JP2006202372A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Nobuyuki Nagai
信之 永井
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Abstract

【課題】厳しい使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、長期に亘り潤滑効果が持続し、走行性安定性、耐久性ともに優れ、経時的に安定した潤滑特性を発揮し得る磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されており、特定の化学式を有する二種の化合物を混合した潤滑剤が、最外層に保持されている磁気記録媒体を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非磁性支持体上に、少なくとも強磁性金属薄膜よりなる磁性層が形成されている高密度型の磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、最外層に保持される潤滑剤に関しての構造の特定と、組み合わせに関する特定を行い、走行性、耐久性、及び経時的な潤滑特性の安定性の向上を図るものである。
従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁性粉末や合金磁性粉末等の強磁性粉末と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の結合剤、有機溶剤よりなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布することで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されていた。
これに対し、高密度記録、長時間記録への要求の高まりとともに、Co、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等の強磁性金属磁性材料をメッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着させることで磁性層が形成される、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体が開発された。そして、このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、民生用コンスーマービデオフォーマット(8ミリHi−8方式、DV方式)、あるいは業務用ビデオフォーマット(DVCAM)において実用化された。
このような磁気記録媒体は、塗布型の磁気記録媒体に比べて、抗磁力、角形比等の磁気特性に優れ、短波長領域での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層の膜厚を極めて薄くすることが可能であるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入する必要がないことから、磁性材料の充填密度を高めることが可能である等数々の利点を有している。
一般に、上記のような磁気記録媒体は磁気信号の記録・再生の過程で磁気ヘッドとの高速相対運動のもとにおかれ、その際の走行は、円滑かつ安定な状態で行われなければならず、磁気ヘッドとの接触による磨耗や損傷を低減化させることが重要である。
しかしながら、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、構成上、磁性層表面の平滑性が極めて良好であるために、磁気ヘッドとの実質的な接触面積が大きくなり、凝着現象(いわゆるハツリキ)が起こり易くなったり、摩擦係数が大きくなったりする等、耐久性や走行性等についての課題が多く、従来から改善が求められていた。
このような従来技術の課題に鑑みて、例えば、磁性層すなわち強磁性金属薄膜の表面に潤滑剤を塗布して、耐久性や走行性を改善することが試みられた。このような用途に適用される潤滑剤としては、有機フッ素化合物が有効であることが知られている。
例えば従来においては、「非磁性支持体と、非磁性支持体上に形成され、強磁性金属材料からなる磁性層と、磁性層上に形成されてなる保護膜とを備え、磁気抵抗効果型再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録システムに用いられてなり、含フッ素モノエステルモノカルボン酸を含有する潤滑剤層が保護膜上に形成されている磁気記録媒体」が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
この技術においては、低温から常温における条件下においても潤滑効果を持続できるという効果が奏するものとされている。
特開2002−92858号公報
ところで、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体においては、より優れた耐久性を確保する為に、一般的に磁性層上にはカーボン保護層が形成される。
これは前述のコンスーマービデオフォーマットであるDV用テープ、あるいは業務用ビデオフォーマットであるDVCAM用テープ、さらにはテープストリーマ用途であるAIT用テープ等に用いられる磁気記録媒体において実用化されている技術である。
このような構成の磁気記録媒体において、更なる耐久性や走行性の改善を図るべく、カーボン保護層上に潤滑剤を塗布することとすると、カーボン保護層表面のエネルギーは、強磁性金属薄膜と比較して小さいため、潤滑剤とカーボン保護層との吸着性が充分に確保できず、長時間使用によって、走行性や耐久性が急激に劣化する等の問題が顕著となってきた。
すなわち、カーボン保護層の存在を前提とした潤滑剤の化学構造そのものの検討が必要とされていたが、前記特許文献1に開示されている含フッ素モノエステルモノカルボン酸のカーボン保護層に対する吸着力は充分であるとはいえず、多数回走行を行った場合においても、安定した潤滑特性を維持することが困難であった。
また、従来においては、カーボン保護層との吸着性の良い潤滑剤についての種々の検討がなされてはきたが、これら公知の潤滑剤化合物を単独でカーボン保護層上に塗布した構成の磁気記録媒体においては、今後より一層必要とされる磁気記録媒体の長時間使用においても安定した磁気特性を維持することへの要求を満足させるに至らなかった。
そこで本発明においては、上述したような従来の課題に鑑みて、特にカーボン保護層が形成された強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体に好適な潤滑剤についての検討を行い、極めて厳しい使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、長期に亘り潤滑効果が持続し、多数回走行を行った場合においても優れた潤滑特性を維持し、発揮でき、走行性安定性、耐久性ともに優れ、さらには厳しい環境下においても経時的に安定した潤滑特性、すなわち走行性を発揮し得る磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明においては、非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されており、下記一般式(1)で示される含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されている磁気記録媒体を提供する。
R1CH(COOR2)CH2COOR3・・・(1)
(但し、上記一般式(1)中、R1は、脂肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基又は水素を、R2とR3はフロロアルキル基、フロロアルケニル基、フロロポリエーテル基、又は水素を表す。)
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
本発明においては、非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されており、下記一般式(4)で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されている磁気記録媒体を提供する。
R−COO−(CH2jk2k+1・・・(4)
但し、上記一般式(4)中、Rは炭化水素基であり、j≧0、j≧4であるものとする。
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
本発明においては、非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されており、下記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されている磁気記録媒体を提供する。
F(CF2j(CH2kCOOR・・・(5)
但し、上記一般式(5)中、j≧0、25≧j+k≧6、Rは炭素数9〜25の炭化水素基を表すものとする。
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
本発明によれば、上記のような、特定の化学構造を有する化合物を組み合わせて潤滑剤を作製し、これをカーボン保護層上に塗布したことにより、極めて厳しい使用条件下においても優れた密着性、潤滑性が得られ、長期に亘って走行した場合においても潤滑効果を持続でき、走行安定性、及び耐久性についての向上が図られた。
特に、従来において、単一の種類の潤滑剤を使用した場合に比較して、厳しい環境下における経時的な潤滑特性の安定性を飛躍的に向上させることができた。
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。本発明は以下に示す例に限定されるものではなく、従来公知の構成や材料を付加したり、置換したりすることができる。
図1に本発明の磁気記録媒体の一例の概略構成図を示す。
磁気記録媒体10は、非磁性支持体1上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層2、保護層3が形成され、磁性層形成面と反対側の主面にバックコート層5が形成されており、保護層3上には潤滑剤層が保持された構成を有している。以下、各構成要素について説明する。
非磁性支持体1としては、通常の磁気記録媒体の支持体として使用される材料を何れも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチックス、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、ガラス等のセラミックス等が挙げられる。
非磁性支持体1としては、アルミニウム合金板やガラス板等、剛性を有する材料を適用してもよく、この場合、非磁性支持体2の表面にアルマイト処理等を施して酸化被膜やNi−P皮膜等を形成し、非磁性支持体2の表面に硬化処理を施してもよい。
また、非磁性支持体1の形態としては、フィルム状、シート状、ディスク状、カード状、ドラム状等のいずれであってもよい。
また、非磁性支持体1の表面には、所定の突起、例えば山状突起、しわ状突起、粒状突起のうち少なくとも一種以上の突起を形成して表面粗さをコントロールしてもよい。
上記突起を非磁性支持体1上に形成することにより、磁性層2の表面性を制御できるが、これら突起のうち少なくとも二種以上、特に、山状突起を形成した非磁性支持体1上にしわ状突起及び粒状突起を形成すると、耐久性及び走行性が著しく改善されることが確かめられた。
この場合、突起の全体としての高さは、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、その密度は1×105〜1×107個/mm2であることが好ましい。
山状突起は、粒径が50〜300nm程度の無機微粒子を非磁性支持体1中に内添させることにより形成できる。山状突起の高さは、非磁性支持体1から10〜100nmであることが好ましく、山状突起の密度は、約1×104〜1×105個/mm2であることが好ましい。
山状突起を形成する際に非磁性支持体1に内添させる無機微粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等を使用することが好ましい。
しわ状突起は、特定の混合溶媒を用いた樹脂の希薄溶液を、非磁性支持体1上に塗布して乾燥させることにより形成される。しわ状突起の高さは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.5μmとすることがより好ましい。また、しわ状突起間の最短間隔は、0.1〜20μmであることが好ましい。
しわ状突起を形成するための樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスチロール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂等の単体、混合体または共重合体が使用でき、可溶性溶剤を有するものが適している。
そして、これらの樹脂をその良溶媒に樹脂濃度1〜1000ppmで溶解させた溶液に、その樹脂の貧溶媒であって前記良溶媒より高い沸点を有する溶媒を樹脂に対して10〜100倍量添加した溶液を、非磁性支持体1の表面に塗布し、乾燥させることにより、非常に微細なしわ状突起を有する薄層を形成できる。
粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超微粒子、またはシリカ、金属紛等の無機微粒子を、非磁性支持体1上に球状あるいは半球状に付着させることにより形成される。
粒状突起の高さは、5〜50nmであることが好ましく、粒状突起の密度は1×106〜5×107個/mm2であることが好ましい。
磁性層2は、メッキやスパッタリング、真空蒸着等、いわゆる物理的蒸着法(PVD:Physical Vapor Deposition)の手法により、強磁性金属材料を非磁性支持体1上に直接被着させることにより形成できる。すなわち磁性層2は、強磁性金属材料からなるものである。このような手法により形成される磁性層2の膜厚は、0.01〜1μmとすることが好適である。
磁性層2を形成する強磁性金属材料としては、例えばFe、Co、Ni等の金属、Co−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金、Co−Cr系合金あるいはこれにPt、Al等の金属が含有されたものが適用できる。
強磁性金属薄膜には面内磁化膜と垂直磁化膜とがあり、特に、Co−Cr系合金を使用した場合には垂直磁化膜が形成される。
面内磁化膜を形成する場合、非磁性支持体1上に、Bi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料からなる下地層を予め形成しておくことが好ましい。
上記各種金属磁性材料を、非磁性支持体1の垂直方向から蒸着又はスパッタして磁性層を形成する際に、これらの低融点非磁性材料を拡散させることにより、強磁性金属薄膜の配向性が解消されて面内等方性が確保されるとともに、抗磁性が向上する。
保護層3は、磁性層2上に、例えばカーボンを化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等により被着させることにより形成される。
保護層3の膜厚は、2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmとすることがより好ましい。膜厚が2nm未満であると、走行耐久性が充分に得られないおそれがある。一方、膜厚が100nmを超えると、スペーシングロスにより短波長記録を行う際に充分な出力が得られなくなるおそれがある。
また、磁性層2の形成面側とは反対側の主面に、所定の支持補強層(図示せず)を形成してもよい。
支持補強層は、例えば、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、W等の金属や、これら金属の合金、酸化物により形成することが好ましい。
形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の成膜方法が適用可能であり、膜厚は20〜500nm程度が好適である。
バックコート層5は、結合剤樹脂と粉末成分とを有機溶媒に混合分散させた塗料を非磁性支持体に塗布することにより形成することができる。
ここで、バックコート用塗料の調製に使用する結合剤樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロース−メラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートとの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
あるいは、粉末成分の分散性の改善を図るために、親水性極性基を有する結合剤樹脂を使用してもよい。
一方、上記粉末成分としては、導電性を付与するためのカーボン系微粉末や表面粗度のコントロール及び耐久性向上のために添加される無機顔料が挙げられる。
上記カーボン系微粒子としては、ファーネスカーボン、チャネルカーボン、アセチレンカーボン、サーマルカーボン、ランプカーボン等が例示され、上記無機顔料としては、α−FeOOH、α−Fe23、Cr23、TiO2、ZnO、SiO、SiO2、SiO2・2H2O、Al23、CaCO3、MgCO3、Sb23等が例示される。
バックコート層用塗料調製用の有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒等、汎用の溶剤を適用できる。
また、バックコート層5には、公知の潤滑剤を併用してもよい。
この場合、バックコート層中に潤滑剤を内添してもよく、あるいはバックコート層上に潤滑剤を被着してもよい。
上記潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石鹸、脂肪族アルコール、シリコーン系潤滑剤等、従来周知の潤滑剤をいずれも使用できる。
次に、本発明の特徴点である潤滑剤層4について、具体的に説明する。
〔第一の例〕
先ず、第一の例としては、下記一般式(1)で示される含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されているものとする。
R1CH(COOR2)CH2COOR3・・・(1)
(但し、上記一般式(1)中、R1は、脂肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基又は水素を、R2とR3はフロロアルキル基、フロロアルケニル基、フロロポリエーテル基、又は水素を表す。)
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、非置換もしくは置換で、飽和若しくは不飽和の、含フッ素炭化水素基あるいは炭化水素基とすることができるが、特に、下記一般式(3)で表される基に特定することにより、最終的に得られる磁気記録媒体において高い潤滑特性を発揮でき、優れた走行耐久性、厳しい環境下における経時的安定性が実現できることが確かめられた。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
一般式(1)中のR2とR3で表されるフロロアルキル基、フロロアルケニル基又はフロロポリエーテル基の炭素数は、フロロアルキル基及びフロロアルケニル基の場合は6〜30であることが好ましく、6〜21であることがより好ましい。また、フロロポリエーテル基である場合はその平均分子量が1000〜6000であることが好ましく、更には2000〜4000とすることが好ましい。
R2とR3で表されるフロロアルキル基又はフロロアルケニル基の炭素数を6〜30とすることで、溶媒への溶解性が良好なものとなり、摩擦係数の低下効果、摩耗特性および耐久性の向上効果が確実に現れる。R2とR3で表されるフロロアルキル基又はフロロアルケニル基の炭素数が6未満である場合、アルキル基長が短すぎて、摩擦特性の低下、摩耗特性および耐久性の向上という効果が現れない場合がある。
一方、R2とR3で表されるフロロアルキル基又はフロロアルケニル基の炭素数が30を越える場合、溶媒への溶解性が小さくなり、均一な潤滑剤層5の形成が困難となる場合がある。
また、R2とR3で表されるフロロポリエーテル基の平均分子量が1000以下である場合は潤滑剤が剥がれやすくなり、摩耗特性や耐久性が向上しない場合がある。平均分子量が6000以上である場合はヘッドと潤滑層が凝着を起こしやすくなり、摩耗特性が低下する。
含フッ素モノエステルモノカルボン酸は、例えば相当する酸無水物と含フッ素アルコールとの反応によって容易に合成することができる。
また、上記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体は、部分フッ化カルボン酸クロリドとリンゴ酸とをほぼ等モル量で反応させることによって合成できる。
また、上記Rf基を表す一般式(3)のmとnは、それぞれ、m=2〜20、n=4〜18であるものとするが、より好ましくは、m=4〜13、n=4〜10であるものとする。
炭素数を上記のように限定するのは、アルキル基または含フッ素アルキル基を構成する炭素数(mとnの和)が上記数値範囲の下限以上であると、疎水性基間の凝集力が有効に発揮され、良好な潤滑作用が発現し、摩擦・摩耗耐久性が向上するからである。また、その炭素数が上記上限以下であると、前記カルボン酸系化合物からなる潤滑剤の溶媒に対する溶解性が良好に保たれる。
更に、本例における潤滑剤においては、含フッ素モノエステルモノカルボン酸とフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10とすることにより、優れた潤滑特性が発揮され、長時間、磁気記録媒体の使用を行った場合においても優れた潤滑特性が維持でき、良好な経時的安定性が得られ、耐久性に優れた磁気記録媒体が得られることが確かめられた。
一方、上記数値範囲を外れた範囲において潤滑剤を調製すると、特に、厳しい環境下における保存後に潤滑特性が劣化してしまい、経時的安定性の点において悪化してしまうことが確かめられた。
潤滑剤を磁気記録媒体の最外層に保持させる方法としては、磁性層2の表面や、保護層3の表面にトップコートする方法が挙げられる。
塗布量は、0.05mg/m2〜100mg/m2であるのが好ましく、0.1mg/m2〜50mg/m2であるのがより好ましい。
塗布量が上記数値範囲未満であると、摩擦係数の低下、耐磨耗性・耐久性の向上という効果が充分には得られず、塗布量があまり多すぎると、摺動部材と摺動箇所との間でハリツキ現象が起こり、走行性が悪化する。
また、本例の磁気記録媒体においては、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであれば何れも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
本例の潤滑剤を磁性層側の最表面に保持させたことにより、極めて厳しい使用条件下においても、優れた密着性や潤滑性が保たれ、長期に亘って潤滑効果が持続でき、経時的にも優れた安定性が発揮されるため、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保された。
〔第二の例〕
第二の例としては、下記一般式(4)で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されているものとする。
R−COO−(CH2jk2k+1・・・(4)
但し、上記一般式(4)中、Rは炭化水素基であり、j≧0、j≧4であるものとする。
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、非置換もしくは置換で、飽和若しくは不飽和の、含フッ素炭化水素基あるいは炭化水素基とすることができるが、特に、下記一般式(3)で表される基に特定することにより、最終的に得られる磁気記録媒体において高い潤滑特性を発揮でき、優れた走行耐久性、経時的安定性が実現できることが確かめられた。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
上記式(4)中の炭化水素基Rは、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、また、飽和、不飽和のいずれでもよい。
更に、炭化水素基Rはアリール基やパーフルオロ炭化水素基であっても良い。分子量についても任意に設定可能であるが、分子量が小さくなると通常の炭化水素系の有機溶媒に溶解し難くなることから、少なくともアルキル基の炭素数が10以上であることが好ましい。
一方、パーフルオロアルキル基(−Ck2k+1)の炭素数kは4以上とすることが好ましいが、更には6以上とすることが望ましい。
上記式(4)のカルボン酸パーフルオロアルキルエステルは、例えば相当する酸塩化物と含フッ素アルコールとの反応によって容易に合成することができる。
例えば、下記式(6)によって合成できる。・・・(6)
RCOCl+Ck2k+1(CH2jOH→R−COO(CH2jk2k+1・・・(6)
上記酸塩化物は、脂肪族カルボン酸を五塩化リンPCl3あるいは塩化チオニルSOCl2で塩素化することによって容易に合成できる。特に、脂肪族カルボン酸の炭素数が小さいものについては、塩化チオニルSOCl2で塩素化することによって合成できる。
反応式を下記式(7)に示す。
RCOOH+PCl5→RCOCl・・・(7)
一方、フッ素含有アルコールCk2k+1(CH2jOHについては、例えば、シモンズ法等によって得られたパーフルオロカルボン酸をジメチルホルムアミド(DMF)存在下で塩素化した後、還元剤によって還元することにより、合成できる。
反応式を下記式(8)に示す。
SOCl2
k2k+1COOH−−−→ Ck2k+1(CH2jOH・・・(8)
DMF
また、上記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体は、部分フッ化カルボン酸クロリドとリンゴ酸とをほぼ等モル量で反応させることによって、容易に合成することができる。
また、上記Rf基を表す一般式(3)のmとnは、それぞれ、m=2〜20、n=4〜18であるものとするが、より好ましくは、m=4〜13、n=4〜10であるものとする。
炭素数を上記のように限定するのは、アルキル基または含フッ素アルキル基を構成する炭素数(mとnの和)が上記数値範囲の下限以上であると、疎水性基間の凝集力が有効に発揮され、良好な潤滑作用が発現し、摩擦・摩耗耐久性が向上するからである。また、その炭素数が上記上限以下であると、前記カルボン酸系化合物からなる潤滑剤の溶媒に対する溶解性が良好に保たれる。
更に、本例における潤滑剤においては、カルボン酸パーフルオロアルキルエステルとフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10とすることにより、優れた潤滑特性が発揮され、長時間、磁気記録媒体の使用を行った場合においても優れた潤滑特性が維持でき、良好な経時的安定性が得られ、耐久性に優れた磁気記録媒体が得られることが確かめられた。
一方、上記数値範囲を外れた範囲において潤滑剤を混合調製すると、特に、厳しい環境下における保存後に潤滑特性が劣化してしまい、経時的安定性の点において悪化してしまうことが確かめられた。
潤滑剤を磁気記録媒体の最外層に保持させる方法としては、磁性層2の表面や、保護層3の表面にトップコートする方法が挙げられる。
塗布量は、0.05mg/m2〜100mg/m2であるのが好ましく、0.1mg/m2〜50mg/m2であるのがより好ましい。
塗布量が上記数値範囲未満であると、摩擦係数の低下、耐磨耗性・耐久性の向上という効果が充分に得られず、塗布量があまり多すぎると、摺動部材と摺動箇所との間でハリツキ現象が起こり、走行性が悪化してしまう。
また、本例の磁気記録媒体においては、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであれば何れも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
本例の潤滑剤を磁性層側の最表面に保持させたことにより、極めて厳しい使用条件下においても、優れた密着性や潤滑性が保たれ、長期に亘って潤滑効果が持続でき、経時的にも優れた安定性が発揮されるため、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保された。
〔第三の例〕
第三の例としては、下記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されているものとする。
F(CF2j(CH2kCOOR・・・(5)
但し、上記一般式(5)中、j≧0、25≧j+k≧6、Rは炭素数9〜25の炭化水素基を表すものとする。
Figure 2006202372
但し、上記一般式(2)中、Rf基は、非置換もしくは置換で、飽和若しくは不飽和の、含フッ素炭化水素基あるいは炭化水素基とすることができるが、特に、下記一般式(3)で表される基とすることにより、最終的に得られる磁気記録媒体において高い潤滑特性を発揮でき、優れた走行耐久性、経時的安定性が実現できることが確かめられた。
Figure 2006202372
上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。
上記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルは、パーフルオロアルキルカルボン酸と相当するアルコールとを反応させることによって合成できる。
上記パーフルオロカルボン酸エステルにおいて、パーフルオロアルキルカルボン酸部の炭素数nは6以上であることが好ましい。この炭素数nが6未満であると潤滑効果が不足する。また、エステル部の炭化水素基の炭素数においても同様で、先の一般式中炭化水素基Rの炭素数が1〜25であることが好ましく、炭素数9〜25であることがより好ましい。炭化水素基Rの炭素数が9未満であると潤滑効果が不足し、25を超えると溶媒に溶解しにくくなる。なお、この炭化水素基Rは長鎖のアルキル基であっても良いし、枝分かれしたアルキル基や二重結合を有するアルキレン鎖であっても良い。
また、上記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体は、部分フッ化カルボン酸クロリドとリンゴ酸とをほぼ等モル量で反応させることによって、容易に合成することができる。
また、上記Rf基を表す一般式(3)のmとnは、それぞれ、m=2〜20、n=4〜18であるものとするが、より好ましくは、m=4〜13、n=4〜10であるものとする。
炭素数を上記のように限定するのは、アルキル基または含フッ素アルキル基を構成する炭素数(mとnの和)が上記数値範囲の下限以上であると、疎水性基間の凝集力が有効に発揮され、良好な潤滑作用が発現し、摩擦・摩耗耐久性が向上するからである。また、その炭素数が上記上限以下であると、前記カルボン酸系化合物からなる潤滑剤の溶媒に対する溶解性が良好に保たれる。
更に、本例における潤滑剤においては、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、フルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10とすることにより、優れた潤滑特性が発揮され、長時間、磁気記録媒体の使用を行った場合においても優れた潤滑特性が維持でき、良好な経時的安定性が得られ、耐久性に優れた磁気記録媒体が得られることが確かめられた。
一方、上記数値範囲を外れた範囲において潤滑剤を混合調製すると、特に、厳しい環境下における保存後に潤滑特性が劣化してしまい、経時的安定性の点において悪化してしまうことが確かめられた。
潤滑剤を磁気記録媒体の最外層に保持させる方法としては、磁性層2の表面や、保護層3の表面にトップコートする方法が挙げられる。
塗布量は、0.05mg/m2〜100mg/m2であるのが好ましく、0.1mg/m2〜50mg/m2であるのがより好ましい。
塗布量が上記数値範囲未満であると、摩擦係数の低下、耐磨耗性・耐久性の向上という効果が得られず、塗布量があまり多すぎると、摺動部材と摺動箇所との間でハリツキ現象が起こり、走行性が悪化してしまう。
また、本例の磁気記録媒体においては、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであれば何れも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
本例の潤滑剤を磁性層側の最表面に保持させたことにより、極めて厳しい使用条件下においても、優れた密着性や潤滑性が保たれ、長期に亘って潤滑効果が持続でき、経時的にも優れた安定性が発揮されるため、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保された。
次に、本発明の磁気記録媒体の作製方法について、以下に説明する。
先ず、非磁性支持体1の一主面上に、例えば真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法等の真空薄膜形成技術により、磁性層2として強磁性金属薄膜を形成する。
次に、磁性層2上に、例えばスパッタ等のPVD法あるいはCVD法により保護層3を形成する。
次に、保護層3上に、上記〔第一の例〕〜〔第三の例〕において説明した所定の潤滑剤をトップコートして潤滑剤層4を形成する。必要に応じてバックコート層5を形成することにより、磁気記録媒体10が作製される。
まず、磁性層2を形成する方法について具体的に説明する。
例えば真空蒸着法により磁性層2を形成する場合、1×10-6〜1×10-2Paの真空下で、強磁性金属材料を抵抗加熱や高周波加熱、電子ビーム加熱等により蒸発させ、非磁性支持体上に蒸発金属(強磁性金属材料)を被着させる。真空蒸着法では、一般に高い抗磁力を得るために非磁性支持体に対して上記強磁性金属材料を斜めに蒸着する、斜方蒸着が用いられる。さらに、より高い抗磁力を得るために酸素雰囲気中で真空蒸着を行ってもよい。
また、真空蒸着の一種であるイオンプレーティング法により磁性層を形成する場合、1×10-2〜1×10-1Paの不活性ガス雰囲気中でDCグロー放電やRFグロー放電を起こし、放電中で上記強磁性金属材料を蒸発させ、非磁性支持体上に蒸発金属(強磁性金属材料)を被着させる。
スパッタリング法により磁性層を形成する場合、0.1〜10Paのアルゴンガスを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンガスイオンでターゲット表面の原子をたたき出し、非磁性支持体上にこの原子を被着させる。スパッタリング法として、具体的には、直流2極、3極スパッタ法や、高周波スパッタ法、またはマグネトロン放電を利用したマグネトロンスパッタ法等がある。
次に、保護層3を形成する方法について説明する。
例えばCVD法により保護層3を形成する場合、まず、真空容器中に炭化水素ガス、あるいは炭化水素ガスと不活性ガスとの混合ガスを導入し、ついで、10〜100Pa程度の圧力に保持した状態で、真空容器中で放電させて、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、磁性層2上に保護層3を成膜する。
放電形式としては、外部電極方式、内部電極方式のいずれでもよく、放電周波数については、実験的にきめることができる。また、磁性層2が形成された非磁性支持体1側に配された電極に0〜−3kVの電圧を印加することにより、保護層3の硬度を増大し、密着性を向上させることができる。
保護層3の材料となる炭化水素ガスとしては、メタンやエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレン、アセチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ベンゼン等が使用できる。
潤滑剤層4の成膜方法については、上記〔第一の例〕〜〔第三の例〕において詳細に述べた。また、バックコート層については、従来公知の磁気記録媒体用のバック層として適用されている材料を使用することができ、これを塗布、乾燥させることにより形成することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例A〕
この実施例において作製される潤滑剤は、上記〔第一の例〕において作製された潤滑剤に対応しているものとする。
(サンプルの作製)
1 含フッ素モノエステルモノカルボン酸の合成
37gのF(CF28(CH210OHをイソオクタデシルコハク酸無水物15gとともに400ccのトルエンに溶解し、濃硫酸を触媒量添加して、3時間還流した。
次に、放冷後反応液を水洗し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後に濃縮した。
カラムクロマトグラフィ(シリカゲル/トルエン)により原料を除去した後、溶離液を酢酸エチルに換え、目的物を分取した。
最後に、酢酸エチル溶液を濃縮することにより、C919CH(C715)CH2CH(COOC1020817)CH2COOC1020817を25g得た。
これを化合物A1と称する。
次に、上記化合物A1と同様にして、含フッ素モノエステルモノカルボン酸である4種類の化合物A2〜A5を合成した。各化合物を下記表1に示す。
Figure 2006202372
2 フルオロアルキルジカルボン酸誘導体の合成
カルボン酸基を含むリンゴ酸を用い、Rf基を含む酸クロライド化合物としてフッ化酸クロライドCF3(CF2)7(CH2)10COClを用いて、カルボン酸系化合物を、下記の合成手順で合成した。
CF3(CF2)7(CH2)10COCl + HOCH(COOH)CH2COOH
→CF3(CF2)7(CH2)10COOCH(COOH)CH2COOH+HCl
リンゴ酸HOCH(COOH)CH2COOH:13.4gと11−(パーフルオロオクチル)ウンデカン酸クロリドCF3(CF2)7(CH2)10COCl:60.4gを、テトラヒドロフラン(THF)500ml中で混合し、3時間、還流加熱して反応させた。
反応終了後、ろ別によってTHFを除去し、反応生成物を再結晶によって精製した。
即ち、反応液をろ過して固体状の反応生成物をTHFから分離し、この反応生成物を60℃に加温した2−プロパノール(IPA)500mlに溶解させた後、不溶物をろ別して除き、ろ液を回収して濃縮した。この濃縮物を60℃に加温したn−ヘキサン500mlに溶かした後、氷冷して目的物を結晶として析出させた。この結晶をろ過によって回収し、精製された目的物(一般式(2)で示される化合物)を得た。
下記表2に、合成した一般式(2)の化合物A6〜A10のRfを示す。
Figure 2006202372
3 サンプルテープの作製
次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。
先ず、非磁性支持体である7.0μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、前述の真空蒸着装置を使用して斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚180nmの磁性層となる強磁性金属薄膜を形成した。
次に、マグネトロンスパッタ装置を用いて磁性層上に保護層となる8nmの厚さのカーボン保護層を形成した。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの磁性層形成面と反対側の面にカーボン及びポリウタレン樹脂よりなる厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
次に、上記のようにして、一主面側に強磁性金属薄膜とカーボン保護層、他方の主面側にバックコート層が形成された非磁性支持体のカーボン保護層表面に、下記表3に示される各化合物、及び化合物の混合物をヘキサン溶媒に溶解したものを塗布量が5mg/m2となるようにそれぞれ塗布して磁気記録媒体を得た。
これら各磁気記録媒体を6.35mm幅にそれぞれ裁断し、実施例A1〜A13と比較例A1〜A4の17種類のサンプルテープを作製した。
Figure 2006202372
4 特性の評価
次に、上記実施例A1〜A13と比較例A1〜A4の17種類のサンプルテープの特性を評価した。
ここでは、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩擦係数とスチル耐久性、シャトル耐久性を評価した。
これらを評価する際の環境条件は、本発明者等が検討した上で、最も厳しい条件と思われた条件とした。
(1)摩擦係数測定方法
摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度80%RHに制御して、この恒温槽中で各サンプルテープを100パス走行させて測定した。なお、摩擦走行100パス目の数値を摩擦係数とした。
(2)スチル耐久性測定方法
スチル耐久性の評価は、−5℃の恒温槽中で行い、市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用いて、各サンプルテープの再生出力が3dB落ちるまでの時間を測定して行った。
(3)シャトル耐久性測定方法
シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度20%RHに制御して、この恒温槽中で市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用い、各サンプルテープを100パスシャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力が初期出力から何dB落ちるかを測定して評価した。
なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温度45℃、湿度80%RHの環境下で1ヶ月間保存した後に行った。
潤滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び走行性の結果を下記表4に示し、1ヶ月間保存した後の保存後の耐久性及び走行性の結果を下記表5に示す。
Figure 2006202372
Figure 2006202372
上記表4及び表5の結果から、含フッ素モノエステルモノカルボン酸とフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを組み合わせた潤滑剤を使用した実施例A1〜A11においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られていることがわかる。
一方、含フッ素モノエステルモノカルボン酸のみを含有する潤滑剤のみ、あるいはフルオロアルキルジカルボン酸誘導体のみを用いた比較例A1〜A4においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が得られないことがわかる。
また、これらの結果から、特に本発明で使用したようなフルオロアルキルジカルボン酸誘導体を用いることにより、長期保存後も初期の特性を維持させることができることが確認された。
すなわち、含フッ素モノエステルモノカルボン酸とフルオロアルキルジカルボン酸誘導体を組み合わせて含有させた潤滑剤を最外層に保持させることにより、極めて厳しい使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果が持続し、経時的に安定した潤滑特性が維持でき、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保されることが確認された。
また、実施例A1〜A11の結果と、実施例A12、A13の結果とを比較すると、前記一般式(1)の含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、前記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比については、重量比で10:90〜90:10の範囲とすることにより、特に、経時的な潤滑特性についての効果が顕著に改善されることが分った。
すなわち、前記一般式(1)の含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、前記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを、好適な混合比を選定して潤滑剤を調製することにより、厳しい使用環境下においても長期に亘って安定した潤滑特性を維持できることが分った。
〔実施例B〕
この実施例において作製される潤滑剤は、上記〔第二の例〕において作製された潤滑剤に対応しているものとする。
(サンプルの作製)
1 エステル化合物の合成
カルボン酸パーフルオロアルキルエステルを合成した。
先ず、市販の2−パーフルオロヘキシルエチルを用い、この2−パーフルオロヘキシルエチルとモル比で2倍等量となるトリエチルアミンを有機溶媒に溶解させ、この溶液中に更にモル比で2倍等量のオレイン酸クロリドを30分かけて滴下した。
滴下終了後、1時間撹拌し、続いて30分間加熱還流を行った。冷却後、蒸留水、希塩酸水溶液の順で洗浄し、再度蒸留水により洗浄液が中性になるまで洗浄した。
続いて、有機溶媒を除去し、得られた化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製してエステル化合物を得た。
これを化合物B1と称することとする。
次に、上記化合物1と同様にして、カルボン酸パーフルオロアルキルエステルである4種類の化合物B2〜B5を合成した。得られた化合物の構造を下記表6に示す。
Figure 2006202372
2 フルオロアルキルジカルボン酸誘導体の合成
カルボン酸基を含むリンゴ酸を用い、Rf基を含む酸クロライド化合物としてフッ化酸クロライドCF3(CF2)7(CH2)10COClを用いて、カルボン酸系化合物を、下記の合成手順で合成した。
CF3(CF2)7(CH2)10COCl + HOCH(COOH)CH2COOH
→CF3(CF2)7(CH2)10COOCH(COOH)CH2COOH+HCl
リンゴ酸HOCH(COOH)CH2COOH:13.4gと11−(パーフルオロオクチル)ウンデカン酸クロリドCF3(CF2)7(CH2)10COCl:60.4gを、テトラヒドロフラン(THF)500ml中で混合し、3時間、還流加熱して反応させた。
反応終了後、ろ別によってTHFを除去し、反応生成物を再結晶によって精製した。
即ち、反応液をろ過して固体状の反応生成物をTHFから分離し、この反応生成物を60℃に加温した2−プロパノール(IPA)500mlに溶解させた後、不溶物をろ別して除き、ろ液を回収して濃縮した。この濃縮物を60℃に加温したn−ヘキサン500mlに溶かした後、氷冷して目的物を結晶として析出させた。この結晶をろ過によって回収し、精製された目的物(一般式(2)で示される化合物)を得た。
下記表7に、合成した一般式(2)の化合物B6〜B10のRfを示す。
Figure 2006202372
3 サンプルテープの作製
次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。
先ず、非磁性支持体である7.0μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、前述の真空蒸着装置を使用して斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚180nmの磁性層となる強磁性金属薄膜を形成した。
次に、マグネトロンスパッタ装置を用いて磁性層上に保護層となる8nmの厚さのカーボン保護層を形成した。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの磁性層形成面と反対側の面にカーボン及びポリウタレン樹脂よりなる厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
次に、上記のようにして、一主面側に強磁性金属薄膜とカーボン保護層、他方の主面側にバックコート層が形成された非磁性支持体のカーボン保護層表面に、下記表8に示される各化合物、又は化合物の混合物をヘキサン溶媒に溶解したものを塗布量が5mg/m2となるようにそれぞれ塗布して磁気記録媒体を得た。
これら各磁気記録媒体を6.35mm幅にそれぞれ裁断し、実施例B1〜B13と比較例B1〜B4の17種類のサンプルテープを作製した。
Figure 2006202372
4 特性の評価
次に、上記実施例B1〜B13と比較例B1〜B4の17種類のサンプルテープの特性を評価した。
ここでは、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩擦係数とスチル耐久性、シャトル耐久性を評価した。
これらを評価する際の環境条件は、本発明者らが検討した上で、最も厳しい条件と思われた条件とした。
(1)摩擦係数測定方法
摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度80%RHに制御して、この恒温槽中で各サンプルテープを100パス走行させて測定した。なお、摩擦走行100パス目の数値を摩擦係数とした。
(2)スチル耐久性測定方法
スチル耐久性の評価は、−5℃の恒温槽中で行い、市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用いて、各サンプルテープの再生出力が3dB落ちるまでの時間を測定して行った。
(3)シャトル耐久性測定方法
シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度20%RHに制御して、この恒温槽中で市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用い、各サンプルテープを100パスシャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力が初期出力から何dB落ちるかを測定して評価した。
なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温度45℃、湿度80%RHの環境下で1ヶ月間保存した後に行った。
潤滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び走行性の結果を下記表9に示し、1ヶ月間保存した後の保存後の耐久性及び走行性の結果を下記表10に示す。
Figure 2006202372
Figure 2006202372
表9及び表10の結果から、カルボン酸パーフルオロアルキルエステルとフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを組み合わせた潤滑剤を使用した実施例B1〜B11においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られていることがわかる。
一方、カルボン酸パーフルオロアルキルエステルのみを含有する潤滑剤のみ、あるいはフルオロアルキルジカルボン酸誘導体のみを用いた比較例B1〜B4においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が得られないことがわかる。
また、これらの結果から、特に本発明で使用したようなフルオロアルキルジカルボン酸誘導体を用いることにより、長期保存後も初期の特性を維持させることができることが確認された。
すなわち、本発明を適用してカルボン酸パーフルオロアルキルエステルとフルオロアルキルジカルボン酸誘導体を組み合わせて含有させた潤滑剤を最外層に保持させることにより、極めて厳しい使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果が持続し、経時的に安定した潤滑特性が維持でき、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保されることが確認された。
また、実施例B1〜B11の結果と、実施例B12、B13の結果とを比較すると、前記一般式(4)で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比については、重量比で10:90〜90:10の範囲とすることにより、特に、経時的な潤滑特性についての効果が顕著に改善されることが分った。
すなわち、前記一般式(4)で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを、好適な混合比を選定して潤滑剤を調製することにより、厳しい使用環境下においても長期に亘って安定した潤滑特性を維持できることが分った。
〔実施例C〕
この実施例において作製される潤滑剤は、上記〔第三の例〕において作製された潤滑剤に対応しているものとする。
(サンプルの作製)
1 エステル化合物の合成
市販のオレイルアルコールとパーフルオロヘキサン酸をトルエン中、p−トルエンスルホン酸を触媒としてエステル反応を行った。
すなわち、1時間還流後、3時間かけて溶媒中の水分を除去し、更にトルエンを減圧下、エバポレーターを用いて除去し、真空蒸留してエステル化合物を得た。
これを化合物C1と称する。
次に、上記化合物C1と同様にして、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルである4種類の化合物C2〜C5を合成した。得られた化合物の構造を下記表11に示す。
Figure 2006202372
2 フルオロアルキルジカルボン酸誘導体の合成
カルボン酸基を含むリンゴ酸を用い、Rf基を含む酸クロライド化合物としてフッ化酸クロライドCF3(CF2)7(CH2)10COClを用いて、カルボン酸系化合物を、下記の合成手順で合成した。
CF3(CF2)7(CH2)10COCl + HOCH(COOH)CH2COOH
→CF3(CF2)7(CH2)10COOCH(COOH)CH2COOH+HCl
リンゴ酸HOCH(COOH)CH2COOH:13.4gと11−(パーフルオロオクチル)ウンデカン酸クロリドCF3(CF2)7(CH2)10COCl:60.4gを、テトラヒドロフラン(THF)500ml中で混合し、3時間、還流加熱して反応させた。
反応終了後、ろ別によってTHFを除去し、反応生成物を再結晶によって精製した。
即ち、反応液をろ過して固体状の反応生成物をTHFから分離し、この反応生成物を60℃に加温した2−プロパノール(IPA)500mlに溶解させた後、不溶物をろ別して除き、ろ液を回収して濃縮した。この濃縮物を60℃に加温したn−ヘキサン500mlに溶かした後、氷冷して目的物を結晶として析出させた。この結晶をろ過によって回収し、精製された目的物(一般式(2)で示される化合物)を得た。
下記表12に、合成した一般式(2)の化合物C6〜C10のRfを示す。
Figure 2006202372
3 サンプルテープの作製
次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。
先ず、非磁性支持体である7.0μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、前述の真空蒸着装置を使用して斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚180nmの磁性層となる強磁性金属薄膜を形成した。
次に、マグネトロンスパッタ装置を用いて磁性層上に保護層となる8nmの厚さのカーボン保護層を形成した。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの磁性層形成面と反対側の面にカーボン及びポリウタレン樹脂よりなる厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
次に、上記のようにして、一主面側に強磁性金属薄膜とカーボン保護層、他方の主面側にバックコート層が形成された非磁性支持体のカーボン保護層表面に、下記表13に示される各化合物、又は化合物の混合物をヘキサン溶媒に溶解したものを塗布量が5mg/m2となるようにそれぞれ塗布して磁気記録媒体を得た。
これら各磁気記録媒体を6.35mm幅にそれぞれ裁断し、実施例C1〜C13と比較例C1〜C4の17種類のサンプルテープを作製した。
Figure 2006202372
4 特性の評価
次に、上記実施例C1〜C13と比較例C1〜C4の17種類のサンプルテープの特性を評価した。
ここでは、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩擦係数とスチル耐久性、シャトル耐久性を評価した。
これらを評価する際の環境条件は、本発明者等が検討した上で、最も厳しい条件と思われた条件とした。
(1)摩擦係数測定方法
摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度80%RHに制御して、この恒温槽中で各サンプルテープを100パス走行させて測定した。なお、摩擦走行100パス目の数値を摩擦係数とした。
(2)スチル耐久性測定方法
スチル耐久性の評価は、−5℃の恒温槽中で行い、市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用いて、各サンプルテープの再生出力が3dB落ちるまでの時間を測定して行った。
(3)シャトル耐久性測定方法
シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、湿度20%RHに制御して、この恒温槽中で市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC−VX1000)を用い、各サンプルテープを100パスシャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力が初期出力から何dB落ちるかを測定して評価した。
なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温度45℃、湿度80%RHの環境下で1ヶ月間保存した後に行った。
潤滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び走行性の結果を下記表14に示し、1ヶ月間保存した後の保存後の耐久性及び走行性の結果を下記表15に示す。
Figure 2006202372
Figure 2006202372
表14及び表15の結果から、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルとフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを組み合わせた潤滑剤を使用した実施例C1〜C11においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られていることがわかる。
一方、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルのみを含有する潤滑剤のみ、あるいはフルオロアルキルジカルボン酸誘導体のみを用いた比較例C1〜C4においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が得られないことがわかる。
また、これらの結果から、特に本発明で使用したようなフルオロアルキルジカルボン酸誘導体を用いることにより、長期保存後も初期の特性を維持させることができることが確認された。
すなわち、本発明を適用してパーフルオロアルキルカルボン酸エステルとフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを組み合わせて含有させた潤滑剤を最外層に保持させることにより、極めて厳しい使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果が持続し、経時的に安定した潤滑特性が維持でき、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保されることが確認された。
また、実施例C1〜C11の結果と、実施例C12、C13の結果とを比較すると、前記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、前記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10の範囲とすることにより、特に、経時的な潤滑特性についての効果が顕著に改善されることが分った。
すなわち、前記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、前記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを、好適な混合比を選定して潤滑剤を調製することにより、厳しい使用環境下においても長期に亘って安定した潤滑特性を維持できることが分った。
本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
符号の説明
1…非磁性支持体、2…磁性層、3…保護層、3…潤滑剤層、5…バックコート層、10…磁気記録媒体

Claims (12)

  1. 非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されている磁気記録媒体であって、
    下記一般式(1)で示される含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、
    下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されていることを特徴とする磁気記録媒体。
    R1CH(COOR2)CH2COOR3・・・(1)
    (但し、上記一般式(1)中、R1は、脂肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基又は水素を、R2とR3はフロロアルキル基、フロロアルケニル基、フロロポリエーテル基、又は水素を表す。)
    Figure 2006202372
    (但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。)
    Figure 2006202372
    (上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。)
  2. 前記一般式(1)の含フッ素モノエステルモノカルボン酸と、前記一般式(2)のフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記磁性層が、強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記磁性層上に、最外層としてカーボンよりなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されている磁気記録媒体であって、
    下記一般式(4)で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、
    下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されていることを特徴とする磁気記録媒体。
    R−COO−(CH2jk2k+1・・・(4)
    (但し、上記一般式(4)中、Rは炭化水素基であり、j≧0、j≧4である。)
    Figure 2006202372
    (但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。)
    Figure 2006202372
    (上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。)
  6. 前記一般式(4)で表されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステルと、前記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層が、強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁性層上に、最外層として、カーボンよりなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
  9. 非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が形成されている磁気記録媒体であって、
    下記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、
    下記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体とを含有する潤滑剤が最外層に保持されていることを特徴とする磁気記録媒体。
    F(CF2j(CH2kCOOR・・・(5)
    (但し、上記一般式(5)中、j≧0、25≧j+k≧6、Rは炭素数9〜25の炭化水素基を表す。)
    Figure 2006202372
    (但し、上記一般式(2)中、Rf基は、下記一般式(3)で表される基である。)
    Figure 2006202372
    (上記一般式(3)中、m=2〜20、n=4〜18である。)
  10. 前記一般式(5)で示されるパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、前記一般式(2)で示されるフルオロアルキルジカルボン酸誘導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記磁性層が、強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
  12. 前記磁性層上に、最外層として、カーボンよりなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022131202A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 昭和電工株式会社 含フッ素エーテル化合物、磁気記録媒体用潤滑剤および磁気記録媒体
WO2023238906A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 株式会社レゾナック 含フッ素エーテル化合物、磁気記録媒体用潤滑剤および磁気記録媒体

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