JP2002042324A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2002042324A
JP2002042324A JP2000220558A JP2000220558A JP2002042324A JP 2002042324 A JP2002042324 A JP 2002042324A JP 2000220558 A JP2000220558 A JP 2000220558A JP 2000220558 A JP2000220558 A JP 2000220558A JP 2002042324 A JP2002042324 A JP 2002042324A
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magnetic
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JP2000220558A
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English (en)
Inventor
Kenji Kuwabara
賢次 桑原
Yasuhiro Nishizawa
康弘 西澤
Taiji Shinokawa
泰治 篠川
Hisayo Ohata
久代 大畑
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行耐久性等の実用信頼性を向上させた、優
れた電磁変換特性を有する薄手の磁気テープを得る。 【解決手段】 非磁性基板(1)上の一方の面に、強磁性
金属薄膜(2)、炭素膜(3)および潤滑剤層(4)をこの順に
形成し、他方の面に補強層(5)としてステンレス鋼薄膜
を形成して磁気記録媒体全体の剛性を向上させるととも
に、潤滑剤層(4)を、I)分子内にパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロポリエーテル基、およびアルキ
ル基またはアルケニル基を有する含フッ素モノカルボン
酸から選ばれる化合物を含む潤滑剤;あるいはI)群か
ら選ばれる化合物に加えて、II)分子の両末端に極性基
を有するパーフルオロポリエーテル系化合物から選ばれ
る化合物およびIII)分子内に含フッ素有機基を有する
含フッ素カルボン酸エステルから選ばれる化合物を含む
潤滑剤で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度磁気記録に
適した磁気記録媒体ならびにその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記
録、再生機器のデジタル化、小型化、および使用時間の
長時間化等の高性能化に伴い、それに適した高密度磁気
記録媒体の開発が活発に行なわれている。最近では、塗
布型磁気記録媒体に代わって、短波長記録に極めて有利
な金属薄膜型磁気記録媒体が高密度磁気記録媒体として
実用化されている。一般に、金属薄膜型磁気記録媒体と
は、非磁性基板上に記録層として強磁性金属薄膜からな
る磁性層を設け、磁性層上に保護膜および潤滑剤層を設
けたテープおよびディスク等をいう。
【0003】金属薄膜型磁気テープ(「MEテープ」と
も呼ぶ)の中でも特に、コバルト系金属の斜方蒸着膜を
磁性層として非磁性基板(通常、ポリマー基板)上に形
成し、さらに当該磁性層の上に例えばダイヤモンドライ
クカーボン(DLC)で保護膜を形成したものは、電磁
変換特性、保存性、および実用信頼性等において優れた
特性を示すことが知られている。現在、MEテープはデ
ジタル映像記録機器であるDV方式のムービー等に使用
され、また、コンピュータのデータストレージ用テープ
としても用いられている。MEテープの磁性層は真空蒸
着により形成されるため、その厚さは一般に小さい。し
たがって、MEテープは従来の塗布型テープよりもテー
プ全体の厚さが小さいという特徴を有する。この特徴に
より、MEテープは塗布型テープよりも所定寸法のパッ
ケージにより多く装填され得るから、MEテープは上記
の特性に加え、大容量記録を可能にするという利点をも
有する。
【0004】しかし、磁気テープの性能向上に関する要
求は厳しく、MEテープにも更なる改善が必要とされて
いる。例えば、DV方式のムービー等に使用するMEテ
ープは、MEテープを収納するビデオカセットの小型化
に伴い、より小型で、より長時間記録が可能であること
が常に望まれている。また、近年の情報量の増大化に伴
い、データストレージ機器で使用するMEテープに対し
ては更なる大容量化が望まれている。
【0005】これらの要求に応えるために、MEテープ
をより薄くすることが試みられている。MEテープのよ
うな磁気テープの厚さを薄くする最も効果的な方法は、
磁気テープの厚さの多くを占める非磁性基板、即ちポリ
マー基板の厚さを薄くすることである。しかし、非磁性
基板の厚さを小さくすると、剛性が低下しやすく、実用
上、次のような問題が生じる場合がある。
【0006】第1に走行耐久性が十分でないという問題
がある。走行耐久性が十分でないとは、具体的には、テ
ープを繰り返し走行させたときに、テープ折れ、テープ
変形(例えば、テープ幅方向の端部におけるワカメ状の
変形)、およびテープ破断が生じやすいことを意味す
る。走行耐久性が不十分であると再生信号が不安定にな
る傾向にある。
【0007】テープに折れおよび変形等が生じる理由
を、デジタルビデオカメラで磁気テープを走行させる場
合を例に挙げて説明する。デジタルビデオカメラにおい
て、磁気テープはドライブの各種ポストに対して一定の
角度で巻き付けられて走行し、さらに、各種ポストの高
さ方向の位置を規制するために設けられた下側規制ポス
トおよび上側規制ポストの一部に沿って走行する。下側
規制ポストまたは上側規制ポストにおいて、磁気テープ
は、一方の表面ならびに一方の側面(エッジ面)がポス
トと摺動している状態にある。ポストと摺動している面
のうち、側面はポストとの接触面積が極めて小さい。そ
のため、磁気テープの剛性が小さいと、磁気テープはポ
ストとの摺動中に側面に加わる力に対して十分に抗し得
ず、その結果、テープの折れおよび変形等が生じ、最悪
の場合にはテープが破断する。
【0008】第2に、エンベロープ不良が発生するとい
う問題がある。エンベロープ不良は、テープ状の磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの接触状態が不良であることに起
因して生じる。エンベロープ不良は、再生信号の品質低
下をもたらす。
【0009】これらの問題を回避する方法の1つとし
て、剛性の大きいポリマー基板を使用することが挙げら
れる。通常、ポリマー基板としてはポリエチレンテレフ
タレートのフィルムを使用する場合が多い。これを、例
えば、剛性のより大きいポリエチレンナフタレートまた
はポリアミドのフィルムとすることで、厚さを小さくす
ることが可能となる。例えば、デジタルビデオカメラ用
のMEテープを製造する場合、ポリエチレンテレフタレ
ートを基板として用いると、テープの全厚は7μm程度
となり、所定寸法のパッケージに60分記録が可能な長
さのテープを収容できる。一方、ポリエチレンナフタレ
ートまたはポリアミドを基板として用いると、テープの
全厚は5.4μm程度となるため、同寸法のパッケージ
に80分記録が可能な長さのテープを収容できる。
【0010】このように、非磁性基板の素材を適宜選択
することによって、テープをある程度薄くし得るが、更
に薄い磁気テープを提供することを目的として、あるい
は曲げ剛性は小さいがコスト的に有利な汎用素材から成
るポリマー基板を用いて薄い磁気テープを製造すること
を目的として、非磁性基板の磁性層が形成されている面
とは反対側の面に、補強層(バックコート層とも称され
る)を形成して剛性を確保することが予てより提案され
ている。例えば、特開平10−27328号公報では、
非磁性基板の一方の面に強磁性金属薄膜層が形成され、
他方の面にAl、Si等からなるバックコート層を設け
た磁気記録媒体が提案されている。特開平11−283
234号公報では、非磁性基板の一方の面に強磁性金属
薄膜層が形成され、他方の面にCu、Al、Ni、Cr
およびこれらの合金から成る金属薄膜等を設けた磁気記
録媒体が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このようにテープ状の
磁気記録媒体をより薄くするために、予てより種々の手
段が提案および採用されている。しかしながら、先にも
述べたように、磁気記録媒体の性能向上は常に望まれて
おり、従来の磁気テープに対しては、特に磁気テープの
変形、即ち走行耐久性の点において一層の改善が望まれ
ている。
【0012】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
であり、薄型化され、かつ、優れた走行性耐久性および
電磁変換特性を有する磁気記録媒体およびその製造方法
を提供することを課題とする。この課題を解決するため
の手段を以下に説明する。
【0013】以下の説明を含む本明細書において、磁気
記録媒体の構成に関して、磁気記録媒体を構成する各層
の「表面」とは、各層が形成されたときに露出している
面、即ち、各層の非磁性基板から遠い側の面を意味す
る。磁気記録媒体の構成に関して、磁気記録媒体を構成
する各層の「上」というときもまた、特に断りのない限
り、各層の非磁性基板から遠い側の面を意味し、反対
に、各層の「下」というときは各層の非磁性基板に近い
側の面を意味する。したがって、例えば、「磁性層の上
に」というときは、「磁性層の非磁性基板から遠い側の
面に隣接する位置に」を意味し、「磁性層の下に」とい
うときは、「磁性層の非磁性基板に近い側の面に隣接す
る位置に」を意味する。
【0014】また、磁気記録媒体の「磁性層側表面」お
よび「補強層側表面」とは、それぞれ非磁性基板の2つ
の面を基準としたときに磁性層および補強層が形成され
た側の磁気記録媒体の露出表面をいう。したがって、例
えば、非磁性基板の一方の面に形成された磁性層の上に
炭素膜および潤滑剤層が形成されている場合には、潤滑
剤層の露出表面が「磁性層側表面」に相当する。非磁性
基板の他方の面に形成された補強層の上に別の層(例え
ば潤滑剤層)が形成されているときは、その別の層の露
出表面が「補強層側表面」に相当する。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、非磁性基板の一方の面に磁性層が形成さ
れ、非磁性基板の他方の面に補強層が形成されて成る磁
気記録媒体であって、補強層がステンレス鋼薄膜である
磁気記録媒体を提供する。
【0016】本発明の磁気記録媒体は、その補強層がス
テンレス鋼薄膜であることを特徴とする。ステンレス鋼
薄膜は剛性および靭性が大きいため、磁気記録媒体にお
いて優れた補強効果を奏する。具体的には、ステンレス
鋼薄膜が存在することによって磁気記録媒体の曲げ剛性
および捩り剛性が大きくなるので、走行中、磁気記録媒
体を変形させようとする力(例えば、曲げようとする
力)が加えられても、その力に抗し得る。その結果、例
えば、磁気記録媒体が上側または下側規制ポストに沿っ
て進行し、その側面に大きな力が加わる場合でも、磁気
記録媒体に変形や折れが生じにくくなり、それらに起因
する走行耐久性の低下が有効に抑制される。さらに、磁
気記録媒体の曲げ剛性および捩り剛性が大きくなること
によって磁気記録媒体と磁気ヘッドとの当たりが良好と
なるので、本発明の磁気記録媒体は優れたエンベロープ
特性を示す。
【0017】ステンレス鋼薄膜は広範囲な環境条件下で
不動態化する。これはステンレス鋼の主要成分のFe、
Cr、Niがいずれも不動態化し、しかも各不動態化領
域が異なることによる。各成分は補い合って広範囲の不
動態化領域を形成し(即ち、ステンレス鋼が不動態化す
る環境条件の範囲を広くし)、その結果、ステンレス鋼
は種々の環境条件において優れた耐食性を示す。不動態
化したステンレス鋼薄膜の表面には酸化物が生成され、
その厚さは1.5nm〜10nmと推定される。ステンレス
鋼は、特別な処理を施さなくとも自然に不動態化する。
不動態化したステンレス鋼には、後述するカルボキシル
基を有する潤滑剤が吸着しやすいので、不動態化したス
テンレス鋼薄膜である補強層の上に潤滑剤層を形成すれ
ば、磁気記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【0018】ステンレス鋼薄膜はさらに非磁性体である
ことを要する。ステンレス鋼薄膜が磁性体であると、磁
性層の磁性に悪影響を及ばす場合があり好ましくない。
【0019】ステンレス鋼薄膜を構成するステンレス鋼
は、常套のステンレス鋼、例えば、オーステナイト系、
マルテンサイト系およびフェライト系ステンレス鋼から
適宣選択される。ステンレス鋼は、具体的には、C(炭
素)に加えてCrを含み、さらに必要に応じてNi、M
n、Mo、SiおよびPから選択される1または複数の
成分を含む。Crの添加率は一般に10〜30重量%、
Niの添加率は0〜23重量%である。本発明において
は、磁気記録媒体の走行安定性および耐食性の点からC
rおよびNiを含む非磁性オーステナイト系ステンレス
鋼が特に好ましく用いられる。
【0020】ステンレス鋼薄膜の厚さは0.05〜1.
0μmであることが好ましい。ステンレス鋼薄膜の厚さ
が0.05μm未満であると補強効果を得ることができ
ず、1.0μmを超えるとクラックが生じやすくなる。
【0021】本発明の磁気記録媒体は金属薄膜型磁気記
録媒体に好ましく適用できる。したがって、本発明の磁
気記録媒体において磁性層は強磁性金属薄膜であること
が好ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の上に形
成された炭素膜および炭素膜の上に形成された潤滑剤層
を更に有することが好ましい。炭素膜は保護層として磁
性層を保護し、潤滑剤層は磁気記録媒体の走行性を向上
させる。潤滑剤層は補強層の上にも形成されていること
が更に好ましい。補強層の上に潤滑剤層が形成された磁
気記録媒体は、走行性がより向上したものとなる。
【0023】本発明の磁気記録媒体は、少なくとも1つ
の潤滑剤層が分子内にパーフルオロアルキル基またはパ
ーフルオロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケ
ニル基とを有する、一般式(a)および(b)で示され
る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む
潤滑剤:
【化9】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
または1である)
【化10】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
cは0〜20の整数であり、dは0または1である)を
含んで成るものであることが好ましい。
【0024】「少なくとも1つの潤滑剤層」とは、炭素
膜の上にのみ潤滑剤層が形成されている場合には、その
潤滑剤層を、炭素膜および補強層の両方に潤滑剤層が形
成されている場合には、いずれか一方の潤滑剤層または
両方の潤滑剤層を示し、好ましくは両方の潤滑剤層を示
す。炭素膜の上に形成された潤滑剤層が上記一般式
(a)で示される化合物および一般式(b)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤
滑剤を含んで成る場合、潤滑剤層の炭素膜への付着強度
が向上し、かつ優れた潤滑性能が磁気記録媒体に付与さ
れる。補強層の上に形成された潤滑剤層が上記一般式
(a)で示される化合物および一般式(b)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む場
合、磁気記録媒体の潤滑性能がさらに向上する。本発明
の磁気記録媒体においては補強層が不動態化したステン
レス鋼薄膜であるため、一般式(a)および(b)で示
されるカルボキシル基を有する化合物を使用すれば、潤
滑剤層と補強層との間の付着強度を大きくすることがで
きる。
【0025】あるいは、本発明の磁気記録媒体は、少な
くとも1つの潤滑剤層が、 I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
ロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル基と
を有する、上記一般式(a)および(b)で示される化
合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物; II)分子内にパーフルオロポリエーテル鎖を有し、一般
式(c)、(d)および(e)で示される化合物から選
ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびに III)一般式(f)で示される化合物から選ばれる少な
くとも1種類の化合物をむ潤滑剤:
【化11】 (式中、e、gは1以上の整数である)
【化12】 (式中、i、jは1以上の整数である)
【化13】 (式中、k、mは1以上の整数であり、R6は炭素数4
〜22のアルキル基である)
【化14】 (式中、R7は含フッ素有機基を示し、R8はアルキル基
またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
る)を含んで成るものであることが好ましい。
【0026】この潤滑剤は、 I)一般式(a)および(b)で示される含フッ素モノ
カルボン酸から選択される少なくとも1種類の化合物に
加えて、 II)極性基が両末端に結合したパーフルオロポリエーテ
ル系化合物、即ち、一般式(c)で示される両末端に水
酸基が結合したパーフルオロポリエーテル系化合物、一
般式(d)で示される両末端にカルボキシル基が結合し
たパーフルオロポリエーテル系化合物、および一般式
(e)で示される両末端にアシルオキシル基が結合した
パーフルオロポリエーテル系化合物から選択される少な
くとも1種類の化合物;ならびに III)一般式(f)で示される含フッ素カルボン酸エス
テルから選択される少なくとも1種の化合物 を含む潤滑剤組成物であるといえる。I)群から選択さ
れる化合物に加えて、II)群およびIII)群からそれぞ
れ選択される化合物を潤滑剤の構成成分とすることによ
り、I)群から選択される化合物のみを含む潤滑剤と比
較して、磁気記録媒体を使用している間に飛散する潤滑
剤の量が少なくなるという利点がもたらされる。
【0027】「少なくとも1つの潤滑剤層」の意味は先
に説明したとおりである。炭素膜の上に形成された潤滑
剤層が上記特定の潤滑剤を含む場合、潤滑剤層のその下
に位置する炭素膜への付着強度が向上し、かつ優れた潤
滑特性が磁気記録媒体に付与される。そしてこれらの相
乗効果により、電磁変換特性が損なわれることなく向上
した走行耐久性を有し、また、使用中の潤滑剤の飛散が
極めて少ない、実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られ
る。補強層の上に形成された潤滑剤層が上記潤滑剤を含
む場合、補強層である不動態化したステンレス鋼薄膜に
潤滑剤が強固に付着し、かつ優れた潤滑特性が磁気記録
媒体に付与される。したがって、炭素膜の上に形成され
た潤滑剤層との相乗効果により、さらに走行耐久性が向
上し、また、使用中の潤滑剤の飛散がさらに少ない、よ
り実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0028】本発明の磁気記録媒体の好ましい態様にお
いては、炭素膜がその表層部に含窒素プラズマ重合膜を
有し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形
成されている。含窒素プラズマ重合により炭素膜の表層
部にアミノ基が存在することとなり、その結果、潤滑剤
層と炭素膜の間の付着強度がより大きくなり、磁気記録
媒体の耐久性がより向上することとなる。さらに、潤滑
剤層が上記特定の含フッ素化合物を含有する場合には、
含窒素プラズマ重合膜と潤滑剤層とが相俟って、電磁変
換特性が損なわれることなく走行耐久性が向上した、優
れた潤滑特性を有する磁気記録媒体の提供を可能にす
る。かかる磁気記録媒体は、その実用信頼性が極めて高
いものである。
【0029】本発明の磁気記録媒体の好ましい態様にお
いて、非磁性基板は長尺状であり、その厚さは5μm未
満、その長手方向(長尺物の巻取り方向に相当)および
幅方向のヤング率はそれぞれ5.0GPa以上および
9.3GPa以上である。長尺状の非磁性基板の長手方
向および幅方向のヤング率は、それぞれ非磁性基板の長
手方向(「長さ方向」とも呼ぶ)および幅方向を引っ張
り方向として引張試験し、次の式に基づいて算出でき
る。
【数1】E=(W・L)/(A・△l) (式中、Eはヤング率(Pa)、Wは弾性限内の荷重
(N)、Lは引張試験前の標線間距離(m)、Aは試料
の引張試験前の断面積(m2)、△lは荷重Wにおける
標線間伸び(m)を示す)
【0030】非磁性基板の厚さが5μmを超えると、得
られる磁気記録媒体は十分に薄型化されたものであると
はいえない。また、非磁性基板のヤング率を上記のよう
に規定することにより、磁気記録媒体の長手方向および
幅方向の機械的強度が向上する。その結果、磁気記録媒
体の変形が有効に抑制されて走行耐久性が向上する。こ
れらの厚さおよびヤング率の条件を満たす非磁性基板と
しては、例えば、ポリエチレンナフタレートまたはポリ
アミドから成るフィルムがある。
【0031】さらに、本発明は、少なくとも1つの潤滑
剤層が上記特定の潤滑剤を含んで成る磁気記録媒体の製
造方法を提供する。「少なくとも1つの潤滑剤層」の意
味は先に説明したとおりである。
【0032】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上記
特定の潤滑剤を用いて、炭素膜および/または補強層の
上に潤滑剤層を形成する工程に特徴を有する。それ以外
の製造工程は、従来から磁気記録媒体の製造に用いられ
ている工程であってよい。本発明の製造方法における潤
滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶
媒との混合有機溶媒に上述の特定の潤滑剤を溶解して調
製した塗布液を、相対湿度が10〜40%の範囲内にあ
る環境下において炭素膜および/または補強層上に塗布
し、混合有機溶媒を乾燥させる工程を含むことを特徴と
する。
【0033】炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合
有機溶媒を用い、潤滑剤を含む塗布液を特定の湿度条件
下で塗布することにより、潤滑剤層と炭素膜との間の付
着強度が向上し、かつ塗布ムラが極めて少ない均一な薄
い潤滑剤層が形成され得る。よって本発明の製造方法に
よれば、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高い磁気
記録媒体を得ることが可能である。
【0034】上記本発明の製造方法において、炭化水素
系溶媒とアルコール系溶媒との混合割合は重量比で1:
9〜9:1の範囲内にあることが好ましい。この範囲で
両者を混合することは、塗布ムラを極力少なくすること
を可能とし、またコスト面でも有利である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体
の一態様である金属薄膜型磁気テープの断面図である。
この磁気テープ(10)は、非磁性基板(1)の一方の面
に磁性層(2)としての強磁性金属薄膜、炭素膜(3)
および潤滑剤層(4)がこの順に形成され、他方の面に
ステンレス鋼薄膜から成る補強層(5)が形成されたも
のである。したがって、その構造は、下から順に補強層
(5)、非磁性基板(1)、磁性層(2)、炭素膜
(3)および潤滑剤層(4)が積層された構造となって
いる。
【0036】本発明の磁気記録媒体は、補強層(5)が
ステンレス鋼薄膜であることを特徴とする。ステンレス
鋼薄膜は非磁性オーステナイト系ステンレス鋼から成る
薄膜であることが好ましい。ステンレス鋼薄膜を構成す
るのに適したステンレス鋼は、具体的には、SUS30
3、SUS301、SUS302、SUS304、SU
S305J1、SUS308、SUS350、SUS3
16、SUS317等である。
【0037】ステンレス鋼薄膜は、複数種のステンレス
鋼が混合した形態であってよい。また、ステンレス鋼薄
膜は、単層膜の形態(複数種のステンレス鋼が混合した
単層膜を含む)であってもよく、あるいは複数種の膜が
積層された形態であってもよい。いずれの形態をとる場
合も、ステンレス鋼薄膜の厚さは0.05〜1.0μm
であることが好ましく、0.07μm〜0.5μmであ
ることがより好ましい。
【0038】ステンレス鋼薄膜は、ステンレス鋼に所定
範囲の入射角で電子ビームを照射して蒸発させ、これ
を、キャン状回転体またはベルト状支持体等の冷却回転
支持体に沿って移動する非磁性基板上に蒸着させて形成
することができる。それ以外にも、例えば、抵抗加熱法
もしくは外熱るつぼ法等で加熱して実施する蒸着、イオ
ンプレーティングもしくはスパッタリング等によりステ
ンレス鋼薄膜を形成できる。
【0039】具体的な蒸着条件は、るつぼの大きさおよ
びライン速度等に応じて適宜設定される。例えば、50
0mm幅の非磁性基板を30〜80m/分の速度で移動さ
せる場合は、圧力が1.33×10-2〜1.33×10
-4Pa(10-4〜10-6Torr)である真空槽内にて、70
kWの電子ビームを照射して蒸着を実施するとよい。
【0040】ステンレス鋼薄膜から成る補強層(5)の
表面には、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリエス
テル、カーボンおよび炭酸カルシウム等から選ばれる1
もしくは複数の材料から成るバックコート層を更に形成
してもよい。その厚さは約500nmとすることが好まし
い。バックコート層は、例えば、前記材料を適当な溶媒
(例えば、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒)
に溶解および分散させた塗布液を補強層に塗布した後、
乾燥して溶媒を蒸発させる湿式塗布法により形成でき
る。
【0041】図示した態様の磁気記録媒体においては、
磁性層の上に炭素膜(3)および潤滑剤層(4)が形成
されている。潤滑剤層(4)は、一般式(a)および
(b)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種類
の化合物を含む潤滑剤:
【化15】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
または1である)
【化16】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
cは0〜20の整数であり、dは0または1である)を
含んで成ることが好ましい。
【0042】あるいは、潤滑剤層(4)は、I)上記一
般式(a)および(b)で示される化合物から選ばれる
少なくとも1種類の化合物; II)下記一般式(c)、(d)および(e)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならび
に III)下記一般式(f)で示される化合物から選ばれる
少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤:
【化17】 (式中、e、gは1以上の整数である)
【化18】 (式中、i、jは1以上の整数である)
【化19】 (式中、k、mは1以上の整数であり、R6は炭素数4
〜22のアルキル基である)
【化20】 (式中、R7は含フッ素有機基を示し、R8はアルキル基
またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
る)を含んで成ることが好ましい。
【0043】3種類の含フッ素化合物を含む上記潤滑剤
において、第I群、即ち、一般式(a)および(b)で
示される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合
物;第II群、即ち、一般式(c)、(d)および(e)
で示される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合
物;ならびに第III群、即ち、一般式(f)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物は、モル
比で1〜7:1〜7:1〜7の範囲で混合されることが
好ましく、2〜5:1〜3:3〜6の範囲で混合される
ことがより好ましい。
【0044】潤滑剤組成物において、第I群から選ばれ
る化合物の占める割合が小さいと磁気記録媒体の潤滑性
能が低下するおそれがある。第II群から選ばれる化合物
の占める割合が小さいと、潤滑剤層の炭素膜への付着強
度が低下するおそれがある。第III群から選ばれる化合
物の占める割合が小さいと、磁気記録媒体の潤滑性能が
低下し、また、潤滑剤層の炭素膜への付着強度が低下す
るおそれがある。
【0045】潤滑剤層は補強層の上にも形成してよい。
図2に、補強層(5)の上に潤滑剤層(6)が形成され
た磁気記録媒体(20)の態様を図2に示す。図2におい
て、図1で使用された符号と同じ符号は、図1において
それらが表す要素と同じ要素を表す。
【0046】補強層の上に形成される潤滑剤層もまた、
炭素膜の上に形成される潤滑剤層と同様、 1)上記一般式(a)および(b)で示される化合物か
ら選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤、あ
るいは、 2)I)上記一般式(a)および(b)で示される化合
物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;II)上記一
般式(c)、(d)および(e)で示される化合物から
選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびにIII)上
記一般式(f)で示される化合物から選ばれる少なくと
も1種類の化合物を含む潤滑剤を含んで成るものである
ことが好ましい。
【0047】以下に、上記一般式(a)〜(f)で示さ
れる化合物について説明する。 一般式(a):
【化21】 で示される化合物は一つのカルボキシル基を有する含フ
ッ素カルボン酸モノエステルともいえるものである。こ
の化合物は、例えば、コハク酸のようなジカルボン酸に
含まれる二つのカルボキシル基のうち、一つのカルボキ
シル基をエステルにすることにより得られる。
【0048】一般式(a)において、R1はアルキル基
またはアルケニル基であり、R2はパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロポリエーテル基である。aは通
常0〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数で
ある。bは0または1である。
【0049】一般式(a)におけるR1の炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を超
える場合には、磁気記録媒体の潤滑性が低下することが
ある。R1は、直鎖状であっても、枝分かれしたもので
あってもよい。
【0050】R2がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は6〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。R2は、直鎖状であっ
ても、枝分かれしたものであってもよい。R2がパーフ
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000程度であることが好ましく、約300〜
約4000であることがより好ましい。分子量が200
未満である場合または6000を超える場合には、磁気
記録媒体の潤滑性および保存信頼性が低下する場合があ
る。
【0051】R2がパーフルオロポリエーテル基である
場合、そのパーフルオロポリエーテル基は、下記の一般
式(g)、(h)および(i)のいずれかで示されるも
のであることが好ましい。下記のパーフルオロポリエー
テル基を有する化合物が潤滑剤に含まれることにより、
この潤滑剤が金属薄膜型磁気記録媒体の潤滑剤層に含ま
れる場合には、潤滑剤層の炭素膜への付着強度がより向
上し、かつより優れた潤滑特性が磁気記録媒体に付与さ
れる。そしてこれらの相乗効果により、電磁変換特性が
損なわれることなく向上した走行耐久性を有し、また、
使用中の潤滑剤の飛散が極めて少ない、実用信頼性の高
い磁気記録媒体が得られる。
【0052】一般式(g):
【化22】 においてqは1以上の整数である。
【0053】一般式(h):
【化23】 においてrおよびtは1以上の整数である。
【0054】一般式(i):
【化24】 において、R9はパーフルオロアルキル基を示し、uは
1〜6の整数であり、vは1〜30の整数である。v
は、より好ましくは1〜8である。R9の炭素数は、1
〜30であることが好ましく、1〜8であることがより
好ましい。また、R 9は、直鎖状であっても、枝分かれ
したものであってもよい。
【0055】一般式(g)、(h)および(i)におけ
るq、r、t、uおよびvが上記の範囲外であると、こ
の化合物を含む潤滑剤が磁気記録媒体の潤滑剤層に含ま
れる場合に当該磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼性
が低下することがある。また、q、r、t、uおよびv
ならびにR9の炭素数は、パーフルオロポリエーテル基
の分子量が上述の好ましい範囲、すなわち約200〜約
6000程度、より好ましくは約300〜約4000の
範囲内にあるように、適宣選択することが好ましい。
【0056】一般式(b):
【化25】 で示される化合物において、R3はアルキル基またはア
ルケニル基であり、R4はパーフルオロアルキル基また
はパーフルオロポリエーテル基である。R5は酸素原子
または硫黄原子である。cは通常0〜20の整数であ
り、好ましくは1〜10の整数である。dは0または1
である。
【0057】一般式(b)におけるR3の炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を超
える場合には、磁気記録媒体の潤滑性が低下することが
ある。R3は直鎖状であっても、枝分かれしたものであ
ってもよい。
【0058】R4がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。R4は直鎖状であって
も、枝分かれしたものであってもよい。R4がパーフル
オロポリエーテル基である場合、その分子量は約200
〜約6000程度であることが好ましく、約300〜約
4000であることがより好ましい。分子量が200未
満である場合または6000を超える場合には、磁気記
録媒体の潤滑性および保存信頼性が低下する場合があ
る。
【0059】R4がパーフルオロポリエーテル基である
場合には、一般式(a)におけるR2と同様、R4は上記
一般式(g)、(h)および(i)のいずれかで示され
る基であることが好ましい。一般式(g)、(h)およ
び(i)については先に一般式(a)に関連して説明し
たとおりであり、ここではその説明を引用することによ
り、詳細な説明を省略する。
【0060】次に、両末端に極性基を有するパーフルオ
ロポリエーテル系化合物について説明する。
【0061】一般式(c):
【化26】 で示される化合物は、分子の両末端に水酸基を有する。
【0062】一般式(c)において、eおよびgはいず
れも1以上の整数である。また、eおよびgは、分子内
のパーフルオロポリエーテル鎖、即ち、−CF2O(C2
4O)e(CF2O)gCF2−の分子量が、好ましくは
約200〜約6000程度、より好ましくは約300〜
4000の範囲内にあるように選択される。分子量が2
00未満である場合または6000を超える場合には、
磁気記録媒体の潤滑性及び保存信頼性が低下する場合が
ある。
【0063】一般式(d):
【化27】 で示される化合物は、分子の両末端にカルボキシル基を
有する。
【0064】一般式(d)において、iおよびjはいず
れも1以上の整数である。また、iおよびjは、分子内
のパーフルオロポリエーテル鎖、即ち、−CF2O(C2
4O)i(CF2O)jCF2−の分子量が、好ましくは
約200〜約6000程度、より好ましくは約300〜
4000の範囲内にあるように選択される。この範囲の
分子量が好ましい理由は先に一般式(c)に関して説明
したとおりである。
【0065】一般式(e):
【化28】 で示される化合物は、分子の両末端にアシルオキシル基
を有する。
【0066】一般式(e)において、kおよびmはいず
れも1以上の整数である。R6は炭素数4〜22のアル
キル基であり、より好ましくは炭素数12〜22のアル
キル基である。R6は直鎖状であっても、枝分かれした
ものであってもよい。kおよびmは、分子内のパーフル
オロポリエーテル鎖、即ち、−CF2O(C24O)
k(CF2O)mCF2−の分子量が、好ましくは約200
〜約6000程度、より好ましくは約300〜4000
の範囲内にあるように選択される。この範囲の分子量が
好ましい理由は先に一般式(c)に関して説明したとお
りである。
【0067】一般式(c)、(d)および(e)で示さ
れる化合物は、一般式(c)におけるeおよびg、一般
式(d)におけるiおよびj、ならびに一般式(e)に
おけるkおよびmが、上記の条件を満たす限りにおい
て、従来公知の、または市販されているパーフルオロポ
リエーテル系化合物であってよく、あるいはそれを所定
の化学反応に付して得たものであってよい。例えば、一
般式(c)で示される化合物として、Ausimont社製のFo
mblin Z DOLがあり、一般式(d)で示される化合物と
して、Ausimont社製のFomblin Z DIACがある。また、一
般式(e)で示される化合物は、前記のAusimont社製の
Fomblin Z DOLと、R6COOHで示されるカルボン酸と
をエステル化反応させることにより得られる。
【0068】次に一般式(f)で示される含フッ素カル
ボン酸エステルについて説明する。
【0069】一般式(f):
【化29】 において、R7は含フッ素有機基を示し、R8はアルキル
基またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
る。
【0070】ここで、「含フッ素有機基」とは、有機基
の水素の1又は複数がフッ素原子で置換されたものをい
う。R7は、好ましくは、フルオロアルキル基、フルオ
ロアルケニル基、フルオロエーテル基、またはフルオロ
ポリエーテル基であり、より好ましくは、パーフルオロ
アルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロ
エーテル基、またはパーフルオロポリエーテル基であ
る。R7の炭素数は4〜14であることが好ましく、6
〜12であることがより好ましい。R7は、直鎖状であ
っても、枝分かれしたものであってもよい。
【0071】一般式(f)においてnは1〜6であるこ
とがより好ましい。R8の炭素数は8〜22であること
が好ましく、12〜18であることがより好ましい。R
8は、直鎖状であっても、枝分かれしたものであっても
よい。
【0072】炭素膜の上に形成される潤滑剤層は、一般
式(a)〜(f)で示される化合物以外の成分、例え
ば、防錆剤、または従来公知の潤滑剤を含む潤滑剤で形
成してよい。その場合、一般式(a)〜(f)で示され
る化合物以外の成分が占める割合は、潤滑剤の全量中、
20重量%未満であることが好ましく、10重量%未満
であることがより好ましい。20重量%以上であると、
良好な潤滑特性を磁気記録媒体に付与することができな
い場合がある。
【0073】補強層の上に形成される潤滑剤層もまた、
一般式(a)〜(f)で示される化合物以外の成分を含
む潤滑剤で形成してよい。それが占める好ましい割合は
炭素膜の上に形成される潤滑剤層に関して説明した割合
と同一である。
【0074】潤滑剤層(4)中には、上記特定の含フッ
素化合物を含む潤滑剤が潤滑剤層の表面1m2当たり
0.1〜50mg含まれることが好ましく、0.5〜5
mg含まれることがより好ましい。潤滑剤層にこのよう
な少量の化合物を均一に存在させるために、潤滑剤層
(4)は次の方法で形成することが望ましい。
【0075】潤滑剤層(4)は、常套の材料および手段
を用いて非磁性基板(1)の上に強磁性金属薄膜(2)
および炭素膜(3)をこの順に形成した後、炭素膜
(3)上に形成する。潤滑剤層(4)の形成工程は、潤
滑剤を炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合有機溶
媒に溶解して塗布液を調製し、これを相対湿度が10〜
40%の範囲内にある環境下で炭素膜(3)に塗布する
工程を含む。
【0076】本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例
えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等
であり、本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアル
コールおよびイソプロピルアルコール等の低級アルコー
ルである。混合有機溶媒は、具体的には、トルエンとイ
ソプロピルアルコールの混合溶媒、ヘキサンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒、またはヘプタンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒であることが好ましい。アル
コール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが生じやす
く、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎると不経済
であるため、両者は混合割合が重量比で1:9〜9:1
の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲となるように
混合して使用することが好ましい。
【0077】塗布液の濃度および塗布厚は、溶媒が蒸発
した後に炭素膜(3)上に形成される潤滑剤層(4)の
厚さが所望の厚さになるように塗布する。一般には、潤
滑剤の濃度が100ppm〜4000ppmである塗布液を、
1μm〜50μmの厚みで塗布することが好ましい。
【0078】塗布液は、相対湿度が10〜40%の範囲
内にある環境下で塗布することが好ましい。相対湿度が
10%未満では静電気が発生しやすく、また、そのよう
な湿度の環境を作るための設備に費用がかかるという問
題があり、相対湿度が40%を超えると塗布ムラが生じ
やすくなるという問題がある。
【0079】潤滑剤層(4)は潤滑剤の種類等に応じて
最適膜厚が決定され、その厚さは一般に3〜5nmであ
る。塗布方法はバーコーティング法、グラビアコーティ
ング法、リバースロールコーティング法、ダイコーティ
ング法、ディピッング法またはスピンコート法等の湿式
塗布法あるいは有機蒸着法のいずれを採用してもよい。
【0080】塗布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶
媒を蒸発させると、炭素膜(3)上に潤滑剤の層(4)
が形成される。乾燥処理は加熱することにより、または
自然乾燥によって実施することができる。そして、最終
的に得られる潤滑剤層の厚さは3〜5nm程度とすること
が好ましい。ただし、潤滑剤の組成等に応じて潤滑剤層
の厚さの最適範囲が存在するため、潤滑剤層の厚さは必
ずしもこの範囲に限定されるものではない。
【0081】このように、特定の混合有機溶媒を用いて
所定の相対湿度下で潤滑剤層を形成することにより、塗
布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶
媒が最終的に蒸発した後には数nmという非常に薄い潤滑
剤層を形成させることができる。その結果、優れた潤滑
性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られ
る。
【0082】補強層(5)の上に形成される潤滑剤層
(6)中に含まれる、上記特定の含フッ素化合物を含む
潤滑剤の好ましい量は、潤滑剤(4)のそれと同じであ
る。したがって、潤滑剤層(6)もまた、潤滑剤層
(4)と同様の方法で形成することが好ましい。
【0083】磁気記録媒体が磁気テープであって、磁性
層側表面に潤滑剤層が形成されている場合、製造中に磁
気テープが巻回されると、潤滑剤層および補強層が互い
に接触し、それにより磁性層側表面の潤滑剤が補強層表
面に付着することがある。特に、本発明の磁気記録媒体
のように、補強層が表面に酸化物層を有する不動態化し
たステンレス鋼薄膜である場合には、潤滑剤層に含まれ
る潤滑剤が補強層表面に固着しやすい。そのような場
合、潤滑剤層は、独立した潤滑剤層形成工程(例えば先
に述べた湿式塗布工程)によらずに、補強層の上に形成
されることとなる。
【0084】続いて、本発明の磁気記録媒体を構成する
非磁性基板(1)、磁性層(2)および炭素膜(3)に
ついて説明する。
【0085】本発明の磁気記録媒体においては非磁性基
板(1)の一方の面に補強層(5)を形成するため、厚
さの小さい非磁性基板(1)を使用することができる。
非磁性基板の厚さは、好ましくは5.0μm以下であ
る。
【0086】非磁性基板が長尺状である場合において、
その長手方向のヤング率は好ましくは5.0GPa以上で
あり、幅方向のヤング率は好ましくは9.3GPa以上で
ある。そのようなヤング率を有する長尺状の非磁性基板
を用いれば、磁気記録媒体の機械的強度を向上させるこ
とができる。
【0087】上記の厚さおよびヤング率等を有する非磁
性基板としては、具体的には、ポリエチレンナフタレー
トから成るフィルム、およびポリアミドから成るフィル
ムがある。
【0088】非磁性基板は、それらに限定されるもので
はなく、最終的に得ようとする製品に必要な機械的強度
等に応じて任意に選択することができる。例えば、ポリ
エチレンテレフタレートから成るフィルムまたはポリイ
ミドから成るフィルム、あるいはアルミ基板またはガラ
ス基板を使用してもよい。
【0089】非磁性基板(1)の磁性層(2)が形成さ
れる面(即ち、磁性層(2)と接する側の面)には、実
用信頼性と良好なRF出力を両立するために、直径50
〜700nm、高さ5〜70nmの突起形成処理が施されて
いることが好ましい。突起は、具体的には、例えば、S
iO2、ZnO等の無機物質から成る超微粒子、あるい
はイミド等の有機物質から成る超微粒子を非磁性基板の
表面に分散し固着させることにより形成され、あるい
は、そのような微粒子を含む高分子材料をフィルムに成
形することにより形成される。
【0090】磁性層(2)は強磁性金属薄膜であること
が好ましい。強磁性金属薄膜は常套の材料および方法で
形成することができる。
【0091】磁性層に適した強磁性金属としては、Fe
系金属、Co系金属、およびNi系金属がある。本発明
においてはCo系金属で磁性層を形成することが特に好
ましい。ここで、「Co系金属」とは、コバルト、およ
びコバルトを主成分として好ましくは50原子%以上含
む合金をいう。「Fe系金属」および「Ni系金属」も
同様である。
【0092】強磁性金属薄膜は、具体的には、Fe、C
oおよびNi、ならびにCo−Ni、Co−Fe、Co
−Cr、Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−
Sn、Co−Au、Fe−Cr、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni
−Cr、Co−Pt−CrおよびFe−Co−Ni−C
r等の合金から選択される1または複数の材料で形成さ
れる。強磁性金属薄膜は酸素を含んでいてよく、酸素は
これらの金属または合金の酸化物の形態で含まれていて
よい。強磁性金属薄膜は、単層膜の形態であってもよ
く、あるいは多層膜の形態であってもよい。
【0093】強磁性金属薄膜はイオンプレーティング
法、スパッタリング法または電子ビーム蒸着法等で形成
することができる。強磁性金属薄膜を酸素雰囲気下で形
成すれば、強磁性金属薄膜には酸素が含まれることとな
る。強磁性金属薄膜の厚さは50nm〜300nmが一般的
である。
【0094】炭素膜(3)は、ビッカース硬度が約2.
45×104N/mm2(約2500kgf/mm2)と高く、保
護層として、磁気記録媒体のダメージを潤滑剤層(4)
と共に防止する。実用信頼性と出力とのバランスを考慮
すれば、その厚さは10〜20nmであることが好まし
い。炭素膜(3)もまた、公知の材料および方法を用い
て形成することができ、例えば、炭化水素ガスのみ、あ
るいは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用いた
プラズマCVD法により形成できる。
【0095】具体的には、真空容器中に炭化水素ガスま
たは炭化水素ガスとアルゴン等の不活性ガスの混合ガス
を導入し、容器内の圧力を1.33×10-1〜1.33
×102Pa(0.001〜1Torr)に保った状態で真空
容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガスのプラズマを
発生させて炭素膜(3)を磁性層(2)上に形成させ
る。放電形式は外部電極方式および内部電極方式のいず
れでもよく、放電周波数は実験的に決めることができ
る。また、非磁性基板(1)側に配置される電極に0KV
から−3KVの電圧を印加することによって、炭素膜
(3)の硬度を増大させることができ、また、炭素膜
(3)と磁性層(2)との密着性を向上させることがで
きる。炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン
またはベンゼン等を用いることができる。
【0096】硬質の炭素膜(3)を形成するためには、
放電エネルギーを大きくすることが望ましく、併せて非
磁性基板(1)の温度を高温に維持することが望まし
い。例えば、放電エネルギーは、交流電流、例えば高周
波電流と直流電流を重畳して実効値を600V以上にす
ることが望ましい。
【0097】本発明においては、炭素膜(3)の表層部
に含窒素プラズマ重合膜(図示省略)を形成し、潤滑剤
層(4)が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成され
ていることが好ましい。含窒素プラズマ重合膜が形成さ
れることにより、炭素膜の表層部にアミノ基が存在する
こととなり、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着
強度がより大きくなり、磁気記録媒体の耐久性がより向
上することとなる。そして、潤滑剤層に特定の含フッ素
化合物を含有させることと相俟って電磁変換特性が損な
われることなく優れた潤滑性能を有する走行耐久性が向
上した実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0098】含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミンまたはテトラメチレンジアミン等のアミ
ン化合物をガス化して導入し、容器内の圧力を1.33
×10-1〜1.33×102Pa(0.001〜1Torr)
に保った状態で真空容器内部に高周波放電を生じさせて
形成する。含窒素プラズマ重合膜を形成することにより
上記特定の含フッ素化合物を含む潤滑剤の化学吸着力が
向上し、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度
が向上する。含窒素プラズマ重合膜の膜厚は3nm未満が
適当であり、これよりも含窒素プラズマ重合膜が厚い場
合には炭素膜の保護効果が低下する。なお、炭素膜の表
層部に含窒素プラズマ重合膜を形成する方法は、米国特
許第5,540,957号および第5,637,393号に開示されてお
り、この引用によりこれらの特許に開示された内容は本
明細書の一部を構成する。
【0099】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)図1に示すような磁気記録媒体を作製し
た。非磁性基板(1)として、幅が500mm、厚さが
4.2μmであって、表面に高さが30nm、直径が20
0nmの突起が1mm2あたり105〜109個形成されたポ
リエチレンナフタレートフィルムを使用した。このフィ
ルムの長手方向のヤング率は5.5GPa、幅方向のヤ
ング率は9.9GPaであった。突起の数はSTM分析
で測定した値である。この非磁性基板(1)をベルト状
冷却回転支持体上で走行させながら、表面に酸素を導入
する斜方真空蒸着法によりCoから成る厚さ約180nm
の強磁性金属薄膜(2)を形成した。
【0100】次いで、非磁性基板(1)の裏面に、オー
ステナイト系ステンレス鋼SUS303を用いて、蒸着
法により厚さ約300nmの補強層(5)を形成した。蒸
着は、真空槽内の圧力を1.33×10-2Pa(10-4To
rr)とし、非磁性基板をキャン状冷却回転支持体に沿っ
て50m/分で走行させながら、電子銃(出力70k
W)によりるつぼ内のステンレス鋼を蒸発させて実施し
た。
【0101】次に強磁性金属薄膜(2)上に、プラズマ
CVD法により厚さ15nmの炭素膜(3)を形成した。
炭素膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガスと
を4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、トー
タルガス圧を4.0×101Pa(0.3Torr)に保ちな
がら、周波数20KHz、電圧1500Vの交流と100
0Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印加する
ことにより形成した。さらに、炭素膜(3)上にプロピ
ルアミンガスを導入し、6.67Pa(0.05Torr)の
圧力を保った状態で10KHzの高周波プラズマ処理を行
ない、炭素膜(3)の表層部に厚さ2.5nmの含窒素プ
ラズマ重合膜を形成した。
【0102】次に、潤滑剤として下記化学式(a1)で
示される化合物を用意した。これをイソプロピルアルコ
ールとトルエンとを重量比で1:1となるように混合し
た混合有機溶媒にその濃度が1500ppmとなるように
溶解して塗布液を調製した。そしてこの塗布液を、23
℃、30%RH環境下で、リバースロールコータを用い
て湿式塗布法で塗布した後、乾燥した。最終的に炭素膜
(3)上には、1m2あたり4mgの潤滑剤が含まれる、
厚さ4nmの潤滑剤層(4)が形成された。
【0103】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで6.35mm幅に裁断して6.35mm幅の磁気テ
ープ試料(全厚4.7μm、60分長)を作製した。
【0104】
【化30】
【0105】(実施例2)補強層の厚さを約50nmとし
たこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料
を作製した。
【0106】(実施例3)補強層の厚さを約80nmとし
たこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料
を作製した。
【0107】(実施例4)補強層の厚さを約800nmと
したこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0108】(実施例5)図2に示す態様の磁気記録媒
体を作製した。非磁性基板(1)として、実施例1で使
用したものと同じフィルムを使用し、磁性層(2)およ
び保護層(3)は実施例1と同様にして形成した。潤滑
剤層(4)は、潤滑剤を含む塗布液の濃度を1200pp
mとしたこと以外は実施例1と同様にして形成した。
【0109】次に、潤滑剤層(4)を形成するのに用い
た潤滑剤および混合有機溶媒と同じものを使用して濃度
300ppmの塗布液を調製した。この塗布液を用いて、
潤滑剤層(4)を形成した際の手順と同様の手順で補強
層(5)の上に潤滑剤層(6)を形成した。最終的に補
強層(5)上には、1m2あたり1mgの潤滑剤を含む、
厚さ1nmの潤滑剤層(6)が形成された。
【0110】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで6.35mm幅に裁断して6.35mm幅の磁気テ
ープ試料(全厚7μm、60分長)を作製した。
【0111】(実施例6)炭素膜(3)の表層部に含窒
素プラズマ重合膜を形成する工程を省略したこと以外
は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0112】(実施例7)非磁性基板として、厚さ4.
0μm、長手方向のヤング率が10.5GPa、幅方向
のヤング率が15.5GPaであり、表面に高さが30
nm、直径が200nmの突起が1mm2あたり105〜109
個形成されたポリアミドフィルムを用いたこと以外は、
実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0113】(実施例8)非磁性基板として、厚さ4.
5μm、長手方向のヤング率が4.4GPa、幅方向のヤ
ング率が6.3GPaであり、表面に高さが30nm、直径
が200nmの突起が1mm2あたり105〜109個形成さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと
以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製
した。
【0114】(実施例9)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、下記化学式(a2)で
示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0115】
【化31】
【0116】(実施例10)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、下記化学式(a3)で
示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0117】
【化32】
【0118】(実施例11)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、下記化学式(a4)で
示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0119】
【化33】
【0120】(実施例12)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、下記化学式(a5)で
示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0121】
【化34】
【0122】(実施例13)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、下記化学式(b1)で
示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0123】
【化35】
【0124】(実施例14〜実施例24)実施例14〜
実施例24では、上記化学式(a1)〜(a5)および
下記化学式(a6)ならびに上記化学式(b1)および
下記化学式(b2)〜(b5)で示される化合物をそれ
ぞれ使用した。各実施例において、前記化合物、化学式
(c1)で示される化合物(アウジモント(Ausimont)
社 Fomblin−Z−DOL)、および化学式(f1)で
示される化合物をモル比で1:1:1の割合となるよう
に配合した組成物を潤滑剤として用意した。そして、こ
の潤滑剤を実施例1で使用した潤滑剤に代えて使用した
こと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を
それぞれ作製した。
【0125】
【化36】
【0126】
【化37】
【0127】
【化38】
【0128】
【化39】
【0129】
【化40】
【0130】
【化41】
【0131】
【化42】
【0132】(実施例25〜実施例35)実施例25〜
実施例35では、それぞれ上記化学式(a1)〜(b
5)で示される化合物を使用した。各実施例において、
前記化合物、下記化学式(d1)で示される化合物(ア
ウジモント(Ausimont)社 Fomblin−Z−DOL)、
および上記化学式(f1)で示される化合物をモル比で
1:1:1の割合となるように配合した組成物を潤滑剤
として用意した。そして、この潤滑剤を実施例1で使用
した潤滑剤に代えて使用したこと以外は、実施例1と同
様の方法で磁気テープ試料をそれぞれ作製した。
【0133】
【化43】
【0134】(実施例36〜実施例46)実施例36〜
実施例46では、それぞれ上記化学式(a1)〜(b
5)で示される化合物を使用した。各実施例において、
前記化合物、下記化学式(e1)で示される化合物、お
よび上記化学式(f1)で示される化合物をモル比で
1:1:1の割合となるように配合した組成物を潤滑剤
として用意した。そして、この潤滑剤を実施例1で使用
した潤滑剤に代えて使用したこと以外は、実施例1と同
様の方法で磁気テープ試料をそれぞれ作製した。
【0135】
【化44】
【0136】(実施例47〜実施例57)実施例47〜
実施例57では、それぞれ上記化学式(a1)〜(b
5)で示される化合物を使用した。各実施例において、
前記化合物、上記化学式(e1)で示される化合物、お
よび下記化学式(f2)で示される化合物をモル比で
1:1:1の割合となるように配合した組成物を潤滑剤
として用意した。そして、この潤滑剤を実施例1で使用
した潤滑剤に代えて使用したこと以外は、実施例1と同
様の方法で磁気テープ試料をそれぞれ作製した。
【0137】
【化45】
【0138】(比較例1)補強層の厚さを約1.2μm
としたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料を作製した。
【0139】(比較例2)ステンレス鋼薄膜を形成せず
に、非磁性基板の磁性層が形成された面とは反対側の面
に、ポリウレタン、ニトロセルロースおよびカーボンブ
ラックを含む固形分30%のメチルエチルケトン/トル
エン/シクロヘキサノン溶液をリバースロールコータに
より塗布して、乾燥後の厚さが約500nmのバックコー
ト層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0140】(比較例3)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、上記化学式(c
1)で示される化合物(アウジモント(Ausimont)社
Fomblin−Z−DOL)を用いたこと以外は、実施例1
と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0141】(比較例4)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、上記化学式(d
1)で示される化合物(アウジモント(Ausimont)社
Fomblin−Z−DIAC)を用いたこと以外は、実施例
1と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0142】(比較例5)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、上記化学式(e
1)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と
同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0143】(比較例6)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、上記化学式(f
1)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と
同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0144】(比較例7)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、上記化学式(f
2)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と
同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0145】(比較例8)潤滑剤として、上記化学式
(a1)で示される化合物に代えて、潤滑剤として公知
の下記化学式(x1)で示される化合物を用いたこと以
外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0146】
【化46】
【0147】(比較例9)潤滑剤として、化学式(a
1)で示される化合物に代えて、潤滑剤として公知の下
記化学式(x2)で示される化合物を用いたこと以外
は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0148】
【化47】
【0149】(比較例10)非磁性基板として、厚さ
4.2μm、長手方向のヤング率が9.7GPa、幅方向
のヤング率が5.6GPaであり、表面に高さが30nm、
直径が200nmの突起が1mm2あたり105〜109個形
成されたポリエチレンナフタレートフィルムを用いたこ
と以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作
製した。
【0150】(比較例11)潤滑剤を溶解する溶媒とし
て、イソプロピルアルコールおよびトルエンから成る混
合有機溶媒に代えて、イソプロピルアルコールのみを用
いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0151】(比較例12)潤滑剤を溶解する溶媒とし
て、イソプロピルアルコールおよびトルエンから成る混
合有機溶媒に代えて、トルエンのみを用いたこと以外
は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0152】(比較例13)23℃、55%RH環境下
において、塗布液をリバースロールコータを用いて湿式
塗布法で塗布したこと以外は、実施例1と同様の方法で
磁気テープ試料を作製した。
【0153】実施例1〜56および比較例1〜13で得
られた6.35mm幅の磁気テープ試料について、それぞ
れ以下に示す評価試験(1)および(2)を実施した。
それぞれの試験で得られた結果を、表1〜表6に示す。
【0154】(1)走行性試験 直径2mm、表面粗さ0.2Sに研磨したステンレス鋼
(SUS303)円柱に、補強層を内側にして、90°
の抱き角で巻き付け、入側張力を9.8×10-2Nと
し、18.8mm/秒で往復走行させる。300パス走
行後の出側張力を測定し、次式(オイラーの式)から摩
擦係数を算出した。測定環境は40℃、80%RHであ
る。
【数2】μ=[ln(出側張力/入側張力)]・2/π
【0155】(2)走行耐久性試験 出力低下 RF(高周波)出力測定用に改造した市販デジタルVT
R(松下電器(株)製、NV−DJ1)を用い、各6.3
5mm幅テープ試料を40℃、80%RHの環境下で10
0パス、100時間繰り返し再生を行った後のRF出力
変化を測定した。試験前に対する試験後の変化をデシベ
ル表示で示した。
【0156】ヘッド目詰まり 上記の繰り返し再生を実施している間に、再生中のR
F出力からヘッド目詰まりを測定した。この繰り返し再
生中、RF出力が6dB以上低下したときにヘッド目詰
まりが発生したものとし、そのような低下が測定された
時間を合計した時間をヘッド目詰まりとした。
【0157】テープダメージ テープダメージは、繰り返し走行させた後のテープの変
形、テープ表面の走行傷等を目視観察および微分干渉顕
微鏡で状態観察し、5段階で評価した。評価基準は次の
とおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:テープダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:テープダメージがあまりにもひどく、実用性は全く
ない。
【0158】さらに、走行耐久性試験後におけるテープ
試料表面(磁性層側表面)の潤滑剤の残存量を測定する
ために、走行耐久性試験前後にX線光電子分光法(XP
S)(パーキンエルマーPHI社製 5400MC)に
よりフッ素原子を分析し、その試験前後の強度の比率か
ら、残存量を算出した。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】上記表1〜表6から明らかなように、比較
例1〜13との比較において、実施例1〜57で得た磁
気テープはいずれも、テープダメージの問題が発生し
ない、ヘッド目詰まりが少ない、出力低下が小さ
い、潤滑剤の残存量が多い(即ち、使用中の潤滑剤の
飛散が少ない)、摩擦係数が低い、という優れた特性
を有するものであった。
【0166】実施例1〜57は、従来の塗布型のバック
コート層を形成した比較例1、ステンレス鋼薄膜の厚さ
が1.0μmよりも厚い比較例2と比較して、いずれも
優れた走行耐久性および走行性を示した。このように、
特定のステンレス鋼薄膜から成る特定の厚さの補強層を
形成した実施例1〜56の各磁気テープ試料は、走行性
および走行耐久性等の実用信頼性の点で明らかに優れて
いる。
【0167】実施例1〜56は、一般式(a)および一
般式(b)で示される化合物以外の化合物で潤滑剤層を
形成した比較例3〜7、従来公知の化合物で潤滑剤層を
形成した比較例8〜9と比較して、いずれも優れた走行
性および走行耐久性を示した。このことは、一般式
(a)および(b)で示される化合物が、磁気記録媒体
表面の摩擦係数を低下させ、磁気記録媒体の潤滑性能の
向上に大きく寄与していることを示す。また、一般式
(a)で示される化合物、一般式(c)、(d)および
(e)で示される化合物から選ばれる化合物、ならびに
一般式(f)で示される化合物を含む組成物で潤滑剤層
を形成した実施例14〜57は、概して潤滑剤残存量が
大きく、一般式(c)〜(f)で示される化合物が潤滑
剤の飛散を有効に抑制することを示している。潤滑剤の
飛散は補強層の上に潤滑剤層を形成することによっても
有効に抑制されることが、実施例5より判る。
【0168】実施例6の磁気テープ試料は、実施例1と
同様にして潤滑剤層を形成したが、炭素膜(3)上に含窒
素プラズマ重合膜を形成しなかったものである。実施例
6の走行耐久性等は実施例1のそれらに比べてやや劣っ
ている。このことは含窒素プラズマ重合膜が磁気テープ
の潤滑性能の向上に寄与していることを示している。
【0169】比較例10の磁気テープは、幅方向のヤン
グ率が小さい非磁性基板を使用したものである。比較例
10の走行耐久性は実施例1のそれに比べて劣ってい
る。このことは、非磁性基板の幅方向のヤング率が、磁
気記録媒体の走行耐久性に対して大きな影響を及ぼすこ
とを示している。
【0170】実施例1と比較例11および12から、潤
滑剤を炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機
溶媒に溶解して調製した塗布液を炭素膜(3)上に塗布
して潤滑剤層(4)を形成することにより、走行耐久性
および走行性等の実用信頼性の点で優れた磁気テープ試
料を安定して作製できることが判る。また、潤滑剤を含
む塗布液を高い湿度の下で塗布した比較例13は、実施
例1と同じ潤滑剤を使用しているにもかかわらず、走行
耐久性および走行性はともに劣り、高湿度下での塗布が
望ましくないことを示している。
【0171】実施例1〜56では、潤滑剤層(4)の形
成工程において湿式塗布法であるリバースロールコーテ
ィング法を用いたが、有機蒸着法によっても同様の作用
効果を有する潤滑剤層(4)を形成することが可能であ
る。
【0172】なお、以上説明した実施例1〜56では、
本発明の磁気記録媒体およびその製造方法を市販デジタ
ルVTR用テープに適用した場合についてのみ説明した
が、本発明の磁気記録媒体およびその製造方法はこれに
限定されるものではなく、他の金属薄膜型磁気テープや
塗布型磁気テープ等についても適用できるものである。
【0173】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は非磁性基板の磁性層が形成された面とは反対側の
面に補強層としてステンレス鋼薄膜を有することを特徴
とする。このステンレス鋼薄膜は磁気記録媒体の剛性を
向上させる。したがって、本発明の磁気記録媒体が特に
磁気テープである場合には、繰り返し走行させた場合で
も変形および折れが生じにくく、優れた走行耐久性を示
す。ステンレス鋼薄膜をオーステナイト系ステンレス鋼
で形成することにより、補強効果がより発揮され、磁気
記録媒体の走行耐久性は更に向上する。また、補強層に
よる剛性の向上は磁気記録媒体と磁気ヘッドとの当たり
を良好とし、それにより磁気記録媒体のエンベロープ特
性を向上させる。磁気記録媒体の剛性は、非磁性基板の
長手方向および幅方向のヤング率を特定することによ
り、さらに最適化され得る。
【0174】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の上に形
成された炭素膜の上に潤滑剤層を形成することで、走行
性を向上させることができる。更に、炭素膜の上に形成
される潤滑剤層を、特定のフッ素化合物または特定の含
フッ素化合物が三種類以上組み合わされて成る組成物で
形成することにより潤滑剤層の炭素膜への付着強度が向
上した、良好な潤滑性能を呈する磁気記録媒体を得るこ
とができる。そのような磁気記録媒体は、電磁変換特性
が損なわれることなく向上した走行耐久性を有し、使用
中の潤滑剤の飛散が極めて少なく、したがって高い実用
信頼性を示す。本発明の磁気記録媒体は、補強層の上に
潤滑剤層を更に形成することによって、走行性を更に向
上させることができる。炭素膜の上に形成される潤滑剤
層と同様に、補強層の上に形成される潤滑剤層を特定の
フッ素化合物または特定のフッ素化合物の組成物で形成
することにより、潤滑性能がより向上した、実用信頼性
のより高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0175】さらに本発明の磁気記録媒体において炭素
膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成することによ
り潤滑剤の化学吸着力が向上するので、潤滑剤層の炭素
膜への付着強度がさらに向上し、優れた潤滑性能を呈す
る磁気記録媒体を得ることができる。そしてこれらの相
乗効果により、本発明の磁気記録媒体は、電磁変換特性
が損なわれることなく、走行耐久性、走行性等の実用信
頼性がさらに向上したものとなる。
【0176】本発明の磁気記録媒体は、潤滑剤を特定の
溶媒に溶解して調製した塗布液を、特定の湿度条件の下
で炭素膜上に塗布する工程を含む製造方法によって好ま
しく製造される。この塗布液を用いることにより塗布ム
ラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られる。また、湿度
の範囲を限定することにより、潤滑剤層の性能低下を防
止している。従って、本発明の製造方法によれば、走行
耐久性および走行性等の実用信頼性の点で優れた本発明
の磁気記録媒体を安定して作製することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の一態様である金属薄
膜型磁気テープの模式的断面図である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の一態様である金属薄
膜型磁気テープの模式的断面図である。
【符号の説明】 1 非磁性基板 2 強磁性金属薄膜 3 炭素膜 4 潤滑剤層 5 補強層 6 潤滑剤層 10,20 磁気記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/84 G11B 5/84 Z // C10N 40:18 C10N 40:18 (72)発明者 篠川 泰治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大畑 久代 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BD07A CD04A LA20 PA16 5D006 AA01 AA02 AA05 AA06 CB07 CC01 CC03 CC04 FA09 5D112 AA02 AA05 AA07 AA08 AA11 AA22 BC02 BC05 BC10 BD01 BD03 BD09

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板の一方の面に磁性層が形成さ
    れ、非磁性基板の他方の面に補強層が形成されて成る磁
    気記録媒体であって、補強層がステンレス鋼薄膜である
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼薄膜が非磁性オーステナイ
    ト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 ステンレス鋼薄膜の厚さが0.05〜
    1.0μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層が強磁性金属薄膜である請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性層の上に形成された炭素膜および炭
    素膜の上に形成された潤滑剤層を更に有する請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 補強層の上に形成された潤滑剤層を更に
    有する請求項5に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つの潤滑剤層が、分子内に
    パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテ
    ル基と、アルキル基またはアルケニル基とを有する、一
    般式(a)および(b)で示される化合物から選ばれる
    少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤: 【化1】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化2】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である)を
    含んで成る請求項5または請求項6に記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 少なくとも1つの潤滑剤層が、 I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
    ロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル基と
    を有する、一般式(a)および(b)で示される化合物
    から選ばれる少なくとも1種類の化合物; II)分子内にパーフルオロポリエーテル鎖を有し、一般
    式(c)、(d)および(e)で示される化合物から選
    ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびに III)一般式(f)で示される化合物から選ばれる少な
    くとも1種類の化合物を含む潤滑剤: 【化3】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化4】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である) 【化5】 (式中、e、gは1以上の整数である) 【化6】 (式中、i、jは1以上の整数である) 【化7】 (式中、k、mは1以上の整数であり、R6は炭素数4
    〜22のアルキル基である) 【化8】 (式中、R7は含フッ素有機基を示し、R8はアルキル基
    またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
    る)を含んで成る請求項5または請求項6に記載の磁気
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 炭素膜がその表層部に含窒素プラズマ重
    合膜を有し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜
    上に形成されている請求項5〜8のいずれか1項に記載
    の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 非磁性基板が長尺状であり、その厚さ
    が5.0μm以下であり、その長手方向および幅方向の
    ヤング率がそれぞれ5.0GPa以上および9.3GP
    a以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気
    記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項7または請求項8に記載の磁気
    記録媒体の製造方法であって、炭素膜の上および/また
    は補強層の上に潤滑剤層を形成する工程が、炭化水素系
    溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑剤を溶
    解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜40%の範
    囲内にある環境下において炭素膜および/または補強層
    の上に塗布する工程を含むことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】 炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒と
    の混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲内にあるこ
    とを特徴とする請求項11に記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
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