JP7015834B2 - 変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法に関する。
ポリビニルアルコールとカルボニル化合物との反応による変性ポリビニルアルコール樹脂は、強靭で耐薬品性に優れ、種々の材料への接着性を有する。例えばポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂は、コーティング材料や安全ガラス用中間膜、接着剤、バインダーなど幅広い用途で利用されている。
ポリビニルアルコールとカルボニル化合物との反応による変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法として、現在ポリビニルブチラールの製造方法とし工業的に採用されている代表的な製造方法は、水溶媒中において、ポリビニルアルコールとカルボニル化合物とを酸触媒の存在下で反応させ、生成する変性ポリビニルアルコール樹脂が析出した後に、これをアルカリで中和し、脱液、水で洗浄、乾燥して、ポリビニルブチラールを得るものである。また、特許文献1では、ポリビニルアルコール粉粒体とブチルアルデヒドとを水媒体中で60℃以上の温度で反応させてポリビニルアセタール樹脂を得る方法が開示されている。
特開平7-2931号公報
しかしながら現在工業的に採用されている代表的な製造方法は、水溶性のカルボニル化合物以外には適用できない。また、ポリビニルアルコールを水に溶解させるために高い温度と長い時間が必要であり、さらにアセタール化を行う温度まで冷却させなければならないため、エネルギーの損失が多く、生産効率が低い。またポリビニルアルコール水溶液の濃度が高くなると粘度が上昇して撹拌が困難となるために、反応容器の容積効率を高めることが難しい。さらに、水溶性の変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出すために、中和塩を除去した後に樹脂を乾固する工程、あるいは水と相溶性を有し、かつ生成した変性ポリビニルアルコール樹脂に対して沈殿剤となる有機溶媒を加えて析出させる工程が必要であり、製造工程が煩雑となるという課題がある。
特許文献1に記載の製造方法では、反応溶媒として水のみを用いており、ポリビニルアルコール粉粒体の一部が溶解するため、溶解部から得られるポリビニルアセタール樹脂と未溶解部から得られるポリビニルアセタール樹脂とでアセタール化度や立体規則性が異なり、得られる生成物が不均一となる問題がある。また、特許文献1に記載の方法では、ポリビニルアルコール粉粒体の膨潤度が高くなりすぎるため、反応容器の容積効率が低下し、生産性が低下するという課題もある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、幅広い種類のカルボニル化合物に適用可能であり、かつ工業的な生産性の高い、変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法を提供することを目的とする。本発明の限定的な目的は、ポリビニルアルコール粒子の内部まで均一にアセタール化できる、変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法を提供することである。
本発明の目的は、以下の[1]~[16]を提供することにより達成される。
[1]ポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、該溶媒で膨潤したポリビニルアルコール粒子をカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応させてアセタール化する工程(A)を含み、上記溶媒中の有機溶媒の含有量が5質量%以上である、変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[2]前記工程(A)終了時の反応液において生成物である変性ポリビニルアルコール樹脂が粒子状である、[1]の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[3]前記溶媒のハンセン溶解度パラメータδDが15.0以上20.0以下であり、δPが1.0以上20.0以下であり、δHが3.0以上41.0以下である、[1]または[2]の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[4]前記溶媒が水を5~95質量%含む、[1]~[3]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[5]前記有機溶媒がジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[4]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[6]前記有機溶媒がアセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[5]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[7]前記溶媒中の酢酸アルキルエステルの含有量が、上記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールを構成する構成単位数に対して90モル%以下である、[1]~[6]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[8]前記ポリビニルアルコール粒子0.5gに前記溶媒15gを添加し、60℃において200rpmで1時間撹拌したときの体積の増加率を膨潤度としたとき、該膨潤度が105~1000体積%である、[1]~[7]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[9]前記ポリビニルアルコール粒子の使用量が、ポリビニルアルコール粒子添加後の反応液の総質量に対して1質量%以上95質量%以下である、[1]~[8]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[10]前記工程(A)を酸触媒の存在下で行う、[1]~[9]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[11]前記カルボニル化合物がアルデヒドである、[1]~[10]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[12]アセタール化度が1モル%以上90モル%以下である変性ポリビニルアルコール樹脂を製造する、[1]~[11]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[13]前記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコール樹脂のけん化度が30モル%以上である、[1]~[12]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[14]前記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコール樹脂の平均重合度が500以上4500以下である、[1]~[13]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[15]前記ポリビニルアルコール粒子の平均粒子径が1000μm以下である、[1]~[14]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法;
[16]得られた変性ポリビニルアルコール樹脂10gを前記溶媒90gに対して添加し、前記工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌したときの未溶解分が8g以上である、[1]~[15]のいずれかの変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
本発明の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法は、幅広いカルボニル化合物に適用可能であり、かつ工業的な生産性が高い。また、本発明の特定の態様においては、ポリビニルアルコール粒子の内部まで均一にアセタール化できる。また、本発明の製造方法により得られた変性ポリビニルアルコール樹脂は、用いたカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の種類に応じて、ガラス中間膜、積層セラミックコンデンサ、農業用保水材、水溶性フィルム、食品包装材、ガソリンタンク、感熱紙オーバーコート材、電子部品等、種々の用途に使用できる。
本発明の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、該溶媒で膨潤したポリビニルアルコール粒子をカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応させてアセタール化する工程(A)を含む。
工程(A)で用いられるポリビニルアルコール粒子は、ポリビニルアルコールを含む。上記ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位のみから構成されていても、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位のみから構成されていても、ビニルエステル単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体に由来する他の構成単位をさらに含むものでもよい。上記ポリビニルアルコール中のビニルアルコール単位の含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは60モル%以上、カルボニル化合物との反応を良好に行う観点から、さらに好ましくは80モル%以上である。また、上記ビニルエステル単位は、製造容易性の観点から、酢酸ビニル単位が好ましい。
上記エチレン性不飽和単量体の例としては、例えばエチレン、1-ブテン、イソブチレンなどのオレフィン;アクリル酸及びその誘導体;メタクリル酸及びその誘導体;アクリルアミド及びその誘導体;メタクリルアミド及びその誘導体;マレイン酸及びその誘導体;無水マレイン酸及びその誘導体;などが挙げられる。これらは1種であっても複数種を含有していてもよい。上記エチレン性不飽和単量体に由来する他の構成単位の含有量は好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。上記他の構成単位の含有量が上記上限値以下であるとき、ポリビニルアルコールがカルボニル化合物との反応点を十分に有するため、ポリビニルアルコールとカルボニル化合物との反応が良好に進行しやすい。なお、本発明において構成単位とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいい、上述のビニルアルコール単位やビニルエステル単位も構成単位である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は特に制限されないが、取扱いやすさの観点から、4500以下が好ましく、2500以下がより好ましい。一方、得られる変性ポリビニルアルコール樹脂の力学特性の観点からは、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの平均重合度は、例えばJIS K 6726に準拠した方法により測定できる。
上記ポリビニルアルコールは、市販品を用いてもよいし、種々の公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。かかる製造方法としては、例えば(i)酢酸ビニル等のビニルエステルおよび必要に応じて他のモノマーの共存下、重合開始剤を用いて重合反応を行い、次いでけん化する方法;(ii)ビニルエーテルのカチオン重合反応とそれに続く加水分解反応を経る方法;(iii)アセトアルデヒドの直接重合法;等が挙げられる。中でも、(i)の方法が好ましく、酢酸ビニルを重合し、得られるポリ酢酸ビニルをけん化する方法がより好ましい。上記ポリビニルアルコールのけん化度は30モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、カルボニル化合物との反応を良好に行う観点からは、80モル%以上がさらに好ましい。
上記ポリビニルアルコール粒子の平均粒子径は特に制限されないが、ポリビニルアルコール粒子の内部まで均一にアセタール化させる観点から、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましい。一方、上記ポリビニルアルコール粒子の平均粒子径は1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上記ポリビニルアルコール粒子の平均粒子径が上記下限値以上であると、工程(A)後にフィルターを用いて脱液する場合にフィルターの目詰まりを抑制しやすく、効率的に変性ポリビニルアルコール樹脂を製造できる傾向にある。平均粒子径は、ポリビニルアルコール粒子を溶媒に分散させた状態で、レーザー回折による粒度分布測定を行うことで測定できる。より具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。また、上記ポリビニルアルコール粒子は、該粒子の内部までより均一にアセタール化させる観点からは、多孔質体であることも好ましい。上記ポリビニルアルコール粒子が多孔質体である場合の細孔のメジアン径は0.001μm~50μmが好ましく、0.01μm~20μmがより好ましい。細孔のメジアン径は、例えば、ポロシメータ(例えば、株式会社島津製作所製、オートポアIV9520)を用いた水銀圧入法により測定できる。
上記ポリビニルアルコール粒子におけるポリビニルアルコールの含有量は、上記ポリビニルアルコール粒子の質量に対して80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。上記ポリビニルアルコール粒子は、ポリビニルアルコール以外の成分を含んでいてもよいが、かかるポリビニルアルコール以外の成分の含有量はポリビニルアルコール粒子の質量に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。上記ポリビニルアルコール以外の成分は本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、例えば水、有機溶媒、無機塩、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
工程(A)におけるポリビニルアルコール粒子の使用量は特に限定されず、反応容積効率やポリビニルアルコール粒子の膨潤度を考慮して調整される。上記ポリビニルアルコール粒子の使用量は、ポリビニルアルコール粒子添加後の反応液の総質量に対して好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。上記ポリビニルアルコールの使用量が上記下限値以上であると、生産性が優れる傾向にある。ポリビニルアルコール粒子を溶解させずに溶媒により膨潤させて用いる本発明の製造方法においては、ポリビニルアルコールを溶解させた場合と比較して溶液粘度が低いため、上記ポリビニルアルコールの使用量をより高く設定できる。上記ポリビニルアルコールの使用量が上記上限値以下であると、撹拌(例えば、撹拌翼を用いた撹拌)や混練時に支障が生じにくい。
工程(A)で用いられる溶媒は、ポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能であり、かつ有機溶媒の含有量が5質量%以上である限り特に制限されない。工程(A)においてポリビニルアルコール粒子が膨潤するか否かは、溶媒の組成のみならず溶媒の温度や用いられるポリビニルアルコール粒子の組成等によっても影響されるため、工程(A)で用いられる溶媒の組成は一義的には定義し難いが、例えば、次に述べるハンセン溶解度パラメータを用いて選択してもよい。
工程(A)で用いられる溶媒のハンセン溶解度パラメータは、δDが15.0以上20.0以下であり、δPが1.0以上20.0以下であり、δHが3.0以上41.0以下であることが好ましく、δDが15.0以上18.0以下であり、δPが5.0以上19.0以下であり、δHが5.0以上35.0以下であることがより好ましく、δDが15.0以上16.0以下であり、δPが10.0以上18.0以下であり、δHが8.0以上30.0以下であることがさらに好ましい。上記溶媒のハンセン溶解度パラメータが上記範囲に含まれる場合、ポリビニルアルコール粒子が適度に膨潤し、アセタール化が良好に進行しつつ反応容器の体積効率が高くなる傾向にある。ハンセン溶解度パラメータは、ヒルデブランドによって導入された溶解度パラメータを分散項δD、極性項δP及び水素結合項δHの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項δDは無極性相互作用の効果、極性項δPは双極子間力の効果、水素結合項δHは水素結合力の効果を示す。本発明においてハンセン溶解度パラメータは、Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbookより抜粋した値を用いて算出する。複数の溶媒を混合した混合溶媒のハンセン溶解度パラメータは、混合溶媒に含まれる各溶媒について純溶媒のハンセン溶解度パラメータとその溶媒が混合溶媒中に占める体積分率との積を求め全て足し合わせた値であり、下記の式で表される。ここで、δDmix、δPmix、δHmixは混合溶媒のハンセン溶解度パラメータの分散項、極性項、水素結合項、δDn、δPn、δHnは混合溶媒中の第n成分(nは自然数)である純溶媒のハンセン溶解度パラメータの分散項、極性項、水素結合項、xnはかかる純溶媒の混合溶媒における体積分率である。なお、溶媒の体積分率は、混合前の純溶媒の体積を、混合前の全ての純溶媒の体積の和で除した値である。
δDmix=Σ(δDn×xn)
δPmix=Σ(δPn×xn)
δHmix=Σ(δHn×xn)
工程(A)で用いられる溶媒中の有機溶媒の含有量は5質量%以上である。上記有機溶媒の含有量が5質量%未満であると、上記ポリビニルアルコール粒子の一部が溶媒に溶解する。このとき、溶解したポリビニルアルコールと溶解していないポリビニルアルコールとでカルボニル化合物との反応性が異なるため、得られる変性ポリビニルアルコール樹脂はアセタール化度や立体規則性の異なる変性ポリビニルアルコール樹脂の混合物となる。また、上記有機溶媒の含有量が5質量%未満であると、上記ポリビニルアルコール粒子が溶媒中で過度に膨潤するため、反応容器の容積効率が低下し、生産効率が低くなる。したがって、上記有機溶媒の含有量が5質量%以上であることが重要である。上記有機溶媒の含有量は用いるカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物の種類に応じて適宜調整してよいが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記有機溶媒の含有量が上記下限値以上であると、アセタール化度や立体規則性の分布が狭い変性ポリビニルアルコール樹脂を得やすい。一方で、上記有機溶媒の含有量は好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、特に好ましくは85質量%以下である。上記有機溶媒の含有量が上記上限値以下であるとき、上記ポリビニルアルコール粒子を溶媒に適度に膨潤させ、かつカルボニル化合物を溶解させやすいため、上記ポリビニルアルコール粒子の内部まで均一にアセタール化させやすい傾向にある。
上記有機溶媒は特に限定されないが、例えば、アセトン、2-ブタノン等のジアルキルケトン;アセトニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、tert-ブタノール等のアルコール;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル;エチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物;アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ジメチルスルホキシド、フェノールなどが挙げられる。中でも、工程(A)後に得られた変性ポリビニルアルコール樹脂からの溶媒の除去の容易さ、溶媒に対するカルボニル化合物および酸触媒の溶解性、および溶媒の工業的入手性を考慮すると、上記有機溶媒は、ジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、2-プロパノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つであることがさらに好ましい。これらの有機溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよい。後述するように工程(A)で用いられる溶媒は水を含んでいてもよいが、工程(A)で用いられる溶媒が水を含まない場合は、上記有機溶媒はジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ジアルキルケトンおよび/またはニトリルがより好ましく、アセトンおよび/またはアセトニトリルであることがさらに好ましい。なお、アセタール化反応が進行するにつれて変性ポリビニルアルコール樹脂と溶媒の相互作用が変化するため、膨潤度を制御することを目的とし、反応途中で溶媒を添加してもよい。
本発明の一態様において、工程(A)で用いられる溶媒は水を5~95質量%含むことが好ましい。上記溶媒中の水の含有量は、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。上記水の含有量が上記下限値以上であると、ポリビニルアルコール粒子の膨潤度が適度に高くなりアセタール化反応が進行しやすく、また粒子の内部まで均一にアセタール化されやすくなる。また、上記水の含有量が上記上限値以下であると、ポリビニルアルコールの膨潤度が適度に低くなり、反応容器の体積効率が高くなる傾向にあり、またポリビニルアルコール粒子が溶媒に溶解しにくいため、アセタール化度や立体規則性の分布が狭い変性ポリビニルアルコール樹脂を得やすい。
工程(A)で用いられる溶媒中の酢酸アルキルエステルの含有量は、上記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールを構成する構成単位数に対して90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましく、0モル%であってもよい。上記酢酸アルキルエステルの含有量が上記上限値以下であると、酢酸アルキルエステルがポリビニルアルコールの水酸基と再度エステル結合を形成する逆反応が進行しにくく、アセタール化の反応率が高くなる傾向にある。ここで、「ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールを構成する構成単位数」とは、用いる全ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールを構成する構成単位の合計数を意味し、(用いる全ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールの質量)÷(ポリビニルアルコールを構成する構成単位のモル質量)により算出される。
工程(A)で用いられるポリビニルアルコール粒子0.5gに工程(A)で用いられる溶媒15gを添加し、60℃において200rpmで1時間撹拌したときの体積の増加率を膨潤度としたとき、該膨潤度が105~1000体積%であることが好ましい。上記膨潤度はより好ましくは108体積%以上、さらに好ましくは110体積%以上であり、より好ましくは700体積%以下、さらに好ましくは500体積%以下である。上記膨潤度が上記下限値以上であると、上記ポリビニルアルコール粒子の内部までカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体が拡散しやすく、粒子の内部まで均一にアセタール化されやすい傾向にある。上記膨潤度が上記上限値以下であると、反応容器内のポリビニルアルコールの濃度が高くなり、生産性に優れる傾向にある。なお、上記膨潤度は、より具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
工程(A)で用いられるカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体は、ポリビニルアルコールと反応してアセタール構造を形成できる限り特に制限されず、例えば、アルデヒド、ケトン、およびそれらのアセタール化体が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールとの反応性の観点からアルデヒドが好ましい。かかるアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリフルオロアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、1-ブタナール、イソブチルアルデヒド、tert-ブチルアルデヒド、ペンタナール、3-メチル-ブタナール、1-ヘキサナール、1-ヘプタナール、1-オクタナール、2-エチルヘキサナール、1-ノナナール、1-デカナール、3,7-ジメチル-1-オクタナール、1-ウンデカナール、1-ドデカナールなどの飽和脂肪族アルデヒド;アクロレイン、クロトンアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-3-ブテナール、シトラール、シトロネラール、7-オクテナール、ファルネサール、ぺリルアルデヒド、バニリンなどの不飽和脂肪族アルデヒド;シクロヘキサンカルボアルデヒド、シクロヘキセンカルボアルデヒド、2-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、2,6-ジメチル-2-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、シクロオクタンカルボアルデヒド、ノルボルナンカルボアルデヒドなどの脂環式アルデヒド;ベンズアルデヒド、ペンタフルオロベンズアルデヒド、2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-フルオロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5-ビストリフルオロメチルベンズアルデヒド、2,4-ビストリフルオロメチルベンズアルデヒド、オルトベンズアルデヒドスルホン酸、メタベンズアルデヒドスルホン酸、パラベンズアルデヒドスルホン酸、フルフラール、2-フェニルプロパナール、3-フェニルプロパナール、シンナムアルデヒド、3-(4-tert-ブチルフェニル)イソブチルアルデヒド、イミダゾール-1-カルボアルデヒド、イミダゾール-2-カルボアルデヒド、イミダゾール-4-カルボアルデヒド、イミダゾール-5-カルボアルデヒド、ピリジン-2-カルボアルデヒヒド、ピリジン-3-カルボアルデヒド、ピリジン-4-カルボアルデヒド、ピロール-1-カルボアルデヒド、ピロール-2-カルボアルデヒド、ピロール-3-カルボアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;グリオキサール、グルタルアルデヒド、3-メチルグルタルアルデヒド、1,9-ノナンジアール、2-メチルオクタン-1,8-ジアールなどのジアルデヒド;グリオキシル酸、ホルミル酢酸などのカルボキシル基含有アルデヒド;が挙げられる。前記アルデヒドのうち、カルボキシル基またはスルホ基を有するアルデヒドは塩であってもよい。上記アルデヒドが塩を形成する場合、かかる塩の対カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンなどのアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、亜鉛イオンなどのその他の金属イオン;アンモニウムイオン、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ホスホニウムイオン類などのオニウムカチオン;などが挙げられる。中でも、本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂を農業用保水材として用いる場合には、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンであることが好ましく、カリウムイオンであることが好ましい。これらの対カチオンは一種のみを含んでいてもよく、複数種を含んでいてもよい。
アルデヒドのアセタール化体としてはアセタール、ヘミアセタール、チオアセタールが挙げられ、反応性の観点からアセタールまたはヘミアセタールが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオールなどの低級アルコール類とアセタール化体を形成しているものがより好ましい。低級アルコール類と誘導体を形成しているアルデヒドのアセタール化体としては、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、4-アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソランなどが挙げられる。また、4-メチル-2-ヒドロキシテトラヒドロピラン、4-メチル-2-ヒドロキシテトラヒドロフランなどの、ヒドロキシ基とアルデヒド基が分子内でアセタールまたはヘミアセタールを形成したアルデヒド誘導体を用いてもよい。
ケトンとしては、例えばアセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、2-シクロヘキセノン、3-シクロヘキセノンおよびこれらのアセタール化体が挙げられる。ケトンのアセタール化体としては、アセタール、ヘミアセタール、チオアセタールが挙げられる。
上記カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の中でも、1-ブタナール、イソブチルアルデヒド、1-オクタナール、1-ノナナール、グリオキシル酸、ホルミル酢酸、オルトベンズアルデヒドスルホン酸、メタベンズアルデヒドスルホン酸、パラベンズアルデヒドスルホン酸、4-メチル-2-ヒドロキシテトラヒドロピラン、4-メチル-2-ヒドロキシテトラヒドロフラン、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-3-ブテナール、7-オクテナール、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、4-アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール、フルフラール、シクロヘキサンカルボアルデヒド、ノルボルナンアルデヒド等が好ましい。上述のカルボニル化合物およびカルボニル化合物のアセタール化体は一種を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
グリオキシル酸やホルミル酢酸等、カルボキシル基を有するカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体を用いる場合を除き、上記カルボニル化合物およびカルボニル化合物のアセタール化体の酸価は20KOHmg/g以下が好ましく、5KOHmg/g以下がより好ましく、1KOHmg/g以下がさらに好ましい。上記カルボニル化合物およびカルボニル化合物のアセタール化体の酸価が上記上限値以下であると、工程(A)におけるエステル化反応などの副反応、得られる変性ポリビニルアルコール樹脂へのカルボン酸等の不純物の混入、工程(A)後に未反応アルデヒドを回収する際のカルボン酸等の不純物等を抑制できるため、品質の良好な変性ポリビニルアルコール樹脂を得やすく、また未反応のアルデヒドを再利用しやすい。工業的に入手できるカルボニル化合物およびカルボニル化合物のアセタール化体には、製造時に副生したカルボン酸や取扱い中に空気中で酸化により生じたカルボン酸が混入している場合が多く、このようなカルボン酸を除去することにより、上記カルボニル化合物およびカルボニル化合物のアセタール化体の酸価を上記範囲内とすることができる。ここで、上記酸価は、1gのアルデヒド中に含まれる酸成分を中和するために必要な水酸化カリウム(KOH)の質量(mg単位)のことであり、JIS K0070に従って測定される値である。
上記カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の使用量は、目的とするアセタール化度などによって適宜調整される。ポリビニルアルコールが有する全水酸基がアセタール化される場合に消費するカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物の物質量(すなわち、ポリビニルアルコールが有する水酸基の半分のモル数)を理論量として、上記カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の使用量は当該理論量の0.001~10倍が好適である。上記カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の使用量はより好適には前記理論量の0.01倍以上、さらに好適には0.04倍以上であり、より好適には前記理論量の5倍以下、さらに好適には2倍以下である。
本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化度は、得られた変性ポリビニルアルコール樹脂の用途に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは1モル%以上、より好ましくは1.5モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限値以上であると、ポリビニルアルコールを変性させることによる効果が得られやすく、上記上限値以下であると、製造時間にかかる時間を短縮できる。ここで、アセタール化度(モル%)は、以下の式によって表される値であり、より詳細には実施例に記載の方法により求められる値である。
アセタール化度(モル%)=[(カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応した水酸基のモル数)/(原料のポリビニルアルコール中の水酸基及びアセチル基の合計モル数)]×100
工程(A)は、アセタール化反応を良好に進行させる観点から、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。上記酸触媒は特に限定されず、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸;酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸などの有機酸;炭酸などが挙げられ、アセタール化を良好に進行させる観点から塩酸、硝酸、硫酸が好ましい。また反応液のpHが2以下となるような酸触媒が好ましい。これらの酸は単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。なお、工程(A)で用いるカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体がカルボキシル基、スルホ基など酸性の官能基を持つ場合は、自己触媒作用によりアセタール化が進行するため、さらに酸触媒を添加する必要はないが、反応速度を高めるために前記の酸触媒を併用してもよい。
工程(A)における反応温度は特に制限されないが、0~200℃が好ましい。反応温度が0℃以上であると、アセタール化が良好に進行する傾向にある。上記反応温度は好適には10℃以上、より好適には20℃以上である。一方、上記反応温度が200℃以下であると、カルボニル化合物の揮発や分解、および原料のポリビニルアルコールや得られる変性ポリビニルアルコール樹脂の主鎖の断裂反応を抑制しやすく、また反応装置のコストや必要エネルギーの面からも有利である。上記反応温度は好適には150℃以下、より好適には130℃以下、さらに好適には100℃以下である。
工程(A)は、バッチ式、連続式のいずれの反応装置を用いて行ってもよい。また、均一に反応を進行させるためには、撹拌又は混練のための手段を備えていることが好ましい。上記反応装置は、主に、ポリビニルアルコール粒子の使用量に基づいて選択される。ポリビニルアルコール粒子の使用量がポリビニルアルコール粒子添加後の反応液の総質量に対して20質量%以下である場合には、反応容器の中で撹拌翼等を用いて撹拌しながら反応させることが好ましい。反応の進行はバッチ式でも連続式でもよいが、反応率を高めるためには、バッチ式が好ましい場合が多い。一方、ポリビニルアルコール粒子の使用量がポリビニルアルコール粒子添加後の反応液の総質量に対して20質量%以上である場合には、粘度が高くなって撹拌翼による撹拌が困難になる傾向があるので、ニーダーまたは押出機等の混練装置を反応装置として用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂は、上記工程(A)終了時の反応液において粒子状、塊状、ペースト状であることが好ましく、粒子状であることが好ましい。すなわち、上記工程(A)の終了時、反応液中に粒子、塊、またはペースト(好ましくは粒子)が目視で観測されることが好ましい。上記態様を満たすとき、得られる変性ポリビニルアルコール樹脂の収率が高くなる傾向にあり、また変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す工程がより簡便になる。なお、本発明において「工程(A)の終了時」とは、反応液の冷却や水酸化ナトリウム等の塩基の添加等によりアセタール化反応を停止したり、ろ過や脱液等により生成物である変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出したりする直前を意味する。
本発明の製造方法は、工程(A)以外の工程を含んでいてもよい。かかる工程としては、反応液の冷却や水酸化ナトリウム等の塩基の添加等によりアセタール化反応を停止する工程;変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す工程;反応液から取り出した変性ポリビニルアルコール樹脂を、必要に応じ洗浄した後、乾燥させる工程;等が挙げられる。生成した変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す方法は特に限定されないが、例えば反応液を加熱もしくは減圧することにより反応液から溶媒等を除去する方法、および静置ろ過、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心脱水等により脱液する方法が挙げられる。なお、反応液から除去した未反応のアルデヒドや溶媒は回収して再使用してもよい。
反応液から取り出した変性ポリビニルアルコール樹脂を洗浄する際に用いる洗浄液は特に限定されず、アセトニトリル、アセトン、2-ブタノン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール等の有機溶媒や水などが例示される。これらは単独で用いてもよく、二種類以上組み合わせてもよい。不純物の混入回避と回収容易さの観点からは、工程(A)で用いた溶媒と同じ種類のものが好ましいが、その組成は同一でなくともよい。
本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂10gを上記溶媒90gに対して添加し、工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌したときの未溶解分は好ましくは8g以上、より好ましくは8.5g以上、さらに好ましくは9g以上、特に好ましくは9.5g以上、極めて好ましくは9.8g以上であり、10gであってもよい。上記未溶解分が上記下限値以上であると、工程(A)後、生成した変性ポリビニルアルコール樹脂が反応液に溶解しにくいため、得られる変性ポリビニルアルコール樹脂の収率が高くなる傾向にあり、また変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す工程がより簡便になる。本発明において、生成する変性ポリビニルアルコール樹脂10gを上記溶媒90gに対して添加し、工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌したときの未溶解分が8g以上であるとは、変性ポリビニルアルコール樹脂を製造する際に用いた溶媒90gを200rpmで撹拌しながら、各粒子または各塊の長径が3mm以下である変性ポリビニルアルコール樹脂10gを塊状にならないように添加し、工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌した後、得られた未溶解分を含む溶液をJIS P3801において規定されたろ紙の種類で5種Aに分類されるろ紙を用いて差圧0.010±0.002MPaで減圧ろ過し、ろ紙上の残存成分を120℃、圧力0.005MPa以下で6時間乾燥させたときの質量が8g以上であることを表す。なお、工程(A)の途中で反応温度を変更した場合、工程(A)において反応液の温度が最も高くなったときの温度を上記「工程(A)の反応温度」とする。上記「変性ポリビニルアルコール樹脂を製造する際に用いた溶媒」は工程(A)で用いた溶媒と同じ組成の溶媒を意味するが、工程(A)の途中で溶媒の組成を変更した場合は、工程(A)の終了時の溶媒と同じ組成の溶媒を意味する。なお、未反応のアルデヒドは溶媒として見做さない。
本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂におけるハロゲン元素の含有量は100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、0ppmであってもよい。上記ハロゲン元素の含有量が上記上限値以下であると、ハロゲン元素による変性ポリビニルアルコール樹脂の劣化や分解などを抑制でき、熱安定性に優れる変性ポリビニルアルコール樹脂を得やすい。また、本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂のアルカリ金属元素の含有量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、0ppmであってもよい。上記アルカリ金属元素の含有量が上記上限値以下であると、アルカリ金属元素による変性ポリビニルアルコール樹脂の電気絶縁性、透明性、熱安定性などの低下を抑制しやすい。特に電子部品用途では、上記ハロゲン元素の含有量およびアルカリ金属元素の含有量が上記上限値以下であることが好ましい。上記ハロゲン元素の含有量およびアルカリ金属元素の含有量を上記上限値以下とする方法としては、例えば、ジアルキルケトン、ニトリル、アルコールまたは水等で樹脂を洗浄する方法;樹脂を溶解させてイオン交換樹脂と接触させる方法;透析膜を用いた透析を行う方法;イオン交換膜を用いた電機透析を行う方法;等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール樹脂は、用いたカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体の種類に応じて、ガラス中間膜、積層セラミックコンデンサ、塗料、接着剤、農業用保水材、水溶性フィルム、食品包装材、ガソリンタンク、感熱紙オーバーコート材、電子部品、バインダー、ゴム接着性が求められる用途、透明性が求められる用途など、さまざまな用途に使用できる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例等により何ら限定されない。
用いた原料を以下に示す。なお、ポリビニルアルコール粒子(A)~(E)のうち、ポリビニルアルコール粒子(E)のみ多孔質体である。
<ポリビニルアルコール粒子(A)~(E)>
ポリビニルアルコール粒子(A):ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、平均重合度1700)含有量94質量%、平均粒子径100μm。
ポリビニルアルコール粒子(B):ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、平均重合度1700)含有量94質量%、平均粒子径770μm。
ポリビニルアルコール粒子(C):ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、平均重合度500)含有量94質量%、平均粒子径770μm。
ポリビニルアルコール粒子(D):ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、平均重合度4200)含有量94質量%、平均粒子径770μm。
ポリビニルアルコール粒子(E):ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、平均重合度1700)含有量94質量%、平均粒子径130μm、メジアン径1.6μm。
<酸触媒、塩基、溶媒、カルボニル化合物、カルボニル化合物のアセタール化体、など>
47重量%硫酸、37重量%塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アセトニトリル、アセトン、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホキシド-d6、重水、重水酸化ナトリウム、1-ブタナール、1-オクタナール、1-ノナナール、グリオキシル酸一水和物、フルフラール、オルトベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウム、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール:いずれも和光純薬工業株式会社製。
3-メチル-2-ブテナール(純度98%)、7-オクテナール(純度98%):いずれも株式会社クラレ製。
3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン(純度98%):WO2016/104332に記載の方法で製造した。
(平均粒子径の測定)
ポリビニルアルコール粒子(A)~(E)の平均粒子径は、ポリビニルアルコール粒子(A)~(E)をメタノールに分散させ、粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-920)を用いてレーザー回折による粒度分布測定を行うことで測定した。
(アセタール化度の測定)
下記の実施例および比較例で得られた変性ポリビニルアルコール樹脂(0.03g)をジメチルスルホキシド-d6(0.97g)に溶解させ、500MHzのH-NMR測定を行った。原料のポリビニルアルコール粒子についても同様にH-NMR測定を行った。なお、カルボニル化合物としてグリオキシル酸一水和物を用いた、実施例11~24および比較例2~3では、ジメチルスルホキシド-d6に代えて0.1M 重水酸化ナトリウム重水溶液を用いた。得られたH-NMRスペクトルから、下記式にしたがってアセタール化度を算出した。結果を表1及び表2に示す。
アセタール化度(モル%)=[(カルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応した水酸基のモル数)/(原料のポリビニルアルコール中の水酸基及びアセチル基の合計モル数)]×100
(未溶解分の測定)
下記の実施例および比較例で用いた溶媒と同じ組成の溶媒90gを200rpmで撹拌しながら、かかる実施例および比較例で得られた変性ポリビニルアルコール樹脂10gを添加し、工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌した。得られた未溶解分を含む溶液を、JIS P3801において規定されたろ紙の種類で5種Aに分類されるろ紙を用いて、差圧0.010±0.002MPaで減圧ろ過し、ろ紙上の残存成分を120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させ、質量を測定した。なお、実施例および比較例で得られた変性ポリビニルアルコール樹脂の各粒子または各塊の長径が3mm超である場合は、3mm以下となるように粉砕機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、ZM-200)を用いて砕いた後、上記測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(膨潤度の測定)
ポリビニルアルコール粒子0.5gを10mLメスシリンダーに入れ、ポリビニルアルコール粒子集合体の上端部の値(体積Aとする)を読み取った。ポリビニルアルコール粒子を取り出し、下記の実施例および比較例で用いた溶媒と同じ組成の溶媒15gを添加し、60℃(溶媒の沸点が60℃より低い場合はその沸点の温度)において200rpmで1時間撹拌して膨潤させた。25℃まで冷却し、ポリビニルアルコール粒子と溶媒をメスシリンダーに移し変え、ポリビニルアルコール粒子集合体の上端部の値(体積Bとする)を読み取った。得られた体積Aおよび体積Bから、下記式にしたがって膨潤度を算出した。結果を表1及び表2に示す。
膨潤度(体積%)=[(体積B)/(体積A)] ×100
(工程(A)終了時の反応液における変性ポリビニルアルコール樹脂の形状)
ポリビニルアルコール粒子とカルボニル化合物を反応させた直後の反応液であって、水酸化ナトリウム水溶液を添加したり、反応液を冷却したりする前の反応液の様子を目視で観察した。変性ポリビニルアルコール樹脂の形状は、該反応液中に粒子が観測された場合には「粒子状」、固形物が一切観測されず均一な溶液であった場合には「溶液」であるとした。結果を表1及び表2に示す。
[実施例1]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン20.1g、1-ブタナール5.16gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)9.0gを1分間かけて添加した。水31.5gと47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例2]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、1-ブタナール0.41gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)5.0gを1分間かけて添加した。水7.9gと47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、78℃に昇温して3時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例3]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル46.5g、1-ブタナール1.63gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)10.0gを1分間かけて添加した。37重量%塩酸3.1gを滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例4]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン150g、水100g、1-ブタナール20.5gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)50gを1分間かけて添加した。水50gと47重量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例5]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン150g、水100g、1-ブタナール12.3gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)50gを1分間かけて添加した。水50gと47重量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例6]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン150g、水100g、1-ブタナール4.1gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)50gを1分間かけて添加した。水50gと47重量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例7]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、メタノール38.6g、1-ブタナール0.82gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)5.0gを1分間かけて添加した。水7.9gと47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、65℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例8]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル3.4g、水43.1g、1-ブタナール0.41gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)5.0gを1分間かけて添加した。47重量%硫酸3.3gを滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例9]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン150g、水100g、1-オクタナール14.5gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)50gを1分間かけて添加した。水50gと47重量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例10]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン150g、水100g、1-ノナナール16.1gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)50gを1分間かけて添加した。水50gと47重量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例11]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3.0gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物0.705g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、78℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例12]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3.0gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物3.53g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例13]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3.0gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物8.52g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例14]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例15]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して12時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例16]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して12時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例17]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(B)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して12時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例18]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)30gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物3.15g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例19]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル77.2gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)20gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物4.2g、水10.8g、47重量%硫酸6.6gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例20]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン77.2gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)20gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物4.2g、水10.8g、47重量%硫酸6.6gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、56℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例21]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン46.5gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、56℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例22]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、ジメチルスルホキシド5.4gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、47重量%硫酸3.3gの混合物を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例23]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(C)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例24]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(D)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、水5.4g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、70℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例25]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、フルフラール3.31gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3.0gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸0.66gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例26]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル193g、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン1.82gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)50gを徐々に添加した。水39.5g、47重量%硫酸16.5gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例27]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル193g、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン1.82gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)50gを徐々に添加した。水39.5g、47重量%硫酸16.5gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例28]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル193g、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン0.74gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)50gを徐々に添加した。水39.5g、47重量%硫酸16.5gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例29]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン4.4gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3.0gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例30]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、水7.9g、オルトベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.373gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3gを徐々に添加した。47重量%硫酸3.3gを滴下漏斗から5分間かけて滴下し、78℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例31]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール0.183gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、78℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例32]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール0.366gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、78℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例33]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル38.6g、3-メチル-2-ブテナール2.89gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例34]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトン38.6g、3-メチル-2-ブテナール2.89gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)3gを徐々に添加した。水7.9g、47重量%硫酸3.3gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例35]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル193g、7-オクテナール1.79gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(E)50gを徐々に添加した。水39.5g、47重量%硫酸16.5gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温直後、ポリビニルアルコール粒子が膨潤していることを目視で確認した。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[実施例36]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、アセトニトリル193g、7-オクテナール1.79gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)50gを徐々に添加した。水39.5g、47重量%硫酸16.5gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。
[比較例1]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、水46.5g、1-ブタナール0.41gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)10gを徐々に添加した。47重量%硫酸3.3gを滴下漏斗から5分間かけて滴下し、90℃に昇温して5時間反応を行った。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、30℃、圧力0.005MPaで48時間乾燥させた。
[比較例2]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、水44.0gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)10gを徐々に添加した。グリオキシル酸一水和物1.05g、47重量%硫酸3.3gの混合物を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、90℃に昇温して5時間反応を行った。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、30℃、圧力0.005MPaで48時間乾燥させた。
[比較例3]
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、室温(20℃)で、ヘキサン46.5g、グリオキシル酸一水和物1.05gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(A)10gを徐々に添加した。トリフルオロ酢酸3.3gを滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。昇温後もポリビニルアルコール粒子が膨潤していないことを目視で確認した。反応後、ろ過により固形物を取り出し、アセトニトリルと水の重量比9:1の混合溶媒で5回洗浄を行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させた。


Figure 0007015834000001
Figure 0007015834000002
実施例1~36からわかるように、ポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、該溶媒で膨潤したポリビニルアルコール粒子をカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応させてアセタール化する工程(A)を含み、上記溶媒中の有機溶媒の含有量が5質量%以上である製造方法は、幅広い種類のカルボニル化合物に適用可能であり、また工程(A)後、ろ過によって反応液から簡便に変性ポリビニルアルコール樹脂を取り出すことができるため生産性に優れる。
一方で、比較例1および比較例2のように溶媒中の有機溶媒の含有量が5質量%以下である場合、生成する変性ポリビニルアルコール樹脂が反応液に溶解してしまうため、反応溶液中に含まれる溶媒を全て乾燥する等により変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す工程が必要となり、製造工程が煩雑となる。さらに、比較例1および比較例2では、ろ過および溶媒による洗浄を行っていないため、中和塩に代表される不純物を含んだ状態にある。比較例1および比較例2において、不純物を除去して純度を上げるためには、例えば、樹脂を粉砕した後、固形物をアセトンと水の重量比1:1の混合溶媒で5回洗浄を行い、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させる操作が必要である。
また、比較例3のようにポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能な溶媒を用いない場合、アセタール化反応が進行しなかった。

Claims (15)

  1. ポリビニルアルコール粒子を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、該溶媒で膨潤したポリビニルアルコール粒子をカルボニル化合物および/またはカルボニル化合物のアセタール化体と反応させてアセタール化する工程(A)を含み、上記溶媒中の有機溶媒の含有量が5質量%以上であり、前記工程(A)終了時の反応液において生成物である変性ポリビニルアルコール樹脂が粒子状であり、前記工程(A)終了後にろ過又は脱液により該変性ポリビニルアルコール樹脂を反応液から取り出す工程をさらに含む、変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  2. 前記溶媒のハンセン溶解度パラメータδDが15.0以上20.0以下であり、δPが1.0以上20.0以下であり、δHが3.0以上41.0以下である、請求項に記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  3. 前記溶媒が水を5~95質量%含む、請求項1または2に記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  4. 前記有機溶媒がジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  5. 前記有機溶媒がアセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  6. 前記溶媒中の酢酸アルキルエステルの含有量が、上記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコールを構成する構成単位数に対して90モル%以下である、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  7. 前記ポリビニルアルコール粒子0.5gに前記溶媒15gを添加し、60℃において200rpmで1時間撹拌したときの体積の増加率を膨潤度としたとき、該膨潤度が105~1000体積%である、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  8. 前記ポリビニルアルコール粒子の使用量が、ポリビニルアルコール粒子添加後の反応液の総質量に対して1質量%以上95質量%以下である、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  9. 前記工程(A)を酸触媒の存在下で行う、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  10. 前記カルボニル化合物がアルデヒドである、請求項1~のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  11. アセタール化度が1モル%以上90モル%以下である変性ポリビニルアルコール樹脂を製造する、請求項1~10のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  12. 前記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコール樹脂のけん化度が30モル%以上である、請求項1~11のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  13. 前記ポリビニルアルコール粒子に含まれるポリビニルアルコール樹脂の平均重合度が500以上4500以下である、請求項1~12のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  14. 前記ポリビニルアルコール粒子の平均粒子径が1000μm以下である、請求項1~13のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
  15. 得られた変性ポリビニルアルコール樹脂10gを前記溶媒90gに対して添加し、前記工程(A)の反応温度と同じ温度において200rpmで2時間撹拌したときの未溶解分が8g以上である、請求項1~14のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール樹脂の製造方法。
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