JP2003296919A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2003296919A
JP2003296919A JP2002194789A JP2002194789A JP2003296919A JP 2003296919 A JP2003296919 A JP 2003296919A JP 2002194789 A JP2002194789 A JP 2002194789A JP 2002194789 A JP2002194789 A JP 2002194789A JP 2003296919 A JP2003296919 A JP 2003296919A
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Kenji Kuwabara
賢次 桑原
Taiji Shinokawa
泰治 篠川
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行耐久性等の実用信頼性を向上させた、優
れた電磁変換特性を有する薄手の磁気テープを得る。 【解決手段】 非磁性支持体(1)の一方の面に、強磁
性金属薄膜(2)、炭素膜(3)および潤滑剤層(4)
をこの順に形成し、他方の面に補強層(5)として、表
面に不動態皮膜を有するニッケル薄膜またはニッケル合
金薄膜を形成して磁気記録媒体全体の剛性を向上させる
とともに、潤滑剤層(4)を、A)I)分子内にパーフ
ルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基、
およびアルキル基またはアルケニル基を有する含フッ素
モノカルボン酸;B)I)群から選ばれた化合物および
II)分子内に含フッ素有機基を有する含フッ素カルボン
酸エステルから選ばれた化合物;またはC)I)群から
選ばれた化合物およびIII)パーフルオロポリエーテル
鎖を有する化合物を含む潤滑剤で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度磁気記録に
適した磁気記録媒体ならびにその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記録
および再生機器のデジタル化、小型化、および使用時間
の長時間化等の高性能化に伴い、それに適した高密度磁
気記録媒体の開発が活発に行なわれている。最近では、
塗布型磁気記録媒体に代わって、短波長記録に極めて有
利な金属薄膜型磁気記録媒体が高密度磁気記録媒体とし
て実用化されている。一般に、金属薄膜型磁気記録媒体
とは、非磁性支持体上に記録層として強磁性金属薄膜か
らなる磁性層を設け、磁性層上に保護膜および潤滑剤層
を設けたテープおよびディスク等をいう。
【0003】金属薄膜型磁気テープ(「MEテープ」と
も呼ぶ)の中でも特に、コバルト系金属の斜方蒸着膜を
磁性層として非磁性支持体(通常、ポリマー基板)上に
形成し、さらに当該磁性層の上に例えばダイヤモンドラ
イクカーボン(DLC)で保護膜を形成したものは、電
磁変換特性、保存性、および実用信頼性等において優れ
た特性を示すことが知られている。現在、MEテープは
デジタル映像記録機器であるDV方式のムービー等に使
用され、また、コンピュータのデータストレージ用テー
プとしても用いられている。MEテープの磁性層は真空
蒸着により形成されるため、その厚さは一般に小さい。
したがって、MEテープは従来の塗布型テープよりもテ
ープ全体の厚さが小さいという特徴を有する。この特徴
により、MEテープは塗布型テープよりも所定寸法のパ
ッケージにより多く装填され得るから、MEテープは上
記の特性に加え、大容量記録を可能にするという利点を
も有する。
【0004】しかし、磁気テープの性能向上に関する要
求は厳しく、MEテープにも更なる改善が必要とされて
いる。例えば、DV方式のムービー等に使用するMEテ
ープは、MEテープを収納するビデオカセットの小型化
に伴い、より小型で、より長時間記録が可能であること
が常に望まれている。また、近年の情報量の増大化に伴
い、データストレージ機器で使用するMEテープに対し
ては更なる大容量化が望まれている。
【0005】これらの要求に応えるために、MEテープ
をより薄くすることが試みられている。MEテープのよ
うな磁気テープの厚さを薄くする最も効果的な方法は、
磁気テープの厚さの多くを占める非磁性支持体、即ちポ
リマー基板の厚さを薄くすることである。しかし、非磁
性支持体の厚さを小さくすると、剛性が低下しやすく、
実用上、次のような問題が生じる場合がある。
【0006】第1に走行耐久性が十分でないという問題
がある。走行耐久性が十分でないとは、具体的には、テ
ープを繰り返し走行させたときに、テープ折れ、テープ
変形(例えば、テープ幅方向の端部におけるワカメ状の
変形)、およびテープ破断が生じやすいことを意味す
る。走行耐久性が不十分であると再生信号が不安定にな
る傾向にある。
【0007】テープに折れおよび変形等が生じる理由
を、デジタルビデオカメラで磁気テープを走行させる場
合を例に挙げて説明する。デジタルビデオカメラにおい
て、磁気テープはドライブの各種ポストに対して一定の
角度で巻き付けられて走行し、さらに、各種ポストの高
さ方向の位置を規制するために設けられた下側規制ポス
トおよび上側規制ポストの一部に沿って走行する。下側
規制ポストまたは上側規制ポストにおいて、磁気テープ
は、一方の表面ならびに一方の側面(エッジ面)がポス
トと摺動している状態にある。ポストと摺動している面
のうち、側面はポストとの接触面積が極めて小さい。そ
のため、磁気テープの剛性が小さいと、磁気テープはポ
ストとの摺動中に側面に加わる力に対して十分に抗し得
ず、その結果、テープの折れおよび変形等が生じ、最悪
の場合にはテープが破断する。
【0008】第2に、エンベロープ不良が発生するとい
う問題がある。エンベロープ不良は、テープ状の磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの接触状態が不良であることに起
因して生じる。エンベロープ不良は、再生信号の品質低
下をもたらす。
【0009】これらの問題を回避する方法の1つとし
て、剛性の大きいポリマー基板を使用することが挙げら
れる。通常、ポリマー基板としてはポリエチレンテレフ
タレートのフィルムを使用する場合が多い。これを、例
えば、剛性のより大きいポリエチレンナフタレートまた
はポリアミドのフィルムとすることで、厚さを小さくす
ることが可能となる。例えば、デジタルビデオカメラ用
のMEテープを製造する場合、ポリエチレンテレフタレ
ートを基板として用いると、テープの全厚は7μm程度
となり、所定寸法のパッケージに60分記録が可能な長
さのテープを収容できる。一方、ポリエチレンナフタレ
ートまたはポリアミドを基板として用いると、テープの
全厚は5.4μm程度となるため、同寸法のパッケージ
に80分記録が可能な長さのテープを収容できる。
【0010】このように、非磁性支持体の素材を適宜選
択することによって、テープをある程度薄くし得るが、
更に薄い磁気テープを提供することを目的として、ある
いは曲げ剛性は小さいがコスト的に有利な汎用素材から
成るポリマー基板を用いて薄い磁気テープを製造するこ
とを目的として、非磁性支持体の磁性層が形成されてい
る面とは反対側の面に、補強層(バックコート層とも称
される)を形成して剛性を確保することが予てより提案
されている。例えば、特開平10−27328号公報で
は、非磁性支持体の一方の面に強磁性金属薄膜が形成さ
れ、他方の面にAl、Si等からなるバックコート層を
設けた磁気記録媒体が提案されている。特開平11−2
83234号公報では、非磁性支持体の一方の面に強磁
性金属薄膜が形成され、他方の面にCu、Al、Ni、
Crおよびこれらの合金から成る金属薄膜等を設けた磁
気記録媒体が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このようにテープ状の
磁気記録媒体をより薄くするために、予てより種々の手
段が提案および採用されている。しかしながら、先にも
述べたように、磁気記録媒体の性能向上は常に望まれて
おり、従来の磁気テープに対しては、特に変形、即ち走
行耐久性の点において一層の改善が望まれている。
【0012】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
であり、薄型化され、かつ、優れた走行性耐久性および
電磁変換特性を有する磁気記録媒体およびその製造方法
を提供することを課題とする。この課題を解決するため
の手段を以下に説明する。
【0013】以下の説明を含む本明細書において、磁気
記録媒体の構成に関して、磁気記録媒体を構成する各層
または膜の「表面」とは、各層または膜が形成されたと
きに露出している面、即ち、各層または膜の非磁性支持
体から遠い側の面を意味する。磁気記録媒体の構成に関
して、磁気記録媒体を構成する各層または膜の「上に」
というときは、特に断りのない限り、各層または膜の
「非磁性支持体から遠い側の面の上に」を意味する。し
たがって、例えば、「磁性層の上に」というときは、
「磁性層の非磁性支持体から遠い側の面に隣接する位置
に」を意味する。反対に、「磁性層の下に」というとき
は、「磁性層の非磁性支持体に近い側の面に隣接する位
置に」を意味する。
【0014】また、磁気記録媒体の「磁性層側表面」お
よび「補強層側表面」とは、それぞれ非磁性支持体の2
つの面を基準としたときに磁性層および補強層が形成さ
れた側の磁気記録媒体の露出表面をいう。したがって、
例えば、非磁性支持体の一方の面に形成された磁性層の
上に炭素膜および潤滑剤層が形成されている場合には、
潤滑剤層の露出表面が「磁性層側表面」に相当する。非
磁性支持体の他方の面に形成された補強層の上に別の層
(例えば潤滑剤層)が形成されているときは、その別の
層の露出表面が「補強層側表面」に相当する。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、非磁性支持体の一方の面に磁性層が形成
され、非磁性支持体の他方の面に補強層が形成されて成
る磁気記録媒体であって、補強層が表面に不動態皮膜を
有するニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜である磁気
記録媒体を提供する。
【0016】本発明の磁気記録媒体は、その補強層が、
表面に不動態皮膜を有するニッケル薄膜またはニッケル
合金薄膜であることを特徴とする。ここで、ニッケル合
金とは、ニッケルを主成分として50重量%以上含む合
金をいう。ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜は剛性
および靭性が大きいため、磁気記録媒体において優れた
補強効果を奏する。具体的には、ニッケルまたはニッケ
ル合金薄膜が存在することによって磁気記録媒体の曲げ
剛性および捩り剛性が大きくなるので、走行中、磁気記
録媒体を変形させようとする力(例えば、曲げようとす
る力)が加えられても、その力に抗し得る。その結果、
例えば、磁気記録媒体が上側または下側規制ポストに沿
って進行し、その側面に大きな力が加わる場合でも、磁
気記録媒体に変形や折れが生じにくくなり、それらに起
因する走行耐久性の低下が有効に抑制される。さらに、
磁気記録媒体の曲げ剛性および捩り剛性が大きくなるこ
とによって磁気記録媒体と磁気ヘッドとの当たりが良好
となるので、本発明の磁気記録媒体は優れたエンベロー
プ特性を示す。
【0017】ニッケルは広範囲な環境条件下で不動態化
し、その結果、表面に不動態皮膜が生成され、優れた耐
食性を示す。ニッケル合金もまた、主成分であるニッケ
ルの不動態化により、その表面に不動態皮膜が生成され
やすい。さらに、ニッケル合金が、Crおよび/または
Feを含む場合、CrおよびFeはいずれも不動態化
し、しかも各不動態化領域が異なるために、各成分は補
い合って広範囲の不動態化領域を形成し(即ち、ニッケ
ル合金が不動態化する環境条件の範囲を広くし)、その
結果、ニッケル合金は種々の環境条件において優れた耐
食性を示す。不動態化したニッケル薄膜またはニッケル
合金薄膜の表面に生成される不動態皮膜は酸化物から成
り、その厚さは1.5nm〜10nmと推定される。
【0018】ニッケルまたはニッケル合金は、特別な処
理を施さなくとも酸素あるいは水分の作用により自然に
不動態化する、即ち、自己不動態化する。したがって、
不動態皮膜は、ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜を
形成した後、当該薄膜を空気中に例えば3〜6日間放置
することにより生成される。不動態皮膜の生成に要する
時間は、例えば高湿度雰囲気中に保存することにより短
縮される。ニッケルまたはニッケル合金薄膜の表面に存
在する不動態皮膜には、後述するカルボキシル基を有す
る潤滑剤が吸着しやすいので、表面に不動態皮膜を有す
るニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜である補強層の
上にそのような潤滑剤を含む潤滑剤層を形成すれば、磁
気記録媒体の耐久性をより向上させることができる。
【0019】補強層をニッケル合金で形成する場合、ニ
ッケル合金は常套のニッケル合金であってよい。具体的
には、ニッケル合金は、主成分であるNiのほか、F
e、Cr、MoおよびCuから選択される1または複数
の金属を含む。本発明においては、磁気記録媒体の走行
安定性および耐食性の点から、Feおよび/またはCr
を含むニッケル合金が好ましく用いられる。還元環境に
強い合金を得るためには、Moおよび/またはCuを含
むことが好ましい。ニッケル合金は、例えば、Ni−C
r−Fe系合金、Ni−Mo−Cr系合金、Ni−Cu
系合金、およびNi−Cr−Mo−Cu系合金から選択
される。
【0020】ニッケル合金がFeを含む場合、その添加
率は1〜26重量%であることが好ましく、Crを含む
場合、その添加率は14〜23重量%であることが好ま
しく、Moを含む場合、その添加率は4〜18重量%で
あることが好ましく、Cuを含む場合、その添加率は2
〜32重量%であることが好ましい。ニッケル合金が、
これらの金属を2以上含む場合には、各金属の添加率
は、上記の範囲内にあり、かつニッケルの占める割合が
50重量%以上となるように選択する。
【0021】ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜の厚
さは0.05〜1.0μmであることが好ましい。ニッ
ケル薄膜またはニッケル合金薄膜の厚さが0.05μm
未満であると補強効果を得ることができず、1.0μm
を超えるとクラックが生じやすくなる。
【0022】本発明の磁気記録媒体は特に金属薄膜型磁
気記録媒体に好ましく適用できる。したがって、本発明
の磁気記録媒体において磁性層は強磁性金属薄膜である
ことが好ましい。
【0023】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の上に形
成された炭素膜および炭素膜の上に形成された潤滑剤層
を更に有することが好ましい。炭素膜は保護層として磁
性層を保護し、潤滑剤層は磁気記録媒体の走行性を向上
させる。潤滑剤層は補強層の上にも形成されていること
が更に好ましい。補強層の上に潤滑剤層が形成された磁
気記録媒体は、走行性がより向上したものとなる。
【0024】本発明の磁気記録媒体は、少なくとも1つ
の潤滑剤層が、下記のA)、B)またはC)の潤滑剤: A)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
ロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル基と
を有する、下記一般式(a)および(b)で示される化
合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤滑
剤; B)I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフ
ルオロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル
基とを有する、下記一般式(a)および(b)で示され
る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;なら
びにII)下記一般式(c)で示される化合物から選ばれ
る少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤 C)I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフ
ルオロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル
基とを有する、下記一般式(a)および(b)で示され
る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;なら
びにIII)下記一般式(d)、(e)および(f)で示
される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を
含む潤滑剤 を含んで成るものであることが好ましい。
【0025】
【化11】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
または1である)
【0026】
【化12】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、Rは−O−または−S−を示し、
cは0〜20の整数であり、dは0または1である)
【0027】
【化13】 (式中、Rは含フッ素有機基を示し、Rはアルキル
基またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
る)
【0028】
【化14】 (式中、e、gは1以上の整数である)
【0029】
【化15】 (式中、i、jは1以上の整数である)
【0030】
【化16】 (式中、k、mは1以上の整数であり、Rは炭素数4
〜22のアルキル基である)
【0031】「少なくとも1つの潤滑剤層」とは、炭素
膜の上にのみ潤滑剤層が形成されている場合には、その
潤滑剤層を、炭素膜および補強層の両方に潤滑剤層が形
成されている場合には、いずれか一方の潤滑剤層または
両方の潤滑剤層を示す。上記A)、B)またはC)の潤
滑剤は、好ましくは両方の潤滑剤層に含まれる。
【0032】本発明の磁気記録媒体の潤滑剤層が上記
A)、B)またはC)の潤滑剤を含むということは、換
言すれば、本発明の磁気記録媒体の潤滑剤層が、 I)一般式(a)および(b)で示される含フッ素モノ
カルボン酸から選択される少なくとも1種類の化合物を
必ず含み、さらに必要に応じて、 II)一般式(c)で示される含フッ素カルボン酸エステ
ルから選択される少なくとも1種の化合物、または III)一般式(d)、(e)および(f)で示される、
分子内にパーフルオロポリエーテル鎖を有する化合物か
ら選択される少なくとも1種類の化合物を含むというこ
とである。
【0033】炭素膜の上に形成された潤滑剤層がI)群
から選択される化合物を含むことにより、潤滑剤層の炭
素膜への付着強度が向上し、かつ優れた潤滑性能が磁気
記録媒体に付与される。補強層の上に形成された潤滑剤
層がI)群から選択される化合物を含むことにより、磁
気記録媒体の潤滑性能がさらに向上する。本発明の磁気
記録媒体においては補強層が表面に不動態皮膜を有する
ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜であるため、一般
式(a)および(b)で示されるカルボキシル基を有す
る化合物を使用すれば、潤滑剤層と補強層との間の付着
強度を大きくすることができる。
【0034】I)群から選択される化合物は、補強層表
面の不動態皮膜に吸着されやすい。そのため、I)群か
ら選択される化合物を含む潤滑剤層が炭素膜の上に形成
されている場合において、本発明の磁気記録媒体が、テ
ープ状磁気記録媒体(例えばMEテープ)のように、補
強層側表面と磁性層側表面とが接するように製造および
保管されると、その間に磁性層側表面の潤滑剤層が補強
層側表面に移り、補強層側表面にも潤滑剤が付着した状
態が得られる。それにより、補強層側表面も良好な潤滑
特性を示し、磁気記録媒体の性能向上に寄与する。即
ち、本発明の磁気記録媒体は、その炭素膜の上に形成さ
れた潤滑剤層がI)群から選択される化合物を含む場
合、補強層上に潤滑剤層を形成する工程によらずとも、
補強層の上に潤滑剤が付着する構成をとり、その結果、
媒体の走行性および潤滑特性はより向上することとな
る。このようにして補強層の上に付着する潤滑剤は僅か
であり、潤滑剤層として明確に認識できないことがある
が、そのような僅かな量の潤滑剤の付着によっても、磁
気記録媒体の性能は向上する。
【0035】さらに、II)群またはIII)群から選択さ
れる化合物を潤滑剤の構成成分とすることにより、磁気
記録媒体を使用している間に飛散する潤滑剤の量が少な
くなるという利点がもたらされる。
【0036】このように、炭素膜の上に形成された潤滑
剤層が上記特定の潤滑剤を含む場合、潤滑剤層のその下
に位置する炭素膜への付着強度が向上し、かつ優れた潤
滑特性が磁気記録媒体に付与される。そしてこれらの相
乗効果により、電磁変換特性が損なわれることなく、向
上した走行耐久性を有し、また、使用中の潤滑剤の飛散
が極めて少ない、実用信頼性の高い磁気記録媒体が得ら
れる。
【0037】一方、補強層の上に形成された潤滑剤層が
上記潤滑剤を含む場合(炭素膜の上に形成された潤滑剤
層中の潤滑剤が補強層表面に付着した場合を含む)、補
強層である不動態化したニッケル薄膜またはニッケル合
金薄膜に潤滑剤が強固に付着し、かつ優れた潤滑特性が
磁気記録媒体に付与される。したがって、炭素膜および
補強層の上に形成された潤滑剤層がともに上記特定の潤
滑剤を含むと、2つの潤滑剤層の相乗効果により、さら
に走行耐久性が向上し、また、使用中の潤滑剤の飛散が
さらに少ない、より実用信頼性の高い磁気記録媒体が得
られる。
【0038】本発明の磁気記録媒体の好ましい態様にお
いては、炭素膜がその表層部に含窒素プラズマ重合膜を
有し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形
成されている。含窒素プラズマ重合により炭素膜の表層
部にアミノ基が存在することとなり、その結果、潤滑剤
層と炭素膜の間の付着強度がより大きくなり、磁気記録
媒体の耐久性がより向上することとなる。さらに、潤滑
剤層が上記特定の含フッ素化合物を含有する場合には、
含窒素プラズマ重合膜と潤滑剤層とが相俟って、電磁変
換特性が損なわれることなく走行耐久性が向上した、優
れた潤滑特性を有する磁気記録媒体の提供を可能にす
る。かかる磁気記録媒体は、その実用信頼性が極めて高
いものである。
【0039】本発明の磁気記録媒体の好ましい態様にお
いて、非磁性支持体は長尺状であり、その厚さは5μm
未満、その長手方向(長尺物の巻取り方向に相当)およ
び幅方向のヤング率はそれぞれ5.0GPa以上および
9.3GPa以上である。長尺状の非磁性支持体の長手
方向および幅方向のヤング率は、それぞれ非磁性支持体
の長手方向(「長さ方向」とも呼ぶ)および幅方向を引
っ張り方向として引張試験し、次の式に基づいて算出さ
れる。
【0040】
【数1】E=(W・L)/(A・△l) (式中、Eはヤング率(Pa)、Wは弾性限内の荷重
(N)、Lは引張試験前の標線間距離(m)、Aは試料
の引張試験前の断面積(m)、△lは荷重Wにおける
標線間伸び(m)を示す)
【0041】非磁性支持体の厚さが5μmを超えると、
得られる磁気記録媒体は十分に薄型化されたものである
とはいえない。また、非磁性支持体のヤング率を上記の
ように規定することにより、磁気記録媒体の長手方向お
よび幅方向の機械的強度が向上する。その結果、磁気記
録媒体の変形が有効に抑制されて走行耐久性が向上す
る。これらの厚さおよびヤング率の条件を満たす非磁性
支持体としては、例えば、ポリエチレンナフタレートま
たはポリアミドから成るフィルムがある。
【0042】さらに、本発明は、少なくとも1つの潤滑
剤層が上記特定の潤滑剤を含んで成る磁気記録媒体の製
造方法を提供する。「少なくとも1つの潤滑剤層」の意
味は先に説明したとおりである。
【0043】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上記
特定の潤滑剤A)、B)またはC)を用いて、炭素膜お
よび/または補強層の上に潤滑剤層を形成する工程に特
徴を有する。それ以外の製造工程は、従来から磁気記録
媒体の製造に用いられている工程であってよい。本発明
の製造方法における潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系
溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に上述の特定
の潤滑剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10
〜40%の範囲内にある環境下において炭素膜および/
または補強層上に塗布し、混合有機溶媒を乾燥させる工
程を含むことを特徴とする。
【0044】炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合
有機溶媒を用い、潤滑剤を含む塗布液を特定の湿度条件
下で塗布することにより、潤滑剤層と炭素膜および/ま
たは補強層との間の付着強度が向上し、かつ塗布ムラが
極めて少ない均一な薄い潤滑剤層が形成され得る。よっ
て本発明の製造方法によれば、優れた潤滑性能を有する
実用信頼性の高い磁気記録媒体を得ることが可能であ
る。
【0045】上記本発明の製造方法において、炭化水素
系溶媒とアルコール系溶媒との混合割合は重量比で1:
9〜9:1の範囲内にあることが好ましい。この範囲で
両者を混合すると、塗布ムラが極めて少なくなる。この
範囲で両者を混合することはまた、コスト面でも有利で
ある。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体
の一態様である金属薄膜型磁気テープの断面図である。
この磁気テープ(10)は、非磁性支持体(1)の一方
の面に磁性層(2)としての強磁性金属薄膜、炭素膜
(3)および潤滑剤層(4)がこの順に形成され、他方
の面にニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜から成る補
強層(5)が形成されたものである。したがって、その
構造は、下から順に補強層(5)、非磁性支持体
(1)、磁性層(2)、炭素膜(3)および潤滑剤層
(4)が積層された構造となっている。図示していない
が、補強層(5)はその表面(即ち、非磁性支持体と接
していない側の面)に不動態皮膜を有する。
【0047】本発明の磁気記録媒体は、補強層(5)が
表面に不動態皮膜を有するニッケル薄膜またはニッケル
合金薄膜であることを特徴とする。
【0048】補強層(5)を構成するのに適したニッケ
ル合金は、具体的には、1)Ni−Cr−Fe系のニク
ロム、インコネル600、2)Ni−Mo−Cr系のハ
ステロイC、ハステロイF、3)Ni−Cu系のモネル
400、4)Ni−Cr−Mo−Cu系のイリウムG、
イリウムR等である。
【0049】補強層をニッケル合金薄膜とする場合、補
強層は、複数種のニッケル合金が混合した形態であって
よい。また、補強層は、単層膜の形態(複数種のニッケ
ル合金が混合した単層膜を含む)であってもよく、ある
いは複数種の膜が積層された形態であってもよい。ある
いは、補強層はニッケル薄膜とニッケル合金薄膜とが積
層された形態であってよい。いずれの形態をとる場合
も、補強層であるニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜
の厚さは0.05〜1.0μmであることが好ましく、
0.07μm〜0.5μmであることがより好ましい。
【0050】ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜は、
ニッケルまたはニッケル合金に所定範囲の入射角で電子
ビームを照射して蒸発させ、これを、キャン状回転体ま
たはベルト状支持体等の冷却回転支持体に沿って移動す
る非磁性支持体上に蒸着させて形成することができる。
それ以外にも、例えば、抵抗加熱法もしくは外熱るつぼ
法等で加熱して実施する蒸着、イオンプレーティングも
しくはスパッタリング等によりニッケル薄膜またはニッ
ケル合金薄膜を形成できる。
【0051】具体的な蒸着条件は、るつぼの大きさおよ
びライン速度等に応じて適宜設定される。例えば、50
0mm幅の非磁性支持体を30〜80m/分の速度で移
動させる場合は、圧力が1.33×10−2〜1.33
×10−4Pa(1×10 〜1×10−6Tor
r)である真空槽内にて、70kWの電子ビームを照射
して蒸着を実施するとよい。
【0052】ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜から
成る補強層(5)の表面には、ポリウレタン、ニトロセ
ルロース、ポリエステル、カーボンおよび炭酸カルシウ
ム等から選ばれる1もしくは複数の材料から成るバック
コート層を更に形成してもよい。その厚さは約500n
mとすることが好ましい。バックコート層は、例えば、
前記材料を適当な溶媒(例えば、トルエンとメチルエチ
ルケトンの混合溶媒)に溶解および分散させた塗布液を
補強層に塗布した後、乾燥して溶媒を蒸発させる湿式塗
布法により形成できる。
【0053】図示した態様の磁気記録媒体においては、
磁性層の上に炭素膜(3)および潤滑剤層(4)が形成
されている。潤滑剤層(4)は、下記のA)、B)また
はC)の潤滑剤、即ち、 A)上記一般式(a)および(b)で示される化合物か
ら選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤; B)I)上記一般式(a)および(b)で示される化合
物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびにI
I)上記一般式(c)で示される化合物から選ばれる少
なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤;または C)I)上記一般式(a)および(b)で示される化合
物から選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびにII
I)上記一般式(d)、(e)および(f)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤
滑剤を含んで成ることが好ましい。
【0054】潤滑剤層が、上記B)の潤滑剤を含む場合
において、第I群、即ち、一般式(a)および(b)で
示される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合
物;ならびに第II群、即ち、一般式(c)で示される化
合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物は、モル比
で1:9〜8:2の範囲で混合されることが好ましく、
1:9〜5:5の範囲で混合されることがより好まし
い。
【0055】潤滑剤B)において、第I群から選ばれる
化合物の占める割合が小さいと磁気記録媒体の潤滑性能
が低下するおそれがある。第II群から選ばれる化合物の
占める割合が小さいと、潤滑剤層の炭素膜への付着強度
が低下するおそれがある。
【0056】潤滑剤層が、上記C)の潤滑剤を含む場合
においても、第I群、即ち、一般式(a)および(b)
で示される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合
物;ならびに第III群、即ち、一般式(d)〜(f)で
示される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物
は、モル比で1:9〜8:2の範囲で混合されることが
好ましく、1:9〜5:5の範囲で混合されることがよ
り好ましい。潤滑剤C)においても、第I群から選ばれ
る化合物の占める割合が小さいと磁気記録媒体の潤滑性
能が低下するおそれがある。第III群から選ばれる化合
物の占める割合が小さいと、潤滑剤層の炭素膜への付着
強度が低下するおそれがある。
【0057】潤滑剤層は補強層の上にも形成してよい。
図2に、補強層(5)の上に潤滑剤層(6)が形成され
た磁気記録媒体(20)の態様を示す。図2において、図
1で使用された符号と同じ符号は、図1においてそれら
が表す要素と同じ要素を表す。
【0058】補強層の上に形成される潤滑剤層もまた、
炭素膜の上に形成される潤滑剤層と同様、上記潤滑剤
A)、B)またはC)を含んで成るものであることが好
ましい。補強層の上に形成される潤滑剤層がB)または
C)の潤滑剤を含んで成る場合、第I群から選ばれる化
合物および第II群から選ばれる化合物の好ましい混合割
合は、炭素膜の上に形成される潤滑剤層に関して先に説
明したとおりである。
【0059】以下に、上記一般式(a)〜(f)で示さ
れる化合物について説明する。説明は、磁性層の上に形
成された炭素膜の上に形成された潤滑剤層に、各化合物
が含まれる場合を想定して行う。
【0060】一般式(a):
【化17】 で示される化合物は一つのカルボキシル基を有する含フ
ッ素カルボン酸モノエステルともいえるものである。こ
の化合物は、例えば、コハク酸のようなジカルボン酸に
含まれる二つのカルボキシル基のうち、一つのカルボキ
シル基をエステルにすることにより得られる。
【0061】一般式(a)において、Rはアルキル基
またはアルケニル基であり、Rはパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロポリエーテル基である。aは通
常0〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数で
ある。bは0または1である。
【0062】一般式(a)におけるRの炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を超
える場合には、磁気記録媒体の潤滑性が低下することが
ある。Rは、直鎖状であっても、枝分かれしたもので
あってもよい。
【0063】Rがパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は6〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。Rは、直鎖状であっ
ても、枝分かれしたものであってもよい。Rがパーフ
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000であることが好ましく、約300〜約4
000であることがより好ましい。分子量が200未満
である場合または6000を超える場合には、磁気記録
媒体の潤滑性および保存信頼性が低下する場合がある。
【0064】Rがパーフルオロポリエーテル基である
場合、そのパーフルオロポリエーテル基は、下記の一般
式(g)、(h)および(i)のいずれかで示されるも
のであることが好ましい。下記のパーフルオロポリエー
テル基を有する化合物を含む潤滑剤が金属薄膜型磁気記
録媒体の潤滑剤層に含まれる場合には、潤滑剤層の炭素
膜への付着強度がより向上し、かつより優れた潤滑特性
が磁気記録媒体に付与される。そしてこれらの相乗効果
により、電磁変換特性が損なわれることなく、向上した
走行耐久性を有し、また、使用中の潤滑剤の飛散が極め
て少ない、実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0065】一般式(g):
【化18】 においてqは1以上の整数である。
【0066】一般式(h):
【化19】 においてrおよびtは1以上の整数である。
【0067】一般式(i):
【化20】 において、Rはパーフルオロアルキル基を示し、uは
1〜6の整数であり、vは1〜30の整数である。v
は、より好ましくは1〜8である。Rの炭素数は、1
〜30であることが好ましく、1〜8であることがより
好ましい。また、R は、直鎖状であっても、枝分かれ
したものであってもよい。
【0068】一般式(g)、(h)および(i)におけ
るq、r、t、uおよびvが上記の範囲外であると、そ
のようなパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を
含む潤滑剤が磁気記録媒体の潤滑剤層に含まれる場合
に、当該磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼性が低下
することがある。また、q、r、t、uおよびvならび
にRの炭素数は、パーフルオロポリエーテル基の分子
量が上述の好ましい範囲、すなわち約200〜約600
0、より好ましくは約300〜約4000の範囲内にあ
るように、適宣選択することが好ましい。
【0069】一般式(b):
【化21】 で示される化合物において、Rはアルキル基またはア
ルケニル基であり、Rはパーフルオロアルキル基また
はパーフルオロポリエーテル基である。Rは酸素原子
または硫黄原子である。cは通常0〜20の整数であ
り、好ましくは1〜10の整数である。dは0または1
である。
【0070】一般式(b)におけるRの炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を超
える場合には、磁気記録媒体の潤滑性が低下することが
ある。Rは直鎖状であっても、枝分かれしたものであ
ってもよい。
【0071】Rがパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。Rは直鎖状であって
も、枝分かれしたものであってもよい。Rがパーフル
オロポリエーテル基である場合、その分子量は約200
〜約6000であることが好ましく、約300〜約40
00であることがより好ましい。分子量が200未満で
ある場合または6000を超える場合には、磁気記録媒
体の潤滑性および保存信頼性が低下する場合がある。
【0072】Rがパーフルオロポリエーテル基である
場合には、一般式(a)におけるR と同様、Rは上
記一般式(g)、(h)および(i)のいずれかで示さ
れる基であることが好ましい。一般式(g)、(h)お
よび(i)については先に一般式(a)に関連して説明
したとおりであり、ここではその説明を引用することに
より、詳細な説明を省略する。
【0073】次に一般式(c)で示される含フッ素カル
ボン酸エステルについて説明する。
【0074】一般式(c):
【化22】 において、Rは含フッ素有機基を示し、Rはアルキ
ル基またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数で
ある。
【0075】ここで、「含フッ素有機基」とは、有機基
の水素の1又は複数がフッ素原子で置換されたものをい
う。Rは、好ましくは、フルオロアルキル基、フルオ
ロアルケニル基、フルオロエーテル基、またはフルオロ
ポリエーテル基であり、より好ましくは、パーフルオロ
アルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロ
エーテル基、またはパーフルオロポリエーテル基であ
る。Rの炭素数は4〜14であることが好ましく、6
〜12であることがより好ましい。Rは、直鎖状であ
っても、枝分かれしたものであってもよい。一般式
(c)において、nは1〜6であることがより好まし
い。
【0076】Rの炭素数は8〜22であることが好ま
しく、12〜18であることがより好ましい。Rは、
直鎖状であっても、枝分かれしたものであってもよい。
【0077】次に、上記一般式(d)、(e)および
(f)で示される両末端に極性基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系化合物について説明する。 一般式(d):
【化23】 で示される化合物は、分子の両末端に水酸基を有する。
【0078】一般式(d)において、eおよびgはいず
れも1以上の整数である。また、eおよびgは、分子内
のパーフルオロポリエーテル鎖、即ち、−CFO(C
O)(CFO)CF−の分子量が、好ま
しくは約200〜約6000、より好ましくは約300
〜4000の範囲内にあるように選択される。分子量が
200未満である場合または6000を超える場合に
は、磁気記録媒体の潤滑性及び保存信頼性が低下する場
合がある。
【0079】一般式(e):
【化24】 で示される化合物は、分子の両末端にカルボキシル基を
有する。
【0080】一般式(e)において、iおよびjはいず
れも1以上の整数である。また、iおよびjは、分子内
のパーフルオロポリエーテル鎖、即ち、−CFO(C
O)(CFO)CF−の分子量が、好ま
しくは約200〜約6000、より好ましくは約300
〜4000の範囲内にあるように選択される。この範囲
の分子量が好ましい理由は先に一般式(d)に関して説
明したとおりである。
【0081】一般式(f):
【化25】 で示される化合物は、分子の両末端にアシルオキシル基
を有する。
【0082】一般式(f)においてkおよびmはいずれ
も1以上の整数である。Rは炭素数4〜22のアルキ
ル基であり、より好ましくは炭素数12〜22のアルキ
ル基である。Rは直鎖状であっても、枝分かれしたも
のであってもよい。kおよびmは分子内のパーフルオロ
ポリエーテル鎖、即ち、−CFO(CO)
(CFO)CF−の分子量が、好ましくは約2
00〜約6000、より好ましくは約300〜4000
の範囲内にあるように選択される。この範囲の分子量が
好ましい理由は先に一般式(d)に関して説明したとお
りである。
【0083】一般式(d)、(e)および(f)で示さ
れる化合物は、一般式(d)におけるeおよびg、一般
式(e)におけるiおよびj、ならびに一般式(f)に
おけるkおよびmが、上記の条件を満たす限りにおい
て、従来公知の、または市販されているパーフルオロポ
リエーテル系化合物であってよく、あるいはそれを所定
の化学反応に付して得たものであってよい。例えば、一
般式(d)で示される化合物として、Ausimont
社製のFomblin Z DOLがあり、一般式
(e)で示される化合物として、Ausimont社製
のFomblin ZDIACがある。また、一般式
(f)で示される化合物は、前記のAusimont社
製のFomblin Z DOLと、RCOOHで示
されるカルボン酸とをエステル化反応させることにより
得られる。
【0084】炭素膜の上に形成される潤滑剤層は、一般
式(a)〜(f)で示される化合物に加えて、それ以外
の成分、例えば、防錆剤、または従来公知の潤滑剤をさ
らに含む潤滑剤で形成してよい。その場合、一般式
(a)〜(f)で示される化合物以外の成分が占める割
合は、潤滑剤の全量中、20重量%未満であることが好
ましく、10重量%未満であることがより好ましい。2
0重量%以上であると、良好な潤滑特性を磁気記録媒体
に付与することができない場合がある。
【0085】補強層の上に形成される潤滑剤層もまた、
一般式(a)〜(f)で示される化合物に加えて他の成
分を含む潤滑剤で形成してよい。他の成分が占める好ま
しい割合は炭素膜の上に形成される潤滑剤層に関して説
明した割合と同一である。
【0086】潤滑剤層(4)中には、上記特定の含フッ
素化合物を含む潤滑剤が潤滑剤層の表面1m当たり
0.5〜30mg含まれることが好ましく、1.5〜1
5mg含まれることがより好ましい。潤滑剤層にこのよ
うな少量の化合物を均一に存在させるために、潤滑剤層
(4)は次の方法で形成することが望ましい。
【0087】潤滑剤層(4)は、常套の材料および手段
を用いて非磁性支持体(1)の上に強磁性金属薄膜
(2)および炭素膜(3)をこの順に形成した後、炭素
膜(3)上に形成する。潤滑剤層(4)の形成工程は、
潤滑剤を炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合有機
溶媒に溶解して塗布液を調製し、これを相対湿度が10
〜40%の範囲内にある環境下で炭素膜(3)に塗布す
る工程を含む。
【0088】本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例
えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等
であり、本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアル
コールおよびイソプロピルアルコール等の低級アルコー
ルである。混合有機溶媒は、具体的には、トルエンとイ
ソプロピルアルコールの混合溶媒、ヘキサンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒、またはヘプタンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒であることが好ましい。アル
コール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが生じやす
く、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎると不経済
であるため、両者は混合割合が重量比で1:9〜9:1
の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲となるように
混合して使用することが好ましい。
【0089】塗布液の濃度および塗布厚は、溶媒が蒸発
した後に炭素膜(3)上に形成される潤滑剤層(4)の
厚さが所望の厚さになるように選択する。一般には、潤
滑剤の濃度が100ppm〜4000ppmである塗布
液を、1μm〜50μmの厚みで塗布することが好まし
い。
【0090】塗布液は、相対湿度が10〜40%の範囲
内にある環境下で塗布することが好ましい。相対湿度が
10%未満では静電気が発生しやすく、また、そのよう
な湿度の環境を作るための設備に費用がかかるという問
題がある。相対湿度が40%を超えると塗布ムラが生じ
やすくなるという問題がある。
【0091】潤滑剤層(4)は潤滑剤の種類等に応じて
最適膜厚が決定され、その厚さは一般に3〜5nmであ
る。塗布方法はバーコーティング法、グラビアコーティ
ング法、リバースロールコーティング法、ダイコーティ
ング法、ディピッング法およびスピンコート法等の湿式
塗布法、ならびに有機蒸着法のいずれを採用してもよ
い。
【0092】塗布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶
媒を蒸発させると、炭素膜(3)上に潤滑剤の層(4)
が形成される。乾燥処理は加熱することにより、または
自然乾燥によって実施することができる。そして、最終
的に得られる潤滑剤層の厚さは3〜5nm程度とするこ
とが好ましい。ただし、潤滑剤の組成等に応じて潤滑剤
層の厚さの最適範囲が存在するため、潤滑剤層の厚さは
必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
【0093】このように、特定の混合有機溶媒を用いて
所定の相対湿度下で潤滑剤層を形成することにより、塗
布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶
媒が最終的に蒸発した後には数nmという非常に薄い潤
滑剤層を形成させることができる。その結果、優れた潤
滑性能を有する実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られ
る。
【0094】補強層(5)の上に形成される潤滑剤層
(6)中に含まれる、上記特定の含フッ素化合物を含む
潤滑剤の好ましい量は、潤滑剤層(4)に含まれる潤滑
剤のそれと同じである。したがって、潤滑剤層(6)も
また、潤滑剤層(4)と同様の方法で形成することが好
ましい。その場合、潤滑剤層(6)は、潤滑剤層(4)
と同じ潤滑剤で形成してよく、あるいは異なる潤滑剤で
形成してよい。
【0095】前述のように、磁気記録媒体が磁気テープ
であって、磁性層側表面に潤滑剤層が形成されている場
合、製造中に磁気テープが巻回されると、潤滑剤層およ
び補強層が互いに接触し、それにより磁性層側表面の潤
滑剤が補強層表面に付着することがある。特に、本発明
の磁気記録媒体のように、補強層が表面に不動態皮膜を
有するニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜である場合
には、潤滑剤層に含まれる潤滑剤が補強層表面に固着し
やすい。そのような場合、潤滑剤層は、独立した潤滑剤
層形成工程(例えば先に述べた湿式塗布工程)によらず
に、補強層の上に形成されることとなる。そのように形
成される潤滑剤層(6)に含まれる潤滑剤の量は、上記
好ましい範囲の下限値よりも小さくなることがある。
【0096】続いて、本発明の磁気記録媒体を構成する
非磁性支持体(1)、磁性層(2)および炭素膜(3)
について説明する。
【0097】本発明の磁気記録媒体においては非磁性支
持体(1)の一方の面に補強層(5)を形成するため、
厚さの小さい非磁性支持体(1)を使用することができ
る。非磁性支持体の厚さは、好ましくは5.0μm以下
である。
【0098】非磁性支持体が長尺状である場合におい
て、その長手方向のヤング率は好ましくは5.0GPa
以上であり、幅方向のヤング率は好ましくは9.3GP
a以上である。そのようなヤング率を有する長尺状の非
磁性支持体を用いれば、磁気記録媒体の機械的強度を向
上させることができる。
【0099】上記の厚さおよびヤング率等を有する非磁
性支持体としては、具体的には、ポリエチレンナフタレ
ートから成るフィルム、およびポリアミドから成るフィ
ルムがある。但し、非磁性支持体は、それらに限定され
るものではなく、最終的に得ようとする製品に必要な機
械的強度等に応じて任意に選択することができる。例え
ば、ポリエチレンテレフタレートから成るフィルムまた
はポリイミドから成るフィルム、あるいはアルミ基板ま
たはガラス基板を、非磁性支持体として使用してもよ
い。
【0100】非磁性支持体(1)の磁性層(2)が形成
される面(即ち、磁性層(2)と接する側の面)には、
実用信頼性と良好なRF出力を両立するために、直径5
0〜700nm、高さ5〜70nmの突起形成処理が施
されていることが好ましい。突起は、具体的には、例え
ば、SiO、ZnO等の無機物質から成る超微粒子、
あるいはイミド等の有機物質から成る超微粒子を非磁性
支持体の表面に分散し固着させることにより形成され、
あるいは、そのような微粒子を含む高分子材料をフィル
ムに成形することにより形成される。表面に突起を有す
る非磁性支持体の例は、特開平9−164644号公報
および特開平10−261215号公報等に開示されて
いる。
【0101】磁性層(2)は強磁性金属薄膜であること
が好ましい。強磁性金属薄膜は常套の材料および方法で
形成することができる。
【0102】磁性層に適した強磁性金属としては、Fe
系金属、Co系金属、およびNi系金属がある。本発明
において、磁性層はCo系金属で形成することが特に好
ましい。ここで、「Co系金属」とは、コバルト、およ
びコバルトを主成分として好ましくは50原子%以上含
む合金をいう。「Fe系金属」および「Ni系金属」も
同様である。
【0103】強磁性金属薄膜は、具体的には、Fe、C
oおよびNi、ならびにCo−Ni、Co−Fe、Co
−Cr、Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−
Sn、Co−Au、Fe−Cr、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni
−Cr、Co−Pt−CrおよびFe−Co−Ni−C
r等の合金から選択される1または複数の材料で形成さ
れる。強磁性金属薄膜は酸素を含んでいてよく、酸素は
これらの金属または合金の酸化物の形態で含まれていて
よい。強磁性金属薄膜は、単層膜の形態であってもよ
く、あるいは多層膜の形態であってもよい。
【0104】強磁性金属薄膜はイオンプレーティング
法、スパッタリング法または電子ビーム蒸着法等で形成
することができる。強磁性金属薄膜を酸素雰囲気下で形
成すれば、強磁性金属薄膜には酸素が含まれることとな
る。強磁性金属薄膜の厚さは50nm〜300nmが一
般的である。
【0105】炭素膜(3)は、アモルファス状、グラフ
ァイト状もしくはダイヤモンド状の炭素から成る炭素
膜、あるいはそれらの炭素を混合および/または積層し
て形成した炭素膜である。炭素膜(3)は、ビッカース
硬度が約2.45×10N/mm(約2500kg
f/mm)と高く、保護層として、磁気記録媒体のダ
メージを潤滑剤層(4)と共に防止する。実用信頼性と
出力とのバランスを考慮すれば、その厚さは10〜20
nmであることが好ましい。炭素膜(3)もまた、公知
の材料および方法を用いて形成することができ、例え
ば、炭化水素ガスのみ、あるいは炭化水素ガスと不活性
ガスとの混合ガスを用いたプラズマCVD法により形成
できる。
【0106】炭素膜(3)は、非磁性支持体(1)上に
磁性層(2)を形成した後、磁性層(2)の上に形成さ
れる。具体的には、真空容器中に炭化水素ガスまたは炭
化水素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスを導
入し、容器内の圧力を1.33×10−1〜1.33×
10Pa(0.001〜1Torr)に保った状態で
真空容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガスのプラズ
マを発生させて炭素膜(3)を磁性層(2)上に形成さ
せる。放電形式は外部電極方式および内部電極方式のい
ずれでもよく、放電周波数は実験的に決めることができ
る。また、非磁性支持体(1)側に配置される電極に0
KVから−3KVの電圧を印加することによって、炭素
膜(3)の硬度を増大させることができ、また、炭素膜
(3)と磁性層(2)との密着性を向上させることがで
きる。炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン
またはベンゼン等を用いることができる。
【0107】硬質の炭素膜(3)を形成するためには、
放電エネルギーを大きくすることが望ましく、併せて非
磁性支持体(1)の温度を高温に維持することが望まし
い。例えば、放電エネルギーは、交流電流(例えば高周
波電流)と直流電流を重畳して実効値を600V以上に
することが望ましい。
【0108】本発明においては、炭素膜(3)の表層部
に含窒素プラズマ重合膜(図示省略)を形成し、潤滑剤
層(4)が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成され
ていることが好ましい。含窒素プラズマ重合膜が形成さ
れることにより、炭素膜の表層部にアミノ基が存在する
こととなり、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着
強度がより大きくなり、磁気記録媒体の耐久性がより向
上することとなる。そして、潤滑剤層に特定の含フッ素
化合物を含有させることと相俟って、電磁変換特性が損
なわれることなく優れた潤滑性能を有する走行耐久性が
向上した実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0109】含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミンまたはテトラメチレンジアミン等のアミ
ン化合物をガス化して導入し、容器内の圧力を1.33
×10−1〜1.33×10 Pa(0.001〜1T
orr)に保った状態で真空容器内部に高周波放電を生
じさせて形成する。含窒素プラズマ重合膜を形成するこ
とにより上記特定の含フッ素化合物を含む潤滑剤の化学
吸着力が向上し、その結果、潤滑剤層と炭素膜との間の
付着強度が向上する。含窒素プラズマ重合膜の膜厚は3
nm未満が適当であり、これよりも含窒素プラズマ重合
膜が厚い場合には炭素膜の保護効果が低下する。炭素膜
の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成する方法は、米
国特許第5,540,957号および第5,637,3
93号に開示されており、この引用によりこれらの特許
に開示された内容は本明細書の一部を構成する。
【0110】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0111】<潤滑剤Bを使用した実施例> (実施例1)図1に示すような磁気記録媒体を作製し
た。非磁性支持体(1)として、幅が500mm、厚さ
が4.2μmであって、表面に高さが30nm、直径が
200nmの突起が1mmあたり10〜10個形
成されたポリエチレンナフタレートフィルムを使用し
た。このフィルムの長手方向のヤング率は5.5GP
a、幅方向のヤング率は9.9GPaであった。突起の
数はSTM分析で測定した値である。この非磁性支持体
(1)をベルト状冷却回転支持体上で走行させながら、
表面に酸素を導入する斜方真空蒸着法によりCoから成
る厚さ約180nmの強磁性金属薄膜(2)を磁性層と
して形成した。
【0112】次いで、非磁性支持体(1)の強磁性金属
薄膜(2)を形成した面とは反対側の面に、ニッケルを
用いて、蒸着法により厚さ約300nmの補強層(5)
を形成した。蒸着は、真空槽内の圧力を1.33×10
−2Pa(10−4Torr)とし、非磁性支持体をキ
ャン状冷却回転支持体に沿って50m/分で走行させな
がら、電子銃(出力70kW)によりるつぼ内のニッケ
ルを蒸発させて実施した。
【0113】次に強磁性金属薄膜(2)上に、プラズマ
CVD法により厚さ15nmの炭素膜(3)を形成し
た。炭素膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガ
スとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、
トータルガス圧を4.0×10 Pa(0.3Tor
r)に保ちながら、周波数20KHz、電圧1500V
の交流と1000Vの直流を重畳し、これを放電管内の
電極に印加することにより形成した。さらに、炭素膜
(3)上にプロピルアミンガスを導入し、6.67Pa
(0.05Torr)の圧力を保った状態で10KHz
の高周波プラズマ処理を行ない、炭素膜(3)の表層部
に厚さ2.5nmの含窒素プラズマ重合膜を形成した。
【0114】次に、下記の化学式(a1)で示される化
合物、および化学式(c1)で示される化合物をモル比
で3:7となるように配合した潤滑剤組成物を、イソプ
ロピルアルコールとトルエンとを重量比で1:1となる
ように混合した混合有機溶媒にその濃度が2000pp
mとなるように溶解して塗布液を調製した。そしてこの
塗布液を、23℃、30%RH環境下で、リバースロー
ルコータを用いて湿式塗布法で厚さ4μmとなるように
塗布した後、乾燥した。最終的に炭素膜(3)上には、
1mあたり5mgの潤滑剤組成物が含まれる、厚さ4n
mの潤滑剤層(4)が形成された。
【0115】
【化26】
【0116】
【化27】
【0117】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで6.35mm幅に裁断して6.35mm幅の磁
気テープ試料(全厚4.7μm、80分長)を作製した。
得られた磁気テープ試料において、補強層(5)がその
表面に不動態皮膜を有することを、X線光電子分光法に
より確認した。
【0118】(実施例2〜4)補強層を、それぞれ下記
のニッケル合金で形成したこと以外は、実施例1と同様
の方法で磁気テープ試料を作製した。いずれの磁気テー
プ試料についてもX線光電子分光法により、補強層がそ
の表面に不動態皮膜を有することを確認した。 実施例2:インコネル600(Ni−Cr−Fe系合
金、Cr含有量:15重量%、Fe含有量:25重量
%)、 実施例3:ハステロイC(Ni−Mo−Cr系合金、M
o含有量:17重量%、Cr含有量:16.5重量
%)、 実施例4:モネル400(Ni−Cu系合金、Cu含有
量:31.5重量%)。
【0119】(実施例5〜7)補強層の厚さを、それぞ
れ下記の厚さとしたこと以外は、実施例1と同様の方法
で磁気テープ試料を作製した。 実施例5:約50nm、 実施例6:約80nm、 実施例7:約800nm。
【0120】(実施例8)図2に示す態様の磁気記録媒
体を作製した。非磁性支持体(1)として、実施例1で
使用したものと同じフィルムを使用し、磁性層(2)、
炭素膜(3)および補強層(5)は実施例1と同様にし
て形成した。潤滑剤層(4)は、潤滑剤を含む塗布液の
濃度を1600ppmとしたこと以外は実施例1と同様
にして形成した。
【0121】次に、潤滑剤層(4)を形成するのに用い
た潤滑剤および混合有機溶媒と同じものを使用して、濃
度400ppmの塗布液を調製した。この塗布液を用い
て、潤滑剤層(4)を形成した際の手順と同様の手順で
補強層(5)の上に潤滑剤層(6)を形成した。潤滑剤
層(6)は、補強層の表面に不動態皮膜が形成されてい
ることを確認してから、不動態皮膜の表面に形成した。
最終的に補強層(5)上には、1mあたり1mgの潤
滑剤を含む、厚さ1nmの潤滑剤層(6)が形成され
た。以上のようにして作製したテープ素材をスリッタで
6.35mm幅に裁断して6.35mm幅の磁気テープ
試料(全厚4.7μm、80分長)を作製した。
【0122】(実施例9)炭素膜(3)の表層部に含窒
素プラズマ重合膜を形成する工程を省略したこと以外
は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0123】(実施例10)非磁性支持体として、厚さ
4.0μm、長手方向のヤング率が10.5GPa、幅
方向のヤング率が15.5GPaであり、表面に高さが
30nm、直径が200nmの突起が1mmあたり1
〜10個形成されたポリアミドフィルムを用いた
こと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を
作製した。
【0124】(実施例11)非磁性支持体として、厚さ
4.5μm、長手方向のヤング率が4.4GPa、幅方
向のヤング率が6.3GPaであり、表面に高さが30
nm、直径が200nmの突起が1mmあたり10
〜10個形成されたポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気
テープ試料を作製した。
【0125】(実施例12〜実施例21)実施例12〜
16ではそれぞれ化学式(a2)〜(a6)で示される
化合物を、実施例17〜21ではそれぞれ化学式(b
1)〜(b5)で示される化合物を使用し、それらの各
化合物、および化学式(c1)で示される化合物をモル
比が3:7の割合となるように配合した潤滑剤組成物を
用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【0126】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0127】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0128】(実施例22〜実施例32)実施例22〜
27ではそれぞれ化学式(a1)〜(a6)で示される
化合物を、実施例28〜32ではそれぞれ化学式(b
1)〜(b5)で示される化合物を使用し、それらの各
化合物、および下記化学式(c2)で示される化合物を
モル比で3:7の割合となるように配合した潤滑剤組成
物を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で磁気テ
ープ試料をそれぞれ作製した。
【0129】
【化38】
【0130】(実施例33〜34)化学式(a1)で示
される化合物、および化学式(c1)で示される化合物
をそれぞれ、モル比で下記の割合の割合となるように配
合した潤滑剤組成物を用いたこと以外は、実施例4と同
様の方法で磁気テープ試料を作製した。 実施例33: a1:c1=1:9、 実施例34: a1:c1=5:5。
【0131】(実施例35〜36)化学式(a1)で示
される化合物、および化学式(c1)で示される化合物
をそれぞれ、モル比で下記の割合の割合となるように配
合した潤滑剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同
様の方法で磁気テープ試料を作製した。 実施例35: a1:c1=7:3、 実施例36: a1:c1=8:2。
【0132】(実施例37〜39)化学式(b1)で示
される化合物、および化学式(c1)で示される化合物
をそれぞれ、モル比で下記の割合となるように配合した
潤滑剤組成物を用いたこと以外は、実施例4と同様の方
法で磁気テープ試料を作製した。 実施例37: b1:c1=1:9、 実施例38: b1:c1=5:5、 実施例39: b1:c1=7:3。
【0133】(実施例40)化学式(b1)で示される
化合物、および化学式(c1)で示される化合物をモル
比で8:2の割合となるように配合した潤滑剤組成物を
用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料を作製した。
【0134】(実施例41)潤滑剤層の形成工程におい
てイソプロピルアルコールおよびトルエンを重量比で
8:1の割合で混合した混合有機溶媒を用いたこと以外
は、実施例4と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0135】(実施例42)潤滑剤層の形成工程におい
てイソプロピルアルコールおよびトルエンを重量比で
1:8の割合で混合した混合有機溶媒を用いたこと以外
は、実施例4と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0136】<潤滑剤Aを使用した実施例> (実施例43〜実施例53)2成分系の潤滑剤組成物に
代えて、実施例41〜46ではそれぞれ化学式(a1)
〜(a6)で示される化合物を、実施例47〜51では
それぞれ化学式(b1)〜(b5)で示される化合物を
潤滑剤として用いたこと以外は、実施例4と同様の方法
で磁気テープ試料をそれぞれ作製した。
【0137】<潤滑剤Cを使用した実施例> (実施例54)上記化学式(a1)で示される化合物、
および下記化学式(d1)で示される化合物をモル比で
7:3となるように配合した潤滑剤組成物を用いたこと
以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製
した
【化39】
【0138】(実施例55〜57)補強層を、それぞれ
実施例2〜4で使用したニッケル合金と同じもので形成
したこと以外は、実施例54と同様の方法で磁気テープ
試料を作製した。いずれの磁気テープ試料についてもX
線光電子分光法により、補強層がその表面に不動態皮膜
を有することを確認した。 実施例55:インコネル600、 実施例56:ハステロイC、 実施例57:モネル400。
【0139】(実施例58〜60)補強層の厚さを、そ
れぞれ下記の厚さとしたこと以外は、実施例54と同様
の方法で磁気テープ試料を作製した。 実施例58:約50nm、 実施例59:約80nm、 実施例60:約800nm。
【0140】(実施例61)潤滑剤として、実施例54
で使用したものと同じものを使用したこと以外は、実施
例8と同様にして、図2に示す構造の磁気テープ試料を
作製した。
【0141】(実施例62)炭素膜(3)の表層部に含
窒素プラズマ重合膜を形成する工程を省略したこと以外
は、実施例54と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0142】(実施例63)非磁性支持体として、実施
例10で使用したものと同じものを使用したこと以外
は、実施例54と同様にして、磁気テープ試料を作製し
た。
【0143】(実施例64)非磁性支持体として、実施
例11で使用したものと同じものを使用したこと以外
は、実施例54と同様にして、磁気テープ試料を作製し
た。
【0144】(実施例65〜74)実施例65〜69で
はそれぞれ上記化学式(a2)〜(a6)で示される化
合物を、実施例70〜74ではそれぞれ上記化学式(b
1)〜(b5)で示される化合物を使用し、それらの各
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比が7:3の割合となるように配合した潤滑剤組成物を
用いたこと以外は、実施例54と同様にして磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【化40】
【0145】(実施例75〜85)実施例75〜80で
はそれぞれ化学式(a1)〜(a6)で示される化合物
を、実施例81〜85ではそれぞれ化学式(b1)〜
(b5)で示される化合物を使用し、それらの各化合
物、および下記化学式(e1)で示される化合物をモル
比で7:3の割合となるように配合した潤滑剤組成物を
用いたこと以外は、実施例57と同様にして磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【化41】
【0146】(実施例86〜96)実施例86〜91で
はそれぞれ化学式(a1)〜(a6)で示される化合物
を、実施例92〜96ではそれぞれ化学式(b1)〜
(b5)で示される化合物を使用し、それらの各化合
物、および下記化学式(f1)で示される化合物をモル
比で7:3の割合となるように配合した潤滑剤組成物を
用いたこと以外は、実施例57と同様にして磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【化42】
【0147】(実施例97〜100)化学式(a1)で
示される化合物、および化学式(f1)で示される化合
物をモル比でそれぞれ下記の割合となるように配合した
潤滑剤組成物を用いたこと以外は、実施例57と同様に
して磁気テープ試料を作製した。 実施例97: a1:e1=1:9、 実施例98: a1:e1=3:7、 実施例99: a1:e1=5:5、 実施例100: a1:e1=8:2。
【0148】(実施例101〜104)化学式(b1)
で示される化合物、および化学式(f1)で示される化
合物をモル比でそれぞれ下記の割合となるように配合し
た潤滑剤組成物を用いたこと以外は、実施例57と同様
にして磁気テープ試料を作製した。 実施例101: b1:f1=1:9、 実施例102: b1:f1=3:7、 実施例103: b1:f1=5:5、 実施例104: b1:f1=8:2。
【0149】(実施例105)潤滑剤層の形成工程にお
いてイソプロピルアルコールおよびトルエンを重量比で
8:1の割合で混合した混合有機溶媒を用いたこと以外
は、実施例57と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0150】(実施例106)潤滑剤層の形成工程にお
いてイソプロピルアルコールおよびトルエンを重量比で
1:8の割合で混合した混合有機溶媒を用いたこと以外
は、実施例57と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0151】(比較例1−1,2)補強層の厚さを約
1.2μmとしたこと以外は、それぞれ実施例1および
実施例57と同様にして磁気テープ試料を作製した。
【0152】(比較例2−1,2)ニッケル薄膜を形成
せずに、非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対
の面に、ポリウレタン、ニトロセルロースおよびカーボ
ンブラックを含む固形分30%のメチルエチルケトン/
トルエン/シクロヘキサノン溶液をリバースロールコー
タにより塗布して、乾燥後の厚さが約500nmのバッ
クコート層を形成したこと以外は、それぞれ実施例1お
よび実施例57と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0153】(比較例3)実施例4で使用した2成分系
の潤滑剤組成物に代えて、公知の潤滑剤である下記化学
式(x1)で示される化合物のみを用いたこと以外は、
実施例4と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0154】
【化43】
【0155】(比較例4)実施例4で使用した2成分系
の潤滑剤組成物に代えて、公知の潤滑剤である下記化学
式(x2)で示される化合物のみを用いたこと以外は、
実施例4と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0156】
【化44】
【0157】(比較例5−1,2)非磁性支持体とし
て、厚さ4.2μm、長手方向のヤング率が9.7GP
a、幅方向のヤング率が5.6GPaであり、表面に高
さが30nm、直径が200nmの突起が1mmあた
り10〜10個形成されたポリエチレンナフタレー
トフィルムを用いたこと以外は、それぞれ実施例4およ
び実施例57と同様にして磁気テープ試料を作製した。
【0158】(比較例6−1,2)潤滑剤層の形成工程
において、潤滑剤を溶解する溶媒として、イソプロピル
アルコールおよびトルエンを混合した混合有機溶媒に代
えて、イソプロピルアルコールのみを用いたこと以外
は、それぞれ実施例4および実施例57と同様にして磁
気テープ試料を作製した。
【0159】(比較例7−1,2)潤滑剤層の形成工程
において、潤滑剤を溶解する溶媒として、イソプロピル
アルコールおよびトルエンを混合した混合有機溶媒に代
えて、トルエンのみを用いたこと以外は、それぞれ実施
例4および実施例57と同様にして磁気テープ試料を作
製した。
【0160】(比較例8−1,2)潤滑剤層の形成工程
において、23℃、55%RH環境下において、塗布液
をリバースロールコータを用いて湿式塗布法で塗布した
こと以外は、実施例4および実施例57と同様にして磁
気テープ試料を作製した。
【0161】実施例1〜106および比較例1〜8で得
られた6.35mm幅の磁気テープ試料について、それ
ぞれ以下に示す評価試験(1)および(2)を実施し
た。それぞれの試験結果を、表1〜表8に示す。
【0162】(1)走行性試験 直径2mm、表面粗さ0.2Sに研磨したステンレス鋼
(SUS303)円柱に、補強層を内側にして、90°
の抱き角で巻き付け、入側張力を9.8×10 −2Nと
し、18.8mm/秒で往復走行させる。300パス走
行後の出側張力を測定し、次式(オイラーの式)から摩
擦係数を算出した。測定環境は実施例1〜53、比較例
1−1、2−1、5−1、6−1、7−1および8−1
については、40℃、80%RHであり、実施例54〜
106、比較例1−2、2−2、5−2、6−2、7−
2および8−2については、3℃、80%RHである。
また、比較例3および4については両方の環境下で測定
した。
【0163】
【数2】 μ=[ln(出側張力/入側張力)]・2/π
【0164】(2)走行耐久性試験 出力低下 RF(高周波)出力測定用に改造した市販デジタルVT
R(松下電器産業(株)製、NV−DJ1)を用い、各
6.35mm幅テープ試料を300パス、400時間繰
り返し再生した後のRF出力変化を測定した。RF出力
変化は、試験前に対する試験後の変化をデシベル表示で
示した。繰り返しの再生は、実施例1〜53、比較例1
−1、2−1、5−1、6−1、7−1および8−1に
ついては、40℃、80%RHの環境下で実施し、実施
例54〜106、比較例1−2、2−2、5−2、6−
2、7−2および8−2については、3℃、80%RH
で実施した。また、比較例3および4については、両方
の環境下で繰り返し再生して出力低下を測定した。
【0165】ヘッド目詰まり 上記の繰り返し再生を実施している間に、再生中のR
F出力からヘッド目詰まりを測定した。この繰り返し再
生中、RF出力が6dB以上低下したときにヘッド目詰
まりが発生したものとし、そのような低下が測定された
時間を合計した時間をヘッド目詰まりとした。
【0166】テープダメージ テープダメージは、上記の出力低下を測定した後のテ
ープの変形、テープの磁性層側表面の走行傷等を目視観
察および微分干渉顕微鏡で状態観察し、5段階で評価し
た。評価基準は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:テープダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:テープダメージがあまりにもひどく、実用性は全く
ない。
【0167】走行系粉付着 走行系粉付着は、上記の出力低下を測定した後に、テ
ープ走行系のポストおよび固定ドラムの汚れ(粉付着の
状態)を目視観察し、5段階で評価した。評価基準は次
のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、粉付着があり、改善が必要であ
る。 2:粉付着がひどく、実用性は殆どない。 1:粉付着があまりにもひどく、実用性は全くない。
【0168】潤滑剤残存量 走行耐久性試験後のテープ試料表面(磁性層側表面)の
潤滑剤の残存量を測定するために、走行耐久性試験前後
にX線光電子分光法(XPS)(パーキンエルマーPH
I社製 5400MC)によりフッ素原子を分析し、そ
の試験前後の強度の比率から、残存量を算出した。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
【表3】
【0172】
【表4】
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
【表7】
【0176】
【表8】
【0177】表1〜表8において、実施例1〜53(潤
滑剤BおよびA)は、比較例1−1、2−1、5−1、
6−1、7−1、8−1、および40℃環境下にて試験
した比較例3および4と比較され、実施例54〜106
(潤滑剤C)は、比較例1−2、2−2、5−2、6−
2、7−2、8−2、および3℃環境下にて試験した比
較例3および4と比較される。
【0178】上記表1〜表8から明らかなように、比較
例1〜8との比較において、実施例1〜106で得た磁
気テープはいずれも、テープダメージの問題が発生し
ない、走行系の粉付着が少ない、ヘッド目詰まりが
少ない、出力低下が小さい、潤滑剤の残存量が多い
(即ち、使用中の潤滑剤の飛散が少ない)、摩擦係数
が低い、という優れた特性を有するものであった。ま
た、実施例54〜106の結果より、潤滑剤C)は低温
下において、優れた走行性および走行耐久性を示すこと
が判る。
【0179】実施例1〜106で得た磁気テープは、補
強層の厚さが1.0μmよりも厚い比較例1−1、1−
2、および従来の塗布型のバックコート層を形成した比
較例2−1、2−2と比較して、優れた走行性および走
行耐久性を示していた。このように、ニッケル薄膜また
はニッケル合金薄膜から成る特定の厚さの補強層を形成
した実施例1〜106の各磁気テープ試料は、走行性お
よび走行耐久性、特にテープダメージ、ヘッド目詰ま
り、走行系粉付着等の点で明らかに優れている。
【0180】実施例1〜106で得た磁気テープは、従
来公知の化合物で潤滑剤層を形成した比較例3〜4で得
た磁気テープと比較して、優れた走行性および走行耐久
性を示した。このことは、従来公知の化合物は、補強層
の不動態皮膜に付着しにくく、したがって、比較例3〜
4においては、炭素膜上に形成された潤滑剤層中の潤滑
剤によって、補強側表面の潤滑特性、ひいては磁気記録
媒体の走行性および走行耐久性が実施例1〜106ほど
向上され得ないことを示している。
【0181】実施例43〜53で得た磁気テープにおい
て、潤滑剤層は一般式(a)または(b)で示される1
種類の化合物を含み、一般式(c)〜(f)で示される
化合物を含まない。これらのテープは概して、実施例1
〜41、54〜106で得た磁気テープと比較して、よ
り低い摩擦係数を示したが、潤滑剤残存量は小さかっ
た。このことは、一般式(a)および(b)で示される
化合物が、磁気記録媒体表面の摩擦係数を低下させ、磁
気記録媒体の潤滑性能の向上に大きく寄与することを示
すとともに、一般式(c)〜(f)で示される化合物が
潤滑剤の飛散を有効に抑制することを示している。潤滑
剤の飛散は補強層の上に潤滑剤層を形成することによっ
ても有効に抑制されることが、実施例8および実施例6
1の結果より判る。
【0182】実施例9および実施例62で得た磁気テー
プはそれぞれ、実施例1および実施例54と同様にして
潤滑剤層を形成したが、炭素膜(3)上に含窒素プラズマ
重合膜を形成しなかったものである。実施例9および6
2で得た磁気テープの走行耐久性等は、実施例1および
54のそれらに比べてやや劣っている。このことは含窒
素プラズマ重合膜が磁気テープの潤滑性能の向上に寄与
していることを示している。
【0183】比較例5−1、5−2の磁気テープはそれ
ぞれ、実施例4および実施例57で使用した非磁性支持
体と同じ厚さを有するが、幅方向のヤング率が小さい非
磁性支持体を使用して製造したものである。比較例5−
1、5−2の走行耐久性は実施例4および57のそれに
比べて劣っている。この結果は、実施例4および57な
らびに比較例5−1および5−2で使用した非磁性支持
体の材料および厚さが同じであることを考慮すれば、非
磁性支持体の幅方向のヤング率が、磁気記録媒体の走行
耐久性に対して大きな影響を及ぼすことを示している。
【0184】実施例4と比較例6−1および7−1、な
らびに実施例57と比較例6−2および7−2から、潤
滑剤を炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機
溶媒に溶解して調製した塗布液を炭素膜(3)上に塗布
して潤滑剤層(4)を形成することにより、走行耐久性
および走行性等の実用信頼性の点で優れた磁気テープ試
料を安定して作製できることが判る。また、潤滑剤を含
む塗布液を高い湿度の下で塗布した比較例8−1および
8−2の磁気テープは、実施例4および実施例57と同
じ潤滑剤を使用しているにもかかわらず、走行耐久性お
よび走行性はともに劣り、高湿度下での塗布が望ましく
ないことを示している。
【0185】補強層の厚さを薄くした実施例5および実
施例6の磁気テープは、殆どの試験について、実施例1
の磁気テープよりも優れた結果を示した。同様に、実施
例58および59の磁気テープもまた、殆どの試験につ
いて、実施例54の磁気テープよりも優れた結果を示し
た。この結果は、0.05〜1μmの範囲内において、
ニッケル補強層はより薄いことが好ましいことを示して
いる。
【0186】また、実施例2〜4の磁気テープは、いず
れの試験についても、実施例1の磁気テープよりも優れ
た結果を示した。同様に、実施例55〜57の磁気テー
プもまた、いずれの試験についても、実施例54の磁気
テープよりも優れた結果を示した。この結果は、補強層
をニッケル合金で形成した磁気テープが、補強層をニッ
ケルのみで形成した磁気テープよりも、優れた走行性お
よび走行耐久性を有することを示している。
【0187】実施例1〜106では、潤滑剤層(4)の
形成工程において湿式塗布法であるリバースロールコー
ティング法を用いたが、有機蒸着法によっても同様の作
用効果を有する潤滑剤層(4)を形成することが可能で
ある。
【0188】上記において本発明の磁気記録媒体および
その製造方法を市販デジタルVTR用テープに適用した
実施例を説明したが、本発明の磁気記録媒体およびその
製造方法はこれに限定されるものではなく、データスト
レージ用のテープ等、他の金属薄膜型磁気テープや塗布
型磁気テープ等についても適用できるものである。
【0189】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は非磁性支持体の磁性層が形成された面とは反対側
の面に補強層として、表面に不動態皮膜を有するニッケ
ル薄膜またはニッケル合金薄膜を有することを特徴とす
る。このニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜は磁気記
録媒体の剛性を向上させる。したがって、本発明の磁気
記録媒体が特に磁気テープである場合には、繰り返し走
行させた場合でも変形および折れが生じにくく、優れた
走行耐久性を示す。補強層による剛性の向上はまた、磁
気記録媒体と磁気ヘッドとの当たりを良好とし、それに
より磁気記録媒体のエンベロープ特性を向上させる。磁
気記録媒体の剛性は、非磁性支持体の長手方向および幅
方向のヤング率を特定することにより、さらに最適化さ
れ得る。
【0190】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の上に形
成された炭素膜の上に潤滑剤層を形成することで、走行
性を向上させることができる。更に、炭素膜の上に形成
される潤滑剤層を、特定の一種類の含フッ素化合物、ま
たは特定の含フッ素化合物が二種類以上組み合わされて
成る組成物で形成することにより、潤滑剤層の炭素膜へ
の付着強度が向上した、良好な潤滑性能を呈する磁気記
録媒体を得ることができる。そのような磁気記録媒体
は、電磁変換特性が損なわれることなく向上した走行耐
久性を有し、使用中の潤滑剤の飛散が極めて少なく、し
たがって高い実用信頼性を示す。また、特定の含フッ素
化合物は、補強層の表面の不動態皮膜に強く付着するの
で、磁気記録媒体が、磁性層側表面と補強層側表面とが
接触した状態で保管されるものである場合には、炭素膜
上の潤滑剤層に由来する潤滑剤が補強層側表面に移って
付着することと、補強層の補強効果とが相俟って、磁気
記録媒体の走行性および走行耐久性をより向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の一態様である金属薄
膜型磁気テープの模式的断面図である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の一態様である金属薄
膜型磁気テープの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 強磁性金属薄膜(磁性層) 3 炭素膜 4 潤滑剤層 5 補強層 6 潤滑剤層 10,20 磁気記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/65 G11B 5/65 5/72 5/72 5/725 5/725 5/73 5/73 5/84 5/84 B // C10N 40:18 C10N 40:18 Fターム(参考) 4H104 BD07A CD04A PA16 5D006 AA04 AA06 BB01 CB07 CC01 CC03 EA03 FA00 FA02 FA05 FA09 5D112 AA02 AA05 AA07 AA08 AA22 BA01 BB05 BC01 BC02 BC05 BC10 BD03 CC01 FA02 FA07

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一方の面に磁性層が形成
    され、非磁性支持体の他方の面に補強層が形成されて成
    る磁気記録媒体であって、補強層が表面に不動態皮膜を
    有するニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜である磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 補強層が表面に不動態皮膜を有する、ニ
    ッケル−クロム−鉄系合金、ニッケル−モリブデン−ク
    ロム系合金、ニッケル−銅系合金、またはニッケル−ク
    ロム−モリブデン−銅系合金である請求項1に記載の磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 ニッケル薄膜またはニッケル合金薄膜の
    厚さが0.05〜1.0μmの範囲内にある請求項1に
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層が強磁性金属薄膜である請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性層の上に形成された炭素膜および炭
    素膜の上に形成された潤滑剤層を更に有する請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 補強層の上に形成された潤滑剤層を更に
    有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つの潤滑剤層が、分子内に
    パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテ
    ル基と、アルキル基またはアルケニル基とを有する、一
    般式(a)および(b)で示される化合物から選ばれる
    少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤: 【化1】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化2】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、Rは−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である)を
    含んで成る請求項5または請求項6に記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 少なくとも1つの潤滑剤層が、 I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
    ロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル基と
    を有する、一般式(a)および(b)で示される化合物
    から選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびに II)一般式(c)で示される化合物から選ばれる少なく
    とも1種類の化合物を含む潤滑剤: 【化3】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化4】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、Rは−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である) 【化5】 (式中、Rは含フッ素有機基を示し、Rはアルキル
    基またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
    る)を含んで成る請求項5または請求項6に記載の磁気
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 一般式(a)および(b)で示される化
    合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物と一般式
    (c)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種類
    の化合物との混合割合がモル比で1:9〜8:2の範囲
    にある請求項8に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 少なくとも1つの潤滑剤層が、 I)分子内にパーフルオロアルキル基またはパーフルオ
    ロポリエーテル基と、アルキル基またはアルケニル基と
    を有する、一般式(a)および(b)で示される化合物
    から選ばれる少なくとも1種類の化合物;ならびに III)分子内にパーフルオロポリエーテル鎖を有し、一
    般式(d)、(e)および(f)で示される化合物から
    選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む潤滑剤: 【化6】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化7】 (式中、Rはアルキル基またはアルケニル基を示し、
    はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、Rは−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である) 【化8】 (式中、e、gは1以上の整数である) 【化9】 (式中、i、jは1以上の整数である) 【化10】 (式中、k、mは1以上の整数であり、Rは炭素数4
    〜22のアルキル基である)を含んで成る請求項5また
    は請求項6に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 一般式(a)および(b)で示される
    化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物と一般式
    (d)、(e)および(f)で示される化合物から選ば
    れる少なくとも1種類の化合物との混合割合がモル比で
    1:9〜8:2の範囲にある請求項10に記載の磁気記
    録媒体。
  12. 【請求項12】 炭素膜がその表層部に含窒素プラズマ
    重合膜を有し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合
    膜上に形成されている請求項5〜11のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 非磁性支持体が長尺状であり、その厚
    さが5.0μm以下であり、その長手方向および幅方向
    のヤング率がそれぞれ5.0GPa以上および9.3G
    Pa以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の
    磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項7〜11のいずれか1項に記載
    の磁気記録媒体の製造方法であって、炭素膜の上および
    /または補強層の上に潤滑剤層を形成する工程が、炭化
    水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑
    剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜40
    %の範囲内にある環境下において炭素膜および/または
    補強層の上に塗布する工程を含む磁気記録媒体の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒と
    の混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲内にある請
    求項14に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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