JP7025834B2 - スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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Description

本発明はスチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
スチレン系樹脂はその優れた成形性を生かし、ワープロ、パーソナルコンピュータ、プリンター、複写機等のOA機器、TV、オーディオ等の家電等多くの製品に使用されてきた。中でも大型機器では、内部機構の大型/複雑化と共に放熱が大きくなるため、より高度な耐熱性が要求される。更に近年、成形体の薄肉/軽量化の要求がまずます強くなり、流動性と耐熱性をより高度にバランスする材料が求められている。
特開2013-40260号公報
本発明は、ゴム変性スチレン系樹脂に特定のスチレン系樹脂組成物を希釈し、スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
本発明者は、(A)耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)に、(B)重量平均分子量10万以上18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂を、前記(A)耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と前記(B)スチレン系樹脂の合計100質量部に対して1~30質量部含有し、前記(B)スチレン系樹脂はスチレン重合体であり、(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(D)難燃剤を含有し、
前記(D)難燃剤は、下記化学式で表される芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物であるスチレン系樹脂組成物とする事により本発明を完成させた。
Figure 0007025834000001
(ここで、nは1~5の正数であり、Ar 1 ~Ar 4 は炭素数6~15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式で表わされるX1、X2、X3、X4、又はX5から選ばれる置換基である。)
Figure 0007025834000002
また、本発明は上記スチレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形体を提供する。
本発明によれば、ゴム変性スチレン系樹脂に特定のスチレン系樹脂組成物を希釈して用いることで、スチレン系樹脂組成物を提供することができる
本発明において使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物系単量体を重合したものにゴム状重合体を加えてゴム変性を行ったものである。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のスチレン系単量体や無水マレイン酸等以外の単量体も、樹脂組成物の性能を損なわない程度のものであれば良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂のゴム変性に用いるゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン-ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
このような(A)ゴム変性スチレン系樹脂の例として、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレンプロピレン-スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)等が挙げられる。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂中の芳香族ビニル重合体の分子量については特に制限はないが、還元粘度(ηsp/C)で0.5~1.0が好ましい。1.0を超えると、スチレン系樹脂組成物とした際の流動性が低く過ぎて成形に支障をきたし、0.5未満だと実用的に十分な強度が発揮できない等の問題がある。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合体の含有量については特に制限はないが、3~10質量%が好ましい。ゴム状重合体の含有量が3質量%未満だと樹脂組成物の耐衝撃性が低下しやすくなり、10質量%を超えると樹脂組成物の耐熱性が低下しやすくなる。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合体の平均粒子径については特に制限はないが、0.4~5.0μm質量%が好ましく、特に好ましくは1.0~4.0μm質量%が好ましい。ゴム状重合体の平均粒子径が0.4μm未満だと耐衝撃性が得られず、5.0μmを超えても耐衝撃性は低下する。
本発明において使用する(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物系単量体を重合して得られるものであり、ゴム状重合体を含まないものである。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のスチレン系単量体や無水マレイン酸等以外の単量体も、樹脂組成物の性能を損なわない程度であれば良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
このような(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の例として、ポリスチレン(GPPS)、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)、MS樹脂(メチルメタクリレート-スチレン共重合体)等が挙げられる。
(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂中の芳香族ビニル重合体の分子量については重量平均分子量18万以下であり、望ましくは16万以下、更には10万~16万が好ましい。18万を超えると、希釈した際の流動性が低すぎて成形に支障をきたし、10万未満だと実用的に充分な強度が発揮できない等の問題がある。
(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂中のメタノール可溶成分量とは樹脂中の低分子量成分の含有量であり、2.0質量%以下、望ましくは1.6質量%以下が好ましい。2.0質量%を超えると、充分な耐熱性が得られず、また揮発成分の金型付着が増加し成形サイクルの悪化につながる等の問題がある。
(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の添加量については、望ましくは1~40質量部、更には1~30質量部が好ましい。このとき(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の合計を100質量部とする。(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂が40質量部を超えるとゴム含有量が少なくなり実用的に充分な強度が発揮できず、1質量部未満だと希釈の効果が得られない。
本発明の(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記化1に示す構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体のいずれでもよい。
Figure 0007025834000003
(ここで、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、R1、R2がともに水素原子になることはない。)
(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジ-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-n-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-イソプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ヒドロキシエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。共重合体の例としては、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリエチルフェノール共重合体、2,6-ジエチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジプロピルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体等の2,6-ジアルキルフェノール/2,3,6-トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂として、好ましくは、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノールランダム共重合体であり、特に好ましくはポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルである。
(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂の極限粘度について特に制限はないが、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度が望ましくは0.2~0.8dl/g、更に好ましくは0.3~0.6dl/gである。(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂の極限粘度が0.2dl/g未満だと成形体の機械的強度が低下し、また、0.8dl/gを超えると成形性が悪化するため好ましくない。
(C)ポリフェニレンエーテル樹脂の添加量について特に制限はないが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の合計量に対して50質量部以下とすることが望ましい。50質量部を超える量を添加すると成形性が悪化する。
(D)成分の難燃剤は、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤等が挙げられる。
臭素系難燃剤としては、トリス(ポリブロモフェノキシ)トリアジン化合物、臭素化ジフェニルアルカン化合物、臭素化フタルイミド化合物、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の分子鎖末端のグリシジル基の一部又は全部を封止した変性物等が挙げられ、トリス(ポリブロモフェノキシ)トリアジン化合物、臭素化ジフェニルアルカン化合物、臭素化フタルイミド化合物が好適に使用される。
リン系難燃剤としては、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩類、ホスフォン酸塩類、ホスホルアミド化合物等が挙げられ、特に下記化2で表される芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物が好適に使用される。
Figure 0007025834000004
(ここで、nは1~5の正数であり、Ar1~Ar4は炭素数6~15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式に示す化3で表わされるX1、X2、X3、X4、又はX5から選ばれる置換基である。)
Figure 0007025834000005
芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物としては、特にビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物、ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物から選択された少なくとも一種の縮合リン酸エステルが好ましく用いられる。
本発明で使用するビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物は、上記化3の(X5)で表される化合物である。
ビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物として具体的には、ビスフェノールAのビス(ジフェニルホスフェート)、ビス(ジトリルホスフェート)、(ジキシレニルホスフェート)化合物等が挙げられるが、好ましくは、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)化合物である。
本発明で使用するベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物は、上記化3の(X1)、(X2)、又は(X3)から選ばれる化合物である。
ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物として具体的には、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール等のビス(ジフェニルホスフェート)、ビス(ジトリルホスフェート)、(ジキシレニルホスフェート)化合物等が挙げられるが、好ましくはレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)である。
(D)難燃剤の添加量について特に制限はないが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の合計量に対して3~30質量部用いるのが好ましい。(D)難燃剤が3質量部より少ないと難燃性を確保できず、30質量部より多いと耐熱性が低下する。
(E)難燃助剤としては例えば酸化アンチモン系化合物として三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等、ホウ素系化合物としてホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、無水ホウ酸亜鉛、無水ホウ酸等、スズ系化合物としてスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛等、モリブデン系化合物として酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム等、ジルコニウム系化合物として酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等、また亜鉛系化合物として硫化亜鉛等が挙げられるが、なかでも酸化アンチモン系化合物、特に三酸化アンチモンを使用することが好ましい。
(E)難燃助剤の添加量について特に制限はないが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の合計量に対して10質量部以下で用いるのが好ましい。(E)難燃助剤が10質量部を超えるとグローイングが発生し、難燃性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で各種添加物、例えば染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤などの改質剤を添加できる。これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または重合終了後、及び(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂を配合する際、更には、押出機や成形機においても添加することができる。
本発明の樹脂組成物の混合方法は、公知の混合技術を適用することが出来る。例えばミキサー型混合機、V型他ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置であらかじめ予備混合しておいた混合物を、更に溶融混練することで均一な樹脂組成物とすることが出来る。溶融混練にも特に制限はなく公知の溶融技術を適用出来る。好適な溶融混練装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等がある。更に押出機等の溶融混練装置の途中から難燃剤等の添加剤を別途に添加する方法がある。
本発明の樹脂組成物から成形品を得る成形法は射出成形が好ましい。
以下に本発明を実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例では(A)ゴム変性スチレン系樹脂としてゴム変性ポリスチレン樹脂(HIPS)を使用した。ゴム変性ポリスチレン樹脂は、ゴム状重合体にポリブタジエンゴムを使用し、マトリックス部分の還元粘度0.77dl/g、ゴム状重合体含有量6.4質量%、及び体積平均粒子径3.0μm、メルトフローレート(MFR)4g/10minであるゴム変性ポリスチレン樹脂を使用した。ここで言う還元粘度、ゴム状重合体含有量、ゴム状重合体の体積平均粒子径は以下の方法で測定した。
還元粘度(ηsp/C)の測定:(A)ゴム変性スチレン系樹脂1gをそれぞれ別々にメチルエチルケトン15mlとアセトン15mlの混合溶媒を加え、温度25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離で不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、500mlのメタノールを加えて樹脂分を析出させ、不溶分を濾過乾燥する。同操作で得られた樹脂分をトルエンに溶解してポリマー濃度0.4%(質量/体積)の試料溶液を作成した。この試料溶液、及び純トルエンを30℃の恒温でウベローデ型粘度計により溶液流下秒数を測定して、下式にて算出した。
ηsp/C=(t1/t0-1)/C
t0:純トルエン流下秒数
t1:試料溶液流下秒数
C :ポリマー濃度
ゴム状重合体含有量の測定:(A)ゴム変性スチレン系樹脂をそれぞれ別々にクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、15質量%のヨウ化カリウム溶液と純水50mlを加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から算出した。
ゴム状重合体の体積平均粒子径の測定:(A)ゴム変性スチレン系樹脂をジメチルホルムアミドに完全に溶解させ、レーザー回析方式粒度分布装置にて測定した。
測定装置:コールター製レーザー回析方式粒子アナライザーLS-230型
(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂は、(B-1)として重量平均分子量14万、メタノール可溶成分量1.4質量%、MFR22g/10minであるスチレン重合体、(B-2)として重量平均分子量11万、メタノール可溶成分量0.7質量%、MFR34g/10minであるスチレン重合体を使用した。ここで言う重量平均分子量、メタノール可溶成分量は以下の方法で測定した。
重量平均分子量の測定:重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC-101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED-C
移動相:クロロホルム
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃
検出器:示差屈折計
本発明における各成分の分子量測定は、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
メタノール可溶成分量の測定:試料を溶媒に溶解し、10倍量の貧溶媒でポリスチレンを再沈させ、再沈ポリスチレンの質量を求め、残分をメタノール可溶成分量とした。
測定条件
試料量:1g、溶媒:MEK40ml、貧溶媒:メタノール400ml
比較例として(B-1)、(B-2)に変えて(B-3)重量平均分子量19万、メタノール可溶成分量1.3質量%、MFR7g/10minであるスチレン重合体、(B-4)重量平均分子量17万、メタノール可溶成分量4.8質量%、MFR28g/10minであるスチレン重合体を使用した。
(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂
商品名PX100F(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、極限粘度0.38dl/g)を使用した。
(D)難燃剤
(D-1)デカブロモジフェニルエタン化合物
商品名SAYTEX8010(アルベマール社製)を使用した。
(D-2)ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート
商品名CR-741(大八化学工業社製、リン含有量8.2質量%)を使用した。
(E)難燃助剤
商品名AT-3CN(鈴裕化学社製、三酸化アンチモン)を使用した。
次に、本発明の樹脂組成物の混合方法を述べる。(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂、(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(D)難燃剤、(E)難燃助剤を表1に示す量にて配合し、これら全成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。この際、シリンダー温度230℃、供給量30kg/時間とした。なお、比較例についても、同様の操作を行った。
なお、実施例、比較例に示された各種物性値等の評価・測定は以下の方法により実施した。
(1)試験片作成
射出成形機:日本製鋼所株式会社製J100E-P
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機にて、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した。
(2)流動性:メルトフローレート(MFR)
得られたペレットをJISK7210に基づき測定を行った。
試験温度:200℃
試験荷重:49N
プリンター、FAX、複写機内部等の家電筐体部材で使用するにあたり、メルトフローレート8g/10min未満だと流動性が不足し成形不可となる懸念があるため、8g/10min以上を満たす組成物を合格とした。
なお原料とする(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂のメルトフローレートから計算される本願組成のスチレン系樹脂組成物のメルトフローレートを記載した。
計算式を下記に示す。
原料より計算されるスチレン系樹脂組成物のメルトフローレート[g/10min]
=10^(LOG((A)MFR)×(A)質量比率+LOG((B)MFR)×(B)質量比率)
(A)MFR:(A)ゴム変性スチレン系樹脂のメルトフローレート[g/10min]
(A)質量比率:(A)ゴム変性スチレン系樹脂の添加量[部]÷((A)ゴム変性スチレン系樹脂の添加量[部]+(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の添加量[部])
(B)MFR:(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂のメルトフローレート[g/10min]
(B)質量比率:(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の添加量[部]÷((A)ゴム変性スチレン系樹脂の添加量[部]+(B)重量平均分子量18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂の添加量[部])
(3)耐熱性:荷重たわみ温度(HDT)
上記ダンベル片の中央より切り出した試験片を用いて、JIS K 7191-2(A法、フラットワイズ)に基づいて測定を行った。プリンター、FAX、複写機内部等の家電筐体部材で使用するにあたり、耐熱性が73℃未満だと耐熱性が不足し熱変形が生じる懸念があるため、73℃以上を満たす組成物を合格とした。
(4)耐金型汚染性
射出成形機:日本製鋼所株式会社製J100E-P
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機(230℃)で、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した際、以下の評価基準に従って評価した:
○:100ショット連続成形後に金型に付着がない。
×:100ショット連続成形後に金型に付着がある。
下記表1に結果を示した(実施例1から実施例3は参考例)
Figure 0007025834000006
表1の実施例より、本発明のスチレン系樹脂組成物は、流動性、耐熱性および耐金型汚染性に優れていることがわかる。
一方、表1の比較例より、本発明の規定を満足しないスチレン系難燃樹脂組成物は、流動性、耐熱性および耐金型汚染性に劣る。
特に実施例1と、本願請求項を満たさない(B-3)、(B-4)スチレン系重合体を組み合わせて原料組成から計算したMFRが実施例1と同等となるように配合した比較例2を比べると、流動性、耐熱性、耐金型汚染性共に実施例1が比較例2より優れており、優位性は明らかである。

Claims (3)

  1. (A)耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)に、(B)重量平均分子量10万以上18万以下、および、メタノール可溶成分量2.0質量%以下のスチレン系樹脂を、前記(A)耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と前記(B)スチレン系樹脂の合計100質量部に対して1~30質量部含有し、前記(B)スチレン系樹脂はスチレン重合体であり、(C)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(D)難燃剤を含有し、
    前記(D)難燃剤は、下記化学式で表される芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物であるスチレン系樹脂組成物。
    Figure 0007025834000007
    (ここで、nは1~5の正数であり、Ar 1 ~Ar 4 は炭素数6~15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式で表わされるX1、X2、X3、X4、又はX5から選ばれる置換基である。)
    Figure 0007025834000008
  2. (E)難燃助剤を含有する請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物を射出成形して得られる成形体。
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