JP7010435B2 - 吸水性樹脂及び農業用保水材 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂及び該吸水性樹脂を含む農業用保水材に関する。
昨今、慢性的な水資源の枯渇に伴い、農業用水を有効にかつ適切に利用することや、従来よりも少量の灌漑水量でも農産物の収穫量を維持あるいは増大させる試みが、いわゆる農業用保水材を用いて検討されている(例えば、特許文献1~3を参照)。これらの農業用保水材は高吸水性樹脂(SAP)を主要構成成分としており、例えば土壌全体の保水性の改善に用いられるピートモスなどに比べると、極めて少量で効果を発現することから、農家が用いる際の負担が少ないという利点がある。
特許文献1及び2では、ポリアクリル酸塩ゲルを主成分とする高吸水性樹脂を農業用保水材として用いることが開示されている。しかしながら、ポリアクリル酸塩ゲルは生分解性を有さないため、環境中で消滅しにくいという課題があった。
このような課題を解決する手段として、特許文献3には、中和されたポリビニルグリオキシル酸を含み複雑な表面形状特徴を有する粒子が開示され、係る粒子が衛生材料や農業用保水材などに適用できることが記載されている。
特許第4346112号公報 特表2013-544929号公報 特表2013-540164号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献3に開示された粒子は液体肥料の吸収性が十分でなく、また吸水後に十分な気相を確保できず根腐れしやすいために、農業用保水材として用いるには性能が不十分であることがわかった。一方で、液体肥料の吸収性や吸水後の気相を十分な値にしようと検討している際に、吸水時に粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成したり、保存安定性に課題が生じたりする場合があった。
本発明の目的は上記課題を解決することであり、水及び液体肥料の吸収性に優れ、吸水後にも十分な気相が確保できるうえ、吸水時にも粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成しづらく、かつ保存安定性に優れる吸水性樹脂を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の樹脂を含み、かつ特定の形状を有する吸水性樹脂が上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明には以下のものが含まれる。
[1]ビニルアルコール系重合体を含み、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gである、吸水性樹脂。
[2]前記ビニルアルコール系重合体がカルボキシル基を有する、[1]に記載の吸水性樹脂。
[3]前記ビニルアルコール系重合体が、(i)不飽和カルボン酸系構成単位から選ばれる1種以上とビニルエステルとの共重合体のケン化物または(ii)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物との反応物である、[1]又は[2]に記載の吸水性樹脂。
[4]前記ビニルアルコール系重合体が、(ii)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物との反応物であり、少なくとも一部のビニルアルコール単位がグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化されたものである、[3]に記載の吸水性樹脂。
[5]前記ビニルアルコール系重合体のアセタール化度が0.1モル%以上80モル%以下である、[1]~[4]いずれかに記載の吸水性樹脂。
[6]前記ビニルアルコール系重合体が、不飽和カルボン酸系構成単位を含む、[1]に記載の吸水性樹脂。
[7]前記不飽和カルボン酸系構成単位は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体に由来する構成単位である、[6]に記載の吸水性樹脂。
[8]前記ビニルアルコール系重合体(A)の平均残存水酸基量が20モル%超である、[1]~[7]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[9]平均粒子径が50~1000μmの粒子である、[1]~[8]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[10]水銀圧入法により測定した細孔直径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線において、細孔直径0.1~10μmの範囲に存在するLog微分細孔容積のピークの半値幅が9μm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[11]吸水性樹脂の吸水後の気相体積が5%以上である、[1]~[10]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[12]前記吸水性樹脂が架橋構造を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[13]農業用である、[1]~[12]のいずれかに記載の吸水性樹脂。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の吸水性樹脂を含む、農業用保水材。
[15]多孔質なポリビニルアルコール粒子とグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上とを反応させアセタール化する工程を含む、[3]~[5]のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
[16]不均一反応によりアセタール化する、[15]に記載の製造方法。
[17]不飽和カルボン酸系構成単位を含む多孔質なポリビニルアルコール粒子と架橋剤とを反応させる工程を含む、[6]又は[7]に記載の吸水性樹脂の製造方法。
[18]不均一反応により架橋する、[17]に記載の製造方法。
本発明の吸水性樹脂は、水及び液体肥料の吸収性に優れ、吸水後に十分な気相が確保できるうえ、吸水時にも粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成しづらく、かつ保存安定性に優れる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は本実施形態に限定されない。
本発明の吸水性樹脂は、ビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体(A)と称することがある)を含む。ビニルアルコール系重合体(A)としては、例えばポリビニルアルコール、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。中でも、優れた吸水性や吸水速度を発現させる観点から、上記ビニルアルコール系重合体(A)はカルボキシル基を有することが好ましい。
カルボキシル基を有するビニルアルコール系重合体(A)としては、例えば(i)不飽和カルボン酸系構成単位から選ばれる1種以上とビニルエステルとの共重合体のケン化物(以下、ビニルアルコール系重合体(A-1)と称することがある);(ii)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物との反応物(以下、ビニルアルコール系重合体(A-2)と称することがある);等が挙げられる。
ビニルアルコール系重合体(A-1)において、不飽和カルボン酸系構成単位を構成する不飽和カルボン酸としては特に制限はないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸等が挙げられる。また、上記カルボキシル基を有するモノマーの誘導体としては、該モノマーの無水物、エステル化物、及び中和物等が挙げられ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、及び無水マレイン酸等が用いられる。(i)において、ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニルが挙げられる。
ビニルアルコール系重合体(A-1)を製造する方法に特に制限はなく、カルボキシル基を有するモノマー及び該モノマーの誘導体から選ばれる1種以上とビニルエステルとを、公知の重合開始剤を用いて公知の重合反応を行い、次いで公知の方法でケン化反応を行うことで製造できる。
上記(ii)においては、前述のとおり、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物を用いる。前記ヒドロキシル基と反応可能な官能基としては特に制限はないが、例えばアルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基及びこれらの官能基の誘導体等が挙げられる。中でも、製造容易性、吸水性樹脂の耐久性の観点から、アルデヒド基及びアルデヒド基の誘導体が好ましい。
上記カルボキシル基を有するアルデヒドとしては特に制限はないが、例えばグリオキシル酸、2-ホルミルプロパン酸、3-ホルミルプロパン酸、及びフタルアルデヒド酸等が挙げられる。中でも、入手容易性及び生分解性の観点から、グリオキシル酸が好ましい。また、上記カルボキシル基を有するアルデヒドの誘導体としては、該アルデヒドの無水物、エステル化物、及び中和物等が挙げられ、例えばグリオキシル酸塩、及びグリオキシル酸エステル等が用いられる。
すなわち、上記(ii)の反応物(A-2)としては、少なくとも一部のビニルアルコール単位がカルボキシル基を有するアルデヒド及び該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化されたビニルアルコール系重合体が好ましく、より好ましくは少なくとも一部のビニルアルコール単位がグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化されたビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体(A-2a)と称することがある)である。
上記グリオキシル酸塩のカウンターカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びリチウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシウムイオン及びマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;などが挙げられる。中でも、農業用保水材として用いる場合により優れた吸水速度を発現させる観点から、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びマグネシウムイオンが好ましい。土壌中に含まれるカルシウムイオンなどの二価イオンとの接触時の保水性を維持する観点からは、カルシウムイオンがより好ましい。
上記グリオキシル酸エステルとしては、例えばグリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸プロピル、グリオキシル酸イソプロピル、グリオキシル酸ブチル、グリオキシル酸イソブチル、グリオキシル酸sec-ブチル、グリオキシル酸tert-ブチル、グリオキシル酸ヘキシル、グリオキシル酸オクチル、及びグリオキシル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
ビニルアルコール系重合体(A-2)の製造方法としては特に制限はなく、公知の手法で製造されたビニルアルコール系重合体の少なくとも一部のビニルアルコール単位を、触媒の存在下もしくは非存在下、好ましくは80℃以下の反応温度で、カルボキシル基を有するアルデヒド及び該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上により少なくとも一部のビニルアルコール単位をアセタール化することで製造できる。
また、ビニルアルコール系重合体(A-2a)の製造方法もビニルアルコール系重合体(A-2)の製造方法と同様に、公知の手法で製造されたビニルアルコール系重合体の少なくとも一部のビニルアルコール単位を、触媒の存在下もしくは非存在下、好ましくは80℃以下の反応温度で、グリオキシル酸及びグリオキシル酸の誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化することで製造できる。また、アセタール化反応の手法に特に制限はなく、均一反応を用いても不均一反応を用いてもよい。より具体的には、原料のビニルアルコール系重合体とグリオキシル酸の両方が溶解する、水などの溶媒を用いて溶液中で反応させる均一反応を用いてもよく、原料のビニルアルコール系重合体を、かかるビニルアルコール系重合体が不溶である溶媒中に分散させ、グリオキシル酸と反応させる不均一反応を用いてもよい。
ここで、本発明における不均一反応とは、ビニルアルコール系重合体(A-2)の製造において、原料として用いるビニルアルコール系重合体粒子をカルボキシル基を有するアルデヒド及び該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化する反応である。不均一反応かどうかは、アセタール化を行った直後の反応溶液を目視により観察し、該当反応溶液中に粒子が観察された場合、不均一反応となる。つまり、ビニルアルコール系重合体(A-2)は、原料として用いるビニルアルコール系重合体粒子をカルボキシル基を有するアルデヒド及び該アルデヒドの誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化する製造方法により製造可能である。
不均一反応で用いられる分散媒は、原料として用いるビニルアルコール系重合体粒子を膨潤させることが可能であり、かつ反応時の温度にて溶解させない限り特に制限されない。反応中、ビニルアルコール系重合体を溶解させず粒子状に保つという観点からは、分散媒は有機溶媒を含有することが好ましい。分散媒中の有機溶媒の含有量は好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記有機溶媒の含有量が上記下限値以上であると、吸水速度が速くなる。一方で、上記有機溶媒の含有量が95質量%以下(より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、特に好ましくは85質量%以下)であることも、本発明の好ましい一態様である。上記有機溶媒の含有量が上記上限値以下であるとき、上記ポリビニルアルコール粒子を溶媒に適度に膨潤させ、かつカルボニル化合物を溶解させやすいため、上記ポリビニルアルコール粒子の内部まで均一にアセタール化させやすい傾向にある。
上記有機溶媒は特に限定されないが、例えば、アセトン、2-ブタノン等のジアルキルケトン;アセトニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、tert-ブタノール等のアルコール;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル;エチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物;アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ジメチルスルホキシド、フェノールなどが挙げられる。中でも、不均一反応後に得られた変性ポリビニルアルコール樹脂からの溶媒の除去の容易さ、溶媒に対するカルボニル化合物および酸触媒の溶解性、および溶媒の工業的入手性を考慮すると、上記有機溶媒は、ジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましく、アセトン、2-ブタノン、アセトニトリル、メタノール、2-プロパノール、1,4-ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1つであることがさらに好ましい。これらの有機溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよい。後述するように不均一反応で用いられる溶媒は水を含んでいてもよいが、不均一反応で用いられる溶媒が水を含まない場合は、上記有機溶媒はジアルキルケトン、ニトリル、アルコールおよびエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ジアルキルケトンおよび/またはニトリルがより好ましく、アセトンおよび/またはアセトニトリルであることがさらに好ましい。なお、アセタール化反応が進行するにつれて変性ポリビニルアルコール樹脂と溶媒の相互作用が変化するため、膨潤度を制御することを目的とし、反応途中で溶媒を添加してもよい。
上記触媒としては、例えば塩酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸;カルボン酸、及びスルホン酸などの有機酸;陽イオン交換樹脂及びヘテロポリ酸などの固体酸;などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なお、グリオキシル酸はアセタール化反応を促進する酸でもあるため、ビニルアルコール系重合体(A-2)を製造する際には触媒としても作用する。すなわち、反応後の処理の容易性の観点からは、ビニルアルコール系重合体(A-2)の製造に際して、グリオキシル酸を用いる方法が好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A)の原料として用いるビニルアルコール系重合体は、工業的に製造された市販品;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニル及び必要に応じて他のモノマーを共存させて、公知の重合開始剤を用いて公知の重合反応を行い、次いで公知の方法でケン化反応を行って製造したもの;ビニルエーテルのカチオン重合反応及び加水分解反応により製造したもの;アセトアルデヒドの直接重合により製造したもの;などのいずれでもよいが、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造したものが好ましい。上記原料として用いるビニルアルコール系重合体のケン化度は30モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、本発明の一実施態様において適量のカルボキシル基を導入する観点からは、80モル%以上がさらに好ましい。
吸水性樹脂の使用時の溶出を抑制する観点から、ビニルアルコール系重合体(A-2)の製造において、グリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体以外の他のアルデヒドを併用してアセタール化反応を行ってもよい。すなわち、ビニルアルコール系重合体(A-2)は、少なくとも一部のビニルアルコール単位がグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種、及び他のアルデヒドによりアセタール化されたビニルアルコール系重合体であってもよい。かかる他のアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、i-ブチルアルデヒド、sec-ブチルアルデヒド、及びtert-ブチルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、4-ベンジルオキシベンズアルデヒド、3-ベンジルオキシベンズアルデヒド、4-アミルオキシベンズアルデヒド、及び3-アミルオキシベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;などが挙げられる。中でも、製造容易性や吸水性樹脂の吸水特性の観点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びn-ブチルアルデヒドが好ましい。他のアルデヒドを併用する場合、その使用量に特に制限はないが、グリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体の合計に対して通常0.01~30モル%、好ましくは0.1~10モル%、さらに好ましくは1~5モル%である。他のアルデヒドの使用量が上記上限値以下であると、得られる吸水性樹脂の吸水特性が優れる傾向にあり、上記下限値以上であると、他のアルデヒドを併用することによる吸水性樹脂の使用時の溶出を抑制する効果を得やすい。なお、前記他のアルデヒドは、例えばアセタール体などの誘導体として用いてもよい。
ビニルアルコール系重合体(A)が有するカルボキシル基は、一部又は全部がカルボン酸塩となっていてもよい。カルボン酸塩の対カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、及びセシウムイオンなどのアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びバリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、及び亜鉛イオンなどのその他金属イオン;アンモニウムイオン、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、及びホスホニウムイオン類などのオニウムカチオン;などが挙げられる。中でも、農業用保水材として用いる場合には、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びアンモニウムイオンが好ましく、植物の生育の観点からカリウムイオンがより好ましい。
前記ビニルアルコール系重合体(A-1)中のカルボキシル基の一部又は全部がカルボン酸塩であるビニルアルコール系重合体の製造方法としては、例えば、不飽和カルボン酸の塩と酢酸ビニルを重合した後、けん化を行う方法;不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルと酢酸ビニルを重合した後、けん化、中和を行う方法;などが挙げられる。
前記ビニルアルコール系重合体(A-2)中のカルボキシル基の一部又は全部がカルボン酸塩であるビニルアルコール系重合体の製造方法としては、例えば、ビニルアルコール単位の少なくとも一部をグリオキシル酸の中和物を用いてアセタール化する方法;ビニルアルコール単位の少なくとも一部をグリオキシル酸によりアセタール化した後、中和する方法;などが挙げられる。
ビニルアルコール系重合体(A)のアセタール化度は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、特に好ましくは10モル%以上であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、特に好ましくは40モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限値以上であると、本発明の吸水性樹脂の吸水性がより優れ、上記上限値以下であると、土壌中に含まれるカルシウムイオンなどの二価イオンとの接触時にも吸水性を維持しやすい。本発明において「アセタール化度」とは、ビニルアルコール系重合体(A-2)の全構成単位に対する、アセタール化されたビニルアルコール単位の割合を意味する。また、「構成単位」は重合体を構成する繰り返し単位を意味し、例えばビニルアルコール単位は「1単位」、2単位のビニルアルコール単位がアセタール化された構造は「2単位」と数えることとする。なお、上記アセタール化度は、例えばNMR(核磁気共鳴分光法)、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)、酸塩基滴定などによって測定できる。
ビニルアルコール系重合体(A)の平均残存水酸基量は、好ましくは20モル%超、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下である。上記平均残存水酸基量は、例えばFTIR(フーリエ変換赤外分光法)、固体NMR(核磁気共鳴分光法)などにより測定できるほか、一定量の無水酢酸と反応させた際の無水酢酸の消費量から算出することもできる。
ビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルアルコール単位、不飽和カルボン酸系構成単位、及びアセタール単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。上記他の構成単位の例としては、酢酸ビニル、及びピバル酸ビニルなどのカルボン酸ビニル由来の構成単位;エチレン、1-ブテン、及びイソブチレンなどのオレフィン由来の構成単位;アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、マレイミド誘導体などに由来する構成単位;などが挙げられる。上記他の構成単位は1種類を含有していても複数種類を含有していてもよい。上記他の構成単位の含有量は、ビニルアルコール系重合体(A)の全構成単位に対して好適には50質量%以下、より好適には30質量%以下、さらに好適には15質量%以下であり、0質量%であってもよい。上記他の構成単位の含有量が上記上限値以下であると、本発明の吸水性樹脂は吸水速度により優れる。
ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度に特に制限はないが、製造容易性の観点から、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下である。一方、吸水性樹脂の力学特性の観点からは、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは400以上である。ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度は、例えばJIS K 6726-1994に準拠した方法により測定することで求められる。
本発明の吸水性樹脂は、吸水性樹脂の使用時の溶出を防ぐ観点から、架橋構造を含むことが好ましい。本発明の吸水性樹脂は架橋構造を含む場合、吸水時にはゲル状態となる。架橋構造の形態に特に制限はなく、例えばエステル結合、エーテル結合、アセタール結合、及び炭素-炭素結合などによる架橋構造が挙げられる。
上記エステル結合の例としては、ビニルアルコール系重合体(A)が有する水酸基とカルボキシル基との間で形成されるエステル結合が挙げられる。上記エーテル結合の例としては、ビニルアルコール系重合体(A)が有する水酸基間の脱水縮合により形成されるエーテル結合が挙げられる。上記アセタール結合の例としては、2分子のビニルアルコール系重合体(A)が有する水酸基同士がグリオキシル酸とアセタール化反応することにより形成されるアセタール結合が挙げられる。上記炭素-炭素結合としては、例えば活性エネルギー線を吸水性樹脂に照射したときに生じる、ビニルアルコール系重合体(A)の炭素ラジカル間のカップリングにより形成される炭素-炭素結合が挙げられる。これらの架橋構造は単独で含まれていても、複数種が含まれていてもよい。中でも、エステル結合、アセタール結合による架橋構造が好ましく、土壌中での保水性維持の観点から、アセタール結合による架橋構造がより好ましい。このような架橋構造は、原料のビニルアルコール系重合体をグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化する工程で同時に形成されてもよいし、別の工程で形成されてもよいが、本発明においては架橋剤をさらに添加することにより架橋構造を形成することが好ましい。
架橋剤としては、グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,9-ノナンジアール、アジポアルデヒド、マレアルデヒド、タルタルアルデヒド、シトルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、及びテレフタルアルデヒドが挙げられる。
吸水性樹脂中の架橋剤量としては、土壌中での保水性を維持する観点から、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、さらに好ましくは0.01モル%以上、よりさらに好ましくは0.03モル%以上であり、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.4モル%以下、さらに好ましくは0.3モル%以下である。
架橋剤と反応させる工程は、前述の分散媒中でビニルアルコール系重合体粒子と架橋剤を反応させることが好ましい。
本発明の吸水性樹脂は、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gである。特許文献3には、SAP粒子の場合、多孔質形状は理想的ではないことが記載されている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記細孔体積の合計が0.01mL/g以上であることにより、液体肥料の吸収性に優れかつ吸水後の気相体積が大きくなるために、例えば農業用の吸水性樹脂としての使用に好適であることがわかった。また、上記細孔体積の合計が2.0mL/g超であると、吸水時に粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成したり、吸湿性が高く保存安定性に課題が生じたりする。上記細孔体積の合計は、好ましくは0.1mL/g以上、より好ましくは0.15mL/g以上、さらに好ましくは0.2mL/g以上であり、好ましくは1.5mL/g以下、より好ましくは1.0mL/g以下、さらに好ましくは0.5mL/g以下である。なお、上記範囲を満たす吸水性樹脂は、例えば、原料であるビニルアルコール系重合体の製造時において、けん化工程でのポリ酢酸ビニル及びアルカリの濃度や反応温度を調整することにより製造できる。上記細孔体積の合計は、例えば水銀圧入法により測定でき、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
本発明の吸水性樹脂は粒子であることが好ましい。本発明の吸水性樹脂が粒子であるとき、該粒子の平均粒子径は好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。上記平均粒子径が上記下限値以上であると取扱い性に優れる傾向にあり、上記上限値以下であると吸水速度に優れる傾向にある。上記平均粒子径は、レーザー回折/散乱で測定でき、より詳細には実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の吸水性樹脂は、水銀圧入法により測定した細孔直径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線において、細孔直径0.1~10μmの範囲に存在するLog微分細孔容積のピークの半値幅は9μm以下であることが好ましい。上記半値幅は、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。上記半値幅の下限値に特に制限はないが、通常0.001μm以上である。上記半減幅が上記範囲内であると、液体肥料の吸収性に優れ、かつ吸水後の気相体積が大きくなる傾向にある。上記範囲を満たす吸水性樹脂は、例えば、アセタール化工程において上記範囲を満たすポリビニルアルコール粒子を原料として用いることにより製造できる。なお、上記細孔分布曲線において、細孔直径0.1~10μmの範囲にLog微分細孔容積のピークが複数存在する場合には、ピーク値が最も大きいピークの半値幅が上記範囲内であることが好ましい。また、実施例の表においては、前記「Log微分細孔容積がピークとなる細孔直径」を「メディアン径」として表記しており、細孔直径0.1~10μmの範囲にLog微分細孔容積のピークが複数存在する場合には、ピーク値が最も大きいピークにおける値を示している。
本発明の吸水性樹脂1gに水50mLを吸水させたときの吸水後の気相体積は、吸水後の吸水性樹脂の体積に対して好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上、最も好ましくは30%以上である。上記気相体積が上記下限値以上であると、本発明の吸水性樹脂を農業用保水材や培地などとして用いたときに、植物の根に酸素が供給されやすく、根腐れや湿害が起きにくいため好ましい。上記気相体積の上限値に特に制限はないが、通常50%以下である。気相体積は、吸水性樹脂の強度を示す指標でもあり、気相体積が大きいほど吸水性樹脂の強度が高く、樹脂内部に空気を保持することが可能な空間を有していることを示す。上記気相体積は、吸水性樹脂の細孔径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計を調整することにより、上記範囲内とすることができる。上記気相体積は、本発明の吸水性樹脂1gを純水50mLに1時間浸漬した後、メカニカルスターラーにより200rpmで10分間撹拌した後、吸水後の樹脂の体積V1(mL)を計測し、以下の式に基づいて気相体積を算出することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
気相体積(%)={(V1-50)/V1}×100
本発明の吸水性樹脂を農業用保水材として用いる場合、水だけでなく液体肥料の吸収量も大きいことが求められる。液体肥料の吸収量が大きい場合、肥料の地下へ流出を抑制でき、肥料の使用量を削減できる。液体肥料の吸収量は好ましくは5g/g以上、より好ましくは5.3g/g以上、さらに好ましくは5.5g/g以上である。上記液体肥料の吸収量は、実施例に記載の方法により測定できる。なお、水の吸収量は好ましくは150g/g以上、より好ましくは180g/g以上、さらに好ましくは200g/g以上である。上記水の吸収量は、実施例に記載の方法により測定できる。
吸水性樹脂は、吸水時に粒子同士が融着した粗大な凝集物を形成することがある。粗大な凝集物が形成されると、水の拡散が遅くなり、吸水速度が遅くなる。粗大な凝集物の形成しやすさは、例えば、吸水性樹脂を10mLメスシリンダーの底部に1mL入れ、上から純水を9mL投入したとき、吸水した樹脂の体積が10mLとなるまでの時間を測定することで評価でき、上記時間が短いほど粗大な凝集物を形成しにくい。上記時間は好ましくは100分以下、より好ましくは60分以下、さらに好ましくは45分以下、特に好ましくは30分以下である。
吸水性樹脂は吸湿性が高い場合、空気中での保管時に樹脂同士が融着するなど、保存安定性に課題を有することがある。吸水性樹脂の保存安定性は、例えば40℃、湿度80%の状態で4時間放置前後の重量増加量を測定することにより評価できる。上記重量増加量が少ないほど吸湿しにくく、保存安定性に優れる。上記重量増加量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
本発明の吸水性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。かかるその他の添加剤の例としては、デンプン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース及びその誘導体などの多糖類;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリコハク酸、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、ポリノナメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸塩、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸塩共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸塩共重合体などの樹脂類;天然ゴム、合成イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーなどのゴム・エラストマー類;カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、セリサイト、クロライト、グローコナイト、タルク、天然ゼオライト、合成ゼオライトなどの粘土鉱物類;砂などが挙げられる。これらは1種を単独で含んでいても、複数種を含んでいてもよい。
本発明の吸水性樹脂は、農業用として好適である。すなわち、本発明の吸水性樹脂を含む農業用保水材もまた、本発明のひとつである。農業用保水材として用いる際の形態には種々の方法があり、圃場に直接散布する方法;作物種子を播種する際に種子とともに適用する方法;一旦種子にコーティングし、コーティングした種子を播種する方法;などが挙げられる。また、本発明の吸水性樹脂と水との混合物を培地として用いてもよい。適用対象とする作物に特に制限はなく、例えば各種野菜類、根菜類、果実類、穀類、イモ類、豆類、観賞用植物類、花卉類、芝、樹木類などが挙げられる。
本発明の吸水性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で肥料成分及び/又は農薬成分を含んでいてもよい。肥料の例としては、窒素系肥料、リン系肥料、カリウム系肥料、カルシウム系肥料などの三大肥料;カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ニッケルなど植物の必須要素を含む肥料;などが挙げられる。農薬成分の例としては、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、植物生長調整剤などが挙げられる。これらは1種を単独で含んでいても、複数種を含んでいてもよい。
本発明の吸水性樹脂は優れた吸水特性及び力学特性を示すことから、農業用保水材以外にも、一般的に知られている吸水性樹脂の用途、例えば乳児用オムツ、幼児用オムツ、子供用オムツ、成人用オムツ、生理用品、保護下着などの衛生用品における吸収剤;地中の電力ケーブル、又は通信ケーブルにおける水浸透の防止材;薬物送達系におけるキャリア;流出及び排出水性液の吸収材;塗料;インク;着色剤組成物用の吸収性コーティング;殺虫剤、除草剤、芳香剤、及び薬物を制御放出するためのキャリア;難燃性ゲル;葬儀用パッド;外科用パッド;創傷被服材;医療用廃物固化材;食料品用の吸収パッド及び包装材料;化粧品のゲル化剤;シーリング複合材;濾過用途;航空機及び自動車用の燃料監視システム;かご飼育動物用の給水体;静止ウォーターベッド;水中で大きくなる玩具;掘削液の添加剤;人工雪;などに用いることもできる。
本発明の吸水性樹脂の製造方法としては特に制限はないが、例えば(I)不飽和カルボン酸系構成単位を含む多孔質なポリビニルアルコール粒子と架橋剤とを反応させる工程を含む製造方法;(II)多孔質なポリビニルアルコール粒子とグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上とを反応させアセタール化する工程を含む製造方法;(III)ビニルアルコール系重合体(A)を製造し、必要に応じて添加剤を混合した後、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gとなるように細孔を形成する方法;などが挙げられる。製造容易性の観点からは、前記(I)又は(II)の製造方法が好ましい。
前記不飽和カルボン酸系構成単位を含む多孔質なポリビニルアルコール粒子、及び多孔質なポリビニルアルコール粒子は、例えばポリ酢酸ビニルのケン化によりポリビニルアルコールを製造する際のポリ酢酸ビニルの濃度を調整することにより製造できる。例えば、ポリ酢酸ビニルの量をメタノールなどの溶媒100質量部に対して1質量部以上、好ましくは3質量部以上とすることにより、細孔径(又は細孔体積)を小さくすることができ、30質量部以下、好ましくは10質量部以下とすることにより、細孔径(又は細孔体積)を大きくすることができる。
なお、多孔質なポリビニルアルコール粒子とは、粒子1個あたり、細孔直径が0.1~100μmの細孔を少なくとも5個、好ましくは10個以上、より好ましくは100個以上含む構造を意味している。なお、この細孔は、連続構造であってもよく、独立構造であってもよい。
前記(I)又は(II)の製造方法を用いる場合、不均一系反応によりアセタール化又は架橋することが好ましい。不均一系反応を用いることで、前記多孔質なポリビニルアルコール粒子が有する細孔を維持したままアセタール化又は架橋できるため、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gである吸水性樹脂を得やすい。
前記(II)の製造方法において、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gとなるように細孔を形成する方法としては、例えば、ビニルアルコール系重合体(A)とグリセリン、エチレングリコールなどの助剤成分とを混合して分散体を調製し、該分散体から助剤成分を溶出させる方法などが挙げられ、助剤成分の含有量を変更したり分散剤の添加などにより助剤成分の分散度合を調製したりすることで、吸水性樹脂の細孔径や細孔体積を調整できる。
以下、実施例などにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例などにより何ら限定されない。
(原料)
グリオキシル酸一水和物、40質量%グリオキサール水溶液、25質量%グルタルアルデヒド水溶液、アセトニトリル、メタノール;以上、和光純薬工業株式会社製
ポリ酢酸ビニル;シグマアルドリッチジャパン合弁会社製 製品番号387924-500G
(測定方法)
(1)アセタール化度、平均残存水酸基量
実施例及び比較例で得られた樹脂について、固体13C-NMR測定を行った(日本電子株式会社製 機種名ECZ-500R、500MHz)。得られた13C-NMRスペクトルにおいて、カルボキシル基のカルボニル炭素に相当するピーク(通常160~180ppmで観測される)、ビニルアルコール単位の水酸基が結合したメチン炭素(通常60~80ppmで観測される)、酢酸ビニル単位のビニルエステル基のメチル炭素(通常10~30ppmで観測される)、及びエチレン単位のメチレン炭素(通常30~50ppmで観測される)から、樹脂中に含まれるカルボキシル基のモル数、水酸基のモル数、酢酸ビニル単位のモル数、及びエチレン単位のモル数を求め、下記式にしたがってアセタール化度及び平均残存水酸基量を算出した。
アセタール化度[モル%]=[(カルボキシル基のモル数)×2/(全構成単位のモル数)]×100
平均残存水酸基量[モル%]=[(水酸基のモル数)/(全構成単位のモル数)]×100
全構成単位のモル数=(カルボキシル基のモル数)×2+(水酸基のモル数)+(酢酸ビニル単位のモル数)+(エチレン単位のモル数)
[不飽和カルボン酸塩構成単位の量]
実施例および比較例で得られた樹脂についてThermo SCIENCE製赤外分光光度計「Nicolet iS10」を用いてIR測定を行った。得られたIRスペクトルにおいてポリビニルアルコール単位およびアクリル酸単位のメチレン基およびメチン基に由来するピーク(2990-2560cm-1)の面積値とカルボン酸塩のカルボキシレート基(1625-1510cm-1)に由来するピークの面積値を求め、以下の式に基づいて算出した。
不飽和カルボン酸系構成単位の量[mol%]=13.07×(不飽和カルボン酸系構成単位のカルボキシレート基に由来するピーク面積値)/(エチレン単位のメチレン基およびメチン基に由来するピーク面積値)
上記において13.07は、検量線により求めた、上記式を用いてカルボン酸塩量を計算するための係数である。
(2)平均粒子径
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製 LA-950V2)により粒子の平均粒子径を測定した。
(3)細孔体積の合計、メディアン径、半値幅
実施例及び比較例で得られた樹脂0.25gを標準5cc粉体用セル(ステム容積0.4cc)に採り、初期圧2.5kPaの条件で、マイクロメリティックス細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製、オートポア9520)を用いて測定した。メディアン径とは、Log微分細孔容積がピークとなる細孔直径である。水銀パラメータは、水銀接触角130degrees、水銀表面張力485hynes/cmとした。
(4)純水吸収量
JIS K 7223-1996に準じて、実施例及び比較例で得られた樹脂の純水吸収量を測定し、以下の式に基づいて、純水吸収量Xa(g/g)を算出した。
Xa(g/g)=[(純水吸収後の試料質量)-(純水吸収前の試料質量)]/(純水吸収前の質量)
(5)液体肥料の吸収量
JIS K 7223-1996に指定されたティーバック及び試料設置の方法に準拠して、実施例及び比較例で得られた樹脂を含むティーバックを、ハイポネックス原液(ハイポネックスジャパン製、肥料含有量N-P-K=6-10-5)に23℃で1日浸漬した。ティーバックを引き上げて溶液を液切りし、以下の式に基づいて、液体肥料の吸収量Xb(g/g)を算出した。
Xb(g/g)=[(液体肥料吸収後の試料重量)-(液体肥料吸収前の試料重量)]/(液体肥料吸収前の試料重量)
(6)気相体積
100mLビーカーに純水50mLと実施例及び比較例で得られた樹脂1gとを加えた。1時間後、メカニカルスターラーにより200rpmで10分間撹拌した後、100mLメスシリンダーへ全量移し替えた。吸水後の樹脂の体積V1(mL)を読み取り、以下の式に基づいて気相体積を算出した。
気相体積(%)={(V1-50)/V1}×100
(7)吸水に要する時間(メスシリンダー法)
内径10.8mmの10mLメスシリンダーに、実施例及び比較例で得られた樹脂を1mL加え、メスシリンダーの上部から、純水9mLを10秒間かけて加えた。純水を全量添加してから、樹脂の上端が10mLの目盛りに到達するまでの時間、または樹脂の上端が液面に到達するまでの時間の内、短い方を測定した。係る方法により測定した吸水に要する時間が長いほど、粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成しやすい。
(8)吸湿量
実施例及び比較例で得られた樹脂1gを、樹脂の質量が恒量となるまで乾燥させ、直径15cmのガラス製シャーレに均一に広げ、40℃、湿度80%のチャンバーにいれて4時間放置した。次いで樹脂の重量を測定し、以下の式に基づいて吸湿量を算出した。係る方法により測定した吸湿量が大きいほど、保存安定性は劣る。
吸湿量(質量%)=[(吸湿後の試料質量)-(吸湿前の試料質量)]/(吸湿前の質量)×100
[製造例1]
還流冷却管及び撹拌翼を備えた容量2Lの四つ口セパラブルフラスコに、ポリ酢酸ビニル50g、メタノール1000gを加え、完全に溶解させた。撹拌を継続しながら水酸化ナトリウム1質量%メタノール溶液100gを10分間かけて滴下し、3時間反応させた。反応後、ろ過により樹脂を取り出した後、1000gのメタノールで5回洗浄した。洗浄後、樹脂を40℃で16時間真空乾燥し、粉砕した。目開き90μmと150μmのメッシュで樹脂を篩い分け、ポリビニルアルコールAを得た。
[製造例2]
ポリ酢酸ビニル50gを55gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールBを得た。
[製造例3]
ポリ酢酸ビニル50gを60gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールCを得た。
[製造例4]
ポリ酢酸ビニル50gを70gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールDを得た。
[製造例5]
ポリ酢酸ビニル50gを80gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールEを得た。
[製造例6]
ポリ酢酸ビニル50gを90gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールFを得た。
[製造例7]
ポリ酢酸ビニル50gを40gに変更したこと以外は製造例1と同様の方法により、ポリビニルアルコールGを得た。
[製造例8]
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル602g、アクリル酸メチル1.21g、メタノール254gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間反応器内を不活性ガス置換した。水浴を加熱して反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.16g添加し重合を開始した。適宜サンプリングを行い、その固形分濃度から重合の進行を確認し、仕込んだ酢酸ビニルとアクリル酸メチルの合計の質量に対する、重合により消費された酢酸ビニルとアクリル酸メチルの合計の質量である、消費率を求めた。消費率が4%に到達したところで30℃まで冷却して重合を停止した。真空ラインに接続し、残留する酢酸ビニルをメタノールとともに30℃で減圧留去した。反応器内を目視で確認しながら、粘度が上昇したところで適宜メタノールを添加しながら留去を続け、5.2mol%アクリル酸構成単位含有ポリ酢酸ビニルを得た。アクリル酸構成単位の含有量はNMRを用いて測定した。次に、上記と同様の反応器に、得られたアクリル酸構成単位含有ポリ酢酸ビニル1gとメタノール18.2gを添加し溶解した。水浴を加熱して内温が70℃になるまで加熱撹拌した。ここに水酸化ナトリウムのメタノール溶液(メタ苛性、濃度15質量%)0.78gを添加して、70℃で2時間けん化を行った。得られた溶液をろ過し、5.2mol%アクリル酸構成単位含有ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールH)を得た。
[実施例1]
還流冷却管及び撹拌翼を備えた容量300mLの四つ口セパラブルフラスコに、グリオキシル酸一水和物6.28g、40質量%グリオキサール水溶液0.0549g、イオン交換水16.5g、アセトニトリル150mL、ポリビニルアルコールA20.0gを加え、23℃で1時間撹拌した。47質量%硫酸水溶液4.74gを30分かけて滴下し、70℃に昇温して18時間反応させた。反応後、ろ過により樹脂を取り出した後、500mLのアセトニトリルで5回洗浄した。樹脂を還流冷却管及び撹拌翼を備えた容量300mLの四つ口セパラブルフラスコにいれ、メタノール150mLと水酸化カリウム10gの混合溶液を加え、50℃で12時間反応させた。樹脂をろ過で取り出し、500mLのメタノールで5回洗浄し、40℃で6時間真空乾燥を行い、目的の吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂について、上述の(1)~(8)の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールBに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールCに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
ポリビニルアルコールAをクラレアメリカ社製ELVANOL(登録商標)71-30(表1において「ポリビニルアルコールX」と表記する)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールDに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールEに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールFに変更したこと以外は実施例1と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
還流冷却管および撹拌翼を備え付けた三つ口セパラブルフラスコにアセトニトリル58.9g、イオン交換水6.28g、25質量%グルタルアルデヒド水溶液0.171g、ポリビニルアルコールHを20g加え、23℃で撹拌し分散させた。16.9質量%硫酸水溶液12.38gを15分かけて滴下し65℃に昇温して6時間反応させた。反応後、ろ過により樹脂を取り出した後、160gのメタノールで6回洗浄した。樹脂を還流冷却管および撹拌翼を備え付けた三つ口セパラブルフラスコに加え、メタノール71g、イオン交換水13.3g、水酸化カリウム5.7gを加え65℃で2時間反応させた。反応後、ろ過により樹脂を取り出した後、160gのメタノールで6回洗浄し、40℃で12時間真空乾燥を行い、目的の吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂について上述の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
25質量%グルタルアルデヒドの添加量を0.341gに変更した以外は実施例7と同様にして、目的の吸水性樹脂の合成および測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリビニルアルコールAを株式会社クラレ製PVA117S(表1において「ポリビニルアルコールY」と表記する)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。なお、前記ポリビニルアルコールYは、粒子1個あたり、細孔直径が0.1~100μmの細孔の数が5個未満であるため、本発明でいう多孔質なポリビニルアルコールではない。
[比較例2]
ポリビニルアルコールAをポリビニルアルコールGに変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂の合成及び測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007010435000001
実施例1~9からわかるように、ビニルアルコール系重合体(A)を含み、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gである場合、液体肥料の吸収量及び気相体積が大きく、かつ粒子同士が凝集した粗大な凝集物が形成しにくいうえ、吸湿性が低いため保存安定性に優れる。比較例1のように細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01mL/g未満である場合、液体肥料の吸収量及び気相体積が小さい。比較例2のように細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が10mL/g超である場合、液体肥料の吸収量及び気相体積は大きいものの、粒子同士が融着した粗大な凝集物が形成されやすく、吸湿性が高いため保存安定性に劣る。

Claims (18)

  1. ビニルアルコール系重合体を含み、細孔直径が0.1~10μmである細孔の細孔体積の合計が0.01~2.0mL/gであり、更に水の吸収量が94g/g以上である、吸水性樹脂。
  2. 前記ビニルアルコール系重合体がカルボキシル基を有する、請求項1に記載の吸水性樹脂。
  3. 前記ビニルアルコール系重合体が、(i)不飽和カルボン酸系構成単位から選ばれる1種以上とビニルエステルとの共重合体のケン化物または(ii)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物との反応物である、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂。
  4. 前記ビニルアルコール系重合体が、(ii)ビニルアルコール系重合体と、ヒドロキシル基と反応可能な官能基とカルボキシル基及び/又はカルボキシル基に誘導可能な官能基とを有する化合物との反応物であり、少なくとも一部のビニルアルコール単位がグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上によりアセタール化されたものである、請求項3に記載の吸水性樹脂。
  5. 前記ビニルアルコール系重合体のアセタール化度が0.1モル%以上80モル%以下である、請求項1~4いずれかに記載の吸水性樹脂。
  6. 前記ビニルアルコール系重合体が、不飽和カルボン酸系構成単位を含む、請求項1に記載の吸水性樹脂。
  7. 前記不飽和カルボン酸系構成単位は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体に由来する構成単位である、請求項6に記載の吸水性樹脂。
  8. 前記ビニルアルコール系重合体(A)の平均残存水酸基量が20モル%超である、請求項1~7のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  9. 平均粒子径が50~1000μmの粒子である、請求項1~8のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  10. 水銀圧入法により測定した細孔直径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線において、細孔直径0.1~10μmの範囲に存在するLog微分細孔容積のピークの半値幅が9μm以下である、請求項1~9のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  11. 吸水性樹脂の吸水後の気相体積が5%以上である、請求項1~10のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  12. 前記吸水性樹脂が架橋構造を含む、請求項1~11のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  13. 農業用である、請求項1~12のいずれかに記載の吸水性樹脂。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の吸水性樹脂を含む、農業用保水材。
  15. 多孔質なポリビニルアルコール粒子とグリオキシル酸及びグリオキシル酸誘導体から選ばれる1種以上とを反応させアセタール化する工程を含む、請求項3~5のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  16. 不均一反応によりアセタール化する、請求項15に記載の製造方法。
  17. 不飽和カルボン酸系構成単位を含む多孔質なポリビニルアルコール粒子と架橋剤とを反応させる工程を含む、請求項6又は7に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  18. 不均一反応により架橋する、請求項17に記載の製造方法。
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