JP7013265B2 - フライアッシュの加熱改質装置および加熱改質方法 - Google Patents
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Description
フライアッシュの昇温領域は、ロータリーキルンのうちフライアッシュの投入側に近い位置にあり、炉内で燃焼する助燃バーナや炉体を外側から加熱する外熱バーナにより、未燃カーボンが自燃開始温度に近づくまでフライアッシュを加熱し昇温させる領域である。自燃領域は、昇温されたフライアッシュ中の未燃カーボンを、この領域の外熱バーナ等で加熱することにより連続的に自燃させる領域である。また、過発熱抑制領域は、未燃カーボンの自燃による過発熱を抑えるための領域である。未燃カーボンの自燃が過剰になってキルン内の温度が高くなりすぎると、フライアッシュの活性が低下して良質のコンクリートを得られなくなるため、上記の自燃領域からこの抑制領域にかけての部分において自燃による過発熱を抑えるのである。
従来の加熱改質装置では、ロータリーキルンの外熱バーナに関する課題もある。外熱バーナがキルンの外周部に設けられていて、その火炎がキルンの胴体を直接に加熱することから、上記各領域を均一に温度制御することが難しいうえ、ロータリーキルンの胴体の一部を焼損させる恐れがある。
・ ロータリーキルン内に少なくとも未燃カーボンの自燃領域を設け、
・ そのロータリーキルンに投入する前のフライアッシュを加熱するフライアッシュ予熱器を、
・ 上記キルンとは別に、上記キルン内に向かう経路内であって上記キルン内の圧力が及ばない部分に設けた
ことを特徴とする。図1の加熱改質装置1はその一例であり、図中、符号10がフライアッシュ(FA)予熱器をさしている。
フライアッシュの昇温領域の全部または一部をキルンとは別の装置(フライアッシュ予熱器)にすると、当該装置とキルンとのそれぞれについて内部の温度制御を独立に行うことができる。そのため、未燃カーボンの自燃を適切な温度で進行させやすくなり、フライアッシュを良質なものにするうえで有利である。
しかし、キルンへのフライアッシュの投入手段(キルン内への投入口を有するもの)にフライアッシュの予熱器を付設したり、キルン内の空間と通じあっていてキルン内の圧力が及ぶ箇所に当該予熱器を設けたりすると、必ずしもフライアッシュの温度制御を円滑に行えるとは限らない。投入手段に予熱器を付設した場合、投入の速度を変えるとき予熱器内での滞在時間が変わってフライアッシュの加熱温度まで変化してしまい、投入量と加熱温度とを独立には制御できないのが通常だからである。また、未燃カーボンの自燃中には燃焼ガスの急激な膨張等にともなう圧力変動がキルン内に発生するため、キルン内の空間と連続する箇所にフライアッシュの予熱器を設けた場合には、キルンへのフライアッシュの投入が阻害されることがあるからでもある。
その点、発明の加熱改質装置は、フライアッシュ予熱器をロータリーキルンとは別に(つまり、キルンやそれへの投入口と一体的または連続的に設けるのでなく)、キルン内に向かう経路内であってキルン内の圧力が及ばない部分に設けたことから、上記のような不都合が生じない。そのうえで、フライアッシュ予熱器とキルンとについて内部の温度制御を独立に行えるため、フライアッシュ予熱器でのフライアッシュの加熱と、キルン内でのさらなる加熱および未燃カーボンの自燃を適切に進行させて、良質なフライアッシュを得ることが可能になる。
ただし、上記スクリュウコンベヤは、上記のとおりキルンに接続されたホッパに向けてフライアッシュを供給するものである。キルンと直結されていてフライアッシュを直接キルン内に投入するものではない。つまりそのコンベヤは、キルンとは別に、キルン内に向かう経路内であってキルン内の圧力が及ばない部分に設けるものである。図1および図3に、その一例としてのスクリュウコンベヤ11・12を含むフライアッシュ予熱器10を示している。
そのようにすれば、キルンからの排ガスをフライアッシュの予熱に有効利用することができ、当該予熱のために費用をかけて別途熱源を用意する必要がなく、経済的である。また、キルンの排ガスは、フライアッシュの予熱に適した温度を有しているため、特別な温度調節をすることなく予熱のための適切な昇温を行える。
キルン内で未燃カーボンを自燃させるためには、予熱ずみのフライアッシュを、酸素を含むキルン内でさらに昇温させる必要がある。酸素の供給のためには送風機を用いて空気(大気)をキルン内に導入するが、その空気が低温であるなら、相当分の多めの熱量を助燃バーナまたは外熱バーナによってキルン内に供給する必要があり、燃料費がかさむことになる。
その点、上記のように、未燃カーボンを自燃させるための空気をキルンからの排ガスによって予熱したうえキルン内に供給するなら、助燃バーナまたは外熱バーナに必要な燃費を削減することができ、有利である。
助燃バーナ等の燃焼器を設けることなくキルン内に空気を供給することにより、キルン内の酸素比率を高く保つことができ、未燃カーボンが燃焼しやすい環境を形成することができる。助燃バーナ等を使用しなくとも、外熱バーナを使用するなど他の加熱手段によって、キルン内を未燃カーボンの自燃に必要な温度にすることが可能である。また、フライアッシュの投入方向と同方向から空気を供給する方が、キルン内の自燃領域等におけるプロセスを円滑に進めることができる。
・ 上記ロータリーキルンを、外周に設けた外部ジャケットから胴体(炉体)を介して内部を加熱する形式のものとし、
・ 外部ジャケット内にはバーナを配置せず、
・ バーナを有する熱風炉をロータリーキルンとは別に設けるとともに、当該熱風炉をダクトによって上記外部ジャケットに接続する
ものとして構成するとよい。図1の例でも、外部ジャケット37A・37Bにバーナを配置せず、バーナ42を有する熱風炉40(図4)からの熱風をダクト45を通して当該外部ジャケット37A・37Bに送っている。
このようにすると、前記した外熱バーナに関する課題が解消する。すなわち、熱風炉およびダクトを経て温度が均一化された熱風が外部ジャケットに送られるため、未燃カーボンの自燃領域などで外部ジャケットに覆われた部分が均一に加熱される。そのため、ロータリーキルン内の各領域を均一に温度制御することができる。また、ロータリーキルンの胴体を局部的に焼損させる心配もなくなる。
熱風炉での燃焼用の空気をそのように予熱したうえで供給すると、ロータリーキルンの加熱のために熱風炉において必要となる燃料を削減することができ、有利である。
上記のように冷風供給管を外部ジャケットに接続すると、ロータリーキルン内の温度が高くなりすぎたときその供給管を使用して冷風(加熱していない空気)を外部ジャケットへ送ることができる。そうすると、未燃カーボンの自燃による過発熱を抑制してキルン内を適切に温度制御することができ、コンクリート用の混和材とするに適した良質なフライアッシュを得ることが可能になる。
上記のようにすると、送風機の所要台数が減って設備コストを低減できる。外部ジャケットへ冷風を供給するときは、キルン内の温度制御上、熱風炉が必要とする燃焼用空気量を減らせるタイミングであるため、兼用させる上記の送風機に格別の大容量が必要となることはない。
上記の加熱改質装置を使用することから、この方法によれば、ロータリーキルン内の温度制御を適切に行って良質なフライアッシュを得ることができる。
また、加熱改質装置において、ロータリーキルンの外部ジャケットにはバーナを配置せず、別に設けた熱風炉から熱風を外部ジャケットに供給すると、キルン内の特定の領域を均一に加熱することができる。そうすれば、フライアッシュの改質をさらに良好に進めることが可能である。バーナによってキルンの胴体を局部的に焼損させるトラブルも解消される。
i) 投入側には、クッションホッパ20を介してFAの供給管19を接続している。原料とするFAを、後述するFA予熱器10からクッションホッパ20を経由してキルン30に供給するためである。
ii) 同じく投入側に、空気の供給管54を接続している。上述した空気供給器36を通して、キルン30内の未燃カーボンを自燃させるための酸素を供給するもので、上流側にそのための燃焼空気ファン50を設けている。
iii) 排出側には、FAの回収管35を接続している。回収管35は、キルン30内で改質されたFAを取り出して回収するための管路であり、上述の回収口34a(および図2に示す排出用コンベヤ35a)と通じてる。
iv) 同じく排出側に、排ガス管71を接続している。排ガス管71は、上述の排ガスの排出口34bから続くもので、排ガス管72などの分岐部分を経て、サイクロンやバグフィルタを含む集塵機器(図示省略)に接続している。
ホッパ21内には、重力下で集積した状態にFAを貯留し、それによって炉体31内と供給管19(図1)との間の空間を不連続にしている。そのため、炉体31内の圧力変動はクッションホッパ20によって概ね遮断され、FAの投入管19にはその圧力変動はほとんど伝わらない。
加熱用ボックス14には、図1に示すように下部に排ガス管73を接続して、キルン30の排出口34bから出る排ガスを導入する。その排ガスを、加熱用ボックス14の上方に設けた排ガス管74から排出して前記の集塵機器(図示省略)へ送っている。
熱交換器51に通した上記の排ガスは、図1に示す吸気管62からの大気とともに誘引ファン63で吸引して希釈空気とし、分岐管64から適宜に一部を排出しながら、送気管64・65を通して熱風炉40の吸入口43へ送っている。これによっても、上記熱風炉40で必要な燃料を、上記排ガスの保有熱の有効利用により節約している。
図1のように、空気供給器36に近い部分で、もう一つの熱交換器55を空気管54に接続し、そこでもキルン30や外部ジャケット37A・37Bからの排ガス等で空気を加熱するようにすれば、燃料費をさらに抑制することが可能である。
なお、空気中の酸素比率を高く保つ目的で、助燃バーナ等の燃焼手段は空気供給管36に付設していない。
10 FA予熱器
11・12 スクリュウコンベヤ
14 加熱用ボックス
20 クッションホッパ
21 貯留ホッパ
22a 投入口
30 ロータリーキルン
30A FAの昇温領域
30B 未燃カーボンの自燃領域
30C FAの過発熱抑制領域
31 炉体
36 空気供給器
40 熱風炉
42 バーナ
50 燃焼空気ファン(送風機)
Claims (10)
- フライアッシュを加熱することにより未燃カーボンを自燃させてフライアッシュを改質するフライアッシュの加熱改質装置において、
ロータリーキルン内に少なくとも未燃カーボンの自燃領域を設け、そのロータリーキルンに投入する前のフライアッシュを500~600℃に加熱するフライアッシュ予熱器を、上記キルンとは別に、上記キルン内に向かう経路内であって上記キルン内の圧力が及ばない部分に設けたことを特徴とするフライアッシュの加熱改質装置。 - 上記ロータリーキルンに接続されたホッパに向けてフライアッシュを供給するスクリュウコンベヤであって、コンベヤケーシングの外側より熱を与え、未燃カーボンが自燃する温度以下にフライアッシュを加熱するものを、上記のフライアッシュ予熱器として設けたことを特徴とする請求項1に記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 上記のフライアッシュ予熱器においてフライアッシュを加熱するために、上記コンベヤケーシングの外側にロータリーキルンからの排ガスを流すことを特徴とする請求項2に記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- ロータリーキルン内で未燃カーボンを自燃させるための空気を、そのキルンからの排ガスにより加熱したうえで当該キルン内に供給することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 上記の空気は、フライアッシュの投入方向と同方向に、助燃バーナを介さずにキルン内に供給することを特徴とする請求項4に記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 上記ロータリーキルンを、外周に設けた外部ジャケットから内部を加熱する形式のものとし、外部ジャケット内にはバーナを配置せず、バーナを有する熱風炉をロータリーキルンとは別に設けるとともに、当該熱風炉をダクトによって上記外部ジャケットに接続したことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 上記熱風炉で燃焼に使用する空気を、上記外部ジャケットからの排ガスにより加熱したうえで熱風炉へ供給することを特徴とする請求項6に記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 上記外部ジャケットに、上記ロータリーキルンの温度上昇を抑制するための、加熱していない空気を供給する冷風供給管を接続したことを特徴とする請求項6または7に記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 送風機によって吸引する大気の一部を上記熱風炉へ燃焼用の空気として供給し、同じ送風機が吸引する大気の他の一部を、上記外部ジャケットへロータリーキルンの温度上昇を抑制する空気として供給することを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載したフライアッシュの加熱改質装置。
- 請求項1~9のいずれかに記載したフライアッシュの加熱改質装置を用い、フライアッシュを加熱することにより未燃カーボンを自燃させてフライアッシュを改質することを特徴とするフライアッシュの加熱改質方法。
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