JP2015074752A - スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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利春 蔵田
圭太 秋葉
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圭太 秋葉
宝晃 岡田
Takaaki Okada
宝晃 岡田
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Abstract

【課題】耐傷つき性に優れたスチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。【解決手段】(A)アタクチック構造を有するゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体1〜20質量部であるスチレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

耐傷つき性に優れたスチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
石油系樹脂の中でも、スチレン系樹脂は成形性、寸法精度、耐衝撃性および耐熱性に優れており、その用途は多岐にわたる。その中で、汎用ポリスチレンやゴム変性ポリスチレンは、容器、包装、日用雑貨等の分野で幅広く使用され、難燃性を付与させた難燃ポリスチレンはパーソナルコンピュータ、プリンター、複写機等のOA機器、TV、オーディオ等の家電製品等の分野で使用されている。
しかしながら、ゴム変性スチレン系樹脂はゴム状重合体を含有するために表面硬度が低く、その成形品が傷つきやすいという欠点を有する。スチレン系樹脂は家電製品等で外装用途として用いられるため、日常生活における清掃、運搬、硬質体との接触等の際に擦り傷がつきやすく、外観が悪化してしまう。
従来から、成形品の表面を塗装したり、表面保護コートを施すといった処置がなされてきた。しかしこれらの手法では塗装やコート等の後工程を要するため、製造工程の煩雑化やコスト上昇といった悪影響が避けられず、耐傷つき性に優れた樹脂組成物が待ち望まれている。
特開2001-288328号公報 特開2003-197160号公報
本発明はこのような現状を鑑み、上記の問題点を解決し、耐傷つき性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することである。
本発明は、(A)アタクチック構造を有するゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体1〜20質量部であるスチレン系樹脂組成物。
また、本発明は上記樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供する。
本発明で得られる樹脂組成物は、耐傷つき性に優れているため、OA機器や家電部品の外装用途での使用が有利になる。
本発明において使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物を重合して得られるものであり、必要に応じて共役ジエン系ゴム状重合体を加えてゴム変性を行ってもよい。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のスチレン系単量体や無水マレイン酸等以外の単量体も、スチレン系樹脂組成物の性能を損なわない程度であれば良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂のゴム変性に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム成分として70質量%以上が、シス−1、4結合を90モル%以上の比率で含有するハイシスポリブタジエンゴムを用いたものが好適に用いられる。1,4−シス結合含量が10〜40モル%であるローシスポリブタジエンゴムを用いた場合、離型性が低下するため、好ましくない。
このような(A)ゴム変性スチレン系樹脂の例として、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、アタクチックポリスチレンであり、スチレン系単量体ユニットの立体規則性がシンジオタクチックではない重合体を意味する。
本発明に用いる(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体は以下の様である。
シンジオタクチック構造は、その立体化学構造が、炭素− 炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明に言う(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン重合体とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン,ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン), ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン),ポリ(アルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステル),これらの水素化重合体およびこれらの混合物,あるいはこれらを主成分とする共重合体を示す。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ(イソプロピルスチレン),ポリ(ターシャリーブチルスチレン),ポリ(フェニルスチレン),ポリ(ビニルナフタレン),ポリ(ビニルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フルオロスチレン)などがある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)など、またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ(エトキシスチレン)などがある。
なお、これらのうち特に好ましい(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン重合体としては、上記の条件を満足するポリスチレン,ポリ(p−メチルスチレン),ポリ(m−メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ(ジビニルベンゼン),ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ(p−クロロスチレン),ポリ(m−クロロスチレン),ポリ(p−フルオロスチレン),水素化ポリスチレンおよびこれらの構造単位を含む共重合体が挙げられる。
このような(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体としては、例えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チタン化合物および水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができる。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、およびこれらの水素化重合体は公知の方法などにより得ることができる。
更に、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体に対して、共重合単量体として、上述の各種重合体の他、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,オクテンなどのオレフィン単量体、ブタジエン,イソプレンなどのジエン単量体、環状ジエン単量体やメタクリル酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニトリルなどの極性ビニル単量体などを挙げることができる。特に、スチレン繰返し単位が80〜100モル%,p−メチルスチレン繰返し単位が0〜20モル%からなるシンジオタクチックポリスチレンが好ましく用いられる。
(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体の分子量については特に制限はないが、重量平均分子量が10,000以上、3,000,000以下であるのが好ましく、特に100,000以上、1,000,000以下であるのが好ましい。ここで重量平均分子量が10,000未満であると、強度低下を引き起こす場合があり、3,000,000を超えると、押出不良(メルトフラクチャー)が生じやすい。さらに、分子量分布については特に制限はないが、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.5以上8以下であるのが好ましい。
(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン重合体の結晶融点は160〜260℃である。結晶融点が160℃未満であると耐熱性が不足し、260℃を超える場合、通常の成形加工温度での成形が困難となる。
(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体は、その添加量として1〜20質量部用いるのが必須であり、好ましくは3〜18質量部である。(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン重合体が1質量部より少ないと耐傷つき性が確保できず、20質量部より多いとシャルピー衝撃強度が低下する。
(C)成分の難燃剤は、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤等が挙げられる。
臭素系難燃剤としては、トリス(ポリブロモフェノキシ)トリアジン化合物、臭素化ジフェニルアルカン化合物、臭素化フタルイミド化合物、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の分子鎖末端のグリシジル基の一部又は全部を封止した変性物等が挙げられ、トリス(ポリブロモフェノキシ)トリアジン化合物、臭素化ジフェニルアルカン化合物、臭素化フタルイミド化合物が好適に使用される。
リン系難燃剤としては、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩類、ホスフォン酸塩類、ホスホルアミド化合物等が挙げられ、特に下記(化1)で表される芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物が好適に使用される。
Figure 2015074752
(ここで、nは1〜5の正数であり、Ar1〜Ar4は炭素数6〜15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式に示す(化2)で表わされるX1、X2、X3、X4、又はX5から選ばれる置換基である。)
Figure 2015074752
リン系難燃剤としては、特に(C−1)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物、(C−2)ビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物から選択された少なくとも一種の縮合リン酸エステルが好ましく用いられる。
本発明で使用する(C−1)ビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物は、下記に示す(化3)で表される化合物である。
Figure 2015074752
(ここで、nは1〜5の正数であり、Ar1〜Ar4は炭素数6〜15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表す。)
(C−1)ビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物として具体的には、ビスフェノールAのビス(ジフェニルホスフェート)、ビス(ジトリルホスフェート)、(ジキシレニルホスフェート)化合物等が挙げられるが、好ましくは、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)化合物である。
本発明で使用する(C−2)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物は、下記に示す(化4)で表される化合物である。
Figure 2015074752
(ここで、nは1〜5の正数であり、Ar1〜Ar4は炭素数6〜15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式に示す(化5)で表わされるX1、X2、又はX3から選ばれる置換基である。)
Figure 2015074752
(C−2)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物として具体的には、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール等のビス(ジフェニルホスフェート)、ビス(ジトリルホスフェート)、(ジキシレニルホスフェート)化合物等が挙げられるが、好ましくは、ベンゼンジオールのビス(ジフェニルホスフェート)化合物、特に好ましくはレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)である。
(C)難燃剤は、その添加量として5〜50質量部用いるのが好ましく、特に好ましくは7〜45質量部である。(C)難燃剤が5質量部より少ないと難燃性が確保できず、50質量部より多いと耐熱性が低下する。
本発明の(D)ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記(化6)に示す構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体のいずれでもよい。
Figure 2015074752
(ここで、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、R1、R2がともに水素原子になることはない。)
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。共重合体の例としては、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂として、好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体であり、特に好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の極限粘度に特に制限はないが、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度が好ましくは0.2〜0.8dl/g、より好ましくは0.3〜0.6dl/gである。(B)ポリフェニレンエーテル樹脂の極限粘度が0.2dl/g未満だと成形体の機械的強度が低下し、また、0.8dl/gを超えると成形性が悪化するため好ましくない。
(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂は好ましくは5〜70質量部が好ましく、特に好ましくは7〜65質量部である。(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂が5質量部未満では耐熱性が悪化し、また70質量部を超えると成形性が悪化するため、好ましくない。
(E)難燃助剤としては例えば酸化アンチモン系化合物として三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等、ホウ素系化合物としてホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、無水ホウ酸亜鉛、無水ホウ酸等、スズ系化合物としてスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛等、モリブデン系化合物として酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム等、ジルコニウム系化合物として酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等、また亜鉛系化合物として硫化亜鉛等が挙げられるが、なかでも三酸化アンチモンを使用することが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で各種添加物、例えば染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、相溶化剤、難燃助剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤などの改質剤を添加できる。これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または重合終了後、または(B)シンジオタクチック構造を有し、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体、及び(C)難燃剤、(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(E)難燃助剤を配合する際、更には、押出機や成形機においても添加することができる。
本発明の樹脂組成物の混合方法は、公知の混合技術を適用することが出来る。例えばミキサー型混合機、V型他ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置であらかじめ予備混合しておいた混合物を、更に溶融混練することで均一なスチレン系難燃性樹脂組成物とすることが出来る。溶融混練にも特に制限はなく公知の溶融技術を適用出来る。好適な溶融混練装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等がある。更に押出機等の溶融混練装置の途中から難燃剤等の添加剤を別途に添加する方法がある。
本発明の樹脂組成物から成形品を得る成形法には特に制限は無いが、好ましくは真空成形および射出成形である。
以下に本発明を参考例、実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂:実施例及び比較例で使用した(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、それぞれ以下の組成である。ゴム状重合体にシス1、4結合を90モル%以上の比率で含有するハイシスポリブタジエンゴムを使用したゴム変性スチレン系樹脂である。このゴム変性スチレン系樹脂の組成は、マトリックス部分の還元粘度が0.76dl/gであり、ゴム状重合体の含有量が9.1質量%であり、ゴム状重合体のゲル含有量が26質量%であり、及びゴム状重合体の体積平均粒子径2.8μmである。ここで言う還元粘度、ゴム状重合体の質量%、ゴム状重合体のゲル含有量の質量%、ゴム状重合体の体積平均粒子径は以下の方法で測定した。
還元粘度(ηsp/C)の測定:ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン17.5mlとアセトン17.5mlの混合溶媒を加え、温度25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離で不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、250mlのメタノールを加えて樹脂分を析出させ、不溶分を濾過乾燥する。同操作で得られた樹脂分をトルエンに溶解してポリマー濃度0.4%(質量/体積)の試料溶液を作成した。この試料溶液、及び純トルエンを30℃の恒温でウベローデ型粘度計により溶液流下秒数を測定して、下式にて算出した。
ηsp/C=(t1/t0−1)/C
t0:純トルエン流下秒数
t1:試料溶液流下秒数
C :ポリマー濃度
ゴム状重合体含有量の測定:該スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/氷酢酸溶液を加え暗所に約30分放置後、15質量%のヨウ化カリウム溶液と純水50mlを加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から算出した。
ゲル含有量の測定:ゴム変性スチレン系樹脂をトルエンに3.3%(質量/体積)の割合で加え、温度25℃で40分振とう溶解した後、遠心分離(回転数10000〜14000rpm、分離時間30分)で不溶分(ゲル分)を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去してゲルを得た。次に、この膨潤ゲルを温度100℃で2時間予備乾燥した後、温度120℃の真空乾燥機で1時間乾燥した。デシケータで常温まで冷却し精秤し下式にて算出した。
ゲル分率(%)=[(m1−m0)/S]×100
m0:遠心沈降管質量
m1:乾燥ゲル+遠心沈降管質量
S :試料樹脂質量
ゴム状重合体の体積平均粒子径の測定:ゴム変性スチレン系樹脂をジメチルホルムアミドに完全に溶解させ、レーザー回析方式粒度分布装置にて測定した。
(B−1)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体
スチレン−p−メチルスチレン共重合体(p−メチルスチレン共重合比率12モル%)、Mw=23万、融点250℃を用いた。
比較例として(B−1)に変えて、(B−2)シンジオタクチックホモポリマー、Mw=23万、融点270℃を用いた。
(C)難燃剤として、トリス(ポリブロモフェノキシ)トリアジン化合物、商品名SR245(第一工業製薬社製)を使用した。
(C−1)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物
商品名CR−733S(大八化学工業社製、リン含有量10.5質量%)を使用した。
(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート
商品名CR−741(大八化学工業社製、リン含有量8.2質量%)を使用した。
(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂
商品名PX100F(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、極限粘度0.38dl/g)を使用した。
(E)難燃助剤:商品名AT−3CN(鈴裕化学社製、三酸化アンチモン)を使用した。
(F)スチレン系樹脂(GP)
比較として(B)に変えて還元粘度0.83dl/gであるスチレン重合体を使用した。
次に、本発明の樹脂組成物の混合方法を述べる。(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体、更に(C)難燃剤と(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(E)難燃助剤、(F)スチレン系樹脂を表に示す量にて配合し、これら全成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。この際、シリンダー温度200℃、供給量30kg/時間とした。
実施例及び比較例に示した各種測定は以下の方法により実施した。
<分子量>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−C
移動相:クロロホルム
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃
検出器:示差屈折計
本発明における各成分の分子量測定は、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
<結晶融点>
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社DSC装置(Q2000)を用い、窒素気流化、昇温条件10℃/minで測定した。
<耐傷つき性>
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、平板金型(成形品寸法、縦/横/厚み:100×100×3mm)を射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100E−P)に取り付け、シリンダー温度250℃、金型温度25℃で成形した。得られた試験片の鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠し、測定した。外装用途で使用するに当たり、鉛筆硬度でHB以上が必要とされるため、HB以上を合格とした。
<試験片作成>
射出成形機:日本製鋼所株式会社製J100E−P
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機にて、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した。
<耐衝撃性>
耐衝撃性はシャルピー衝撃値により評価した。
シャルピー衝撃値は、JIS K 7111−1に準拠し、エッジワイズ衝撃で、1.0Jの錘を用いて試験を行った。
強度が10未満だと製品部材の強度が不十分であり、シャルピー衝撃強度は10KJ/m2以上を合格とした。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体、(C)難燃剤、(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(E)難燃助剤、(F)スチレン系樹脂の各配合量と共に評価結果を表1〜2に示す。
Figure 2015074752
Figure 2015074752
表1の実施例より、本発明の樹脂組成物は、耐傷つき性、シャルピー衝撃強度に優れていることがわかる。
表2の比較例より、本発明の規定を満足しない樹脂組成物は、耐傷つき性、シャルピー衝撃強度に劣る。

例えば(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体の結晶融点が範囲外であると耐傷つき性に劣り、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体の配合量が規定より多いとシャルピー衝撃強度が劣る。
本発明で得られる樹脂組成物は、耐傷つき性に優れているため、OA機器や家電部品の外装用途での使用が有利になる。

Claims (7)

  1. (A)アタクチック構造を有するゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して、(B)シンジオタクチック構造を有する、かつ結晶融点が160℃〜260℃であるスチレン重合体1〜20質量部であるスチレン系樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物に(C)難燃剤を有するスチレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1もしくは2に記載のスチレン系樹脂組成物に(D)ポリフェニレンエーテル系樹脂を有するスチレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物に(E)難燃助剤を有するスチレン系樹脂組成物。
  5. (C)難燃剤が芳香族ジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物である請求項1〜3のいずれかに1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. (C)難燃剤が(C−1)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物、(C−2)ビスフェノールAビス(ジアリールホスフェート)化合物から選択された少なくとも一種の縮合リン酸エステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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