステッド塩基が、炭素数が2〜5の無置換のアルキレン基を介して窒素原子に結合したパーフルオロアルキル鎖を有するモノアミンである、
    請求項1に記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
  4. ブレンステッド酸が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される請求項3に記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
    ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す。
  5. ブレンステッド塩基が、下記一般式(3)で表される請求項3から4のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
    ただし、前記一般式(3)中、R、R、及びRは、置換基である。前記R、R、及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(A)で表される基である。
    ただし、前記一般式(A)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
  6. ブレンステッド塩基が、下記一般式(3−1)で表される請求項3から5のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
    ただし、前記一般式(3−1)中、xは、4〜10の整数を表し、yは、2〜5の整数を表す。
  7. 一般式(3−1)において、yが、2〜3の整数である請求項6に記載の磁気記録媒体用潤滑剤。
  8. 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に請求項1から7のいずれかに記載の磁気記録媒体用潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体。
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