JP7014746B2 - スラグのエージング方法、土木材料の製造方法、およびスラグのエージング処理用炭酸化促進剤 - Google Patents

スラグのエージング方法、土木材料の製造方法、およびスラグのエージング処理用炭酸化促進剤 Download PDF

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Description

この発明は、製鋼スラグなどのような遊離CaOや遊離MgOを含むスラグのエージング方法に関する。
製鋼スラグは、路盤材や土工用材などの土木材料として広く用いられており、また、水和硬化体の骨材などとしても用いられている。鉄鋼製造プロセスで副生する製鋼スラグには、精錬工程で添加される石灰源やマグネシア源の一部が未溶融或いは他の成分と化合物を形成しないで遊離したまま残留している。このような製鋼スラグを土木材料として用いると、遊離CaOや遊離MgOの水酸化(水和)や炭酸化により膨張し、周囲の構造物を破壊するなどの問題を生じるおそれがある。また、遊離CaOや遊離MgOが水と接触するとアルカリ性を呈するため、製鋼スラグから溶出した高アルカリ水により周辺の環境のpHが高くなるなどの問題を生じるおそれもある。
したがって、製鋼スラグを路盤材や土工用材などの土木材料として利用するには、使用前の段階でスラグに含まれる遊離CaOや遊離MgOの水酸化(水和)や炭酸化を促進して安定化させ、スラグ使用時の膨張や高アルカリ水溶出を抑制する必要がある。このため使用前の製鋼スラグには、膨張抑制を目的として、大気エージング、蒸気エージング、温水エージングなどのエージング処理が施されるのが一般的である(例えば、特許文献1、2)。また、膨張抑制と高アルカリ水の溶出抑制を目的として、製鋼スラグにCO含有ガスを吹き込んで遊離CaO等を炭酸化させる方法もある(例えば、特許文献3)。
路盤材として利用する製鋼スラグの条件について、例えば、「鉄鋼スラグ路盤設計施工指針」(平成27年3月)やJIS A5015(2018)「道路用鉄鋼スラグ」には、製鋼スラグを用いた路盤用鉄鋼スラグ(水硬性粒度調整鉄鋼スラグ、粒度調整鉄鋼スラグ、クラッシャラン鉄鋼スラグ)の水浸膨張比は1.0%以下でなければならないこと、路盤用鉄鋼スラグに用いる製鋼スラグは、蒸気エージング(配管方式、加圧方式など)又は6ヶ月以上大気エージングしたものでなければならないこと、などが記載されている。
特開昭61-101441号公報 特開平3-13517号公報 特開2005-200234号公報
しかし、従来行われているエージング処理の効果は、温度(蒸気、温水、大気の温度)とエージング期間のみに依存し、エージング処理により製鋼スラグの膨張抑制や高アルカリ水の溶出抑制を図るには長期間の処理が必要であり、生産性が低いという問題がある。例えば、蒸気エージングは1週間程度、大気エージングは6ヶ月以上の期間を要する。また、炭酸化処理は、大型の撹拌装置やガス密閉対策が必要であるため、設備的な負担が大きいという問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、製鋼スラグなどのような遊離CaOや遊離MgOを含有するスラグをエージング処理する方法において、特別な設備的負担を要することなく、スラグ中の遊離CaOや遊離MgOの水酸化(水和)及び炭酸化を効果的に促進させることで、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)とスラグからの高アルカリ水の溶出抑制(スラグ溶出水のpH低減)のためのエージング処理を短期間で行うことができるスラグのエージング方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく遊離CaOや遊離MgOを含有するスラグのエージング処理について実験と検討を重ねた結果、スラグに対して、遊離CaOや遊離MgOを水和させるエージング処理(水和処理)を行った後、特定の炭酸化促進剤を接触させた状態で水和物を炭酸化させるエージング処理(炭酸化処理)を行うことにより、スラグ中の遊離CaOや遊離MgOの水酸化(水和)+炭酸化を効果的に促進させることができ、スラグの膨張抑制と高アルカリ水の溶出抑制のためのエージング期間を短縮化できることを見出した。また、スラグに対して事前に水和処理を行うことなく、特定の炭酸化促進剤を接触させた状態で遊離CaOや遊離MgOを炭酸化させるエージング処理(炭酸化処理)を行うことによっても、スラグ中の遊離CaOや遊離MgOの炭酸化を効果的に促進させることができ、スラグの膨張抑制と高アルカリ水の溶出抑制のためのエージング期間を短縮化できることが判った。
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを水和させるエージング処理を行う工程(A)と、
該工程(A)を経たCaO及び/又はMgOの水和物を含有するスラグに対して、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなる炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記水和物を炭酸化させるエージング処理を行う工程(B)を有することを特徴とするスラグのエージング方法。
[2]上記[1]のエージング方法において、工程(B)で用いる炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング方法。
[3]上記[1]のエージング方法において、工程(B)で用いる炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかのエージング方法において、工程(B)のエージング処理が温水エージングであることを特徴とするラグのエージング方法。
[5]上記[1]~[4]のいずれかのエージング方法において、工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより炭酸化促進剤を再生させることを特徴とするスラグのエージング方法。
[6]上記[5]のエージング方法において、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、工程(B)において、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いることを特徴とするスラグのエージング方法。
[7]遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなる炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを炭酸化させるエージング処理を行うことを特徴とするスラグのエージング方法。
[8]上記[7]のエージング方法において、炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング方法。
[9]上記[7]のエージング方法において、炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング方法。
[10]上記[7]~[9]のいずれかのエージング方法において、エージング処理が温水エージング処理であることを特徴とするスラグのエージング方法。
[11]上記[7]~[10]のいずれかのエージング方法において、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより炭酸化促進剤を再生させることを特徴とするスラグのエージング方法。
[12]上記[11]のエージング方法において、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、1つのロットのスラグ温水エンージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いることを特徴とするスラグのエージング方法。
[13]スラグを上記[1]~[12]いずれかのエージング方法でエージング処理することにより、土木材料を製造することを特徴とする土木材料の製造方法。
[14]遊離CaO及び/又は遊離MgO若しくはそれらの水和物を含有するスラグのエージング処理用の炭酸化促進剤であって、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とするスラグのエージング処理用炭酸化促進剤。
[15]上記[14]の炭酸化促進剤において、炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング処理用炭酸化促進剤。
[16]上記[14]の炭酸化促進剤において、炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とするスラグのエージング処理用炭酸化促進剤。
本発明のエージング方法によれば、遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグをエージング処理する方法において、スラグ中の遊離CaOや遊離MgOの水酸化(水和)及び炭酸化を効果的に促進させることで、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)とスラグからの高アルカリ水の溶出抑制(スラグ溶出水のpH低減)のためのエージング処理を短期間で行うことができる。
また、本発明のエージング方法は、特別な大型設備を設けるなどの設備的負担を要することなく、比較的簡便な設備を用いて実施することができる。
本発明の第一のエージング方法の一実施形態について、その処理フローを模式的に示す説明図 本発明の第二のエージング方法の一実施形態について、その処理フローを模式的に示す説明図
本発明のエージング方法において、エージング処理の対象となる遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグの種類に特別な制限はないが、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程で発生する製鋼スラグは、遊離CaOや遊離MgOを比較的多く含有しているので、本発明法は製鋼スラグのエージングに特に有用であると言える。製鋼スラグとしては、予備処理、転炉、鋳造などの工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグなどの製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のスラグを混合したものを対象とすることもできる。
エージング処理の対象となるスラグの粒度は特に制限はないが、一般にはJIS A5015で規定する路盤材粒度で53mm以下が対象となる。また、スラグの微粒部分に膨張や高アルカリ水溶出の原因となる遊離CaOや遊離MgOが偏在する傾向があることから、例えば、粒度4.75mm以下のスラグを対象としてもよい。
まず、本発明の第一のエージング方法について説明する。
このエージング方法は、遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを水和させるエージング処理を行う工程(A)と、この工程(A)を経たCaO及び/又はMgOの水和物を含有するスラグに対して、特定の炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記水和物を炭酸化させるエージング処理を行う工程(B)を有するものである。以下、説明の便宜上、遊離CaOを「CaO」、遊離MgOを「MgO」という。
工程(A)で行うエージング処理に特別な制限はなく、従来法などによる任意の方法及び条件でエージング処理を行うことができる。
エージング処理は、温水エージング、蒸気エージング、大気エージングなどのいずれでもよい。
エージング処理の処理時間(エージング期間)に特別な制限はないが、通常、スラグ中のCaO、MgOの水和が十分に進み、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)を達成できるように設定される。例えば、水浸膨張比(測定方法は実施例参照)1.0%以下を達成できるように処理時間が設定される。
また、エージング処理を実施する設備に特別な制限はなく、温水エージング、蒸気エージングなどを行う公知の設備を使用できる。
なお、この工程(A)で行うエージング処理では、CaOやMgOの水和反応を特に促進できる好ましい実施形態があり、これについては後に詳述する。
工程(B)では、炭酸化促進剤として炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上を用い、この炭酸化促進剤は、工程(A)を経たスラグ中のCaO、MgOの水和物、すなわちCa(OH)、Mg(OH)(Ca(OH)及び/又はMg(OH))と反応し、当該水和物の炭酸化を促進させる。
炭酸塩、炭酸水素塩の種類は特に制限はないが、例えば、炭酸塩としては炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸カリウム(KCO)などが挙げられ、また、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
工程(B)では、炭酸化促進剤として上記の炭酸塩や炭酸水素塩を用いた場合、スラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と炭酸化促進剤との反応により、NaOH、KOHなどの成分が生成する。この成分はスラグに付着したままでも大気中のCOで自然に炭酸化されるので特に問題はないが、工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込み、上記成分(例えばNaOH、KOHなど)とCOを反応させることにより炭酸化促進剤を再生させることができる。このCOの吹込みは、工程(B)用の処理槽で行ってもよいし、別に用意された炭酸化促進剤再生槽で行ってもよい。このように炭酸化促進剤を再生して使用できるため、炭酸化促進剤の添加量が比較的少量であっても所望の効果が得られ、また、炭酸化促進剤を繰り返し再利用することができる利点がある。その具体的な手法については、後に詳述する。
ここで、炭酸化促進剤がNaCOの場合、このNaCOは下記(1a)、(1b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。なお、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合があり、その場合には下記(1c)、(1d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+NaCO → CaCO+2NaOH …(1a)
Mg(OH)+NaCO → MgCO+2NaOH …(1b)
CaO+HO+NaCO → CaCO+2NaOH …(1c)
MgO+HO+NaCO → MgCO+2NaOH …(1d)
また、上記(1a)~(1d)式の反応によりNaOHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(2)式に示すとおり炭酸化促進剤(NaCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(3a)、(3b)式のとおりとなる。
2NaOH+CO → NaCO+HO …(2)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(3a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(3b)
また、炭酸化促進剤がKCOの場合、このKCOは下記(4a)、(4b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。また、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合には、下記(4c)、(4d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+KCO → CaCO+2KOH …(4a)
Mg(OH)+KCO → MgCO+2KOH …(4b)
CaO+HO+KCO → CaCO+2KOH …(4c)
MgO+HO+KCO → MgCO+2KOH …(4d)
また、上記(4a)~(4d)式の反応によりKOHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(5)式に示すとおり炭酸化促進剤(KCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(6a)、(6b)式のとおりとなる。
2KOH+CO → KCO+HO …(5)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(6a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(6b)
また、炭酸化促進剤が(NHCOの場合、この(NHCOは下記(7a)、(7b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。また、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合には、下記(7c)、(7d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+(NH)CO → CaCO+2NH+2HO …(7a)
Mg(OH)+(NH4)2CO → MgCO+2NH+2HO …(7b)
CaO+HO+(NH)CO → CaCO+2NH+2HO …(7c)
MgO+HO+(NH4)2CO → MgCO+2NH+2HO …(7d)
また、上記(7a)~(7d)式の反応によりNHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(8)式に示すとおり炭酸化促進剤((NHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(9a)、(9b)式のとおりとなる。
2NH+HO+CO → (NH)CO …(8)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(9a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(9b)
また、炭酸化促進剤がNaHCOの場合、このNaHCOは下記(10a)、(10b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。また、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合には、下記(10c)、(10d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+NaHCO → CaCO+NaOH+HO …(10a)
Mg(OH)+NaHCO → MgCO+NaOH+HO …(10b)
CaO+HO+NaHCO → CaCO+NaOH+HO …(10c)
MgO+HO+NaHCO → MgCO+NaOH+HO …(10d)
また、上記(10a)~(10d)式の反応によりNaOHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(11)、(12)式に示すとおり炭酸化促進剤(NaHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(13a)、(13b)式のとおりとなる。
2NaOH+CO → NaCO+HO …(11)
NaCO+CO+HO → 2NaHCO …(12)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(13a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(13b)
また、炭酸化促進剤がKHCOの場合、このKHCOは下記(14a)、(14b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。また、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合には、下記(14c)、(14d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+KHCO → CaCO+KOH+HO …(14a)
Mg(OH)+KHCO → MgCO+KOH+HO …(14b)
CaO+HO+KHCO → CaCO+KOH+HO …(14c)
MgO+HO+KHCO → MgCO+KOH+HO …(14d)
また、上記(14a)~(14d)式の反応によりKOHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(15)、(16)式に示すとおり炭酸化促進剤(KHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(17a)、(17b)式のとおりとなる。
2KOH+CO → KCO+HO …(15)
CO+CO+HO → 2KHCO …(16)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(17a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(17b)
また、炭酸化促進剤がNHHCOの場合、このNHHCOは下記(18a)、(18b)式のとおりスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と反応し、Ca(OH)、Mg(OH)の炭酸化が促進される。また、工程(A)を経た後にも未反応のCaOやMgOが残存する場合には、下記(18c)、(18d)式の反応により炭酸化が促進される。
Ca(OH)+NHHCO → CaCO+NH+2HO …(18a)
Mg(OH)+NHHCO → MgCO+NH+2HO …(18b)
CaO+HO+NHHCO → CaCO+NH+2HO …(18c)
MgO+HO+NHHCO → MgCO+NH+2HO …(18d)
また、上記(18a)~(18d)式の反応によりNHが生成するが、この工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(19)、(20)式に示すとおり炭酸化促進剤(NHHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(21a)、(21b)式のとおりとなる。
2NH+HO+CO → (NH)CO …(19)
(NH)CO+HO+CO → 2NHHCO …(20)
Ca(OH)+CO → CaCO+HO …(21a)
Mg(OH)+CO → MgCO+HO …(21b)
工程(B)のエージング処理は、温水エージング、蒸気エージング、大気エージングなどのいずれでもよい。
工程(B)のエージング処理において、炭酸化促進剤をスラグに接触させる方法は任意であるが、温水エージングの場合には、温水に炭酸化促進剤を添加し、この炭酸化促進剤を含む温水によりスラグをエージング処理すればよい。また、蒸気エージングや大気エージングの場合には、(i)炭酸化促進剤を含む溶液(水溶液など)をスラグに散布する、(ii)スラグに炭酸化促進剤を混合する、(iii)炭酸化促進剤を含む溶液(水溶液など)にスラグを一時的に浸漬する、などのような方法を採ればよい。
上述したように、工程(B)におけるスラグ中のCa(OH)、Mg(OH)と炭酸化促進剤(特定の炭酸塩、炭酸水素塩)との反応により、NaOH、KOHなどの成分が生成するが、工程(B)のエージング処理中(エージング期間の少なくとも一部)又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込み、上記成分(例えばNaOH、KOHなど)とCOを反応させることにより、当該炭酸化促進剤を再生させることができる。このようにスラグ又は温水中にCOの吹き込みを行うことにより、炭酸化促進剤を再生させつつ処理を行うことができるので、炭酸化促進剤を比較的少量の添加量とすることができ、また、炭酸化促進剤を繰り返し再利用することができる。
したがって、工程(B)のエージング処理を温水エージングで行う場合には、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込むだけで炭酸化促進剤を再生させることができ、この炭酸化促進剤を含む温水を繰り返し再利用することができるため特に有利である。この観点からは、エージング処理は温水エージングが特に好ましい。すなわち、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、エージング処理を温水エージングで行なえば、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液(エージング処理中又は/及びエージング処理終了後にCOを吹き込んだ溶液)を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いること、つまりロット間での溶液の使い回しが可能となり、経済的なエージング処理を行うことができる。
一方、工程(B)のエージング処理を蒸気エージングや大気エージングで行う場合において、炭酸化促進剤を再生させ、これを再利用するには、工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中にCOを吹き込むことで炭酸化促進剤を再生させた後、処理を終えたスラグに付着した炭酸化促進剤を水などで洗い流し、炭酸化促進剤を回収すればよい。
工程(B)においてスラグ中又は温水中にCO(ガス)を吹き込むには、CO含有ガス(例えば、冶金炉排ガス、燃焼排ガス、石灰焼成炉排ガスなど)を用いてもよい。CO含有ガスのCO濃度は特に制限はないが、処理効率上、CO濃度が10vol%以上のCO含有ガスを用いることが好ましい。
また、スラグ中にCO(CO含有ガスの場合を含む)を吹き込むには、例えば、吹き込みノズルを備えた蒸気配管が敷設された着生床の上にスラグを積み付け、蒸気配管の吹き込みノズルからスラグ層にCOを吹き込むなどの方法を採ることができる。
炭酸化促進剤の添加量に特別な制限はないが、炭酸化促進剤はスラグ中に含まれる遊離CaOや遊離MgO以外の可溶性CaOや可溶性MgOとも反応するので、その点を考慮しつつ、処理効率の面から適宜決めればよい。
スラグ中の可溶性CaO、可溶性MgO(水和し得るCaO、MgO)の含有量は、例えば、以下のような測定方法で求めることができる。
粒径0.075mm以下に粉砕したスラグ2gに蒸留水5gを加え、180℃のオートクレーブで24時間養生する。この処理により水和し得るCaO、MgOを全てCa(OH)、Mg(OH)に変換させる。この水和処理したスラグについて、以下のような熱重量分析を行う。この熱重量分析の条件は、温度範囲は常温~600℃、昇温速度は10℃/分、アルゴン雰囲気で流量は200mL/分とする。300-400℃での質量減少をMg(OH)の脱水反応、400-500℃での質量減少をCa(OH)の脱水反応によるものと考え、下記のように水和可能CaO量(可溶性CaO量)、水和可能MgO量(可溶性MgO量)を算出する。
水和可能MgO(mass%)=W300-400*40.3/18.0
水和可能CaO(mass%)=W400-500*56.1/18.0
ここで W300-400:300-400℃での脱水量(mass%)
400-500:400-500℃での脱水量(mass%)
工程(B)のエージング処理の処理温度(炭酸化反応温度)に特別な制限はないが、20~80℃程度が好ましく、40~60℃程度がより好ましい。したがって、この処理温度の点からも、エージング処理は温水エージングが好ましい。
工程(B)のエージング処理の処理時間に特別な制限はないが、通常、スラグ中のCa(OH)、Mg(OH)の炭酸化が十分に進み、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)及びスラグからの高アルカリ水の溶出抑制(スラグ溶出水のpH低減)を達成できるように設定される。例えば、水浸膨張比(測定方法は実施例参照)1.0%以下、タンクリーチング試験で測定されるpH(測定方法は実施例参照)10.0以下を達成できるように処理時間が設定される。本発明のエージング方法によれば、従来法(単純な温水エージングや蒸気エージング)に較べてエージング期間を大幅に短縮できる利点がある。
工程(A)、(B)のエージング処理を実施する設備に特別な制限はなく、温水エージング、蒸気エージングなどを行う公知の設備を使用できるが、さきに述べたように、工程(B)では、温水エージングの場合には、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込むだけで炭酸化促進剤を再生させることができ、この炭酸化促進剤を含む温水を繰り返し再利用することができることから、工程(B)のエージング処理は、専用の処理槽を用いた温水エージングで行うことが特に好ましい。これにより、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、工程(B)の温水エージングにおいて、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いること、すなわちロット間での溶液の使い回しが可能となり、経済的なエージング処理を行うことができる。
図1は、このエージング方法の一実施形態の処理フローを模式的に示したものであり、この実施形態では、工程(A)のエージング処理と工程(B)のエージング処理を、それぞれ専用の処理槽を用いた温水エージングで行うものである。以下、処理対象がCaOを含有するスラグであり、工程(B)において炭酸化促進剤としてNaCOを用いる場合を例に説明する。
水和処理槽1では、CaOを含有するスラグが投入され、工程(A)のエージング処理(温水エージング)が行われる。
工程(A)を終えたCa(OH)を含有するスラグは炭酸化処理槽2に移され、ここで工程(B)のエージング処理(温水エージング)が行われる。炭酸化処理槽2では、温水中に炭酸化促進剤としてNaCOが添加され、スラグ中のCa(OH)が炭酸化してCaCOが生じる。また、この工程(B)では、Ca(OH)の炭酸化のために消費された炭酸化促進剤(NaCO)を再生させるために、エージング処理中及び/又はエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込む。
この工程(B)では、上述した(1a)、(2)、(3a)式(場合により、さらに(1c)式)の反応が生じる。炭酸化促進剤の作用によってスラグ中のCa(OH)の炭酸化が促進されるとともに、その炭酸化反応で生成したNaOHが、温水中に吹き込まれたCOと反応して炭酸化促進剤(NaCO)が再生される。このため炭酸化促進剤の添加量は比較的少量でよく、また、炭酸化促進剤(NaCO)が再生された温水は、次のロットのスラグの温水エージングにそのまま使用することができる。この場合、新規な炭酸化促進剤の投入は、不可避的に系外に持ち出される分を補充する程度でよい。
炭酸化促進剤(NaCO)を再生させるためのCOの吹込みは、炭酸化処理槽2内でガス吹込み手段を用いて行ってもよいが(この場合のガス吹込み手段7を図中に仮想線で示す)、本実施形態では、専用の炭酸化促進剤再生槽3でCOの吹込みを行っている。すなわち、炭酸化処理槽2内の液(温水)を抜き出して炭酸化促進剤再生槽3に供給し(経路8a)、この炭酸化促進剤再生槽3にCO含有ガスを供給することで炭酸化促進剤を再生させる。そして、この炭酸化促進剤の再生処理をした液(炭酸化促進剤溶液)を貯留槽4に貯留し、必要に応じて新たな炭酸化促進剤を加えて濃度調整した後、炭酸化処理槽2に供給する(経路8b)。
なお、図1の実施形態とは異なり、温水中にCOを吹き込まない場合には、処理中に炭酸化促進剤(NaCO)が再生されないので、炭酸化促進剤は相応の添加量が必要となる。
工程(B)を終えたスラグは炭酸化処理槽2から取り出され、脱水槽5で脱水処理された後、中和処理槽6で付着水のアルカリ分(NaOH)の中和処理がなされ、製品スラグとなる。中和処理槽6には、炭酸化促進剤再生槽3を出たCO含有ガスが供給され、アルカリ分(NaOH)の中和処理がなされる。
次に、本発明の第二のエージング方法について説明する。
このエージング方法は、遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、特定の炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを炭酸化させるエージング処理を行うものである。以下、説明の便宜上、遊離CaOを「CaO」、遊離MgOを「MgO」という。
さきに述べた本発明の第一のエージング方法と同様、炭酸化促進剤としては、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上を用い、この炭酸化促進剤は、スラグ中のCaO、MgOと反応し、それらの炭酸化を促進させる。
炭酸塩、炭酸水素塩の種類は特に制限はないが、例えば、炭酸塩としては炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸カリウム(KCO)などが挙げられ、また、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
炭酸化促進剤として上記の炭酸塩や炭酸水素塩を用いた場合、スラグ中のCaO、MgOと炭酸化促進剤との反応により、NaOH、KOHなどの成分が生成する。本発明の第一のエージング方法において述べたように、この成分はスラグに付着したままでも大気中のCOで自然に炭酸化されるので特に問題はないが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込み、上記成分(例えばNaOH、KOHなど)とCOを反応させることにより炭酸化促進剤を再生させることができる。このCOの吹込みは、エージング処理用の処理槽で行ってもよいし、別に用意された炭酸化促進剤再生槽で行ってもよい。このように炭酸化促進剤を再生して使用できるため、炭酸化促進剤の添加量が比較的少量であっても所望の効果が得られ、また、炭酸化促進剤を繰り返し再利用することができる利点がある。その具体的な手法については、後に詳述する。
ここで、炭酸化促進剤がNaCOの場合、このNaCOは下記(22a)、(22b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+NaCO → CaCO+2NaOH …(22a)
MgO+HO+NaCO → MgCO+2NaOH …(22b)
また、上記(22a)、(22b)式の反応によりNaOHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(23)式に示すとおり炭酸化促進剤(NaCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(24a)、(24b)式のとおりとなる。
2NaOH+CO → NaCO+HO …(23)
CaO+CO → CaCO …(24a)
MgO+CO → MgCO …(24b)
また、炭酸化促進剤がKCOの場合、このKCOは下記(25a)、(25b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+KCO → CaCO+2KOH …(25a)
MgO+HO+KCO → MgCO+2KOH …(25b)
また、上記(25a)、(25b)式の反応によりKOHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(26)式に示すとおり炭酸化促進剤(KCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(27a)、(27b)式のとおりとなる。
2KOH+CO → KCO+HO …(26)
CaO+CO → CaCO …(27a)
MgO+CO → MgCO …(27b)
また、炭酸化促進剤が(NHCOの場合、この(NHCOは下記(28a)、(28b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+(NH)CO → CaCO+2NH+2HO …(28a)
MgO+HO+(NH4)2CO → MgCO+2NH+2HO …(28b)
また、上記(28a)、(28b)式の反応によりNHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(29)式に示すとおり炭酸化促進剤((NHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(30a)、(30b)式のとおりとなる。
2NH+HO+CO → (NH)CO …(29)
CaO+CO → CaCO …(30a)
MgO+CO → MgCO …(30b)
また、炭酸化促進剤がNaHCOの場合、このNaHCOは下記(31a)、(31b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+NaHCO → CaCO+NaOH+HO …(31a)
MgO+HO+NaHCO → MgCO+NaOH+HO …(31b)
また、上記(31a)、(31b)式の反応によりNaOHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(32)、(33)式に示すとおり炭酸化促進剤(NaHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(34a)、(34b)式のとおりとなる。
2NaOH+CO → NaCO+HO …(32)
NaCO+CO+HO → 2NaHCO …(33)
CaO+CO → CaCO …(34a)
MgO+CO → MgCO …(34b)
また、炭酸化促進剤がKHCOの場合、このKHCOは下記(35a)、(35b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+KHCO → CaCO+KOH+HO …(35a)
MgO+HO+KHCO → MgCO+KOH+HO …(35b)
また、上記(35a)、(35b)式の反応によりKOHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(36)、(37)式に示すとおり炭酸化促進剤(KHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(38a)、(38b)式のとおりとなる。
2KOH+CO → KCO+HO …(36)
CO+CO+HO → 2KHCO …(37)
CaO+CO → CaCO …(38a)
MgO+CO → MgCO …(38b)
また、炭酸化促進剤がNHHCOの場合、このNHHCOは下記(39a)、(39b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの炭酸化が促進される。
CaO+HO+NHHCO → CaCO+NH+2HO …(39a)
MgO+HO+NHHCO → MgCO+NH+2HO …(39b)
また、上記(39a)、(39b)式の反応によりNHが生成するが、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより、下記(40)、(41)式に示すとおり炭酸化促進剤(NHHCO)を再生させることができ、このCO吹き込みを行う場合のエージング処理の総括反応は、下記(42a)、(42b)式のとおりとなる。
2NH+HO+CO → (NH)CO …(40)
(NH)CO+HO+CO → 2NHHCO …(41)
CaO+CO → CaCO …(42a)
MgO+CO → MgCO …(42b)
エージング処理は、温水エージング、蒸気エージング、大気エージングなどのいずれでもよい。
エージング処理において、炭酸化促進剤をスラグに接触させる方法は任意であるが、温水エージングの場合には、温水に炭酸化促進剤を添加し、この炭酸化促進剤を含む温水によりスラグをエージング処理すればよい。また、蒸気エージングや大気エージングの場合には、(i)炭酸化促進剤を含む溶液(水溶液など)をスラグに散布する、(ii)スラグに炭酸化促進剤を混合する、(iii)炭酸化促進剤を含む溶液(水溶液など)にスラグを一時的に浸漬する、などのような方法を採ればよい。
上述したように、エージング処理におけるスラグ中のCaO、MgOと炭酸化促進剤(特定の炭酸塩、炭酸水素塩)との反応により、NaOH、KOHなどの成分が生成するが、エージング処理中(エージング期間の少なくとも一部)又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中又はスラグを浸漬した温水中にCOを吹き込み、上記成分(例えばNaOH、KOHなど)とCOを反応させることにより、当該炭酸化促進剤を再生させることができる。このようにスラグ又は温水中にCOの吹き込みを行うことにより、炭酸化促進剤を再生させつつ処理を行うことができるので、炭酸化促進剤を比較的少量の添加量とすることができ、また、炭酸化促進剤を繰り返し再利用することができる。
したがって、エージング処理を温水エージングで行う場合には、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込むだけで炭酸化促進剤を再生させることができ、この炭酸化促進剤を含む温水を繰り返し再利用することができるため特に有利である。この観点からは、エージング処理は温水エージングが特に好ましい。すなわち、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、エージング処理を温水エージングで行なえば、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液(エージング処理中又は/及びエージング処理終了後にCOを吹き込んだ溶液)を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いること、つまりロット間での溶液の使い回しが可能となり、経済的なエージング処理を行うことができる。
一方、エージング処理を蒸気エージングや大気エージングで行う場合において、炭酸化促進剤を再生させ、これを再利用するには、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグ中にCOを吹き込むことで炭酸化促進剤を再生させた後、処理を終えたスラグに付着した炭酸化促進剤を水などで洗い流し、炭酸化促進剤を回収すればよい。
スラグ中又は温水中にCO(ガス)を吹き込むには、CO含有ガス(例えば、冶金炉排ガス、燃焼排ガス、石灰焼成炉排ガスなど)を用いてもよい。CO含有ガスのCO濃度は特に制限はないが、処理効率上、CO濃度が10vol%以上のCO含有ガスを用いることが好ましい。
また、スラグ中にCO(CO含有ガスの場合を含む)を吹き込むには、例えば、吹き込みノズルを備えた蒸気配管が敷設された着生床の上にスラグを積み付け、蒸気配管の吹き込みノズルからスラグ層にCOを吹き込むなどの方法を採ることができる。
炭酸化促進剤の添加量に特別な制限はないが、炭酸化促進剤はスラグ中に含まれる遊離CaOや遊離MgO以外の可溶性CaOや可溶性MgOとも反応するので、その点を考慮しつつ、処理効率の面から適宜決めればよい。
スラグ中の可溶性CaO、可溶性MgO(水和し得るCaO、MgO)の含有量の測定方法は、さきに本発明の第一のエージング方法に関して述べたとおりである。
エージング処理の処理温度(炭酸化反応温度)に特別な制限はないが、20~80℃程度が好ましく、40~60℃程度がより好ましい。したがって、この処理温度の点からも、エージング処理は温水エージングが好ましい。
エージング処理の処理時間に特別な制限はないが、通常、スラグ中のCaO、MgOの炭酸化が十分に進み、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)及びスラグからの高アルカリ水の溶出抑制(スラグ溶出水のpH低減)を達成できるように設定される。例えば、水浸膨張比(測定方法は実施例参照)1.0%以下、タンクリーチング試験で測定されるpH(測定方法は実施例参照)10.0以下を達成できるように処理時間が設定される。本発明のエージング方法によれば、従来法(単純な温水エージングや蒸気エージング)に較べてエージング期間を大幅に短縮できる利点がある。
エージング処理を実施する設備に特別な制限はなく、温水エージング、蒸気エージングなどを行う公知の設備を使用できるが、さきに述べたように、温水エージングの場合には、エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込むだけで炭酸化促進剤を再生させることができ、この炭酸化促進剤を含む温水を繰り返し再利用することができることから、エージング処理は温水エージングで行うことが特に好ましい。これにより、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いること、すなわちロット間での溶液の使い回しが可能となり、経済的なエージング処理を行うことができる。
図2は、このエージング方法の一実施形態の処理フローを模式的に示したものであり、この実施形態では、エージング処理を温水エージングで行うものである。以下、処理対象がCaOを含有するスラグであり、炭酸化促進剤としてNaCOを用いる場合を例に説明する。
炭酸化処理槽2では、温水中に炭酸化促進剤としてNaCOが添加され、スラグ中のCaOが炭酸化してCaCOが生じる。また、CaOの炭酸化のために消費された炭酸化促進剤(NaCO)を再生させるために、エージング処理中及び/又はエージング処理終了後に温水中にCOを吹き込む。
このエージング処理では、上述した(22a)、(23)、(24a)式の反応が生じる。炭酸化促進剤の作用によってスラグ中のCaOの炭酸化が促進されるとともに、その炭酸化反応で生成したNaOHが、温水中に吹き込まれたCOと反応して炭酸化促進剤(NaCO)が再生される。このため炭酸化促進剤の添加量は比較的少量でよく、また、炭酸化促進剤(NaCO)が再生された温水は、次のロットのスラグの温水エージングにそのまま使用することができる。この場合、新規な炭酸化促進剤の投入は、不可避的に系外に持ち出される分を補充する程度でよい。
炭酸化促進剤(NaCO)を再生させるためのCOの吹込みは、炭酸化処理槽2内でガス吹込み手段を用いて行ってもよいが(この場合のガス吹込み手段7を図中に仮想線で示す)、本実施形態では、専用の炭酸化促進剤再生槽3でCOの吹込みを行っている。すなわち、炭酸化処理槽2内の液(温水)を抜き出して炭酸化促進剤再生槽3に供給し(経路8a)、この炭酸化促進剤再生槽3にCO含有ガスを供給することで炭酸化促進剤を再生させる。そして、この炭酸化促進剤の再生処理をした液(炭酸化促進剤溶液)を貯留槽4に貯留し、必要に応じて新たな炭酸化促進剤を加えて濃度調整した後、炭酸化処理槽2に供給する(経路8b)。
なお、図2の実施形態とは異なり、温水中にCOを吹き込まない場合には、処理中に炭酸化促進剤(NaCO)が再生されないので、炭酸化促進剤は相応の添加量が必要となる。
エージング処理を終えたスラグは炭酸化処理槽2から取り出され、脱水槽5で脱水処理された後、中和処理槽6で付着水のアルカリ分(NaOH)の中和処理がなされ、製品スラグとなる。中和処理槽6には、炭酸化促進剤再生槽3を出たCO含有ガスが供給され、アルカリ分(NaOH)の中和処理がなされる。
次に、本発明の第一のエージング方法において、工程(A)で行われるエージング処理の好ましい実施形態について説明する。
この実施形態の工程(A)では、遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、特定の水和促進剤を接触させた状態で、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを水和させるエージング処理を行うものである。以下、説明の便宜上、遊離CaOを「CaO」、遊離MgOを「MgO」という。
水和促進剤としては、NaOH、KOH、NHの中から選ばれる1種以上を用いる。この水和促進剤は、スラグ中のCaO、MgO(CaO及び/又はMgO)と反応し、CaO、MgOの水和を促進させるが、水和反応に消費されることはなく、水和反応に対して触媒的な働きをする。
ここで、水和促進剤がNaOHの場合、NaOHは下記(43a)、(43b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの水和を促進させる。また、この反応で生成したNaOは下記(44)式のとおりHOと反応してNaOHとなるので、総括反応は下記(45a)、(45b)式のとおりとなる。すなわち、水和促進剤として添加したNaOHは水和反応には消費されず、触媒的な働きでCaO、MgOの水和を促進させる。
CaO+2NaOH → Ca(OH)+NaO …(43a)
MgO+2NaOH → Mg(OH)+NaO …(43b)
NaO+HO → 2NaOH …(44)
CaO+HO → Ca(OH) …(45a)
MgO+HO → Mg(OH) …(45b)
また、水和促進剤がKOHの場合、KOHは下記(46a)、(46b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOと反応し、CaO、MgOの水和を促進させる。また、この反応で生成したKOは下記(47)式のとおりHOと反応してKOHとなるので、総括反応は下記(48a)、(48b)式のとおりとなる。すなわち、水和促進剤として添加したKOHは水和反応には消費されず、触媒的な働きでCaO、MgOの水和を促進させる。
CaO+2KOH → Ca(OH)+KO …(46a)
MgO+2KOH → Mg(OH)+KO …(46b)
O+HO → 2KOH …(47)
CaO+HO → Ca(OH) …(48a)
MgO+HO → Mg(OH) …(48b)
また、水和促進剤がNHの場合、NHは下記(49a)、(49b)式のとおりスラグ中のCaO、MgOの水和を促進させる。すなわち、水和促進剤として添加したNHは水和反応には消費されず、触媒的な働きでCaO、MgOの水和を促進させる。
CaO+HO+2NH → Ca(OH)+2NH …(49a)
MgO+HO+2NH → Mg(OH)+2NH …(49b)
エージング処理は、温水エージング、蒸気エージング、大気エージングなどのいずれでもよい。
エージング処理において、水和促進剤をスラグに接触させる方法は任意であるが、温水エージングの場合には、温水に水和促進剤を添加し、この水和促進剤を含む温水によりスラグをエージング処理すればよい。また、蒸気エージングや大気エージングの場合には、(i)水和促進剤を含む溶液(水溶液など)をスラグに散布する、(ii)スラグに水和促進剤を混合する、(iii)水和促進剤を含む溶液(水溶液など)にスラグを一時的に浸漬する、などのような方法を採ればよい。
このエージング処理では、上述したように水和促進剤は触媒的な働きをし、CaO、MgOの水和反応には消費されないので、繰り返し再利用することが可能である。したがって、温水エージングの場合には、水和促進剤を含む温水を繰り返し再利用することができるため、エージング処理は温水エージングが特に好ましい。すなわち、複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、エージング処理を温水エージングで行なえば、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いること、つまりロット間での溶液の使い回しが可能となり、経済的なエージング処理を行うことができる。
なお、エージング処理を蒸気エージングや大気エージングで行う場合において、水和促進剤を再利用するには、処理を終えたスラグに付着した水和促進剤を水などで洗い流し、水和促進剤を回収すればよい。一方、水和促進剤を回収・再利用しない場合には、水和促進剤成分がスラグに付着したままになるが、この水和促進剤成分は大気中のCOで自然に炭酸化されるので問題はない。また、スラグを早期に出荷する場合には、COを吹き込むなどして水和促進剤成分を強制的にCOで炭酸化(中和処理)させてもよい。
水和促進剤の添加量に特別な制限はない。添加量が少ないと処理効率が低くなり、一方、添加量が多くなるとスラグに付着する水和促進剤成分の後処理(中和処理など)のための負荷が増大するので、水和促進剤の添加量はこれらの点を考慮して決めればよい。また、水の添加量も、エージングの種類に応じて適宜決めればよい。
エージング処理の処理温度(水和反応温度)に特別な制限はないが、20~100℃程度が好ましく、50~100℃程度がより好ましい。したがって、この処理温度の点からは、温水エージング、蒸気エージングがより好ましい。
エージング処理の処理時間(エージング期間)に特別な制限はないが、通常、スラグ中のCaO、MgOの水和が十分に進み、スラグの膨張抑制(水浸膨張比の低減)を達成できるように設定される。例えば、水浸膨張比(測定方法は実施例参照)1.0%以下を達成できるように処理時間が設定される。
また、エージング処理を実施する設備に特別な制限はなく、温水エージング、蒸気エージングなどを行う公知の設備を使用できる。
処理対象がCaOを含有するスラグであり、工程(A)において水和促進剤としてNaOHを用いる場合を、図1の処理フローに従い説明すると、水和処理槽1では、温水中に水和促進剤としてNaOHが添加される。この水和処理槽1にCaOを含有するスラグが投入され、工程(A)のエージング処理(温水エージング)が行われる。この工程(A)では、上述した(43a)、(44)、(45a)式の反応によりCaOが水和してCa(OH)が生じるが、水和促進剤として添加したNaOHは触媒的な働きをし、反応に消費されることはない。したがって、この水和促進剤を含む温水は、次のロットのスラグの温水エージングにそのまま使用することができる。この場合、新規な水和促進剤の投入は、不可避的に系外に持ち出される分を補充する程度でよい。工程(A)を終えたCa(OH)を含有するスラグは炭酸化処理槽2に移され、ここで工程(B)のエージング処理(温水エージング)が行われる。
以上述べた本発明のエージング方法により製鋼スラグなどの遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグをエージング処理することで、膨張や高アルカリ水の溶出が適切に抑えられる路盤材、土工材などの土木材料を製造することができる。この土木材料は、単独で使用(施工)してもよいし、他の路盤材料(例えば、他のスラグ路盤材や砕石など)と混合して使用(施工)してもよい。
また、以上述べたエージング方法に使用される本発明のエージング処理用炭酸化促進剤は、遊離CaO及び/又は遊離MgO若しくはそれらの水和物を含有するスラグのエージング処理用の炭酸化促進剤であって、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなるものである。炭酸塩、炭酸水素塩の種類は特に制限はないが、例えば、炭酸塩としては炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸カリウム(KCO)などが挙げられ、また、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)などが挙げられ、これらの1種以上で炭酸化促進剤を構成することができる。
可溶性CaOを15質量%、遊離CaOを5質量%含有し、粒径37.5mm以下に調整された製鋼スラグ100kg(dry)(但し、発明例3と比較例5は100t)について以下に示すような実施条件でエージング処理を行った。発明例1、2、4及び比較例1では、水/スラグ=2(質量比)の条件で温水エージングを行い、発明例3及び比較例2~6では、水/スラグ=0.1(質量比)の条件でエージングを行った。また、比較例6は未エージングのスラグである。
各実施例でエージング処理されたスラグ及び未エージングのスラグについて、以下に示すような測定法により水浸膨張比と溶出水pHを測定した。その結果を、各実施例のエージング条件とともに表1に示す。
(1)実施条件
・発明例1
本発明の第一のエージング方法(図1の処理フロー参照)の実施例であり、水和処理槽において温水エージング(50℃)を7日間行った後、スラグを炭酸化処理槽に移し、CO含有ガス(CO濃度17vol%)を継続的に吹込みつつ(平均CO供給量0.17Nm/h)、炭酸化促進剤としてNaCO(14.2kg)を用いて温水エージング(50℃)を3日間行った。処理後のスラグは、脱水・中和槽において付着水をCOで中和しながら脱水した。
・発明例2
本発明の第二のエージング方法(図2の処理フロー参照)の実施例であり、炭酸化処理槽において、CO含有ガス(CO濃度17vol%)を継続的に吹込みつつ(平均CO供給量0.08Nm/h)、炭酸化促進剤としてNaCO(14.2kg)を用いて温水エージング(50℃)を6日間行った。処理後のスラグは、脱水・中和槽において付着水をCOで中和しながら脱水した。
・発明例3
本発明の第二のエージング方法の実施例であり、スラグをNaCO水溶液(NaCO濃度1.3mol/L)に1日間浸漬し、水切り後、ヤードに積み付け、その積み付けたスラグ層の下部から空気(CO濃度0.035vol%、125Nm/分)を吹き込むエージング処理を189日間行った。
・発明例4
本発明の第一のエージング方法(図1の処理フロー参照)の実施例であり、水和処理槽において水和促進剤としてNaOH(10.7kg)を用いて温水エージング(50℃)を3日間行った後、スラグを炭酸化処理槽に移し、CO含有ガス(CO濃度17vol%)を継続的に吹込みつつ(平均CO供給量0.17Nm/h)、炭酸化促進剤としてNaCO(14.2kg)を用いて温水エージング(50℃)を3日間行った。処理後のスラグは、脱水・中和槽において付着水をCOで中和しながら脱水した。
・比較例1
炭酸化促進剤を用いることなく、水和処理槽において温水エージング(50℃)を7日間行った。処理後のスラグは脱水槽において脱水した。
・比較例2
炭酸化促進剤を用いることなく、反応容器(内径0.6m、内容積0.2m)において蒸気エージング(100℃)を3日間行った。
・比較例3
反応容器(内径0.6m、内容積0.2m)において蒸気エージング(100℃)を3日間行った後、炭酸化促進剤を用いることなく、回転ドラムタイプの反応容器(内径0.6m、内容積0.2m)において回転(10rpm)を付与しながらCO含有ガス(CO濃度17vol%、湿度100%)の吹込みによるガス炭酸化エージング(25℃)を3日間行った。
・比較例4
炭酸化促進剤を用いることなく、回転ドラムタイプの反応容器(内径0.6m、内容積0.2m)において回転(10rpm)を付与しながらCO含有ガス(CO濃度17vol%、湿度100%)の吹込みによるガス炭酸化エージング(25℃)を3日間行った。
・比較例5
炭酸化促進剤を用いることなく、大気エージング(25℃)を189日間行った。
(2)測定方法
・水浸膨張比:JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」の付属書Bの試験方法に基づき、スラグの水浸膨張比を求めた。
・溶出水のpH測定:JIS K0058-1「タンクリーチング試験方法」の利用有姿の溶出試験の検液を用い、スラグ溶出水のpH測定を行った。
Figure 0007014746000001
1 水和処理槽
2 炭酸化処理槽
3 炭酸化促進剤再生槽
4 貯留槽
5 脱水槽
6 中和処理槽
7 ガス吹込み手段
8a,8b 経路

Claims (11)

  1. 遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを水和させるエージング処理を行う工程(A)と、
    該工程(A)を経たCaO及び/又はMgOの水和物を含有するスラグに対して、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなる炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記水和物を炭酸化させるエージング処理を行う工程(B)を有するエージング方法であって、
    工程(B)のエージング処理が温水エージングであり、該温水エージングでは処理槽内の温水中にスラグを浸漬させることを特徴とするスラグのエージング方法。
  2. 工程(B)で用いる炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のスラグのエージング方法。
  3. 工程(B)で用いる炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のスラグのエージング方法。
  4. 工程(B)のエージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより炭酸化促進剤を再生させることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のスラグのエージング方法。
  5. 複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、工程(B)において、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いることを特徴とする請求項に記載のスラグのエージング方法。
  6. 遊離CaO及び/又は遊離MgOを含有するスラグに対して、炭酸塩、炭酸水素塩の中から選ばれる1種以上からなる炭酸化促進剤を接触させた状態で、前記遊離CaO及び/又は遊離MgOを炭酸化させるエージング処理を行うエージング方法であって、
    前記エージング処理が温水エージングであり、該温水エージングでは処理槽内の温水中にスラグを浸漬させることを特徴とするスラグのエージング方法。
  7. 炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項に記載のスラグのエージング方法。
  8. 炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項に記載のスラグのエージング方法。
  9. エージング処理中又は/及びエージング処理終了後に、スラグを浸漬した温水中にCOを吹き込むことにより炭酸化促進剤を再生させることを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載のスラグのエージング方法。
  10. 複数ロットのスラグを順次エージング処理する際に、1つのロットのスラグの温水エージングに用いた溶液を、次にエージング処理するロットのスラグの温水エージングに用いることを特徴とする請求項に記載のスラグのエージング方法。
  11. スラグを請求項1~10のいずれかに記載のエージング方法でエージング処理することにより、土木材料を製造することを特徴とする土木材料の製造方法。
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