JP7033442B2 - シート剥離装置およびシート剥離方法 - Google Patents
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さらに、冷却手段を備えれば、自然冷却に比べ、誘導加熱接着物を短時間で冷却し、冷却後の接着力を得ることができる。
また、温度検知手段を備えれば、誘導加熱接着物が良好に接着する温度に達したことを確実に確認することができる。
さらに、誘導加熱接着物の温度が所定の第1温度以上となるまで、当該誘導加熱接着物に交番磁界を印加する構成とすれば、誘導加熱接着物が良好に接着する第1温度に達してから接着シートの剥離を行うことができる。
また、出力手段を備えれば、誘導加熱接着物が確実に第2温度以下となったことを確認した後に、接着シートの剥離を行うことができる。
なお、本発明における接着または接着剤は、粘着または粘着剤を含む。
また、誘導加熱(電磁誘導加熱)とは、所定のコイルに交番電流(交流電流、高周波電流)を流すことで交番磁界(交番磁束、交番磁力、高周波磁束)を発生させて、当該交番磁界を導電物に印加することで渦電流(誘導電流)を発生させ、当該渦電流によるジュール熱で導電物を自己発熱させる仕組みのことをいう。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。
なお、剥離用シートPSにおける接着シートASに当接する面側には、交番磁界によって加熱されて接着力を生じる、または、接着力が増加する誘導加熱接着物HAが設けられ、当該誘導加熱接着物HAに基材シートBSが積層されている。本実施形態の誘導加熱接着物HAは、誘導加熱によって加熱される金属や合金等の導電物や磁性体等からなる被誘導加熱体HMが紛体状態とされ、加熱されて接着力を生じる、または、接着力が増加する感熱接着剤層TSA中に当該紛体状態の被誘導加熱体HMが混入されたものが採用されている。また、接着シートASは、接着剤層ALと接着シート基材ABSとで構成されている。
繰出手段22は、駆動機器としての回動モータ22Aと、その図示しない出力軸に支持され、支持ローラ21Cに支持された剥離用シートPSに回転力を付与する繰出ローラ22Bとを備えている。
リード保持手段23は、駆動機器としての直動モータ23Aの出力軸23Bに支持された収容手段23Cと、収容手段23Cの底面である吸着面23Dに形成された吸引孔23Eを介して吸着保持が可能な減圧ポンプや真空エジェクタ等の支持手段としての吸引手段23Fとを備えている。
保持補助手段24は、駆動機器としての直動モータ24Aと、その出力軸24Bに支持され、剥離用シートPSを吸着面23Dに当接させる補助ローラ24Cとを備えている。
交番磁界印加手段25は、収容手段23C内に収容された駆動機器としてのリニアモータ25Aと、そのスライダ25Bに支持され、剥離用シートPSを接着シートASに当接させる当接部材25Cと、当接部材25Cの内部に設けられ、交番磁界を発生させる交番磁界発生コイル25Dと、25KHzの交番電流を交番磁界発生コイル25Dに供給する交番電流発生装置25Eとを備えている。
切断手段26は、収容手段23C内に収容された駆動機器としてのリニアモータ26Aと、そのスライダ26Bに支持され、剥離用シートPSを切断可能な切断刃26Cとを備えている。
移動手段31は、駆動機器としてのリニアモータ31Aと、そのスライダ31Bに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能な支持面31Cを有する支持部材としてのテーブル31Dとを備えている。
誘導手段32は、駆動機器としてのリニアモータ32Aと、そのスライダ32Bに支持され、被着体WKから剥離した接着シートASが掛け回される誘導ローラ32Cとを備えている。
先ず、図1中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート剥離装置10に対し、当該シート剥離装置10の使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように剥離用シートPSをセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の操作手段を介して自動運転開始の信号を入力すると、保持手段20が吸引手段23Fを駆動し、吸着面23Dでの剥離用シートPSの吸着保持を開始する。そして、作業者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段によって、接着シートASが上方となる状態で被着体WKが支持面31C上に載置されると、張力付与手段30が図示しない減圧手段を駆動し、被着体WKの吸着保持を開始する。次いで、張力付与手段30がリニアモータ31Aを駆動し、テーブル31Dを右方向に移動させ、図1中二点鎖線で示すように、接着シートASの左端部を当接部材25Cの直下に位置させる。
テープ支持手段21は、繰出手段22方向に付勢されることなく剥離用シートPSを支持してもよく、この場合、繰出手段22は、繰出ローラ22Bとで剥離用シートPSを挟み込むピンチローラ等を採用すればよい。
保持補助手段24は、補助ローラ24Cに代えてまたは併用して、棒状部材、板状部材、エアの吹き付け等で剥離用シートPSを吸着面23Dに当接させる構成を採用してもよいし、接着シートAS剥離後の剥離用シートPSをリード保持手段23のみで保持可能であれば、なくてもよい。
交番磁界印加手段25は、交番磁界発生コイル25Dをテーブル31D側やその他の位置に設けてもよいし、当接部材25Cの外部に交番磁界発生コイル25Dを設けてもよいし、誘導加熱接着物HAに交番磁界を印加する際、当該交番磁界がシート剥離装置10の外部に漏洩しないように遮蔽部材で囲む構成としてもよいし、当接部材25Cの代わりに、気体を吹き付けて剥離用シートPSを接着シートASに当接させる構成を採用してもよいし、当接部材25Cで剥離用シートPSを接着シートASに押圧して、または押圧することなく当接させてもよいし、当接部材25Cがなくてもよい。当接部材25Cがない場合、剥離用シートPSが自重で接着シートASに当接すればよい。
交番電流発生装置25Eが生成する交番磁界の周波数は、例えば、25KHz未満でもよいし、25KHz以上でもよく、誘導加熱接着物HAに印加することで、当該誘導加熱接着物HAが加熱して接着力を生じる、または、接着力が増加する周波数であればどのような周波数でもよい。
誘導加熱接着物HAに交番磁界を印加する所定時間は、シート剥離装置10が予め記憶していてもよいし、誘導加熱接着物HAの特性、特質、性質、材質、組成、構成、形状、寸法および重量や、雰囲気の条件や、その他の要因等を考慮して使用者が任意に決定してもよい。
交番磁界印加手段25および切断手段26の少なくとも一方は、収容手段23Cに収容されていなくてもよいし、収容手段23Cがなくてもよい。
切断手段26は、剥離用シートPSを切断しなくてもよいし、他の装置で剥離用シートPSを切断する場合、本発明のシート剥離装置10に備わっていなくてもよい。
張力付与手段30は、本発明のシート剥離装置10に備わっていなくてもよく、この場合、接着シートASが貼付された被着体WKを他の装置で支持し、当該他の装置が保持手段20に対して被着体WKを相対移動させ、接着シートASに貼付された剥離用シートPSに張力を付与して被着体WKから接着シートASを剥離すればよい。
張力付与手段30は、接着シートASが貼付された被着体WKを他の装置で支持する場合、他の装置で支持した被着体WKを移動させずにまたは移動させつつ保持手段20を移動させ、接着シートASに貼付された剥離用シートPSに張力を付与して被着体WKから接着シートASを剥離する構成としてもよい。
誘導手段32は、誘導ローラ32Cに代えてまたは併用して、棒状部材、板状部材、エアの吹き付け等で接着シートASを誘導してもよいし、なくてもよい。
温度検知手段50は、交番磁界の印加を行っている最中に、誘導加熱接着物HAの温度を検知する構成としてもよく、この場合、保持手段20は、誘導加熱接着物HAの温度が第1温度以上となったことを温度検知手段50が検知した時点で、交番電流発生装置25Eの駆動を停止するように構成してもよいし、誘導加熱接着物HAの温度が第1温度以上となったことを温度検知手段50が検知した時点から、当該第1温度以下にならないように制御しつつ所定の時間経過した後、交番電流発生装置25Eの駆動を停止するように構成してもよい。
第1温度は、誘導加熱接着物HAが接着シートASに良好に接着することができる温度であれば何度でもよく、シート剥離装置10が予め記憶していてもよいし、誘導加熱接着物HAの特性、特質、性質、材質、組成、構成、形状、寸法および重量や、雰囲気の条件や、その他の要因等を考慮して使用者が任意に決定してもよい。
第2温度は、誘導加熱接着物HAが冷却前の接着力に比べて強い接着力で接着することができる温度であれば何度でもよく、シート剥離装置10が予め記憶していてもよいし、誘導加熱接着物HAの特性、特質、性質、材質、組成、構成、形状、寸法および重量や、雰囲気の条件や、その他の要因等を考慮して使用者が任意に決定してもよい。
剥離用シートPSは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形等、その形状に限定されることはないし、例えば、誘導加熱接着物HAだけの単層のものでもよいし、基材シートBSと誘導加熱接着物HAとの間に中間層を有するものでもよいし、基材シートBS側および誘導加熱接着物HA側の少なくとも一方に剥離シートを有する3層以上のものでもよいし、基材シートBSを誘導加熱接着物HAから剥離可能なものでもよいし、基材シートBSが樹脂、紙、布、金属等の材料で形成されたものでもよいし、基材シートBSが糸や紐状等のシート状でないもので形成されたものでもよい。
剥離用シートPSは、紛体状態の被誘導加熱体HMが混入された基材シートBSに、感熱接着剤層TSAが積層された誘導加熱接着物HA単体、または、当該誘導加熱接着物HAを含むものでもよいし、シート状または個片化状の被誘導加熱体HMに、感熱接着剤層TSAが積層されたものを誘導加熱接着物HAとし、当該誘導加熱接着物HA単体、または、当該誘導加熱接着物HAの被誘導加熱体HM側に基材シートBSが積層されたものでもよく、基材シートBSは、樹脂や紙等何でもよい。
剥離用シートPSに当接する面側に誘導加熱接着物HAが設けられた接着シートASが採用された場合、接着シートASは、誘導加熱接着物HAが接着シート基材ABSにおける接着剤層ALが積層された面の反対面側に積層されたものでもよいし、シート状または個片化状の被誘導加熱体HMに、感熱接着剤層TSAが積層されたものを誘導加熱接着物HAとし、当該誘導加熱接着物HAの被誘導加熱体HMが接着シート基材ABS上に積層されたものでもよいし、紛体状態の被誘導加熱体HMが混入された接着シート基材ABSに感熱接着剤層TSAが積層されたものを誘導加熱接着物HAとし、当該誘導加熱接着物HAの被誘導加熱体HMが接着剤層ALに積層されたものでもよい。
シート剥離装置10は、接着シートASとして、接着シート基材ABSにおける接着剤層ALが積層された面の反対面側に、誘導加熱接着物HAとしての感熱接着剤層TSAが積層されたものを採用し、剥離用シートPSとして、紛体状態の被誘導加熱体HMが混入されたものや、シート状または個片化状の被誘導加熱体HMを含むものを採用してもよく、接着シート基材ABSは、樹脂や紙等何でもよい。
剥離用シートPSおよび接着シートASは、誘導加熱接着物HAを構成する感熱接着剤層TSAを感圧接着性の接着剤としてもよい。この場合、例えば、低温雰囲気で接着力が小さ感圧接着性の接着剤に対し、加熱して接着シートASへの接着力を大きくすることができる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂等で構成してもよい。
20…保持手段
25…交番磁界印加手段
40…冷却手段
50…温度検知手段
60…出力手段
AS…接着シート
HA…誘導加熱接着物
PS…剥離用シート
WK…被着体
Claims (6)
- 被着体に貼付された接着シートに剥離用シートを貼付し、当該剥離用シートを介して前記接着シートを保持する保持手段を備え、当該接着シートに貼付した剥離用シートに張力を付与して前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離装置において、
前記剥離用シートおよび前記接着シートの少なくとも一方における相手方に当接する面側には、交番磁界によって加熱されて接着力を生じる、または、接着力が増加する誘導加熱接着物が設けられ、
前記保持手段は、前記誘導加熱接着物に交番磁界を印加する交番磁界印加手段を備えていることを特徴とするシート剥離装置。 - 前記交番磁界によって加熱された誘導加熱接着物を冷却する冷却手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
- 前記誘導加熱接着物の温度を検知する温度検知手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート剥離装置。
- 前記保持手段は、前記誘導加熱接着物の温度が所定の第1温度以上となったことを前記温度検知手段が検知するまで、前記誘導加熱接着物に交番磁界を印加することを特徴とする請求項3に記載のシート剥離装置。
- 所定の信号を出力する出力手段を備え、当該出力手段は、前記誘導加熱接着物の温度が所定の第2温度以下となったことを前記温度検知手段が検知すると、前記接着シートに貼付した前記剥離用シートに張力を付与することを許可する前記所定の信号を出力することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシート剥離装置。
- 被着体に貼付された接着シートに剥離用シートを貼付し、当該剥離用シートを介して前記接着シートを保持する保持工程を備え、当該接着シートに貼付した剥離用シートに張力を付与して前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離方法において、
前記剥離用シートおよび前記接着シートの少なくとも一方における相手方に当接する面側には、交番磁界によって加熱されて接着力を生じる、または、接着力が増加する誘導加熱接着物が設けられ、
前記保持工程は、前記誘導加熱接着物に交番磁界を印加する交番磁界印加工程を備えていることを特徴とするシート剥離方法。
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