JP2005032366A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種使用条件下において優れた潤滑性能が保たれ、長時間の使用においても潤滑効果が持続し、且つ粉つきが少ない磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 非磁性支持体、その一方の表面に形成された磁性層としての強磁性金属薄膜、強磁性金属薄膜の上に形成された保護膜、および保護膜の上に形成された潤滑剤層を有する磁気記録媒体を、潤滑剤層が下記一般式(a)で表わされるパーフルオロポリエーテル系化合物を潤滑剤として有するように構成する。
【化1】
Figure 2005032366

(式中、Rfはパーフルオロポリエーテル鎖を示し、Xは−OC(=O)を示し、Yは−R、−OH、−COOH、−COORまたは−OCORを示し、ここでRは脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、a、bおよびcはそれぞれ0〜22の整数であり、dは0または1である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、特定のパーフルオロポリエーテル系化合物を潤滑剤層に含んで成る磁気記録媒体およびその磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年、磁気記録の分野においては、記録・再生機器のデジタル化、小型化および使用時間の長時間化等の高性能化に伴い、それに適した高密度磁気記録媒体の開発が活発に行なわれている。最近では塗布型磁気記録媒体に代わって、短波長記録に極めて有利な金属薄膜型磁気記録媒体が実用化されている。一般に、金属薄膜型磁気記録媒体とは、非磁性支持体上に、記録層として強磁性金属薄膜から成る磁性層を設けたテープおよびディスク等をいう。また、高密度磁気記録媒体の記録・再生に用いられる磁気記録媒体システムとしては、例えば、デジタルビデオデッキやハードディスクドライブが挙げられる。
デジタルビデオテープに代表される金属薄膜型磁気記録媒体においては、磁性層は極めて良好な表面性を有する、すなわち磁性層の面の粗度が小さい。そのため、磁性層と磁気ヘッドとの接触面積が増えるので、磁性層は信号の記録・再生の過程において磁気ヘッドと高速摺動する間に大きな摩擦力を受けて磨耗されやすい。磁性層の磨耗は、磁気記録媒体の走行耐久性あるいはスチル耐久性等に大きな影響を与えるため、これを低減させることは金属薄膜型磁気記録媒体の研究開発において大きな課題となっている。
そこで磁性層表面に潤滑剤層を設けることによって磨耗を低減し、走行耐久性およびスチル耐久性を改善しようとする試みがなされている。潤滑剤層を設ける場合、磁気記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシングロスによる出力低下を極力抑えて高出力化を図るべく、磁性層表面の潤滑剤層は僅か数nmの厚さで潤滑特性を発揮することが求められている。
また、一般的なハードディスクドライブにおいてはCSS(コンタクト・スタート・ストップ)方式が採用されている。CSS方式とは、高密度磁気記録媒体であるハードディスクが停止している状態では磁気ヘッドがディスクに接触し、起動時にハードディスクが高速回転し始めると、これに伴って発生する空気流により磁気ヘッドがディスク表面から浮上し、この状態で記録・再生が行われる方式である。そして、停止時にディスクの回転が減速され、再び磁気ヘッドはハードディスクと接触するようになる。
このCSS方式においてはディスクの運転停止時あるいは起動開始時に磁気ヘッドがハードディスク表面を擦って走行するので、そのときに加わる摩擦力が大きな問題となっている。ハードディスクドライブの信頼性を保つにはCSS走行試験後の媒体の摩擦係数が初期と同じであることが望まれる。しかし、表面平坦性が高い、すなわち粗度の小さな磁気ディスクでは、この要求を満たすことは難しい。また、ハードディスクが高速で回転している際に、ヘッドと媒体とが衝突する、いわゆるヘッドクラッシュも解決すべき課題の1つである。そして、ヘッドクラッシュが発生する要因の一つとして、磁気記録媒体が適当な保護膜および潤滑剤層を有していないことが挙げられる。
そこで、磁気記録媒体に適した潤滑剤が広く検討されている。その1つとしてフッ素系化合物がある。フッ素系化合物は優れた潤滑特性を示すため、各種フッ素系化合物の使用が提案されている。(例えば、特許文献1、2等参照)
しかしながら、媒体のさらなる高記録密度化に伴って、MRヘッドまたはGMRヘッドの搭載ならびにコンタクト記録方式の採用等、新たな技術への対応を考えていく必要がある。そのためには磁気記録媒体に用いる潤滑剤特性をより向上させる必要がある。
特開2002−150530号公報 特開2002−322270号公報
磁気記録媒体に用いられる潤滑剤に要求される特性として、低温環境での使用でも潤滑特性が優れること、潤滑特性を維持したまま極めて薄く塗布できること、長時間の使用でも潤滑特性が維持されること、ならびに磁気ヘッドへの粉付きが少ないこと、等が要求される。ここで、粉つきとは、磁気記録媒体を記録再生装置で走行させたときに、磁気ヘッドとの接触により、媒体のエッジ(端面部)の汚れもしくは脱落物である異物、または媒体の裏面から転写される異物、保護膜、あるいは潤滑剤が磁気記録媒体から削りとられ、削りとられた、これらの異物、保護膜、または潤滑剤の粉が磁気ヘッド表面に蓄積されることをいう。
これまでにも、前記要求を満たすように、種々の潤滑剤が提案され、実用に供されてきた。しかしながら、磁気記録媒体の性能向上に伴って、潤滑剤に関する要求水準もより高くなっている。そのため、磁気記録媒体の分野においては、より優れた特性を有する潤滑剤が常に求められている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、様々な使用条件下において優れた潤滑特性を維持するとともに、長時間の使用においても潤滑効果が持続し、且つ粉つきが少ない潤滑剤層を備えた磁気記録媒体およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、発明者は、磁気ヘッドと記録媒体との摺動の際に異物、保護膜、または潤滑剤が物理的に削りとられるだけでなく、潤滑剤が化学的な反応に起因して失われる(例えば分解する)ために、潤滑効果の低下および粉つきが発生すると考えた。そこで、磁気ヘッドを構成する材料との間で化学的な反応が生じにくい化合物を潤滑剤として使用することを案出し、本発明に至った。
第一の要旨において、本発明は、非磁性支持体の上に磁性層として形成された強磁性金属薄膜、磁性層の上に形成された保護膜および保護膜の上に形成された潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、潤滑剤層が下記一般式(a)で示される、パーフルオロポリエーテル鎖と窒素原子とを有する化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2005032366
(式中、Rfはパーフルオロポリエーテル鎖を示し、Xは−OC(=O)−(エステル結合)を示し、Yは−R、−OH、−COOH、−COORまたは−OCORを示し、ここでRは脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、a、bおよびcはそれぞれ0〜22の整数であり、dは0または1である。)
第二の要旨において、本発明は、上記本発明の磁気記録媒体の製造方法を提供する。本発明の磁気記録媒体の製造方法は、その潤滑剤層の形成工程に特徴を有し、それ以外の工程は従来の磁気記録媒体の製造方法で用いられている工程であってよい。本発明の製造方法における潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に、潤滑剤層を構成する化合物(即ち、潤滑剤)を溶解して調製した塗布液を保護膜上に塗布する工程を含むことを特徴とする。炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒とを組み合わせた混合溶媒を使用することにより、塗布ムラが極めて少ない均一な薄い潤滑剤層が形成され得る。したがって、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体を得ることが可能である。
本発明の磁気記録媒体は、その潤滑剤層が一般式(a)で示される特定のパーフルオロポリエーテル系化合物を有することを特徴とする。一般式(a)で示される化合物は、分子中に窒素原子を含み、この窒素原子は、ルイス酸によるポリエーテル鎖の分解(即ち、切断)を抑制するように機能する。したがって、一般式(a)で示される化合物は、磁気ヘッド材料として一般的に使用される、ルイス酸として機能する酸化アルミニウムの存在下でも、高い分解蒸発温度を示す。かかる性質を有する化合物を磁気ヘッドと接触する潤滑剤層に含む本発明の磁気記録媒体は、様々な環境下で使用する場合でも、優れた潤滑性を発揮し、長時間使用された場合でも潤滑剤による潤滑効果が持続され、且つ粉付きが少なく、優れた走行性および耐久性を示す。したがって、本発明の磁気記録媒体は、特にデジタルビデオテープレコーダやHDDで用いるのに適している。
次に本発明の実施の形態について説明する。以下の説明を含む本明細書において、磁気記録媒体を構成する各層または膜の「表面」とは、各層または膜が形成されたときに露出している面、即ち、各層または膜の非磁性支持体から遠い側の面を意味する。また、各層の「表面に」というときは、特に断りのない限り当該表面に接する位置をいう。さらにまた、以下の説明を含む本明細書において、磁気記録媒体の構成に関して、磁気記録媒体を構成する各層または膜の「上」というときは、特に断りのない限り、各層または膜の非磁性支持体から遠い側の表面に接していることを意味する。したがって、例えば、「磁性層の上に」というときは、「磁性層の非磁性支持体から遠い側の表面に隣接する位置に」を意味する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の表面に強磁性金属薄膜、保護膜、および潤滑剤層がこの順に形成された構成において、潤滑剤層が特定のパーフルオロポリエーテル系化合物を含んでいる点に特徴を有する。そこで、まず、このパーフルオロポリエーテル系化合物について説明する。
本発明の潤滑剤層に含まれるパーフルオロポリエーテル系化合物は一般式(a)で示され、分子内にパーフルオロポリエーテル鎖と2個の窒素原子を含有する。
Figure 2005032366
一般式(a)において、Rfはパーフルオロポリエーテル鎖であり、Xは−OC(=O)−(エステル結合)を示し、Yは−R、−OH、−COOH、−COORまたは−OCORを示し、ここでRは脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、a、bおよびcはそれぞれ0〜22の整数であり、dは0または1である。
一般式(a)で表される化合物は、パーフルオロポリエーテル鎖の両末端に、窒素を含む同一の基が結合していることを特徴とする。したがって、上記一般式(a)は、下記のように表すこともできる。
Figure 2005032366
一般式(a)において、dは0または1であり、したがって、一般式(a)にはエステル結合が含まれる形態のものと、エステル結合を含まない形態のものとが含まれる。より具体的には、一般式(a)で示される化合物は、1)Xのエステル結合が存在して、YがRである化合物、2)Xのエステル結合が存在して、Yが水酸基である化合物、3)Xのエステル結合が存在して、Yがカルボキシル基である化合物、4)Xのエステル結合が存在して、Yが−COORである化合物、5)Xのエステル結合が存在して、Yが−OCORである化合物、6)Xのエステル結合が存在せず、YがRである化合物、7)Xのエステル結合が存在せず、Yが水酸基である化合物、8)Xのエステル結合が存在せず、Yがカルボキシル基である化合物、9)Xのエステル結合が存在せず、Yが−COORである化合物、10)Xのエステル結合が存在せず、Yが−OCORである化合物を含む。
前述のとおり、一般式(a)において、a、b、およびcは0〜22の整数である。a、b、cは好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8である。
Rで表わされる脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基の炭素数は、好ましくは1〜22であり、より好ましくは8〜18である。炭素数が22を超えると有機溶媒への溶解性が減少する傾向にある。その結果、有機溶媒を用いて例えば炭素膜表面に湿式塗布法により、潤滑剤層を形成する場合に、均一な層を形成できないことがある。YがR、即ち、脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基である場合には、Yは−(CHと一緒に−(CH−R’(eは1以上の整数である)で示される基を形成することがある。そのような場合には、cを0とみなし、−(CH−R’で示される基をYとして、この基に含まれる全炭素数が1〜22となるようにする。
Rfで示されるパーフルオロポリエーテル鎖は、好ましくは、下記の−CF(OC2m(OC2nOCF−で示される。このように示されるパーフルオロポリエーテル鎖において、mは好ましくは1〜6の整数であり、nは好ましくは1〜5の整数であり、pおよびqはそれぞれ0〜30の整数である。mはより好ましくは2〜5の整数である。nはより好ましくは1〜4の整数である。(m、n)の好ましい組み合わせは、(2,1)または(1,2)である。pはより好ましくは2〜6の整数であり、qはより好ましくは2〜6の整数である。
−CF(OC2m(OC2nOCF−で示されるパーフルオロポリエーテル鎖において、−(OC2m(OC2n−で示される部分は、2種のオキシフルオロアルキレン単位が共重合している部分に相当する。pおよびqは共重合体中の各オキシフルオロアルキレン単位の数を示す。オキシフルオロアルキレン単位(OC2m)とオキシフルオロアルキレン単位(OC2n)とから成る共重合体は、p個の(OC2m)のブロックとq個の(OC2n)のブロックとから成るブロック共重合体もしくは他のブロック共重合体、ランダム共重合体、または交互共重合体であってよい。したがって、−CF(OC2m(OC2nOCF−で示されるパーフルオロポリエーテル鎖には、−(OC2m(OC2n−で示される部分がブロック共重合体、ランダム共重合体および交互共重合体であるものを含む。
一般式(a)は、パーフルオロエーテル鎖の末端に第三アミンを含む基が結合していることを特徴とする。第三アミンの窒素は、パーフルオロポリエーテル鎖のエーテル結合が、ルイス酸の作用により切断して分解することを防止する。したがって、この化合物を含む潤滑剤層は、ルイス酸として機能する物質で形成された磁気ヘッドと摺動しても、潤滑剤に含まれる化合物の分解に起因する潤滑性の低下および粉つきが生じにくい。ゆえに、本発明の磁気記録媒体は、優れた走行耐久性、スチル耐久性および耐熱性等を有する。
上記一般式(a)で示される化合物は、両末端に水酸基を有するフルオロポリエーテルジアルコール(Rf(OH)で示される)と、所定量のアルキルニトリロカルボン酸またはアルカノールニトリロカルボン酸とを反応させることにより生成される。反応は、溶媒の存在下で触媒を加え、加熱撹拌することにより有利に進行する。加熱は、60〜120℃の範囲内で実施することが好ましい。溶媒としては、例えば、オクタンまたはヘプタンを使用できる。触媒としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、リン酸、または硫酸を使用できる。
本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤層には、上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物を1種のみ含んでいてよく、あるいは2種以上含んでいてよい。また、本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤層は、上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物以外に他の潤滑剤、防錆剤および極圧剤等が適宜含まれて成る組成物で構成されてもよい。その場合、上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物の占める割合は、組成物の全量に対して30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物の占める割合が30重量%未満であると、良好な潤滑特性を磁気記録媒体に付与することができない場合がある。
さらに、本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤層中に含まれる上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物の量は、潤滑剤層の表面1m当たり0.05〜100mgであることが好ましく、0.1〜50mgであることがより好ましい。潤滑剤層に上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物をこのように少ない量で均一に存在させるために、本発明の磁気記録媒体の潤滑剤層は次の方法で形成することが望ましい。
潤滑剤層は、常套の材料および手段を用いて非磁性支持体の上に強磁性金属薄膜および保護膜をこの順に形成した後、保護膜上に形成する。潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒に上記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物を含む潤滑剤を溶解して調製した塗布液を保護膜上に塗布する工程、ならびに塗布した塗布液を乾燥して混合溶媒を蒸発させる工程を含む。最終的に混合溶媒が蒸発することにより、保護膜上には溶媒に溶解した潤滑剤が残って潤滑剤層を形成する。従って、塗布液を厚く塗布しても、溶媒が蒸発することにより、保護膜上には均一で非常に薄い潤滑剤層、すなわち少量の潤滑剤が保護膜を均一に被覆した潤滑剤層が形成される。
本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例えば、トルエン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、キシレンおよびケトン等である。本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびブチルアルコール等の低級アルコールである。混合有機溶媒は、具体的には、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、ヘキサンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、またはヘプタンとイソプロピルアルコールの混合溶媒であることが好ましい。アルコール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが生じやすく、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎるとコスト面で不利であるため、両者は、混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲となるように混合して使用することが好ましい。
塗布液の濃度および塗布厚は、溶媒が蒸発した後に保護膜上に形成される潤滑剤層が所望の厚さになるように塗布する。一般には、潤滑剤の濃度が100〜10000ppmである塗布液を、10〜100μmの厚さとなるように塗布することが好ましい。
上記混合溶媒を用いて潤滑剤層を形成する方法としては、バーコーティング法、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ダイコーティング法、ディップコーティング法およびスピンコーティング法等の湿式塗布法または有機蒸着法があり、いずれの方法を採用してもよい。
塗布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶媒を蒸発させると、保護膜上に潤滑剤層が形成される。乾燥処理は、加熱あるいは自然乾燥によって実施することができる。そして、最終的に得られる潤滑剤層の厚さは3〜5nm程度とすることが好ましい。ただし、潤滑剤の組成に応じて潤滑剤層の厚さの最適範囲が存在するため、潤滑剤層の厚さは必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
このように、所定の混合有機溶媒を用いることにより、塗布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶媒が最終的に蒸発した後には数nmという非常に薄い潤滑剤層を形成することができる。その結果、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
本発明の磁気記録媒体は、潤滑剤層が特定のパーフルオロポリエーテル系化合物を含む点に特徴を有する。したがって、本発明の磁気記録媒体において、潤滑層以外の層に関しては、常套の材料および手段を採用して形成することができる。以下に、本発明の磁気記録媒体を構成する、潤滑剤層以外の要素を説明する。
非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド、もしくは芳香族ポリイミドからなるフイルム;ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート、ガラス、セラミック、アルミニウムもしくは銅等の金属、アルミニウム合金もしくはチタン合金等の軽金属、または単結晶シリコン等から成る基板;あるいは紙であってよい。非磁性支持体としてアルミニウム合金から成る基板またはガラス基板等の剛性の大きい基板を使用する場合には、アルマイト処理等により基板表面に酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を硬くしてもよい。
非磁性支持体の強磁性金属薄膜が形成される表面(即ち、磁性層と直接的に又は場合により下地層等を介して接する側の面)には、実用信頼性と良好なRF出力値とを両立するために、直径20〜700nm、高さ5〜70nmの突起形成処理が施されていることが望ましい。突起は、具体的には、例えば、SiOもしくはZnO等の無機物質から成る超微粒子、またはイミド等の有機物質から成る超微粒子を非磁性支持体の表面に分散し固着させることにより形成される。あるいは、突起はそのような微粒子を含む高分子材料をフィルムに成形することにより形成される。
本発明の磁気記録媒体において、磁性層は強磁性金属薄膜である。磁性層に適した強磁性金属としては、Fe系金属、Co系金属、およびNi系金属がある。本発明においてはCo系金属で磁性層を形成することが特に好ましい。ここで、「Co系金属」とは、コバルト、およびコバルトを主成分として好ましくは50原子%以上含む合金をいう。「Fe系金属」および「Ni系金属」も同様である。
強磁性金属薄膜は、具体的には、Fe、CoおよびNi、ならびにCo−Ni、Co−Fe、Co−Cr、Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−Sn、Co−Au、Fe−Cr、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Co−Pt−CrおよびFe−Co−Ni−Cr等の合金から選択される1または複数の材料で形成される。強磁性金属薄膜は酸素を含んでいてよく、酸素はこれらの金属または合金の酸化物の形態で含まれていてよい。強磁性金属薄膜は、単層膜の形態であってもよく、あるいは多層膜の形態であってもよい。
強磁性金属薄膜はイオンプレーティング法、スパッタリング法または電子ビーム蒸着法等で形成することができる。強磁性金属薄膜を酸素雰囲気下で形成すれば、強磁性金属薄膜に酸素が含まれることとなる。強磁性金属薄膜の厚さは一般に30nm〜300nmである。
保護膜は、好ましくは炭素膜である。炭素膜は、ビッカース硬度が約2.45×10N/mm(約2500kg/mm)と高く、磁気記録媒体のダメージを、潤滑剤層と共に防止する。実用信頼性と出力とのバランスを考慮すれば、その厚さは1〜20nmであることが好ましい。
炭素膜は、炭化水素ガスのみ、もしくは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成されるグラファイト状カーボンまたはダイヤモンドライクカーボンであることが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンは適度な硬度を有し、磁気ヘッドを損傷することなく磁気記録媒体の損傷を抑制し得ることから、最も好ましい材料である。
炭素膜は、具体的には、真空容器中に炭化水素ガスまたは炭化水素ガスとアルゴン等の不活性ガスの混合ガスを導入し、容器内の圧力を0.13〜130Paに保った状態で真空容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガスのプラズマを発生させることにより、強磁性金属薄膜上に形成する。放電形式は外部電極方式および内部電極方式のいずれでもよく、放電周波数は実験的に決めることができる。また、非磁性支持体側に配置される電極に0kVから−3kVの電圧を印加することによって、炭素膜の硬度を増大させることができ、また、炭素膜と強磁性金属薄膜との密着性を向上させることができる。炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはベンゼン等を用いることができる。
なお、硬質の炭素膜を形成するためには、放電エネルギーを大きくすることが望ましく、併せて非磁性支持体の温度を高温に維持することが望ましい。例えば、放電エネルギーは、交流電流、例えば高周波電流と直流電流を重畳して実効値を600V以上にすることが望ましい。
本発明においては、炭素膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成されていることが好ましい。含窒素プラズマ重合により炭素膜の表層部にアミノ基が存在することとなり、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度がより大きくなり、磁気記録媒体の耐久性がより向上することとなる。そして、潤滑剤層に特定のパーフルオロポリエーテル系化合物等を含有させることと相俟って、電磁変換特性が損なわれることなく優れた潤滑性能を有する走行耐久性、スチル耐久性および耐蝕性が向上した実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンもしくはテトラメチレンジアミン等のアミン化合物をガス化して導入し、容器内の圧力を0.13〜130Paに保った状態で、真空容器内部に高周波放電を生じさせて形成する。含窒素プラズマ重合膜を形成することにより上記特定のパーフルオロポリエーテル系化合物を含む潤滑剤の化学吸着力が向上し、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度が向上する。含窒素プラズマ重合膜の膜厚は3nm未満が適当であり、これよりも含窒素プラズマ重合膜が厚い場合には炭素膜の保護効果が低下する。なお、炭素膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成する方法は、米国特許第5540957号および第5637393号に開示されており、この引用によりこれらの特許に開示された内容は本明細書の一部を構成する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対の面にバックコート層を有してよい。バックコート層は、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリエステル、カーボンおよび炭酸カルシウム等から選ばれる1つもしくは複数の材料により形成される層であってよく、あるいは、金属、金属酸化物または合金から成る薄膜であってよい。バックコート層の厚さは約50〜500nmとすることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、上記の構成に限定されない。例えば、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が形成される面とは反対側の面に金属の蒸着により形成した補強層を有し、補強層の上にバックコート層が形成された構成のものであってよい。あるいは、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の突起処理が施された面に補強層を有し、当該補強層の上に磁性層が形成された構成、または当該補強層の上に下地層および磁性層がこの順に積層された構成のものであってよい。
図1に本発明の磁気記録媒体の断面を模式的に示す。図1には、非磁性支持体(1)の一方の表面に磁性層(2)が形成され、磁性層の上に保護膜(3)が形成され、保護膜(3)の上に潤滑剤層(4)が形成されるとともに、非磁性支持体(5)の他方の面にバックコート層(5)が形成されている、磁気記録媒体(100)が示されている。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
非磁性支持体として、表面に粒状突起を有するポリエステルフィルムを用意した。具体的には、(1)シリカ微粒子を含む高分子材料をフィルムに成形することにより形成された勾配のゆるやかな突起(平均高さ7nm、直径1μm)を100μm当たり数個有し、かつ(2)直径15nmのシリカコロイド粒子が紫外線硬化エポキシ樹脂でポリエステルフィルム表面に固着されて形成された急峻な突起を1mm当り1×10個有するポリエステルフィルムを使用した。本実施例で使用したポリエステルフィルムは、重合触媒の残さに由来する微粒子によってフィルム表面に形成される比較的大きな突起の数が極めて少ないものであった。
ポリエステルフィルムの粒状突起が形成された面に、連続真空斜め蒸着法によりCoから成る強磁性金属薄膜(膜厚100nm)を微量の酸素の存在下で形成した。強磁性金属薄膜中の酸素含有量は原子分率で5%であった。
次に、強磁性金属薄膜の上に、プラズマCVD法によってダイヤモンドライクカーボンから成る厚さ5nmの保護膜を形成した。保護膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、トータルガス圧を39Paに保ちながら、周波数20kHz、電圧1500Vの交流と1000Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印加することにより形成した。さらに、炭素膜上にプロピルアミンガスを導入し、6.5Paの圧力を保った状態で10kHzの高周波プラズマ処理を行ない、炭素膜の表層部に厚さ2.5nmの含窒素プラズマ重合膜を形成した。
続いて、下記化学式(a1)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物を、イソプロピルアルコールとトルエンとの混合有機溶媒(重量比1:1)に溶解して塗布液を調製した。
Figure 2005032366
調製した塗布液をリバースロールコータを用いて保護膜上に湿式塗布法で塗布した後、乾燥処理して溶媒を蒸発させた。最終的に保護膜上には、潤滑剤を表面1mあたり8mg含有する潤滑剤層が形成された。
次いで、非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対側の面(即ち、裏面)に、ポリウレタン、ニトロセルロースおよびカーボンブラックより構成された固形分30%のメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン溶液をリバースロールコータにより塗布して、乾燥後の厚さが約500nmのバックコート層を形成した。その後、これを所定幅に裁断して磁気テープを作製した。
(実施例2〜8)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(a2)〜(a8)で示される化合物をそれぞれ使用して、実施例1と同様の方法で7種類の磁気テープ(実施例2〜8)を作製した。
Figure 2005032366
Figure 2005032366
Figure 2005032366
Figure 2005032366
Figure 2005032366
Figure 2005032366
Figure 2005032366
(実施例9)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(a1)で示される化合物と、化学式(b1)で示される公知の潤滑剤である化合物を重量比で1:1の割合で混合した組成物を潤滑剤として用いて潤滑剤層を形成したことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
Figure 2005032366
(実施例10)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(a1)で示される化合物と、化学式(b2)で示される公知の潤滑剤である化合物を重量比で1:1の割合で混合した組成物を潤滑剤として用いて潤滑剤層を形成したことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
Figure 2005032366
(比較例1)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(c1)で示される公知の潤滑剤である化合物を使用して、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
Figure 2005032366
(比較例2)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(c2)で示される公知の潤滑剤である化合物を使用して、実施例1と同様方法で磁気テープを作製した。
Figure 2005032366
(比較例3)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(b1)で示される公知の潤滑剤である化合物のみを使用して、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
(比較例4)
化学式(a1)で示される化合物に代えて、化学式(b2)で示される公知の潤滑剤である化合物のみを使用して、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
(比較例5)
化学式(a1)で示される化合物を、イソプロピルアルコールとトルエンとの混合有機溶媒(重量比1:1)に代えてイソプロピルアルコールのみに溶解して塗布液を調整し、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
実施例1〜10および比較例1〜5で得られた磁気テープ試料について、それぞれ下記の評価を行った。
(I)走行性試験
各試料を、巻き付け角90°でステンレスのガイドピンに巻き付け、テンション0.2Nの条件で試料を18mm/秒の速度で巻き出し、同じ速度で巻き取り、巻き取り側においてテンションを測定した。巻き取り側のテンションと巻き出し側のテンションとの比からオイラーの式より動摩擦係数を計算して求めた。摩擦係数は巻き出し、巻取りをセットで1パスとし100パス目および1000パス目における摩擦係数を計算した。
(II)スチル寿命試験
スチル寿命は、スチル寿命測定用に改造した市販デジタルVTR(松下電器産業(株)製、商品名NV−DJ1)を用い、3℃、5%RHの環境下で測定した。スチル寿命は初期から出力が6dB低下するまでの時間(分)で示す。
(III)耐久性試験
耐久性は、ヘッド目詰まりにて評価した。RF(高周波)出力測定用に改造した市販デジタルVTR(松下電器産業(株)製、NV−DJ1)を用い、各試料を23℃、60%RHの環境下で100パス、133時間繰り返し再生を行い、再生中のRF出力からヘッド目詰まりを測定した。この繰り返し再生中、RF出力が6dB以上低下したときにヘッド目詰まりが発生したものとし、そのような低下が測定された時間を合計した時間をヘッド目詰まりとした。また、繰り返し再生後の磁気ヘッドを光学顕微鏡を用いて観察し、磁気ヘッドに付着している粉つきを観察した。粉つきは5段階で評価し、粉つきがほとんど見られないレベルを5、粉つきがヘッド面積に対し30%以下であり出力に影響しないレベルを4、粉つきがヘッド面積に対し50%以下であり出力に影響しないレベルを3、粉つきがヘッド面積に対し50%以下であり出力に影響するレベルを2、粉つきがヘッド面積に対し50%以上であるレベルを1とした。
(IV)熱分解性試験
潤滑剤として使用した化合物の熱分解性試験を、熱分析により評価した。より具体的には、各実施例および各比較例(2種類の化合物を使用した実施例9および10除く)で使用した各化合物に対して酸化アルミニウム粉末を10wt%添加した混合物を熱分析装置(SII製:熱重量測定)にて600℃まで昇温させた時の、常圧下での化合物の分解蒸発温度を測定した。ここで、酸化アルミニウム粉末を混合するのは、一般的な磁気ヘッド材料であり、且つルイス酸として作用する酸化アルミニウムが、各化合物の熱分解性に及ぼす影響を調べるためである。なお、酸化アルミニウム粉末を混合させずに、同様にして熱分解性試験を実施したところ、すべての化合物の分解蒸発温度はほぼ同じであった。
各試験の評価結果を表1に示す。
Figure 2005032366
表1から明らかなように、一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物を潤滑剤層に含む実施例1〜10の試料はいずれも、常温常湿および低温低湿等の環境下において、摩擦係数の上昇が少ない、スチル寿命が長い、ヘッド目詰まり時間が短い、酸化アルミニウムの存在下での分解蒸発温度が高い等、走行性試験、スチル寿命試験、耐久性試験、及び熱分解性試験の各試験全てについて良好な結果が得られた。これに対し、比較例1〜4は、概して低い分解蒸発温度を示し、少なくとも1つの試験について良好な結果が得られなかった。これは、磁気ヘッドとの摺動の際に生じる熱および磁気ヘッドを構成する材料のルイス酸としての作用等によって、潤滑剤層に含まれる潤滑剤が分解して、潤滑能が低下したことによると考えられる。比較例5のものは、潤滑剤層の形成の際にイソプロピルアルコールのみを溶媒として用いたために、均一な層が形成されず、その結果、いずれの特性においても劣るものになったと考えられる。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層側表面に位置する潤滑剤層に含まれる潤滑剤が、それと直接的に接触する磁気ヘッドとの相互作用を考慮して、適切に選択されたものである。したがって、本発明の磁気記録媒体は、デジタルビデオテープレコーダやHDD等、磁気ヘッド等と磁気記録媒体とが強く擦り合わされる、磁気記録再生装置に適用できる。
本発明の磁気記録媒体の略断面図である。
符号の説明
1 非磁性支持体
2 磁性層(強磁性金属薄膜)
3 保護膜
4 潤滑剤層
5 バックコート層
100 磁気記録媒体

Claims (5)

  1. 非磁性支持体の上に磁性層として形成された強磁性金属薄膜、磁性層の上に形成された保護膜および保護膜の上に形成された潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、潤滑剤層潤滑剤としてが下記一般式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル系化合物を少なくとも1種含んでなる磁気記録媒体。
    Figure 2005032366
    (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル鎖を示し、Xは−OC(=O)を示し、Yは−R、−OH、−COOH、−COORまたは−OCORを示し、ここでRは脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基であり、a、bおよびcはそれぞれ0〜22の整数であり、dは0または1である。)
  2. 保護膜がダイヤモンドライクカーボンである請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 保護膜が表層部に含窒素プラズマ重合膜を有する炭素膜であり、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、保護膜の上に潤滑剤層を形成する工程が、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗布液を保護膜の上に塗布する工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。

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