JPH0644558A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0644558A
JPH0644558A JP19858892A JP19858892A JPH0644558A JP H0644558 A JPH0644558 A JP H0644558A JP 19858892 A JP19858892 A JP 19858892A JP 19858892 A JP19858892 A JP 19858892A JP H0644558 A JPH0644558 A JP H0644558A
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JP
Japan
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thin film
protective film
film
hard carbon
carbon protective
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Application number
JP19858892A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Ueda
英之 植田
Kiyoshi Takahashi
喜代司 高橋
Mikio Murai
幹夫 村居
Masaru Odagiri
優 小田桐
Yukikazu Ochi
幸和 大地
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁変換特性と実用信頼性(耐久性、耐候
性、走行安定性)とを高次元で両立することのできる強
磁性金属薄膜型磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。 【構成】 非磁性基板3上に強磁性金属薄膜5を形成
し、強磁性金属薄膜5上にプラズマCVD法等により硬
質炭素保護膜7を形成する。さらに硬質炭素保護膜7上
に−COOH等の特定の極性基を導入した含フッ素系潤
滑剤層9を湿式塗布法等により形成する。あるいは硬質
炭素保護膜7上に含窒素化合物のモノマーガスによるプ
ラズマ重合膜を形成し、トップコート層として−COO
H等の特定の極性基を導入した含フッ素系潤滑剤層9を
湿式塗布法等により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、VTR、磁気ディスク
装置等に用いられる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に関
するものであり、特に電磁変換特性と実用信頼性とを高
次元両立させるために磁性層上に硬質炭素保護膜を形成
し、さらにトップコート層として、含フッ素系潤滑剤層
を形成した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体装置は、高性能化
(VTRの場合は、高画質・高音質化、磁気ディスク装
置の場合は、大容量・高速化)、小型軽量化が要望され
るようになってきた。それに伴い磁気記録媒体として
は、高密度記録を達成することが必要不可欠であり、磁
性層の残留磁束密度(Br)及び保磁力(Hc)が共に
大きく、磁性層の薄層化が可能であり、しかも磁性層表
面の超平滑化に最適である強磁性金属薄膜型磁気記録媒
体の開発、実用化が積極的に行われている。
【0003】一般に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、
真空雰囲気中で、Co、Co−Ni、Co−Cr等の金
属もしくは合金を電子ビーム等で加熱・蒸発させ、真空
槽内にわずかな酸素ガスを導入しながら、連続的に入射
角を変化させた斜方蒸着法、スパッタリング法等を用い
て、ポリエステル、ポリイミド等の高分子フィルムや非
磁性金属からなる基板上に付着・堆積させることにより
得ることができる。
【0004】しかしながら強磁性金属薄膜型磁気記録媒
体の磁性層は、硬度が低く塑性変形しやすいため、高速
回転するVTRの磁気ヘッド及び金属シリンダと直接接
触する場合、磁性層は瞬間的に摩耗・損傷され、ヘッド
摺動面に金属凝着を引き起こし、その結果、耐久性の悪
化(繰り返し走行による大幅な記録再生出力の低下、ス
チルライフの著しい減少等)を招くという問題が生じ
た。また磁性層表面は、酸化被膜が形成され保護されて
ているものの高湿環境下における耐食性は、不充分であ
るといった問題を有していた。
【0005】そこで従来より、強磁性金属薄膜型磁気記
録媒体の潤滑性、耐摩耗性及び耐食性を向上させるため
に、微小突起を形成したベースフィルムを使用したり、
磁性層上に滑り性・撥水性効果を合わせ持つ含フッ素系
潤滑剤層あるいは硬質保護膜層を形成することが提案さ
れている。特に硬質保護膜層については、SiO2 膜を
設ける構成(特開昭59−229743号公報及び特開
昭60−145524号公報)、層状結晶構造を有する
グラファイト層を設ける構成(特開昭60−14552
4号公報及び特開昭61−13439)あるいは二硫化
モリブデン薄膜層を設ける構成(特開昭60−1335
45号公報及び特開昭60−197933号公報)、ス
パッタ法によるアモルファスカーボン膜を設ける構成
(特開昭62−51023号公報及び特開昭62−57
123号公報)、プラズマ重合膜を設ける構成(特開昭
59−171028号公報及び特開昭60−57535
号公報)等の提案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来より
行われてきた方法を用いて、優れた電磁変換特性及び耐
久性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供することは非常に
困難であり、様々な問題が生じている。
【0007】例えば磁性層上に上記した保護膜層を形成
する構成では、保護膜自体の硬度が低いため、耐久性を
確保するためには保護膜の膜厚を厚くする必要があり、
その結果、テープとヘッドとのスペーシングロスが増大
し、電磁変換特性の低下を招いてしまう。また保護膜の
膜厚を増加させずに耐久性を向上させる方法として、上
記保護膜上に滑り性効果(せん断力を低下させる効果)
のある潤滑剤層を形成させた場合においても、保護膜と
潤滑剤との接着性が充分でないために、記録再生時にヘ
ッド摺動面に潤滑剤成分からなる焼き付きが生じ、著し
い出力低下を招いたり、長時間目づまりを発生させる等
予期した効果が得られないことが多い。
【0008】また保護膜の硬度がある程度高い場合にお
いても、保護膜構成原子の充填率(密度)が低いため
に、高温高湿保存時に水分等が保護膜と磁性層との界
面、磁性層とベースフィルムとの界面に侵入し、錆、ふ
くれ、剥離等が発生するといった耐候性劣下の問題を有
していた。
【0009】本発明は上記課題を解決するものであり、
電磁変換特性と実用信頼性とを高次元で両立させること
のできる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を提供すること
を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成し、
強磁性金属薄膜上に、ラマンスペクトルの面積強度比が
0.8〜3.0であり、密度が1.5g/cm3 以上で
あり、ビッカース硬度が2000kg/mm2以上であ
る硬質炭素保護膜を形成し、さらにトップコート層とし
て、この硬質炭素保護膜上に、−COOH、−OH、−
SH、−NH2 、=NH、−CONH2、−CONH
R、−CONR2 、−COOR、=PR、=PRO、=
PRS、−OPO(OH)2 、−OPO(OR)2 、−
SO3 M(ただし、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、
Mは水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)から
選ばれた少なくとも一つの極性基を有する含フッ素系潤
滑剤層を形成した構成とする。あるいは非磁性基板上に
強磁性金属薄膜を形成し、強磁性金属薄膜上に、硬質炭
素保護膜を形成し、硬質炭素保護膜上に含窒素化合物の
モノマーガスによるプラズマ重合膜を形成し、さらにト
ップコート層として、このプラズマ重合膜上に含フッ素
系潤滑剤層を形成した構成とする。
【0011】
【作用】したがって本発明によれば、強磁性金属薄膜上
に形成された保護膜は、SP3結合を主体とした高硬度
でしかも緻密な構造を有する炭素保護膜であり、さらに
含フッ素系潤滑剤分子中に導入された極性基が硬質炭素
保護膜表面に強く吸着するため、テープとヘッドとのス
ペーシングロスを低減し短波長領域での再生出力を向上
させるために保護膜の膜厚を極めて薄く設定した場合で
あっても、耐久性、耐候性を充分に確保することができ
る。
【0012】また硬質炭素保護膜上に含窒素化合物のモ
ノマーガスによるプラズマ重合膜を形成した場合には、
プラズマ重合膜中に含有する窒素原子と含フッ素系潤滑
剤分子中に導入された極性基との化学的親和力により保
護膜と潤滑剤との接着性がより改善されるため、テープ
の走行安定性が増し、耐久性が著しく向上する。さらに
ヘッド摺動面の異種材料間の偏摩耗を低減することが可
能となり、その結果、電磁変換特性と実用信頼性とを高
次元両立させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を得るこ
とができる。
【0013】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の強磁性金属薄膜型磁気テ
ープ1の構成を示す拡大断面図である。(この図は、後
述する実施例(1)〜(4)における強磁性金属薄膜型
磁気テープの構成図に相当するものである。)図中、3
は非磁性基板であり、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の
高分子フィルムを用いることができ、磁性層側の基板表
面には10nm〜20nm程度の微小突起層4が形成さ
れている。5は強磁性金属薄膜であり、真空雰囲気中
で、Co、Co−Ni、Co−Cr等の金属もしくは合
金を電子ビーム等で加熱・蒸発させ、真空槽内にわずか
な酸素ガスを導入しながら、連続的に入射角を変化させ
た斜方蒸着法により形成する。その膜厚は100nm〜
200nmである。6はバックコート層であり、カーボ
ンブラック、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂
を主成分とした塗料を塗布・乾燥させることにより形成
する。7は硬質炭素保護膜であり、プラズマCVD法等
により形成することができ、その膜厚は短波長領域での
再生出力を確保するために、8nm〜12nm程度であ
る。また9は−COOH等の極性基を導入した含フッ素
系潤滑剤層であり、湿式塗布法あるいは真空蒸着法によ
り形成する。
【0015】また図2は、本発明の強磁性金属薄膜型磁
気テープ2の構成を示す拡大断面図である。(この図
は、後述する実施例(5)、(6)における強磁性金属
薄膜型磁気テープの構成図に相当するものである。)図
中、8は含窒素化合物のモノマーガスによるプラズマ重
合膜であり、その膜厚は1nm程度である。他は、強磁
性金属薄膜型磁気テープ1の構成と同様である。
【0016】また図3は、本発明の強磁性金属薄膜型磁
気テープ1、2を構成している硬質炭素保護膜7、プラ
ズマ重合膜8を製造するための成膜装置の概略図を示し
たものである。図中、10は真空槽であり、真空ポンプ
11を用いて槽内部の圧力が10-4torr〜10-5
orrの高真空状態となるように排気を行っている。1
2は非磁性基板3上に強磁性金属薄膜5及びバックコー
ト層6が形成された磁気テープであり、巻出しロール1
3から送り出され、2本のパスロール15、16及び円
筒状の冷却キャン17を経由して巻取りロール14に巻
き取られる。冷却キャン17は、磁気テープ12を一定
速度で搬送できるように回転制御する働きをしている。
またこの冷却キャン17は成膜装置本体とは絶縁されて
おり、冷却キャン内部を循環している冷媒(冷却水)を
介して接地(アース)されている。
【0017】18は硬質炭素保護膜7を磁気テープ12
の強磁性金属薄膜5表面上に成膜させるための放電管
(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管18の内部
にはパイプ状の放電電極19が設置されている。パイプ
状の放電電極19はプラズマ発生用電源20と接続され
ており、プラズマ発生用電源20としては、直流電圧ま
たは交流電圧のどちらかのみを印加する方式や直流電圧
と交流電圧とを重畳させて印加する方式の三種類の放電
方式を採用することができる。21は炭化水素系ガス及
びArガスといった原料ガスを放電管18内に導入する
ための原料ガス導入口である。22はプラズマ重合膜8
を磁気テープ12の硬質炭素保護膜7表面上に成膜させ
るための放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放
電管22の内部にはパンチングメタル放電電極23が設
置されている。パンチングメタル放電電極23はプラズ
マ発生用電源24と接続されており、プラズマ発生用電
源24としては、交流電圧のみを印加する放電方式を採
用している。25は含窒素化合物のモノマーガスを放電
管22内に導入するための原料ガス導入口である。
【0018】なおパスロール15、16は、磁気テープ
12の走行を安定化させるための働きだけでなく、放電
管18、22から磁気テープ12の強磁性金属薄膜5へ
と流れた電流を抵抗を介して接地(アース)させるため
の通電ロールとしての役割も担っている。この際、パス
ロール15、16と磁気テープ12との局部的な接触に
より、電流がその接触部分に集中して非磁性基板3が熱
負けしてしまう問題が発生しないように、パスロール1
5、16には半導体材料、例えばSiCを用いることが
好ましい。
【0019】実施例(1) まず真空槽10の内部を真空排気した後、放電管18内
にメタンガスとArガスをそれぞれ導入し、メタンガス
とArガスとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.25
torrとなるようにガス流量の調整を行う。また円筒
状の冷却キャン17の温度を15℃に設定する。次に1
0μm厚のポリエチレンテレフタレート3上に強磁性金
属薄膜5及びバックコート層6が形成された磁気テープ
12を3〜5m/minの走行スピードで搬送させると
ともに、パイプ状の放電電極19にDC:800Vの電
圧を印加することで非平衡プラズマを発生させ、磁気テ
ープ12の強磁性金属薄膜5表面上に硬質炭素保護膜7
を膜厚約10nm程度成膜する。さらに極性基として−
COOHを導入した含フッ素系潤滑剤層9を湿式塗布法
により膜厚約3nm程度形成させた後、8mm幅にスリ
ットして8mmVTR用薄膜テープを作製した。
【0020】実施例(1)で得られた硬質炭素保護膜の
ラマンスペクトルを図4に示す。図4より、硬質炭素保
護膜のラマンスペクトルの面積強度比は0.94であっ
た。
【0021】実施例(1)で得られた硬質炭素保護膜の
密度は、ラザフォード後方散乱分析法(RBS)による
測定結果より、2.3g/cm3 であることがわかっ
た。
【0022】また磁気テープ12の代わりに、Siウエ
ハー上に実施例(1)と同様な成膜条件(メタンガスと
Arガスとの圧力比、総ガス圧力、印加電圧、Siウエ
ハーの表面温度を実施例(1)と同一条件とした。)に
て硬質炭素保護膜を膜厚約1μm程度形成し、微小硬度
計(マイクロ硬度計)を用いてビッカース硬度を測定し
た。その結果、硬質炭素保護膜のビッカース硬度は28
00kg/mm2 であった。
【0023】実施例(2)〜実施例(4)及び比較例
(1)〜比較例(5) メタンガスとArガスとの圧力比、総ガス圧力、円筒状
の冷却キャンの温度、印加電圧を変更し、他は実施例
(1)と同様な方法により、ラマンスペクトルの面積強
度比、密度、ビッカース硬度の異なる硬質炭素保護膜を
形成させた8mmVTR用薄膜テープを作製した。
【0024】実施例(2)〜実施例(4)及び比較例
(1)〜比較例(5)で得られた硬質炭素保護膜におけ
るラマンスペクトルの面積強度比、密度及びビッカース
硬度を(表1)に示した。
【0025】
【表1】
【0026】実施例(5) まず真空槽10の内部を真空排気した後、放電管18内
にメタンガスとArガスをそれぞれ導入し、メタンガス
とArガスとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.25
torrとなるようにガス流量の調整を行う。また放電
管22内にピリジンガスを導入し、ガス圧力が0.1t
orrとなるようにガス流量の調整を行う。さらに円筒
状の冷却キャン17の温度を15℃に設定する。次に1
0μm厚のポリエチレンテレフタレート3上に強磁性金
属薄膜5及びバックコート層6を形成させた磁気テープ
12を3〜5m/minの走行スピードで搬送させると
ともに、パイプ状の放電電極19にDC:800Vの電
圧を印加することで非平衡プラズマを発生させ、磁気テ
ープ12の強磁性金属薄膜5表面上に硬質炭素保護膜7
を膜厚約10nm程度成膜する。またパンチングメタル
放電電極23にAC:600V(周波数15kHz)の
電圧を印加することでピリジンガスをプラズマ化し、磁
気テープ12の硬質炭素保護膜7表面上に窒素原子含有
のプラズマ重合膜を膜厚約1nm程度成膜する。さらに
極性基として−COOHを導入した含フッ素系潤滑剤層
9を湿式塗布法により膜厚約3nm程度形成させた後、
8mm幅にスリットして8mmVTR用薄膜テープを作
製した。
【0027】実施例(6) 含窒素化合物のモノマーガスをピリジンからアリルアミ
ンに変更する以外は、実施例(5)と同様な方法によ
り、8mmVTR用薄膜テープを作製した。
【0028】比較例(6) 含窒素化合物のモノマーガスの代わりに、芳香族炭化水
素(ベンゼン)ガスを用いてプラズマ重合膜を形成する
以外は、実施例(5)と同様な方法により、8mmVT
R用薄膜テープを作製した。
【0029】比較例(7) 含窒素化合物のモノマーガスの代わりに、有機金属化合
物(テトラメチル錫)ガスを用いてプラズマ重合膜を形
成する以外は、実施例(5)と同様な方法により、8m
mVTR用薄膜テープを作製した。
【0030】なお、実施例(5)、実施例(6)、比較
例(6)及び比較例(7)で得られた硬質炭素保護膜に
おけるラマンスペクトルの面積強度比、密度及びビッカ
ース硬度は、実施例(1)で得られた硬質炭素保護膜と
同一の値を示した。
【0031】以上の実施例及び比較例にて得られた各8
mmVTR用薄膜テープについて以下の測定を行った。 (1)スチルライフ スチルライフ測定用に改造した8mmVTRを用い、2
3℃−10%の環境下20g荷重の条件で、あらかじめ
録画しておいた静止画をスチルモードにて再生し、その
映像信号が6dB落ち込むまでの時間を示した。なお測
定は最長180分間で打ち切った。 (2)出力低下 23℃−10%RHの環境下、約60分長の薄膜テープ
に映像信号を記録し、再生を100パス行う(繰り返し
走行による耐久試験)。出力低下の定義としては、再生
1パス目の出力を基準(0dB)とし、100パス再生
中に最も出力が低下した値(最低出力値)をデシベル表
示した。 (3)耐候性 耐候性試験としては、60℃−90%RHの環境下で約
100日間薄膜テープを放置し、錆、ふくれ、剥離等の
発生状態を顕微鏡で観察した。 (4)摩擦係数μk 直径4mmのステンレス円柱に薄膜テープの保護膜(潤
滑剤層)表面が90゜に渡って接触するようにし、ステ
ンレス円柱に対して、入側張力を30g、テープ走行速
度を0.5mm/secに設定した時の出側張力Xgを
測定し、次式から摩擦係数を求めた。
【0032】
【数1】
【0033】なお測定環境は23℃−60%RHであ
り、摩擦係数としては、走行30パス目の測定値を採用
することにした。
【0034】(表1)に各実施例、比較例にて作製した
8mmVTR用薄膜テープの評価結果を示す。
【0035】表1から明らかなように、実施例(1)〜
実施例(6)は、硬質炭素保護膜におけるラマンスペク
トルの面積強度比、密度及びビッカース硬度が本発明の
適切な範囲に入っているため、スチルライフの著しい向
上、出力低下の大幅な改善を同時に達成することができ
た。また高温高湿環境保存後に薄膜テープの表面あるい
は界面に錆、ふくれ、剥離等が発生せず、耐候性を飛躍
的に向上させることができた。
【0036】さらに実施例(5)、実施例(6)につい
ては、プラズマ重合膜中に含有する窒素原子と潤滑剤分
子中に導入された極性基との化学的親和力により保護膜
と潤滑剤との接着性が改善されたため、テープの走行安
定性が良好となった。
【0037】比較例(1)は、硬質炭素保護膜における
ラマンスペクトルの面積強度比が大きく(SP3 結合の
存在する割合が小さく)、ビッカース硬度が低いため、
スチルライフが短くなった。
【0038】比較例(2)は、硬質炭素保護膜の密度が
極めて小さいため、薄膜テープの保護膜と磁性層との界
面、磁性層とベースフィルムとの界面に水分が侵入し、
錆、ふくれ、が発生した。
【0039】比較例(3)は、硬質炭素保護膜における
ラマンスペクトルの面積強度比が大きく、しかも密度が
小さいため、スチルライフの著しい減少及び耐候性の大
幅な劣化が生じる結果となった。
【0040】比較例(4)は、硬質炭素保護膜における
ラマンスペクトルの面積強度比が極めて小さく(SP3
結合の存在する割合が非常に大きく)、ビッカース硬度
が高すぎるため、ヘッド摺動面のアモルファス(センダ
スト)部分とフェライト部分とで段差(偏摩耗)を生
じ、出力低下が大きくなった。
【0041】比較例(5)は、硬質炭素保護膜のビッカ
ース硬度が若干低いため、スチルライフが悪化する傾向
を示した。
【0042】比較例(6)は、保護膜と潤滑剤との接着
性が改善されず、しかもプラズマ重合膜は硬度が低く摩
耗しやすいため、テープの走行安定性が悪化し、さらに
ヘッド摺動面に潤滑剤成分からなる焼き付きが生じ、出
力低下が大きくなった。
【0043】比較例(7)はプラズマ重合膜中に含有す
る金属と潤滑剤分子中に導入された極性基との化学的親
和力により保護膜と潤滑剤との接着性が改善されたた
め、テープの走行安定性が良好となるものの、低湿環境
下においてヘッド摺動面に金属凝着を引き起こし、スチ
ルライフの著しい減少、出力低下の大幅な悪化を招く結
果となった。また薄膜テープ表面に錆が発生するといっ
た耐候性劣化の問題も生じた。
【0044】なお上記実施例では、8mmVTR用薄膜
テープのみについて説明したが、これに限定されるもの
ではなく、他の強磁性金属薄膜型磁気テープ、磁気ディ
スク等の磁気記録媒体についても同様に適用できる。
【0045】また上記実施例では、極性基として−CO
OHを導入した含フッ素系潤滑剤のみについて示した
が、−OH、−SH、−NH2 、=NH、−CONH
2 、−CONHR、−CONR2 、−COOR、=P
R、=PRO、=PRS、−OPO(OH)2 、−OP
O(OR)2 、−SO3 M(ただし、Rは炭素数1〜2
2の炭化水素基、Mは水素、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属)から選ばれた少なくとも一つの極性基を有
する含フッ素系潤滑剤であれば同様に適用可能である。
【0046】さらに上記実施例では、プラズマ重合膜の
形成に用いるモノマーガスとして、ピリジン、アリルア
ミンについてのみ示したが、これに限定されるものでは
なく、含窒素化合物のモノマーガスであれば同様に適用
可能である。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明は、磁性層上に特定
の硬質炭素保護膜あるいは特定の硬質炭素保護膜と窒素
原子含有プラズマ重合膜を形成し、さらにトップコート
層として特定の極性基を有する含フッ素系潤滑剤層を形
成する構成により、電磁変換特性、耐久性、耐候性、走
行安定性に優れた磁気記録媒体の提供を可能とするもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の強磁性金属薄膜型磁気
テープの構成を示す拡大断面図である。
【図2】本発明における実施例の強磁性金属薄膜型磁気
テープの構成を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成し
ている硬質炭素保護膜、プラズマ重合膜を製造するため
の成膜装置の概略図である。
【図4】実施例(1)で得られた硬質炭素保護膜におけ
るラマンスペクトルを示した図である。
【符号の説明】
1 強磁性金属薄膜型磁気テープ 2 強磁性金属薄膜型磁気テープ 3 非磁性基板 4 微小突起層 5 強磁性金属薄膜 6 バックコート層 7 硬質炭素保護膜 8 プラズマ重合膜 9 含フッ素系潤滑剤層 10 真空槽 11 真空ポンプ 12 磁気テープ 13 巻出しロール 14 巻取りロール 15 パスロール 16 パスロール 17 冷却キャン 18 放電管 19 パイプ状の放電電極 20 プラズマ発生用電源 21 原料ガス導入口 22 放電管 23 パンチングメタル放電電極 24 プラズマ発生用電源 25 原料ガス導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田桐 優 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大地 幸和 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成
    し、上記強磁性金属薄膜上に、ラマン分光法により得ら
    れたラマンスペクトルにおいて、1380cm-1付近に
    存在するピークを(A)、1550cm-1付近に存在す
    るピークを(B)とし、各々のピークに対しガウス曲線
    でフィッティングした時の、(A)の面積強度を(B)
    の面積強度で除した値(ラマンスペクトルの面積強度
    比)が0.8〜3.0であり、密度が1.5g/cm3
    以上であり、ビッカース硬度が2000kg/mm2
    上である硬質炭素保護膜を形成し、さらにトップコート
    層として、上記硬質炭素保護膜上に、−COOH、−O
    H、−SH、−NH2 、=NH、−CONH2 、−CO
    NHR、−CONR2 、−COOR、=PR、=PR
    O、=PRS、−OPO(OH)2 、−OPO(OR)
    2 、−SO3 M(ただし、Rは炭素数1〜22の炭化水
    素基、Mは水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金
    属)から選ばれた少なくとも一つの極性基を有する含フ
    ッ素系潤滑剤層を形成することを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 非磁性基板上に強磁性金属薄膜を形成
    し、上記強磁性金属薄膜上に、ラマン分光法により得ら
    れたラマンスペクトルにおいて、1380cm-1付近に
    存在するピークを(A)、1550cm-1付近に存在す
    るピークを(B)とし、各々のピークに対しガウス曲線
    でフィッティングした時の、(A)の面積強度を(B)
    の面積強度で除した値(ラマンスペクトルの面積強度
    比)が0.8〜3.0であり、密度が1.5g/cm3
    以上であり、ビッカース硬度が2000kg/mm2
    上である硬質炭素保護膜を形成し、上記硬質炭素保護膜
    上に、含窒素化合物のモノマーガスによるプラズマ重合
    膜を形成し、さらにトップコート層として、上記プラズ
    マ重合膜上に、−COOH、−OH、−SH、−N
    2、=NH、−CONH2 、−CONHR、−CON
    2 、−COOR、=PR、=PRO、=PRS、−O
    PO(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO3 M(た
    だし、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは水素、ア
    ルカリ金属またはアルカリ土類金属)から選ばれた少な
    くとも一つの極性基を有する含フッ素系潤滑剤層を形成
    することを特徴とする磁気記録媒体。
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US08/095,008 US5637393A (en) 1992-07-24 1993-07-23 Magnetic recording medium and its manufacturing method
US08/472,297 US5540957A (en) 1992-07-24 1995-06-07 Method of manufacturing a magnetic recording medium

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5776602A (en) * 1994-10-25 1998-07-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic recording medium having a carbon protective film containing nitrogen and oxygen and overcoated with a lubricant
JP2000309324A (ja) * 1994-08-11 2000-11-07 Kirin Brewery Co Ltd 炭素膜コーティングプラスチック容器
WO2017183313A1 (ja) * 2016-04-22 2017-10-26 株式会社ユーテック ガス供給装置、成膜装置、ガス供給方法、炭素膜の作製方法及び磁気記録媒体の製造方法

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