JPH10338603A - 植物栽培土壌添加用組成物 - Google Patents

植物栽培土壌添加用組成物

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JPH10338603A
JPH10338603A JP9162019A JP16201997A JPH10338603A JP H10338603 A JPH10338603 A JP H10338603A JP 9162019 A JP9162019 A JP 9162019A JP 16201997 A JP16201997 A JP 16201997A JP H10338603 A JPH10338603 A JP H10338603A
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JP
Japan
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cinnamic acid
chitosan
acid
derivative
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JP9162019A
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English (en)
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Takashi Kobayashi
丘 小林
Yoshihiko Iijima
義彦 飯島
Takanori Yamanami
隆徳 山南
Akira Hoshino
明 星野
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Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に対する溶解度が低いケイヒ酸及びその誘
導体の有効活用方法を提供することである。 【解決手段】 バインダーとケイヒ酸及び/又はケイヒ
酸誘導体とを含有することを特長とする植物栽培土壌添
加用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の葉の成長や
開花の促進効果を持ち、加えて病原菌による根腐れや葉
の枯死の予防にも有効なケイヒ酸及びその誘導体を含有
する徐放性の植物栽培土壌添加用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】リグニン生合成経路中間物質関連のフェ
ノール性物質は、各種の生理活性を有することが知られ
ており、特にケイヒ酸やコーヒー酸には関連する特許が
多い。例えば、特開平5−1001号公報や特開平3−
157368号公報には、ケイヒ酸エステルの除草剤、
矮化剤としての作用が示され、特開昭59−63182
号公報には、ケイヒ酸が担子菌を増収する効果を有する
ことが示されている。また、特開平5−117125号
公報には、ケイヒ酸が芝生の病原菌を抑える作用を有す
ることが示され、特願平7−88857号にはケイヒ酸
及びその誘導体がセントポーリアの開花を促進すること
が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ケイヒ酸及びその誘導
体の優れた作用を活用する方法は、これまで上記の如く
種々提案されていたものの、これらの物質の常温の水へ
の極めて低い溶解度がその実用化を阻んでいた。即ち、
例えば、ケイヒ酸の水への溶解度は0.05重量%であ
り、1gのケイヒ酸を溶解せしめるのに25℃の水を約
2リットルも必要とするものであることから、工業的に
も不利なものであった。従って、本発明の目的は、上記
の問題点を解決しケイヒ酸及びその誘導体の有効活用方
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、バイン
ダーとケイヒ酸及び/又はケイヒ酸誘導体とを含有する
ことを特徴とする植物栽培土壌添加用組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明を詳細に説明する。本発明でケイヒ酸以外に使用す
るケイヒ酸誘導体は、ケイヒ酸と化学構造が類似のケイ
ヒ酸から誘導されるものであり、コーヒー酸、p−クマ
ル酸、フェルラ酸、p−メトキシケイヒ酸及びこれらの
アルキルエステル類が好ましいものとして挙げられる。
【0006】本発明で使用するバインダーは、その中に
含有するケイヒ酸及びその誘導体を植物栽培土壌中に放
出し得る物質あるいはケイヒ酸及びその誘導体の水への
溶解性を高めることができるものであれば特に制限され
ないが、例えば、ワックス、粘土質、無機の多孔性化合
物、高分子等が好ましいものとして挙げられる。
【0007】ワックスとしては、ケイヒ酸及び/又はそ
の誘導体と混合した場合に任意形状に成形できるもので
あれば特に限定されるものではなく、例えば、鯨ろう、
蜜ろう、シナろう、石ろう(パラフィン)、木ろう(は
ぜろう)、羊毛ろう(ラノリン)等を用いることができ
る。本発明の組成物の製造に際しては、ケイヒ酸及び/
又はその誘導体をこれらのワックス中に所定濃度に練り
込み、得られた組成物を所定の形状に成形して使用す
る。
【0008】粘土質としては、ケイヒ酸及び/又はその
誘導体と混合した場合に任意形状に成形できるものであ
れば特に限定されるものではなく、例えば、カオリン、
カオリナイト、ハロイサイト、ピロフィライト等を用い
ることができる。本発明の組成物の製造においては、ケ
イヒ酸及び/又はその誘導体をこれらの粘土中に所定濃
度に練り込み、得られた組成物を所定の形状に成形して
使用する。無機の多孔性化合物としては、各種反応の触
媒や各種脱臭剤等の担体として従来公知の無機物質はい
ずれも使用することができる。例えば、ケイ酸カルシウ
ム、アルミナ、ベントナイト、硅藻土、モンモリロナイ
ト、ゼオライト等が挙げられる。これらの粒子径は特に
制限されないが、通常、30〜400メッシュの内から
使用態様に適したものを用いる。ケイヒ酸及び/又はそ
の誘導体は、これらの多孔性無機化合物に吸着させて使
用する。吸着量は特に制限されないが、例えば、0.1
〜30重量%程度である。
【0009】高分子としては、従来公知の熱硬化性及び
熱可塑性ポリマーはいずれも使用することができ、特に
制限されるものではない。熱硬化性ポリマーとしては、
例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹
脂、ウレタン樹脂、エボナイト等を用いることができ
る。
【0010】組成物は、ケイヒ酸及び/又はその誘導体
をこれらのプレポリマー(前駆体)中に分散せしめ、硬
化剤を添加して成形する方法によって、あるいは重合禁
止剤を含んだ状態でプレポリマー及びスチレン等のビニ
ル系モノマーとケイヒ酸及び/又はその誘導体を混合分
散せしめ、重合開始剤を添加して成形する方法によって
製造される。
【0011】熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリ
エチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリカプロ
ラクトン、ポリ乳酸等の樹脂、天然ゴム、ポリイソプレ
ンゴム、スチレン(S)−ブタジエン(B)共重合ゴ
ム、SBSブロックコポリマー等のエラストマー等の水
不溶性ポリマー、デンプン、PVA、セルロース等の水
溶性ポリマー、キトサン、ポリエチレンイミン、ポリア
リルイミン。カチオン化セルロース等のカチオンポリマ
ー等を用いることができる。
【0012】組成物は、これらの水不溶性樹脂あるいは
エラストマーに常法に従ってケイヒ酸及び/又はその誘
導体を所定濃度に練り込み、あるいは、後に無添加の熱
可塑性樹脂またはエラストマーで希釈して使用するため
の高濃度(例えば、10〜20重量%の濃度)のマスタ
ーバッチとして、これをフィルムやペレットに成形する
ことによって得ることができる。エラストマーを使用す
る場合には、通常加硫して使用する。又、樹脂。エラス
トマーともに連続気泡を有する発泡体として使用するこ
ともできる。
【0013】バインダーとして水溶性高分子を用いる場
合には、本発明の組成物は、バインダー濃度が、例え
ば、0.1〜20重量%程度の高粘度のバインダー水溶
液を調製し、この中にケイヒ酸及び/又はその誘導体を
分散及び/又は溶解させることによって得ることができ
る。この場合には、組成物は水溶液として、あるいは水
溶液から製膜してフィルムとして用いることができる。
【0014】また、カチオンポリマーを使用する場合に
は、カチオンポリマーとケイヒ酸及び/又はその誘導体
の中和反応によってケイヒ酸及び/又はその誘導体を水
可溶性となし、水溶液の状態で使用することができる。
カチオンポリマーは、特に限定されるものではなく、例
えば、キトサン(水で膨潤、酸水溶液に可溶)を用いた
場合には、そのアミノ基をケイヒ酸及び/又はその誘導
体で中和する形で両物質を水に溶解せしめることが可能
となり、安全で高濃度のケイヒ酸及び/又はその誘導体
の水溶液を得ることができる。
【0015】また、特開昭63−41504号公報に示
されている水で膨潤させたキトサンをアルコール中で有
機酸をキトサンのアミノ基1個当たり約0.8〜1.0
モルと反応させる方法等でキトサンとケイヒ酸及び/又
はそ誘導体の塩を形成せしめることにより、よりハンド
リングの良い固体として用いることもできる。この場
合、有効成分であるケイヒ酸及び/又はその誘導体の除
放効果も期待できる。又、この塩化合物は水溶性である
ので、水溶液として使用することができる。
【0016】本発明において使用するキトサンとは、カ
ニやエビの甲殻類の外皮中に存在するキチンを脱アセチ
ル化して得られるものであり、それ自体は周知の材料で
あり、種々の脱アセチル化度、種々の分子量のものが市
場から容易に入手できるし、また容易に製造し得るもの
である。本発明においてはこれらの公知のキトサンがい
ずれも使用できる。
【0017】本発明の植物栽培土壌添加用組成物は、上
記の各バインダーとケイヒ酸及び/又はその誘導体を主
成分としてなるものであり、固体状態あるいは水溶液と
して使用することができる。本発明の該組成物は、以上
に説明した方法で得られるが、ケイヒ酸及び/又はケイ
ヒ酸誘導体の含有量は特に制限されない。組成物を固体
状態で使用する場合には、通常、組成物中の含有量は
0.05〜10重量%である。また、組成物を水溶液と
して使用する場合には、通常、水溶液中の濃度は0.0
0001〜0.02重量%である。
【0018】本発明の組成物の使用形態は特に限定され
ないが、組成物を固体状態で使用する場合には、バイン
ダーがワックスや粘土質の場合には、例えば、任意の径
の粒状あるいは球状に成形して使用することができ、バ
インダーが高分子の場合には、例えば、ペレット状、フ
ィルム状組成物を任意の大きさに裁断して使用すること
ができる。組成物が液体の場合には、例えば、直接植物
栽培土壌に添加して、あるいはポリウレタン等の発泡体
等に含浸させて使用することができる。
【0019】
【実施例】以下実施例によって本発明を具体的に説明す
る。尚、文中部又は%とあるのは特に断りのない限り重
量基準である。
【0020】実施例1 ケイヒ酸8部を熱精製水82部中で攪拌溶解し、これに
低粘度キトサンの10部を加えてさらに攪拌混合した。
これをG1ガラスフィルターで濾過してキトサン−ケイ
ヒ酸水溶液を得た。室温に冷却した後もケイヒ酸が沈殿
することもなく、キトサン−ケイヒサン水溶液は均一な
水溶液であった。人工気象器内で生育したセントポーリ
ア(ノースカロライナ)の苗を小鉢(直径11cm、深
さ8cm)に植え替え、液体肥料を加えて、25℃、2
000ルックス、16時間照射/日の条件の人工気象器
内で2週間栽培した。その後、鉢内の土の表面部分に上
記キトサン−ケイヒ酸水溶液を約0.05g/週滴下
し、同時に土が全体に湿る程度に水を加えて栽培を継続
した。キトサン−ケイヒ酸水溶液を滴下しなかったもの
をコントロールとして同時に栽培を行った。双方のセン
トポーリアの葉の長さを経時的に測定したところ、表1
に示す結果を得た。
【0021】
【表1】表1.経時的に測定したセントポーリアの葉長
(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させて根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0022】表2に、表1から算出した葉の伸長率
〔(A−B)/B×100(%):Aは測定日の平均葉
長、Bは測定開始日の平均葉長〕を示すが、栽培47日
目で、コントロールの33%の伸長率に対してキトサン
−ケイヒ酸水溶液添加では80%の伸長率を示し、キト
サン−ケイヒ酸溶液がセントポーリアの葉の成長を促進
することが分かる。
【0023】
【表2】表2.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0024】実施例2 実施例1で用いた苗をそのまま実施例1の条件下に栽培
を続けた。栽培23日目に3ポットのいずれの試験区に
も花芽が確認された。しかしながら、コントロール苗
(3ポットとも)には花芽は確認されなかった。更に栽
培を継続したところ、試験区(3ポットとも)の花芽は
成長を続け51日目には開花株が得られたが、コントロ
ール苗(3ポットとも)にはそのような兆候は認められ
なかった。この結果から明らかなように、キトサン−ケ
イヒ酸水溶液は開花促進効果を有している。結果を表3
にまとめて示す。
【0025】
【表3】表3.キトサン−ケイヒ酸の開花促進効果
【0026】実施例3 コーヒー酸10部を熱精製水80部中で攪拌溶解し、こ
れに低粘度キトサン10部を加えてさらに攪拌混合し
た。これをG1ガラスフィルターで濾過してキトサン−
コーヒー酸水溶液を得た。この水溶液を室温まで冷却し
たがコーヒー酸の析出はなく、均一な水溶液であった。
セントポーリア(スージー)の苗を小鉢(直径10c
m、深さ7cm)に植え付け、セントポーリア用温室内
(約20℃、自然光)で2週間栽培した。その後、鉢内
の土の表面部分に上記キトサン−コーヒー酸水溶液を約
0.05g/週滴下し、同時に土が全体に湿る程度に水
を加えて栽培を継続した。キトサン−コーヒー酸溶液を
滴下しなかったものをコントロールとして同時に栽培を
行った。双方のセントポーリアの葉の長さを経時的に測
定したところ、表4に示す結果を得た。
【0027】
【表4】表4.経時的に測定したセントポーリアの葉長
(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させて根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0028】表5に、表4から実施例1と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの32%の伸長率に対してキトサン−コーヒー酸水
溶液添加では76%の伸長率を示し、キトサン−コーヒ
ー酸溶液がセントポーリアの葉の成長を促進することが
分かる。
【0029】
【表5】表5.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0030】実施例4 実施例1で調製したキトサン−ケイヒ酸水溶液をMYG
培地(マルトエキス6g、イーストエキス4g、グルコ
ース4g、寒天15g/1l蒸留水、pH5.6)中に
添加し、この培地を直径9cmのシャーレに分注しプレ
ートを作った。このプレートの中央に一白金耳量のピシ
ウム菌(Pythium aphanidermatum)の菌糸を接種し25℃
で培養し、成長したコロニーの直径を経時的に測定し
た。キトサン−ケイヒ酸水溶液の芝病菌ピシウムの生育
抑制効果を調べたところ、表6に示すような結果を得
た。この結果から明らかな様にキトサン−ケイヒ酸はピ
シウム菌に対して抑制効果を有することが分かる。
【0031】
【表6】表6. キトサン−ケイヒ酸の芝病原菌(ピシウ
ム菌)に対する抑制効果 (*)++;コロニーの直径90mm以上 −−;コロニーを生じない
【0032】実施例5 キトサン(脱アセチル化度80モル%、分子量26万)
8gをイソプロピルアルコール(IPA)80gと精製
水40g中に室温にて5分間攪拌分散させ、これにケイ
ヒ酸14gを加えて更に3時間室温にて攪拌して造塩さ
せた。デカンテーション後、造塩物を60gの80%
(容量)IPA中に入れ、10分間攪拌した。この操作
を4度繰り返し、デカンテーションを行った。更に60
gのIPA中に入れ、10分間攪拌した。この操作を2
度繰り返した。デカンテーション後、60℃で真空乾燥
して粒状のキトサン−ケイヒ酸塩9gを得た。このもの
にはケイヒ酸臭は全くなかった。
【0033】実施例1と同様にしてセントポーリアの苗
を人工気象器内で栽培した後、鉢内の土の表面部分に上
記キトサン−ケイヒ酸塩を約0.5g散布し、同時に土
が全体に湿る程度に水を加えて更に栽培を続けた。キト
サン−ケイヒ酸塩を散布しなかったものをコントロール
として同時に栽培を継続した。双方のセントポーリアの
葉の長さを経時的に測定したところ、表7に示す結果を
得た。
【0034】
【表7】表7.経時的に測定したセントポーリアの葉長
(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0035】表8に、表7から前記と同様にして算出し
た葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロール
の33%の伸長率に対して、キトサン−ケイヒ酸塩添加
では77%の伸長率を示し、キトサン−ケイヒ酸塩がセ
ントポーリアの葉の成長を促進することが分かる。
【0036】
【表8】表8.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0037】実施例6 実施例1で調製したキトサン−ケイヒ酸水溶液を100
0倍に希釈してシャーレ中の脱脂綿に40mlを浸み込
ませ、カイワレ大根の種50粒を蒔いて25℃の暗所に
18時間置いた。水40mlを浸み込ませたものをコン
トロールとして発芽率を測定したところ、表9に示す結
果を得た。また、健康度の判断として同希釈液を成長し
た市販カイワレ大根のパックに50ml加え、人工気象
器中に1日放置した。水50mlを加えたものをコント
ロールとして、緑色度(クロロフィル)を日立製作所
(株)製U−2000A型分光光度計により測定したと
ころ、表10に示す結果を得た。この結果より、キトサ
ン−ケイヒ酸水溶液はカイワレ大根の発芽率を落とさ
ず、健康度を上げることが分かる。
【0038】
【表9】表9.カイワレ大根の発芽試験
【0039】
【表10】表10.カイワレ大根の健康度試験
【0040】実施例7 人工気象器内でヒヤシンスの球根を水道水で水栽培し、
十分に発根させた。1ヶ月後、僅かに発芽したところ
で、実施例1で調製したキトサン−ケイヒ酸水溶液を1
万倍に希釈して栽培容器を満たした。時折精製水を加
え、水位を保った。同時に水道水で栽培を行ったものを
コントロールとして観察した。双方のヒヤシンスの成長
を経時的に測定したところ、表11に示す結果を得た。
この結果から、キトサン−ケイヒ酸水溶液はヒヤシンス
の芽の成長を早めることが分かる。
【0041】
【表11】表11.経時的に測定したヒヤシンスの芽長
【0042】実施例8 ケイヒ酸1部をカオリン99部に加えて、混練り機で良
く練った。これを直径約5cmの球状に丸めて試験に供
した。実施例1と同様にセントポーリアを人工気象器内
で栽培した後、鉢内の土の表面部分に上記カオリン−ケ
イヒ酸球を10粒蒔き、同時に土が全体に湿る程度に水
を加えて栽培を継続した。カオリンのみを5mmの球状
に丸めたものを10粒蒔いた鉢をコントロールとして同
時に栽培を行った。双方のセントポーリアの葉の長さを
経時的に測定したところ、表12に示す結果を得た。
【0043】
【表12】表12.経時的に測定したセントポーリアの
葉長(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0044】表13に、表12から前記と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの33%の伸長率に対して、カオリン−ケイヒ酸球
添加では76%の伸長率を示し、カオリン−ケイヒ酸球
がセントポーリアの葉の成長を促進することが分かる。
【0045】
【表13】表13.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0046】実施例9 PVA(クラレ社製PVA−117(鹸化度98〜99
%))の15%水溶液を調製し、G1ガラスフィルター
で濾過してPVA水溶液とした。このPVA水溶液99
部に対してケイヒ酸1部を加え、スリーワンモーターで
十分に攪拌分散させた。得られたPVA−ケイヒ酸水溶
液をガラス板上に流延し、風乾させて厚さ0.1mmの
PVA−ケイヒ酸フィルムを得た。実施例1と同様にし
てセントポーリアを人工気象器内で栽培した後、鉢内の
土の表面部分に2cm四方にカットした上記PVA−ケ
イヒ酸フィルムを3枚敷き、同時に土が全体に湿る程度
に水を加えて栽培を継続した。PVAのみをフィルム状
にしたものを3枚敷いた鉢をコントロールとして同時に
栽培を行った。双方のセントポーリアの葉の長さを経時
的に測定したところ、表14に示す結果を得た。
【0047】
【表14】表14.経時的に測定したセントポーリアの
葉長(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0048】表15に、表14から前記と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの33%の伸長率に対してPVA−ケイヒ酸フィル
ム添加では86%の伸長率を示し、PVA−ケイヒ酸フ
ィルムがセントポーリアの葉の成長を促進することが分
かる。
【0049】
【表15】表15.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0050】実施例10 ポリエチレン99部にp−クマル酸1部を加えてミキサ
ーで混合し、40mm押し出し機(L/D=28、C.
R.=3.1、ダルメージ付きスクリュー、シリンダー
温度180℃、スクリュー回転速度70rpm)にて混
練し、ストランドを得た。これを数mmにカットし、ポ
リエチレン−p−クマル酸ペレットを得た。実施例1と
同様にしてセントポーリアを栽培した後、鉢内の土の表
面部分に上記ポリエチレン−p−クマル酸ペレットを5
0粒蒔き、同時に土が全体に湿る程度に水を加えて栽培
した。ポリエチレンのみをペレット状にしたものを50
粒蒔いた鉢をコントロールとして同時に栽培を行った。
双方のセントポーリアの葉の長さを経時的に測定したと
ころ、表16に示す結果を得た。
【0051】
【表16】表16.経時的に測定したセントポーリアの
葉長(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0052】表17に、表16から前記と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの33%の伸長率に対してポリエチレン−p−クマ
ル酸ペレット添加では77%の伸長率を示し、ポリエチ
レン−p−クマル酸ペレットがセントポーリアの葉の成
長を促進することが分かる。
【0053】
【表17】表17.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0054】実施例11 p−クマル酸8部を熱精製水82部中で攪拌溶解し、こ
れに低粘度キトサン10部を加えてさらに攪拌混合し
た。これをG1ガラスフィルターで濾過してキトサン−
p−クマル酸水溶液を得た。実施例1と同様にしてセン
トポーリアを栽培した後、鉢内の土の表面部分に上記キ
トサン−p−クマル酸水溶液を約0.05g/週滴下
し、同時に土が全体に湿る程度に水を加えて栽培を継続
した。キトサン−p−クマル酸水溶液を滴下しなかった
ものをコントロールとして同時に栽培を行った。双方の
セントポーリアの葉の長さを経時的に測定したところ、
表18に示す結果を得た。
【0055】
【表18】表18.経時的に測定したセントポーリアの
葉長(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0056】表19に、表18から前記と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの33%の伸長率に対して、キトサン−p−クマル
酸溶水液添加では92%の伸長率を示し、キトサン−p
−クマル酸溶液がセントポーリアの葉の成長を促進する
ことが分かる。
【0057】
【表19】表19.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0058】実施例12 フェルラ酸8部を熱精製水82部中で攪拌溶解し、これ
に低粘度キトサン10部を加えてさらに攪拌混合した。
これをG1ガラスフィルターで濾過してキトサン−フェ
ルラ酸水溶液を得た。この水溶液を室温まで冷却したが
フェルラ酸の析出はなく、均一な水溶液であった。実施
例1と同様にしてセントポーリアを栽培した後、鉢内の
土の表面部分に上記キトサン−フェルラ酸水溶液を約
0.05g/週滴下し、同時に土が全体に湿る程度に水
を加えて栽培を継続した。キトサン−フェルラ酸水溶液
を滴下しなかったものをコントロールとして同時に栽培
を行った。双方のセントポーリアの葉の長さを経時的に
測定したところ、表20に示す結果を得た。
【0059】
【表20】表20.経時的に測定したセントポーリアの
葉長(cm) (注1)測定値は1ポットあたり上位3枚の葉長を3ポ
ット(計9枚)測定し、平均した値である。 (注2)苗を置床してから2週間経過させ、根が十分に
張ってから測定を開始した。
【0060】表21に、表20から前記と同様にして算
出した葉の伸長率を示すが、栽培47日目で、コントロ
ールの33%の伸長率に対して、キトサン−フェルラ酸
水溶液添加では80%の伸長率を示し、キトサン−フェ
ルラ酸水溶液がセントポーリアの葉の成長を促進するこ
とが分かる。
【0061】
【表21】表21.セントポーリアの葉の伸長率(%)
【0062】
【発明の効果】上記の如く、本発明のケイヒ酸及び/又
はその誘導体を含有する植物栽培土壌添加用組成物の使
用により、これまで効果的な活用法が開発されていなが
ら実用化されていなかったケイヒ酸及びその誘導体の有
効利用が可能となり、実用化が促進され、特に水溶性キ
トサン誘導体とケイヒ酸及び/又はその誘導体を主成分
とする組成物は、生体や環境に優しく、また有効成分で
あるケイヒ酸及び/又はその誘導体を高濃度に溶解、含
有させることができ、更にこれらの徐放効果も期待でき
るものである。これらは、両成分から予想される以上の
効果である。ケイヒ酸及び/又はその誘導体を、粘度や
水溶性高分子等の水浸透性バインダー中に含有させた場
合及び熱可塑性樹脂等の水非浸透性バインダー中に含有
させた場合にも、本発明の組成物を水溶液として使用し
た場合と同等の植物生育促進効果が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (A01N 37/10 61:00) (72)発明者 星野 明 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダーとケイヒ酸及び/又はケイヒ
    酸誘導体とを含有することを特長とする植物栽培土壌添
    加用組成物。
  2. 【請求項2】 バインダーが、高分子、ワックス、粘土
    質及び無機多孔性物質から選択される少なくとも1種で
    ある請求項1に記載の植物栽培土壌添加用組成物。
  3. 【請求項3】 固体状態で使用する請求項1又は2に記
    載の植物栽培土壌添加用組成物。
  4. 【請求項4】 水溶液で使用する請求項1に記載の植物
    栽培土壌添加用組成物。
  5. 【請求項5】 高分子が水溶性高分子物である請求項4
    に記載の植物栽培土壌添加用組成物。
  6. 【請求項6】 水溶性高分子がカチオンポリマーである
    請求項5に記載の植物栽培土壌添加用組成物。
  7. 【請求項7】 カチオンポリマーがキトサン又はその誘
    導体である請求項6に記載の植物栽培土壌添加用組成
    物。
  8. 【請求項8】 バインダーがキトサン又はその誘導体で
    あり、これとケイヒ酸及び/又はケイヒ酸誘導体が塩を
    形成した固体である請求項1に記載の植物栽培土壌添加
    用組成物。
  9. 【請求項9】 ケイヒ酸誘導体がコーヒー酸又はp−フ
    ェルラ酸である請求項1〜8のいずれか1項に記載の植
    物栽培土壌添加用組成物。
  10. 【請求項10】 植物の成長を促進し、開花の時期を早
    めるための請求項1〜9のいずれか1項に記載の植物栽
    培土壌添加用組成物。
  11. 【請求項11】 病原菌による根腐れや葉の枯死の予防
    に使用する請求項1〜9のいずれか1項に記載の植物栽
    培土壌添加用組成物。
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WO2017046237A1 (en) 2015-09-15 2017-03-23 Fyteko Bioactive composition for improving stress tolerance of plants
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