JP7253463B2 - ビニルアルコール系架橋共重合体 - Google Patents
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また、特許文献3に記載の変性ポリビニルアルコールは、少量の水しか吸収できず、吸収した水の放出能も低いため、放出水量も少ないという課題、即ち、農業用に用いた場合に、植物が吸収可能な(その生育に利用可能な)水を十分な量で放出できないという課題があることを本発明者らは見出した。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕イオン性基を有する構成単位ziを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である、ビニルアルコール系架橋共重合体。
〔2〕前記構成単位ziは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する、前記〔1〕に記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔3〕前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、前記イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンを含む、前記〔1〕または〔2〕に記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔4〕前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔5〕前記イオン性基の含有量は、前記ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して1.5モル%以上35モル%以下である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体。
〔6〕前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体を含んでなる、保水材。
〔7〕農業用である、前記〔6〕に記載の保水材。
〔8〕前記構成単位ziを形成するモノマーを、当該構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のビニルアルコール系架橋共重合体の製造方法。
〔9〕前記工程における共重合反応系において、前記構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーに対する、前記構成単位ziを形成するモノマーの比率は0.1以下である、前記〔8〕に記載の方法。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体(以下において、「架橋共重合体」と称することもある)は、イオン性基を有する構成単位ziを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下である。
これらの架橋構造は単独で含まれていても、複数種が含まれていてもよい。中でも、製造容易性の観点からエステル結合またはアセタール結合による架橋構造が好ましく、育苗時における保水性維持および耐光性の観点から、アセタール結合による架橋構造がより好ましい。従って、好ましい一実施態様では、ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む。
ビニルアルコール系架橋共重合体中の、ビニルアルコール構成単位xの含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは50.0モル%以上、より好ましくは70.0モル%以上、更に好ましくは80.0モル%以上、特に好ましくは90.0モル%以上であり、好ましくは98.0モル%以下、より好ましくは96.0モル%以下、更に好ましくは95.0モル%以下である。構成単位xの含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体はより高い吸水能を有しやすい。
ビニルアルコール系架橋共重合体中の、ビニルエステル構成単位yの含有量は、ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して、好ましくは20.0モル%以下、より好ましくは10.0モル%以下、更に好ましくは5.0モル%以下、特に好ましくは2.0モル%以下である。上記含有量の下限値は特に限定されない。上記含有量は通常は0.2モル%以上である。構成単位yの含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、ビニルアルコール系架橋共重合体はより高い吸水能を有しやすい。
構成単位xの含有量および構成単位yの含有量は、例えば、構成単位ziを形成するモノマーと構成単位xおよびyを形成するモノマーとの配合比、反応時のそれらの消費率若しくは反応性比、反応温度、またはけん化度等の調整によって、前記下限値以上および前記上限値以下の量に調整することができる。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、例えば、構成単位ziを形成するモノマーを、構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む方法により製造できる。構成単位ziを形成するモノマーを、分割添加または連続添加することにより、構成単位ziの含有量に対する構成単位ziの平均連鎖の含有量を50.0モル%以下にすることができる。構成単位ziを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、[ビニルアルコール系架橋共重合体]の項において例示したモノマーを使用してよい。構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、[ビニルアルコール系架橋共重合体]の項において例示した、ビニルエステル、および構成単位x、yおよびzi以外の他の構成単位を形成するモノマーを使用してよい。
本発明のビニルアルコール系架橋共重合体を保水材に、例えば農業用保水材に用いる場合、植物の培地として使用できる。その場合、本発明のビニルアルコール系架橋共重合体は、必要に応じて任意成分と組み合わせて使用してよい。
そのような任意成分の例としては下記成分が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる:デンプン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体等の多糖類;ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリコハク酸、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸塩、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸塩共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、およびエチレン-メタクリル酸塩共重合体等の樹脂類;天然ゴム、合成イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、およびアミド系熱可塑性エラストマー等のゴム・エラストマー類;紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、有機溶媒、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤、防カビ剤および帯電防止剤等。
培地が上記成分を含む場合、その合計含有量は本発明の効果を損なわない範囲であればよく、培地の総質量に対して通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、例えば5質量%以下である。
なお、上述または後述の、培地が任意成分を含む場合の任意成分の好ましい含有量等の記載において、培地における固体の構成成分の質量は、乾燥状態の質量である。また、本発明において「乾燥状態」とは、前記構成成分が水または有機溶媒等の揮発成分を一般的な方法(例えば、真空下において40℃で加熱した前後での質量変化)により検出可能な量では含んでいない状態のことを言う。
農薬の例としては、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、防腐剤、植物生長調整剤等が挙げられる。
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製 LA-950V2)により、調製例で製造したポリビニルアルコール並びに実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の体積平均粒子径を測定した。
実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の全てにおいて、含まれているイオン性基の全ては誘導体の形態であった。これらのビニルアルコール系架橋共重合体について、Thermo SCIENCE社製の赤外分光光度計「Nicolet iS10」を用いてIR測定を行った。得られたIRスペクトルにおいて、ビニルアルコール構成単位および構成単位ziのメチレン基およびメチン基に由来するピーク(2990~2560cm-1)の面積と、構成単位ziのイオン性基に由来するピーク(1625~1510cm-1)の面積とを求めた。
次いで、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体に関して、下記式に基づいて、架橋共重合体中の構成単位zi中のイオン性基の量(単位:モル%)を算出した。
前記式における13.07は、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体に関して、前記式を用いて構成単位zi中のイオン性基の量を計算するための係数である。当該係数は事前に作成した検量線から求めた。
エポキシ樹脂で包埋した試料(実施例および比較例で製造した粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体)の断面をウルトラミクロトームを用いて作製し、作製した試料断面について、SPM(日立ハイテック社製、多機能型SPM装置)を用いてナノインデンテーション法により複合弾性率の測定を行った。23℃の温度、43%RHの相対湿度、50μN(3秒間押込み)の押込み圧力、および200nmの圧入深さ上限の測定条件下、試料断面に微細なプローブを圧入することにより、荷重と圧入深さの変位を検出した。得られた荷重-変位曲線から、W.C.OliverandG.M.Pharr:J.Mater.Res.7,1564(1992)に記載の解析方法に基づき、複合弾性率を理論的に算出し、平均値を求めた。試料断面において、最も長い部分の粒子径を100%と規定し、粒子表面からの距離が0~5%である領域における複合弾性率の平均値を表面の弾性率(Es)とし、粒子表面からの距離が40~50%である領域における複合弾性率の平均値を内部の弾性率(Eb)とし、EsとEbとの比率(Es/Eb)を求めた。
まず、JIS K 7223に準じて、実施例および比較例で製造したビニルアルコール系架橋共重合体の純水吸収量を測定し、下記式に基づいて、架橋共重合体1g当たりの純水吸収量W1(単位:g/g)を算出した。
本発明において「植物が吸収可能な水の割合」〔W2(単位:%)〕とは、架橋共重合体の飽和吸水量に対する植物が吸収可能な水の割合を意味する。この割合W2は、遠心分離法により簡易的に求めることができる。本発明では、下記方法によりW2を求めた。
試料としての、架橋共重合体の質量に対して50質量倍の水を吸水させた架橋共重合体2.4gをシリンジに導入し、このシリンジを、コクサン製小型遠心分離機「H-36」の中心から10.2cmの位置になるように遠心管内部に固定した。遠心分離機を2200rpmで60分間回転させ、下記式に基づいて植物が吸収可能な水の割合W2および架橋共重合体1g当たりの植物が吸収可能な水の量W3(単位:g/g)を算出した。ただし、架橋共重合体が50質量倍の水を吸収できない場合は、飽和吸水させた樹脂2.4gをシリンジに導入した。
[共重合]
撹拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、モノマー滴下口および重合開始剤添加口を備えた3L容の反応器に、酢酸ビニル640g、メタノール300g、およびカルボキシル基を有するモノマー(構成単位ziを形成するモノマー)としてのアクリル酸メチル1.46gを導入し、30分間のアルゴンガスバブリングにより反応器内をアルゴン置換した。これとは別の容器内で、ディレー溶液としてアクリル酸メチルをメタノールに溶解して濃度40質量%とした溶液を調製し、アルゴンガスバブリングにより容器内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、反応器内部の温度が60℃となったところで、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.150gを添加し、酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの共重合反応を開始させた。共重合反応の進行中は、調製したディレー溶液を共重合反応系に滴加により連続添加することで、共重合反応系において酢酸ビニルに対するアクリル酸メチルのモル比率が0.1以下となるようにした。適宜サンプリングを行い、その固形分濃度から共重合の進行を確認し、導入した酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの合計質量に対する、重合により消費された酢酸ビニルとアクリル酸メチルとの合計質量である、消費率(Conv.)を求めた。消費率が17.2%に到達したところで、反応器内の温度を30℃に冷却して共重合を停止した。共重合を停止するまでに加えたディレー溶液の総量は14.96mLであった。反応器を真空ラインに接続し、残留する酢酸ビニルをメタノールとともに30℃で減圧留去した。反応器内を目視で確認しながら、粘度が上昇したところで適宜メタノールを添加しながら留去を続け、アクリル酸メチルに由来する構成単位を含むポリ酢酸ビニル(PVAc-PMA)を得た。
[けん化]
次に、前記反応器と同様の反応器に、得られたPVAc-PMA1.0gおよびメタノール98.37gを導入し、PVAc-PMAをメタノールに溶解させた。水浴の加熱により、反応器内の温度が70℃になるまで反応器内容物を撹拌しながら加熱した。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度:15質量%)0.62gを添加し、70℃で2時間けん化を行った。得られた溶液をろ過し、アクリル酸メチルに由来する構成単位を含む粒子状のポリビニルアルコールを得た。
共重合およびけん化の条件を下記表1に示すように変更したこと以外は調製例1と同様にして、各種の、カルボキシル基を有するモノマーに由来する構成単位を含んでなる粒子状のポリビニルアルコールを得た。
[架橋]
還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに、メタノール59.4g、イオン交換水6.32g、25質量%グルタルアルデヒド水溶液0.31g、調製例1で得たポリビニルアルコール20gを導入し、混合物を23℃で撹拌し、ポリビニルアルコールaを分散させた。得られた分散体に15.4質量%硫酸水溶液12.1gを15分かけて滴加し、65℃に昇温して6時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄した。
[中和]
次いで、洗浄後のポリマーを、還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに導入し、そこにメタノール71g、イオン交換水13.24gおよび水酸化カリウム2.3gを添加し、65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄し、40℃で12時間真空乾燥することにより、目的の、イオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例2で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gの使用に代えてイオン交換水を使用せず、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて47質量%硫酸水溶液3.52gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.27gおよび7.2gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例3で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gに代えてイオン交換水3.6gを用い、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて47質量%硫酸水溶液3.69gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.28gおよび5.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(メタクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例4で得たポリビニルアルコールを用い、15.4質量%硫酸水溶液12.1gに代えて15.6質量%硫酸水溶液12.16gを用い、水酸化カリウムの添加量を2.3gから3.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(マレイン酸ジメチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例3で得たポリビニルアルコールに代えて調製例5で得たポリビニルアルコールを用いたこと以外は実施例3と同様にして、目的のイオン性基(イタコン酸ジメチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例6で得たポリビニルアルコールを用い、イオン交換水6.32gの使用に代えてイオン交換水を使用せず、16.9質量%硫酸水溶液12.38gに代えて95質量%硫酸水溶液1.43gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.22gおよび14.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
調製例1で得たポリビニルアルコールに代えて調製例7で得たポリビニルアルコールを用い、16.9質量%硫酸水溶液12.38gに代えて0.1質量%硫酸水溶液1294.9gを用い、25質量%グルタルアルデヒド水溶液および水酸化カリウムの添加量をそれぞれ0.31gおよび2.3gから0.30gおよび3.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的のイオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに、調製例8で得たポリビニルアルコールを導入し、そこにメタノール71g、イオン交換水13.24gおよび水酸化カリウム13.2gを添加し、65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過によりポリマーを取り出し、ろ取したポリマーを160gのメタノールで6回洗浄した。洗浄したポリマーを、真空下110℃で12時間加熱することにより、結晶化による物理架橋および乾燥を行い、イオン性基(アクリル酸メチルに由来するカルボン酸カリウム基)を有する構成単位を含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を得た。得られた架橋共重合体について、上述の(1)~(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
Claims (6)
- イオン性基を有する構成単位ziを含んでなる粒子状のビニルアルコール系架橋共重合体を含んでなる保水材であって、当該架橋共重合体の表面の弾性率(Es)と当該架橋共重合体の内部の弾性率(Eb)との比率(Es/Eb)は0.1以上10以下であり、前記イオン性基の含有量は、前記ビニルアルコール系架橋共重合体を構成する全構成単位の総モル数に対して1.5モル%以上35モル%以下であり、前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、架橋構造としてアセタール構造を含む、保水材。
- 前記構成単位ziは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する、請求項1に記載の保水材。
- 前記ビニルアルコール系架橋共重合体は、前記イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンを含む、請求項1または2に記載の保水材。
- 農業用である、請求項1~3のいずれかに記載の保水材。
- 前記構成単位ziを形成するモノマーを、当該構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーに分割添加または連続添加して共重合させる工程を含む、請求項1~4のいずれかに記載の保水材の製造方法。
- 前記工程における共重合反応系において、前記構成単位zi以外の構成単位を形成するモノマーに対する、前記構成単位ziを形成するモノマーの比率は0.1以下である、請求項5に記載の方法。
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