JP7253463B2 - ビニルアルコール系架橋共重合体 - Google Patents

ビニルアルコール系架橋共重合体 Download PDF

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Description

本発明は、ビニルアルコール系架橋共重合体に関する。
昨今、慢性的な水資源の枯渇に伴い、農業用水を有効にかつ適切に利用すること、および従来よりも少量の灌漑水量でも農産物の収穫量を維持若しくは増大させる試みが、いわゆる農業用保水材を用いて検討されている(例えば、特許文献1を参照)。これらの農業用保水材は高吸水性樹脂(SAP)を主要構成成分としており、例えば、土壌全体の保水性の改善に用いられるピートモス等と比べると、極めて少量で保水効果を発現することから、農家が用いる際の負担が少ないという利点がある。
特許文献1には、ポリアクリル酸系重合体のハイドロゲルを主成分とする吸水性樹脂を農業用保水材として用いることが開示されている。しかし、ポリアクリル酸系重合体のハイドロゲルは生分解性を有さないため、環境中で消滅しにくいという課題があった。
そのような課題を解決する手段として、特許文献2には、カルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有する変性ポリビニルアルコール共重合体からなる吸水性樹脂が開示されており、特許文献3には、マレイン酸系単量体-酢酸ビニル共重合体をけん化した後に乾燥して得られる変性ポリビニルアルコールを保水材として使用することが開示されている。
国際公開第1998/005196号パンフレット 特開昭52-65597号公報 特開昭52-88168号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献2に記載の吸水性樹脂は製造時の架橋工程でゲル化が進行するため粒子状で得られないという課題がある。吸水性樹脂を粒子状で得られることは、製造工程、輸送工程および使用時における取り扱い性等に優れるため好ましい。
また、特許文献3に記載の変性ポリビニルアルコールは、少量の水しか吸収できず、吸収した水の放出能も低いため、放出水量も少ないという課題、即ち、農業用に用いた場合に、植物が吸収可能な(その生育に利用可能な)水を十分な量で放出できないという課題があることを本発明者らは見出した。
これらに鑑み、発明が解決しようとする課題は、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出できる粒子状の共重合体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、特定の粒子状ビニルアルコール系架橋共重合体が前記課題を解決できることを見出し、本発明に達した。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕イオン性基を有する構成単位zを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である、ビニルアルコール系架橋共重合体。
〔2〕前記構成単位zは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する、前記〔1〕に記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔3〕前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、前記イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンを含む、前記〔1〕または〔2〕に記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔4〕前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔5〕前記イオン性基の含有量は、前記ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して1.5モル%以上35モル%以下である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔6〕前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体を含んでなる、保水材。
〔7〕農業用である、前記〔6〕に記載の保水材。
〔8〕前記構成単位zを形成するモノマーを、当該構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体の製造方法。
〔9〕前記工程における共重合反応系において、前記構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに対する、前記構成単位zを形成するモノマーの比率は0.1以下である、前記〔8〕に記載の方法。
本発明によれば、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出できる粒子状の共重合体を提供することができる。
以下、本発明の実施態様について説明するが、本発明は、本実施態様に限定されない。
[ビニルアルコール系架橋共重合体]
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体(以下において、「架橋共重合体」と称することもある)は、イオン性基を有する構成単位zを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は架橋構造を有する。ビニルアルコール系架橋共重合体が架橋構造を有することにより、使用時に水を伴う場合、例えばビニルアルコール系架橋共重合体を農業に用いる場合(例えば育苗のための培地において用いる場合)等に水と一緒に溶出することを良好に防止できる。架橋構造の形態に特に制限はなく、例えばエステル結合、エーテル結合、アセタール結合、および炭素-炭素結合等による架橋構造が挙げられる。
上記エステル結合の例としては、ビニルアルコール系架橋共重合体の架橋前のビニルアルコール系共重合体がイオン性基としてカルボキシル基を有する場合に、ビニルアルコール系共重合体が有する水酸基とカルボキシル基との間で形成されるエステル結合が挙げられる。上記エーテル結合の例としては、ビニルアルコール系共重合体が有する水酸基間の脱水縮合により形成されるエーテル結合が挙げられる。上記アセタール結合の例としては、ビニルアルコール系架橋共重合体の製造においてジアルデヒドを用いた場合に、2つのビニルアルコール系共重合体が有する水酸基同士が上記ジアルデヒドとアセタール化反応することにより形成されるアセタール結合が挙げられる。上記炭素-炭素結合としては、例えば活性エネルギー線をビニルアルコール系共重合体に照射したときに生じる、ビニルアルコール系共重合体の炭素ラジカル間のカップリングにより形成される炭素-炭素結合が挙げられる。
これらの架橋構造は単独で含まれていても、複数種が含まれていてもよい。中でも、製造容易性の観点からエステル結合またはアセタール結合による架橋構造が好ましく、育苗時における保水性維持および耐光性の観点から、アセタール結合による架橋構造がより好ましい。従って、好ましい一実施態様では、ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、イオン性基を有する構成単位zを含んでなり、当該イオン性基は誘導体の形態であってもよい。即ち、好ましい一実施態様では、構成単位zはイオン性基およびイオン性基の誘導体を有する。別の好ましい一実施態様では、構成単位zに含まれるイオン性基の半数以上が誘導体の形態であり、より好ましい一実施態様では、構成単位zに含まれるイオン性基のほとんどが誘導体の形態であり、特に好ましい一実施態様では、構成単位zに含まれるイオン性基の全ては誘導体の形態である。ビニルアルコール系架橋共重合体がイオン性基を有すると、ビニルアルコール系架橋共重合体は優れた吸水性または吸水速度を発現しやすい。イオン性基またはその誘導体は、好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、アンモニウム基またはその塩であり、より好ましくはカルボキシル基またはその塩である。
イオン性基の含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位のモル数に対して、好ましくは1.5モル%以上、より好ましくは2モル%以上、特に好ましくは4モル%以上であり、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、特に好ましくは15モル%以下である。イオン性基の含有量が前記下限値以上であると、ビニルアルコール系架橋共重合体の吸水性がより優れ、前記上限値以下であると、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を農業に用いる場合、土壌中または培地中に含まれる二価イオンとの接触時にも吸水性を維持しやすい。イオン性基の含有量は、例えば、ビニルアルコール系架橋共重合体の製造における構成単位zを形成するモノマーと構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーとの配合比、反応時のそれらの消費率若しくは反応性比、反応温度、またはけん化度等を調整することにより、前記下限値以上および前記上限値以下に調整することができる。イオン性基の含有量は、例えば、例えば固体13C-NMR(核磁気共鳴分光法)、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)、固体H-NMR、または後述の実施例に記載の方法によって測定できる。なお、ビニルアルコール系架橋共重合体に含まれるイオン性基の一部または全部がその誘導体の形態をとっている場合、上述のイオン性基の含有量は、イオン性基およびその誘導体の含有量またはイオン性基の誘導体の含有量である。
本発明の一実施態様において、イオン性基の一部または全部がイオン性基の誘導体の形態、例えば塩(イオン性基がカルボキシル基の場合はカルボン酸塩)の形態である場合、塩のカウンターカチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、およびセシウムイオン等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、およびバリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、および亜鉛イオン等のその他金属イオン;アンモニウムイオン、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、およびホスホニウムイオン類等のオニウムカチオン;等が挙げられる。中でも、所望の吸水性を得やすい観点から、カリウムイオン、カルシウムイオン、およびアンモニウムイオンが好ましい。また、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を農業に用いる場合、土壌中または培地中に含まれる二価イオンとの接触時の吸水性を維持しやすい観点からはカルシウムイオンがより好ましく、植物の生育の観点からはカリウムイオンがより好ましい。従って、本発明の好ましい一実施態様では、ビニルアルコール系架橋共重合体は、イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンまたはアンモニウムイオン、好ましくはカリウムイオンを含む。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は粒子状である。ビニルアルコール系架橋共重合体の体積平均粒子径は好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上であり、好ましくは10000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下である。上記体積平均粒子径が前記下限値以上であると優れた取扱い性および粉塵抑制効果を得やすく、前記上限値以下であると優れた吸水速度を得やすい。前記体積平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱で測定できる。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である。比率Es/Ebが0.1より大きく10以下である場合、ビニルアルコール系架橋共重合体は高い吸水能(例えば、吸水量および吸水速度)および高い放水能(例えば、放水量および放水速度)を有しつつも水によるその溶出は十分防止され得る。従って、比率Es/Ebが0.1より小さいと、ビニルアルコール系架橋共重合体が所望の水に対する十分な耐溶出性を発現することが困難である一方で、比率Es/Ebが10より大きいと、ビニルアルコール系架橋共重合体が吸水能と放水能との所望の組み合わせを発現することは困難である。高い吸水能、高い放水能、および水に対する十分な耐溶出性を有することにより、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出できる。
比率Es/Ebは、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.5以上であり、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下、特に好ましくは3.0以下である。比率Es/Ebが前記下限値以上であり、前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体は高い吸水能、高い放水能、および水に対する十分な耐溶出性を有しやすい。比率Es/Ebは、例えば、ビニルアルコール系共重合体を架橋する工程において溶媒の種類または量を調整することにより、前記下限値以上および前記上限値以下に調整することができる。比率Es/Ebは、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
ビニルアルコール系架橋共重合体の構成単位zがイオン性基としてカルボキシル基を有する場合、ビニルアルコール系架橋共重合体としては、例えば(i-1)カルボキシル基を有するモノマーおよび該モノマーの誘導体からなる群から選択される1種以上とビニルエステルとの共重合体のけん化物を架橋した共重合体等が挙げられる。
上記(i-1)において、カルボキシル基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸等が挙げられる。また、上記カルボキシル基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーの無水物、エステル化物、および中和物等が挙げられ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、および無水マレイン酸等が用いられる。従って、好ましい一実施態様では、構成単位zは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する。
上記(i-1)において、スルホン酸基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、およびp-スチレンスルホン酸等が挙げられる。また、上記スルホン酸基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーのエステル化物、および中和物等が挙げられ、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、およびp-スチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
上記(i-1)において、アンモニウム基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ビニルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、p-ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、および3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。また、上記アンモニウム基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーのアミン等が挙げられ、例えば、ジアリルメチルアミン、ビニルアミン、アリルアミン、およびp-ビニルベンアミン3-(メタクリルアミド)プロピルアミン等が用いられる。
ビニルアルコール系架橋共重合体において、構成単位zの含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは50.0モル%以下、より好ましくは40.0モル%以下、より好ましくは35.0モル%以下、より好ましくは30.0モル%以下、より好ましくは25.0モル%以下、より好ましくは25.0モル%未満、より好ましくは20.0モル%以下、更に好ましくは15.0モル%以下、特に好ましくは10.0モル%以下であり、好ましくは1.0モル%以上、より好ましくは1.5モル%以上、更に好ましくは2.0モル%以上、特に好ましくは4.0モル%以上である。構成単位zの含有量が前記上限値以下であると、所望の耐光性を得やすく、前記下限値以上であると、所望の吸水性を得やすい。構成単位zの含有量は、例えば、ビニルアルコール系架橋共重合体の製造における構成単位zを形成するモノマーと構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーとの配合比、反応時のそれらの消費率若しくは反応性比、反応温度、またはアルカリ量等の調整によって、前記下限値以上および前記上限値以下の量に調整することができる。
上記(i-1)において、記載のビニルアルコール系架橋共重合体は、ビニルエステルに由来する構成単位を含み得、そのような構成単位はビニルアルコール構成単位xおよびビニルエステル構成単位yであり得る。
ビニルアルコール系架橋共重合体中の、ビニルアルコール構成単位xの含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは50.0モル%以上、より好ましくは70.0モル%以上、更に好ましくは80.0モル%以上、特に好ましくは90.0モル%以上であり、好ましくは98.0モル%以下、より好ましくは96.0モル%以下、更に好ましくは95.0モル%以下である。構成単位xの含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体はより高い吸水能を有しやすい。
ビニルアルコール系架橋共重合体中の、ビニルエステル構成単位yの含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは20.0モル%以下、より好ましくは10.0モル%以下、更に好ましくは5.0モル%以下、特に好ましくは2.0モル%以下である。上記含有量の下限値は特に限定されない。上記含有量は通常は0.2モル%以上である。構成単位yの含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体はより高い吸水能を有しやすい。
構成単位xの含有量および構成単位yの含有量は、例えば、構成単位zを形成するモノマーと構成単位xおよびyを形成するモノマーとの配合比、反応時のそれらの消費率若しくは反応性比、反応温度、またはけん化度等の調整によって、前記下限値以上および前記上限値以下の量に調整することができる。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、任意に、構成単位x、yおよびz以外の他の構成単位を更に含んでいてもよい。前記他の構成単位の例としては、エチレン、1-ブテンおよびイソブチレン等のオレフィンに由来する構成単位;アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、並びにマレイミド誘導体等に由来する構成単位;等が挙げられる。本発明のビニルアルコール系架橋共重合体が前記他の構成単位を含む場合、ビニルアルコール系架橋共重合体は前記他の構成単位を1種含んでいても複数種含んでいてもよい。前記他の構成単位の含有量は、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは20.0モル%以下、より好ましくは10.0モル%以下、更に好ましくは5.0モル%以下であり、0モル%であってもよい。従って、本発明の一実施態様では、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、構成単位x、yおよびzからなる。前記他の構成単位の含有量が前記上限値以下であると、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体のより優れた吸水能を得やすい。
構成単位x、yおよびzの含有量、並びにビニルアルコール系架橋共重合体が上述の他の構成単位を含む場合の当該他の構成単位の含有量は、一般的な方法(例えば、酸若しくはアルカリを用いた加水分解、過ヨウ素酸を用いた分解、または過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いた分解)によりビニルアルコール系架橋共重合体の架橋構造を切断した後、従来公知の方法により測定できる。そのような方法の例は、固体13C-NMR、FTIR、酸塩基滴定および溶液H-NMRを包含する。例えば、ビニルアルコール系架橋共重合体が架橋構造としてアセタール構造またはエステル構造を含む場合は、硫酸にビニルアルコール系架橋共重合体を溶解させることで架橋構造を切断した後に、溶液H-NMRにより測定を行うことができる。なお、本発明において「構成単位」とは共重合体を構成する繰り返し単位のことを意味し、例えばビニルアルコール構成単位は「1単位」、2単位のビニルアルコール構成単位がアセタール化された構造は「2単位」と数えることとする。
上記(i-1)において、ビニルエステルとしては特に制限はないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、およびピバル酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。
ビニルアルコール系架橋共重合体のビニルアルコール構成単位の含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位に対して好ましくは20モル%超、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。上記ビニルアルコール構成単位の含有量は、例えばFTIR、固体13C-NMR等により測定できるほか、一定量の無水酢酸と反応させた際の無水酢酸の消費量から算出することもできる。
ビニルアルコール系架橋共重合体の粘度平均重合度に特に制限はないが、製造容易性の観点から、好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは3000以下である。一方、ビニルアルコール系架橋共重合体の力学特性および水への耐溶出性の観点からは、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、更に好ましくは400以上である。ビニルアルコール系架橋共重合体の粘度平均重合度は、例えばJIS K 6726に準拠した方法により測定できる。その際、ビニルアルコール系架橋共重合体の架橋を上述したように切断した後に、測定を行えばよい。
好ましい一実施態様では、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体において、構成単位zの含有量に対する構成単位zの平均連鎖の含有量の比率〔(構成単位zの平均連鎖の含有量/構成単位zの含有量)×100〕は50.0モル%以下、好ましくは40.0モル%以下、より好ましくは30.0モル%以下、より好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下、より好ましくは7モル%特に好ましくは5モル%以下である。上記比率の下限値は特に限定されない。上記比率は、通常は0.02モル%以上である。上記比率が前記上限値以下、または前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体の優れた耐光性を得やすい。前記比率は、構成単位zを形成するモノマーの種類の選択、ビニルアルコール系架橋共重合体における構成単位zの含有量の調整、共重合反応系における構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに対する構成単位zを形成するモノマーの比率の選択、および/または重合率により、前記下限値以上および前記上限値以下に調整することができる。前記比率は、例えば、先に例示した、構成単位zの含有量の測定方法と同じ測定方法で測定できる。
別の好ましい一実施態様では、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、構成単位z部分で架橋されていないことが好ましい。この実施態様は、構成単位zが架橋により消費されないことから、より優れた吸水性または吸水速度を得やすいため好ましい。ビニルアルコール系架橋共重合体が構成単位z部分で架橋されていないことは、例えば、架橋構造を切断する前のビニルアルコール系架橋共重合体における構成単位zの含有量と、架橋構造を切断した後のビニルアルコール系架橋共重合体における構成単位zの含有量との差が-0.5モル%~+0.5モル%であることにより評価できる。例えばビニルアルコール系架橋共重合体が架橋構造としてアセタール構造またはエステル構造を含む場合は、例えば上述の方法に従って架橋構造を切断し、その前後の構成単位zの含有量の差が-0.5モル%~+0.5モル%であることにより評価できる。
別の好ましい一実施態様では、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体に含まれる未反応モノマーの合計量は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。未反応モノマーの合計量が前記上限値以下であると、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を農業に用いた場合に植物のより良好な生育が達成されやすい。未反応モノマーの合計量は、構成単位zを形成するモノマーと構成単位xおよびyを形成するモノマーとの配合比、反応時のそれらの消費率若しくは反応性比、ビニルアルコール系架橋共重合体の製造における洗浄条件、または乾燥温度若しくは時間等を調整することにより、前記上限値以下に調整することができる。未反応モノマーの合計量は、従来公知の方法により測定できる。そのような測定方法には、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーおよび溶液H-NMRが包含される。未反応モノマーの合計量の下限値は、それらの測定方法の検出限界である0.0ppmである。
[ビニルアルコール系架橋共重合体の製造方法]
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、例えば、構成単位zを形成するモノマーを、構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む方法により製造できる。構成単位zを形成するモノマーを、分割添加または連続添加することにより、構成単位zの含有量に対する構成単位zの平均連鎖の含有量を50.0モル%以下にすることができる。構成単位zを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、[ビニルアルコール系架橋共重合体]の項において例示したモノマーを使用してよい。構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、[ビニルアルコール系架橋共重合体]の項において例示した、ビニルエステル、および構成単位x、yおよびz以外の他の構成単位を形成するモノマーを使用してよい。
好ましい一実施態様において、前記工程における共重合反応系において、構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに対する、構成単位zを形成するモノマーのモル比率(構成単位zを形成するモノマーのモル数/構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーのモル数)は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.01以下である。構成単位zを形成するモノマーを分割添加する場合は、添加と添加の間に時間的間隔が存在するため、上記モル比率の下限値は0である。共重合工程では、公知の重合開始剤を用いてよい。
好ましい一実施態様において、構成単位zの含有量に対する構成単位zの平均連鎖の含有量を50.0モル%以下に低下させるためには、前記共重合工程において、構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに対する、構成単位zを形成するモノマーのモル比率が一定になるように、構成単位zを形成するモノマーを、構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに連続添加する方法が好ましい。前記モル比は、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上であり、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.01以下である。
共重合反応系における重合率は、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。重合率が前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、共重合反応が好適に進行しつつも共重合反応系の粘度が上昇しすぎることを回避しやすく、好適な粘度平均重合度を得やすい。重合率は、例えば重合溶液のモノマーと溶媒を揮発させて固形分(重合体分)濃度を測定する方法または残存するモノマー濃度を滴定により測定する方法により求めることができる。
次いで、得られた共重合体を公知の方法でけん化することができる。共重合体のけん化度は特に限定されない。本発明のビニルアルコール系架橋共重合体の吸水能は、当該架橋共重合体中の構成単位zの含有量および架橋構造の含有量に大きな影響を受けており、また、ビニルアルコール系架橋共重合体の放水能および水に対する耐溶出性は、粒子状ビニルアルコール系架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と内部の弾性率(Eb)との比率Es/Ebに大きな影響を受けており、前記けん化度がビニルアルコール系架橋共重合体の吸水能、放出能および水に対する耐溶出性に及ぼす影響は極めて小さい。従って、前記けん化度は、例えば、30モル%以上または60モル%以上(例えば70モル%以上)であってよく、95モル%以上(例えば98モル%以上または100モル%)であってもよい。
続いて、得られたけん化物を架橋反応に付すことができる。けん化物と架橋剤との反応は、公知の方法により実施すればよい。架橋剤は特に限定されない。架橋構造としてアセタール構造を含むビニルアルコール系架橋共重合体を製造する場合の架橋剤の例としては、グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,9-ノナンジアール、アジポアルデヒド、マレアルデヒド、タルタルアルデヒド、シトルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、およびテレフタルアルデヒド等が挙げられる。所望の吸水能を得やすい観点から、架橋剤は、ビニルアルコール系架橋共重合体中の架橋構造の含有量が、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、更に好ましくは0.01モル%以上、より更に好ましくは0.03モル%以上であり、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.4モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下となるような量で使用すればよい。架橋構造の含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位に対する、架橋構造を構成する構成単位の量を意味する。
好ましい一実施態様では、前記したビニルアルコール系架橋共重合体の製造方法は、前記けん化物を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、当該溶媒で膨潤したけん化物と架橋剤とを反応させる工程を含む。膨潤の程度により、ビニルアルコール系架橋共重合体の表面の弾性率と内部の弾性率との比率Es/Ebを調整することができる。即ち、膨潤度の小さいけん化物では架橋が表面で進行しやすく、膨潤度の大きいけん化物では架橋が表面に加えて内部でも進行しやすいことを利用して、比率Es/Ebを調整することができる。
本発明において、「けん化物を膨潤させることが可能な溶媒」としては、けん化物を膨潤させることが可能であり、かつ反応時の温度にて溶解させない限り特に制限されない。そのような溶媒の例としては、アセトン、2-ブタノン等のジアルキルケトン;アセトニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、tert-ブタノール等のアルコール;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル;エチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物;アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ジメチルスルホキシド、フェノール等の有機溶媒および水が挙げられる。中でも、不均一架橋反応後に得られた架橋物からの溶媒の除去の容易さ、溶媒に対するカルボニル化合物および酸触媒の溶解性、溶媒の工業的入手性、および膨潤度の調整の容易さを考慮すると、上記溶媒は、ジアルキルケトン、ニトリル、アルコール、エーテルおよび水からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランおよび水からなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、2-プロパノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランおよび水からなる群から選択される少なくとも1つであることが更に好ましい。これらの有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
この実施態様では、前記けん化物を膨潤させることが可能な溶媒の存在下、当該溶媒で膨潤したけん化物と架橋剤とを反応させるため、析出工程を必要とせずに架橋物を容易に取り出すことができる。
膨潤前のけん化物は、粒子状であることが好ましい。粒子状けん化物の体積平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。前記体積平均粒子径が前記下限値以上であると優れた取扱い性を得やすく、前記上限値以下であると優れた溶媒吸収速度を得やすい。前記体積平均粒子径は、例えば、けん化条件および/または粉砕条件の調整によって、前記下限値以上および前記上限値以下の量に調整することができる。前記体積平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱で測定できる。
ビニルアルコール系架橋共重合体の構成単位zがイオン性基としてカルボキシル基を有し、当該カルボキシル基の一部または全部がカルボン酸塩であるビニルアルコール系架橋共重合体を製造する場合、その方法としては、例えば、前記共重合工程において、構成単位zを形成するモノマーとしてカルボキシル基を有するモノマーの中和物を用いる方法(I);および上述の架橋剤との反応後に得た架橋物を中和する方法(II);等が挙げられ、中でも上記方法(II)が好ましい。
架橋物を中和する方法は特に限定されない。例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびアンモニアからなる群から選択される1種以上の中和剤を用いて中和することができる。
ビニルアルコール系架橋共重合体が構成単位z部分で架橋されていないビニルアルコール系架橋共重合体を製造する場合、その方法としては、例えば、上述の架橋剤を用いて構成単位x部分で架橋する方法;および共重合反応系に重合性官能基を2つ以上有するモノマーを添加する方法;等が挙げられる。
けん化物、架橋物および中和物は、必要に応じて洗浄および/または乾燥工程に付してよい。未反応モノマーが溶解しやすい溶媒(通常は共重合工程で用いる溶媒と同一)で洗浄することにより、けん化物、架橋物および中和物に含まれる未反応モノマーの合計量を低減させることができる。また乾燥温度を高く、乾燥時間を長くすることによっても、未反応モノマーの合計量を低減させることができる。洗浄および/または乾燥工程に付す場合、けん化物、架橋物および中和物が粒子状、特に粒子径の小さい粒子状であると、洗浄および/または乾燥を短時間で行うことができる。
本発明の製造方法により製造されるビニルアルコール系架橋共重合体は、イオン性基を有する構成単位zを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出でき、粒子状であるため、保水材、例えば農業用(例えば育苗用)の保水材に好適に使用できる。従って、本発明はまた、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を含んでなる保水材も対象とする。本発明の一実施態様では、当該保水材は農業用である。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を保水材に、例えば農業用保水材に用いる場合、植物の培地として使用できる。その場合、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、必要に応じて任意成分と組み合わせて使用してよい。
[任意成分]
そのような任意成分の例としては下記成分が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる:デンプン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体等の多糖類;ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリコハク酸、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸塩、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸塩共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、およびエチレン-メタクリル酸塩共重合体等の樹脂類;天然ゴム、合成イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、およびアミド系熱可塑性エラストマー等のゴム・エラストマー類;紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、有機溶媒、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤、防カビ剤および帯電防止剤等。
培地が上記成分を含む場合、その合計含有量は本発明の効果を損なわない範囲であればよく、培地の総質量に対して通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、例えば5質量%以下である。
なお、上述または後述の、培地が任意成分を含む場合の任意成分の好ましい含有量等の記載において、培地における固体の構成成分の質量は、乾燥状態の質量である。また、本発明において「乾燥状態」とは、前記構成成分が水または有機溶媒等の揮発成分を一般的な方法(例えば、真空下において40℃で加熱した前後での質量変化)により検出可能な量では含んでいない状態のことを言う。
別の任意成分として、培地は培土を含むこともできる。培地が培土を含む場合、培土の間隙に根が生長することで適当に根が互いに絡み合いやすくなり、また、培地の優れた排水性および通気性を得やすくなる。培土は特に限定されず、市販の培土の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、培土に、培土以外の任意成分を常法(例えば、任意成分の溶液または分散液を培土に噴霧した後に乾燥させる方法)で付着させ、用いることもできる。
より優れた排水性および通気性を得やすい観点から、培土は粒状であることが好ましい。粒状培土の粒径は、好ましくは0.2~20mm、より好ましくは0.5~10mm、特に好ましくは1~5mmである。粒状培土の粒径を前記範囲内に調整するため、市販の粒状培土を篩過して用いることもできる。粒状培土の製造には圧縮造粒法、押し出し造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等の造粒法を用いることができる。粒状培土の粒径は、例えば次の方法で測定できる。粒状培土から粒子をランダムに30個選び、ノギスを用いて各粒子の直径を測定し、その平均値を粒状培土の粒径とする。なお、粒子が球状ではない場合、最も長い辺と最も短い辺の平均値をその粒子の直径とする。
培地が培土を含む場合、培土の含有量は、培地の総質量に対して、好ましくは20~99.9999質量%、より好ましくは70~99.95質量%、特に好ましくは80~99.9質量%、最も好ましくは90~99.8質量%である。
更に別の任意成分としては、泥炭、草炭、ピート、ピートモス、ココピート、籾殻、腐植酵質資材、木炭、珪藻土焼成粒、貝化石粉末、貝殻粉末、カニ殻、VA菌根菌、微生物資材等の動植物質;バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、天然ゼオライト、合成ゼオライト、石こう、フライアッシュ、ロックウール、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、セリサイト、クロライト、グローコナイトおよびタルク等の鉱物質;肥料およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらは、必要に応じて消毒または殺菌して用いてもよく、pH調整剤または農薬と一緒に用いてもよい。培地がこれらの任意成分を含む場合、その合計含有量は本発明の効果を損なわない範囲であればよく、培地の総質量に対して通常は50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
肥料の例としては、窒素系肥料、リン系肥料およびカリウム系肥料の三大肥料;カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ニッケル等の植物に必須の要素を含む肥料;バーク堆肥、牛糞、豚糞、鶏糞、生ごみおよび剪定クズ等の堆肥等が挙げられる。窒素系肥料としては、硫安、塩安、硝安、硝酸ソーダ、硝酸石灰、腐植酸アンモニア肥料、尿素、石灰窒素、硝酸アンモニア石灰、硝酸アンモニアソーダ、硝酸苦土肥;リン系肥料としては、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔性リン肥、腐植酸リン酸肥、焼リン、重焼リン、リンスター、苦土過リン酸、混合リン酸肥料、副産リン酸肥料、高濃度リン酸;カリウム系肥料としては、硫酸カリ、塩化カリ、硫酸カリ苦土、炭酸カリ、重炭酸カリ、ケイ酸カリ等が挙げられる。これらの肥料は固形、ペースト、液体、溶液等の状態として用いてもよく、被覆肥料として用いてもよい。
農薬の例としては、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、防腐剤、植物生長調整剤等が挙げられる。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を肥料と組み合わせて培地を作製する場合、好ましい一実施態様では、肥料は被覆肥料として用いられる。被覆肥料は肥料を樹脂でコートしたものである。樹脂としては例えばポリオレフィンが挙げられる。被覆肥料を用いる場合、樹脂の分解に伴い継時的に土壌へ肥料を供給できる。また、粒状の被覆肥料を用いてマット苗を作製した場合、得られるマット苗の強度が高くなる傾向がある。被覆肥料の粒径は好ましくは1mm~10mm、より好ましくは3mm~6mmである。被覆肥料を用いる場合、培地における被覆肥料の含有量は、好ましくは10~99.99質量%、より好ましくは15~90質量%、特に好ましくは20~80質量%、最も好ましくは30~60質量%である。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を任意成分と組み合わせて用いる場合、ビニルアルコール系架橋共重合体と任意成分とを混合して用いることが好ましい。混合方法は特に限定されない。一般的な方法によりビニルアルコール系架橋共重合体と任意成分とを混合することで、農業用または育苗用の培地を作製できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
[測定項目および測定方法]
(1)体積平均粒子径
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製 LA-950V2)により、調製例で製造したポリビニルアルコール並びに実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の体積平均粒子径を測定した。
(2)架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対するイオン性基の含有量
実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の全てにおいて、含まれているイオン性基の全ては誘導体の形態であった。これらのビニルアルコール系架橋共重合体について、Thermo SCIENCE社製の赤外分光光度計「Nicolet iS10」を用いてIR測定を行った。得られたIRスペクトルにおいて、ビニルアルコール構成単位および構成単位zのメチレン基およびメチン基に由来するピーク(2990~2560cm-1)の面積と、構成単位zのイオン性基に由来するピーク(1625~1510cm-1)の面積とを求めた。
次いで、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体に関して、下記式に基づいて、架橋共重合体中の構成単位z中のイオン性基の量(単位:モル%)を算出した。
Figure 0007253463000001

前記式における13.07は、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体に関して、前記式を用いて構成単位z中のイオン性基の量を計算するための係数である。当該係数は事前に作成した検量線から求めた。
(3)表面の弾性率(Es)と内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)
エポキシ樹脂で包埋した試料(実施例および比較例で製造した粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体)の断面をウルトラミクロトームを用いて作製し、作製した試料断面について、SPM(日立ハイテック社製、多機能型SPM装置)を用いてナノインデンテーション法により複合弾性率の測定を行った。23℃の温度、43%RHの相対湿度、50μN(3秒間押込み)の押込み圧力、および200nmの圧入深さ上限の測定条件下、試料断面に微細なプローブを圧入することにより、荷重と圧入深さの変位を検出した。得られた荷重-変位曲線から、W.C.OliverandG.M.Pharr:J.Mater.Res.7,1564(1992)に記載の解析方法に基づき、複合弾性率を理論的に算出し、平均値を求めた。試料断面において、最も長い部分の粒子径を100%と規定し、粒子表面からの距離が0~5%である領域における複合弾性率の平均値を表面の弾性率(Es)とし、粒子表面からの距離が40~50%である領域における複合弾性率の平均値を内部の弾性率(Eb)とし、EsとEbとの比率(Es/Eb)を求めた。
(4)植物が吸収可能な水の量
まず、JIS K 7223に準じて、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の純水吸収量を測定し、下記式に基づいて、架橋共重合体1g当たりの純水吸収量W(単位:g/g)を算出した。
Figure 0007253463000002

本発明において「植物が吸収可能な水の割合」〔W(単位:%)〕とは、架橋共重合体の飽和吸水量に対する植物が吸収可能な水の割合を意味する。この割合Wは、遠心分離法により簡易的に求めることができる。本発明では、下記方法によりWを求めた。
試料としての、架橋共重合体の質量に対して50質量倍の水を吸水させた架橋共重合体2.4gをシリンジに導入し、このシリンジを、コクサン製小型遠心分離機「H-36」の中心から10.2cmの位置になるように遠心管内部に固定した。遠心分離機を2200rpmで60分間回転させ、下記式に基づいて植物が吸収可能な水の割合Wおよび架橋共重合体1g当たりの植物が吸収可能な水の量W(単位:g/g)を算出した。ただし、架橋共重合体が50質量倍の水を吸収できない場合は、飽和吸水させた樹脂2.4gをシリンジに導入した。
Figure 0007253463000003
調製例1:カルボキシル基を有するモノマーに由来する構成単位を含んでなるポリビニルアルコールの調製
[共重合]
撹拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、モノマー滴下口および重合開始剤添加口を備えた3L容の反応器に、酢酸ビニル640g、メタノール300g、およびカルボキシル基を有するモノマー(構成単位zを形成するモノマー)としてのアクリル酸メチル1.46gを導入し、30分間のアルゴンガスバブリングにより反応器内をアルゴン置換した。これとは別の容器内で、ディレー溶液としてアクリル酸メチルをメタノールに溶解して濃度40質量%とした溶液を調製し、アルゴンガスバブリングにより容器内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、反応器内部の温度が60℃となったところで、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.150gを添加し、酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの共重合反応を開始させた。共重合反応の進行中は、調製したディレー溶液を共重合反応系に滴加により連続添加することで、共重合反応系において酢酸ビニルに対するアクリル酸メチルのモル比率が0.1以下となるようにした。適宜サンプリングを行い、その固形分濃度から共重合の進行を確認し、導入した酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの合計質量に対する、重合により消費された酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの合計質量である、消費率(Conv.)を求めた。消費率が17.2%に到達したところで、反応器内の温度を30℃に冷却して共重合を停止した。共重合を停止するまでに加えたディレー溶液の総量は14.96mLであった。反応器を真空ラインに接続し、残留する酢酸ビニルをメタノールとともに30℃で減圧留去した。反応器内を目視で確認しながら、粘度が上昇したところで適宜メタノールを添加しながら留去を続け、アクリル酸メチルに由来する構成単位を含むポリ酢酸ビニル(PVAc-PMA)を得た。
[けん化]
次に、前記反応器と同様の反応器に、得られたPVAc-PMA1.0gおよびメタノール98.37gを導入し、PVAc-PMAをメタノールに溶解させた。水浴の加熱により、反応器内の温度が70℃になるまで反応器内容物を撹拌しながら加熱した。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度:15質量%)0.62gを添加し、70℃で2時間けん化を行った。得られた溶液をろ過し、アクリル酸メチルに由来する構成単位を含む粒子状のポリビニルアルコールを得た。
調製例2~8:カルボキシル基を有するモノマーに由来する構成単位を含んでなるポリビニルアルコールの調製
共重合およびけん化の条件を下記表1に示すように変更したこと以外は調製例1と同様にして、各種の、カルボキシル基を有するモノマーに由来する構成単位を含んでなる粒子状のポリビニルアルコールを得た。
実施例1
[架橋]
還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに、メタノール59.4g、イオン交換水6.32g、25質量%グルタルアルデヒド水溶液0.31g、調製例1で得たポリビニルアルコール20gを導入し、混合物を23℃で撹拌し、ポリビニルアルコールaを分散させた。得られた分散体に15.4質量%硫酸水溶液12.1gを15分かけて滴加し、65℃に昇温して6時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄した。
[中和]
次いで、洗浄後のポリマーを、還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに導入し、そこにメタノール71g、イオン交換水13.24gおよび水酸化カリウム2.3gを添加し、65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄し、40℃で12時間真空乾燥することにより、目的の、イオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例2で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gの使用に代えてイオン交換水を使用せず、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて47質量%硫酸水溶液3.52gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.27gおよび7.2gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例3
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例3で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gに代えてイオン交換水3.6gを用い、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて47質量%硫酸水溶液3.69gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.28gおよび5.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(メタクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例4
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例4で得たポリビニルアルコールを用い、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて15.6質量%硫酸水溶液12.16gを用い、水酸化カリウムの添加量を2.3gから3.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(マレイン酸ジメチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例5
調製例3で得たポリビニルアルコールに代えて調製例5で得たポリビニルアルコールを用いたこと以外は実施例3と同様にして、目的のイオン性基(イタコン酸ジメチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例6
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例6で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gの使用に代えてイオン交換水を使用せず、16.9質量%硫酸水溶液12.38gに代えて95質量%硫酸水溶液1.43gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.22gおよび14.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例7
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例7で得たポリビニルアルコールを用い、16.9質量%硫酸水溶液12.38gに代えて0.1質量%硫酸水溶液1294.9gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.30gおよび3.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに、調製例8で得たポリビニルアルコールを導入し、そこにメタノール71g、イオン交換水13.24gおよび水酸化カリウム13.2gを添加し、65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄した。洗浄したポリマーを、真空下110℃で12時間加熱することにより、結晶化による物理架橋および乾燥を行い、イオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007253463000004
表1から分かるように、粒子状架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)が0.1以上10以下である場合(実施例1~7)、架橋共重合体1g当たりの植物が吸収可能な水の量Wが大きいことから、本発明の粒子状架橋共重合体は、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出できるものであった。また、比率Es/Ebが小さい方が、上述の水の量Wが大きいことから、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出できるものであった(イオン性基の含有量が近接している例を比較、例えば実施例3と5との比較または実施例4と7との比較)。
一方、粒子状架橋共重合体の比率(Es/Eb)が10より大きい場合(比較例1)、架橋共重合体1g当たりの純水吸収量Wは比較的高いものの、架橋共重合体1g当たりの植物が吸収可能な水の量Wが顕著に小さかった。これは、比較例1の架橋共重合体が、吸収した水を放出する能力が低いことを意味する。
本発明の粒子状架橋共重合体は、植物がその生育に利用可能な水をより多く放出でき、また、水によるその溶出は十分抑制されたものであるため、保水材、例えば農業用(例えば育苗用)の保水材として好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. イオン性基を有する構成単位zを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を含んでなる保水材であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下であり、前記イオン性基の含有量は、前記ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して1.5モル%以上35モル%以下であり、前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む保水材
  2. 前記構成単位ziは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する、請求項1に記載の保水材
  3. 前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、前記イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンを含む、請求項1または2に記載の保水材
  4. 農業用である、請求項1~3のいずれかに記載の保水材。
  5. 前記構成単位zを形成するモノマーを、当該構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の保水材の製造方法。
  6. 前記工程における共重合反応系において、前記構成単位z以外の構成単位を形成するモノマーに対する、前記構成単位zを形成するモノマーの比率は0.1以下である、請求項に記載の方法。
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