JP3537254B2 - ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物およびその製造方法

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JP3537254B2
JP3537254B2 JP05003496A JP5003496A JP3537254B2 JP 3537254 B2 JP3537254 B2 JP 3537254B2 JP 05003496 A JP05003496 A JP 05003496A JP 5003496 A JP5003496 A JP 5003496A JP 3537254 B2 JP3537254 B2 JP 3537254B2
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浩志 嶋
豊 坪倉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に大型成形品、
精密成形品等の形状の多様化、大型化、薄肉化、成形サ
イクルの高速化の要請に応える、例えば電気、電子機
器、自動車、車両、船舶、航空機の部品、ハウジング等
に用いられる成形材料として利用されるゴム変性芳香族
ビニル樹組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】成形品形状の大型化、薄肉化等の傾向か
ら、成形材料のゴム変性芳香族ビニル樹脂に対し、より
流動性の向上が要求される。これに対して、通常の樹脂
の改質手法では可塑剤の添加、連続相の平均分子量の低
下等が考えられるが、可塑剤の添加では熱変形温度の低
下や成形品の外観不良が発生する等の問題点が、又、連
続相の平均分子量の低下では耐衝撃性の低下という問題
点が伴い、物性のバランスをとることは困難である。
【0003】これに対して、ゴム変性ビニル芳香族重合
体の連続相に分岐状ビニル芳香族重合体を含む構成によ
り、衝撃強度と流動性のバランスのとれた樹脂の提案
(特開平7−70256号公報)や、ゴム変性ビニル芳
香族重合体の連続相が特定高分子量成分と特定低分子量
成分がそれぞれ特定量以下で構成され、一方、分散相が
二峰分布を有するゴム粒子径で構成される衝撃性と流動
性の優れるゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の提案(特
開平6−100637号公報)がされている。
【0004】しかし、分岐剤を用いる点、二峰分布を有
するゴム粒子径で構成される点、一部アニオン重合を用
いる点で製造コストアップになるなど充分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐衝撃性と流
動性のバランスの優れたゴム変性芳香族ビニル樹脂組成
物およびその製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて、鋭意検討した結果、ゴム変性芳香族ビニル重合
体の連続相を構成する芳香族ビニル重合体において、重
量平均分子量を特定範囲に保持しながら、その重量平均
分子量に応じて、特定範囲の低分子量成分の量を制御す
ることにより、耐衝撃性と流動性の好ましいバランスを
実現できるという知見を得た。さらに、かかる分子量分
布のゴム変性芳香族ビニル重合体を、もっとも安定した
重合技術であるラジカル重合法で製造される樹脂のブレ
ンドにより達成しうるということも見出した。
【0007】本発明はかかる知見をもとに完成した。す
なわち、本発明の要旨は以下の通りである。 (1)芳香族ビニル重合体の連続相とゴム状重合体の分
散相からなるゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物におい
て、 連続相の重量平均分子量Mwが10万以上25万以下
であり、 連続相中の分子量5万以下の成分の重量比率(重量
%)R(Mw5)が、 −2×Mw/10000+53≦R(Mw5)≦−2×
Mw/10000+63 で示される範囲にあって、 分散相が平均粒子径0.5〜4.0μmで、その含有
量が3〜12重量%である樹脂組成物。 (2)ゴム変性芳香族ビニル重合体において、分散相を
なすゴム状重合体の平均粒子径が0.5〜4.0μm
で、その含有量が3〜20重量%であり、連続相の重量
平均分子量が10万以上で27万以下で重量平均分子量
と数平均分子量の比が1.8〜3.0であるゴム変性芳
香族ビニル重合体(A)100重量部に対して芳香族ビ
ニル重合体において、重量平均分子量が1000以上で
5万以下であり重量平均分子量と数平均分子量の比が
1.8〜3.0である芳香族ビニル重合体(B)を5〜
20重量部で混合することによる上記(1)記載の樹脂
組成物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のゴム変性芳香族ビニル重合体は通常、高
分子量のゴム変性芳香族ビニル重合体(A)と低分子量
の芳香族ビニル重合体(B)の混合により製造される。
以下、高分子量のゴム変性芳香族ビニル重合体、次いで
低分子量の芳香族ビニル重合体、そしてそれからなる本
発明の樹脂組成物およびその製法の順で説明する。
【0009】高分子量のゴム変性芳香族ビニル重合体
(A) 本発明で好ましく用いられる高分子量のゴム変性芳香族
ビニル重合体(A)は芳香族ビニル重合体の連続相にゴ
ム状重合体が分散相を形成してなる組成物である。この
ような連続相を構成する芳香族ビニル重合体は芳香族ビ
ニル単量体の重合体または共重合体であり、芳香族ビニ
ル単量体としては、スチレンのほか、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4
−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−
ブチルスチレンなど核アルキル置換スチレン、α−メチ
ルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα
−アルキル置換スチレンなどがある。この中でも、スチ
レン、α−メチルスチレンが、重合体としてポリスチレ
ン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体が好適に
用いることができる。
【0010】また分散相を形成するゴム状重合体はゴム
の分子量、分岐度は特に制限されない。常温でゴム的性
質を示すものであればよい。具体的にはポリブタジエ
ン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共
重合体、α−メチルスチレン−ブタジエンのランダムま
たはブロック共重合体、スチレン−イソプレンのランダ
ムまたはブロック共重合体およびそれら水添物、エチレ
ン−プロピレンラバー(EPR)、エチレン−プロピレ
ン−ジエンゴム(EPDM),アクリルゴムなどがあ
る。この中でも、ポリブタヂエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体およびそれら水添物が好適に用いることがで
きる。
【0011】次いで、これら芳香族ビニル単量体とゴム
状重合体を使って重合するには通常、ラジカル重合によ
る塊状重合、塊状・懸濁、溶液重合、乳化重合の方法な
どがあるが、ゴム状重合体を芳香族ビニル単量体に溶解
し、塊状重合、塊状・懸濁または溶液重合法が好適に用
いられる。具体的には塊状予備重合により、ゴム状重合
体を所定の平均粒子径で分散させた後、塊状重合法、溶
液重合法又は懸濁重合法のいずれかの方法により、本重
合を完結させればよい。この塊状予備重合では、通常、
70〜140℃の重合温度で、好ましくは90〜130
℃で、転化率15〜45%とし、その後の本重合で70
〜180℃で、好ましくは80〜160℃で懸濁重合さ
せて重合を完結させる。
【0012】なお、重合開始剤をもちいたほうが反応速
度の向上、グラフト率の向上やオリゴマー生成の抑制等
に有効である。開始剤とは1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンな
どのパーオキシケタール類、ジクミルパーオキシド、ジ
−t−ブチルペルオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアル
キルパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、m−ト
ルオイルパーオキシドなどのジアリルパーオキシド類、
ジミリスチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキ
シジカーボネート類、t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートな
どのパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキ
シドなどケトンパーオキシド類、p−メンタンハイドロ
パーオキシドなどのハイドロパーオキシド類を挙げるこ
とができる。
【0013】この重合によって、得られる連続相を形成
する芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は通常、10
万〜27万であるもの、好ましくは13万〜22万以下
がよい。10万未満では耐衝撃性が不足し、25万を超
えると重合後期での粘度が高くなりすぎて制御が困難に
なるからである。分子量の制御は分子量調整剤(連鎖移
動剤)の量の調整、すなわち、添加量を少なくすると高
分子量化し、逆に大きくすると低分子量化することがで
きるし、又、反応温度の調整、すなわち高温で重合すれ
ば低分子量化し、低温で重合すれば高分子量化すること
ができる。なお、分子量調整剤の量はゴム粒子径にも影
響を与えるがゴムの相転移以降に添加することでゴム粒
子径に影響を与えること無く、分子量のみを制御可能で
ある。
【0014】なお、分子量調整剤としては、α−メチル
スチレンダイマー、ノルマルドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタン、1−フェニルブテン−2−フ
ルオレン、ジペンテン、クロロホルム等のメルカプタン
類、テルペン類、ハロゲン化合物である。又、重量平均
分子量と平均分子量の比が1.8〜3.0であるものが
よい。かかる比はいわゆる分子量分布指数として分子量
分布を表すものとして使われもので、一般のラジカル重
合により達成される範囲である。
【0015】一方、分散相を形成するゴム状重合体の添
加量は通常、3〜20重量%であり、好ましくは6〜1
5重量%、より好ましくは7から12重量%である。
尚、ゴム添加量が重合後にゴム添加量の異なる芳香族ビ
ニル重合体との混合によって、調整されてもよい。3重
量%未満では耐衝撃性が不充分であり、20重量%を超
えると重合後期での粘度が高くなりすぎて制御が困難に
なるからである。
【0016】ゴム重合体の添加量の調整は、重合前に芳
香族ビニル単量体にゴム状重合体を溶解させる段階で添
加量を調整することにより行う。又、重合転化率の低い
段階で、加熱減圧下におき単量体を除くことによっても
調整することが出来る。ゴム粒子径は通常、0.5〜
4.0μmの大きさがよい。好ましくは0.8〜3μm
の大きさがよい。
【0017】ゴム粒子径は分子量調整剤の添加量によ
り、制御される。すなわち、添加量が少ないと粒子は微
細化し、添加量が多いと粒子は粒子は肥大化する。又、
ゴム粒子を形成する段階すなわち、ゴムの転相時に与え
る剪断力によっても制御可能である。すなわち、攪拌翼
の回転数制御により、高回転では粒子を微細化し、低回
転では肥大化することができる。さらに、微細化をはか
る場合はゴム種をスチレン−ブタジエンブロック共重合
体にすれば可能である。
【0018】低分子量の芳香族ビニル重合体(B) 本発明で好ましく用いられる低分子量の芳香族ビニル重
合体は芳香族ビニル単量体の重合体または共重合体であ
り、芳香族ビニル単量体としては、上記のとおりスチレ
ン、α−メチルスチレンが、重合体としてポリスチレ
ン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体が好適に
用いることができる。
【0019】重合方法は高分子量のゴム変性芳香族ビニ
ル重合体(A)の場合と同様に、ラジカル重合による、
塊状重合法、塊状・懸濁法、懸濁法又は溶液重合法が好
適に用いられる。重合開始剤、分子量調整剤も同様に用
いることができる。そして、本発明の低分子量の芳香族
ビニル重合体(B)は重量平均分子量が通常、1000
〜50,000であるものが、好ましくは18,000
〜40,000であるものが用いられる。
【0020】又、重量平均分子量と数平均分子量の比が
1.8〜3.0であるもの、すなわち、通常のラジカル
重合で得られる分子量分布である。 本発明の樹脂組成物とその製法 本発明の樹脂組成物はゴム変性芳香族ビニル重合体であ
って、重合体の連続相が芳香族ビニル重合体からなり、
その重量平均分子量(Mw)が10万〜25万、好まし
くは10万〜18万である。そして、連続相中の分子量
5万以下の成分の重量比率(重量%)R(Mw5)が、
通常、 −2×Mw/10000+53≦R(Mw5)≦−2×
Mw/10000+63 であるものがよい。
【0021】より好ましい流動性を重視したバランスの
物性を実現するには −2×Mw/10000+55≦R(Mw5)≦−2×
Mw/10000+61 である。−2×Mw/10000+53未満であると高
流動化が不充分であり、−2×Mw/10000+63
を超えると耐衝撃性の低下が大きくなる。本発明のゴム
変性芳香族ビニル重合体(A)は、いわゆるラジカル重
合させたもので、前記したとおり、連続相の分子量分布
(重量平均分子量と数平均分子量の比)が通常、1.8
〜3.0であり、重量平均分子量と分子量5万以下の成
分の重量%との間に一定のリニアーの関係があることを
見出しており、具体的には、重量平均分子量(Mw)が
10万〜25万のゴム変性芳香族ビニル重合体(A)の
中、連続相中の分子量5万以下の成分の重量比率(重量
%)は、通常、−2×Mw/10000+51で示され
る関係にある。従って、本発明の樹脂組成物は分子量5
万以下の成分が、通常のラジカル重合で連続相を形成す
る芳香族ビニル重合体中の含有比率以上に、含有されて
いることを意味する。
【0022】更に、前記高分子量のゴム変性芳香族ビニ
ル重合体(A)100重量部に前記低分子量の芳香族ビ
ニル重合体(B)20重量部を混合してなる樹脂組成物
の重量平均分子量と分子量5万以下の成分の重量%との
間には、−2×Mw/10000+63で示される関係
がある。従って、本発明の樹脂組成物は分子量5万以下
の成分が通常のラジカル重合で連続相を形成する芳香族
ビニル重合体中の含有比率以上であって、かつ分子量5
万以下の成分の追加量が20重量部以下であることに相
当する。
【0023】このような、分子量分布の樹脂組成物によ
り、本発明の効果が得られるのはゴム変性芳香族ビニル
重合体の連続相を構成する芳香族ビニル重合体の特定分
子量成分を境に、より高分子成分は耐衝撃特性に有効な
成分である一方、より低分子成分は流動性に寄与する成
分であり、当境界分子量を中心に前後した成分が耐衝撃
性にも寄与せず、又流動性にも寄与せず、可能な限り少
ないほうが好ましい物性バランスを実現することによる
ものと推測される本発明では特定分子量を5万として、
当該5万を境に前後の成分を除く操作のかわりに、低分
子量成分(B)の追加ブレンドによる簡易な製法によっ
た。
【0024】本発明のゴム変性芳香族樹脂組成物は、高
分子量のゴム変性芳香族重合体(A)100重量部に低
分子量の芳香族重合体(B)0重量部〜20重量部を混
合することにより製造することができる。その他必要に
応じて本発明の本質的効果を損なわない範囲で難燃剤、
難燃助剤、更に各種充填剤や添加剤を配合してもよく、
全成分を同時に混練機にかけて混合する方法でも、一部
を予め混合し、次いで残りの成分を加えて混練する方法
でもよい。 具体的には、各成分をヘンシェルミキサー
を使用してドライブレンドした後、混合物を二軸押出機
でシリンダー温度を200℃〜330℃に設定して、混
練し、ペレットを製造する。
【0025】本発明に用いる樹脂組成物に添加して用い
ることのできる難燃剤は、臭素系難燃剤のほかリン系難
燃剤があり、いずれでもよく、具体的には臭素系難燃剤
としてはデカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモ
ビスフェノールA,テトラブロモビスフェノールS,テ
トラブロモフェノキシエタン,ポリブロモフェニレンオ
キシド、テトラブロモビスフェノールAエポキシ重合
体、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴ
マー、ポリトリブロモスチレン、ヘキサブロモシクロド
デカン、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビステトラブ
ロモフタルイミド、デカブロモジフェニルエタン、2,4,
6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)1,3,5-トリア
ジン等である。また、リン系難燃剤としてはトリフェニ
ルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ト
リキシレニルホシフェート、ジフェニルホスフェート、
フェニレンビス(フェニルグリシジルホスフェート)等
である。これらの中、一種または二種以上組み合わせて
使用してもよい。
【0026】好ましくはテトラブロモビスフェノールA
エポキシ重合体、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェ
ノキシ)1,3,5-トリアジン、デカブロモジフェニルエタ
ン、デカブロモジフェニルエーテルが好適に用いられ
る。これら難燃剤の添加量はゴム変性芳香族ビニル樹脂
100重量部に対して、通常、3〜30重量部で好まし
くは6〜25重量部である。添加量が3重量部未満でれ
ば難燃性が不充分であり、30重量部を越えると耐衝撃
性が低下する。
【0027】また、難燃剤と併用して難燃助剤をもちい
ることが難燃効果を高め、好ましい。難燃助剤として具
体的には三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、ホウ酸
亜鉛、メタホウ酸バリウム、モリブデン化合物等であ
る。好ましくは三酸化アンチモンが好適である。これら
難燃助剤の添加量はゴム変性芳香族ビニル樹脂100重
量部に対して、通常、1〜12重量部であり、好ましく
は2〜8重量部である。添加量が1重量部より少ないと
難燃性が不充分であり、12重量部を越えると耐衝撃性
が低下する。
【0028】更に、各種充填剤としてはガラス繊維、カ
ーボン繊維、ガラスビーズ、マイクロビーズ、タルク、
炭酸カルシウム、雲母、マイカ等無機充填剤、ポリエス
テル繊維、アラミド繊維などの補強繊維などであり、添
加剤としてはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、離形剤、可塑剤、顔料
などである。
【0029】
【実施例】本発明について、更に実施例により詳細に説
明する。 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)の製造
例:サンプルH1 内容量5リットルのオートクレーブにスチレン3199
g、ポリブタジエン(宇部興産製ウベポールBR15H
B)301 g、及び重合開始剤として1、1−ビス(t
−ブチルパーオキシド)−3、3、5−トリメチルシク
ロヘキサン0.7 g、連鎖移動剤としてノルマルドデシ
ルメルカプタン0.45 gの混合液を入れ、600rp
mで攪拌しながら、115℃で転化率40%まで塊状重
合反応を行なった。
【0030】次いで、10リットルのオートクレーブに
前記反応混合物3000g、水4000g、懸濁安定剤
としてポリビニルアルコール6g、重合開始剤としてベ
ンゾイルパーオキシド4.5 g、ジクミルパーオキシド
3 gを入れ500rpmで攪拌しながら、60℃から2
0℃/時の昇温速度で140℃まで昇温し、その温度で
さらに3時間反応させて懸濁重合を行ない、ゴム変性ス
チレン組成物を得た。
【0031】次に得られた組成物のビーズを220℃で
未反応単量体を除去しながら、単軸押出機にて造粒し
た。又、サンプルの連続相の分子量、分子量分布、分子
量5万以下の低分子成分の重量比率を、分散相のゴム含
有量およびゴム粒子径を測定し、その結果を表3にまと
めた。
【0032】高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合
体)の製造例:サンプルH2,H3,H4,H5,H
6,H7,H8,H9 以下、サンプルH1の製造例に準じて製造した。内容量
5リットルのオートクレーブにスチレンA g、ポリブタ
ジエン(宇部興産製ウベポールBR15HB)B g、及
び重合開始剤として1、1−ビス(t−ブチルパーオキ
シド)−3、3、5−トリメチルシクロヘキサンC g、
連鎖移動剤としてノルマルドデシルメルカプタンD gの
混合液を入れ、Erpmで攪拌しながら、115℃で転
化率40%まで塊状重合反応を行なった。
【0033】次いで、10リットルのオートクレーブに
前記反応混合物 3000g、水4000g、懸濁安定
剤としてポリビニルアルコール 6g、重合開始剤とし
てベンゾイルパーオキシドF g、ジクミルパーオキシド
G gを入れ500rpmで攪拌しながら、60℃から2
0℃/時の昇温速度で140℃まで昇温し、その温度で
さらに3時間反応させて懸濁重合を行ない、ゴム変性ス
チレン組成物を得た。
【0034】次に得られた組成物のビーズを220℃で
未反応単量体を除去しながら、単軸押出機にて造粒し
た。サンプル名と上記A〜Gまでの条件との対応表を表
1に示した。又、サンプルの連続相の分子量、分子量分
布、分子量5万以下の低分子成分の重量比率、分散相の
ゴム含有量およびゴム粒子径を測定し、その結果を表3
にまとめた。
【0035】なお、分子量、分子量分布の測定は以下の
方法を用いた。市販の標準ポリスチレンを用いて検量さ
れたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下G
PCと略記)を用いて、測定して求めた。(東ソー
(株)製GPCカラム TSK GEL GMH6を用
いた。) 溶出曲線を分子量分布曲線に変換する際には、分子量の
異なる7種以上の標準ポリスチレンより作成した検量線
で補正を行った。
【0036】又、ゴム粒子径の測定には以下の方法を用
いた。樹脂組成物の超薄切片の透過型電子顕微鏡写真
(10000倍)のゴム状重合体粒子の長直径の測定に
より計算された体積平均長さ(測定粒子数500〜10
00個)で下式を用いて計算した。 D=Σni ×Di 3 / Σni ×Di 2 (ni :測定した直径がDi である分散粒子の個数)
【0037】
【表1】
【0038】低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)
の製造例:サンプルL1 内容量10リットルのオートクレーブにスチレン300
0 g、ベンゾイルパーオキシド120g、ジクミルパー
オキシド3.0 g、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート9.0gと懸濁溶媒として水を5000
g、懸濁安定剤としてリン酸カルシウム25g、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.2gの混合液をい
れ300rpmで攪拌しながら、懸濁重合を行なった。
【0039】重合温度は70℃を起点として、40℃/
時で昇温し、90℃で5時間、140℃で4時間それぞ
れ保持して重合を完結せしめた。又、サンプルの分子
量、分子量分布、分子量5万以下の低分子成分の重量比
率をを測定し、その結果を表3にまとめた。 低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)の製造例:L
2 以下、サンプルL1の製造例に準じて製造した。
【0040】内容量10リットルのオートクレーブにス
チレン3000 g、ベンゾイルパーオキシドAg、ジク
ミルパーオキシドB g、t−ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネートCgと懸濁溶媒として水を5000
g、懸濁安定剤としてリン酸カルシウム25g、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.2gの混合液をい
れ300rpmで攪拌しながら、懸濁重合を行なった。
【0041】重合温度は70℃を起点として、40℃/
時で昇温し、90℃で5時間、140℃で4時間それぞ
れ保持して重合を完結せしめた。サンプル名と上記A〜
Cまでの条件との対応表を表2に示した。又、サンプル
の分子量、分子量分布、分子量5万以下の低分子成分の
重量比率をを測定し、その結果を表3にまとめた。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】実施例1 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルH6を10Kgと低分子量GPPS(ポリスチレン重
合体)のサンプルL1を5Kgとをドライブレンドして
後、二軸混練機により混練し、低分子量成分を制御した
樹脂組成物を得た。この得られた樹脂組成物のメルトイ
ンデクス(MI),アイゾット衝撃強さ、曲げ弾性率を
試験評価して表4に示した。
【0045】各試験方法は以下の通りである。 メルトインデクス(MI):JIS K−7210に準拠する。 アイゾット衝撃強さ :JIS K−7110に準拠する。 曲げ弾性率 :JIS K−7203に準拠する。
【0046】実施例2 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH7に変更した以外は実施例1と同じである。
【0047】実施例3 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH8に、低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)
のサンプルL1を20Kgに変更した以外は実施例1と
同じである。
【0048】実施例4 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH9に変更した以外は実施例3と同じである。
【0049】実施例5 低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)のサンプルを
L2に変更した以外は実施例1と同じである。
【0050】実施例6 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH7に変更した以外は実施例5と同じである。
【0051】実施例7 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH8に、低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)
のサンプルL2を20Kgに変更した以外は実施例5と
同じである。
【0052】実施例8 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH9に変更した以外は実施例7と同じである。
【0053】比較例1 低分子量のサンプルL1を25Kgに変更した以外は実
施例2と同じである。表4に本願発明の範囲から外れる
数値、劣る物性値に下線を引いて表示する。
【0054】比較例2 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルH1を100Kg用いただけで、低分子量GPPS
(ポリスチレン重合体)をブレンドしない以外は実施例
1と同じである。
【0055】比較例3 低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)のサンプルL
3を10Kgに変更した以外は実施例1と同じである。
サンプルL3に出光石油化学製US306を用いた。 Mw:36.5万,Mw/Mn:2.5,R(Mw5)
(重量%):5.0%
【0056】比較例4 低分子量GPPS(ポリスチレン重合体)のサンプルL
1を25Kgに変更した以外は実施例3と同じである。
【0057】比較例5 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH2に変更した以外は実施例1と同じである。
【0058】比較例6 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルをH3に変更した以外は実施例1と同じである。
【0059】比較例7 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルH4を100Kg用いただけで、低分子量低分子量G
PPS(ポリスチレン重合体)をブレンドしない以外は
実施例1と同じである。
【0060】比較例8 高分子量HIPS(ゴム変性スチレン重合体)のサンプ
ルH5を100Kg用いただけで、低分子量低分子量G
PPS(ポリスチレン重合体)をブレンドしない以外は
実施例1と同じである。
【0061】
【表4】
【0062】分子量の範囲が外れている場合、すなわち
分子量が低すぎると耐衝撃性に劣り(比較例1)、分子
量が高すぎると流動性に劣る(比較例2)。又、低分子
量成分の量が少なすぎると流動性が不足し(比較例
3)、逆に多すぎると耐衝撃性が劣る(比較例4)。更
に、ゴム粒子径が小さすぎると耐衝撃性に劣り(比較例
5)、大きすぎると曲げ弾性率(剛性)が劣る(比較例
6)。ゴム含有量が少なすぎると耐衝撃性に劣り(比較
例7)、多すぎると流動性・剛性が不足する(比較例
8)。
【0063】
【発明の効果】以上の如く、本発明の樹脂組成物によれ
ば、流動性と衝撃性のバランスが高水準でとれている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−170839(JP,A) 特開 平6−49146(JP,A) 特開 平6−157846(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/02 C08L 51/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ビニル重合体の連続相とゴム状重合
    体の分散相からなるゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物に
    おいて、 (a)連続相の重量平均分子量Mwが10万以上18
    以下であり、 (b)連続相中の分子量5万以下の成分の重量比率(重
    量%)R(Mw5)が、 で示される範囲にあって、 (c)分散相が平均粒子径0.5〜4.0μmで、その
    含有量が3〜12重量%である樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ゴム変性芳香族ビニル重合体において、分
    散相をなすゴム状重合体の平均粒子径が0.5〜4.0
    μmで、その含有量が3〜20重量%であり、連続相の
    重量平均分子量が10万以上で19万以下で重量平均分
    子量と数平均分子量の比が1.8〜3.0であるゴム変
    性芳香族ビニル重合体(A)100重量部に対して芳香
    族ビニル重合体において、重量平均分子量が1000以
    上で5万以下であり重量平均分子量と数平均分子量の比
    が1.8〜3.0である芳香族ビニル重合体(B)を5
    〜20重量部で混合することによる請求項1記載の樹脂
    組成物の製造方法。
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