JP2002150530A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002150530A
JP2002150530A JP2000304019A JP2000304019A JP2002150530A JP 2002150530 A JP2002150530 A JP 2002150530A JP 2000304019 A JP2000304019 A JP 2000304019A JP 2000304019 A JP2000304019 A JP 2000304019A JP 2002150530 A JP2002150530 A JP 2002150530A
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lubricant
protective film
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JP2000304019A
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English (en)
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Tomoe Iwano
友恵 岩野
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
Hiroshi Yatagai
洋 谷田貝
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性および潤滑効果が持続するとともに、
粉落ちの発生が防止された潤滑剤を用い、良好な走行性
および耐久性を実現し、且つヘッド摩耗や磁気特性の劣
化を防止する。 【解決手段】 非磁性持体上2に形成された磁性層3
と、磁性層3上に形成された保護膜4とを備え、下記化
1で示される末端に水酸基を有するパーフルオロポリエ
ーテルと長鎖カルボン酸とのエステルを含有する潤滑剤
層5が保護膜4上に形成されている。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上
に、真空薄膜形成技術により金属磁性薄膜が磁性層とし
て形成されてなる磁気記録媒体に関し、特に、磁気抵抗
効果型再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録シ
ステムに用いて好適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁
性粉末や合金磁性粉末等の強磁性粉末、結合剤、有機溶
剤等よりなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布すること
で磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0003】これに対し、強磁性金属磁性材料を、例え
ば真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等といった真空薄膜形成技術、またはメッキによっ
て、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルム等の非
磁性支持体上に直接被着させることで磁性層が形成され
る、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体が、高密
度記録、長時間記録への要求の高まりとともに使用され
てきている。このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒
体は、民生用コンスーマービデオフォーマット(8ミリ
Hi−8方式、DV方式)或いは業務用ビデオフォーマ
ット(DVCAM)等において幅広く実用化されてい
る。
【0004】強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、塗布
型の磁気記録媒体に比べて抗磁力や角形比等の磁気特性
に優れ、短波長領域での電磁変換特性に優れる。さら
に、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、磁性層の厚み
を極めて薄くできるので記録減磁や再生時の厚み損失が
著しく小さいことや、磁性層中に非磁性材料である有機
バインダ等の結合剤を混入する必要がないので磁性材料
の充填密度が高いこと等、数々の利点を有している。
【0005】近年、磁気記録再生装置の小型化が進行し
つつある。これに伴い、小型化された磁気記録再生装置
に使用される磁気記録媒体には、形状を小型化すると同
時に高記録容量を実現することが要求されており、これ
まで以上の高密度記録化が要求されている。
【0006】このような高密度記録化に対応した磁気記
録媒体として、特開平11−203652号公報には、
感度の高い磁気抵抗効果型再生ヘッド(以下、単にMR
ヘッドと称する。)によるヘリカルスキャン方式での再
生に最適化された磁性層を持つ、強磁性金属薄膜型の磁
気記録媒体が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、磁気記録媒体
は、ヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置での走行
時において、高速走行しながら磁気ヘッドと常に接触し
ているため、磁気ヘッドとの接触による摩耗や損傷を非
常に受けやすい。そこで、強磁性金属薄膜型の磁気記録
媒体には、磁性層上にカーボン等からなる保護膜、潤滑
剤層等を形成して、走行性や耐久性を改善することがな
されている。
【0008】ところで、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒
体において、カーボンからなる保護膜はDLC(diamond
like carbon)膜とも呼ばれ、マグネトロンスパッタ
法、イオンビームスパッタ法等の(Physical Vapor Dep
osition)法や、CVD(Chemical Vapor Deposition)
法等によって形成される。
【0009】CVD法によりカーボン保護膜を形成する
場合、PVD法によりカーボン保護膜を形成する場合に
比較して、高速成膜が可能であること、被覆率が高いこ
と、及び省電力、省エネルギーであるといった利点を有
している。即ち、CVD法によりカーボン保護膜を形成
することにより、高速成膜が可能となり生産性が向上す
る。また、カーボン保護膜の高い被覆率により、磁性層
の耐食性や耐錆性が改善される。さらに、省電力、省エ
ネルギーにより地球環境に与える影響を少なくすること
ができる。
【0010】しかしながら、CVD法によるカーボン保
護膜は、PVD法によるカーボン保護膜と比較して、表
面の吸着エネルギーが小さい。そのため、上述したよう
に、磁気記録媒体の耐食性や走行性を改善するべく、潤
滑剤を使用しようとすると、潤滑剤とカーボン保護膜と
の吸着性が弱く、安定且つ良好な潤滑効果が発揮されな
い。そのため、カーボン保護膜の存在を考慮した潤滑剤
の設計が必要となる。
【0011】また、良好な走行性および耐久性を実現す
る目的で形成した保護膜や潤滑剤が走行時において磁気
ヘッドにより削られて、削られた保護膜や潤滑剤の削り
屑、いわゆる粉落ちが生じることがある。この粉落ちが
蓄積すると、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間にスペー
シングが生じるため、所定の信号出力が得られなくなる
という問題がある。また、削られた保護膜や潤滑剤の削
り屑等と磁気ヘッドとの接触により、磁気ヘッドを摩耗
させてしまうという問題がある。
【0012】近年、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体で
は、スペーシングロスを低減して電磁変換特性を向上さ
せる目的で、表面平滑性を向上させることが行われてい
る。しかしながら、磁性層の表面平滑性が極めて良好で
あると、磁気ヘッドとの実質的な接触面積が大きくな
り、磁気ヘッドとの摩擦係数はいっそう高くなる傾向に
ある。さらに、長時間記録化に伴い磁気ヘッドとの摺動
時間はより長くなり、スキャンスピードはより速くなる
傾向にある。ところが、これらの傾向は、粉落ちの発生
を促進するものである。
【0013】上記特開平11−203652号公報に開
示されている強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体では、潤
滑剤としてパーフルオロポリエーテルを用いているが、
粉落ちの発生を十分に防止できず、その結果、レベルダ
ウンやヘッド摩耗が生じていた。
【0014】そこで、磁気記録の分野では、一般に、磁
気ヘッドに蓄積した粉落ちを取り除くために、いわゆる
クリーニングテープを用いて磁気ヘッドを物理的に研磨
することがなされている。しかし、物理的手法により磁
気ヘッドを研磨する場合、研磨力を高めすぎると磁気ヘ
ッドを必要以上に研磨してしまい、磁気ヘッドの特性を
劣化させる虞がある。
【0015】特に、薄膜形成技術により形成される金属
薄膜を主な構成要素とするMRヘッドや誘導型薄膜磁気
ヘッドは、摩耗によりその特性が著しく劣化し易いもの
である。このため、薄膜形成技術により形成される磁気
ヘッド、例えばMRヘッドに対しては、MRヘッドに蓄
積した粉落ちを取り除くためにクリーニングテープを用
いることはできない。つまり、粉落ちがMRヘッドに蓄
積した場合、この粉落ちを取り除く手段がない。そのた
め、粉落ちの発生そのものが防止されている潤滑剤の設
計が必要である。
【0016】本発明はこのような従来の実情に鑑みて提
案されたものであり、保護膜と潤滑剤との密着安定性が
高く、長期にわたって潤滑効果が持続し、粉落ちの発生
が防止された潤滑剤を用いることにより、如何なる使用
条件下においても良好な走行性および耐久性を有し、且
つヘッド摩耗や磁気特性の劣化が防止された磁気記録媒
体を提供することを目的とする。特に、磁気抵抗効果型
再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録システム
に用いて最適な磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と、
非磁性支持体上に形成され、強磁性金属材料からなる磁
性層と、磁性層上に形成されてなる保護膜とを備え、磁
気抵抗効果型再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気
記録システムに用いられる磁気記録媒体において、下記
化3で示される末端に水酸基を有するパーフルオロポリ
エーテルと長鎖カルボン酸とのエステルを含有する潤滑
剤層が、保護膜上に形成されていることを特徴とする。
【0018】
【化3】
【0019】以上のように構成される本発明に係る磁気
記録媒体では、上記化3で示される化合物を含有する潤
滑剤層が保護膜上に最上層としてに形成されているの
で、如何なる使用条件下においても潤滑剤の密着性や潤
滑性が良好に保たれるとともに、粉落ちの発生が防止さ
れている。
【0020】また、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体と、非磁性支持体上に形成され、強磁性金属材
料からなる磁性層と、磁性層上に形成されてなる保護膜
とを備え、磁気抵抗効果型再生ヘッドを用いたヘリカル
スキャン磁気記録システムに用いられる磁気記録媒体に
おいて、下記化4で示される末端にカルボキシル基を有
するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエ
ステルを含有する潤滑剤層が上記保護膜上に形成されて
いることを特徴とする。
【0021】
【化4】
【0022】以上のように構成される本発明に係る磁気
記録媒体では、上記化4で示される化合物を含有する潤
滑剤層が保護膜上に最上層としてに形成されているの
で、如何なる使用条件下においても潤滑剤の密着性およ
び潤滑性が良好に保たれるとともに、粉落ちの発生が防
止されている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
について詳細に説明する。
【0024】本発明を適用した磁気記録媒体1は、図1
に示すように、非磁性支持体2の一主面上に磁性層3と
して金属磁性薄膜が形成され、この磁性層3上に保護膜
4が形成され、この保護膜4上に最上層として潤滑剤層
5が形成されてなる。
【0025】非磁性支持体2としては、通常の磁気記録
媒体において非磁性支持体として使用されるものであれ
ば何れも使用でき、具体的には、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチッ
クス、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、ガラ
ス等のセラミックス等を使用できる。
【0026】また、非磁性支持体2としては、その表面
に、山状突起やしわ状突起、粒状突起のうち少なくとも
1種以上の突起が形成され、表面粗さがコントロールさ
れたものも使用できる。
【0027】この磁気記録媒体1では、山状突起やしわ
状突起、粒状突起のうち少なくとも1種以上を非磁性支
持体2上に形成することにより、磁性層3の表面性を制
御できるが、これら突起のうち少なくとも2種以上を組
み合わせることにより効果が増し、特に、山状突起を形
成した非磁性支持体2上にしわ状突起及び粒状突起を形
成すると、耐久性および走行性が著しく改善される。こ
の場合、突起の全体としての高さは、10〜200nm
の範囲内であることが好ましく、その密度は1×105
〜1×107個/mm2であることが好ましい。
【0028】山状突起は、非磁性支持体2の成膜時に、
粒径が50〜300nm程度である無機微粒子を非磁性
支持体2中に内添させることにより形成される。山状突
起の高さは、非磁性支持体2から10〜100nmであ
ることが好ましく、山状突起の密度は、約1×104
1×105個/mm2であることが好ましい。山状突起を
形成する際に非磁性支持体2に内添させる無機微粒子と
しては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等を使用す
ることが好ましい。
【0029】しわ状突起は、特定の混合溶媒を用いた樹
脂の希薄溶液を、非磁性支持体2上に塗布して乾燥させ
ることにより形成される。しわ状突起の高さは、0.0
1〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.5μm
であることがより好ましい。また、しわ状突起間の最短
間隔は、0.1〜20μmであることが好ましい。
【0030】しわ状突起を形成するための樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスチロー
ル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルフ
ォン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニ
ルブチラール、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ
樹脂等の単体、混合体または共重合体を使用でき、可溶
性溶剤を有するものが適している。
【0031】そして、これらの樹脂をその良溶媒に樹脂
濃度1〜1000ppmで溶解させた溶液に、その樹脂
の貧溶媒であって前記良溶媒より高い沸点を有する溶媒
を樹脂に対して10〜100倍量添加した溶液を、非磁
性支持体2の表面に塗布し、乾燥させることにより、非
常に微細なしわ状突起を有する薄層を形成させることが
できる。
【0032】粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超微粒
子、またはシリカ、金属紛等の無機微粒子を、非磁性支
持体2上に球状あるいは半球状に付着させることにより
形成される。粒状突起の高さは、5〜50nmであるこ
とが好ましく、粒状突起の密度は1×106〜5×107
個/mm2であることが好ましい。
【0033】磁性層3は、メッキやスパッタリング、真
空蒸着等の、いわゆる物理的蒸着法(PVD法)によ
り、強磁性金属材料を非磁性支持体2上に直接被着させ
て形成される。即ち、磁性層3は、強磁性金属材料から
なる金属磁性薄膜である。このような手法により形成さ
れる磁性層3の膜厚は、0.01〜1μmであるのが好
ましい。
【0034】磁性層3となる強磁性金属材料としては、
例えばFe、Co、Ni等の金属、Co−Ni系合金、
Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−C
o系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合
金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、F
e−Co−Ni−B系合金、Co−Cr系合金あるいは
これにPt、Al等の金属が含有されたものを使用でき
る。
【0035】金属磁性薄膜には面内磁化膜と垂直磁化膜
とがあり、特に、Co−Cr系合金を使用した場合には
垂直磁化膜が形成される。
【0036】面内磁化膜を形成する場合、非磁性支持体
2上に、Bi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、
Si、Tl等の低融点非磁性材料からなる下地層を予め
形成しておくことが好ましい。上述した金属磁性材料
を、非磁性支持体2の垂直方向から蒸着又はスパッタし
て金属磁性薄膜を形成する際に、これらの低融点非磁性
材料を拡散させることにより、金属磁性薄膜の配向性が
解消されて面内等方性が確保されるとともに、抗磁力が
向上する。
【0037】保護膜4は、磁性層3上に、例えばカーボ
ンを化学気相成長法(CVD法)等により被着させて形
成される。保護膜4の膜厚は、2〜100nmであるこ
とが好ましく、5〜30nmであることがより好まし
い。保護膜4の膜厚が2nm未満であると、保護膜4の
耐久性が不充分となる虞がある。一方、保護膜4の膜厚
が100nmを越えると、短波長記録を行う際に十分な
出力が得られない虞がある。
【0038】潤滑剤層5は、下記化5で示される末端に
水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボ
ン酸とのエステルを含有する潤滑剤を溶媒中に溶解して
なる潤滑剤塗料を、保護膜4上に塗布して形成される。
【0039】
【化5】
【0040】または、潤滑剤層5は、下記化6で示され
る末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエー
テルと長鎖アルコールとのエステルを含有する潤滑剤を
溶媒中に溶解してなる潤滑剤塗料を、保護膜上に塗布し
て形成される。
【0041】
【化6】
【0042】化5において構造式(1)で示される化合
物、または化6において構造式(2)で示される化合物
を含有する潤滑剤は、密着性が高く、長期に亘って潤滑
効果が持続するとともに、粉落ちの発生が防止されてい
るものである。
【0043】構造式(1)で示される化合物を合成する
際に使用される末端に水酸基を有するパーフルオロポリ
エーテルとしては、両末端に水酸基を有するものが好ま
しく、例えば、HOCH2CF2(OC24p(OC
2qOCF2CH2OH等を使用できる。なお、前記パ
ーフルオロポリエーテルの構造式中におけるp、qは1
以上の整数を表す。
【0044】末端に水酸基を有するパーフルオロポリエ
ーテルの分子量は、特に制約されないが、実用的には約
600〜5000であることが好ましい。末端に水酸基
を有するパーフルオロポリエーテルの分子量が大きすぎ
る場合、末端基の吸着基としての効果が薄れると同時
に、パーフルオロポリエーテル鎖が大きくなる分、既存
の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる虞がある。逆に、
分子量が小さすぎる場合、パーフルオロポリエーテル鎖
による潤滑効果が失われてしまう虞がある。
【0045】なお、末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルにおいては、パーフルオロポリエーテル鎖
が部分水素化されていてもよい。すなわち、パーフルオ
ロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%以下)を
水素原子で置換してもよい。この場合、パーフルオロポ
リエーテルとして部分水素化したパーフルオロポリエー
テルを使用すればよい。
【0046】構造式(1)で示される化合物を合成する
際に使用される長鎖カルボン酸としては、その構造等は
任意であり、分岐構造や異性体構造、脂環構造、不飽和
結合の有無等によらず選択することができる。また長鎖
カルボン酸の分子量は、特に制約されないが、小さすぎ
ないことが好ましい。長鎖カルボン酸は、分子量が小さ
くなるに従い、通常の炭化水素系の有機溶媒に対する溶
解性が低下してしまうので、炭素数10以上のアルキル
基を有することが好ましい。
【0047】また、構造式(2)で示される化合物を合
成する際に使用される末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルとしては、両末端にカルボキシ
ル基を有するものが好ましく、例えば、HOOCCF2
(OC24p(OCF2qOCF2COOH等を使用で
きる。なお、前記パーフルオロポリエーテルの構造式中
におけるp、qは1以上の整数を表す。
【0048】末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルの分子量は、特に制約されないが、実用
的には約600〜5000であることが好ましい。末端
にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルの
分子量が大きすぎる場合、末端基の吸着基としての効果
が薄れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大き
くなる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる虞
がある。逆に、分子量が小さすぎる場合、パーフルオロ
ポリエーテル鎖による潤滑効果が失われてしまう虞があ
る。
【0049】なお、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポリエ
ーテル鎖が部分水素化されていてもよい。すなわち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置換してもよい。この場合、パーフ
ルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフルオロ
ポリエーテルを使用すればよい。
【0050】構造式(2)で示される化合物を合成する
際に使用される長鎖アルコールとしては、市販品、或い
は合成品のいずれも使用可能である。長鎖アルコール
は、分子量が小さくなるにしたがい、通常の有機溶媒に
対する溶解性が低下してしまうので、炭素数6以上のア
ルキル基を少なくとも1つ有していることが好ましい。
【0051】なお、潤滑剤層5は、末端に水酸基を有す
るパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエス
テル、または末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステルを含有す
るだけでなく、従来公知の潤滑剤を組み合わせて含有す
ることも可能である。
【0052】潤滑剤塗料の塗布量は、0.5mg/m2
〜100mg/m2であることが好ましく、1mg/m2
〜20mg/m2であることがより好ましい。潤滑剤塗
料の塗布量が少なすぎる場合、摩擦係数の低下、耐磨耗
性及び耐久性の向上という効果が十分に現れない虞があ
る。一方、潤滑剤塗料の塗布量が多すぎる場合、摺動部
材と磁性層3との間でハリツキ現象が起こり、却って走
行性が悪くなる。
【0053】この潤滑剤層5は、防錆剤を含有すること
が可能である。この場合、潤滑剤塗料中に防錆剤を添加
する。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防
錆剤として使用される公知の材料等を使用でき、具体的
には、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、
窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化
合物、硫黄原子を含む複素環化合物等を使用できる。
【0054】また、防錆剤を潤滑剤層5に含有させず、
保護膜4と潤滑剤層5との間に防錆剤層を形成してもよ
い。防錆剤層と潤滑剤層5とを2層に分けて形成するこ
とにより、防錆効果及び潤滑効果がより高くなる。
【0055】この磁気記録媒体1には、磁性層3が形成
されている非磁性支持体2の一主面とは反対側の他主面
上に、図示しない支持補強層や、図示しないバックコー
ト層を形成することが可能である。
【0056】支持補強層は、Mg、Al、Si、Ti、
V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Z
r、Nb、Mo、W等の金属や、これら金属の合金、酸
化物であることが好ましい。支持補強層を形成する方法
としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング
法等の成膜方法が適用可能である。支持補強層の厚み
は、20nm〜500nmであることが好ましい。
【0057】バックコート層は、粉末成分と結合剤とを
有機溶媒に混合分散させたバックコート用塗料を非磁性
支持体2に塗布することにより形成される。
【0058】粉末成分としては、導電性を付与するため
のカーボンブラックや表面粗度のコントロールおよび耐
久性向上のために添加される無機質粉末等を添加する。
【0059】バックコート層に含有させるカーボンブラ
ックとしては、平均粒径の異なる2種類のカーボンブラ
ック、具体的には、平均粒径が10〜20nmである微
粒子状カーボンブラックと、平均粒径が230〜300
nmである粗粒子状カーボンブラックとを使用すること
が好ましい。
【0060】バックコート層に微粒子状のカーボンブラ
ックを添加すると、バックコート層の表面電気抵抗が低
減し、光透過率が低減する。磁気記録再生装置には、テ
ープの光透過率を利用して、動作の信号に使用している
ものが多数ある。このような場合には、微粒子状のカー
ボンブラックの添加は特に有効である。また、微粒子状
カーボンブラックは、一般に潤滑剤の保持力に優れ、バ
ックコート層に潤滑剤を併用する場合、摩擦係数の低減
化に寄与する。
【0061】バックコート層に粗粒子状のカーボンブラ
ックを添加すると、バックコート層表面に微小突起が形
成されるので、摺動部材との接触面積が低減化して、摩
擦係数が低減化する。つまり、粗粒子状カーボンブラッ
クは、固体潤滑剤としての機能を有している。しかし、
粗粒子状カーボンブラックは、過酷な走行系ではテープ
摺動によりバックコート層から脱落しやすいため、エラ
ー比率の増大を招く虞がある。
【0062】バックコート層に平均粒径の異なる2種類
のカーボンブラックを添加する場合、微粒子状カーボン
ブラックと粗粒子状カーボンブラックの添加比率(重量
比)は、98:2〜75:25であることが好ましく、
95:5〜85:15であることがより好ましい。ま
た、バックコート層に添加するカーボンブラック(微粒
子状と粗粒子状を加えた場合においては、その全量)の
添加量は、後述する結合剤100重量部に対して、30
〜80重量部であることが好ましく、45〜65重量部
であることがより好ましい。
【0063】微粒子状カーボンブラックとしては、具体
的には、コロンビアカーボン社製のRAVEN2000
B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)、
キャボット社製のBP800(17nm)、デグサ社製
のPRINNTEX90(14nm)、PRINTEX
95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、
PRINTEX75(17nm)、三菱化成工業(株)
製の#3950(16nm)等を使用できる。
【0064】また粗粒子カーボンブラックの具体的な商
品の例としては、カーンカルブ社製のサーマルブラック
(270nm)、コロンビアカーボン社製のRAVEN
MTP(275nm)等を使用可能できる。
【0065】一方、バックコート層に含有させる無機質
粉末としては、炭酸カルシウム、モース硬度5〜9の無
機質粉末を使用することが好ましい。バックコート層
に、モース硬度が5〜9の無機質粉末を、例えば炭酸カ
ルシウムや上述したカーボンブラックとともに添加する
と、そのフィラー効果により、繰り返し摺動に対しても
劣化し難く、強度の高いバックコート層となる。
【0066】バックコート層にモース硬度が5〜9であ
る無機質粉末を含有させると、バックコート層の表面に
適度の研磨力が生じ、テープガイドポール等への付着が
低減する。特に、この無機質粉末と炭酸カルシウムと併
用すると、表面の粗いガイドポールに対する磁気記録媒
体1の摺動特性が向上し、バックコート層の摩擦係数が
安定化する。
【0067】モース硬度が5〜9の無機質粉末の平均粒
径は、80〜250nmであることが好ましく、100
〜210nmであることがより好ましい。また、モース
硬度が5〜9の無機質粉末の添加量は、カーボンブラッ
ク100重量部に対して3〜30重量部であることが好
ましく、3〜20重量部であることが好ましい。
【0068】バックコート層に添加するモース硬度が5
〜9の無機質粉末としては、例えばα−酸化鉄、α−ア
ルミナ、及び酸化クロム等を使用可能であり、これらの
うち、α−酸化鉄又はα−アルミナを使用することが好
ましい。モース硬度が5〜9の無機質粉末は、それぞれ
単独で添加されてもよいし、あるいは併用してもよい。
【0069】バックコート層に含有される結合剤として
は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂や
これらの混合物を使用可能である。
【0070】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニルや酢酸
ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクルリ酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセ
タール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合
体、または共重合体を使用可能である。
【0071】この共重合体としては、例えば塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−アクリルニトリル共重合体、アク
リル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エス
テル−スチレン共重合体、メタアクリル酸エステル−ア
クリルニトリル共重合体、メタアクリル酸エステル−塩
化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステル−スチ
レン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重
合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエーテル−アク
リル酸エステル共重合体等を使用できる。また、ポリア
ミド樹脂、セルロースアセテートブチレートやセルロー
スダイアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロ
セルロース等の繊維素系樹脂、ポリ弗化ビニル、ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂等など
も使用できる。
【0072】熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、
例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬
化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ア
クリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂と
ポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステ
ルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレ
タンとポリイソシアネートの混合物を使用できる。
【0073】バックコート用塗料の有機溶剤としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコール
モノエチルエーテル等のエステル系溶剤、グリコールジ
メチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオ
キサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、
ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の塩素化
炭化水素系溶剤等を使用できる。
【0074】また、バックコート層に潤滑剤を併用する
ことが可能である。この場合、バックコート層中に潤滑
剤を内添させる方法、あるいはバックコート層上に潤滑
剤を保持させる方法がある。潤滑剤としては、脂肪酸、
脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石鹸、脂肪族アル
コール、シリコーン系潤滑剤等、従来公知の潤滑剤が何
れも使用可能である。
【0075】以上のように構成される磁気記録媒体1
は、以下のようにして製造される。
【0076】まず、非磁性支持体2の一主面上に、例え
ば真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリン
グ法等の真空薄膜形成技術により磁性層3として金属磁
性薄膜を形成する。
【0077】真空蒸着法により磁性層3を形成する場
合、1×10-6〜1×10-2Paの真空下で、強磁性金
属材料を抵抗加熱や高周波加熱、電子ビーム加熱等によ
り蒸発させ、非磁性支持体2上に蒸発金属(強磁性金属
材料)を被着させる。真空蒸着法では、一般に高い抗磁
力を得るために非磁性支持体2に対して上記強磁性金属
材料を斜めに蒸着する、斜方蒸着が用いられる。さら
に、より高い抗磁力を得るために酸素雰囲気中で真空蒸
着を行ってもよい。
【0078】また、真空蒸着の1種であるイオンプレー
ティング法により磁性層3を形成する場合、1×10-2
〜1×10-1Paの不活性ガス雰囲気中でDCグロー放
電やRFグロー放電を起こし、放電中で上記強磁性金属
材料を蒸発させ、非磁性支持体2上に蒸発金属(強磁性
金属材料)を被着させる。
【0079】さらにまた、スパッタリング法により磁性
層3を形成する場合、0.1〜10Paのアルゴンガス
を主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じた
アルゴンガスイオンでターゲット表面の原子をたたき出
し、非磁性支持体2上にこの原子を被着させる。スパッ
タリング法として、具体的には、直流2極、3極スパッ
タ法や、高周波スパッタ法、またはマグネトロン放電を
利用したマグネトロンスパッタ法等がある。
【0080】次いで、この磁性層3上に、例えばCVD
法により保護膜4を形成する。
【0081】CVD法により保護膜4を形成する場合、
まず、真空容器中に炭化水素ガス、あるいは炭化水素ガ
スと不活性ガスとの混合ガスを導入し、ついで、10〜
100Pa程度の圧力に保持した状態で、真空容器中で
放電させて、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、磁性
層3上に保護膜4を形成する。放電形式としては、外部
電極方式、内部電極方式のいずれでもよく、放電周波数
については、実験的にきめることができる。また、磁性
層3が形成された非磁性支持体2側に配された電極に0
〜−3kVの電圧を印加することにより、保護膜4の硬
度を増大し、密着性を向上させることができる。
【0082】保護膜4の材料となる炭化水素ガスとして
は、メタンやエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、エチレン、アセチレン、
プロペン、ブテン、ペンテン、ベンゼン等を使用でき
る。
【0083】次いで、保護膜4上に、潤滑剤塗料を塗布
して潤滑剤層5を形成する。
【0084】まず、構造式(1)で示される末端に水酸
基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸
とのエステル、または構造式(2)で示される末端にカ
ルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖
アルコールとのエステルを含有する潤滑剤を溶媒中に溶
解させて、潤滑剤塗料を調製する。次いで、この潤滑剤
塗料を保護膜4上に塗布することにより、潤滑剤層5を
形成する。
【0085】潤滑剤塗料を調製するために使用する溶媒
としては、フッ素系溶媒、トルエンやアセトン等の炭化
水素系溶媒の何れも使用できる。
【0086】構造式(1)に示される化合物および構造
式(2)に示される化合物は、従来の含フッ素系潤滑剤
と同様に、分子中にフッ素原子を有している。ところ
が、従来の含フッ素系潤滑剤はフッ素系溶媒のみに溶解
するのに対し、構造式(1)に示される化合物および構
造式(2)に示される化合物は、フッ素系溶媒のみなら
ず、トルエンやアセトン等の炭化水素系溶媒にも溶解す
る。
【0087】つまり、構造式(1)に示される化合物ま
たは構造式(2)に示される化合物を含有する潤滑剤層
5を形成する場合、潤滑剤塗料の溶媒として、フッ素系
溶媒と比較して環境に与える影響が非常に小さい炭化水
素系溶媒を使用することができる。
【0088】以上のようして製造される磁気記録媒体1
は、密着性および潤滑性の点で非常に優れるとともに、
粉落ちの発生が防止された潤滑剤を含有する潤滑剤層5
を備えるので、如何なる使用条件下においても良好な走
行性および耐久性を有し、且つヘッド摩耗や磁気特性の
劣化が防止されている。特に、この磁気記録媒体1は、
ヘッド摩耗が確実に防止されているので、MRヘッドを
用いたヘリカルスキャン磁気記録システムに用いて最適
である。
【0089】なお、磁気記録媒体1には、必要に応じて
バックコート層等を形成しても勿論構わない。
【0090】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について、実
験結果に基づいて詳細に説明する。
【0091】〔潤滑剤の調製〕まず、末端に水酸基を有
するパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエ
ステルを以下のようにして合成した。
【0092】先ず、末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルとして分子量2000のHOCH2CF
2(OC24p(OCF2qOCF2CH2OH(但し
p、qはそれぞれ1以上の整数を表わす。)と、このパ
ーフルオロポリエーテルとモル比で2倍当量のトリエチ
ルアミンとを有機溶媒に溶解した。
【0093】次いで、この溶液中に、パーフルオロポリ
エーテルとモル比で2倍当量のステアリン酸クロリドを
30分かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌し、続
いて30分間加熱還流を行った。そして、冷却した後、
蒸留水、希塩酸水溶液の順で洗浄し、再度蒸留水により
洗浄液が中性になるまで洗浄した。
【0094】次いで、有機溶媒を除去し、得られた化合
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製
することで末端に水酸基を有するパーフルオロポリエー
テルと長鎖カルボン酸とのエステル、具体的には、構造
式(1)に示される化合物において、パーフルオロポリ
エーテル鎖(Rf)がCF2(OC24p(OCF2q
OCF2であり、アルキル基(R)がC1837である化
合物を得た。ここで、得られた末端に水酸基を有するパ
ーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル
を化合物1とする。
【0095】また、上記化合物1と同様な合成方法によ
って、化合物1とは異なる構造であり、末端に水酸基を
有するパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸との
エステルとして、表1に示すようなパーフルオロポリエ
ーテル鎖、アルキル基及び分子量を有する化合物を4種
合成し、化合物2〜5とした。尚、表1中、p、q、n
は1以上の整数をそれぞれ表わす。
【0096】
【表1】
【0097】つぎに、末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル
を合成した。
【0098】先ず、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとして分子量2000のHOOC
CF2(OC24p(OCF2qOCF2COOH(但
しp、qはそれぞれ1以上の整数を表わす。)と、この
パーフルオロポリエーテルとモル比で2倍当量のステア
リルアルコールとを、無水トルエン中で少量のp−トル
エンスルホン酸と濃硫酸を触媒として加熱環流させた。
この時、生成される水分を除去しながら行った。
【0099】次いで、トルエンを除去し、得られた化合
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製
することで、末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル、具体的
には、構造式(2)に示される化合物において、パーフ
ルオロポリエーテル鎖(Rf)がCF2(OC24
p(OCF2qOCF2であり、アルキル基(R)がC18
37である化合物を得た。このようにして得られた化合
物を化合物6とする。
【0100】また、上記化合物6と同様な合成方法によ
って、化合物6とは異なる構造であり、末端にカルボキ
シル基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコ
ールとのエステルとして、表2に示すようなパーフルオ
ロポリエーテル鎖、アルキル基及び分子量を有する化合
物を4種合成し、化合物6〜10とした。尚、表2中、
p、q、nは1以上の整数をそれぞれ表わす。
【0101】
【表2】
【0102】さらに、末端に水酸基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル、および
末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテ
ルと長鎖アルコールとのエステル以外の潤滑剤として、
下記表3に示す化合物11〜化合物13を合成した。
尚、表3中、m、n、p、qは1以上の整数をそれぞれ
表す。
【0103】
【表3】
【0104】〔サンプルテープの作製〕上述のようにし
て調製した潤滑剤を含有する潤滑剤層を備える強磁性金
属薄膜型の磁気記録媒体を、以下のようにして作製し
た。
【0105】<実施例1>まず、厚み5.0μmのポリ
エチレンナフタレートからなるフィルム状の非磁性支持
体に、斜方蒸着法によりCoを被着させ、磁性層として
膜厚80nmの金属磁性薄膜を形成した。
【0106】次いで、エチレンおよびアルゴンの混合ガ
スの高周波プラズマにより、電極と磁気記録媒体原反自
身を対向電極として、原反に−1.2kVの直流電圧を
印加し、放電を行い、厚みが約15nmのカーボンから
なる保護膜を金属磁性薄膜上に形成した。
【0107】次いで、非磁性支持体の金属磁性薄膜が形
成された面と反対側の面に、カーボンブラック及びポリ
ウレタン樹脂を含有し、厚み0.5μmのバックコート
層を形成した後、原反を6.35mm幅に切断した。
【0108】最後に、潤滑剤として化合物1をトルエン
に0.2wt%の割合で溶解させて潤滑剤塗料を調製
し、この潤滑剤塗料を保護膜上に均一に塗布して潤滑剤
層を形成して、サンプルテープを得た。
【0109】<実施例2>潤滑剤として、表1に示され
る化合物2を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0110】<実施例3>潤滑剤として、表1に示され
る化合物3を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0111】<実施例4>潤滑剤として、表1に示され
る化合物4を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0112】<実施例5>潤滑剤として、表1に示され
る化合物5を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0113】<実施例6>潤滑剤として、表2に示され
る化合物6を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0114】<実施例7>潤滑剤として、表2に示され
る化合物7を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0115】<実施例8>潤滑剤として、表2に示され
る化合物8を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0116】<実施例9>潤滑剤として、表2に示され
る化合物9を使用したこと以外は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製した。
【0117】<実施例10>潤滑剤として、表2に示さ
れる化合物10を使用したこと以外は実施例1と同様に
してサンプルテープを作製した。
【0118】<比較例1>潤滑剤として、表3に示され
る化合物11を使用したこと以外は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0119】<比較例2>潤滑剤として、表3に示され
る化合物12を使用したこと以外は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0120】<比較例3>潤滑剤として、表3に示され
る化合物13を使用したこと以外は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製した。
【0121】<比較例4>潤滑剤層を形成しないこと以
外は実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0122】以上のようにして作製した実施例1〜実施
例10のサンプルテープおよび比較例1〜比較例4のサ
ンプルテープについて、各サンプルテープの完成直後に
以下に示す種々の測定を行い、走行性および耐久性を評
価した。
【0123】なお、これら一連の測定は、環境条件とし
て温度25℃湿度60%の条件下、温度40℃湿度30
%の条件下、温度−5℃の条件下という3つの異なる条
件下において、それぞれ行った。
【0124】走行性の評価は、上述した環境条件に制御
された恒温槽中で、ステンレスのガイドピン上にサンプ
ルテープを100パス摩擦走行させ、摩擦走行100パ
ス目における摩擦係数を測定することにより行った。
【0125】シャトル耐久性の評価は、上述した環境条
件に制御された恒温槽中で、市販のデジタルビデオカム
コーダー(ソニー社製、機種名:VX−1000)を用
い、各サンプルテープについて1回につき2分間のシャ
トル再生を繰り返し、再生出力が初期出力から3dB低
下するまでのシャトル回数を測定することにより行っ
た。
【0126】さらに、耐久性を評価するために、まず、
上述した環境条件に制御された恒温槽中で、市販のデジ
タルビデオカムコーダー(ソニー製、機種名:VX−1
000)を改造してMRヘッドを使用可能にした記録再
生装置を用い、各サンプルテープについて30分間の再
生を50回繰り返した。次いで、繰り返し走行後のMR
ヘッドを光学顕微鏡を用いて観察し、MRヘッドに付着
している粉落ちおよびMRヘッド摩耗量を測定した。
【0127】なお、MRヘッドに付着した粉落ちを4段
階で評価し、粉落ちが殆どみられないレベルを◎、粉落
ちがヘッド面積に対して50%以下であり出力に影響し
ないレベルを○、粉落ちがヘッド面積に対して50%以
下であり出力に影響するレベルを△、粉落ちがヘッド面
積に対して50%を越える、または走行中にクロッグが
発生するレベルを×とした。
【0128】また、MRヘッド磨耗量としては、初期の
MRヘッドの高さと、30分間の再生を50回繰り返し
た後のMRヘッドの高さとの差を、MRヘッドの摩耗量
として測定した。
【0129】以上の測定結果を、表4〜表6に示す。
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】表4および表6から、構造式(1)で示さ
れる末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと
長鎖カルボン酸とのエステルを含有する潤滑剤層が保護
膜上に形成されている実施例1〜実施例5のサンプルテ
ープは、高温多湿、高温低湿あるいは低温等の様々な使
用条件下において、摩擦係数が小さく、シャトル耐久性
が良好であり、粉落ちが防止され、ヘッド摩耗が少ない
という非常に良好な結果が得られていることがわかっ
た。
【0134】また、表5および表6から、構造式(2)
で示される末端にカルボキシル基を有するパーフルオロ
ポリエーテルと長鎖アルコールとのエステルを含有する
潤滑剤層が保護膜上に形成されている実施例6〜実施例
10のサンプルテープは、高温多湿、高温低湿あるいは
低温等の様々な使用条件下において、摩擦係数が小さ
く、シャトル耐久性が良好であり、粉落ちが防止され、
ヘッド摩耗が少ないという非常に良好な結果が得られて
いることがわかった。
【0135】これに対して、構造式(1)で示される化
合物および構造式(2)で示される化合物以外の潤滑剤
を使用した比較例1〜比較例3のサンプルテープは、様
々な使用条件下において、摩擦係数やシャトル耐久性が
劣化し、粉落ちが防止されず、MRヘッドの磨耗が大き
く、良好な結果が得られないことがわかった。また、潤
滑剤層を備えていない比較例4のサンプルテープも、様
々な使用条件下において良好な結果が得られないことが
わかった。特に、比較例1〜比較例4のサンプルテープ
は、−5℃環境下において使用された場合、シャトル走
行中にドラムや固定ガイド等の摺動部材に粉落ちが生じ
てしまい、その結果、貼り付き現象が起こって走行不能
となった。
【0136】従って、最上層として、構造式(1)で示
される末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル
と長鎖カルボン酸とのエステル、または構造式(2)で
示される末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポ
リエーテルと長鎖アルコールとのエステルを含有する潤
滑剤層を保護膜上に形成することにより、如何なる使用
条件下においても潤滑剤の密着性および潤滑性が好適に
保たれるとともに粉落ちの発生が防止され、走行性およ
び耐久性に優れ、且つヘッド摩耗や磁気特性の劣化が防
止された磁気記録媒体が得られることがわかった。
【0137】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る磁気記録媒体は、密着性や潤滑性の点で非常に優
れるとともに、粉落ちの発生が防止されている潤滑剤を
含有する潤滑剤層が保護膜上に形成されているので、如
何なる使用条件下においても、走行性および耐久性に優
れ、且つヘッド摩耗や磁気特性の劣化が防止される。特
に、この磁気記録媒体は、MRヘッドを用いたヘリカル
スキャン磁気記録紙ステムに用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、2 非磁性支持体、3 磁性層、4
保護膜、5 潤滑剤層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 40:18 C10N 40:18 (72)発明者 谷田貝 洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BD07A CD04A LA20 PA16 5D006 AA01 AA02 FA06 5D112 AA07 BC02 FA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、当該非磁性支持体上に
    形成され、強磁性金属材料からなる磁性層と、当該磁性
    層上に形成されてなる保護膜とを備え、磁気抵抗効果型
    再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録システム
    に用いられる磁気記録媒体において、 下記化1で示される末端に水酸基を有するパーフルオロ
    ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステルを含有する
    潤滑剤層が、上記保護膜上に形成されていることを特徴
    とする磁気記録媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 上記保護膜がカーボンからなることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記保護膜は、CVD法により形成され
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体と、当該非磁性支持体上に
    形成され、強磁性金属材料からなる磁性層と、当該磁性
    層上に形成されてなる保護膜とを備え、磁気抵抗効果型
    再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録システム
    に用いられる磁気記録媒体において、 下記化2で示される末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステルを
    含有する潤滑剤層が、上記保護膜上に形成されているこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。 【化2】
  5. 【請求項5】 上記保護膜がカーボンからなることを特
    徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記保護膜は、CVD法により形成され
    ることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7361421B2 (en) 2004-05-12 2008-04-22 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Lubricant, magnetic recording medium and production method of magnetic recording medium

Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7361421B2 (en) 2004-05-12 2008-04-22 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Lubricant, magnetic recording medium and production method of magnetic recording medium

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