JP7030267B2 - オフセット印刷インキ組成物、及び印刷物 - Google Patents
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Description
前記植物油(B)の添加量が、インキの全質量に対して5~25質量%であり、
前記石油系溶剤(C)の、1気圧下における初留点が240~290℃である、オフセット印刷インキ組成物に関する。
前記植物油(b)の配合量が、オフセット印刷インキ組成物全量中7~30質量%である、上記オフセット印刷インキ組成物に関する。
本発明のオフセット印刷インキ組成物は、顔料を含む。顔料としては、従来公知の有機顔料、及び/または無機顔料を任意に使用することができる。なお、一般にギルソナイト樹脂は黒色に着色しているため、前記顔料が、黒色、褐色、藍色、紫色、青色等の濃色顔料であることが好ましい。中でも、濡れ性や分散性を向上できる観点から、前記顔料が黒色顔料であることが好ましく、前記黒色顔料がカーボンブラックであることが特に好ましい。
ギルソナイト樹脂とは、石油が岩石に浸み込んで長い年月を経てアスファルタム(アスファルト)に変質したものであり、原油でも石炭でもない特殊な炭化水素樹脂とされているものである。本発明では、上記の天然アスファルタムから抽出された、脂肪族炭化水素を主成分として含むものを使用することが好ましい。また、芳香族炭化水素、灰分、軽質留分を実質的に含まないことが好ましい。なお本発明において「主成分として含む」とは、当該成分を全量中50質量%以上含むことを意味するものである。また「実質的に含まない」とは、意図的に当該成分を添加しないことを意味するものであり、具体的には当該成分の含有量が1質量%以下であることを表す。
本発明のインキは、上記の通りアルコール(A)を含む。なお、前記アルコール(A)は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられるアルキッド樹脂とは、植物油、脂肪酸、多価カルボン酸等の多塩基酸と、多価アルコールとを縮重合する事によって得られる樹脂である。
本発明における「植物油」とは、飽和脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド、前記トリグリセリドと飽和アルコール及び/または不飽和アルコールとのエステル交換反応により得られるモノグリセリドやジグリセリド、飽和脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸と1価アルコールとをエステル反応させた脂肪酸モノエステル・エーテル類を指す。
本発明のインキは、ナフテン分及び/またはパラフィン分を構成成分として含有する石油系溶剤(C)を含むことが好ましい。前記石油系溶剤(C)の中でも、一般的にアロマフリー溶剤と称される、芳香族炭化水素の含有量が1質量%未満であるものが更に好適である。
本発明のインキはバインダー樹脂を含んでもよい。前記バインダー樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂及び石油樹脂等が挙げられ、任意に、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。好ましくは、本発明のインキはロジン変性フェノール樹脂を含む。
本発明のオフセット印刷インキ組成物は、従来公知の方法で製造する事ができる。一例として、ギルソナイト樹脂、アルコール(A)、植物油(B)、及び、必要に応じて石油樹脂、石油系溶剤、ゲル化剤を加えて、190℃1時間のクッキング条件で処理を行い、ギルソナイト樹脂ワニスを製造する。また、バインダー樹脂についても上記と同様の手法によって、バインダー樹脂ワニスを製造してもよい。次いで、前記のギルソナイト樹脂ワニスに、顔料、植物油(B)、アルキッド樹脂、及び、必要に応じてバインダー樹脂ワニスや石油系溶剤を加え、ビーズミルや3本ロール等で分散する事により、印刷インキ用ベースを得る。そして、植物油(B)や、必要に応じて、石油系溶剤やその他の添加剤を加え、所定粘度に調整し、印刷インキ組成物を得る事ができる。
本発明のインキは、オフセット輪転印刷機用途で使用することが好適であるが、これに限定されるものではない。また、ヒートセット型、酸化重合型、浸透乾燥型のいずれの乾燥方式に対しても、好適に利用することができる。中でも本発明のインキは、特にヒートセット型の乾燥方式を有するオフセット印刷において、好適に使用できる。
本発明のインキで印刷できる基材として、コート紙やアート紙に代表される塗工紙や、上質紙及び低級紙に代表される非塗工紙等のような一般的な印刷用紙が好適である。また上記でも説明したように、本発明のインキは流動性、転移性、乾燥性及び光沢に優れている事から、一般印刷用紙と特性の異なる、古紙や輸入紙に対して印刷する事も好適である。
攪拌機と、還流冷却器と、温度計とを備えた反応容器にキシレン740部を加えたのち、ターシャリーブチルフェノール850部と、パラホルムアルデヒド(92質量%)260部と、水酸化ナトリウム触媒0.1部とを加え、反応容器内の混合物を90℃まで加熱した。同温下で4時間反応させたのち、水分を除去することで、フェノール樹脂のキシレン溶液(固形分70質量%)を得た。
攪拌機と、水分離器付き還流冷却器と、温度計とを備えた反応容器に、ガムロジン1500部を加えたのち、反応容器内の温度を150℃まで昇温させた。前記温度を維持しながら、上記フェノール樹脂のキシレン溶液1130部を1時間かけて滴下し、同温度下で2時間反応させた。その後更に、ペンタエリスリトール160部と、酸化カルシウム触媒1.5部とを加え、キシレンを除去しながら、反応容器内の温度を250℃まで昇温させたのち、前記温度を維持するようにして、重合反応を行った。そして前記重合反応開始から12間後に、反応容器内の混合物を取り出すことで、重量平均分子量86,000のロジン変性フェノール樹脂1を得た。なお上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算量である。
攪拌機と、水分離器付き還流冷却器と、温度計とを備えた4口フラスコに、上記ロジンフェノール樹脂1を50部、大豆油を10部、石油系溶剤としてJXTGエネルギー(株)社製AFソルベント7号を40部、それぞれ加え、190℃下で1時間加熱攪拌することで、ロジン変性フェノール樹脂ワニス1を得た。
攪拌機と、水分離器付き還流冷却器と、温度計とを備えた4つ口フラスコに、アメリカンギルソナイト社製ギルソナイトセレクト325を40部、イソトリデカノールを6部、AFソルベント7号を44部、大豆油を10部、それぞれ加え、190℃に昇温させ、同温で1時間攪拌し、ギルソナイト樹脂ワニス1を得た。
・ギルソナイトセレクト325 : アメリカンギルソナイト社製ギルソナイト樹脂、 軟化点145℃
・ギルソナイトセレクト347 : アメリカンギルソナイト社製ギルソナイト樹脂、 軟化点165℃
・ER125 : アメリカンギルソナイト社製ギルソナイト樹脂、軟化点125℃
・IranGilsonite : ギルソナイト樹脂、軟化点220℃
・イソトリデカノール : 炭素数13の1価脂肪族アルコール(イソ体)
・ノルマルオクタノール : 炭素数8の1価脂肪族アルコール(ノルマル体)
・ノルマルデカノール : 炭素数10の1価脂肪族アルコール(ノルマル体)
・ノルマルオクタデカノール : 炭素数18の1価脂肪族アルコール(ノルマル体)
・ノルマルトリデカノール : 炭素数13の1価脂肪族アルコール(ノルマル体)
・1,10-デカンジオール : 炭素数10の2価脂肪族アルコール(ノルマル体)
・AFソルベント4号 : JXTGエネルギー(株)社製、ナフテン分及びパラフィ ン分を構成成分として含有するアロマフリー溶剤、初留点242℃、終点252℃
・AFソルベント5号 : JXTGエネルギー(株)社製、ナフテン分及びパラフィ ン分を構成成分として含有するアロマフリー溶剤、初留点284℃、終点300℃
・AFソルベント6号 : JXTGエネルギー(株)社製、ナフテン分及びパラフィ ン分を構成成分として含有するアロマフリー溶剤、初留点298℃、終点314℃
・AFソルベント7号 : JXTGエネルギー(株)社製、ナフテン分を構成成分と して含有するアロマフリー溶剤、初留点260℃、終点278℃
・Parasol147 : ISUケミカル社製、パラフィン分を構成成分として含 有するアロマフリー溶剤、初留点247℃、終点279℃
上記ロジン変性フェノール樹脂ワニス1を55部、上記ギルソナイト樹脂ワニス1を5部、TOKYD-TY-MZ(東新油脂(株)社製アルキッド樹脂、酸価:15mgKOH/g)を2部、ミツビシカーボン#52(三菱ケミカル(株)社製カーボンブラック)を20部、それぞれ混合した後、3本ロール上に仕込み、60℃に加温した前記3本ロールで2回練肉する事で、インキベースを得た。前記インキベースに、大豆油7部と、AFソルベント7号11部とを加え、ホモディスパーで1時間攪拌し、20.0Pa・sのオフセット印刷インキ1(実施例1)を得た。
・ラマファーストブルーWP/L143 : Ramdev社製藍色顔料
・ショウキッドAR-108-100 : 昭和ワニス社製アルキッド樹脂、酸価12 mgKOH/g
・ハリフタール816 : ハリマ化成(株)社製アルキッド樹脂 酸価8mgKOH /g
JIS K 5600-2-5を参考にして、グラインドゲージ(溝の最大深さ25μm)を用いた分散性の評価を行った。上記で作製したオフセット印刷インキ1~41を、それぞれ前記グラインドゲージ上に展開したのち、10mm以上の連続した線が、1つの溝について3本以上並んで現れた箇所の目盛を読み取り、以下基準に基づいて分散性を評価した。下記評価のうち2以上を、実用上好ましいとした。
4 : 2.5μ未満
3 : 2.5μ以上5.0μ未満
2 : 5.0μ以上7.5μ未満
1 : 7.5μ以上
温度25℃、湿度50%の雰囲気下において、インキ2.1mlを半球状の容器に入れたのち、15分間静置した。その後、60度に傾けた傾斜板(真鍮製)の上に静置後のインキを垂らし、10分間に流れ落ちた距離を測定することで、流動性を測定した。測定結果は以下基準に基づき4段階で評価し、2以上を実用上好ましいとした。なお下記の点数が高いインキほど、良好な流動性を有するのみならず、過度に流動することもないため、印刷時に汚れやローラー間の転移不良といった印刷トラブルを起こすことがない。
4 : 80mm以上150mm未満
3 : 50mm以上80mm未満
2 : 20mm以上50mm未満、または150mm以上180mm未満
1 : 20mm未満、または180mm以上
東洋精機社製デジタルインコメーターにインキ1.32mlをセットし、40℃、1200rpmの条件において、タック値が最大になるまでの時間を測定することで、機上安定性を評価した。測定結果は以下基準に基づき4段階で評価し、2以上を実用上好ましいとした。なお最大値になるまでの時間が長いインキほど、インキ中からの溶剤離脱が抑制され、インキローラーやブランケット上でのインキの流動性や粘度の変化が少なく、機上安定性に優れているといえる。
4 : 20分以上
3 : 15分以上20分未満
2 : 10分以上15分未満
1 : 10分未満
ヒートセット型オフセット印刷機としてLITHOPIA BT2-800 NEO(三菱重工(株)社製)を用い、以下の印刷条件にて印刷を実施した。得られた印刷物について、以下に記載した方法により、光沢、乾燥性、網点再現性を測定した。また印刷後に上記印刷機内のローラー上インキ余りを目視確認し、インキ余りの評価を行った。
・ 湿し水 : アクワユニティWKK(東洋インキ(株)社製)の2%水道水溶液
・ 印刷速度 : 600rpm
・ 版 : 画線面積率100%の部分が35%、画線面積率50%の部分が35% 、非画線部分が30%からなるCTP版(富士フイルム(株)社製)
・ 印刷部数 : 2万部
上記印刷試験で得られた、2万部目の印刷物の、画線面積率100%の部分について、村上色彩研究所社製光沢計GM26Dを用いて受光角60度の条件で光沢を測定した。測定結果は以下基準に基づき4段階で評価し、2以上を実用上好ましいとした。
4 : 60以上
3 : 50以上60分未満
2 : 40以上50未満
1 : 40未満
上記印刷中に、乾燥温度を85℃~130℃まで変更しながら印刷物を採取し、指頭にてベタツキを確認した。そしてベタツキのない印刷物が得られた最低乾燥温度を確認することで、乾燥性を評価した。確認結果は以下基準に基づき5段階で評価し、2以上を実用上好ましいとした。なおヒートセット印刷においては、乾燥温度が低い程、用紙の収縮や火皺、ブリスタ等が抑制しやすく紙面品質が向上するため、好ましいといえる。
5 : 90℃未満
4 : 90℃以上100℃未満
3 : 100℃以上110℃未満
2 : 110℃以上120℃未満
1 : 120℃以上
上記印刷試験で得られた、2万部目の印刷物の、網点面積50%の部分について、10か所でドットゲインを測定し、平均値を算出した。算出結果は以下基準に基づき4段階で評価し、2以上を実用上好ましいとした。
4 : 5%以内
3 : 5%~10%
2 : 10%~15%
1 : 15%~20%
上記印刷試験後のローラー上のインキ余りを目視にて確認し、インキ余りの評価を行った。なお、実施例2の評価結果を「3」、及び、実施例15の評価結果を「2」としたときの相対評価とし、2以上を実用上好ましいとした。すなわち、下記の評価基準において、数値が大きいほど、インキ余りが少ない結果であったことを表す。
4 : インキ2(実施例2)のインキ余りよりも少なかった
3 : インキ2(実施例2)のインキ余りと同程度であった
2 : インキ15(実施例15)のインキ余りと同程度であった
1 : インキ15(実施例15)のインキ余りよりも多かった
Claims (5)
- 顔料と、軟化点145℃~185℃のギルソナイト樹脂と、アルキッド樹脂と、アルコール(A)と、ヨウ素価が80~150である植物油(B)と、ナフテン分及び/またはパラフィン分を構成成分として含有する石油系溶剤(C)とを含有する、オフセット印刷インキ組成物であって、
前記植物油(B)の添加量が、インキの全質量に対して5~25質量%であり、
前記石油系溶剤(C)の、1気圧下における初留点が240~290℃である、オフセット印刷インキ組成物。 - 前記顔料が、カーボンブラックである、請求項1記載のオフセット印刷インキ組成物。
- 前記アルコール(A)が、炭素数8~18である1価アルコール(a)を含む、請求項1または2に記載のオフセット印刷インキ組成物。
- 前記植物油(B)が、ヨウ素価が100~150である植物油(b)を含み、
前記植物油(b)の配合量が、オフセット印刷インキ組成物全量中7~20質量%である、請求項1~3いずれかに記載のオフセット印刷インキ組成物。 - 請求項1~4いずれかに記載のオフセット印刷インキ組成物が、基材に印刷された印刷物。
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