JP2021103958A - 農業用保水材 - Google Patents

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Abstract

【課題】保管時および使用時の安定性に優れ(カビ等の微生物が発生しにくく)、植物の生育を阻害しない農業用保水材を提供すること。【解決手段】ビニルアルコール系重合体を含む農業用保水材であって、前記重合体はその内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤の1以上を、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下の量で含む、保水材。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルアルコール系重合体を含む農業用保水材であって、前記重合体がその内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤を含む保水材に関する。
昨今、慢性的な水資源の枯渇に伴い、農業用水を有効にかつ適切に利用すること、および従来よりも少量の灌漑水量でも農産物の収穫量を維持若しくは増大させる試みが、いわゆる農業用保水材を用いて検討されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。これらの農業用保水材は高吸水性樹脂(SAP)を主要構成成分としており、例えば、土壌全体の保水性の改善に用いられるピートモス等と比べると、極めて少量で保水効果を発現することから、農家が用いる際の負担が少ないという利点がある。
特許文献1および2では、ポリアクリル酸塩ゲルを主成分とする高吸水性樹脂を農業用保水材として用いることが開示されている。しかしながら、ポリアクリル酸塩ゲルは生分解性を有さないため、環境中で消滅しにくいという課題がある。
このような課題を解決する手段として、特許文献3には、複雑な表面形状特徴を有するポリビニルアルコール系吸水性樹脂粒子が開示され、かかる粒子が衛生用品または園芸用保水剤等に適用できることも記載されている。
国際公開第1998/005196号パンフレット 特表2013−544929号公報 特表2013−540164号公報
特許文献3には、原料のポリビニルアルコールが生分解性であること、およびポリビニルアルコール系吸水性樹脂粒子を吸水状態で放置することによりカビのように見える物質が発生することも開示されている。農業用保水材として使用する際、使用後の環境中で生分解することは好ましいものの、使用前の保管時および使用時にカビ等が発生すると外観および衛生上の課題となる。加えて、植物の健全な生育を阻害する可能性もある。
本発明が解決しようとする課題は上記問題を解決することであり、保管時および使用時の安定性に優れ(カビ等の微生物が発生しにくく)、植物の生育を阻害しない農業用保水材を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、農業用保水材について詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕ビニルアルコール系重合体を含む農業用保水材であって、前記重合体はその内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤の1以上を、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下の量で含む、保水材。
〔2〕前記保水材は、前記重合体の内部に存在せず保水材中に存在する前記薬剤の1以上を更に含む、前記〔1〕に記載の保水材。
〔3〕前記重合体の内部に存在せず保水材中に存在する1以上の薬剤の含有量は、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下である、前記〔2〕に記載の保水材。
〔4〕前記保水材の質量に対して50質量倍の水を吸水させた、吸水状態の前記保水材において、植物が吸収可能な水の割合は、当該吸水状態の前記保水材の質量を基準に7.6質量%以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の保水材。
〔5〕前記保水材は、SP値が6.0(cal/cm1/2以上30.0(cal/cm1/2以下である化合物(Y)を更に含む、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の保水材。
〔6〕前記化合物(Y)は、水、グリセリン、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸メチル、酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の化合物である、前記〔5〕に記載の保水材。
〔7〕前記化合物(Y)の含有量は、前記保水材の質量に対して0.001質量%以上98質量%以下である、前記〔5〕または〔6〕に記載の保水材。
〔8〕育苗用である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の保水材。
本発明によれば、保管時および使用時の安定性に優れ(カビ等の微生物が発生しにくく)、植物の生育を阻害しない農業用保水材を提供することができる。
以下、本発明の実施態様について説明するが、本発明は、本実施態様に限定されない。
[農業用保水材]
本発明の農業用保水材(以下、単に「保水材」とも称する)は、ビニルアルコール系重合体を含んでなり、前記重合体はその内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤の1以上を、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下の量で含有する。
〔ビニルアルコール系重合体〕
ビニルアルコール系重合体〔以下、ビニルアルコール系重合体(A)と称することがある〕としては、例えばポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびそれらのビニルアルコール構成単位がアセタール化剤によりアセタール化されたものが挙げられる。
優れた吸水性または吸水速度を発現させやすい観点から、上記ビニルアルコール系重合体(A)は好ましくは、ビニルアルコール構成単位とイオン性基またはその誘導体を有するモノマー構成単位を含む共重合体を含む。イオン性基またはその誘導体は、好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、アンモニウム基またはその塩であり、より好ましくはカルボキシル基またはその塩である。ビニルアルコール系重合体(A)における前記共重合体の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更により好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。すなわち、好ましい一実施態様では、ビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルアルコール構成単位とイオン性基またはその誘導体を有するモノマー構成単位との共重合体からなる。
ビニルアルコール系重合体(A)がイオン性基としてカルボキシル基、スルホン酸基またはアンモニウム基を有する場合、ビニルアルコール系重合体(A)としては、例えば(i−1)カルボキシル基、スルホン酸基またはアンモニウム基を有するモノマーおよび該モノマーの誘導体から選ばれる1種以上とビニルエステルとの共重合体のケン化物;(i−2)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基(b1)とカルボキシル基および/またはカルボキシル基に誘導可能な官能基(b2)とを有する化合物(B)との反応物;等が挙げられる。
上記(i−1)において、カルボキシル基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸等が挙げられる。また、上記カルボキシル基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーの無水物、エステル化物、および中和物等が挙げられ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、および無水マレイン酸等が用いられる。
上記(i−1)において、スルホン酸基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等が挙げられる。また、上記スルホン酸基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーのエステル化物、および中和物等が挙げられ、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムおよびp−スチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
上記(i−1)において、アンモニウム基を有するモノマーとしては特に制限はないが、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ビニルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、p−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。また、上記アンモニウム基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーのアミン等が挙げられ、例えば、ジアリルメチルアミン、ビニルアミン、アリルアミン、p−ビニルベンジルジメチルアミンおよび3−(メタクリルアミド)プロピルジメチルアミン等が用いられる。
上記(i−1)において、ビニルエステルとしては特に制限はないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、およびピバル酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。
上記(i−1)のケン化物を製造する方法に特に制限はなく、カルボキシル基、スルホン酸基またはアンモニウム基を有するモノマーおよび該モノマーの誘導体から選ばれる1種以上とビニルエステルとを、公知の重合開始剤を用いて公知の重合反応を行い、次いで公知の方法でケン化反応を行うことにより製造できる。
上記(i−2)で用いる、ヒドロキシル基と反応可能な官能基(b1)とカルボキシル基および/またはカルボキシル基に誘導可能な官能基(b2)とを有する化合物(B)において、ヒドロキシル基と反応可能な官能基(b1)としては特に制限はないが、例えばアルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基およびこれらの官能基の誘導体等が挙げられる。中でも、製造容易性、またはビニルアルコール系重合体の耐久性の観点から、アルデヒド基およびアルデヒド基の誘導体が好ましい。すなわち、前記化合物(B)としては、カルボキシル基を有するアルデヒドおよび/または該アルデヒドの誘導体が好ましい。
すなわち、上記(i−2)の反応物としては、カルボキシル基を有するアルデヒドおよび/または該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上により少なくとも一部のビニルアルコール構成単位がアセタール化されたビニルアルコール系重合体〔以下、ビニルアルコール系重合体(A−1)と称することがある〕が好ましい。
前記化合物(B)である、上記カルボキシル基を有するアルデヒドとしては特に制限はないが、例えばグリオキシル酸、2−ホルミルプロパン酸、3−ホルミルプロパン酸、およびフタルアルデヒド酸等が挙げられる。中でも、入手容易性および生分解性の観点から、グリオキシル酸が好ましい。また、前記化合物(B)である、上記カルボキシル基を有するアルデヒドの誘導体としては、該アルデヒドの無水物、水和物、エステル化物、アセタール化物、および中和物等が挙げられ、例えばグリオキシル酸塩、グリオキシル酸一水和物、グリオキシル酸エステルおよびグリオキシル酸ジメチルアセタール等が用いられる。
上記グリオキシル酸塩のカウンターカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、およびマグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等の有機カチオン:等が挙げられる。中でも、より優れた吸水速度を発現させやすい観点から、カリウムイオン、カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンが好ましい。土壌中に含まれる二価イオンとの接触時の吸水性を維持しやすい観点からはカルシウムイオンがより好ましく、植物の生育の観点からはカリウムイオンがより好ましい。
上記グリオキシル酸エステルとしては、例えばグリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸プロピル、グリオキシル酸イソプロピル、グリオキシル酸ブチル、グリオキシル酸イソブチル、グリオキシル酸sec−ブチル、グリオキシル酸tert−ブチル、グリオキシル酸ヘキシル、グリオキシル酸オクチル、およびグリオキシル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ビニルアルコール系重合体(A−1)の製造方法としては特に制限はなく、公知の手法で製造されたビニルアルコール系重合体の少なくとも一部のビニルアルコール構成単位を、触媒の存在下または不存在下で、カルボキシル基を有するアルデヒドおよび該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化することで製造できる。
上記触媒としては、例えば塩酸、硫酸、およびリン酸等の無機酸;カルボン酸、およびスルホン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂、およびヘテロポリ酸等の固体酸;等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なお、グリオキシル酸はアセタール化反応を促進する酸でもあるため、ビニルアルコール系重合体(A−1)を製造する際には触媒としても作用する。すなわち、反応後の処理の容易性の観点からは、ビニルアルコール系重合体(A−1)の製造に際して、カルボキシル基を有するアルデヒドとしてグリオキシル酸を用いる方法が好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A−1)の製造において原料として用いるビニルアルコール系重合体は、工業的に製造された市販品;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルおよび必要に応じて他のモノマーを共存させて、公知の重合開始剤を用いて公知の重合反応を行い、次いで公知の方法でケン化反応を行って製造したもの;ビニルエーテルのカチオン重合反応および加水分解反応により製造したもの;アセトアルデヒドの直接重合により製造したもの;等のいずれでもよいが、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造したものが好ましい。上記原料として用いるビニルアルコール系重合体のケン化度は30モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、本発明の一実施態様において適量のカルボキシル基を導入しやすい観点からは、80モル%以上が更に好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A−1)のアセタール化度は0.01モル%以上85モル%以下であることが好ましい。アセタール化度が前記範囲内であると、水の吸収性を向上させやすい。前記観点からアセタール化度は好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、より更に好ましくは8モル%以上、特に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下、より更に好ましくは50モル%以下、特に好ましくは45モル%以下、一層好ましくは40モル%以下である。
ビニルアルコール系重合体の育苗時における溶出を抑制しやすい観点から、ビニルアルコール系重合体(A−1)の製造において、カルボキシル基を有するアルデヒドおよび該アルデヒドの誘導体以外の他のアルデヒドを併用してアセタール化反応を行ってもよい。かかる他のアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、i−ブチルアルデヒド、sec−ブチルアルデヒド、およびtert−ブチルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、4−ベンジルオキシベンズアルデヒド、3−ベンジルオキシベンズアルデヒド、4−アミルオキシベンズアルデヒド、および3−アミルオキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド;等が挙げられる。中でも、製造容易性または得られるビニルアルコール系重合体の吸水性の観点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、およびn−ブチルアルデヒドが好ましい。他のアルデヒドを併用する場合、その使用量に特に制限はないが、カルボン酸を有するアルデヒドおよび該アルデヒドの誘導体の合計に対して通常0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜10モル%、更に好ましくは1〜5モル%である。他のアルデヒドの使用量が前記上限値以下であると、得られるビニルアルコール系重合体の吸水性が優れる傾向があり、前記下限値以上であると、他のアルデヒドを併用することによるビニルアルコール系重合体の育苗時における溶出を抑制する効果を得やすい。なお、前記他のアルデヒドは、例えばアセタール体等の誘導体として用いてもよい。
本発明の一実施態様において、ビニルアルコール系重合体(A)がイオン性基(例えばカルボキシル基)を有する場合、イオン性基の一部または全部が塩(イオン性基がカルボキシル基の場合はカルボン酸塩)の形態であってもよい。塩のカウンターカチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、およびセシウムイオン等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、およびバリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、および亜鉛イオン等のその他金属イオン;アンモニウムイオン、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、およびホスホニウムイオン類等のオニウムカチオン;等が挙げられる。中でも、所望の吸水性を得やすい観点から、カリウムイオン、カルシウムイオン、およびアンモニウムイオンが好ましく、土壌中に含まれる二価イオンとの接触時の吸水性を維持しやすい観点からはカルシウムイオンがより好ましく、植物の生育の観点からはカリウムイオンがより好ましい。従って、本発明の好ましい一実施態様では、ビニルアルコール系重合体(A)は、イオン性基のカウンターカチオンとしてカリウムイオンまたはアンモニウムイオン、好ましくはカリウムイオンを含む。イオン性基がカルボキシル基である場合、カルボキシル基の一部または全部がカルボン酸塩であるビニルアルコール系重合体(A)の製造方法としては、例えば、上記(i−1)においてカルボキシル基を有するモノマーの中和物を用いる方法(I);上記(i−2)においてヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物の中和物を用いる方法(II);上述の各種方法等によりカルボキシル基を有するビニルアルコール系重合体(A)を製造した後、中和する方法(III);等が挙げられ、中でも上記方法(III)が好ましい。
本発明の一実施態様において、ビニルアルコール系重合体(A)がイオン性基を有する場合、該ビニルアルコール系重合体(A)中のイオン性基の量は、上記ビニルアルコール系重合体(A)の全構成単位に対して好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、特に好ましくは3モル%以上、最も好ましくは5モル%以上であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは25モル%以下、特に好ましくは20モル%以下、最も好ましくは18モル%未満である。上記イオン性基の量が前記下限値以上であると、本発明に用いられるビニルアルコール系重合体の吸水性がより優れ、前記上限値以下であると、土壌中に含まれる二価イオンとの接触時にも吸水性を維持しやすい。また、ビニルアルコール系重合体(A)がイオン性基としてカルボキシル基を有する場合、上記カルボキシル基のうちアクリル酸またはその塩に由来するカルボキシル基の量は、ビニルアルコール系重合体の全構成単位に対して、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、特に好ましくは10モル%以下であり、0モル%であってもよい。上記カルボキシル基のうちアクリル酸またはその塩に由来するカルボキシル基の量が前記上限値以下であると、より優れた耐候性(特に耐紫外線性)を得やすい。なお、ビニルアルコール系重合体(A)に含まれるイオン性基の一部または全部がその誘導体(例えば塩)の形態をとっている場合、上述のイオン性基の含有量は、イオン性基およびその誘導体の含有量またはイオン性基の誘導体の含有量である。
好ましい一実施態様において、ビニルアルコール系重合体(A)に含まれるイオン性基の半数以上は誘導体の形態であり、より好ましい一実施態様において、ビニルアルコール系重合体(A)に含まれるイオン性基のほとんどは誘導体の形態であり、特に好ましい一実施態様において、ビニルアルコール系重合体(A)に含まれるイオン性基の全ては誘導体の形態である。
ビニルアルコール系重合体(A)中のイオン性基の含有量、特に上記カルボキシル基の量および当該カルボキシル基のうちのアクリル酸またはその塩に由来するカルボキシル基の量は、例えば固体13C−NMR(核磁気共鳴分光法)、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)または酸塩基滴定等によって測定できる。なお、本発明において「構成単位」は重合体を構成する繰り返し単位のことを意味し、例えばビニルアルコール構成単位は「1単位」、2単位のビニルアルコール構成単位がアセタール化された構造は「2単位」と数えることとする。
ビニルアルコール系重合体(A)のビニルアルコール構成単位の含有量は、上記ビニルアルコール系重合体(A)の全構成単位に対して好ましくは20モル%超、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。上記ビニルアルコール構成単位の含有量は、例えばFTIR(フーリエ変換赤外分光法)、固体13C−NMR等により測定できるほか、一定量の無水酢酸と反応させた際の無水酢酸の消費量から算出することもできる。
ビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルアルコール構成単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。上記他の構成単位の例としては、酢酸ビニル、およびピバル酸ビニル等のカルボン酸ビニル由来の構成単位;エチレン、1−ブテン、およびイソブチレン等のオレフィン由来の構成単位;アクリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、およびマレイミド誘導体等に由来する構成単位;等が挙げられる。上記他の構成単位は1種を含有していても複数種を含有していてもよい。上記他の構成単位の含有量は、ビニルアルコール系重合体(A)の全構成単位に対して好適には50モル%以下、より好適には30モル%以下、更に好適には15モル%以下であり、0モル%であってもよい。上記他の構成単位の含有量が前記上限値以下であると、本発明の保水材のより優れた吸水性および吸水速度を得やすい。
ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度に特に制限はないが、製造容易性の観点から、好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは3000以下である。一方、ビニルアルコール系重合体(A)の力学特性および水への耐溶出性の観点からは、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、更に好ましくは400以上である。ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度は、例えばJIS K 6726に準拠した方法により測定できる。ビニルアルコール共重合体(A)が後述のように架橋構造を有する場合、例えばビニルアルコール共重合体(A)が架橋構造としてアセタール構造またはエステル構造を有する場合、粘度平均重合度の測定は、架橋構造を切断した後に行うことができる。前記切断は、一般的な方法(例えば、酸若しくはアルカリを用いた加水分解)により行うことができる。
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルアルコール系重合体の育苗時の溶出を防ぐ観点から、架橋構造を有することが好ましい。本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)が架橋構造を有する場合、吸水時にはゲル状態となる。架橋構造の形態に特に制限はなく、例えばエステル結合、エーテル結合、アセタール結合、および炭素−炭素結合等による架橋構造が挙げられる。
上記エステル結合の例としては、ビニルアルコール系重合体(A)がイオン性基としてカルボキシル基を有する場合に、ビニルアルコール系重合体(A)が有するヒドロキシル基とカルボキシル基との間で形成されるエステル結合が挙げられる。上記エーテル結合の例としては、ビニルアルコール系重合体(A)が有するヒドロキシル基間の脱水縮合により形成されるエーテル結合が挙げられる。上記アセタール結合の例としては、ビニルアルコール系重合体(A)の製造においてカルボキシル基を有するアルデヒドを用いた場合に、2つのビニルアルコール系重合体(A)が有するヒドロキシル基同士が上記アルデヒドとアセタール化反応することにより形成されるアセタール結合が挙げられる。上記炭素−炭素結合としては、例えば活性エネルギー線をビニルアルコール系重合体(A)に照射したときに生じる、ビニルアルコール系重合体(A)の炭素ラジカル間のカップリングにより形成される炭素−炭素結合が挙げられる。これらの架橋構造は単独で含まれていても、複数種が含まれていてもよい。中でも、製造容易性の観点からエステル結合、アセタール結合による架橋構造が好ましく、育苗時における保水性維持および耐紫外線性の観点から、アセタール結合による架橋構造がより好ましい。
このような架橋構造は、例えばカルボキシル基を有するアルデヒドおよび該アルデヒド誘導体から選ばれる1種以上により少なくとも一部のビニルアルコール構成単位をアセタール化する工程において、アセタール化反応と同時に形成されてもよいし、別の工程において形成されてもよいが、本発明においては架橋剤を更に添加することにより架橋構造を形成することが好ましい。
架橋剤としては、グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,9−ノナンジアール、アジポアルデヒド、マレアルデヒド、タルタルアルデヒド、シトルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、およびテレフタルアルデヒド等が挙げられる。
架橋剤を添加する場合、ビニルアルコール系重合体(A)中の架橋剤量としては、土壌中での保水性を維持しやすい観点から、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、更に好ましくは0.01モル%以上、より更に好ましくは0.03モル%以上であり、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.4モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下である。
ビニルアルコール系重合体(A)は粒子状であることが好ましい。ビニルアルコール系重合体(A)が粒子状であるとき、該ビニルアルコール系重合体(A)の体積平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは10000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。ここで、上記体積平均粒子径は、乾燥状態でのビニルアルコール系重合体(A)の体積平均粒子径である。ビニルアルコール系重合体(A)の体積平均粒子径が前記下限値以上であると、保水材が飛散しにくく所望の取り扱い性を得やすい。前記上限値以下であると、所望の吸水速度を得やすい。ビニルアルコール系重合体(A)の体積平均粒子径は、ケン化時の重合体濃度、溶媒種、温度、水分量およびアルカリ濃度により調整できる。また、ビニルアルコール系重合体(A)を粉砕および/または篩過することにより、体積平均粒子径を調整することもできる。ビニルアルコール系重合体(A)の体積平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱法で測定できる。
〔薬剤〕
本発明におけるビニルアルコール系重合体は、その内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤の1以上を、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下の量で含む。ここで、薬剤の1以上を含むとは、後に例示するような薬剤を単独でまたは2以上の組み合わせとして含むことを意味する。また、このときの重合体の質量は、その乾燥状態の質量である。なお、本明細書全体において「乾燥状態」とは、ビニルアルコール系重合体が水または有機溶媒等の揮発成分を一般的な方法(例えば、真空下において40℃または60℃で加熱した前後での質量変化)により検出可能な量(例えば0.1質量%以上)では含んでいない状態のことを言う。
ビニルアルコール系重合体において、その内部に含まれる薬剤の量が0.00001質量%より少ないと、保水材が保管時および使用時の優れた安定性を有することは困難である。また、前記量が10質量%より多いと、保水材が植物の生育を阻害する可能性が高い。ビニルアルコール系重合体において、その内部に含まれる薬剤の量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。前記量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、保水材は、植物の生育を阻害することなく保管時および使用時の優れた安定性を有しやすい。これは、薬剤がビニルアルコール系重合体の内部に適当な量で含まれることにより、使用時に薬剤が重合体内部から適度に放出されやすいためと考えられる。前記量は、保水材製造時の薬剤の仕込み量により調整でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
ビニルアルコール系重合体の内部に含まれる薬剤は、微生物〔例えば、真菌類(例えばカビ類および酵母類等)、粘菌類、原生生物、単細胞の藻類、リケッチア、細菌類およびウィルス類等〕を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する作用を有する薬剤であればよく、特に制限されない。そのような薬剤の例としては、保存剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤および防カビ剤等が挙げられる。
保存剤の例としては、ソルビン酸およびその塩等が挙げられる。
殺菌剤または抗菌剤の例としては、テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)、キャブタン、ピンクロゾリン剤、ブラシミドン剤、ベンチアゾール剤、第四級アンモニウム塩、フェノール化合物、第四ピリジニウム塩、過酸、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、クロラムフェニルアルコール等)、N−クロルスクシンイミド、石灰、硫黄、有機硫黄剤(例えば、ジネブ、マンネブ、チオジアジン剤、チウラム剤等)、モノチオカルバベート、ジチオカルバベート、チオジアジン、スルホンアミド、フタルイミド、石油エーテル、ナフトキノン、ベンゾキノン、ジスルフィド、第二水銀化合物、テトラヒドロフタルイミド、アルセネート、第二銅塩、有機銅剤(例えば8−オキシキノリン銅等)、グアニジン塩、トリアジン、グリオキサリジン塩、キノリニウム塩およびフェニルクロトネート等が挙げられる。
防腐剤または防カビ剤の例としては、ハロゲン供給剤、特に塩素供給剤、例えば、クロロ−シアヌル酸類およびその塩、特に、ジクロロイソシアヌル酸モノ−ナトリウムまたはカリウム;ヒドロキシキノン類、亜硫酸塩、銀塩および銅塩等が挙げられる。
また、下記薬剤も、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する作用を有する薬剤として例示される:保存剤、殺菌剤、防腐剤または防カビ剤としての次亜塩素酸(塩)類の水溶性酸化剤;殺菌剤または防カビ剤としてのo−フェニルフェノール等のフェニルフェノール類(ただし、メトシキフェノール類は除く);殺菌剤としての安息香酸またはそのエステル(好ましくはC〜C20、より好ましくはC〜C10のアルキルエステル);殺菌剤としてのヒドロキシ安息香酸またはそのエステル(好ましくはC〜C20、より好ましくはC〜C10のアルキルエステル)。中でも、安息香酸またはそのエステルおよびヒドロキシ安息香酸またはそのエステルが好ましい。
安息香酸のエステルの例としては、メチルパラベン(4−ヒドロキシ安息香酸メチル)、エチルパラベン(パラオキシ安息香酸エチル)、プロピルパラベン(パラオキシ安息香酸プロピル)、イソプロピルパラベン(パラオキシ安息香酸イソプロピル)、ブチルパラベン(パラオキシ安息香酸ブチル)、イソブチルパラベン(パラオキシ安息香酸イソブチル)およびベンジルパラベン(パラオキシ安息香酸ベンジル)等が挙げられる。また、ヒドロキシ安息香酸の例としては、没食子酸等が挙げられ、ヒドロキシ安息香酸エステルの例としては、没食子酸プロピル等が挙げられる。
本発明の一実施態様において、保水材は、ビニルアルコール系重合体の内部に存在せず保水材中に存在する前記薬剤の1以上を更に含んでいてもよい。
この態様において、ビニルアルコール系重合体の内部に存在せず保水材中に存在する1以上の薬剤の含有量は、前記重合体の質量に対して、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。このときの重合体の質量は、その乾燥状態の質量である。前記含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、保水材は、保管時の優れた安定性を有しやすく、また、植物の生育を阻害することなく、短期間だけでなく長期間にわたって使用時の優れた安定性を有しやすい。前記含有量は、保水材製造時の薬剤の仕込み量および洗浄回数により調整でき、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の好ましい一実施態様において、本発明の保水材の質量に対して50質量倍の水を吸水させた、吸水状態の保水材において、植物が吸収可能な水の割合は、当該吸水状態の前記保水材の質量を基準に、好ましくは7.6質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。前記割合の上限値は特に限定されない。前記割合は、通常90質量%以下である。
本発明において、上記した植物が吸収可能な水とは、吸水した保水材が放出する水である。吸水した保水材から放出された水を植物が吸収することにより、植物はその水を生育に利用することができる。保水材の吸水能が高くても吸収した水を放出する能力が低いと、植物は保水材から十分な量の水を吸収することは困難である。好ましい一実施態様において、本発明の保水材は、非常に良好な水の放出能を有することから、植物は生育に利用可能な水を保水材から十分吸収することができる。また、保水材からの水の放出に伴って適度に薬剤がビニルアルコール系重合体内部から放出されることにより、保水材は、植物の生育を阻害することなく、短期間だけでなく長期間にわたって、使用時の優れた安定性を有しやすくなることも考えられる。
上記した植物が吸収可能な水の割合は、ビニルアルコール系重合体中の架橋構造の量、カルボン酸塩を形成している構成単位の量、および保水材に含まれている薬剤の種類または量により調整することができる。例えば、ビニルアルコール系重合体において架橋構造の量を多くしたり、カルボン酸塩を形成している構成単位の量を少なくしたりすることで、上記割合を大きくすることができる。
上記した植物が吸収可能な水の割合は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の好ましい一実施態様において、本発明の保水材は、SP値が6.0(cal/cm1/2以上30.0(cal/cm1/2以下である化合物(Y)を更に含む。保水材が化合物(Y)を更に含むことにより、保水材の吸水速度の向上および粉塵発生の抑制を達成することができる。
〔化合物(Y)〕
化合物(Y)のSP値は、好ましくは9.0(cal/cm1/2以上、より好ましくは11.0(cal/cm1/2以上、更に好ましくは13.0(cal/cm1/2以上であり、好ましくは29.0(cal/cm1/2以下、より好ましくは26.0(cal/cm1/2以下、更に好ましくは25.0(cal/cm1/2以下である。SP値が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、保水材の吸水速度の向上および粉塵発生の抑制を達成しやすい。
ここで、本発明におけるSP値は、Fedors法〔SP値 基礎・応用と計算方法(発行:情報機構、著者:山本秀樹、2005年)、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)〕に準じて計算されたSP値である。
そのようなSP値を有する化合物(Y)は、保水材の吸水速度の向上および粉塵発生の抑制を達成しやすい観点から、好ましくは、水、グリセリン、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸メチル、酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の化合物である。
保水材が化合物(Y)を含む場合、保水材における化合物(Y)の含有量は、保水材の質量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上(例えば15質量%以上)であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは50質量%以下(例えば40質量%以下)である。化合物(Y)の含有量が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、保水材の吸水速度の向上および粉塵発生の抑制を達成しやすい。
上記一実施態様において、保水材における化合物(Y)の含有量は、ビニルアルコール系重合体の質量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは11質量%以上(例えば18質量%以上)であり、好ましくは4900質量%以下、より好ましくは900質量%以下、更に好ましくは400質量%以下、特に好ましくは100質量%以下(例えば67質量%以下)である。このときのビニルアルコール系重合体の質量は、その乾燥状態の質量である。
好ましい一実施態様において、化合物(Y)は、水、グリセリン、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールからなる群から選択される1以上の化合物を含み、当該化合物の含有量は、保水材の質量に対して、3質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。この態様では、保水材の迅速な吸水速度および低い粉塵発生に加えて、優れた出芽率を得やすい。
この一実施態様において、化合物(Y)の含有量はビニルアルコール系重合体の質量に対して、3質量%以上、好ましくは11質量%以上、より好ましくは18質量%以上であり、好ましくは900質量%以下、より好ましくは400質量%以下、特に好ましくは67質量%以下である。このときのビニルアルコール系重合体の質量は、その乾燥状態の質量である。
好ましい一実施態様において、化合物(Y)は水またはメタノールを含む。別の好ましい一実施態様では、化合物(Y)は水からなる。更に別の好ましい一実施態様では、化合物(Y)はメタノールからなる。これらの態様では、低い粉塵発生および優れた出芽率に加えて、保水材の極めて迅速な吸水速度を得やすい。水またはメタノールの含有量は、保水材の質量に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上(例えば15質量%以上)であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
この一実施態様において、水またはメタノールの含有量は、ビニルアルコール系重合体の質量に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは11質量%以上(例えば18質量%以上)であり、好ましくは900質量%以下、より好ましくは400質量%以下、特に好ましくは67質量%以下である。このときのビニルアルコール系重合体の質量は、その乾燥状態の質量である。
〔添加剤〕
本発明の保水材は、ビニルアルコール系重合体および薬剤並びに場合により含まれる化合物(Y)に加えて、任意に更なる添加剤を含有してよい。そのような添加剤の例としては、例えば、デンプン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体等の多糖類;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリコハク酸、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸塩、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、およびエチレン−メタクリル酸塩共重合体等の樹脂類;天然ゴム、合成イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、およびアミド系熱可塑性エラストマー等のゴム・エラストマー類;紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤および帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。保水材が添加剤を含有する場合、その合計含有量は本発明の効果を損なわない範囲であればよく、保水材の総質量に対して通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
本発明の保水材は粒子状であることが好ましい。本発明の保水材が粒子状であるとき、該粒子の体積平均粒子径は好ましくは1μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上、特に好ましくは300μm以上であり、好ましくは10000μm以下、より好ましくは2000μm以下、更に好ましくは1500μm以下である。ここで、上記体積平均粒子径は、製品の状態(例えば、潅水前の状態のような、保水材として使用するために吸水させる前の状態)での保水材の体積平均粒子径である。上記体積平均粒子径が前記下限値以上であると優れた取扱い性および粉塵抑制効果を得やすく、前記上限値以下であると優れた吸水速度および保水材製造時の優れた洗浄性を得やすい。保水材の体積平均粒子径は、ビニルアルコール系重合体の体積平均粒子径の調整並びに化合物(Y)の種類および含有量により調整できる。また、保水材を粉砕および/または篩過することにより、体積平均粒子径を調整することもできる。前記体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱法で測定できる。
[保水材の製造方法]
本発明の保水材は、例えば、(ii−1)薬剤を任意の溶媒に溶解させて得た溶液をビニルアルコール系重合体にスプレー噴霧して混合するか、若しくは前記溶液にビニルアルコール系重合体を浸漬して混合し、必要に応じて洗浄および溶媒除去を行う方法等により製造できる。
前記添加剤も含む保水材を製造する場合は、例えば、上記(ii−1)において、(ii−2)薬剤に加えて添加剤も配合した溶液を用いることにより、若しくは(ii−3)前記混合の際に添加剤も一緒に混合することにより、若しくは(ii−4)溶媒除去後の保水材と添加剤とを混合することにより、若しくは(ii−5)上記(ii−2)〜(ii−4)の2以上を組み合わせることにより製造することができる。
前記化合物(Y)も含む保水材を製造する場合は、例えば、(ii−6)保水材および化合物(Y)を混合する方法、(ii−7)保水材に化合物(Y)をスプレー噴霧して混合するか若しくは化合物(Y)に保水材を浸漬して混合する方法、(ii−8)ビニルアルコール系重合体の調製中に化合物(Y)を残留させる方法、または(ii−9)上記(ii−6)〜(ii−8)の2以上を組み合わせた方法により製造することができる。
前記添加剤および前記化合物(Y)の両方を含む保水材を製造する場合は、例えば、上記(ii−2)〜(ii−5)のいずれかと上記(ii−6)〜(ii−9)のいずれかとを任意に組み合わせればよい。
上記(ii−1)〜(ii−9)において、混合は、一般的な装置(例えば、撹拌翼を備えた反応釜およびミキサー等)で、順次または同時に実施してよい。
上記(ii−8)において、残留させる化合物(Y)としては、ビニルアルコール系重合体の調製に用いることができる化合物、例えば水、アセトニトリル、エタノール、酢酸メチルおよびメタノール等が挙げられる。
上記(ii−1)〜(ii−9)は、必要に応じて、重合体および/または保水材を粉砕する工程および/または篩過する工程を含んでもよい。例えば、上記(ii−1)において、ビニルアルコール系重合体および/または溶媒除去後に得た保水材を粉砕工程および/または篩過工程に付してもよいし、上記(ii−8)において、ビニルアルコール系重合体の調製時に得られる中間生成物であるアクリル酸構成単位含有ポリビニルアルコールを粉砕工程および/または篩過工程に付してもよい。
本発明の保水材は、育苗のための培地に用いることができる。従って、本発明の一実施態様において、保水材は育苗用である。培地は、保水材以外に任意成分を含んでもよい。
[任意成分]
そのような任意成分としては、例えば、保水材に含まれるビニルアルコール系重合体以外の樹脂、培土、後述するその他の任意成分、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。なお、以下における、培地が上記任意成分を含む場合の任意成分の好ましい含有量等の記載において、化合物(Y)以外の固体の培地構成成分(保水材に含まれるビニルアルコール系重合体および薬剤、保水材に含まれている場合の添加剤、および培地に含まれている場合の任意成分)の質量は、乾燥状態の質量である。
〔ビニルアルコール系重合体以外の樹脂〕
ビニルアルコール系重合体以外の樹脂の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドおよびポリウレタンを挙げることができる。これらの樹脂は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて使用できる。
培地が上記樹脂を含む場合、その合計含有量は、培地の総質量に対して好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
〔培土〕
培地が培土を含有する場合、培土の間隙に根が生長することで適当に根が互いに絡み合いやすくなり、また、培地の優れた排水性および通気性を得やすくなる。培土は特に限定されず、市販の培土の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、培土に、後述する任意成分を常法(例えば、任意成分の溶液または分散液を培土に噴霧した後に乾燥させる方法)で付着させ、用いることもできる。
より優れた排水性および通気性を得やすい観点から、培土は粒状であることが好ましい。粒状培土の粒径は、好ましくは0.2〜20mm、より好ましくは0.5〜10mm、特に好ましくは1〜5mmである。粒状培土の粒径を前記範囲内に調整するため、市販の粒状培土を篩過して用いることもできる。粒状培土の製造には圧縮造粒法、押し出し造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等の造粒法を用いることができる。粒状培土の粒径は、次の方法で測定できる。粒状培土から粒子をランダムに30個選び、ノギスを用いて各粒子の直径を測定し、その平均値を粒状培土の粒径とする。なお、粒子が球状ではない場合、最も長い辺と最も短い辺の平均値をその粒子の直径とする。
培地が培土を含む場合、培土の含有量は、培地の総質量に対して、好ましくは20〜99.9999質量%、より好ましくは70〜99.95質量%、特に好ましくは80〜99.9質量%、最も好ましくは90〜99.8質量%である。
〔その他の任意成分〕
その他の任意成分としては、泥炭、草炭、ピート、ピートモス、ココピート、籾殻、腐植酵質資材、木炭、珪藻土焼成粒、貝化石粉末、貝殻粉末、カニ殻、VA菌根菌、微生物資材等の動植物質;バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、天然ゼオライト、合成ゼオライト、石こう、フライアッシュ、ロックウール、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、セリサイト、クロライト、グローコナイトおよびタルク等の鉱物質;肥料およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらは、必要に応じて消毒または殺菌して用いてもよく、pH調整剤または農薬と一緒に用いてもよい。培地がその他の任意成分を含有する場合、その合計含有量は本発明の効果を損なわない範囲であればよく、培地の総質量に対して通常は50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
肥料の例としては、窒素系肥料、リン系肥料およびカリウム系肥料の三大肥料;カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ニッケル等の植物に必須の要素を含む肥料;バーク堆肥、牛糞、豚糞、鶏糞、生ごみおよび剪定クズ等の堆肥等が挙げられる。窒素系肥料としては、硫安、塩安、硝安、硝酸ソーダ、硝酸石灰、腐植酸アンモニア肥料、尿素、石灰窒素、硝酸アンモニア石灰、硝酸アンモニアソーダ、硝酸苦土肥;リン系肥料としては、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔性リン肥、腐植酸リン酸肥、焼リン、重焼リン、リンスター、苦土過リン酸、混合リン酸肥料、副産リン酸肥料、高濃度リン酸;カリウム系肥料としては、硫酸カリ、塩化カリ、硫酸カリ苦土、炭酸カリ、重炭酸カリ、ケイ酸カリ等が挙げられる。これらの肥料は固形、ペースト、液体、溶液等の状態として用いてもよく、被覆肥料として用いてもよい。
農薬の例としては、殺虫剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、植物生長調整剤等が挙げられる。
本発明の保水材を肥料と組み合わせて培地を作製する場合、好ましい一実施態様では、肥料は被覆肥料として用いられる。被覆肥料は肥料を樹脂でコートしたものである。樹脂としては例えばポリオレフィンが挙げられる。被覆肥料を用いる場合、樹脂の分解に伴い継時的に土壌へ肥料を供給できる。また、粒状の被覆肥料を用いてマット苗を作製した場合、得られるマット苗の強度が高くなる傾向がある。被覆肥料の粒径は好ましくは1mm〜10mm、より好ましくは3mm〜6mmである。被覆肥料を用いる場合、培地における被覆肥料の含有量は、好ましくは10〜99.99質量%、より好ましくは15〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。
保水材を任意成分と組み合わせて用いる場合、保水材と任意成分とを混合して用いることが好ましい。混合方法は特に限定されない。一般的な方法により保水材と任意成分とを混合することで、育苗用の培地を作製できる。
本発明における培地が水稲育苗用である場合、培地には、種籾を播種することができる。更に種籾の播種は、水稲育苗培地が導入された水稲育苗箱に対して行うことが多い。通常、種籾の量は水稲育苗箱(縦28cm×横58cm)1箱あたり100〜500gである。
本発明における培地は、床土(種籾を播種する前に水稲育苗箱に導入されている土)または覆土(種籾を播種した後に上から覆う土)のいずれか一方に用いてもよく、両方に用いてもよい。両方に用いる場合、培地の組成は床土と覆土で同一であっても、同一でなくてもよい。
また、本発明の保水材は培地として用いる前、すなわち保水材の保管時(保水材単独での保管時、または培地に含まれた状態での保水材の保管時)の安定性に優れるという利点もある。培地に含まれた状態での保水材の保管時においては、上記した培地が保水材以外に含んでもよい任意成分の含有量は例えば、20質量%以下でもよく、10質量%以下でもよく、5質量%以下でもよく、1質量%以下であってもよく、0.5質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
以下、実施例等により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されない。
[評価項目および評価方法]
<薬剤の含有量>
(1)重合体の内部に存在せず保水材中に存在する薬剤の量(Fo)
実施例または比較例で製造した保水材(比較例1および4の場合は、用いたビニルアルコール系重合体)(実施例10および11の場合は、保水材に代えて、保水材を真空下において60℃で12時間加熱して乾燥させた後の材料)の1gを円筒ろ紙〔東洋濾紙株式会社製、アドバンテック(登録商標)#84、内径25mm、外径28mm、長さ100mm〕に入れ、円筒ろ紙ごとアセトン0.1Lに10秒間浸漬させた。次いで、保水材が入った円筒ろ紙を取り出し、アセトン溶液中の薬剤の濃度Coを、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS)により測定し、Foを下記式から求めた。
Fo(質量%)=[{Co(g/L)×0.1(L)}/1(g)]×100
薬剤の濃度が低い場合は、エバポレーターを用いてアセトン溶液を濃縮してからLC−MS測定を行った。
(2)保水材中に存在する薬剤の量(Fa)
実施例または比較例で製造した保水材(比較例1および4の場合は、用いたビニルアルコール系重合体)(実施例10および11の場合は、保水材に代えて、保水材を真空下において60℃で12時間加熱し乾燥させた後の材料)の1gを円筒ろ紙(東洋濾紙株式会社製、アドバンテック(登録商標)#84、内径25mm、外径28mm、長さ100mm)に入れ、アセトン0.2Lを用いて24時間ソックスレー抽出を行った。抽出後のアセトン溶液に更にアセトンを加えて全体を0.3Lとした後、アセトン溶液中の薬剤の濃度CaをLC−MSにより測定し、Faを下記式から求めた。
Fa(質量%)=[{Ca(g/L)×0.3(L)}/1(g)]×100
薬剤の濃度が低い場合は、エバポレーターを用いてアセトン溶液を濃縮してからLC−MS測定を行った。
(3)重合体の内部に含まれる薬剤の量(Fi)
Fiを下記式から求めた。
Fi=Fa−Fo
<植物が吸収可能な水の割合>
本発明において「植物が吸収可能な水の割合」〔W(単位:質量%)〕とは、保水材が自重の50質量倍の水を吸水した状態の保水材の質量に基づく、植物が吸収可能な水の割合を意味する。この割合Wは、遠心分離法により簡易的に求めることができる。本発明では、下記方法によりWを求めた。
試料としての、実施例または比較例で製造した保水材(比較例1および4の場合は、用いたビニルアルコール系重合体)の質量に対して50質量倍の水を吸水させた保水材2.4gをシリンジに導入し、このシリンジを、株式会社コクサン製小型遠心分離機「H−36」の中心から10.2cmの位置になるように遠心管内部に固定した。遠心分離機を2200rpmで60分間回転させ、下記式に基づいて植物が吸収可能な水の割合W(単位:質量%)を算出した。ただし、保水材が50質量倍の水を吸収できない場合は、飽和吸水させた保水材2.4gをシリンジに導入した。
W=[{(遠心前の試料質量)−(遠心後の試料質量)}/(遠心前の試料質量)]×100
<吸水速度(ボルテックス法)>
JIS K 7224に準じて、化合物(Y)の質量を除いた質量が0.5gとなるように保水材(比較例1の場合は、用いたビニルアルコール系重合体)を秤量し、秤量した保水材と純水50gとを使用して、吸水時間を測定した。かかる方法により測定した吸水時間が短いほど、保水材の吸水速度が速いことを意味する。
<粉体飛散率>
内径2.9cm、長さ44cmのステンレス鋼製のパイプを垂直に立て、パイプ下面から下方15cmの場所に内径4.1cmのシャーレを配置した。パイプ上面から試料である保水材(比較例1の場合は、用いたビニルアルコール系重合体)2gを3秒間かけて投入し、飛散せずにシャーレ内に収まった試料の質量を測定し、下記式に基づいて、粉体飛散率を算出した。粉体飛散率が低いほど、保水材の取扱者が吸引することによる健康リスクが減り、また粉塵爆発も発生しにくくなる。
Figure 2021103958
<SP値>
SP値はFedors法〔SP値 基礎・応用と計算方法(発行:情報機構、著者:山本秀樹、2005年)、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)〕により計算した。なお、水のSP値は23.4とした。
上記方法により求めた、実施例および比較例で用いた化合物(Y)のSP値を、下記表1に示す。
Figure 2021103958
<保水材の質量に対する化合物(Y)の含有量>
保水材1gを円筒ろ紙〔東洋濾紙株式会社製、アドバンテック(登録商標)#84、内径25mm、外径28mm、長さ100mm〕に入れ、メタノール0.2Lを用いて24時間ソックスレー抽出を行った。抽出後、円筒ろ紙に残った固体を40℃で16時間真空乾燥させてから、質量W2を測定し、下記式から保水材の質量に対する化合物(Y)の含有量を求めた。
保水材の質量に対する化合物(Y)の含有量=[{1(g)-W2(g)}/1(g)]×100
<出芽率(播種から2日後)>
水稲育苗箱において、出芽して覆土の上に出てきている芽の数(N1)を目視により数えた。播種した催芽籾の数(N2)を用い、下記式に従い出芽率を算出した。
出芽率[%]=(N1/N2)×100
<カビ等の発生(播種から2日後および21日後)>
水稲育苗箱において、覆土表面に発生しているカビ等の量を目視により観察した。カビ等の発生が確認できない場合は「無」、カビ等が発生しておりその占有面積が育苗箱の面積0%超で1%以下の場合「少」、育苗箱の面積の1%超の場合「多」とした。カビ等が発生している場合、植物の成長を阻害する可能性があるだけでなく、苗としての商品価値が低下する。
<草丈(播種から21日後)>
水稲育苗箱において、ランダムにサンプリングした苗10本について、水稲育苗培地の上面から苗の上端までの長さを測定し、その平均値を草丈として採用した。
[ビニルアルコール系重合体の合成]
<原料>
グリオキシル酸一水和物、40質量%グリオキサール水溶液、25質量%グルタルアルデヒド水溶液、アセトニトリル、メタノール、酢酸ビニル、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アクリル酸メチル、アゾビスイソブチロニトリル、パラオキシ安息香酸エチル:和光純薬工業株式会社製
ソルビン酸カリウム、ナトリウムジクロロイソシアヌレート:東京化成工業株式会社製
ポリビニルアルコールA:クラレアメリカ社製ELVANOL(登録商標)71−30
<ビニルアルコール系重合体a−0の合成>
還流冷却管および撹拌翼を備えた容量500mLの四つ口セパラブルフラスコに、グリオキシル酸一水和物12.55g、40質量%グリオキサール水溶液0.11g、イオン交換水12.55g、アセトニトリル150mLおよびポリビニルアルコールA40.0gを導入し、23℃で1時間撹拌した。70℃に昇温した後、25質量%硫酸水溶液16.87gを10分かけて滴加し、70℃に保持したまま6時間反応させた。次いで30℃に冷却した後、イオン交換水150mLを加え、ろ過により重合体を取り出した。続いて、ろ取した重合体を1回あたり200mLのメタノールを使用して5回洗浄した(洗浄1)。洗浄した重合体を還流冷却管および撹拌翼を備えた容量500mLの四つ口セパラブルフラスコに導入し、メタノール180mL、イオン交換水11.6mLおよび8mol/L水酸化カリウム水溶液16.8mLを加え、還流下で2時間反応させた。ろ過により重合体を取り出し、ろ取した重合体を1回あたり200mLのメタノールを使用して6回洗浄し(洗浄2)、重合体48gと溶媒からなる混合物を得た。当該混合物を40℃で6時間真空乾燥を行い、目的のビニルアルコール系重合体(以下、「ビニルアルコール系重合体a−0」と称する)を得た。レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定したビニルアルコール系重合体a−0の体積平均粒子径は142μmであった。
<ビニルアルコール系重合体b−0の合成>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、および開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル1204g、アクリル酸メチル2.42g、およびメタノール508gを導入し、窒素バブリングをしながら30分間反応器内を不活性ガス置換した。水浴を用いて反応器の昇温を開始し、反応器の内部温度が60℃となったところで、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.32g添加し、重合を開始させた。適宜サンプリングを行い、その固形分濃度から重合の進行を確認し、導入した酢酸ビニルとアクリル酸メチルの合計質量に対する、重合により消費された酢酸ビニルとアクリル酸メチルの合計質量である、消費率を求めた。消費率が4質量%に到達したところで、反応器の内部温度を30℃まで冷却して重合を停止させた。真空ラインに接続し、残留する酢酸ビニルをメタノールとともに30℃で減圧留去した。反応器内を目視で確認しながら、粘度が上昇したところで適宜メタノールを添加しながら留去を続け、5.2モル%のアクリル酸構成単位(アクリル酸由来の構成単位)を含有するポリ酢酸ビニルを得た。アクリル酸構成単位の含有量は固体13C−NMRを用いて測定した。
次に、上記と同様の反応器に、得られたアクリル酸構成単位含有ポリ酢酸ビニル48gおよびメタノール874gを添加し、アクリル酸構成単位含有ポリ酢酸ビニルを溶解させた。水浴を用いて反応器の昇温を開始し、反応器の内部温度が70℃になるまで撹拌しながら加熱した。ここに水酸化ナトリウムのメタノール溶液(メタ苛性、濃度15質量%)37.44gを添加し、70℃で2時間ケン化を行った。得られた溶液をろ過し、40℃で12時間真空乾燥を行い、5.2モル%のアクリル酸構成単位を含有するポリビニルアルコール(以下、「ポリビニルアルコールb」と称する)を22g得た。
還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに、アセトニトリル58.9g、イオン交換水6.28g、25質量%グルタルアルデヒド水溶液0.171g、およびポリビニルアルコールb20gを導入し、23℃で撹拌し、ポリビニルアルコールbを分散させた。16.9質量%硫酸水溶液12.38gを15分かけて滴加し、65℃に昇温して6時間反応させた。反応後、ろ過により重合体を取り出した後、ろ取した重合体を1回あたり160gのメタノールを使用して6回洗浄した(洗浄3)。洗浄後の重合体を還流冷却管および撹拌翼を備えた三つ口セパラブルフラスコに導入し、メタノール71g、イオン交換水13.3g、および水酸化カリウム5.7gを加え、65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過により重合体を取り出した後、ろ取した重合体を1回あたり160gのメタノールを使用して6回洗浄し(洗浄4)、重合体20gと溶媒からなる混合物を得た。当該混合物を40℃で12時間真空乾燥を行い、目的のビニルアルコール系重合体(以下、「ビニルアルコール系重合体b−0」と称する)を得た。レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定したビニルアルコール系重合体b−0の体積平均粒子径は135μmであった。
[実施例1]
洗浄4の直後の混合物(重合体の含有量は20g)と、0.0022gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−1」と称する)を得た。
8gの保水材b−1と粒状培土(肥料としてN−P−KO=0.5−1.5−0.5g/kgを含む、平均粒径2.7mm)100gとを均一に混合し、水稲育苗培地を作製した。この水稲育苗培地の3.6倍量(360g)を、内寸58cm×28cmで底面に直径2mmの穴が56個存在する水稲育苗箱に敷き詰め、1000mLの水をじょうろで5秒間かけて潅水した。催芽籾(品種:コシヒカリ)200gを均一に撒いた後、その上に作製した水稲育苗培地の2.4倍量(240g)を均一に敷き詰め、水稲育苗培地、催芽籾および水が導入された水稲育苗箱を作製した。以上の操作を更に2回行い、同じ水稲育苗箱を3個作製した。
30℃、湿度100%の出芽庫にて2日間かけて出芽を行った後、出芽率およびカビ等の発生の評価を行った。その後、LEDを備えた25℃、湿度70%のチャンバー内で育苗を行い、播種から21日後のカビ等の発生および草丈の評価を行った。評価は3個の水稲育苗箱それぞれで行い、それらの平均値を採用した。結果を表2に示す。
[実施例2]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.011gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−2」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.022gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−3」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.11gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−4」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、1.9gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−5」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.022gのソルビン酸カリウムをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−6」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.10gの25質量%グルタルアルデヒド水溶液およびメタノール60gの混合液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−7」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.022gのナトリウムジクロロイソシアヌレートをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−8」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
洗浄2の直後の混合物を秤量して使用した。当該混合物(重合体の含有量は20g)と、0.022gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材a−1」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材a−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、0.022gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、エバポレーターを用いて40℃で、メタノールの含有量が20質量%となるまで減圧乾燥を行い、保水材(以下、「保水材b−9」と称する)を得た。保水材b−9における重合体の含有量は79.9質量%であった。
保水材b−1に代えて保水材b−9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例11]
ビニルアルコール系重合体b−0を22g用意し、それに対して、0.028gのパラオキシ安息香酸エチルを水5gに溶解させた溶液をスプレー噴霧し、保水材(以下、「保水材b−10」と称する)を得た。保水材b−10における重合体の含有量は82.4質量%であり、水の含有量は17.5質量%であった。
保水材b−1に代えて保水材b−10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
保水材b−1に代えてビニルアルコール系重合体b−0を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
20gのビニルアルコール系重合体b−0と0.04gのパラオキシ安息香酸エチルとを混合することにより、保水材(以下、「保水材b−11」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
洗浄4の直後の重合体(重合体の含有量は20g)と、5gのパラオキシ安息香酸エチルをメタノール60gに溶解させた溶液とを混合し、40℃で12時間真空乾燥することにより、保水材(以下、「保水材b−12」と称する)を得た。
保水材b−1に代えて保水材b−12を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
保水材b−1に代えてビニルアルコール系重合体a−0を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水稲育苗箱の作製および測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2021103958
ビニルアルコール系重合体の内部に所定量の薬剤を含む保水材を使用した場合(実施例1〜11)、短期間だけでなく長期間の使用時にカビ等の発生が抑制され、植物の生育も良好であった。また、本発明のビニルアルコール系重合体は保管時の安定性にも優れていた。
一方、薬剤を含まないビニルアルコール系重合体を使用した場合(比較例1および4)、育苗後短期間であってもカビ等の発生は抑制されなかった。
また、薬剤を保水材中には含むもののビニルアルコール系重合体の内部に含まない保水材を使用した場合(比較例2)、長期間カビ等の発生を抑制することはできなかった。これは、保水材中に存在するもののビニルアルコール系重合体の内部には存在しない薬剤が、育苗中の潅水により、水稲育苗箱から流出したためと考えられる。
更に、ビニルアルコール系重合体の内部に過剰量の薬剤を含む保水材を使用した場合(比較例3)、植物の生育が阻害された。
薬剤に加えて、化合物(Y)を更に含む保水材を使用した場合(実施例10および11)、カビ等の発生の抑制および植物の良好な生育に加えて、吸水速度の向上および粉塵発生の低減が達成された。
本発明の保水材は、保管時および使用時の安定性に優れ、植物の生育を阻害しないため、農業用保水材または育苗用保水材として好適に利用できる。

Claims (8)

  1. ビニルアルコール系重合体を含む農業用保水材であって、前記重合体はその内部に、微生物を殺傷するかまたは微生物の増殖を抑制する薬剤の1以上を、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下の量で含む、保水材。
  2. 前記保水材は、前記重合体の内部に存在せず保水材中に存在する前記薬剤の1以上を更に含む、請求項1に記載の保水材。
  3. 前記重合体の内部に存在せず保水材中に存在する1以上の薬剤の含有量は、前記重合体の質量に対して0.00001質量%以上10質量%以下である、請求項2に記載の保水材。
  4. 前記保水材の質量に対して50質量倍の水を吸水させた、吸水状態の前記保水材において、植物が吸収可能な水の割合は、当該吸水状態の前記保水材の質量を基準に7.6質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の保水材。
  5. 前記保水材は、SP値が6.0(cal/cm1/2以上30.0(cal/cm1/2以下である化合物(Y)を更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の保水材。
  6. 前記化合物(Y)は、水、グリセリン、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸メチル、酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項5に記載の保水材。
  7. 前記化合物(Y)の含有量は、前記保水材の質量に対して0.001質量%以上98質量%以下である、請求項5または6に記載の保水材。
  8. 育苗用である、請求項1〜7のいずれかに記載の保水材。
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