JP3208972B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3208972B2
JP3208972B2 JP32167093A JP32167093A JP3208972B2 JP 3208972 B2 JP3208972 B2 JP 3208972B2 JP 32167093 A JP32167093 A JP 32167093A JP 32167093 A JP32167093 A JP 32167093A JP 3208972 B2 JP3208972 B2 JP 3208972B2
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優 小田桐
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、VTR、磁気ディスク
装置等に用いられる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に関
するものであり、特に電磁変換特性と実用信頼性とを高
次元両立させるために磁性層上に保護膜及び潤滑剤層を
順次形成させた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録装置には大容量化、高速
化、高画質・高音質化、小型軽量化等が要望されるよう
になってきた。それに伴い磁気記録媒体としては高密度
記録を達成することが必要不可欠であり、従来からの磁
性体を結合剤中に分散させた塗布型磁気記録媒体に対
し、磁性層の残留磁束密度(Br)及び保磁力(Hc)
が共に大きく、磁性層の薄膜化が可能であり、しかも磁
性層表面の超平滑化に最適である強磁性金属薄膜型磁気
記録媒体の開発、実用化が積極的に行われている。
【0003】しかしながら強磁性金属薄膜型磁気記録媒
体の磁性層は、硬度が低く塑性変形しやすいため、高速
回転するVTRの磁気ヘッド及び金属シリンダと直接接
触する場合、磁性層は瞬間的に摩耗・損傷され、ヘッド
摺動面に金属凝着を引き起こし、その結果、耐久性の悪
化(繰り返し走行による大幅な記録再生出力の低下、ス
チルライフの著しい減少等)を招くという問題が生じ
た。また磁性層表面は、酸化被膜が形成され保護されて
ているものの高湿環境下における耐食性は、不充分であ
るといった問題を有していた。
【0004】そこで従来より、強磁性金属薄膜型磁気記
録媒体の潤滑性、耐摩耗性及び耐食性を向上させるため
に、微小突起を形成したベースフィルムを使用したり、
磁性層上に保護膜あるいは滑り性・撥水性効果を合わせ
持つ含フッ素系潤滑剤層を形成することが提案されてい
る。特に保護膜については、磁性層と磁気ヘッド間のス
ペーシング損失を低減するために、保護膜の膜厚を薄く
設定する必要があり、そのため高硬度で摩耗しにくいダ
イヤモンド状炭素膜を磁性層上に形成する構成が数多く
提案されている(例えば特開昭61−210518号公
報及び特開昭63−98824号公報等に記載。)。
【0005】また特開平1−245417号公報及び特
開平2−158909号公報等において、磁性層上にダ
イヤモンド状炭素膜を形成し、さらにこのダイヤモンド
状炭素膜上に潤滑剤層(含フッ素脂肪酸層)を形成する
構成が開示されている。
【0006】しかしながら従来より行われてきた方法を
用いて、走行安定性及び耐久性を充分に満足させた磁気
記録媒体を提供することは非常に困難であり、様々な問
題が生じている。
【0007】例えば磁性層上に含フッ素系潤滑剤層のみ
を形成した場合には、せん断力を低下させることができ
るものの、媒体表面の硬度が低く摩耗しやすいため、走
行安定性が悪化するとともに、スチルライフが減少する
結果を招いてしまう。
【0008】また磁性層上に硬質保護膜(例えばダイヤ
モンド状炭素膜)のみを形成した場合には、高速回転す
るVTRの磁気ヘッド及び金属シリンダとの直接接触に
より保護膜自体が脆性破壊を起こし、その結果、スチル
ライフの著しい減少を招くとともに繰り返し走行時の再
生出力の安定性を確保することができない。
【0009】さらに磁性層上に高硬度なダイヤモンド状
炭素膜および潤滑剤層を順次形成させた場合において
も、ダイヤモンド状炭素膜の表面状態が化学的に非常に
不活性であるため、潤滑剤との接着性が不充分となり、
記録再生時にヘッド摺動面に潤滑剤成分からなる焼付き
が生じ、著しい出力低下を招いたり、長時間のヘッド目
づまりを発生させる等の問題を有していた。
【0010】そこで最近では、保護膜と潤滑剤層との接
着性を改善するために、強磁性金属薄膜上に硬質炭素保
護膜、含窒素プラズマ重合膜、含フッ素カルボン酸を含
む潤滑剤層を順次形成する構成(特開平2−12641
7号公報)、強磁性金属薄膜層上に少なくとも炭素原子
と窒素原子とを含有した有機高分子化合物からなる保護
膜層を設け、さらにこの保護膜層上に潤滑剤層を形成す
る構成(特開昭62−58416号公報)、強磁性金属
薄膜上にBまたはTiまたはSiを含む硬質炭素薄膜を
形成した後、連続して真空蒸着法にて反応基を有する潤
滑剤層を配する構成(特開平1−184722号公
報)、磁性金属薄膜上にMn、Mo、Nb、Ta、T
i、V及びWから選ばれる少なくとも一種を含有するグ
ラファイト状カーボンを主成分とする保護膜を設けた
後、メルカプト基を有する有機化合物を主成分とする潤
滑層を形成する構成(特開昭63−177312号公
報)等が提案されている。
【0011】また特開平2−126418号公報には、
強磁性金属薄膜上に硬質炭素膜を形成し、この硬質炭素
膜表面をアンモニアガスにてグロー放電処理し、さらに
含フッ素カルボン酸を含む潤滑剤層を形成する構成が開
示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
構成においても、優れた電磁変換特性及び耐久性を兼ね
備えた磁気記録媒体を提供することは困難であり、未だ
数多くの問題が存在している。
【0013】例えば硬質炭素保護膜と潤滑剤層との界面
に含窒素プラズマ重合膜を形成する構成では、含窒素プ
ラズマ重合膜の硬度が低く摩耗しやすいため、走行安定
性、耐久性を充分に満足させることができない。一方、
耐摩耗性を改善するために含窒素プラズマ重合膜の膜厚
を大きく設定した場合には、磁性層と磁気ヘッド間のス
ペーシング損失が増大し、電磁変換特性が悪化する結果
を招いてしまう。
【0014】またN、B、Ti、Si、金属等を含有さ
せた保護膜上に潤滑剤層を形成する構成では、保護膜と
潤滑剤との接着性は改善されるものの保護膜自体の硬度
が低下するため、スチルライフ等の耐久性が悪化すると
いう問題が生じた。
【0015】さらに硬質炭素保護膜表面をアンモニアガ
スにてグロー放電処理した後に潤滑剤層を形成する構成
では、硬質炭素保護膜表面が非重合性ガスであるアンモ
ニアから生成した荷電粒子の衝撃により著しいダメージ
を受けるため、耐久性及び耐候性が大幅に悪化するとい
う問題を有していた。
【0016】本発明は上記課題を解決するものであり、
電磁変換特性と実用信頼性とを高次元で両立させること
のできる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を提供すること
を目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の本発明は、非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形
成し、この強磁性金属薄膜上にビッカース硬度が200
0kg/mm 2 以上である硬質炭素膜を形成し、この硬
質炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含み、炭素に対する
素の原子比率Aが0.8≦A≦3.4%の範囲内であ
り、酸素に対する窒素の原子比率が10%以上であり、
厚さTが0<T<3nmの範囲内にある改質面を形成
し、さらにこの改質面上に潤滑剤層を形成する構成とす
る。
【0018】第2の本発明は、非磁性基板上に強磁性金
属薄膜を形成し、この強磁性金属薄膜上にラマンスペク
トルの1380cm -1 付近に存在するピ−クを(A)と
し、1550cm -1 付近に存在するピ−クを(B)と
し、この(A)及び(B)のピ−クに対してガウス曲線
でフィッティングした時の(A)の面積を(B)の面積
で除した値(ラマンスペクトルの面積強度比)が0.8
〜3.0であり、密度が1.5g/cm 3 以上であり、
ビッカース硬度が2000kg/mm 2 以上である硬質
炭素膜を形成し、この硬質炭素膜上に炭素、窒素、酸素
を含み、炭素に対する窒素の原子比率Aが0.8%≦A
≦3.4%の範囲内であり、酸素に対する窒素の原子比
率が10%以上であり、厚さTが0<T<3nmの範囲
内にある改質面を形成し、さらにこの改質面上に潤滑剤
層を形成する構成とする。
【0019】第3の本発明は、第1または第2の本発明
において、改質面の窒素濃度が最表面から深さ方向に向
かって減少する構成とする。
【0020】
【作用】第1の本発明によれば、潤滑剤分子中に導入さ
れた極性基と化学的親和力の強い窒素原子を適切な量だ
け含有した厚さTが0<T<3nmの範囲内にある改質
面が硬質炭素膜上に形成されているために、硬質炭素膜
と改質面からなる保護膜の硬度を低下させることなく、
しかも強磁性金属薄膜と磁気ヘッドとのスペーシング損
失を増大させることなくテープ表面に潤滑剤分子を強固
に保持することができる。また硬質炭素膜上に改質面を
形成するために硬質炭素膜表面を含窒素有機系ガスと無
機系ガスとの混合ガスによるグロー放電プラズマに曝す
方法を適用することにより、硬質炭素膜表面を清浄化し
つつ磁性層から硬質炭素膜に拡散された酸素を含むプラ
ズマ中の化学活性種(反応活性種)を堆積させることが
できるため、硬質炭素膜と改質面との良好な密着性を確
保することが可能となる。したがって磁性層上に形成さ
れた硬質炭素膜と潤滑剤層との相乗効果を充分に発揮す
ることができるため、電磁変換特性、走行安定性、耐久
性、耐候性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能
となる。
【0021】第2の本発明によれば、強磁性金属薄膜上
に形成された硬質炭素膜がSP 3 結合を主体とした高硬
度でしかも緻密な構造を有する連続膜であり、さらに潤
滑剤分子中に導入された極性基と化学的親和力の強い窒
素原子を適切な量だけ含有した厚さTが0<T<3nm
の範囲内にある改質面が上記した硬質炭素膜上に形成
れているために、硬質炭素膜と改質面からなる保護膜の
硬度を低下させることなく、しかも強磁性金属薄膜と磁
気ヘッドとのスペーシング損失を増大させることなくテ
ープ表面に潤滑剤分子を強固に保持することができる。
また硬質炭素膜上に改質面を形成するために硬質炭素膜
表面を含窒素有機系ガスと無機系ガスとの混合ガスによ
るグロー放電プラズマに曝す方法を適用することによ
り、硬質炭素膜表面を清浄化しつつ磁性層から硬質炭素
膜に拡散された酸素を含むプラズマ中の化学活性種(反
応活性種)を堆積させることができるため、硬質炭素膜
と改質面との良好な密着性を確保することが可能とな
る。したがって磁性層上に形成された硬質炭素膜と潤滑
剤層との相乗効果を充分に発揮することができるため、
電磁変換特性、走行安定性、耐久性、耐候性に優れた磁
気記録媒体を提供することが可能となる。
【0022】第3の本発明によれば、潤滑剤分子中に導
入された極性基と化学的親和力の強い窒素原子を適切な
量だけ含有した厚さTが0<T<3nmの範囲内にある
改質面が硬質炭素膜上に形成されているために、硬質炭
素膜と改質面からなる保護膜の硬度を低下させることな
く、しかも強磁性金属薄膜と磁気ヘッドとのスペーシン
グ損失を増大させることなくテープ表面に潤滑剤分子を
強固に保持することができる。さらに改質面の窒素濃度
が最表面から深さ方向に向かって(硬質炭素膜との界面
の方向に向かって)減少している構造となっているため
に改質面自体の内部応力を適度に緩和することができ、
しかも硬質炭素膜上に改質面を形成するために硬質炭素
膜表面を含窒素有機系ガスと炭化水素系ガスと無機系ガ
スとの混合ガスによるグロー放電プラズマに曝す方法を
適用することにより、硬質炭素膜表面を清浄化しつつ、
磁性層から硬質炭素膜に拡散された酸素を含むプラズマ
中の化学活性種(反応活性種)を堆積させることができ
るため、硬質炭素膜と改質面との密着性をより向上させ
ることが可能となる。したがって磁性層上に形成された
硬質炭素膜と潤滑剤層との相乗効果を充分に発揮するこ
とができるため、電磁変換特性、走行安定性、耐久性、
耐候性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能とな
る。
【0023】
【実施例】(実施例1) 以下第1の本発明の実施例について図面を参照しながら
詳細に説明する。
【0024】図1は第1の本発明の強磁性金属薄膜型磁
気テープの構成を示す拡大断面図である。図中、1は非
磁性基板であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の高分
子フィルムを用いることができ、磁性層側の基板表面に
は最大高さ粗さ(Rmax )が10nm〜30nmの微小
突起層2が形成されている。3は強磁性金属薄膜であ
り、真空雰囲気中でCo、Co−Ni等の金属もしくは
合金を電子ビーム等で加熱・蒸発させ、真空槽内にわず
かな酸素ガスを導入しながら、連続的に入射角を変化さ
せた斜方蒸着法により形成する。その膜厚は150nm
〜200nmである。4はバックコート層であり、カー
ボンブラック、炭酸カルシウム、ポリエステル樹脂、ニ
トロセルロース樹脂を主成分とした塗料を塗布・乾燥さ
せることにより形成する。その膜厚は500nm程度で
ある。5は硬質炭素膜であり、プラズマCVD法等によ
り形成することができ、その膜厚は短波長領域での再生
出力を確保するために、8nm〜15nmが最適であ
る。硬質炭素膜のビッカース硬度は原料ガスの総圧力お
よび圧力比、グロー放電プラズマを発生させるための印
加電圧等、当該分野にて普通に用いられる方法で制御さ
れる。6は改質面であり、硬質炭素膜5表面を含窒素有
機系ガスと無機系ガスとの混合ガスによるグロー放電プ
ラズマに曝すことにより形成する。改質面の窒素原子、
酸素原子、炭素原子の総和も上記と同様、当該分野にて
普通に用いられる、原料ガスの総圧力および圧力比、さ
らにグロー放電プラズマを発生させるための印加電圧に
より制御される。その厚さTは0<T<3nmの範囲内
にある。また7はカルボキシル基等の極性基を分子中に
導入した含フッ素系潤滑剤層であり、湿式塗布法あるい
は有機蒸着法により形成し、その膜厚は3nm程度であ
る。
【0025】また図2は、第1の本発明の強磁性金属薄
膜型磁気テープを構成している硬質炭素膜5及び改質面
6をプラズマCVD法を用いて形成するための成膜装置
の概略図を示したものである。図中、8は真空槽であ
り、真空ポンプ9を用いて真空槽8内部の圧力が10-4
torr〜10-5torrの高真空状態となるように排
気を行っている。10は非磁性基板1上に強磁性金属薄
膜3及びバックコート層4を形成させた金属薄膜型磁気
テープ用原反であり、巻き出しロール11から送り出さ
れ、2本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャ
ン14の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取
られる。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用
原反10を一定速度で搬送できるように回転制御する働
きをしている。
【0026】16は硬質炭素膜5を金属薄膜型磁気テー
プ用原反10の強磁性金属薄膜3表面上に成膜するため
の放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管1
6の内部には、パイプ状の放電電極17が設置されてい
る。パイプ状の放電電極17はプラズマ発生用電源18
と接続されており、プラズマ発生用電源18としては、
直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式
や直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式の3
種類の放電方式を採用することができる。19は炭化水
素系ガスとアルゴン等の無機系ガスとの混合ガス(原料
ガス)を放電管16内に導入するための原料ガス導入口
である。
【0027】20は改質面6を硬質炭素膜5上に形成す
るための放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放
電管20の内部には、パンチングメタル放電電極21が
設置されている。パンチングメタル放電電極21はプラ
ズマ発生用電源22と接続されており、プラズマ発生用
電源22としては、直流電圧または交流電圧のどちらか
のみを印加する方式や直流電圧と交流電圧とを重畳させ
て印加する方式の3種類の放電方式を採用することがで
きる。23は含窒素有機系ガスと無機系ガスとの混合ガ
ス(原料ガス)を放電管20内に導入するための原料ガ
ス導入口である。
【0028】実施例1−1 走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で
最大高さ粗さ(Rmax)が15nmで、直径が200n
m程度の微小突起層2が1mm2 あたり105から109
個設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタ
レートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用い
てCoNiOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180n
m形成する。その後、湿式塗布法によりポリエチレンテ
レフタレートフィルム1の反対側の表面上にバックコー
ト層4を膜厚500nm形成する。
【0029】次に図2に示した成膜装置の真空槽8内部
に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8
内部を真空排気した後、放電管16内にヘキサンガス
(炭化水素系ガス:C614 )とアルゴンガス(無機系
ガス:Ar)をそれぞれ導入し、ヘキサンガスとアルゴ
ンガスとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.3tor
rとなるようにガス流量の調整を行う。また放電管20
内にピリジンガス(含窒素有機系ガス:C55N)と水
素ガス(無機系ガス:H2 )をそれぞれ導入し、ピリジ
ンガスと水素ガスとの圧力比が3:2、総ガス圧力が
0.1torrとなるようにガス流量の調整を行う。そ
の後、金属薄膜型磁気テープ用原反10を3〜5m/m
inの走行スピードで搬送させるとともに、パイプ状の
放電電極17に直流電圧を1000V印加することで、
非平衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原
反10の強磁性金属薄膜3表面上に硬質炭素膜5を膜厚
13nm成膜する。さらにパンチングメタル放電電極2
1に直流電圧を1500V印加することで、非平衡プラ
ズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原反10の硬
質炭素膜5表面上に改質面6を厚さ1nm形成する。
【0030】次に改質面6表面上に含フッ素カルボン酸
(C511(CH210COOH)からなる含フッ素系潤
滑剤層7を湿式塗布法により膜厚3nm程度形成させた
後、8mm幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0031】実施例1−1で得られた硬質炭素膜5のビ
ッカース硬度は、2500kg/mm2 であった。
【0032】実施例1−2 改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンの代わりに
アリルアミン(含窒素有機系ガス:C37N)を用い、
アリルアミンガスと水素ガスとの圧力比を1:1とする
こと以外は実施例1−1と同様な方法により、8mmV
TR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0033】実施例1−3 改質面6形成用の原料ガスであるピリジンガスと水素ガ
スとの圧力比を1:2、総ガス圧力を0.3torrと
し、改質面6を厚さ2.5nm形成すること以外は実施
例1−1と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜
型磁気テープを作製した。
【0034】実施例1−4 改質面6形成用の原料ガスとして、水素の代わりにアル
ゴン(無機系ガス:Ar)を用い、ピリジンガスとアル
ゴンガスとの圧力比を1:3とすること以外は実施例1
−1と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁
気テープを作製した。
【0035】実施例1−5 改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンの代わりに
アリルアミンを用い、水素の代わりにアンモニア(無機
系ガス:NH3 )を用い、アリルアミンガスとアンモニ
アガスとの圧力比を1:3とすること以外は実施例1−
1と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気
テープを作製した。
【0036】比較例1−1 改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンの代わりに
ベンゼン(炭化水素系ガス:C66)を用いること以外
は実施例1−1と同様な方法により、8mmVTR用金
属薄膜型磁気テープを作製した。
【0037】比較例1−2 改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンと水素との
混合ガスの代わりにピリジンとベンゼンと水素との混合
ガスを用い、圧力比を1:5:1とすること以外は実施
例1−1と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜
型磁気テープを作製した。
【0038】比較例1−3 改質面6の厚さを4nmとすること以外は実施例1−1
と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テ
ープを作製した。
【0039】比較例1−4 硬質炭素膜のビッカース硬度を1300kg/mm2
すること以外は実施例1−1と同様な方法により、8m
mVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0040】実施例及び比較例における改質面6の化学
組成(原子比率)ならびに化学結合状態は、含フッ素系
潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反10を
用いてX線光電子分光法(XPS)により表面分析した
ものであり、その結果を(表1)に示す。
【0041】また金属薄膜型磁気テープ用原反10の代
わりにシリコンウエハー上に硬質炭素膜を膜厚1〜3μ
m程度形成させた数種類の試料を作製し、微小硬度計
(マイクロ硬度計)を用いて上記試料のビッカース硬度
を測定し、その膜厚依存性から外挿法により膜厚13n
mに相当する硬質炭素膜のビッカース硬度を算出し、そ
の値を実施例及び比較例における硬質炭素膜5のビッカ
ース硬度値とした。なお上記試料での硬質炭素膜の膜厚
はエリプソメータにより測定した値を採用した。その結
果を(表1)に示す。
【0042】
【表1】
【0043】以上の実施例及び比較例にて得られた各8
mmVTR用金属薄膜型磁気テープ(以下、単に磁気テ
ープと称する。)について以下の測定を行った。 (1)ヘッド目づまり、テープダメージ RF出力測定用に改造した8mmVTRを用い、40℃
−80%RHの環境下、60分長の各磁気テープに映像
信号を記録し、再生を300パス行った。上記繰り返し
走行による耐久試験の際に6dB以上の再生出力の低下
が継続した時間を累計し、その時間をヘッド目づまり時
間と定義した。またテープダメージは、走行耐久試験後
に目視によるテープ表面状態観察をし、5段階評価を行
った。評価は実用上全く問題がないものを5とし、実用
上問題を有するものを1とした。 (2)摩擦係数変化(以下、μk変化量と称する。)常
温常湿環境下、各磁気テープの磁性層形成面側の摩擦係
数を走行耐久試験前後にそれぞれ測定し、μk変化量を
求めた。測定条件は次の通りである。
【0044】直径4mm、表面粗さ0.2Sのステンレ
ス(材質:MH15)円柱に各磁気テープの磁性層形成
面側を内側にして180゜の抱き角で巻きつけ、入側張
力を10g、テープ走行速度を14mm/secに設定
したときの出側張力Xgを測定し、次式から摩擦係数を
算出する。
【0045】
【数1】
【0046】なお摩擦係数としては、走行10パス目の
測定値を採用することにした。 (3)耐候性試験 耐候性試験としては、40℃−90%RHの環境下で約
30日間磁気テープを放置し、錆、剥離等の発生状態を
光学顕微鏡で観察し5段階評価を行った。評価は実用上
全く問題がないものを5とし、実用上問題を有するもの
を1とした。 (4)ドロップアウト変化(以下、D.O.変化率と称す
る。) ドロップアウト測定用に改造した8mmVTRを用い、
常温常湿環境下、映像信号を記録した60分長の各磁気
テープについて、ドロツプアウト(15μsにわたって
16dB以上の出力低下が発生する1分間当たりの個
数)を測定した。さらに(3)による耐候性試験後にも
同様な方法でドロップアウトを測定し、耐候性試験前に
対する耐候性試験後のD.O.変化率を倍率で表示した。 (5)耐環境ガス性試験(H2 Sガス、HClガス) H2 SガスまたはHClガスを1000ppm含有して
いる空気中に各磁気テープを72時間放置した後、錆の
発生状態を光学顕微鏡で観察し5段階評価を行った。評
価は実用上全く問題がないものを5とし、実用上問題を
有するものを1とした。
【0047】(表2)に各実施例、比較例にて作製した
8mmVTR用金属薄膜型磁気テープの評価結果を示
す。
【0048】
【表2】
【0049】(表1)、(表2)から明らかなように、
本実施例の金属薄膜型磁気テープは、潤滑剤分子中に導
入された極性基(カルボキシル基)と化学的親和力の強
い窒素原子を適切な量だけ含有した厚さTが0<T<3
nmの範囲内にある改質面が硬質炭素膜上に形成されて
いるために、硬質炭素膜と改質面からなる保護膜の硬度
を低下させることなく、しかも強磁性金属薄膜と磁気ヘ
ッドとのスペーシング損失を増大させることなくテープ
表面に潤滑剤分子を強固に保持することができる。また
硬質炭素膜上に改質面を形成するために硬質炭素膜表面
を含窒素有機系ガスと無機系ガスとの混合ガスによるグ
ロー放電プラズマに曝す方法を適用することにより、硬
質炭素膜表面を清浄化しつつ磁性層から硬質炭素膜に拡
散された酸素を含むプラズマ中の化学活性種(反応活性
種)を堆積させることができるため、硬質炭素膜と改質
面との良好な密着性を確保することが可能となる。した
がって磁性層上に形成された硬質炭素膜と潤滑剤層との
相乗効果を充分に発揮することができるため、走行耐久
性、耐候性を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0050】比較例1−1では、硬質炭素膜上に改質面
を形成するための原料ガスが本発明の特定の元素(窒素
原子)を分子中に含有していないために、また比較例1
−2では、改質面における炭素に対する窒素の原子比率
及び酸素に対する窒素の原子比率が本発明の適切な範囲
外となっているために、硬質炭素膜と含フッ素系潤滑剤
層との接着性が改善されず、走行耐久性、耐候性の悪化
等を招く結果となった。
【0051】比較例1−3では、改質面に含有している
窒素原子と潤滑剤分子中に導入された極性基(カルボキ
シル基)との化学的親和力により、改質面を中間層とし
て硬質炭素膜と潤滑剤層とが強固に接着するものの、改
質面の厚さが大きすぎるために、硬質炭素膜の耐摩耗性
と潤滑剤層の低せん断力性との相乗効果が充分に発揮さ
れず、走行耐久性が悪化した。
【0052】比較例1−4では、炭素膜のビッカース硬
度が低いため、走行耐久性が悪化した。
【0053】(実施例2) 以下第2の本発明の実施例について図面を参照しながら
詳細に説明する。なお本実施例が実施例1と相違する点
は、改質面6の窒素濃度が最表面から深さ方向に向かっ
て(硬質炭素膜5との界面の方向に向かって)減少して
いることにある。
【0054】図3は、第2の本発明の強磁性金属薄膜型
磁気テープを構成している硬質炭素膜5及び改質面6を
プラズマCVD法を用いて形成するための成膜装置の概
略図を示したものである。図中、8は真空槽であり、真
空ポンプ9を用いて真空槽8内部の圧力が10-4tor
r〜10-5torrの高真空状態となるように排気を行
っている。10は非磁性基板1上に強磁性金属薄膜3及
びバックコート層4を形成させた金属薄膜型磁気テープ
用原反であり、巻き出しロール11から送り出され、2
本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャン14
の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取られ
る。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用原反
10を一定速度で搬送できるように回転制御する働きを
している。
【0055】16は硬質炭素膜5を金属薄膜型磁気テー
プ用原反10の強磁性金属薄膜3表面上に成膜するため
の放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管1
6の内部には、パイプ状の放電電極17が設置されてい
る。パイプ状の放電電極17はプラズマ発生用電源18
と接続されており、プラズマ発生用電源18としては、
直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式
や直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式の3
種類の放電方式を採用することができる。19は炭化水
素系ガスとアルゴン等の無機系ガスとの混合ガス(原料
ガス)を放電管16内に導入するための原料ガス導入口
である。
【0056】24、25、26は改質面6を硬質炭素膜
5上に形成するための放電管(非平衡プラズマ発生空
間)であり、放電管24、25、26の内部には、パン
チングメタル放電電極27、28、29がそれぞれ設置
されている。パンチングメタル放電電極27、28、2
9はプラズマ発生用電源30、31、32とそれぞれ接
続されており、プラズマ発生用電源30、31、32と
しては、直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加
する方式や直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する
方式の3種類の放電方式を採用することができる。3
3、34、35は含窒素有機系ガス、炭化水素系ガス、
無機系ガスからなる混合ガス(原料ガス)を放電管2
4、25、26内にそれぞれ導入するための原料ガス導
入口である。
【0057】実施例2−1 走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で
最大高さ粗さ(Rmax)が15nmで、直径が200n
m程度の微小突起層2が1mm2 あたり105から109
個設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタ
レートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用い
てCoNiOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180n
m形成する。その後、湿式塗布法によりポリエチレンテ
レフタレートフィルム1の反対側の表面上にバックコー
ト層4を膜厚500nm形成する。
【0058】次に図3に示した成膜装置の真空槽8内部
に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8
内部を真空排気した後、放電管16内にヘキサンガス
(炭化水素系ガス:C614 )とアルゴンガス(無機系
ガス:Ar)をそれぞれ導入し、ヘキサンガスとアルゴ
ンガスとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.3tor
rとなるようにガス流量の調整を行う。また放電管24
内にn−プロピルアミンガス(含窒素有機系ガス:C3
9N)とメタンガス(炭化水素系ガス:CH4 )と水
素ガス(無機系ガス:H2 )をそれぞれ導入し、n−プ
ロピルアミンガスとメタンガスと水素ガスとの圧力比が
2:7:1、総ガス圧力が0.1torrとなるように
ガス流量の調整を行う。次に放電管25内にn−プロピ
ルアミンガスとメタンガスと水素ガスをそれぞれ導入
し、n−プロピルアミンガスとメタンガスと水素ガスと
の圧力比が4.5:4.5:1、総ガス圧力が0.1t
orrとなるようにガス流量の調整を行う。さらに放電
管26内にn−プロピルアミンガスとメタンガスと水素
ガスをそれぞれ導入し、n−プロピルアミンガスとメタ
ンガスと水素ガスとの圧力比が7:2:1、総ガス圧力
が0.1torrとなるようにガス流量の調整を行う。
その後、金属薄膜型磁気テープ用原反10を3〜5m/
minの走行スピードで搬送させるとともに、パイプ状
の放電電極17に直流電圧を1000V印加すること
で、非平衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ
用原反10の強磁性金属薄膜3表面上に硬質炭素膜5を
膜厚13nm成膜する。さらにパンチングメタル放電電
極27、28、29に直流電圧を2000V印加するこ
とで、非平衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テー
プ用原反10の硬質炭素膜5表面上に窒素濃度が最表面
から深さ方向に向かって(硬質炭素膜5との界面の方向
に向かって)減少した厚さ2nmの改質面6を形成す
る。
【0059】次に改質面6表面上に含フッ素カルボン酸
(C511(CH210COOH)からなる含フッ素系潤
滑剤層7を湿式塗布法により膜厚3nm程度形成させた
後、8mm幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0060】実施例2−1で得られた硬質炭素膜5のビ
ッカース硬度は、2500kg/mm2 であった。
【0061】実施例2−2 改質面6形成用の原料ガスとして、n−プロピルアミン
の代わりにジメチルホルムアミド(含窒素有機系ガス:
37NO)を用い、改質面6を厚さ0.5nm形成す
ること以外は実施例2−1と同様な方法により、8mm
VTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0062】実施例2−3 硬質炭素膜5表面上に窒素濃度が最表面から深さ方向に
向かって減少した厚さ2.5nmの改質面6を形成する
こと以外は実施例2−1と同様な方法により、8mmV
TR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0063】実施例2−4 改質面6形成用の原料ガスの総ガス圧力を0.05to
rrとし、改質面6を厚さ1mm形成すること以外は実
施例2−1と同様な方法により、8mmVTR用金属薄
膜型磁気テープを作製した。
【0064】実施例2−5 改質面6形成用の原料ガスとして、n−プロピルアミン
の代わりにピリジン(含窒素有機系ガス:C55N)を
用い、総ガス圧力を0.05torrとし、改質面6を
厚さ1mm形成すること以外は実施例2−1と同様な方
法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製
した。
【0065】比較例2−1 窒素原子の濃度勾配を有する改質面6を形成せずに、直
接硬質炭素膜5表面上に含フッ素系潤滑剤層7を形成す
ること以外は実施例2−1と同様な方法により、8mm
VTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0066】比較例2−2 改質面6形成用の原料ガスとして、n−プロピルアミン
とメタンと水素との混合ガスの代わりにn−プロピルア
ミンとメタンと酸素(無機系ガス:O2 )との混合ガス
を用い、圧力比を2:7:1、4.5:4.5:1、
1:7:2とすること以外は実施例2−1と同様な方法
により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製し
た。
【0067】比較例2−3 硬質炭素膜5表面上に窒素濃度が最表面から深さ方向に
向かって減少した厚さ4nmの改質面6を形成すること
以外は実施例2−1と同様な方法により、8mmVTR
用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0068】比較例2−4 硬質炭素膜のビッカース硬度を1300kg/mm2
すること以外は実施例2−1と同様な方法により、8m
mVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0069】上記実施例及び比較例2−3、2−4にお
いて硬質炭素膜5表面上に形成した改質面6は、窒素濃
度が最表面から深さ方向に向かって減少している構造と
なっていることを角度分解X線光電子分光法(Angle Re
solved XPS)を用いた深さ方向の組成分析により確
認した。
【0070】実施例及び比較例における改質面6の化学
組成(原子比率)ならびに化学結合状態は、含フッ素系
潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反10を
用いてX線光電子分光法(XPS)により表面分析した
ものであり、その結果を(表3)に示す。
【0071】また金属薄膜型磁気テープ用原反10の代
わりにシリコンウエハー上に硬質炭素膜を膜厚1〜3μ
m程度形成させた数種類の試料を作製し、微小硬度計
(マイクロ硬度計)を用いて上記試料のビッカース硬度
を測定し、その膜厚依存性から外挿法により膜厚13n
mに相当する硬質炭素膜のビッカース硬度を算出し、そ
の値を実施例及び比較例における硬質炭素膜5のビッカ
ース硬度値とした。なお上記試料での硬質炭素膜の膜厚
はエリプソメータにより測定した値を採用した。その結
果を(表3)に示す。
【0072】
【表3】
【0073】以上の実施例及び比較例にて得られた各8
mmVTR用金属薄膜型磁気テープ(以下、単に磁気テ
ープと称する。)について(実施例1)と同一内容の測
定を行った。
【0074】(表4)に各実施例、比較例にて作製した
8mmVTR用金属薄膜型磁気テープの評価結果を示
す。
【0075】
【表4】
【0076】(表3)、(表4)から明らかなように、
本実施例の金属薄膜型磁気テープは、潤滑剤分子中に導
入された極性基(カルボキシル基)と化学的親和力の強
い窒素原子を適切な量だけ含有した厚さTが0<T<3
nmの範囲内にある改質面が硬質炭素膜上に形成されて
いるために、硬質炭素膜と改質面からなる保護膜の硬度
を低下させることなく、しかも強磁性金属薄膜と磁気ヘ
ッドとのスペーシング損失を増大させることなくテープ
表面に潤滑剤分子を強固に保持することができる。さら
に改質面の窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって
(硬質炭素膜との界面の方向に向かって)減少している
構造となっているために改質面自体の内部応力を適度に
緩和することができ、しかも硬質炭素膜上に改質面を形
成するために硬質炭素膜表面を含窒素有機系ガスと炭化
水素系ガスと無機系ガスとの混合ガスによるグロー放電
プラズマに曝す方法を適用することにより、硬質炭素膜
表面を清浄化しつつ磁性層から硬質炭素膜に拡散された
酸素を含むプラズマ中の化学活性種(反応活性種)を堆
積させることができるため、硬質炭素膜と改質面との密
着性をより向上させることが可能となる。したがって磁
性層上に形成された硬質炭素膜と潤滑剤層との相乗効果
を充分に発揮することができるため、走行耐久性、耐候
性を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0077】比較例2−1では、硬質炭素膜上に改質面
が形成されていないために、また比較例2−2では、改
質面における炭素に対する窒素の原子比率及び酸素に対
する窒素の原子比率が本発明の適切な範囲外となってい
るために、硬質炭素膜と含フッ素系潤滑剤層との接着性
が改善されず、走行耐久性、耐候性の悪化等を招く結果
となった。
【0078】比較例2−3では、改質面に含有している
窒素原子と潤滑剤分子中に導入された極性基(カルボキ
シル基)との化学的親和力により、改質面を中間層とし
て硬質炭素膜と潤滑剤層とが強固に接着するものの、改
質面の厚さが大きすぎるために、硬質炭素膜の耐摩耗性
と潤滑剤層の低せん断力性との相乗効果が充分に発揮さ
れず、走行耐久性が悪化した。
【0079】比較例2−4では、炭素膜のビッカース硬
度が低いため、走行耐久性が悪化した。
【0080】なお上記実施例では、改質面6の窒素濃度
が最表面から深さ方向に向かって段階的に減少する構成
となっているが、窒素濃度が連続的に減少する構成の場
合についても同様の作用効果を有するものである。
【0081】(実施例3) 以下第3の本発明の実施例について図面を参照しながら
詳細に説明する。なお本実施例が実施例1と相違する点
は、特定の性質を有する硬質炭素膜表面上に改質面6を
形成していることにある。
【0082】実施例3−1 走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で
最大高さ粗さ(Rmax)が15nmで、直径が200n
m程度の微小突起層2が1mm2 あたり105から109
個設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタ
レートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用い
てCoNiOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180n
m形成する。その後、湿式塗布法によりポリエチレンテ
レフタレートフィルム1の反対側の表面上にバックコー
ト層4を膜厚500nm形成する。
【0083】次に図2に示した成膜装置の真空槽8内部
に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8
内部を真空排気した後、円筒状の冷却キャン14の温度
を15℃に設定する。次に放電管16内にメタンガス
(炭化水素系ガス:CH4 )とアルゴンガス(無機系ガ
ス:Ar)をそれぞれ導入し、メタンガスとアルゴンガ
スとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.25torr
となるようにガス流量の調整を行う。また放電管20内
にピリジンガス(含窒素有機系ガス:C55N)と水素
ガス(無機系ガス:H2)をそれぞれ導入し、ピリジン
ガスと水素ガスとの圧力比が3:2、総ガス圧力が0.
1torrとなるようにガス流量の調整を行う。その
後、金属薄膜型磁気テープ用原反10を3〜5m/mi
nの走行スピードで搬送させるとともに、パイプ状の放
電電極17に直流電圧を800V印加することで、非平
衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原反1
0の強磁性金属薄膜3表面上に硬質炭素膜5を膜厚10
nm成膜する。さらにパンチングメタル放電電極21に
直流電圧を1000V印加することで、非平衡プラズマ
を発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原反10の硬質炭
素膜5表面上に改質面6を厚さ1nm形成する。
【0084】次に改質面6表面上に含フッ素カルボン酸
(C511(CH210COOH)からなる含フッ素系潤
滑剤層7を湿式塗布法により膜厚3nm程度形成させた
後、8mm幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0085】実施例3−1で得られた硬質炭素膜5のラ
マンスペクトルを図5に示す。図5より硬質炭素膜5の
ラマンスペクトルの面積強度比は0.94であった。
【0086】また実施例3−1で得られた硬質炭素膜5
の密度は、ラザフォード後方散乱分析法(RBS)によ
る測定結果より、2.3g/cm3 であることがわかっ
た。
【0087】また実施例3−1で得られた硬質炭素膜5
のビッカース硬度は、2800kg/mm2 であった。
【0088】実施例3−2 硬質炭素膜5形成用の原料ガスであるメタンガスとアル
ゴンガスとの圧力比を3:1、総ガス圧力を0.2to
rr、放電印加電圧を直流電圧1300Vとすること以
外は実施例3−1と同様な方法により、8mmVTR用
金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0089】実施例3−2で得られた硬質炭素膜5のラ
マンスペクトルの面積強度比は0.83、密度は2.7
g/cm3 、ビッカース硬度は3200kg/mm2
あった。
【0090】実施例3−3 硬質炭素膜5形成用の原料ガスであるメタンガスとアル
ゴンガスとの圧力比を5:1、総ガス圧力を0.3to
rr、放電印加電圧を直流電圧700Vとすること、さ
らに改質面6形成用の原料ガスであるピリジンガスと水
素ガスとの圧力比を1:3とすること以外は実施例3−
と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気
テープを作製した。
【0091】実施例3−3で得られた硬質炭素膜5のラ
マンスペクトルの面積強度比は2.91、密度は1.5
g/cm3 、ビッカース硬度は2000kg/mm2
あった。
【0092】実施例3−4 硬質炭素膜5形成用の原料ガスであるメタンガスとアル
ゴンガスとの圧力比を5:1、総ガス圧力を0.3to
rr、放電印加電圧を直流電圧700Vとすること、さ
らに改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンの代わ
りにアリルアミン(含窒素有機系ガス:C37N)を用
い、水素の代わりにアンモニア(無機系ガス:NH3
を用い、ピリジンガスとアンモニアガスとの圧力比を
1:3とすること以外は実施例3−1と同様な方法によ
り、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0093】実施例3−4で得られた硬質炭素膜5のラ
マンスペクトルの面積強度比は2.91、密度は1.5
g/cm3 、ビッカース硬度は2000kg/mm2
あった。
【0094】比較例3−1〜3−3 本実施例の効果を明確にするために、メタンガスとアル
ゴンガスとの圧力比、総ガス圧力、円筒状の冷却キャン
14の温度、放電印加電圧を変更し、他は実施例3−1
と同様な方法により、ラマンスペクトルの面積強度比、
密度、ビッカース硬度の異なる硬質炭素膜5を形成した
3種類の8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製し
た。特に比較例3−3に関しては、改質面6形成用の原
料ガスであるピリジンの代わりにベンゼン(炭化水素系
ガス:C66)を用い、他は実施例3−1と同様な方法
により改質面6を形成した。
【0095】比較例3−1〜3−3で得られた硬質炭素
膜5のラマンスペクトルの面積強度比、密度、ビッカー
ス硬度を(表)に示す。
【0096】
【表5】
【0097】比較例3−4 改質面6形成用の原料ガスとして、ピリジンの代わりに
テトラメチル錫(含錫有機系ガス:C412Sn )を用
いること以外は実施例3−1と同様な方法により、8m
mVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0098】実施例及び比較例における改質面6の化学
組成(原子比率)ならびに化学結合状態は、含フッ素系
潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反10を
用いてX線光電子分光法(XPS)により表面分析した
ものであり、その結果を(表5)に示す。
【0099】また金属薄膜型磁気テープ用原反10の代
わりにシリコンウエハー上に硬質炭素膜を膜厚1〜3μ
m程度形成させた数種類の試料を作製し、微小硬度計
(マイクロ硬度計)を用いて上記試料のビッカース硬度
を測定し、その膜厚依存性から外挿法により膜厚10n
mに相当する硬質炭素膜のビッカース硬度を算出し、そ
の値を実施例及び比較例における硬質炭素膜5のビッカ
ース硬度値とした。なお上記試料での硬質炭素膜の膜厚
はエリプソメータにより測定した値を採用した。
【0100】以上の実施例及び比較例にて得られた各8
mmVTR用金属薄膜型磁気テープ(以下、単に磁気テ
ープと称する。)について以下の測定を行った。 (1)スチルライフ スチルライフ測定用に改造した8mmVTRを用い、2
3℃−10%RHの環境下、各磁気テープに映像信号を
記録し、30g荷重の条件でスチルモードにて再生を行
い、その再生出力が6dB落ち込むまでの時間を示し
た。なお測定は最長180分間で打ち切った。 (2)出力低下 RF出力測定用に改造した8mmVTRを用い、23℃
−10%RHの環境下、60分長の各磁気テープに映像
信号を記録し、再生を100パス行った。出力低下の定
義としては、再生1パス目の出力を基準(0dB)と
し、上記繰り返し走行による耐久試験の際に最も再生出
力が低下した値(最低出力値)をデシベル表示した。 (3)耐候性試験 耐候性試験としては、60℃−90%RHの環境下で約
10日間磁気テープを放置し、塗布ムラ、錆、結晶、剥
離等の発生状態を光学顕微鏡で観察し5段階評価を行っ
た。評価は実用上全く問題がないものを5とし、実用上
問題を有するものを1とした。 (4)摩擦係数μk 直径4mm、表面粗さ0.2Sのステンレス(SUS4
20J2)円柱に各磁気テープの磁性層形成面が90゜
に渡って接触するようにし、ステンレス円柱に対して、
入側張力を30g、テープ走行速度を0.5mm/se
cに設定した時の出側張力Xgを測定し、次式から摩擦
係数を求めた。
【0101】
【数2】
【0102】なお測定環境は25℃−30%RHであ
り、摩擦係数としては、走行30パス目の測定値を採用
することにした。
【0103】(表)に各実施例、比較例にて作製した
8mmVTR用金属薄膜型磁気テープの評価結果を示
す。
【0104】
【表6】
【0105】(表)、(表)から明らかなように、
本実施例の金属薄膜型磁気テープは、潤滑剤分子中に導
入された極性基(カルボキシル基)と化学的親和力の強
い窒素原子を適切な量だけ含有した厚さTが0<T<3
nmの範囲内にある改質面がSP3 結合を主体とした高
硬度でしかも緻密な構造を有する硬質炭素膜上に形成さ
れているために、硬質炭素膜と改質面からなる保護膜の
硬度を低下させることなく、しかも強磁性金属薄膜と磁
気ヘッドとのスペーシング損失を増大させることなくテ
ープ表面に潤滑剤分子を強固に保持することができる。
また硬質炭素膜上に改質面を形成するために硬質炭素膜
表面を含窒素有機系ガスと無機系ガスとの混合ガスによ
るグロー放電プラズマに曝す方法を適用することによ
り、硬質炭素膜表面を清浄化しつつ磁性層から硬質炭素
膜に拡散された酸素を含むプラズマ中の化学活性種(反
応活性種)を堆積させることができるため、硬質炭素膜
と改質面との良好な密着性を確保することが可能とな
る。したがって磁性層上に形成された硬質炭素膜と潤滑
剤層との相乗効果を充分に発揮することができるため、
耐久性、耐候性を飛躍的に向上させることが可能となっ
た。
【0106】比較例3−1では、硬質炭素膜のラマンス
ペクトルの面積強度比が大きく(SP3 結合の存在する
割合が小さく)、ビッカース硬度が低く、密度も小さい
ために、耐久性、耐候性、走行安定性が悪化する結果を
招いた。
【0107】比較例3−2では、硬質炭素膜のラマンス
ペクトルの面積強度比が極めて小さいため(SP3 結合
の存在する割合が非常に大きいため)、繰り返し走行に
よる耐久試験時にヘッド摺動面の異種材料間の偏摩耗に
基づく出力低下が大きくなった。
【0108】比較例3−3では、硬質炭素膜のラマンス
ペクトルの面積強度比が大きく(SP3 結合の存在する
割合が小さく)、ビッカース硬度が低く、さらに硬質炭
素膜上に改質面を形成するための原料ガスが本発明の特
定の元素(窒素原子)を分子中に含有していないため
に、硬質炭素膜と含フッ素系潤滑剤層との接着性が改善
されないために、耐久性、耐候性、走行安定性が悪化し
た。
【0109】比較例3−4では、低湿環境において改質
面6に含有している錫によりヘッド摺動面に金属凝着を
生じ、スチルライフの著しい減少、出力低下の大幅な悪
化を招く結果となった。さらに金属薄膜型磁気テープ表
面に錆が発生するといった耐候性劣下の問題も生じた。
【0110】なお本実施例の改質面6中の窒素濃度分布
は一定であったが、実施例2のように窒素濃度が最表面
から深さ方向に向かって(硬質炭素膜5との界面の方向
に向かって)減少している構成の場合においても同様の
効果が得られる。
【0111】なお上記実施例では、8mmVTR用金属
薄膜型磁気テープのみについて説明したが、これに限定
されるものではなく、他の強磁性金属薄膜型磁気テー
プ、磁気ディスク等の磁気記録媒体についても同様に適
用できる。
【0112】また上記実施例では、硬質炭素膜表面に照
射するグロー放電プラズマ生成用の原料ガス(すなわち
改質面形成用の原料ガス)として、含窒素有機系ガスに
ついては、ピリジン、アリルアミン、n−プロピルアミ
ン、ジメチルホルムアミド、ブチルアミンを使用した場
合についてのみ示したが、これらに限定されるものでは
なく窒素原子を分子中に含有した有機系モノマーガスで
あれば同様に適用できる。無機系ガスについては、
2、Ar、NH3、O2 を使用した場合についてのみ示
したが、これらに限定されるものではなく上記ガス以外
のHe、N2 についても同様に適用可能である。また窒
素原子の濃度勾配を有する改質面を形成するための原料
ガスの一つとして、メタンガスを使用した場合について
のみ示したが、他の炭化水素系ガスについても同様に適
用できる。
【0113】また上記実施例では、改質面をプラズマC
VD法により形成する際の放電形式として直流電圧のみ
を印加する方式についてのみ示したが、この方式に限定
されるものではなく、直流電圧と交流電圧とを重畳させ
て印加する方式ならびに交流電圧のみを印加する方式に
ついても同様に実施可能である。
【0114】また上記実施例では、硬質炭素膜をプラズ
マCVD法により形成したが、この作製方法に限定され
るものではなく、イオンビーム蒸着法、イオンビームス
パッタ法、レーザー蒸着法等を用いることも同様に実施
可能である。
【0115】また上記実施例では、硬質炭素膜をプラズ
マCVD法により形成する際の放電形式として直流電圧
のみを印加する方式についてのみ示したが、この方式に
限定されるものではなく、直流電圧と交流電圧とを重畳
させて印加する方式ならびに交流電圧のみを印加する方
式についても同様に実施可能である。
【0116】また上記実施例では、極性基としてカルボ
キシル基を分子中に導入した含フッ素系潤滑剤について
のみ示したが、−OH、−SH、−NH2 、=NH、−
NCO、−CONH2 、−CONHR、−CONR2
−COOR、=PR、=PRO、=PRS、−OPO
(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO3 M(ただ
し、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは水素、アル
カリ金属またはアルカリ土類金属)から選ばれた少なく
とも一つの極性基を有する含フッ素系潤滑剤であれば同
様に適用可能である。
【0117】また上記実施例では、含フッ素系潤滑剤層
を湿式塗布法により形成する場合についてのみ示した
が、有機蒸着法を用いることも同様に実施可能である。
【0118】
【発明の効果】以上のように本発明は、非磁性基板上に
強磁性金属薄膜を形成し、この強磁性金属薄膜上にビッ
カース硬度が2000kg/mm 2 以上である硬質炭素
膜を形成し、この硬質炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含
み、炭素に対する窒素の原子比率Aが0.8≦A≦3.
4%の範囲内であり、酸素に対する窒素の原子比率が1
0%以上であり、厚さTが0<T<3nmの範囲内にあ
改質面を形成し、さらにこの改質面上に潤滑剤層を形
成する構成、もしくは非磁性基板上に強磁性金属薄膜を
形成し、この強磁性金属薄膜上にビッカース硬度が20
00kg/mm 2 以上である硬質炭素膜を形成し、この
硬質炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含み、炭素に対する
窒素の原子比率Aが0.8%≦A≦3.4%の範囲内で
あり、酸素に対する窒素の原子比率が10%以上であ
り、窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少する
厚さTが0<T<3nmの範囲内にある改質面を形成
し、さらにこの改質面上に潤滑剤層を形成する構成、も
しくは非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成し、この強
磁性金属薄膜上にラマンスペクトルの1380cm-1
近に存在するピ−クを(A)とし、1550cm-1付近
に存在するピ−クを(B)とし、この(A)及び(B)
のピ−クに対してガウス曲線でフィッティングした時の
(A)の面積を(B)の面積で除した値(ラマンスペク
トルの面積強度比)が0.8〜3.0であり、密度が
1.5g/cm3 以上であり、ビッカース硬度が200
0kg/mm 2 以上である硬質炭素膜を形成し、この硬
質炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含み、炭素に対する窒
素の原子比率Aが0.8%≦A≦3.4%の範囲内であ
り、酸素に対する窒素の原子比率が10%以上であり、
厚さTが0<T<3nmの範囲内にある改質面を形成
し、さらにこの改質面上に潤滑剤層を形成する構成によ
り、電磁変換特性、走行安定性、耐久性、耐候性に優れ
た磁気記録媒体を提供することが可能となり、その実用
上の価値は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例1、実施例2、実施例
の強磁性金属薄膜型磁気テープの構成を示す拡大断面図
【図2】本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成し
ている硬質炭素膜及び改質面をプラズマCVD法を用い
て形成するための成膜装置の概略図
【図3】本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成し
ている硬質炭素膜及び窒素原子の濃度勾配を有する改質
面をプラズマCVD法を用いて形成するための成膜装置
の概略図
【図4】本発明における実施例3−1の硬質炭素膜のラ
マンスペクトルを示した図
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 微小突起層 3 強磁性金属薄膜 4 バックコート層 5 硬質炭素膜 6 改質面(もしくは島状改質面) 7 含フッ素系潤滑剤層 8 真空槽 9 真空ポンプ 10 金属薄膜型磁気テープ用原反 11 巻き出しロール 12 パスロール 13 パスロール 14 冷却キャン 15 巻き取りロール 16 放電管 17 パイプ状の放電電極 18 プラズマ発生用電源 19 原料ガス導入口 20 放電管 21 パンチングメタル放電電極 22 プラズマ発生用電源 23 原料ガス導入口 24 放電管 25 放電管 26 放電管 27 パンチングメタル放電電極 28 パンチングメタル放電電極 29 パンチングメタル放電電極 30 プラズマ発生用電源 31 プラズマ発生用電源 32 プラズマ発生用電源 33 原料ガス導入口 34 原料ガス導入口 35 原料ガス導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 喜代司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小田桐 優 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 村居 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大地 幸和 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−268219(JP,A) 特開 平4−102225(JP,A) 特開 昭62−250510(JP,A) 特開 平5−325175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/72 C23C 16/26 G11B 5/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成
    し、上記強磁性金属薄膜上にビッカース硬度が2000
    kg/mm 2 以上である硬質炭素膜を形成し、上記硬質
    炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含み、炭素に対する窒素
    原子比率Aが0.8≦A≦3.4%の範囲内であり、
    酸素に対する窒素の原子比率が10%以上であり、厚さ
    Tが0<T<3nmの範囲内にある改質面を形成し、さ
    らに上記改質面上に潤滑剤層を形成した構成であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 改質面の窒素濃度が最表面から深さ方向
    に向かって減少することを特徴とする請求項1に記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 潤滑剤層が、−COOH、−OH、−S
    H、−NH2 、>NH、−CONH2 、−CONHR、
    −CONR2 、−COOR、>PR、>PRO、>PR
    S、−OPO(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO
    3 M(ただし、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは
    水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)から選ば
    れた一種類以上の極性基を有する含フッ素系潤滑剤層で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成
    し、上記強磁性金属薄膜上にラマンスペクトルの138
    0cm-1付近に存在するピ−クを(A)とし、1550
    cm-1付近に存在するピ−クを(B)とし、上記(A)
    及び(B)のピ−クに対してガウス曲線でフィッティン
    グした時の(A)の面積を(B)の面積で除した値(ラ
    マンスペクトルの面積強度比)が0.8〜3.0であ
    り、密度が1.5g/cm3 以上であり、ビッカース硬
    度が2000kg/mm 2 以上である硬質炭素膜を形成
    し、上記硬質炭素膜上に炭素、窒素、酸素を含み、炭素
    に対する窒素の原子比率Aが0.8%≦A≦3.4%の
    範囲内であり、酸素に対する窒素の原子比率が10%以
    上であり、厚さTが0<T<3nmの範囲内にある改質
    面を形成し、さらに上記改質面上に潤滑剤層を形成した
    構成であることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 改質面の窒素濃度が最表面から深さ方向
    に向かって減少することを特徴とする請求項4に記載の
    磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 潤滑剤層が、−COOH、−OH、−S
    H、−NH2 、>NH、−CONH2 、−CONHR、
    −CONR2 、−COOR、>PR、>PRO、>PR
    S、−OPO(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO
    3 M(ただし、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは
    水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)から選ば
    れた一種類以上の極性基を有する含フッ素系潤滑剤層で
    あることを特徴とする請求項4または5に記載の磁気記
    録媒体。
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