JP2015010215A - 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途 - Google Patents

多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2015010215A
JP2015010215A JP2013138430A JP2013138430A JP2015010215A JP 2015010215 A JP2015010215 A JP 2015010215A JP 2013138430 A JP2013138430 A JP 2013138430A JP 2013138430 A JP2013138430 A JP 2013138430A JP 2015010215 A JP2015010215 A JP 2015010215A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded product
water
porous
pva
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013138430A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6277539B2 (ja
Inventor
吉原 資二
Sukeji Yoshihara
資二 吉原
岡 達也
Tatsuya Oka
達也 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2013138430A priority Critical patent/JP6277539B2/ja
Publication of JP2015010215A publication Critical patent/JP2015010215A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6277539B2 publication Critical patent/JP6277539B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】微生物の棲息性及び撹拌耐久性に優れた多孔質含水ゲル成形物を提供する。また、このような多孔質含水ゲル成形物を安定して連続生産することが可能な製造方法を提供する。【解決手段】ジアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコールを含む多孔質含水ゲル成形物であって;アセタール化度が1〜15mol%であり、含水率が90〜98重量%であり、孔径が0.1〜50μmであり、かつ前記多孔質含水ゲル成形物からのポリビニルアルコールの溶出量が、該多孔質含水ゲル成形物1kgに対して1g以下であることを特徴とする多孔質含水ゲル成形物。【選択図】図4

Description

本発明は、ポリビニルアルコールを含む多孔質含水ゲル成形物に関する。また、本発明は、そのような多孔質含水ゲル成形物の製造方法及び用途に関する。
高分子素材からなる含水ゲル成形物は、生体触媒の担体、保水剤、保冷剤、眼・皮膚・関節などの生体ゲルの代替、薬物の徐放材、アクチュエーターの基材として、その研究が盛んである。これらの含水ゲル成形物の原料となる高分子素材としては、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)、光硬化性樹脂などがある。排水処理などに用いる担体としては、含水率が高いこと、酸素や基質の透過性に優れていること、生体との親和性が高いことなどが要求される。PVAはこれらの条件を満たす材料として特に優れている。
PVAからなる含水ゲル成形物を用いた排水処理方法では、処理槽内に含水ゲル成形物を投入し、当該含水ゲル成形物に固定化された微生物の働きで処理槽の排水を分解処理する。微生物の棲息領域を増やす観点から、処理槽に投入される含水ゲル成形物の含水率は高い方が好ましく、含水ゲル成形物が連通孔を有することが好ましい。また、含水ゲル成形物を用いた排水処理方法においては、排水の処理効率を向上させるために、散気管、水中エアレーター等の曝気流動装置や水中ミキサー、縦型撹拌機等の各種撹拌機を用いて槽内を撹拌する。このとき、含水ゲル成形物の含水率を高くしたり、含水ゲル成形物が連通孔を有していたりすると、含水ゲル成形物の強度が低下し撹拌によって含水ゲル成形物が破損することがあった。そのため、微生物の棲息性と撹拌に対する耐久性とを両立させたゲル成形物が求められていた。
従来、排水処理用担体、バイオリアクター用担体としての含水ゲル成形物を製造する方法としては、以下の特許文献1〜5に記載の方法などが知られている。
特許文献1には、PVAとアルギン酸ナトリウムの混合水溶液を塩化カルシウム水溶液に接触させて球状化してPVA成形物を得た後、凍結解凍を行う方法が記載されている。特許文献2には、PVA水溶液を鋳型に注入後、凍結してから部分脱水を行う方法が記載されている。
特許文献1及び2に記載された方法は、凍結解凍あるいは凍結脱水によってPVAの微結晶を作ることでPVAを不溶化する方法である。しかしながら、このような物理化学的架橋は非常に弱い。そのため、特許文献1及び2に記載の方法で得られたPVA成形物は強度が劣り、撹拌によって容易に破損する問題があった。また、当該PVA成形物はシュードモナス(pseudomonas)属などのPVA分解菌によって崩壊するという問題もある。
特許文献3には、PVA含有溶液からPVA成形物を製造後、アルデヒドを含む水溶液と接触させて架橋して含水ゲル成形物を製造する方法が記載されている。具体的に実施例1〜4では、PVA成形物をホルムアルデヒドを含む水溶液と接触させる方法が記載されている。しかしながら、PVA成形物を接触させる水溶液にアルデヒドを添加する必要があるため、大量のアルデヒドが必要である。また、PVA成形物から溶出したPVAが反応浴中で析出し、製造工程の容器や配管・ポンプ類を閉塞するという問題がある。PVA成形物が製造過程で収縮して含水率が低下するので、微生物の棲息領域が少なくなり、排水処理用担体やバイオリアクター用担体としては好ましくない。さらに、特許文献3の実施例5では、PVA成形物をグルタルアルデヒドを含む水溶液と接触させる方法が記載されているが、この方法で得られるPVA成形物は孔を有さない。そのため、当該PVA成形物を微生物担体として用いた場合、微生物の棲息領域がPVA成形物の表面に限られてしまい、好ましくない。
特許文献4には、PVA、アルギン酸ナトリウム及びグルタルアルデヒドの混合水溶液を、多価金属イオンを含有するpHが3〜5の酸性水溶液に滴下して球状の含水ゲル成形物を製造する方法が記載されている。しかしながら、酸性水溶液のpHが3〜5である場合には、PVAとアルデヒドの反応に長い時間を要するため、PVAおよびアルデヒドが酸性水溶液側に溶出してしまうという問題がある。また、特許文献4に記載された方法で得られるPVA成形物は孔を有さないため、当該PVA成形物を微生物担体として用いた場合、微生物の棲息領域がPVA成形物の表面に限られてしまい、好ましくない。
特許文献5には、ポリビニルアルコールおよびジアルデヒド含有液を成形後、pHが3以下の酸と接触させることにより得られる、粒径が1〜20mm、アセタール化度が1〜20モル%のPVA成型物が記載されている。この製造方法によれば、グルタルアルデヒドを使用することで、アルデヒドの添加量を抑制し、脆さや製造過程での収縮といった課題を改善することができる。しかしながら、得られるPVA成形物は孔を有さないため、微生物の棲息領域がPVA成形物の表面に限られてしまい、好ましくない。
特許文献6には、平均孔径が0.5〜20μmの網目構造を有する、アセタール化度が10〜50モル%であるアセタール化ポリビニルアルコール含水ゲルが記載されている。また、網目構造はPVA水溶液を−5℃以下で凍結させることにより得られると記載されており、アセタール化にはアルデヒド化合物を用いることが記載されている。さらに、PVA含水ゲルを任意の形状に成形するために、水溶性高分子多糖類を添加してもよいと記載されている。そして、特許文献6に記載の方法により得られるPVA含水ゲルは、微生物の棲息性がよく、かつPVAの溶出が激減し、耐久性も向上すると記載されている。しかしながら、微生物の棲息性及び撹拌に対する耐久性は未だ十分でなく改善が求められていた。
特開昭64−43188号公報 特開昭58−36630号公報 特開平7−41516号公報 特開平9−157433号公報 特開2010−116439号公報 特開平9−124731号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、微生物の棲息性及び撹拌耐久性に優れた多孔質含水ゲル成形物を提供することを目的とするものである。また、このような多孔質含水ゲル成形物を安定して連続生産することが可能な製造方法を提供することを目的とするものである。さらに、多孔質含水ゲル成形物からなる微生物担体、担体に担持された微生物によって排水を処理する排水処理方法並びに当該処理方法を実施するための排水処理装置を提供することを目的とするものである。
上記課題は、ジアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコールを含む多孔質含水ゲル成形物であって;アセタール化度が1〜15mol%であり、含水率が90〜98重量%であり、孔径が0.1〜50μmであり、かつ前記多孔質含水ゲル成形物からのポリビニルアルコールの溶出量が、該多孔質含水ゲル成形物1kgに対して1g以下であることを特徴とする多孔質含水ゲル成形物を提供することによって解決される。このとき、前記多孔質含水ゲル成形物が、球相当径が1〜20mmの粒子であることが好ましい。
上記課題は、多孔質含水ゲル成形物の製造方法であって;ポリビニルアルコールとジアルデヒドとを含む水溶液をゲル化させて成形物を得る第1工程と、ポリビニルアルコールをジアルデヒドでアセタール化する第2工程とを備えることを特徴とする多孔質含水ゲル成形物の製造方法を提供することによっても解決される。
前記第1工程において、ポリビニルアルコール、ジアルデヒド及び水溶性多糖を含む水溶液を、カチオンを含む水溶液に滴下してゲル化させて成形物を得ることが好ましい。前記第2工程においてポリビニルアルコールをアセタール化するに際し、前記第1工程で得られた成形物を、pHが3以下であり、金属塩を含み、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が0.2〜10mol/Lであることも好ましい。
上記課題は、前記多孔質含水ゲル成形物からなる微生物担体を提供することによっても解決される。
上記課題は、前記担体に担持された微生物によって排水を処理する排水処理方法を提供することによっても解決される。
上記課題は、微生物が担持された請求項6に記載の担体を収容した反応槽と、前記反応槽に排水を供給する手段と、前記反応槽から処理水を取り出す手段とを備える排水処理装置を提供することによっても解決される。
本発明の多孔質含水ゲル成形物は微生物の棲息性及び撹拌耐久性に優れている。また、本発明の製造方法によれば、このような多孔質含水ゲル成形物の安定的な連続生産が可能となる。さらに、多孔質含水ゲル成形物からなる微生物担体、担体に担持された微生物によって排水を処理する排水処理方法を提供することもできる。当該排水処理方法によれば、排水の汚濁物質および水量が低減できることから排水施設や環境への負荷を抑えることが可能である。さらにまた当該処理方法を実施するための排水処理装置を提供することもできる。
嫌気性排水処理を実施するための一槽式排水処理装置の一例を示した図である。 嫌気性排水処理を実施するための二槽式排水処理装置の一例を示した図である。 好気性排水処理を実施するための装置の一例を示した図である。 実施例1の含水ゲル成形物(C)の表面のSEM写真である。 比較例1の含水ゲル成形物(C)の表面のSEM写真である。
本発明は、ジアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコール(PVA)を含む多孔質含水ゲル成形物に関する。ジアルデヒドによってアセタール化することによって、PVAに架橋構造を導入することができる。
多孔質含水ゲル成形物の原料となるPVAは、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルを重合し、ケン化することによって得られる。平均重合度は、多孔質含水ゲル成形物の強度の観点から、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましい。ケン化度は、多孔質含水ゲル成形物の強度の観点から、95mol%以上が好ましく、98mol%以上がより好ましい。
多孔質含水ゲル成形物の原料となるPVAとしては、無変性PVAを用いることができる他、本発明の効果を損なわない範囲で種々の変性PVAを用いてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体又はその塩;アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソ−ダ、アリルスルホン酸ソ−ダ、ビニルスルホン酸ソ−ダ等のビニルスルホン酸基含有単量体又はその塩;(メタ)アクリルアミド−プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩含有単量体等のカオチン性単量体;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等のアミド基含有単量体;アルキルビニルエ−テル;トリメトキシルビニルシラン等のシリル基含有単量体;アリルアルコ−ル、ジメチルアリルアルコ−ル、イソプロペニルアルコ−ル等の水酸基含有単量体;アリルアセテートジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテ−ト等のアセチル基含有単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有単量体;スチレン等の芳香族系単量体との共重合体が挙げられる。入手容易性の観点からビニルアルコールの単独重合体が好ましく用いられる。
本発明で用いられるジアルデヒドとしては、グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジプアルデヒド、マレアルデヒド、タルタルアルデヒド、シトルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが例示される。入手容易性の観点からグルタルアルデヒドが好ましい。
本発明において、多孔質含水ゲル成形物に含まれるPVAのアセタール化度は1〜15mol%である。アセタール化度が15mol%より大きいと、ゲルが脆くなり、かつ収縮が著しく微生物の生息領域が少なくなる。アセタール化度は10mol%以下であることが好ましい。一方、アセタール化度が1mol%未満であると、必要なゲル強度が得られない。アセタール化度は2mol%以上であることが好ましい。
本発明の多孔質含水ゲル成形物の含水率は90〜98重量%である。含水率が90重量%未満であると、多孔質含水ゲル成形物を微生物担体として用いた場合に微生物の棲息性が低下する。含水率は92重量%以上であることが好ましい。含水率が98重量%を超えると、多孔質含水ゲル成形物の強度が低下する。含水率は95重量%以下であることが好ましい。
本発明において、多孔質含水ゲル成形物の凍結乾燥品の孔径が0.1〜50μmである。ここで、本発明における孔径とは水銀ポロシメーターで測定される孔径分布のピーク値のことである。また、水銀ポロシメーターで測定される孔径分布のピーク値が0.1〜50μmであるとは、横軸を気孔直径とし、縦軸を対数微分気孔体積とする対数気孔径頻度分布曲線が気孔直径0.1〜50μmの範囲にピークを有することをいう。孔径分布のピーク値が0.1μm未満であると多孔質含水ゲル成形物中における微生物の生息領域が少なくなる。孔径分布のピーク値は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。一方、孔径分布のピーク値が50μmを超えると必要なゲル強度が得られない。孔径分布のピーク値は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
ここで、上記孔径分布測定に用いられる凍結乾燥品は、多孔質含水ゲル成形物を、後述の実施例に記載の方法に従って凍結後に真空乾燥することによって得られる。
本発明において、前記多孔質含水ゲル成形物からのPVAの溶出量が、該多孔質含水ゲル成形物1kgに対して1g以下であることが重要である。ここで、本明細書におけるPVAの溶出量とは、多孔質含水ゲル成形物1kgを粉砕して水を加え121℃で15分オートクレーブ処理した後に水に溶け出したPVAの重量(g)のことである。PVAの溶出量が1gを超えると多孔質含水ゲル成形物を微生物担体として用いる際にPVAの溶出による発泡が著しくなり取り扱い性に劣る。PVAの溶出量は0.75g以下であることが好ましく、0.5g以下であることがより好ましい。
本発明において、多孔質含水ゲル成形物が、球相当径が1〜20mmの粒子であることが好ましい。ここで、球相当径とは粒子の体積と等しい体積を有する球の直径のことである。球相当径が20mmを超えると、多孔質含水ゲル成形物の撹拌耐久性が低下するおそれがある。撹拌耐久性をより向上させる観点から、粒子の球相当径は10mm以下であることがより好ましく、4.5mm以下であることがさらに好ましい。一方、球相当径が1mmを下回ると取り扱い性が劣るおそれがある。また、多孔質含水ゲル成形物を排水処理の担体に用いる場合、通常、処理槽にはスクリーン(濾過部)が設けられている。この場合、多孔質含水ゲル成形物の流出を防止するためにはスクリーンの目開きは多孔質含水ゲル成形物の球相当径よりも小さくしなければならない。したがって、多孔質含水ゲル成形物の球相当径が小さくなるとスクリーンの目開きも小さくなり、汚泥や異物がスクリーンに詰まりやすくなる。排水の処理効率の観点から、球相当径は2mm以上であることがより好ましく、3.5mm以上であることがさらに好ましい。
本発明において、多孔質含水ゲル成形物の形状としては、球状、繊維状、棒状、角形状、円筒状、円柱状等の形状が可能であり、球状であることが好ましい。具体的には円形度が0.7以上の球状のものがより好ましい。ここで円形度とは、複数の粒子についてそれぞれ(粒子の投影面積/粒子の最大長を直径とする円の面積)比を求め、それらを算術平均した値をいう。
本発明の多孔質含水ゲル成形物の好適な製造方法は、ポリビニルアルコールとジアルデヒドとを含む水溶液をゲル化させて成形物を得る第1工程と、ポリビニルアルコールをジアルデヒドでアセタール化する第2工程とを備えるものである。
上記製造方法における工程の順序は特に限定されないが、ゲル化させて成形物を得た後にアセタール化することが好ましい。PVAとジアルデヒドとを混合する際の混合方法は特に限定はされず、バッチでの撹拌機による混合方法などが使用できる。
また、本発明の多孔質含水ゲル成形物がさらに水溶性多糖を含むことも好ましい。このとき、多孔質含水ゲル成形物における水溶性多糖の含有量は、当該多孔質含水ゲル成形物中のPVAの重量に対して5〜50重量%である。水溶性多糖としては、アルギン酸のアルカリ金属塩、カラギーナン、マンナン、キトサンなどを例示することができる。入手容易性の観点からアルギン酸ナトリウムが好ましい。アルギン酸ナトリウムは、主に褐藻(昆布など)から産出される多糖の一種であり、カルボキシル基を有するα−L−グルロン酸及びβ−D−マンヌロン酸という単糖のナトリウム塩から形成されている。
上記第1工程において、ポリビニルアルコール、ジアルデヒド及び水溶性多糖を含む水溶液を、カチオンを含む水溶液に滴下してゲル化させて成形物を得ることが好ましい。
まず、第1工程において、PVA、ジアルデヒド及び水溶性多糖を含む混合水溶液を調製する。この混合水溶液が本発明の多孔質含水ゲル成形物の原材料となる。このとき、PVA、ジアルデヒド及び水溶性多糖は上記で説明したものを用いればよい。
この混合水溶液のPVA濃度は、2〜10重量%が好ましい。PVAの濃度が高いほど、より強固なゲルを形成するが、必要なゲル強度が得られれば、PVAの濃度が低い方が原料コスト面から有利である。
この混合水溶液のジアルデヒド濃度は、PVA中の全単量体単位のmol数に対して0.5〜10mol%であることが好ましい。ジアルデヒド濃度が、PVA中の全単量体単位のmol数に対して0.5mol%未満であるとアセタール化反応が効率よく進行せず架橋不足となり、多孔質含水ゲル成形物からのPVAの溶出が多くなるおそれがある。ジアルデヒド濃度は1.5mol%以上であることがより好ましい。一方、ジアルデヒド濃度が、PVA中の全単量体単位のmol数に対して10mol%を超えると多孔質含水ゲル成形物が脆くなるとともに、製造過程での収縮が大きくなって含水率が低下するおそれがある。また、多孔質含水ゲル成形物を微生物担体として用いた場合、多孔質含水ゲル成形物の収縮によって微生物の棲息性が低下するおそれがある。そのため排水を分解処理したとき、その分解効率が低下するおそれがある。ジアルデヒド濃度は、7.5mol%以下であることがより好ましい。混合水溶液のジアルデヒド濃度をこのような範囲とすることで、微生物の棲息性に優れた多孔質含水ゲル成形物を得ることができる。
この混合水溶液の水溶性多糖の濃度は、ゲルの成形性の観点から混合水溶液全体に対して0.2〜4重量%であることが好ましく、0.5〜2重量%であることがより好ましい。
上記混合水溶液には、PVAのゲル化及びアセタール化を阻害しない範囲で、微生物、酵素、微生物の培地、補強材、比重を調整する充填材等を加えてもよい。また、上記混合水溶液にはデンプンを加えることが好ましい。上記混合水溶液にデンプンを加えることでアセタール化反応において相分離が促進され、多孔質含水ゲル成形物の孔径が大きくなる。上記混合水溶液中におけるデンプンの濃度は0.1〜10重量%であることが好ましい。また、上記混合水溶液に加えるデンプンは無変性デンプンを用いることができる他、本発明の効果を損なわない範囲で種々の変性デンプンを用いてもよい。変性デンプンとしては、化学的にデンプンの膨潤を抑制した架橋デンプン、あるいは物理的に変性した湿熱処理デンプンがなどが挙げられる。
以上のようにして調製した混合水溶液を、カチオンを含む水溶液に接触させることで、様々な形状の成形物を得ることが可能となる。本明細書において、混合水溶液をカチオンを含む水溶液に接触させて凝固させるときの水溶液のことを凝固液と称す。
カチオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、ニッケルイオン、セリウムイオンなどの多価金属イオン;カリウムイオン;アンモニウムイオンなどが例示される。中でも多価金属イオンが好ましく、アルカリ土類金属がより好ましい。凝固液のカチオン含有化合物の濃度は、0.05〜0.5mol/Lであることが好ましい。
接触させる方法としては特に限定はされないが、原材料となる混合溶液を凝固液に空気中から滴下する方法でもよいし、液中で接触させる方法でもよく、通常使用する接触方法を適宜選択して使用できる。混合水溶液を凝固液に滴下することで、水溶性多糖とカチオンとでイオン結合が形成され、成形物が球状となる。このとき、混合水溶液中のPVAと水溶性多糖は、その多くが多孔質含水ゲル成形物の中に取り込まれ、凝固液中に溶出する量は少ない。
上記第2工程において、ポリビニルアルコールをアセタール化するに際し、前記第1工程で得られた成形物を、pHが3以下であり、金属塩を含み、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が0.2〜10mol/Lである水溶液に接触させることが好ましい。本明細書において、上記第2工程でアセタール化するときに用いられる、酸および金属塩を含む水溶液のことをアセタール化反応液と称す。
上記第2工程において、酸および金属塩を含むアセタール化反応液を調製する。アセタール化反応液に含まれる酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸などの酸や、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウムなどの酸性塩を例示することができる。その中でも、汎用性、コストの点から、硫酸が好ましい。酸濃度が低いと反応時間がかかり、成形物からPVAやジアルデヒドが溶出することから、アセタール化反応液のpHが3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
金属塩としては、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩などを例示することができ、その中でも硫酸塩、塩酸塩が好ましい。また、カチオン種としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属を例示することができる。上記アセタール化反応液において、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が0.2〜10mol/Lであることが好ましい。金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が0.2mol/L未満であると成形物中に多孔構造が形成されないおそれがあり、0.4mol/L以上であることがより好ましい。一方、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が10mol/Lを超えるとスケールが発生するおそれがあり、6mol/L以下であることがより好ましい。
ここで、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値とは、例えば、アセタール化反応液に含まれる金属塩が硫酸ナトリウム(Na2SO4)の場合、ナトリウムイオンの濃度に1を乗じた値のことである。したがって、硫酸ナトリウムの濃度が1mol/Lの場合、当該値は2mol/Lとなる。金属塩が塩化ナトリウム(NaCl)の場合、ナトリウムイオンの濃度に1を乗じた値のことである。したがって、塩化ナトリウムの濃度が1mol/Lの場合、当該値は1mol/Lとなる。金属塩が硫酸マグネシウム(MgSO4)の場合、マグネシウムイオンの濃度に2を乗じた値のことである。したがって、硫酸マグネシウムの濃度が1mol/Lの場合、当該値は2mol/Lとなる。
上記第1工程で得られた成形物をアセタール化反応液に接触させるときのアセタール化反応液の温度は20〜80℃であることが好ましい。20℃未満では、反応時間が長くなるためアセタール化反応液中にPVAやジアルデヒドが溶出するおそれがある。また、80℃を超えるとプラントの酸による腐食が激しく、好ましくない。
上記第1工程で得られた成形物をアセタール化反応液に接触させることで、成形物中のPVAをアセタール化させる。アセタール化反応が進行するにつれて、親水性であったPVAが疎水性になり相分離が誘起され、成形物中に多孔構造が形成される。そして、得られた成形物を適宜洗浄等することで多孔質含水ゲル成形物が作製される。
このようにして得られた多孔質含水ゲル成形物は、マクロな三次元網目構造を有し、弾力がある。また、多孔質含水ゲル成形物からのPVA溶出も非常に少ない。そして、製造過程での収縮もほとんどなく、高含水率である。製造過程において、反応浴(凝固液、アセタール化反応液)中へのPVAやジアルデヒド(架橋剤)の溶出が非常に少ないため、安定した連続生産が可能となる。このようにして得られた多孔質含水ゲル成形物は、長期間にわたって変形、損壊しない強度を有し、水や各種薬液に対しても侵されにくく、連続使用が可能である。さらに、撹拌耐久性及び微生物の棲息性に優れていることから、排水処理やバイオリアクター用の担体としての実用性が高い。
さらには、このようにして得られた多孔質含水ゲル成形物は、排水処理用微生物担体又は生体触媒の担体として好適に利用できるだけではなく、保水剤、保冷剤、眼・皮膚・関節などの生体ゲルの代替、薬物の徐放材、アクチュエーターの基材としても利用できる。
本発明の好適な実施態様は、上記多孔質含水ゲル成形物からなる微生物担体である。そして当該担体に担持された微生物によって排水を処理することである。このとき、担体に担持される微生物は、嫌気性微生物であっても好気性微生物であってもよい。特に上記多孔質含水ゲル成形物は嫌気性排水処理の微生物担体として好適である。上記多孔質含水ゲル成形物は、その表面のみだけでなく内部まで微生物が棲息可能だからである。微生物の種類は処理すべき排水の汚れや種類によって適宜選択すればよい。
多孔質含水ゲル成形物に嫌気性微生物を担持させる方法としては、特に限定はされないが、多孔質含水ゲル成形物と、嫌気性消化汚泥とを排水処理装置の反応槽内で混合する方法などが例示される。このように、多孔質含水ゲル成形物と嫌気性消化汚泥とを混合することで、嫌気性消化汚泥に含まれる嫌気性微生物が多孔質含水ゲル成形物に担持される。一方、多孔質含水ゲル成形物に好気性微生物を担持させる方法も、特に限定はされないが、多孔質含水ゲル成形物と、活性汚泥とを排水処理装置の反応槽に加える方法などが例示される。このように、多孔質含水ゲル成形物と活性汚泥とを混合することで、活性汚泥に含まれる好気性微生物が多孔質含水ゲル成形物に担持される。
また、多孔質含水ゲル成形物を微生物や栄養成分を含む水溶液に加え、多孔質含水ゲル成形物に予め微生物を担持させたものを、排水処理装置の反応槽に加える方法を採用してもよい。しかしながら、このような方法を採用しなくとも本発明の多孔質含水ゲル成形物には十分に微生物が担持される。したがって、多孔質含水ゲル成形物に予め微生物を担持させずに排水処理装置の反応槽に加える方法が好適に採用できる。
処理される排水の種類としては、微生物が分解することのできる排水であれば特に限定はされないが、トイレなどから排出される汚水、炊事や洗濯などに伴って排出される雑排水、工場や事業所などから排出される工業排水などを例示することができる。処理される排水は、固形性成分を主とする泥状であっても、溶解性成分を主とする液状であってもかまわない。
また、担体に担持された微生物が嫌気性微生物である場合、排水処理装置は、担体を収容した嫌気性反応槽と、嫌気性反応槽に排水を供給する手段と、嫌気性反応槽から処理水を取り出す手段とを備えることが好ましい。以下、嫌気性排水処理を実施するための好ましい装置の具体例について説明する。
図1は、嫌気性排水処理を実施するための一槽式嫌気性排水処理装置の一例を示した図である。図1において、嫌気性反応槽2内には嫌気性消化汚泥に含まれる嫌気性微生物が担持された多孔質含水ゲル成形物が収容されている。家庭、工場、事業所などから排出された排水(原水)が原水ポンプ1によって嫌気性反応槽2に流入される。このとき原水の流入量は、図示しない流量計で測定され調節弁等で調節されてもよい。
嫌気性反応槽2内では、担体に担持された嫌気性微生物によって、原水中の炭水化物、たんぱく質、脂質などの有機化合物が有機酸などへ分解処理される(酸生成)。このとき、嫌気性反応槽2内は図示しない温度計や加熱ヒーターなどを用いて嫌気性微生物による分解処理の至適温度に設定してもよい。また、pH測定器で嫌気性反応槽2内のpHを測定し、嫌気性微生物による分解処理に最適なpHとなるようにしてもよい。また、嫌気性反応槽2内では、担体に担持された嫌気性微生物によって、有機酸がさらに分解処理され、メタンガスや二酸化炭素などのガスが発生する(メタン発酵)。このガスは排ガスラインなどによって嫌気性反応槽2の外に排出される。
そして、嫌気性反応槽2内で処理された原水は処理水として、嫌気性反応槽2の排出口(図示せず)から排出される。このとき、必要に応じて処理水の一部又は全部を図示しないポンプなどによって再び嫌気性反応槽2に流入させて原水を循環処理してもよい。
また、上述した図1の装置は一槽式嫌気性排水処理装置であるが二槽式嫌気性排水処理装置としてもかまわない。図2は、嫌気性排水処理を実施するための二槽式嫌気性排水処理装置の一例を示した図である。一般的に二槽式嫌気性排水処理装置では、酸生成とメタン発酵とを2槽に分けて行う。
図2に示すように、二槽式嫌気性排水処理装置は、酸生成槽3及びメタン発酵槽4を備えている。そして、酸生成槽3及び/又はメタン発酵槽4には嫌気性微生物が担持された多孔質含水ゲル成形物が収容されている。そして、家庭、工場、事業所などから排出された排水(原水)が原水ポンプ1によってまず酸生成槽3に流入される。酸生成槽3内では原水中の有機化合物の低分子化及び有機酸への転換が行われる。
そして、酸生成槽3で有機酸が生成した処理水は、メタン発酵槽流入ポンプ5によって、メタン発酵槽4に流入される。メタン発酵槽4では、酢酸などの有機酸がメタン発酵菌によってメタンガスと二酸化炭素に分解される。これら反応ガスは排ガスラインなどによってメタン発酵槽4の外に排出される。メタン発酵槽4内で処理された処理水は、メタン発酵槽4の排出口(図示せず)から排出される。
次に、好気性排水処理を実施するための好ましい態様を説明する。
担体に担持された微生物が好気性微生物である場合、排水処理装置は、担体を収容した好気性反応槽と、好気性反応槽に酸素を供給する手段と、好気性反応槽に排水を供給する手段と、好気性反応槽から処理水を取り出す手段とを備えることが好ましい。以下、好気性排水処理を実施するための好ましい装置の具体例について説明する。
図3は、好気性排水処理を実施するための装置の一例を示した図である。図3において、好気性反応槽6内には好気性微生物が担持された多孔質含水ゲル成形物が収容されている。
好気性反応槽6内では、担体に担持された好気性微生物によって、原水中の有機物が分解処理される。また、好気性反応槽6には槽内を曝気するブロアが備えられる。ブロアは、好気性反応槽6内を、好気性微生物による分解処理に最適なDO(Dissolved Oxygen;溶存酸素)濃度に保持できるものであれば特に限定はされない。
また、図3に示した好気性微生物による排水処理装置においても、原水の流入量を調節してもよい。好気性反応槽6内のpHや温度も好気性微生物による分解処理に最適な範囲にすればよい。必要に応じて処理水の一部又は全部を図示しないポンプなどによって再び好気性反応槽6に流入させて原水を循環処理してもよい。
以下、実施例により本発明の多孔質含水ゲル成形物について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
PVA濃度が7重量%となるように、PVA(株式会社クラレ製、平均重合度1700、ケン化度99.8mol%)に水を加え、熱水中で60分間処理しPVAを溶解した。このPVA水溶液に、1重量%となるようにアルギン酸ナトリウムを加え、30分間撹拌溶解を行った。さらに、この水溶液にグルタルアルデヒドをPVA中の全単量体単位のmol数に対して3.1mol%となるように添加した後、十分に混合し混合水溶液を調製した。この混合水溶液100gを先端に内径1.5mmのノズルをとりつけた内径3.2mmのシリコンチューブを装着したローラーポンプにより8mL/分の速度で送液し、スターラーで撹拌した濃度0.1mol/Lの塩化カルシウム水溶液からなる凝固液1Lに滴下した。滴下した液滴は塩化カルシウム水溶液中で球状化して沈降した。
この球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離し、40℃のアセタール化反応液(B)1Lに60分間浸漬した。ここで、アセタール化反応液(B)は、硫酸を10g/Lおよび硫酸ナトリウムを0.5mol/L(金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が1.0mol/L)を含み、pHが0.7である水溶液である。その後、成形物をアセタール化反応液(B)から分離し水洗した。その結果、球相当径が約4.1mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。含水ゲル成形物(C)を凍結乾燥した後、金を蒸着させてから電子顕微鏡で含水ゲル成形物(C)の表面を観察した。含水ゲル成形物(C)の表面のSEM写真を図4に示す。得られたSEM写真から、実施例1の含水ゲル成形物(C)の表面には、0.5〜4μm程度の孔が多数存在することがわかった。
また、この含水ゲル成形物(C)の含水率は93重量%であり、PVAのアセタール化度は4mol%であった。この含水ゲル成形物(C)の製品物性および反応液の発生異物量を確認するため、下記に示す方法により、孔径、体積保持率、PVA溶出量、反応液異物発生量、撹拌耐久性、TOC除去速度、微生物分布、及び生物処理試験時の微生物量をそれぞれ測定した。結果を表1にまとめて示す。
[孔径]
実施例1の含水ゲル成形物(C)を液体窒素で凍結した後、−50℃で乾燥した。そして水銀ポロシメーターを使用して水銀圧入法により孔径(孔径分布のピーク値)を測定した。具体的には、70℃で乾燥した試料を、Quantachrome社製の水銀ポロシメーター「ポアマスター60GT」を用いて水銀圧入法にて測定した。
[体積保持率]
下記式(1)で示される値を体積保持率と定義した。下記式(1)において、上記球状成形物(A)100個の体積をa立方センチメートルとし、含水ゲル成形物(C)100個の体積をc立方センチメートルとした。
体積保持率(%)=(c/a)×100 (1)
実施例1の含水ゲル成形物(C)の体積保持率は104%であった。
[PVA溶出量(g−PVA/kg−ゲル)]
実施例1の含水ゲル成形物(C)約2gに対して、9倍の重量の水を加えたものをホモジナイザーにて粉砕した後、121℃で15分オートクレーブ処理した。この上清を採取しPVAの重量(g)を測定した。PVA溶出量は含水ゲル成形物(C)1kgあたりの量として表現した。実施例1の含水ゲル成形物(C)のPVA溶出量は0.01(g−PVA/kg−ゲル)であった。
[反応液異物発生量(g−SS/kg−PVA)]
反応液異物発生量は、反応後のアセタール化反応液(B)を1ミクロンのフィルターでろ過し、105℃、1時間乾燥させた後の固形分(SS;Suspended Solids)の重量を測定することにより評価した。ここで述べる反応液異物発生量とは、PVAを化学架橋(アセタール化)させるための反応液に発生した異物の量である。異物の量は、反応後のアセタール化反応液(B)を1ミクロンのフィルターでろ過を行い、105℃、1時間乾燥させた後の固形分(SS)の重量を測定することにより評価した。反応液異物発生量は使用したPVA重量1kgあたりに発生した異物の量として表現した。その結果、固形分(SS)は確認されなかった。
[撹拌耐久性]
含水ゲル成形物(C)100gと水道水900gを2.5L円筒型水槽に投入し、プロペラ型攪拌機を700rpmで回転させて72hr後の含水ゲル成形物の破損率を評価した。破損率は下記式(2)で示される値と定義した。下記式(2)において、上記含水ゲル成形物(C)の初期投入量をa(g)とし、上記72hr後の含水ゲル成形物における破損していない含水ゲル成形物の量をc(g)とした。なお、破損していない含水ゲル成形物とは、外観で割れや欠損のない含水ゲル成形物のことを指す。
破損率(%)=((a−c)/a)×100 (2)
実施例1の含水ゲル成形物(C)の破損率は0.1%未満であり、攪拌耐久性に優れることがわかった。
[TOC(Total Organic Carbon)除去速度(mg−TOC/(L−ゲル・h))]
微生物棲息性に優れている含水ゲル成形物(C)はTOC除去速度が速い。そこで含水ゲル成形物(C)の微生物棲息性の指標としてTOC除去速度を測定した。具体的には、実施例1の含水ゲル成形物(C)100gを株式会社クラレ倉敷事業所の排水処理施設の汚泥に3日間浸漬した後、含水ゲル成形物(C)を取り出した。そして水を加えて1Lとし、かつ曝気した槽内に、TOC500mg/Lに調整した排水を供給し、ゲル重量当たりのTOC除去速度を求めた。その結果、TOC除去速度は2035mg−TOC/(L−ゲル・h)であった。
[微生物分布(生物処理試験時の微生物の分布)]
生物処理に供した実施例1の含水ゲル成形物(C)をDAPI(4',6-DiAmidino-2-PhenylIndole)染色して、蛍光顕微鏡により染色された微生物の分布を観察した。そして得られた写真から微生物が含水ゲル成形物(C)のどこに分布しているかを以下の評価基準に基づいて確認した。
評価基準
A:微生物が含水ゲル成形物(C)の外側だけではなく内側にも分布している。
B:微生物が含水ゲル成形物(C)の内側には分布していない。
実施例1の含水ゲル成形物(C)は評価はAであった。
[微生物量(生物処理試験時の微生物量)]
生物処理に供した実施例1の含水ゲル成形物(C)をDAPI染色して蛍光顕微鏡により観察した後、Media Cybernetics社製の画像解析装置「Image−Pro plus」で明度分布を解析した。明度分布のレンジは0−255で、数値が高いほど画像上明るく、微生物量が多い。
評価基準
A:明度分布が200−255にあり、微生物が多量に存在することが確認される。
B:明度分布が100−150にあり、微生物の存在が少量しか認められない。
実施例1の含水ゲル成形物(C)は評価はAであった。
実施例2
アセタール化反応液(B)の硫酸濃度を30g/L、硫酸ナトリウム濃度を1.0mol/L(金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が2.0mol/L)、pHを0.2とした以外は実施例1と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約3.9mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
実施例3
混合水溶液に0.3重量%となるように変性デンプンを加えた以外は実施例1と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約4.0mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
実施例4
アセタール化反応液(B)を、20g/Lの塩酸、2.0mol/Lの塩化ナトリウム(金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が2.0mol/L)を含み、pHが0.0の40℃の水溶液に代えた以外は実施例1と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約3.8mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
実施例5
PVA中の全単量体単位のmol数に対して1.8mol%となるようにPVA水溶液にグルタルアルデヒドを添加した以外は実施例1と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が4.3mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
比較例1
アセタール化反応液(B)を40℃、硫酸の濃度を30g/Lにして、硫酸ナトリウムを加えなかった以外は実施例1と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が3.8mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。また、比較例1の含水ゲル成形物(C)の表面のSEM写真を図5に示す。得られたSEM写真から、比較例1の含水ゲル成形物(C)の表面には孔は存在しないことがわかった。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。また、生物処理に供した比較例1の含水ゲル成形物(C)をDAPI(4',6-DiAmidino-2-PhenylIndole)染色して、蛍光顕微鏡により染色された微生物の分布を観察した。そして得られた写真から微生物が含水ゲル成形物(C)のどこに分布しているかを前述の評価基準に基づいて確認したところ、比較例1の含水ゲル成形物(C)は評価はBであった。
比較例2
PVA濃度が7重量%となるように、PVA(株式会社クラレ製、平均重合度1700、ケン化度99.8mol%)に水を加え、オートクレーブで121℃、30分間処理しPVAを溶解した。このPVA水溶液に1重量%となるようにアルギン酸ナトリウムを加え、30分間撹拌溶解を行い、グルタルアルデヒドを加えずに混合水溶液を得た。この混合水溶液100gを先端に内径1.5mmのノズルをとりつけた内径3.2mmのシリコンチューブを装着したローラーポンプにより8mL/分の速度で送液し、スターラーで撹拌した濃度0.1mol/Lの塩化カルシウム水溶液1Lに滴下した。滴下した液滴は塩化カルシウム水溶液中で球状化して沈降した。
この球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離し、40℃のアセタール化反応液(B)1Lに60分間浸漬した。ここで、アセタール化反応液(B)は、硫酸を250g/L、硫酸ナトリウムを0.5mol/L(金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が1.0mol/L)及びホルムアルデヒドを30g/Lを含み、pHが−0.7である水溶液である。その後、成形物をアセタール化反応液(B)から分離し水洗した。その結果、球相当径が3.4mmの柔軟性に富んだ球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた比較例2の含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
比較例3
球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離した後、アセタール化反応液(B)(40℃、硫酸30g/L、グルタルアルデヒド5g/Lの水溶液)1Lに60分間浸漬した以外は比較例2と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が2.7mmの球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
比較例4
球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離した後、アセタール化反応液(B)に浸漬せずに、−27±3℃で20時間凍結させた後、常温で解凍した以外は比較例2と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が4.0mmの球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
比較例5
球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離した後、−27±3℃で20時間凍結させた後、常温で解凍させた。その後、成形物をアセタール化反応液(B)(40℃、硫酸1g/L、グルタルアルデヒド0.3g/L)1Lに60分間浸漬し、成形物をアセタール化反応液(B)から分離し水洗した以外は比較例2と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約3.9mmの球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。得られた含水ゲル成形物(C)についても実施例1と同様に種々測定した。結果を表1に示す。
比較例6
球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離した後、−27±3℃で20時間凍結させた後、常温で解凍させた。その後、成形物をアセタール化反応液(B)(40℃、硫酸3g/L、グルタルアルデヒド1g/L)1Lに60分間浸漬し、成形物をアセタール化反応液(B)から分離し水洗した以外は比較例2と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約3.3mmの球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。
比較例7
球状成形物(A)を塩化カルシウム水溶液から分離した後、−27±3℃で20時間凍結させた後、常温で解凍させた。その後、成形物をアセタール化反応液(B)(40℃、硫酸10g/L、グルタルアルデヒド3g/L)1Lに60分間浸漬し、成形物をアセタール化反応液(B)から分離し水洗した以外は比較例2と同様の方法で含水ゲル成形物(C)を作製した。その結果、球相当径が約2.8mmの球状の含水ゲル成形物(C)が得られた。
表1に示すように、本発明の構成を満足する実施例1〜5の含水ゲル成形物(C)は、成形物中に多孔構造が形成された。また、実施例1〜5の含水ゲル成形物(C)は微生物の棲息性及び撹拌耐久性に優れていることもわかった。
一方、比較例1に示されるように、アセタール化反応液(B)に金属塩が含まれていない場合、得られた含水ゲル成形物(C)には孔が形成されず、微生物分布及び微生物量が劣ることがわかった。また、撹拌耐久性も低下した。比較例2に示されるように、アセタール化反応液(B)にホルムアルデヒドを加え、当該アセタール化反応液(B)中のホルムアルデヒドでアセタール化した場合、得られた含水ゲル成形物(C)に孔は形成された。しかしながら、十分な含水率を有する含水ゲル成形物(C)が得られず微生物量が低下した。また、体積保持率が低下するとともにアセタール化反応液(B)に異物が発生した。比較例3に示されるように、アセタール化反応液(B)に酸とグルタルアルデヒドを加え、当該アセタール化反応液(B)中のグルタルアルデヒドでアセタール化した場合、得られた含水ゲル成形物(C)には孔が形成されず、含水率も低下し、微生物分布及び微生物量も劣ることがわかった。また、体積保持率が大きく低下するとともに撹拌耐久性も低下した。比較例4に示されるように、アセタール化させずに凍結融解した場合、得られた含水ゲル成形物(C)に孔は形成されていた。しかしながら、得られた含水ゲル成形物(C)からPVAが溶出し撹拌耐久性が大きく低下した。また微生物量も劣ることがわかった
比較例5〜7は、凍結融解した後に、アセタール化反応液(B)中のグルタルアルデヒドでアセタール化させた例である。比較例3と比較例5〜7との比較より、凍結融解により含水ゲル成形物(C)に孔を形成させることはできた。しかしながら、微生物の棲息性及び撹拌耐久性に優れた含水ゲル成形物(C)は得られなかった。
次に、本発明の多孔質含水ゲル成形物を微生物の担体として用いて排水処理をした例について具体的に説明する。
実施例6
図1に示した嫌気性排水処理装置を用いて嫌気性排水処理試験を実施した。すなわち、容量が8Lの嫌気性反応槽2からなる排水処理試験装置を用いて、食品会社の実排水による嫌気性排水処理試験を実施した。実施例1の多孔質含水ゲル成形物を槽容積の30容量%充填した。さらに、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)が5000mg/Lとなるように、同槽に嫌気性消化汚泥を投入した。排水負荷は、CODcr(Chemical Oxygen Demand Cr、二クロム酸カリウムを酸化剤として用いたときの化学的酸素要求量)が5000mg/L、原水量が1.2L/日から運転を開始した。その後、原水の流量を段階的に上げた。負荷アップ幅は前段階の容積負荷に対し20%とした。結果、原水流量が96L/日、CODcr容積負荷が60kg/m・日において、CODcr除去率が80%、かつ槽内の有機酸濃度が管理値である500mg/Lを大きく下回る数値で推移した。生物処理性能は非常に良好であった。この際の嫌気反応槽2内の担体を採取し、担体中心部付近の薄膜切片を作成し、担体に生息する微生物をFISH(Fluorescence In Situ Hybridization)法で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、担体内部には酸生成菌およびメタン生成菌が共存していることが確認された。
実施例7
実施例7は図3に示した好気性排水処理装置を用いて好気性排水処理試験を実施した例である。すなわち、容量が2Lの好気性反応槽6からなる排水処理試験装置を用いて、化学会社の実排水による好気性排水処理試験を実施した。実施例1の多孔質含水ゲル成形物を槽容積の10容量%充填した。さらに、MLSSが5000mg/Lとなるように、同槽に汚泥を投入した。排水負荷はBOD(Biochemical Oxygen Demand、生物化学的酸素要求量)が1000mg/L、原水量が0.8L/日から運転を開始した。その後、原水の流量を段階的に上げた。負荷アップの基準はBOD除去率が80%以上とし、負荷アップの幅は前段階の容積負荷に対し20〜40%とした。結果、原水流量が0.8〜10L/日、BOD容積負荷が0.4〜5kg/m・日において、概ねBOD除去率が80%を推移し、生物処理性能は非常に良好であった。
比較例8
比較例8は、比較例1の含水ゲル成形物を微生物担体として用いて嫌気性排水処理を行った例である。図1に示した嫌気性排水処理装置を用いて、比較例1の含水ゲル成形物を槽容積の30容量%充填した。槽容量および初期投入の嫌気消化汚泥濃度、排水種、排水負荷アップ方法は実施例6と同じである。排水負荷はCODcrが5000mg/L、原水量が1.2L/日から運転を開始した。その後、原水流量を段階的に上げた。負荷アップ幅は前段階の容積負荷に対し20%とした。結果、原水流量が16L/日、CODcr容積負荷が10kg/m・日において、CODcr除去率が80%、かつ槽内の有機酸濃度が管理値である500mg/Lを下回る数値で推移し、生物処理性能は良好であった。しかしながら、さらに流量を18L/日とすると槽内有機酸濃度が1000mg/Lと管理値以上になり、CODcr除去率も60%に低下して負荷を上げることができなかった。また、槽内担体を採取し、担体中心部付近の薄膜切片を作成し、担体に生息する微生物をFISH法により染色し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、担体内部には微生物が観察されず、担体表面にのみ微生物が生息していることが確認された。
比較例9
比較例9は、微生物担体として比較例2の含水ゲル成形物を用いて嫌気性排水処理を行った例である。図1に示した嫌気性排水処理装置を用いて、比較例2の含水ゲル成形物を槽容積の30容量%充填した。排水負荷はCODcrが5000mg/L、原水量が1.2L/日から運転開始した。その後、原水流量を段階的に上げた。負荷アップ幅は前段階の容積負荷に対し20%とした。結果、原水流量が32L/日、CODcr容積負荷が20kg/m・日において生物処理性能は良好であった。しかしながら、さらに流量を38L/日とすると槽内有機酸濃度が1000mg/Lと管理値以上になり、CODcr除去率も50%に低下して負荷を上げることができなかった。CODcr容積負荷が20kg/m・日の嫌気反応槽2内の担体を採取し、担体中心部付近の薄膜切片を作成し、担体に生息する微生物をFISH法により染色し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、担体内部には酸生成菌およびメタン生成菌が共存していることが確認されたが、蛍光強度が実施例6の担体と比較して菌量は著しく少なかった。
比較例10
比較例10は、図2に示した嫌気性排水処理装置を用いて、槽内に担体を充填せずに嫌気性排水処理試験を実施した例である。すなわち、容量が2Lの酸生成槽3と容量が8Lのメタン発酵槽4からなる二槽式排水処理試験装置を用いて、実排水による嫌気性排水処理試験を実施した。メタン発酵槽4へは初期にグラニュール汚泥を槽容積の20%充填した。排水種は実施例6と同じである。供給する原水はCODcrが5000mg/Lになるように希釈し、メタン発酵槽4からの排出水の有機酸濃度の管理値を300mg/L以下とした。初期の原水供給量は1.2L/日で運転開始した。その後、原水流量を段階的にアップさせた。結果、原水供給量が32L/日、CODcr容積負荷が20kg/m・日までは安定した処理性が得られた。しかしながら、さらに原水供給量を上げたところ、メタン発酵槽4内有機酸濃度が上昇したため処理を終了した。また、原水を酸生成槽3に導入せず、直接メタン発酵槽4に導入する方式で、排水種、排水負荷を同じとし、嫌気処理試験を追試した。しかしながら、原水供給量が8L/日を超えた点から槽内有機酸濃度が上昇した。最大CODcr容積負荷が5kg/m・日が限界であった。
比較例11
比較例11は、微生物担体として比較例1の含水ゲル成形物を用いて好気性排水処理を行った例である。図3に示した好気性排水処理装置を用いて、比較例1の含水ゲル成形物を槽容積の10容量%充填した。結果、原水流量が0.8〜2L/日、BOD容積負荷が0.4〜1kg/m・日において、概ねBOD除去率が80%を推移し、生物処理性能は非常に良好であった。しかしながら、原水流量が2.6L/日、BOD容積負荷が1.3kg/m・日において、BOD除去率が60%に低下したため処理を終了した。
1 原水ポンプ
2 嫌気性反応槽
3 酸生成槽
4 メタン発酵槽
5 メタン発酵槽流入ポンプ
6 好気性反応槽

Claims (8)

  1. ジアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコールを含む多孔質含水ゲル成形物であって;
    アセタール化度が1〜15mol%であり、含水率が90〜98重量%であり、孔径が0.1〜50μmであり、かつ前記多孔質含水ゲル成形物からのポリビニルアルコールの溶出量が、該多孔質含水ゲル成形物1kgに対して1g以下であることを特徴とする多孔質含水ゲル成形物。
  2. 前記多孔質含水ゲル成形物が、球相当径が1〜20mmの粒子である請求項1に記載の多孔質含水ゲル成形物。
  3. 請求項1又は2に記載の多孔質含水ゲル成形物の製造方法であって;
    ポリビニルアルコールとジアルデヒドとを含む水溶液をゲル化させて成形物を得る第1工程と、
    ポリビニルアルコールをジアルデヒドでアセタール化する第2工程とを備えることを特徴とする多孔質含水ゲル成形物の製造方法。
  4. 前記第1工程において、ポリビニルアルコール、ジアルデヒド及び水溶性多糖を含む水溶液を、カチオンを含む水溶液に滴下してゲル化させて成形物を得る請求項3に記載の多孔質含水ゲル成形物の製造方法。
  5. 前記第2工程においてポリビニルアルコールをアセタール化するに際し、前記第1工程で得られた成形物を、pHが3以下であり、金属塩を含み、金属カチオンの濃度に価数を乗じた値が0.2〜10mol/Lである水溶液に接触させる請求項3又は4に記載の孔質含水ゲル成形物の製造方法。
  6. 請求項1又は2のいずれかに記載の多孔質含水ゲル成形物からなる微生物担体。
  7. 請求項6に記載の担体に担持された微生物によって排水を処理する排水処理方法。
  8. 微生物が担持された請求項6に記載の担体を収容した反応槽と、前記反応槽に排水を供給する手段と、前記反応槽から処理水を取り出す手段とを備える排水処理装置。
JP2013138430A 2013-07-01 2013-07-01 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途 Active JP6277539B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013138430A JP6277539B2 (ja) 2013-07-01 2013-07-01 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013138430A JP6277539B2 (ja) 2013-07-01 2013-07-01 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015010215A true JP2015010215A (ja) 2015-01-19
JP6277539B2 JP6277539B2 (ja) 2018-02-14

Family

ID=52303656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013138430A Active JP6277539B2 (ja) 2013-07-01 2013-07-01 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6277539B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020152869A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系ゲル成形物およびその製造方法
JP2020152868A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系ゲル成形物およびその製造方法
JP2021008545A (ja) * 2019-06-28 2021-01-28 株式会社クラレ ビニルアルコール系架橋共重合体
WO2021221093A1 (ja) * 2020-04-30 2021-11-04 株式会社クラレ 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途
WO2022163262A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 株式会社クラレ 多孔質含水ゲル成形物およびその製造方法、微生物担体ならびに水処理方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09124731A (ja) * 1995-11-01 1997-05-13 Kuraray Co Ltd アセタール化ポリビニルアルコール含水ゲル
JP2010116439A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系ゲル成型物およびその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09124731A (ja) * 1995-11-01 1997-05-13 Kuraray Co Ltd アセタール化ポリビニルアルコール含水ゲル
JP2010116439A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系ゲル成型物およびその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020152869A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系ゲル成形物およびその製造方法
JP2020152868A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系ゲル成形物およびその製造方法
JP2021008545A (ja) * 2019-06-28 2021-01-28 株式会社クラレ ビニルアルコール系架橋共重合体
JP7253463B2 (ja) 2019-06-28 2023-04-06 株式会社クラレ ビニルアルコール系架橋共重合体
WO2021221093A1 (ja) * 2020-04-30 2021-11-04 株式会社クラレ 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途
WO2022163262A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 株式会社クラレ 多孔質含水ゲル成形物およびその製造方法、微生物担体ならびに水処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6277539B2 (ja) 2018-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6172464B2 (ja) 多孔質含水ゲル成形物の製造方法
JP6277539B2 (ja) 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途
JP2001089574A (ja) ポリビニルアルコール系含水ゲル、その製造方法及び排水処理装置
WO2021221093A1 (ja) 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途
CN110272894B (zh) 一种内置海绵状多孔结构的微生物载体及其制备方法
JP2933580B2 (ja) スポンジ状球状粒子およびその製造方法
JP2010116439A (ja) ポリビニルアルコール系ゲル成型物およびその製造方法
EP0864540A2 (en) Carrier for bioreactor and bioreactor using the same
JP3287686B2 (ja) 高分子系粒状含水ゲルおよびその製造法
JP6949705B2 (ja) ポリビニルアルコールを含む多孔質含水ゲル成形物およびその製造方法。
JP2021195418A (ja) 多孔質含水ゲル成形物、その製造方法及びその用途
JP2008229464A (ja) 担体、ペレット状汚泥、これらの調製方法、及び有機性廃水の処理方法
JPH09316271A (ja) 球状の含水ゲル
JPH09124731A (ja) アセタール化ポリビニルアルコール含水ゲル
See et al. Evaluation of o-cresol removal using PVA-cryogel-immobilised biomass enhanced by PAC
JP3763904B2 (ja) 球状含水ゲルの製造方法
JPH10204204A (ja) 多孔性球状粒子及びその製造方法
WO1998004616A1 (en) Porous spherical polyvinyl acetal particles, process for producing the same, and microbial carriers
WO2022163262A1 (ja) 多孔質含水ゲル成形物およびその製造方法、微生物担体ならびに水処理方法
JP5105679B2 (ja) 水処理用担体の製造方法
JP2004075763A (ja) ポリビニルアルコ−ル系含水ゲルおよびその製造方法
JP2015073911A (ja) 回分式排水処理方法および装置
JPH01128787A (ja) 微生物菌体の固定化担体及びその製造方法
JP2015073917A (ja) 油含有排水処理方法
JP2018090767A (ja) ミクロないしメソポーラス微粒子の多孔質成形体、酵素担持用担体、その酵素複合体及びこれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6277539

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150