JP5899042B2 - ポリビニルアセタール系樹脂の製造方法 - Google Patents
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以下に本発明を詳述する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセミ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。また、上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとビニルアルコールとの共重合体も用いることができる。
上記ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記洗浄工程における洗浄方法としては、例えば、溶剤によって塩基性成分を抽出する方法や、樹脂を良溶媒に溶解させた後に貧溶媒を投入して樹脂のみを再沈させる方法や、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する溶液中に吸着剤を添加して塩基性成分を吸着除去する方法等が挙げられる。
上記中和工程に用いる中和剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、炭酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸や、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、フェノール等のフェノール類等が挙げられる。
上記水系媒体としては、水、アルコール又はその混合媒体が挙げられる。なかでも、反応を効率よく進めることができ、副生成物を抑制できることから、水が好適である。
なお、本明細書において上記室温とは0〜40℃の範囲の温度を意味し、上記大気圧とは0.09〜0.11MPaの範囲の圧力を意味する。
上記混合液と上記高温高圧流体とを攪拌する機構は、反応部内に配置することが可能であり、かつ、流体を攪拌することが可能な部品であれば特に限定されず、例えば、撹拌羽根やスクリューを用いた動的な撹拌機構、スタティックミキサー等の静置的な撹拌機構、温度勾配をつけることによって対流を起こすような撹拌機構等が挙げられる。特に、高粘度の流体を撹拌できることから、撹拌羽根やスクリューを用いた動的な撹拌機構が好適に用いられる。
図1の回分式反応装置は、反応部4に対して、原料タンクA1と原料タンクB2とが耐圧性のラインで接続されており、例えば、原料タンクA1には原料となるビニルアルコール系樹脂スラリーを、原料タンクB2には原料となるアルデヒドを貯留する。原料タンクA1と反応部4とを結ぶ耐圧性のライン上には、スラリーポンプ9とバルブA5とが配置されている。原料タンクB2と反応部4とを結ぶ耐圧性のライン上には、高圧液送ポンプ10、流体加熱ヒーター7及びバルブB6が配置されている。反応部4には、反応部攪拌機11、反応の状況を目視にて確認するための覗き窓3、反応部加熱ヒーター8が取り付けられている。
一方、原料となるアルデヒドを原料タンクB2に投入し、バルブB6を閉じた状態で、高圧液送ポンプ10で送液することにより、アルデヒドを所定の温度、圧力にまで加熱、加圧する。バルブB6を開いて加熱、加圧されたアルデヒドを、ビニルアルコール系樹脂スラリーが投入された反応部4に導き、系内の温度、圧力を所定の温度、圧力に保った状態で撹拌することにより、アセタール化反応を進める。
上記ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度の上限は特に限定されないが、実質的には80モル%程度を超えたアセタール化度のポリビニルアセタール系樹脂を得ることは困難であろう。
なお、上記ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度のCV値は、無作為に10カ所からサンプリングして得た樹脂サンプルについて、1H−NMR測定によりブチラール化度を測定し、得られた10のデータをもとに算出した値を意味する。
図1に示す回分式反応装置を用いてポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
撹拌装置及び覗き窓を備えた容積2000mLの耐圧性の回分式反応装置(反応部)に、予め酢酸ナトリウムを洗浄除去したポリビニルアルコール樹脂(鹸化度99%、重合度1000)600gを仕込み、次にスラリーポンプを用いてタンクAから水600gを送り込みバルブAを閉めた。反応装置を昇温速度20℃/分の速度で140℃まで昇温し、1時間撹拌を行い、ポリビニルアルコール樹脂の濃度が50重量%のポリビニルアルコール樹脂スラリーを得た。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−7mol/Lであった。
図1に示す回分式反応装置を用いてポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
撹拌装置及び覗き窓を備えた容積2000mLの耐圧性の回分式反応装置(反応部)に、ポリビニルアルコール樹脂(鹸化度99%、重合度1000)800gを仕込み、次にスラリーポンプを用いてタンクAから塩酸を含む水340gを送り込みバルブAを閉めた。反応装置を昇温速度20℃/分の速度で160℃まで昇温し、1時間撹拌を行い、ポリビニルアルコール樹脂の濃度が70.2重量%のポリビニルアルコール樹脂スラリーを得た。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ5×10−3mol/Lであった。
図1に示す回分式反応装置を用いてポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
撹拌装置及び覗き窓を備えた容積2000mLの耐圧性の回分式反応装置(反応部)に、ポリビニルアルコール樹脂(鹸化度99%、重合度1000)800gを仕込み、次にスラリーポンプを用いてタンクAから塩酸を含む水100gを送り込みバルブAを閉めた。反応装置を昇温速度20℃/分の速度で170℃まで昇温し、1時間撹拌を行い、ポリビニルアルコール樹脂の濃度が88.9重量%のポリビニルアルコール樹脂スラリーを得た。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−3mol/Lであった。
図1に示す回分式反応装置を用いてポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
撹拌装置及び覗き窓を備えた容積2000mLの耐圧性の回分式反応装置(反応部)に、予め酢酸ナトリウムを洗浄除去したポリビニルアルコール樹脂(鹸化度99%、重合度1000)800gを仕込んだ。反応装置を昇温速度20℃/分の速度で140℃まで昇温した。
なお、ブチルアルデヒドと塩酸の混合液を投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−3mol/Lであった。
ポリビニルアルコール樹脂の仕込み量を60gとして、ポリビニルアルコール樹脂スラリー中のポリビニルアルコール樹脂の濃度を9.1重量%とし、添加するアルデヒド量を30gとした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂を得た。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−7mol/Lであった。
反応温度を80℃とした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂を得た。なお、このときの系内の圧力は0.07MPaであった。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−7mol/Lであった。
反応温度を260℃とした以外は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。なお、このときの系内の圧力は7MPaであった。
なお、アルデヒドの投入完了直後に混合液の一部を圧力調整ラインより抜きとり、水素イオン濃度を測定したところ2×10−7mol/Lであった。
実施例及び比較例で製造したポリビニルブチラール樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られたポリビニルブチラール樹脂から、無作為に10カ所サンプリングを行って得た樹脂サンプルを乾燥した後、ジメチルスルホキシドに溶解し、水への沈殿を3回行ってから再度充分に乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに再溶解させ、1H−NMR測定によりブチラール化度を測定した。
得られたデータを用いて下記式にてCV(変動係数)を求め、得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度ばらつきを評価した。
CV=σ/μ
式中、σは測定したブチラール化度の標準偏差を表し、μは測定したブチラール化度の平均値を表す。
実施例及び比較例で得られたポリビニルブチラール樹脂を含有する混合液を取り出し、その着色を目視にて評価した。白色であった場合を「○」、わずかに黄変が見られた場合を「△」、黄又は茶色に着色していた場合を「×」として評価した。
回分式反応装置の覗き窓より反応状態を観察し、反応途中で固液分離に伴う器壁への樹脂付着が観察された場合を「×」、観察されなかった場合を「○」として評価した。
実施例及び比較例で得られたポリビニルブチラール樹脂を乾燥した後、テトラヒドロフランに溶解して0.2重量%の溶液を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製、LC−10AT)を用いて、1mL/minの流量で測定を行い、ポリスチレン換算による数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。得られた数平均分子量、重量平均分子量と、1H−NMR測定により求めたブチラール化度から、得られたポリビニルブチラール樹脂の重合度を計算した。
2 原料タンクB
3 覗き窓
4 反応部
5 バルブA
6 バルブB
7 流体加熱ヒーター
8 反応部加熱ヒーター
9 スラリーポンプ
10 高圧液送ポンプ
11 反応部攪拌機
12 圧力調整弁
Claims (3)
- ポリビニルアルコール系樹脂を含有するポリビニルアルコール系樹脂スラリーとアルデヒドとの混合液を、温度120〜200℃、圧力0.2〜3MPaの高温高圧条件下でアセタール化反応させる工程を有するポリビニルアセタール系樹脂の製造方法であって、前記ポリビニルアルコール系樹脂スラリー中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度が50重量%以上であることを特徴とするポリビニルアセタール系樹脂の製造方法。
- ポリビニルアルコール系樹脂スラリーは、水、アルコール又は水とアルコールとの混合流体である水系媒体を含有することを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール系樹脂の製造方法。
- 水系媒体は、水であることを特徴とする請求項2記載のポリビニルアセタール系樹脂の製造方法。
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