JP2014094971A - 顔料組成物の製造、ならびにこの顔料組成物を用いて製造してなる平版印刷用インキ - Google Patents

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Abstract

【課題】乾式粉砕した粗製銅フタロシアニンの摩砕物を溶剤処理する方法、または印刷インキ用ワニスまたは印刷インキ用溶剤中で処理することで直接印刷インキを製造する方法に於いて、樹脂と共に乾式粉砕し、かつ、顔料の一次粒子が針状になることなく、インキ化した際の流動性やインキしまりを良くする方法を提供する。
【解決手段】粗製胴フタロシアニンに対して、自然界に存在する硬質アスファルトから抽出され軟化点135℃〜205℃のギルソナイト樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、溶剤を添加し、60℃〜180℃で乾式粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法、及び当該製造方法を用いて製造してなる顔料組成物、ならびにこの顔料組成物を用いて製造してなる平版印刷用インキ。
【選択図】なし

Description

本発明はβ型銅フタロシアニン顔料の印刷インキを製造する際に、銅フタロシアニンのβ型結晶形態を経由することなく、粗製銅フタロシアニンから直接印刷インキを製造するための顔料粗製物及びこれを用いた印刷インキの製造方法に関するものである。
通常、合成後の銅フタロシアニンは粗製銅フタロシアニンと呼ばれ、10〜200μm程度の巨大β型結晶粒子のため、そのまま印刷インキ用顔料として使用することはできない。この粗製銅フタロシアニンを印刷インキとして使用可能な大きさ(0.02〜0.1μm程度)まで小さくすることを顔料化と呼ぶ。顔料化にはさまざまな方法がある。
最も一般的なのがソルベントソルトミリング法と呼ばれる方法である。この方法は粗製銅フタロシアニンに食塩などの磨砕剤とβ型への結晶転移を促進させる有機溶剤を加え磨砕する方法である。この方法によるβ型銅フタロシアニン顔料はアスペクト比(一次粒子の短径と長径の比)が1〜3で、緑味鮮明で高着色力など印刷インキに適しており、広く使用されている。しかし顔料の数倍量の磨砕剤が必要であり、この磨砕剤や有機溶剤を回収する工程に多くの時間と労力を必要とする。
これに対して粗製銅フタロシアニンを乾式で粉砕した後に有機溶剤等で処理するする方法も知られている。この場合、粉砕時に機械的な力を加えることでβ型結晶の一部がα型結晶へ転移するため、再びβ型に転移させるために、この魔砕物を有機溶剤と共に加熱処理しなければならない。この方法はソルベントソルトミリング法に比べて工程が簡略化され、コスト的に有利であるが、有機溶剤で加熱処理する際に粒子が針状に成長しアスペクト比が大きくなり色相が赤味になることや流動性やしまりに問題が生じてしまう。
低コストの印刷インキを提供するためには、顔料の形態を経由せずに粗製銅フタロシアニンから直接インキ製造することが有効である。粗製銅フタロシアニンを印刷インキ用ワニスまたは印刷インキ用溶剤と混合した後、ビーズミルを用いてインキ化と同時に顔料化を行う方法が知られている、しかしながら、印刷インキワニス中での顔料化は摩砕効率が低いため、超微細なビーズを用いた分散ミルなどを必要とし、エネルギー効率、品質などの点で問題が多い。
特公昭55−6670号公報には、粗製銅フタロシアニンを一度乾式で磨砕した後、そのままインキ化する方法が記載されている。乾式の磨砕は効率的に行われるため、非常に有効な方法である。しかしながら乾式粉砕した磨砕物は強固な凝集体であり、またα/β型結晶の混合物となってしまうため、インキ中での磨砕物の分散やβ型結晶への再転移は非常に困難である。
この様な問題を解決するため、英国特許第1224627号公報には、粗製銅フタロシアニンを乾式で摩砕する際に1〜8倍量の樹脂を添加する方法が、また特開平2−294365号公報には粗製銅フタロシアニンを乾式で摩砕する際にロジン変性フェノールなどの樹脂を0.5〜10重量%添加する方法が記載されている。また、特許第3159049号公報では、粗製銅フタロシアニンに対して、樹脂を1〜200重量%、及び溶剤を該樹脂に対して0.5〜20重量%添加し、70〜90℃で乾式粉砕する方法が記載されている。これらの方法は、添加した樹脂の効果により銅フタロシアニン粒子の凝集を防止する意味と添加した樹脂が後に使用する樹脂と同じものを使用できる点で非常に有効な方法と言える。
しかしながら乾式粉砕した粗製銅フタロシアニンの摩砕物を溶剤処理する方法、または印刷インキ用ワニスまたは印刷インキ用溶剤中で処理することで直接印刷インキを製造する方法に於いて、樹脂と共に乾式粉砕する方法は非常に有効な手段である反面、顔料の一次粒子が針状になってしまう問題は解決せず、色相の赤味や流動性、特にインキ化したときのインキ締りの問題は残されたままである
また、ロジン変性フェノール樹脂は、室温で保存した場合でも酸化による劣化が起こることが知られている。即ち、これらの特許の方法では添加した樹脂は粉砕されることで表面積が増大することや衝撃による瞬間的な熱により、例え冷却したとしても粉砕時の樹脂の酸化を避けることはできない。樹脂は酸化されることでその溶解性や色調、その他の物性が変化してしまうため、従来の使用されてきた樹脂をそのまま適用したとしても同じインキの性能を引き出すことは不可能である。
これらを改良した技術として、特開平11−35841号公報では粗製銅フタロシアニン を乾式で摩砕する際に低酸素雰囲気下において軟化点が160℃のロジン変性フェノール樹脂等の印刷インキ用樹脂を20〜80%重量添加する方法が記載されている。この方法は、摩砕された銅フタロシアニン粒子の凝集を緩和すると同時に、添加した樹脂の酸化劣化や低分子量化を防止する意味で非常に有効な方法であるといえる。
特開2003−231829号公報では、乾式粉砕する粗製銅フタロシアニンを予めロジン系化合物で表面処理し、乾式粉砕時に樹脂を使用しない、もしくは樹脂の代わりに炭酸カルシウムなどの体質顔料を使用する方法が記載されている。この方法では、摩砕された銅フタロシアニン粒子の凝集を緩和すると同時に、乾式粉砕時に使用する樹脂量を大幅に削減することで樹脂の劣化を防止する意味で非常に有効な方法であるといえる。
しかし、いずれの方法においても乾式粉砕した粗製銅フタロシアニンの摩砕物を溶剤処理する方法、または印刷インキ用ワニスまたは印刷インキ用溶剤中で処理することで直接印刷インキを製造する方法に於いて、摩砕物の凝集の緩和に対しては非常に有効な手段である反面、顔料の一次粒子が針状になってしまう問題は解決せず、インキ化したときの流動性、特に経時によるインキしまりの問題は残されたままである。
特公昭55−6670号公報 英国特許第1224627号公報 特開平2−294365号公報 特許第3159049号公報 特開平11−35841号公報 特開2003−231829号公報
乾式粉砕した粗製銅フタロシアニンの摩砕物を溶剤処理する方法、または印刷インキ用ワニスまたは印刷インキ用溶剤中で処理することで直接印刷インキを製造する方法に於いて、樹脂と共に乾式粉砕する方法は非常に有効な手段である反面、顔料の一次粒子が針状になってしまう問題は解決せず、インキ化した際の流動性やインキしまりの問題は残されたままである。
上記課題を解決するために誠意研究した結果、粗製胴フタロシアニンに対して、自然界に存在する硬質アスファルトから抽出され軟化点135℃〜205℃のギルソナイト樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、溶剤を添加し、60℃〜180℃で乾式粉砕することで製造された顔料組成物は、インキ化したときの顔料の一次粒子凝集によるインキしまりの分散性の問題を解決し、流動性、低タック化、転移性、機上安定性に優れた平版印刷用藍インキを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、粗製銅フタロシアニン、合成樹脂、ギルソナイトから抽出された軟化点135℃〜205℃の脂肪族系炭化水素樹脂および溶剤の混合物を粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法に関するものである。
また、本発明は、粗製銅フタロシアニンに対して、ギルソナイトから抽出された軟化点135℃〜205℃の脂肪族系炭化水素樹脂が、0.1〜5重量%であることを特徴とする上記の顔料組成物の製造方法に関するものである。
さらに、本発明は、上記の顔料組成物の製造方法を用いて得られる顔料組成物に関するものである。
また、本発明は、上記の顔料組成物を含有して得られる平版印刷用インキに関するものである。
新聞、書籍、チラシ等の印刷において、本発明により製造された顔料組成物を用いて製造した平版印刷用藍インキは、従来の顔料化工程を大幅に簡略化した製法において問題であった、インキ化したときの顔料の一次凝集によるインキしまりの問題は解決され、流動性、低タック化、転移性、機上安定性に優れた印刷適性、経時安定性を提供することが可能となり、工業的価値は、甚大である。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
本発明の乾式粉砕は、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用して、実質的に液状物質を介在させないで粗製銅フタロシアニンを粉砕するものである。粉砕は、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用して行われる。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の方法を用いることができる。また、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで乾式粉砕装置内部を脱酸素雰囲気として乾式粉砕を行ってもよい。
本発明の乾式粉砕は加熱下で行う。乾式粉砕を行うことによって粗製銅フタロシアニンのβ型結晶の一部がα型結晶に転移し、粉砕物はα/β混合型結晶となる。この際、乾式で粉砕する場合の温度を低温で行うと摩砕物中のα型結晶の割合が増加し、後工程で再びβ型結晶へと転移させるための負担が増加するばかりか、最終的なβ型結晶粒子のアスペクト比が大きくなってしまい好ましくない。
本発明では、乾式粉砕時に印刷インキ用樹脂および溶剤を添加する。このことにより乾式粉砕を行って得られるα/β混合型結晶中のα型結晶の割合を少なくすることができ、更に乾式粉砕の場合に生じる顔料の凝集を少なくすることができる。
α型結晶は一般的に熱、有機溶剤の存在下でβ型へと転移することが知られている。従って、乾式粉砕時のα型結晶の比率を少なくするための手段のひとつは乾式粉砕を比較的高い温度で行うことである。しかし一方、あまり高すぎる温度ではフタロシアニン顔料に悪影響が生じるため、本発明の乾式粉砕は60〜180℃で行う。
また、乾式粉砕時のα型結晶の比率を少なくするためには、有機溶剤を添加することも有効である。本発明において、粗製銅フタロシアニンの乾式粉砕時に溶剤と樹脂を添加する場合、その添加法としては、樹脂と有機溶剤をそれぞれ別途添加しても、或いは予め樹脂中に含有させておいてもかまわない。
本発明において添加する溶剤の量は樹脂に対して0.5〜20重量%である。溶剤の添加量は乾式粉砕温度を加味しながら決定する必要がある。つまり、使用する樹脂の軟化点は溶剤を含有させることで低くなるため、粉砕温度が高く処理量が多いと乾式粉砕装置内部での樹脂の付着、固着が生じる危険性が高くなるためである。
添加する溶剤の種類としては、α型結晶をβ型へ転移させる能力のある有機溶剤であればよく、たとえば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族化合物、ミネラルスピリット、ケロシン、リグロイン等の脂肪族炭化水素化合物、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノール等のアルコール化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート等のエステル化合物アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物の1種または2種以上の化合物が使用できる。
印刷インキを製造する場合であれば、溶剤を取り除く工程が必要ない印刷インキ用溶剤を使用することが可能である。印刷インキ用溶剤としては、高沸点石油系溶剤、脂肪族炭化水素溶剤、高級アルコール系溶剤など印刷インキに適した溶剤であれば芳香族を含まない溶剤であっても単独あるいは2種類以上の組み合わせで任意に使用できる。
本発明において、軟化点135℃〜205℃のギルソナイト樹脂は、ギルソナイトつまり天然アスファルタムから抽出された脂肪族系炭化水素からなる樹脂で、芳香族系炭化水素、灰分、軽質留分を僅かに含んでいる。
このギルソナイトを更に精製し、芳香族系炭化水素、灰分、軽質留分を完全に除去したものはER−125レジンと呼ばれ、軟化点が120℃〜125℃と低く、カーボンの濡れに有効である。しかしながら、ER−125レジンは精製に無用なエネルギーを費やすため環境への負荷が大きいことは自明である。従って精製を経ず、カーボンへの濡れを改善することが求められている。本願においては、ER−125レジンを用いると本願発明の課題である環境負荷の低減を解決し得ないので、ER−125レジンは検討の範囲外である。
精製を経ないギルソナイト樹脂で問題となるのは、粘度の不安定性、凝集物による濾過時の目詰まりの問題である。
従来の平版印刷用インキは芳香族成分を含む溶剤を使用しているため、精製を経ないギルソナイト樹脂であっても溶解させることができた。従って、上記の粘度の不安定性、凝集物による濾過時の目詰まりの問題は起きにくかった。芳香族成分を含む従来の溶剤は、非常にアニリン点が低く、翻って樹脂の溶解性が高いためだと考えられる。
しかしながら、芳香族成分を含む溶剤は環境への影響が大きいため世界各国で規制の対象となっており、芳香族成分を含まない溶剤へ切替える取組みが進められている。ところが芳香族成分を含まない溶剤は、アニリン点が高く、精製を経ないギルソナイト樹脂を溶解させるのは非常に困難である。
本発明においては、石油樹脂、脂肪酸エステル及び芳香族成分を含まない溶剤を同時に用いることで、ギルソナイト樹脂を溶解させ、上記の課題を解決できる。
本発明において使用するギルソナイト樹脂は、アメリカ・ユタ州で産出される天然炭化水素レジン(天然アスファルタム)の商品名で、アメリカンギルソナイト社の製品である。
本発明において、実施例での検証で使用するギルソナイト樹脂については、軟化点が異なる製品を混合して、軟化点を調整して使用した。具体的には、軟化点が通常130℃〜170℃の「ギルソナイトセレクト325ア(アメリカンカンギルソナイト社製)」と軟化点が通常160〜205度の「ギルソナイトセレクト437(アメリカンカンギルソナイト社製)」の2種類の樹脂を数ロット入手し、各樹脂の軟化点を調査した後、これら樹脂を混合することで軟化点を調整できる。
本発明において、粗製銅フタロシアニンの乾式粉砕時に添加するギルソナイト樹脂の添加量は粗製胴フタロシアニン100重量%に対し0.1〜5重量が好ましく、より好ましくは0.2〜1.0重量部である。0.1重量部より少ないとギルソナイト樹脂の効果が得られず、また5重量部より多く用いても用いた分の効果は得られず、さらにギルソナイト樹脂が黒褐色であるため、色相が濁り、印刷品質を大きく損なうため実用的ではない。
本発明において、粗製銅フタロシアニンの乾式粉砕時に添加するギルソナイト樹脂と共に使用される樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂など印刷インキに適用される樹脂が好ましく、これらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用できるが、好ましくはロジン変性フェノール樹脂である。
本発明において、樹脂添加量としては粗製銅フタロシアニンに対して1〜200重量%の範囲であり、好ましくは5〜100重量%である。樹脂の添加量が粗製銅フタロシアニンに対して5重量%より小さいと、印刷インキ用溶剤、ワニス他と混合した場合の摩砕物の分散性、インキとしての練肉性が悪く、生産効率は従来の乾燥顔料のインキ製造工程と同等かそれ以下である。一方、樹脂の添加量が多いと乾式粉砕装置内部での樹脂の付着、固着が生じる危険性が高くなり、これを防ぐために装置内部を低温で維持する必要が生じる。しかし前述した様に最終的なβ型結晶粒子のアスペクト比が小さいものを得るには、粉砕温度を高くする必要性があるため、樹脂添加量の上限が制限される。樹脂添加量は樹脂の軟化点、粉砕温度にも影響されるため、これらの条件を加味しながら最適処理量を決める必要がある。
乾式粉砕により得られた銅フタロシアニンの摩砕物はα/β混合型結晶であるため、溶剤処理することで全てをβ型に転移させる必要がある。この工程としては、β型転移を印刷インキ用溶剤中で行いそのまま印刷インキを製造する方法と、前述したβ型転移能力のある有機溶剤中で処理することでβ型顔料を製造する方法とがある。
β型転移を印刷インキ用溶剤中で行う場合、このβ型への結晶転移は、緩やかな攪拌で十分に進行し、特に分散機などは必要としない。摩砕物の分散とβ型結晶への転移は使用する印刷インキ用溶剤によって異なるが、数10分〜3時間程度で完了し、次に簡単な分散機を通すことでベースインキの作成は完了する。このβ型転移工程の温度は高い方が効果的である。
本発明による顔料一次粒子のアスペクト比は、ソルベントソルトミリング法による顔料一次粒子とほぼ同じ1〜3の範囲であり、その色相は緑味青色である。またこの方法により得られた顔料を、従来から行われているソルベントソルトミリング法の顔料と比較したところ、着色力、光沢、流動性などの点に於いて同等の品位を有していることが確認された。
得られた顔料組成物を用いて直接印刷インキを製造する場合の印刷インキ用溶剤またはワニス中の溶剤としては、高沸点石油系溶剤、脂肪族炭化水素溶剤、高級アルコール系溶剤など印刷インキに適した溶剤であれば芳香族を含まない溶剤であっても単独あるいは2種類以上の組み合わせで任意に使用できる。
また、同様に印刷インキを製造する場合の印刷インキワニス用樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂など印刷インキに適した樹脂;大豆油、桐油、アマニ油など印刷インキに適した乾性油や重合乾性油などを、その他印刷インキ用の添加剤などと共に任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。
これらの方法により得られたインキを、従来から行われているソルベントソルトミリング法の乾燥顔料をインキ化したもの、水分を含んだウエットケーキ顔料でフラッシング法によりインキ化したもの、粗製銅フタロシアニンと樹脂を初めから添加し乾式粉砕した顔料組成物をインキ化したものとをそれぞれ比較したところ、着色力、流動性などの点に於いて同等の品位を有していることが確認された。さらに、インキしまりにおいては同等以上の品位を有していることが確認された。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本発明中、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」「重量%」を示す。
さらに、実施例中で標準インキとして使用しているのは、粗製銅フタロシアニンをソルベントソルトミリング(食塩5倍量)により顔料化したウエットケーキ顔料を用いて、フラッシング法により製造したβ型銅フタロシアニン顔料インキである。また、インキ締まり評価する粘弾性はレオメトリックス社DynamicAnalyzer RDA−2を用いて評価し、結晶型の測定にはX線回折装置を使用した。
(オフセット用ロジン変性フェノール樹脂ゲルワニスAの製造)
コンデンサー、温度計、及び攪拌機を装着した四つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業(株)製:重量平均分子量13万、酸価22、軟化点160℃)38部、大豆油30部、AFソルベント5号(JX日鉱日石エネルギー(株)製)30部を仕込み、180℃に昇温して、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ゲル化剤としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド1.0部(川研ファインケミカル(株)製ALCH)を仕込み、180℃で30分間攪拌してオフセット用ロジン変性フェノール樹脂ゲルワニスA(以下ゲルワニスAと称す)を得た。
[実施例1]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部、AF5号ソルベント(JX日鉱日石エネルギー(株)製)5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂0.25重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロールで一回練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ1を得た。このインキ1を、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキは着色力、光沢、色相などの点において標準インキと同等の品位を有していた。また、α型結晶の含有率は1%以下であった。
[実施例2]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部、AF5号ソルベント(JX日鉱日石エネルギー(株)製)5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂0.50重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロールで一回練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ2を得た。このインキ2を、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキは着色力、光沢、色相などの点において標準インキと同等の品位を有していた。また、α型結晶の含有率は1%以下であった。
[実施例3]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部、AF5号ソルベント(JX日鉱日石エネルギー(株)製)5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂1.00重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロールで一回練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ3を得た。このインキ3を、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキは着色力、光沢、色相などの点において標準インキと同等の品位を有していた。また、α型結晶の含有率は1%以下であった。
[実施例4]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部、AF5号ソルベント(JX日鉱日石エネルギー(株)製)5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂0.50重量部を加え窒素気流下に於いて80度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物18重量部を、ゲルワニスA44重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロールで一回練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ4を得た。このインキ4を、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキは着色力、光沢、色相などの点において標準インキと同等の品位を有していた。また、α型結晶の含有率は1%以下であった。
[比較例1]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物16重量部を、ゲルワニスA48重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロール3回の練肉で、顔料粒子は12.5μであった。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ5を得た。同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、得られたインキ5の色相は赤味でα型結晶の含有率が6%であった。
[比較例2]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロール3回の練肉で、顔料粒子は7.5μであった。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ6得た。同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、得られたインキ6の色相は赤味でα型結晶の含有率が3%であった。
[比較例3]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部とAF5号ソルベント5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂0.05重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロール3回の練肉で、顔料粒子は7.5μであった。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ7を得た。同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、得られたインキ7の色相は青味でα型結晶の含有率が1%であった。
[比較例4]
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン100重量部とロジン変性フェノール樹脂30重量部とAF5号ソルベント5重量部と軟化点175℃のギルソナイト樹脂8.00重量部を加え窒素気流下に於いて160度で1時間粉砕を行った。次に、得られた摩砕物17重量部を、ゲルワニスA45重量部、AF5号ソルベント8重量部に加え120度にて2時間緩やかに攪拌した後、60度の3本ロール3回の練肉で、顔料粒子は7.5μであった。次に、得られたベースインキにゲルワニスA10重量部、再生大豆油10重量部、AF5号ソルベント5重量部を加えた後、更にAF5号ソルベントを添加して粘度5.0〜5.5Pa・sに調整した平版印刷用インキ8を得た。同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、得られたインキ8の色相は黒褐色の青味でα型結晶の含有率が1%であった。
<評価結果>
上記実施例及び比較例の印刷インキ組成物の内容を表−1に示す。そしてその印刷インキ組成物について、α結晶含有率、粘度、インキ流動性(スプレッドメーターによる測定[SR]、ガラス板流度)、色相、インキしまりについて評価を実施し、結果を表−2に示した。
Figure 2014094971

Figure 2014094971
<α結晶含有率の測定>
α結晶含有率はX線回折装置を使用し、試作インキを測定した。
<スプレッドメーターによる流動性の評価方法>
スプレッドメーターに一定容量の試験インキを測り盛り、測定開始後1分後にインキが流動した中心からの距離を計測する[SR]。測定値の大きいものを流動性が高いと判定する。なお、実施例1で得られたオフセット用印刷インキ1の測定値を100%とした百分率で測定値を表示した。
<ガラス板流度による流動性の評価方法>
インキピペットに一定容量の試験インキを測り盛り、水平に置いたガラス板流度計の基準線上に滴下させ、直ちにガラス板を垂直に立てる。垂直に立てた時から、10分後に試験インキが流れた長さを計測する。測定値の大きいものを流動性が高いと判定する。なお、実施例1で得られたオフセット用印刷インキ1の測定値を100%とした百分率で測定値を表示した。
<色相の評価方法>
白い展色紙に、試験インキを展色した後、色相を目視で観察する。
<インキしまりの評価方法>
粘弾性測定器のレオメトリックス社Dynamic Analyzer RDA-2 を用いて、Dynamic Time
Sweep modeにて、貯蔵弾性率G'の経時変化を測定する(測定条件:温度40度.各周波数(ω):0.8.Strain:30.Paralel Plate Gap:1.0mm.測定時間1時間.)。このとき6分と60分のG'の比(G'[60分]/G'[6分])を求める。この比率が高い程、インキ中に蓄えられるエネルギーが多くなりインキが締まりやすくなる。なお、実施例1で得られたオフセット用印刷インキ1の比率を100%とした百分率で測定値を表示した。
本発明の方法によって従来の顔料化工程を大幅に簡略化した製法において問題であった、インキ化したときの顔料の一次粒子凝集によるインキしまりの問題は解決され、従来のペースト方により製造されたインキと同品質を得ることが可能となった。
すなわち、本発明により、製造された顔料組成物を用いてインキ化した平版印刷用藍インキは、顔料の一次粒子凝集によるインキしまりの問題は解決され、従来よりも印刷機上での安定性、着肉性、経時安定性に優れ、非常に環境性に配慮しており、新聞、雑誌、チラシ等の印刷分野において有益な活用が図られる。

Claims (4)

  1. 粗製銅フタロシアニン、合成樹脂、ギルソナイトから抽出された軟化点135℃〜205℃の脂肪族系炭化水素樹脂および溶剤の混合物を粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法。
  2. 粗製銅フタロシアニンに対して、ギルソナイトから抽出された軟化点135℃〜205℃の脂肪族系炭化水素樹脂が、0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載の顔料組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の顔料組成物の製造方法を用いて得られる顔料組成物。
  4. 請求項3記載の顔料組成物を用いて含有して得られる平版印刷用インキ。
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