JP6576656B2 - イオン液体、潤滑剤及び磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
(1)低揮発性であること。
(2)表面補充機能のために低表面張力であること。
(3)末端極性基とディスク表面への相互作用があること。
(4)使用期間での分解、減少がないように、熱的及び酸化安定性が高いこと。
(5)金属、ガラス、高分子に対して化学的に不活性で、ヘッドやガイドに対して摩耗粉を生じないこと。
(6)毒性、可燃性がないこと。
(7)境界潤滑特性に優れていること。
(8)有機溶媒に溶解すること。
このときに酸及び塩基のそれぞれの解離定数Ka1及びKb2は、濃度を含めた形で次のScheme2のように表すことができる。
ここで酸と塩基の酸解離定数の差ΔpKaについて議論する。酸・塩基反応はお互いにその酸性・塩基性(あるいはその共役酸の酸性)に影響され、その酸性度の差ΔpKaは併せて次のScheme3に表すことができる。
[AH]+[B]⇔[A−HB+]
上記式の平衡がイオン側(右側)へシフトし、より安定性が増すことを報告している(例えば、非特許文献6参照)。また、渡邉らは、プロトン性イオン液体のプロトン移動性と熱的な安定性がΔpKaに大きく依存し、塩基としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ−7−セン)を用いた場合、そのΔpKaが15以上となる酸を用いることにより、イオン液体の熱的安定性が大きく向上することを報告している(非特許文献7参照)。また、近藤らは、ΔpKaが大きいパーフルオロオクタンスルホン酸オクタデシルアンモニウム塩系のプロトン性イオン液体が磁気記録媒体の耐久性を改善することを報告している(非特許文献8、特許文献3参照)。
前記ブレンステッド塩基が、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を有する非環状のグアニジンであり、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤である。
<2> 前記イオン液体が、下記一般式(1)で表される前記<1>に記載の潤滑剤である。
<3> 前記イオン液体が、下記一般式(2)で表される前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<4> 前記イオン液体が、下記一般式(3)で表される前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<5> 前記イオン液体が、下記一般式(4)で表される前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
ただし、前記一般式(4)中、R1は、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。lは、1〜12の整数を表す。
<6> 前記イオン液体が、下記一般式(5)で表される前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<7> 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に前記<1>から<6>のいずれかに記載の潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体である。
<8> ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成され、
前記ブレンステッド塩基が、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を有する非環状のグアニジンであり、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とするイオン液体である。
<9> 下記一般式(1)で表される前記<8>に記載のイオン液体である。
<10> 下記一般式(2)で表される前記<8>から<9>のいずれかに記載のイオン液体である。
<11> 下記一般式(3)で表される前記<8>から<9>のいずれかに記載のイオン液体である。
<12> 下記一般式(4)で表される前記<8>から<9>のいずれかに記載のイオン液体である。
ただし、前記一般式(4)中、R1は、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。lは、1〜12の整数を表す。
<13> 下記一般式(5)で表される前記<8>から<9>のいずれかに記載のイオン液体である。
1. 潤滑剤及びイオン液体
2. 磁気記録媒体
3. 実施例
本発明の一実施形態として示す潤滑剤は、ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成されるイオン液体を含有する。
前記イオン液体において、前記ブレンステッド塩基は、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を有する非環状のグアニジンである。
また、アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaは、10以下(強酸)である。そうすることにより、優れた熱安定性を発揮することができる。
アセトニトリル中における前記酸解離定数は、ブレンステッド酸をアセトニトリル中に溶解させ塩基で滴定を行い、UV−visスペクトロメータを用いて測定したスペクトルから計算される。
アセトニトリル中における前記酸解離定数については、例えば、J. Org. Chem. 2006, Vol.71, pp.2829−2838が、参照される。
ただし、前記一般式(4)中、R1は、炭素数が10以上の直鎖状の炭化水素基を含む基を表す。lは、1〜12の整数を表し、1〜6の整数が好ましい。
次に、前述の潤滑剤を用いた磁気記録媒体について説明する。本発明の一実施形態として示す磁気記録媒体は、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有してなり、前記磁性層に前述の潤滑剤を保有してなるものである。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。本実施例では、イオン液体を合成し、イオン液体を含有する潤滑剤を作製した。そして、潤滑剤を用いて磁気ディスク及び磁気テープを作製し、それぞれディスク耐久性及びテープ耐久性について評価した。磁気ディスクの製造、ディスク耐久性試験、磁気テープの製造、及びテープ耐久性試験は、次のように行った。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
例えば、国際公開第2005/068589号公報に従って、ガラス基板上に磁性薄膜を形成し、図2に示すような磁気ディスクを作製した。具体的には、アルミシリケートガラスからなる外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mmの化学強化ガラスディスクを準備し、その表面をRmaxが4.8nm、Raが0.43nmになるように研磨した。ガラス基板を純水及び純度99.9%以上のイソプロピルアルコール(IPA)中で、それぞれ5分間超音波洗浄を行い、IPA飽和蒸気内に1.5分間放置後、乾燥させ、これを基板11とした。
TG/DTA測定では、セイコーインスツルメント社製EXSTAR6000を使用し、200ml/minの流量で空気中を導入しながら、10℃/minの昇温速度で30℃−600℃の温度範囲で測定を行った。
市販のひずみゲージ式ディスク摩擦・摩耗試験機を用いて、ハードディスクを14.7Ncmの締め付けトルクで回転スピンドルに装着後、ヘッドスライダーのハードディスクに対して内周側のエアベアリング面の中心が、ハードディスクの中心より17.5mmになるようにヘッドスライダーをハードディスク上に取り付けCSS耐久試験を行った。本測定に用いたヘッドは、IBM3370タイプのインライン型ヘッドであり、スライダーの材質はAl2O3−TiC、ヘッド荷重は63.7mNである。本試験は、クリーン清浄度100、25℃60%RHの環境下で、CSS(Contact、Start、Stop)毎に摩擦力の最大値をモニターした。摩擦係数が1.0を超えた回数をCSS耐久試験の結果とした。CSS耐久試験の結果において、50,000回を超える場合には「>50,000」と表示した。また、耐熱性を調べるために、300℃の温度で3分間加熱試験を行った後のCSS耐久性試験を同様に行った。
図5に示すピンオンディスク試験機を用いて、以下の測定条件でアームに生じる摩擦力をストレインゲージで検出した。
〔測定条件〕
・測定装置: Tribotester TS−501(協和界面科学株式会社製)
・荷重 : 15mN
・摺動速度: 6mm/sec
・接触部 : 3mmφ SUSボール
・摺動距離: 20mm
・摺動回数: 100回
図3に示すような断面構造の磁気テープを作製した。先ず、5μm厚の東レ製ミクトロン(芳香族ポリアミド)フィルムからなる基板21に、斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚100nmの強磁性金属薄膜からなる磁性層22を形成した。次に、この強磁性金属薄膜表面にプラズマCVD法により10nmのダイヤモンドライクカーボンからなるカーボン保護層23を形成させた後、6ミリ幅に裁断した。このカーボン保護層23上にIPAに溶解したイオン液体を、膜厚が1nm程度となるように塗布して潤滑剤層24を形成し、サンプルテープを作製した。
各サンプルテープについて、温度−5℃環境下、温度40℃30%RH環境下のスチル耐久性、並びに、温度−5℃環境下、温度40℃90%RH環境下の摩擦係数及びシャトル耐久性について測定を行った。スチル耐久性は、ポーズ状態での出力が−3dB低下するまでの減衰時間を評価した。シャトル耐久性は、1回につき2分間の繰り返しシャトル走行を行い、出力が3dB低下するまでのシャトル回数で評価した。また、耐熱性を調べるために、100℃の温度で10分間加熱試験を行った後の耐久性試験も同様に行った。
<n−オクタデシルグアニジンの合成>
n−オクタデシルグアニジンの合成は、非特許文献(ROSS PHILLIPS AND H. T. CLARKE,THE PREPARATION OF ALKYLGUANIDINES,J.Am.Chem.Soc.Vol.45,pp.1755−1757)を参考にして行った。
n−オクタデシルグアニジン4.92gをエタノールに溶解させ、そこへn−ノナフルオロブタンスルホン酸4.75gのエタノール溶液を加えた。加熱還流を5時間行い、エタノールを乾燥後、ジクロルメタンに溶解させ、約20ccの水で3回洗浄し、洗浄液が中性になるのを確認後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、n−ノナフルオロブタンスルホン酸−n−オクタデシルグアニジン塩9.1gを得た。収率94%。溶媒除去後n−ヘキサンから再結晶を行った。
1138cm−1にSO2の対称伸縮振動、1281cm−1にCF2の対称伸縮振動、1365cm−1にSO2結合の逆対称伸縮振動、1471cm−1にC=Nの伸縮振動、1668cm−1にC−N結合の逆対称伸縮振動、2851cm−1にCH2の対称伸縮振動、2920cm−1にCH2の逆対称伸縮振動、3297−3459cm−1にNH結合の伸縮振動が見られた。
1H−NMR(CF3COOD,δppm);0.912(t,3H,J=7.2Hz), 1.270−1.500(m,30H), 1.723(brs,2H), 3.286(t,2H,J=7.2Hz)
13C−NMR(CF3COOD,δppm);14.683, 24.345, 28.328, 30.206, 30.832, 31.198, 31.320, 31.396, 31.488, 33.808, 43.958, 158.721
なお、アセトニトリル中におけるn−ノナフルオロブタンスルホン酸のpKaは、0.7であった。
<ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ジスルホンイミド−n−オクタデシルグアニジン塩の合成>
実施例1で合成したn−オクタデシルグアニジン3.00gをエタノールに溶解させ、ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ジスルホンイミド2.83gのエタノール溶液を加えた。加熱還流を5時間行い、エタノールを乾燥後ジクロルメタンに溶解させ、約20ccの水で3回洗浄し、洗浄液が中性になるのを確認後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ジスルホンイミド−n−オクタデシルグアニジン塩3.85gを得た。収率66%。溶媒除去後n−ヘキサンとエタノールの混合溶媒から再結晶を行った。
1156cm−1にSO2の対称伸縮振動、1281cm−1にCF2の対称伸縮振動、1357cm−1にSO2結合の逆対称伸縮振動、1473cm−1にC=Nの伸縮振動、1661cm−1にC−N結合の逆対称伸縮振動、2851cm−1にCH2の対称伸縮振動、2917cm−1にCH2の逆対称伸縮振動、3260−3475cm−1にNH結合の伸縮振動が見られた。
1H−NMR(CF3COOD,δppm);0.889(t,3H,J=7.2Hz), 1.200−1.400(m,30H), 1.572(5重線,2H), 3.145(t,2H,J=7.2Hz)
13C−NMR(CF3COOD,δppm);14.429, 23.709, 29.875, 30.181, 30.318, 30.455, 30.623, 30.669, 30.761, 33.065, 42.483, 158.619
なお、アセトニトリル中におけるヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ジスルホンイミドのpKaは、−0.8であった。
[イオン液体1]
実施例1に示すように、ノナフルオロブタンスルホン酸−n−オクタデシルグアニジン塩を合成して、イオン液体1として用いた。5%、10%、20%重量減少温度はそれぞれ335.1℃、355.8℃、374.5℃であり、比較例1として示したヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸オクタデシルアンモニウム塩よりもそれぞれ7.1℃、12.4℃、16.1℃高く、また分解時のメイン発熱温度も20℃高い。比較例2のカルボン酸アンモニウム塩と比較しても130℃以上高いことが分かる。また市販品のパーフルオロポリエーテル(Z−DOL)では10%、20%重量減少温度はそれぞれ197℃、226℃であり、Z−TETRAOLでは261℃、282℃であることから、重量減少温度で80℃以上安定であることが分かる。
[イオン液体2]
実施例2に示すように、ヘキサフルオロシクロプロパン−1,3−ジスルホンイミド−n−オクタデシルグアニジン塩を合成してイオン液体2として用いた。5%、10%、20%重量減少温度はそれぞれ322.7℃、346.4℃、367.3℃であり、比較例1として示したヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸オクタデシルアンモニウム塩よりも10%、20%重量減少温度が改善されており、また分解時のメイン発熱温度も26℃高い。
このことからも、アンモニウム塩を塩基性が高いグアニジン塩とすることにより熱安定性が改善されていることが一般化できることがわかる。
[比較イオン液体3]
表2に示すように、ヘプタデカフルオロオクタデカンスルホン酸オクタデシルアンモニウム塩(C8F17SO3 −H3N+C18H37)を比較例1の比較イオン液体3として用いた。5%、10%、20%重量減少温度はそれぞれ328.0℃、343.4℃、358.4℃であり、分解時のメイン発熱温度は386.3℃である。
ステアリルアミン(オクタデシルアミン)をn−ヘキサン85質量%/エタノール15質量%の混合溶媒に溶解させ、エタノールに溶解させた等モルのパーフルオロオクタンスルホン酸を加え、60℃で30分間加熱した。溶媒除去後、n−ヘキサンに少量のエタノールを混合させた溶媒から再結晶させ、無色の結晶(C8F17SO3 −H3N+C18H37)を得た。
[比較イオン液体4]
表2に示すように、ブレンステッド酸としてペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウム塩を比較イオン液体4として用いた。5%、10%、20%重量減少温度はそれぞれ206.9℃、215.8℃、223.4℃であり、分解時のメイン吸熱温度は236.4℃である。
なお、ペンタデカフルオロオクタン酸オクタデシルアンモニウム塩は、オクタデシルアミンに対して当量のパーフルオロオクタン酸を混合して中和することで合成した。
なお、アセトニトリル中におけるペンタデカフルオロオクタン酸のpKaは、12.65であった(J. Comp. Chem. 2009, Vol.30, pp.799−810参照)。
市販品で磁気記録媒体用潤滑剤として一般的に使用されている末端に水酸基をもつ分子量約2000のパーフルオロポリエーテル(Z−DOL)を比較例3の比較イオン液体5として用いた。10%、20%重量減少温度はそれぞれ165.0℃、197.0℃、226.0℃である。重量減少が蒸発であり、明確な吸熱ピークは持たない。
市販品で磁気記録媒体用潤滑剤として一般的に使用されている末端に水酸基を複数個持つ分子量約2000のパーフルオロポリエーテル(Z−TETRAOL)を比較例4の比較イオン液体5として用いた。10%、20%重量減少温度はそれぞれ261.0℃、282.0℃であり、分解時のメイン発熱温度は386.3℃である。重量減少が蒸発であり、明確な吸熱ピークは持たない。
イオン液体1を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超え、加熱試験後のCSS測定も50,000回を超え、優れた耐久性を示した。
イオン液体2を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超え、加熱試験後のCSS測定も50,000回を超え、優れた耐久性を示した。
比較例1の比較イオン液体3を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超え、加熱試験後のCSS測定も50,000回を超え、優れた磁気ディスク耐久性を示した。
比較例2の比較イオン液体4を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超え優れた耐久性を示したが、加熱試験後のCSS測定は891回であった。
Z−DOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超えたものの、加熱試験後のCSS測定は12,000回であり、加熱試験により耐久性が悪化した。
Z−TETRAOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気ディスクを作製した。表3に示すように、磁気ディスクのCSS測定は、50,000回を超えたものの、加熱試験後のCSS測定は36,000回であり、加熱試験により耐久性が悪化した。
<ディスク耐久性試験2>
図5に示すピンオンディスク試験機を用いて、実施例1の潤滑剤について摩擦試験を行った。3mmφのSUSピンに荷重15mNをかけて試料ディスクに押し当て、移動架台を6mms−1の速度で20mm幅で往復運動をさせ、そのときに生じる摩擦力をストレインゲージで測定した。その往復運動での摩擦係数の結果を図6に示した。
<ディスク耐久性試験2>
実施例7と同様にして、環状グアニジンを含みかつ長鎖のアルキル鎖を持つ比較イオン液体5について摩擦試験を行い、結果を図6に示した。
なお、比較イオン液体5は、国際公開第2014/104342号パンフレットに記載の実施例41の7−n−オクタデシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセン(C18−TBD) ペンタデカフルオロオクタンスルホン酸塩(下記構造)であり、国際公開第2014/104342号パンフレットに記載の実施例41の合成方法にしたがって、合成した。
<ディスク耐久性試験2>
実施例7と同様にして、環状グアニジンを含みかつ長鎖のアルキル鎖を持たない比較イオン液体6について摩擦試験を行い、結果を図6に示した。
なお、比較イオン液体6は、国際公開第2014/104342号パンフレットに記載の比較例28のTBDペンタデカフルオロスルホン酸塩(下記構造)であり、国際公開第2014/104342号パンフレットに記載の比較例28の合成方法にしたがって、合成した。
これから、一般的なピンオンディスク摩擦試験では、長鎖のアルキル鎖を持つ非環状グアニジン系のイオン液体では、環状構造のグアニジン系イオン液体よりも摩擦係数は安定して低いことが分かった。
イオン液体1を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.20であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.22であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.21であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.23であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。以上の結果より、イオン液体1を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。
イオン液体2を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.20であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.23であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.23であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.24であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。以上の結果より、イオン液体2を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。
比較例1の比較イオン液体3を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.20であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.23であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.23であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.26であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。以上の結果より、比較イオン液体3を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。この比較例潤滑剤は優れた磁気テープ耐久性を示した。
比較例2の比較イオン液体4を含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.22であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.25であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で60min超であり、温度40℃、相対湿度30%環境下で60min超であった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で200回超であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で200回超であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.29であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.31であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で45minであり、温度40℃、相対湿度30%環境下で36minであった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で130回であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で123回であった。以上の結果より、比較イオン液体4を含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、優れた摩擦特性、スチル耐久性、及びシャトル耐久性を有することが分かった。
Z−DOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.25であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.30であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で12minであり、温度40℃、相対湿度30%環境下で48minであった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で59回であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で124回であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.32であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.35であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で12minであり、温度40℃、相対湿度30%環境下で15minであった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で46回であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で58回であった。以上の結果より、Z−DOLを含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、スチル耐久性、及びシャトル耐久性の劣化が大きいことが分かった。
Z−TETRAOLを含有する潤滑剤を用いて、前述の磁気テープを作製した。表4に示すように、100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.22であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.26であった。また、スチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で25minであり、温度40℃、相対湿度30%環境下で35minであった。また、シャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で65回であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で156回であった。また、加熱試験後の100回のシャトル走行後の磁気テープの摩擦係数は、温度−5℃の環境下で0.28であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で0.32であった。また、加熱試験後のスチル耐久試験は、温度−5℃の環境下で23minであり、温度40℃、相対湿度30%環境下で31minであった。また、加熱試験後のシャトル耐久試験は、温度−5℃の環境下で55回であり、温度40℃、相対湿度90%環境下で126回であった。以上の結果より、Z−TETRAOLを含有する潤滑剤を塗布した磁気テープは、スチル耐久性、及びシャトル耐久性の劣化が大きいことが分かった。
12 下地層
13 磁性層
14 カーボン保護層
15 潤滑剤層
21 基板
22 磁性層
23 カーボン保護層
24 潤滑剤層
25 バックコート層
Claims (5)
- ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成されるイオン液体を含有し、
前記イオン液体が、下記一般式(2)で表され、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤。
- ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成されるイオン液体を含有し、
前記イオン液体が、下記一般式(3)で表され、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤。
- ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成されるイオン液体を含有し、
前記イオン液体が、下記一般式(4)で表され、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤。
- ブレンステッド酸(HX)と、ブレンステッド塩基(B)とから形成されるイオン液体を含有し、
前記イオン液体が、下記一般式(5)で表され、
アセトニトリル中における前記ブレンステッド酸のpKaが、10以下であることを特徴とする潤滑剤。
- 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に磁性層と、前記磁性層上に請求項1から4のいずれかに記載の潤滑剤とを有することを特徴とする磁気記録媒体。
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